カテゴリー: F1日本GP

  • F1日本GP FP3展開 メルセデス圧倒 アントネッリ最速で“独走態勢”へ

    F1日本GP FP3展開 メルセデス圧倒 アントネッリ最速で“独走態勢”へ

    キミ・アントネッリ(メルセデス)が、2026年F1日本GPのフリー走行3回目でトップタイムを記録した。鈴鹿サーキットで行われた予選前最後の60分で、アントネッリは1分29秒362をマークし、チームメイトのジョージ・ラッセルに0.254秒差をつけて首位に立った。

    メルセデス勢の速さは際立っており、3番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)はアントネッリから0.867秒差。予選を前にした最終調整のセッションで、メルセデスが他を大きく引き離す構図となった。

    序盤は静かな立ち上がり ルクレールとハミルトンが先に基準タイム
    土曜午前の1時間セッションは、各車がすぐに本格走行へ入る展開とはならず、多くのマシンがコースに姿を見せたのは開始から15分近くが経過してからだった。

    序盤はルイス・ハミルトン(フェラーリ)がピレリのソフトタイヤで最初の基準タイムを記録。その後、チームメイトのシャルル・ルクレールが1分31秒018でわずかに上回った。

    ノリスはERSトラブルで走行制限
    一方で、ランド・ノリス(マクラーレン)は金曜から続く技術的な問題に見舞われた。ERS(エネルギー回生システム)のトラブルにより、残り25分を切るまでガレージに留まり、走行は大きく制限された。

    ようやくコースインしたノリスの最初のアタックは11番手。最終的には6番手まで順位を上げたが、トップのアントネッリからは1.2秒差をつけられた。

    アントネッリとラッセルが首位争い
    セッション開始20分を前に、アントネッリが最初に1分31秒の壁を破る1分30秒418を記録し、一気にトップへ浮上した。この時点でルクレールに0.6秒差をつけたが、ルクレールもすぐに差を0.1秒強まで縮めた。

    ラッセルは最初のランで3番手につけ、130Rでのトラフィックにはヒュルケンベルグとボッタスが不満を示す場面もあった。セッション中盤にはルクレールが1分30秒229で首位に立ち、アントネッリは次のアタックで更新できず。ラッセルもその間に2台の間へ割って入り、メルセデス勢はともに最終セクターでルクレールよりタイムを失っていた。

    それでも残り30分を前に、アントネッリが今週末初の1分29秒台となる1分29秒929を記録。その直後にラッセルがさらに0.011秒上回ったが、アントネッリがすぐさま1分29秒362を叩き出して再逆転し、そのままFP3最速でセッションを終えた。

    ルクレールが3番手 “ベスト・オブ・ザ・レスト”
    チェッカー時点でルクレールが3番手を守り、トップから0.867秒差で“メルセデス以外の最上位”となった。4番手はオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、5番手はハミルトンだった。

    トップ10の残る顔ぶれは、6番手ノリス、7番手ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)、8番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、9番手ガブリエル・ボルトレト(アウディ)、10番手ピエール・ガスリー(アルピーヌ)となった。

    後方ではベアマンがスピン ペレスは最終シケインでコースオフ
    11番手はアイザック・ハジャー(レッドブル)で、リアム・ローソン、アービッド・リンドブラッドの2台を上回った。ハース勢はエステバン・オコンがオリバー・ベアマンの前でフィニッシュ。ベアマンはスプーンカーブ立ち上がりで大きく姿勢を乱してスピンしたが、接触は免れた。

    16番手はアレクサンダー・アルボンで、チームメイトのカルロス・サインツJr.が続いた。18番手はフランコ・コラピント、19番手はバルテリ・ボッタス。セルジオ・ペレスは最終シケインで小さくグラベルへ飛び出し、20番手に終わった。

