メルセデスのテクニカルディレクターを務めるジェームス・アリソンは、2026年に導入された新F1レギュレーションのもとで、各チームの開発速度が「桁違い」のレベルに達していることを明かした。
F1では新たなレギュレーションが導入されると、エンジニアが規則への理解を深め、さまざまな可能性を発見していくことで、通常よりも開発ペースが速くなる傾向がある。
特に2025年から2026年にかけてはマシン規則が大幅に変更された。そのため今季は比較的小規模なアップグレードでも大きな効果を生み、グリッド上の勢力図が頻繁に変化している。
シーズン序盤に強さを見せたメルセデスも、最近ではフェラーリをはじめとするライバル勢の追い上げを受けている。
風洞での開発速度は昨年の6〜7倍
アリソンによれば、2026年のレギュレーションはまだ成熟しておらず、それが驚異的な開発速度につながっているという。
「今回のレギュレーションサイクルを特徴づけているもののひとつは、規則がまだ非常に未成熟だということだ」
アリソンは『Nu Silver Arrows Podcast』でそう語った。
「開発速度は過去数年と比べて桁違いに大きい。空力面では、風洞で確認している向上率は昨シーズンのおよそ6〜7倍になっている」
それが実際のラップタイムにどれほど影響するのかについて、アリソンは次のように説明した。
「およそ2カ月ごとに0.5秒というペースだ。これは非常に大きな進歩率だ」
つまり、現在のF1では数カ月の開発の遅れが、そのまま大きなパフォーマンス差につながりかねない状況にある。
メルセデスは開幕戦に向けて開発を限界まで継続
メルセデスは2026年型マシンの初期性能を最大限に高めるため、開幕直前まで開発を続ける戦略を選択した。
「シーズン前に、最初のマシンをこれまで以上に限界までプッシュするという意識的な決断をした」
「通常よりも遅い段階まで作業を続け、事実上、ほとんど余裕のないプログラムを組んだ」
その判断には大きなメリットがあった。
「その利点は、最初のレースまでに急激な開発曲線から可能な限り多くのパフォーマンスを取り込めたことだ。それが、マシンが非常に高いパフォーマンスレベルでシーズンを迎えることができた理由だ」
メルセデスはシーズン序盤から高い競争力を発揮したが、その代償として、シーズン中のアップグレード投入という点ではライバルに後れを取ることになった。

「最初にパフォーマンスを使い切った」
アリソンは、開幕時点の性能を優先した戦略には明確なデメリットもあったと認める。
「欠点は、基本的にそのパフォーマンスを最初にすべて使ってしまったことだ。他のチームはマシンをもっと早く確定させたため、その分、アップグレードの開発を早く始めることができた」
「今の僕たちは、いくつかのライバルとは開発サイクルが少しずれている」
その結果、メルセデスが次の開発段階に向けて準備を整えている間に、ライバル勢が新パーツを投入するという状況が生まれている。
「彼らがアップグレードを投入している一方で、僕たちは開発パイプラインを再構築してきた」
「いま分かっているのは、どのチームもおおむね同じような速度で進歩しているということだ。つまり、競争力の勢力図は非常に速く変化する可能性がある」
次のアップグレードで再び優位を狙うメルセデス
メルセデスの目標は、次の大型アップグレードによってシーズン序盤に築いたアドバンテージを取り戻すことにある。
「僕たちの目標は単純に先頭を維持し、次のアップグレードによってシーズン序盤に築いたアドバンテージを取り戻すことだ」
「それまでは、他のチームが大きな新開発を持ち込んでくるタイミングを何とか乗り切るしかない」
2026年のF1では、風洞での開発速度が前年の6〜7倍、ラップタイム換算では約2カ月で0.5秒という驚異的なペースで性能向上が続いている。開幕時の完成度を優先したメルセデスにとって、今後投入するアップグレードでライバル勢の追い上げを再び突き放せるかが、シーズン後半の大きな焦点となる。