    最後尾はアストンマーティン勢で、ランス・ストロールとフェルナンド・アロンソがともにトップから4秒以上遅れる厳しい内容となった。

    2026年F1日本GP フリー走行3回目 結果

    1.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) – 1分29秒362(18周)
    2.ジョージ・ラッセル(メルセデス) – 1分29秒616(17周)
    3.シャルル・ルクレール(フェラーリ) – 1分30秒229(20周)
    4.オスカー・ピアストリ(マクラーレン) – 1分30秒364(19周)
    5.ルイス・ハミルトン(フェラーリ) – 1分30秒383(23周)
    6.ランド・ノリス(マクラーレン) – 1分30秒600(13周)
    7.ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ) – 1分30秒658(21周)
    8.マックス・フェルスタッペン(レッドブル) – 1分30秒910(22周)
    9.ガブリエル・ボルトレト(アウディ) – 1分31秒000(21周)
    10.ピエール・ガスリー(アルピーヌ) – 1分31秒082(20周)
    11.アイザック・ハジャー(レッドブル) – 1分31秒094(21周)
    12.リアム・ローソン(レーシングブルズ) – 1分31秒097(21周)
    13.アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ) – 1分31秒288(17周)
    14.エステバン・オコン(ハース) – 1分31秒326(22周)
    15.オリバー・ベアマン(ハース) – 1分31秒558(18周)
    16.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ) – 1分31秒733(20周)
    17.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ) – 1分31秒829(25周)
    18.フランコ・コラピント(アルピーヌ) – 1分31秒854(26周)
    19.バルテリ・ボッタス(キャデラック) – 1分32秒503(20周)
    20.セルジオ・ペレス(キャデラック) – 1分32秒540(18周)
    21.ランス・ストロール(アストンマーティン) – 1分33秒485(19周)
    22.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン) – 1分33秒529(14周)

  • 2026年F1日本GP 金曜プラクティス 全ドライバーコメント

    2026年F1日本GP 金曜プラクティス 全ドライバーコメント

    2026年F1日本GPの金曜プラクティスは、マクラーレンのオスカー・ピアストリがフリー走行2回目でトップタイムを記録して終えた。

    メルセデス勢のアンドレア・キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルが続き、ランド・ノリスが4番手。フェラーリ勢も上位につけた一方で、レッドブル・レーシングはマックス・フェルスタッペンが10番手、アイザック・ハジャーが15番手と苦しい滑り出しになった。

    鈴鹿では各車とも2026年F1マシン特有のエネルギーマネジメントや高速域でのバランスに対応しながら周回を重ね、初日の走行を通じて手応えと課題の両方を口にした。

    1番手:オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
    「全体的に見て、僕たちにとってはまずまずの一日だった。特に2回目のプラクティスでは良い進歩があったと感じていて、それは励みになっている。フィーリングもポジティブで、有益なデータを集めることができたことで、しっかりとしたポジションにいると思う。まだやるべきことはあるし、特にメルセデスのようなライバルがとても速いのも明らかだ。ただ、僕たちは自分たちのパフォーマンスに集中している。今日の進歩を土台にして、この勢いを維持し、さらに競争力を高めていきたい」

    2番手:アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
    「ここ鈴鹿での金曜日はまずまずだった。予定していたプログラムをすべてこなし、3種類すべてのコンパウンドでデータを収集することができた。達成できたことには満足しているが、まだやるべきことはある。特にマクラーレンはとても速く見えたし、他の何台かもそれほど離れていない。W17のフィーリングは良いが、風の変化やタイヤ温度が低い状況では、ラップをまとめるのが難しかった。だからこそバランスの改善が一晩での課題になるし、それができればポール争いに加われるはずだ。ここはオーバーテイクが難しいサーキットだから、それは重要になる。明日どうなるか見てみよう」

    3番手:ジョージ・ラッセル(メルセデス)
    「鈴鹿に戻ってこられて嬉しい。素晴らしいサーキットで、ドライビングの面でも常にチャレンジングだ。この新しいマシンがここでどう振る舞うのか、そして相対的なペースについて多くの議論があった。シングルラップではいくつかのコーナー進入で少し遅れている部分があるが、エスセクションは依然として非常に難しく、バックストレートの途中で達するスピードはこれまでで最も速いレベルだ。それはとても興味深いし、良いことだと思う。全体的には良い金曜日だったが、マクラーレンの速さには少し驚いた。ただ、それが本物でない理由はない。明日彼らに挑むには、まだやるべきことがある。幸い改善できるポイントはいくつかあるので、夜のうちに取り組みたい。予選で自分たちの位置が分かるだろう」

    4番手:ランド・ノリス(マクラーレン)
    「難しい一日だった。必要な周回数をこなせなかった。FP2の序盤は1周ずつしか走れず、午前中もエアロ作業が多かったから、走れた内容はあまり参考にならないものだった。このサーキットでは周回を重ねて自信をつけ、セットアップを詰めていきたいのに、今はロングランもなく連続走行も限られていて、2〜3歩遅れている状態だ。それでも最後にいくつかまとめることができて、少しは学べた。望んでいたほどではないけどね。今夜はリセットして、得られたデータを分析し、問題を修正して、明日は意味のある周回を重ねて流れを取り戻したい」

    5番手:シャルル・ルクレール(フェラーリ)
    「チームとしては、ここ2戦に比べると少し難しい一日だったが、まだ週末の初日だ。現時点ではレースペースは悪くないと思うが、トップとの差はまだかなりある。今後は明日の予選パフォーマンス向上に集中していく」

    6番手:ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
    「少し難しい一日だった。クルマのフィーリング自体は悪くないが、現状では少しペースが足りていないし、バランスも理想的な状態ではない。今夜しっかり作業してセットアップを改善し、明日に向けて前進したい。デプロイメントなど改善できる部分もあるし、すべてをうまくまとめられれば、もっとパフォーマンスを引き出せるはずだ」

    7番手:ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
    「2回ともクリーンなセッションで、プログラムをすべて完了し、良いベースを築けた。クルマは適切なウィンドウに入っている感触があり、ポジティブなスタートだ。中団は非常に接近していて、最初の2戦よりもさらに差が小さいように見える。かなり競争が激しくなるだろう。今夜すべてを見直し、明日に向けて良い基盤の上で組み立てていく」

    8番手:アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)
    「これで金曜日は終了だ。ここ2戦よりはポジティブな一日だったと思う。もちろん明日はこれより少し落ちる可能性があるのは現実的に見ているが、少なくともクルマのフィーリングは良くなっている。いくつかの問題を修正できたし、セットアップ面でもFP2で興味深い方向性を見つけた。少しずつ前進していて、正しい方向に進んでいる」

    9番手:オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)
    「良い一日だった。全体の差は非常に小さく、この中団争いはいつも通りだ。レーシングブルズも良いし、ウィリアムズやアウディもいる。これが僕たちの通常の戦いだ。だから明日に向けてラップタイムを見つけたい。ここは昨年オーバーテイクがとても難しく、最も少ないレースの一つだった。ただ新レギュレーションではチャンスは増えるはずだが、それでも予選が最優先になる」

    10番手:マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)
    「今日は真逆の状態を経験して、一つの極端からもう一つの極端に移った。それがラップタイムに影響した。セッション間でいくつか変更を加えたが、一つを解決しようとすると別の問題が出てきて、かなり難しかった。問題がどこから来ているのか、もっと理解する必要がある。バランスとグリップが不足していて、特にセクター1や中高速域でなぜこれほど遅れているのかを理解しないといけない。一晩で取り組むが、簡単に解決できる問題ではないと思う」

    日本グランプリ

    11番手:エステバン・オコン(ハースF1チーム)
    「全体的にポジティブな一日だった。FP1とFP2でやりたいことはすべて試すことができ、良いスタートになった。明日に向けてさらに改善できる余地がある。このサーキットを走るのは純粋に楽しいし、F1カーで走れるのは最高だ」

    12番手:リアム・ローソン(レーシングブルズ)
    「鈴鹿に戻ってこられて嬉しいし、とても楽しい一日だった。今年の新しいクルマは昨年とはかなり違う感覚だ。FP1とFP2の間で変更を加え、高速域での問題に対処しようとした結果、バランスは改善され多くのことを学べた。予選に向けて最適なウィンドウに入れられる良い状態にあると思う。かなり接戦になるだろうし、まだすべてはこれからだ」

    13番手:カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)
    「今日はクルマからすべてを引き出すのが難しかったが、FP2のショートランではまずまずのペースがあった。1周の速さでは競争力があるように見えるが、高燃料時のレースペースには苦しんでいる。今夜はセットアップを見直してパフォーマンスを引き出し、予選前に進歩できるようにしたい」

    14番手:ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
    「全体的に見て簡単な一日ではなかった。FP1ではバランスに苦しんだが、FP2ではまずまず改善できた。ただクルマのフィーリングはまだ理想には達していないので、明日に向けてさらに見つける必要がある。特にトップ3チームの後ろは非常に接近していて、P7からP15までがコンマ数秒差だ。少しの改善が結果に大きく影響するので、今夜も作業を続けて明日はより良くしたい」

    15番手:アイザック・ハジャー(レッドブル・レーシング)
    「今日はベストな一日ではなかった。両セッションともバランスとグリップに苦しみ、思うようにラップをまとめられなかった。FP2ではフィーリングは改善したが、ラップタイムはむしろ離れてしまった。まだ理想的な状態ではないが、明日に向けて立て直し、予選ではより良い状態にできると思う」

    16番手:ガブリエル・ボルトレト(アウディ)
    「FP1は順調だったが、FP2の序盤で問題を確認し、早く復帰するために予防的にギアボックス交換を行う判断をした。そのためガレージで時間を失ったが、チームは素晴らしい仕事でクルマを仕上げ、セッション終盤にコースへ戻してくれた。みんなの努力に感謝したい。それでもいくつか周回して有益なデータを得ることができたので、それを活かして明日の最終プラクティスと予選に向けて進めていく」

    17番手:フランコ・コラピント(アルピーヌ)
    「全体的には難しいプラクティスデーだったが、多くを学べた一日でもあった。鈴鹿は初めてで、この伝説的なコースをF1カーで走るのは本当に素晴らしい経験だった。周回を重ねるごとに自信をつけていき、FP1の終盤には良い状態になったが、特に高速域ではまだ完全な自信はなかった。FP2でも同様で、いくつか修正すべき点がある。明日の予選ではより良い、競争力のある状態で臨めるようにしたい」

    18番手:バルテリ・ボッタス(キャデラックF1チーム)
    「まず第一に、大好きなサーキットでまた走れるのは楽しい。僕の側のガレージでは、今季ここまでで最も良い一日だった。問題が一切なく、パフォーマンスとセットアップに集中できた。今週のアップグレードでダウンフォースと安定性が少し向上したと感じていて、進歩が見えるという意味で自信につながる。トップチームとの差はまだあるが、方向性は正しいし、改善すべき点も明確だ。明日がどうなるか見てみよう」

    19番手:フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
    ※リリースなし

    20番手:セルジオ・ペレス(キャデラックF1チーム)
    「今朝はプログラムの大部分をこなし、クルマのバランスも良かった。ただアルボンとの接触で終盤の走行を逃し、それが午後にも影響した。午後は出遅れた上に、走行した際にはエネルギーデプロイメントの問題も発生し、多くのラップタイムを失った。スムーズな一日ではなかったので結論を出すのは難しいが、ボッタスのデータも参考にして、明日はクリーンな一日にしたい」

    21番手:ランス・ストロール(アストンマーティン)
    「鈴鹿に戻ってくるのはいつも楽しい。特別なサーキットで、雰囲気も素晴らしい。予定していたランプログラムはすべてこなせたので、データを見て明日に向けて何を学べるか確認する。特に高速コーナーでは改善すべきポイントがある」

    22番手:アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)
    「今日は少し不運な一日だった。FP2でギアボックスの問題があり、走行できなかった。FP1ではリアムと似たセットアップから始めたが、同じ課題があり、改善のため同じ方向に進めたところ、彼の方が良いフィーリングを得ていたので、それは明日に向けてポジティブだ。コース自体はとても楽しく、特に予選ではグリップが上がるのが楽しみだ。現時点で自分たちの位置を判断するのは難しいが、中団は非常に接近している。チームと協力してQ3進出を目指したい」

    FP1走行:ジャック・クロフォード(アストンマーティン)
    「鈴鹿でコースに出られてとても良かった。ここを走るのは初めてだったが、シミュレーターでの準備がすぐにペースを掴むのに役立った。AMR26の貴重なデータ収集でチームに貢献できたことにも満足しているし、これまで走った中でも最も楽しいサーキットの一つだと思う」

  • F1日本GP初日 ピレリ総括「再舗装で摩耗減 1ストップ濃厚」

    F1日本GP初日 ピレリ総括「再舗装で摩耗減 1ストップ濃厚」

    オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が、2026年F1日本GP金曜のフリー走行2回目で最速タイムを記録した。ピアストリはC3タイヤで1分30秒133をマークし、キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルのメルセデス勢を抑えてトップで初日を終えた。

    午前のフリー走行1回目ではジョージ・ラッセルが1分31秒666で首位に立っており、鈴鹿では金曜2セッションを通じてメルセデスとマクラーレンが主導権を争う構図となった。

    一方で、ピレリは路面再舗装の影響もあってデグラデーションは抑えられていると分析しており、決勝は1ストップ戦略が有力視されている。

    ラッセルが午前最速 ピアストリが午後に最速更新
    金曜午前のフリー走行1回目は好天のもとで行われ、日差しの影響で路面温度は最終的に38度前後まで上昇した。セッションではC1、C2、C3の全3種類のコンパウンドが使用され、多くのドライバーは序盤にショートランを行ったあと、ロングランに重点を移した。

    現時点では、決勝でも3種類すべてのコンパウンドが使用されると見られている。最終的にトップタイムを記録したのはジョージ・ラッセルで、1分31秒666をマーク。これは2025年の金曜午前最速タイムより約3.1秒遅い数字だった。

    午後のフリー走行2回目も再び穏やかな天候となり、気温は約22度、路面温度は再び38度前後まで上昇した。このセッションでも全3種類のコンパウンドが使用されたが、最速となったのはオスカー・ピアストリだった。C3タイヤで1分30秒133を記録し、その直後にキミ・アントネッリ、ジョージ・ラッセルが続いた。

    ピアストリ、アントネッリ、ラッセルの3人はC2とC3のみを使用した。一方で、レッドブルの2台に加え、カルロス・サインツJr.、ニコ・ヒュルケンベルグ、ピエール・ガスリー、セルジオ・ペレスは午後のセッションでC1も使用した。

    予選は土曜日の現地時間15時に予定されており、天候は金曜と同様になる見通しとなっている。

    ピレリ「戦略はほぼ確実に1ストップになる」
    ピレリのチーフエンジニアを務めるシモーネ・ベラは、鈴鹿の路面状況とタイヤの挙動について次のように説明した。

    「すでによく知られているように、今年は鈴鹿サーキットの最終2セクターの再舗装が完了した。新しいアスファルトは、2025年に敷設された路面全体と比べてより滑らかだが、それでも十分なグリップを提供している。この粗さの低下が、ここまでタイヤのデグラデーションを抑える助けになっており、グレイニングも今のところ大きな影響は与えていない」

    「したがって、3種類すべてのコンパウンドを使ってレース戦略を組み立てることができるが、戦略はほぼ確実に1ストップになるだろう。ソフトはより大きなグリップをもたらす一方で、ここまでロングランの本数が限られているため、各チームが持っているデータは最も少ない選択肢でもある。さらに、決勝日は路面の進化が進み、気温も今日より10度前後低くなると予想されており、それも戦略選択において重要な役割を果たすことになる」

    「各チームの判断の中で興味深いのは、マクラーレンだけが今日ハードを試さなかったことだ。これは特異な選択であり、おそらく日曜日に向けてC1を2セット温存し、中立化が起きた場合にフレッシュな1セットを使えるようにする狙いかもしれない」

    「一方で、最も硬いコンパウンドに関するフィードバックは、その日のうちにセットを使った他のすべてのチームから得られており、その結果は非常に良好だった。したがって、パフォーマンスを損なうことなく安定したオープニングスティントを実現できる選択肢として、レーススタート用タイヤの候補のひとつになる可能性がある」

    日本グランプリ

    再舗装の効果が戦略を左右する週末へ
    鈴鹿の最終2セクター再舗装は、単にラップタイムだけでなく、決勝戦略にも大きな影響を及ぼしそうだ。現時点ではタイヤの摩耗もグレイニングも抑えられており、各チームは複数の1ストップ案を成立させられる状況にある。

    その中で、ハードを温存したマクラーレンの選択は予選と決勝を見据えた布石として注目される。金曜の時点ではピアストリが最速で終えたが、メルセデスとの差は極めて小さく、土曜の予選ではタイヤの使い方と一発のまとめ方が結果を大きく左右することになりそうだ。

  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1の課題を指摘「現時点では速さが足りない」

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1の課題を指摘「現時点では速さが足りない」

    ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、2026年F1日本GPの金曜プラクティスを終え、フェラーリF1は現時点でライバル勢に対して十分な速さがないとの認識を示した。

    フェラーリはフリー走行1回目、2回目ともに5番手と6番手に留まり、鈴鹿サーキットではマクラーレンやメルセデスに対して後れを取る形となった。ハミルトンはFP2を6番手で終え、トップのオスカー・ピアストリから0.847秒差だった。

    ハミルトン「現時点ではただ速くない」
    ルイス・ハミルトンは、マシンの挙動について聞かれると、これまでにも経験してきた傾向に近いものだと語った。

    「ここで以前に経験したものと似たようなことだと思う」

    「素晴らしいサーキットだ。クルマ自体のフィーリングは全体としては悪くない。ただ、現時点では単純に速さが足りないと思うし、原因はバランスにあると思う」

    「一晩かけてしっかり取り組んで、どうすればもっと良いセットアップにできるのかを見つけないといけない」

    土曜日にフェラーリが差を縮められるかと問われたハミルトンは、現状では簡単ではないとの見方を示した。

    「難しいと思う。結局のところ、今のところストレートではかなりタイムを失っていて、マクラーレンと比べるとターン1までにコンマ4秒ある」

    「だからデプロイメントもその一部だし、そこはもっと良くできるはずだ」

    「それに、もしセットアップを正しいところに持っていければ、クルマからさらにパフォーマンスを引き出せる余地もあると思う」

    鈴鹿で浮かんだ電力マネジメントの難しさ
    2026年F1レギュレーションについて好意的な立場を取ってきたハミルトンだが、鈴鹿ではエネルギーマネジメントの難しさがドライバーにとって負担になっていることも認めた。

    「スーパークリッピングは間違いなく良くない」

    「スーパークリッピングをしなければならないのは良くないことだ。場所によっては、もうパワーが残っていないから、いわば惰性で進入していくような感じになる」

    「このサーキットに関して言えば、それが今回のルール変更でいちばん楽しくない部分だと思う。でも、それ以外のセクションではクルマのフィーリングは本当にいいし、運転していてやはり素晴らしい」

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ) F1 日本GP

    フェラーリ首脳陣も現状を冷静に分析
    一方、フェラーリのスポーティングディレクターを務めるディエゴ・イオベルノは、金曜の勢力図はおおむね想定の範囲内だったと説明した。

    「ギャップはおおよそ我々の予想通りだと思う」

    「特にショートランに関しては、最初の2戦とかなり近い傾向でもある。それでも、改善を目指していかなければならない」

    「我々はできることをやっている。データを分析し、クルマのマネジメントに関する小さな問題を修正しようとしている。ドライバーたちも完全には満足していないし、ルイスが自信の欠如について不満を口にしていたのも聞いたと思う」

    「このコースは難しいし、後半区間は新舗装になっている。重要なポイントは、1周目からタイヤをしっかり機能させることになるだろう」

    フェラーリにとって鈴鹿初日は、戦闘力不足とセットアップの難しさがあらためて浮き彫りになった一日だった。ハミルトンが指摘したストレートでのロスと、ドライバーが求める信頼感をどこまで改善できるかが、予選以降の巻き返しの鍵になりそうだ。

  • ジャック・クロフォード アストンマーティン・ホンダF1で振動経験「良くない」

    ジャック・クロフォード アストンマーティン・ホンダF1で振動経験「良くない」

    アストンマーティンのリザーブドライバーであるジャック・クロフォードは、2026年F1日本GPのフリー走行1回目でフェルナンド・アロンソに代わってAMR26をドライブした。

    開幕序盤から議論の的となっているマシンの振動問題について、クロフォードは鈴鹿での実走を通じて、その深刻さと改善の兆しの両方を明かした。

    アストンマーティンはこのセッションを、シミュレーターとの相関確認という重要な目的のもとで実施しており、クロフォードにとっても今季初のFP1出走となった。

    クロフォード「振動は良くない」
    ジャック・クロフォードは振動問題について率直に語った。

    「正直なところ、そのままの状態だ。簡単ではないし、ドライバーにとっても良くない。マシンの信頼性にとっても良くない」

    「でも、僕たちは毎週末それに取り組んでいる」

    「ドライバーとしては、自分たちの責任ではないことに対してできることは限られている」

    「チームはできる限り改善しようとしているし、実際に良くなってきている。だからこのまま改善を続けていくだけだ」

    初走行でも即順応「すぐに乗れていた」
    クロフォードにとって今回がAMR26での初走行であり、鈴鹿サーキットも初体験だった。

    それでも短い走行の中で手応えを感じていたと語る。

    「素晴らしい経験だった。マシンもこのサーキットも初めてだったけど、走ったすべての周回を楽しめた」

    「周回数は多くなかったけど、本当に楽しめたし、すぐにペースに乗れていたと感じている」

    「もし再び乗る機会があっても準備はできているし、すぐに順応できると思う」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    シミュレーターとの相関確認が主目的
    今回、開幕3戦目という早い段階でルーキーFP1を実施した理由について、クロフォードはシミュレーターとの相関確認が大きな狙いだったと明かした。

    「それが僕の主な役割だし、シーズンのかなり早い段階でフリー走行を任された理由のひとつでもある」

    「シミュレーターとの相関を確認するのは僕たちにとって重要だ」

    「これまで積み重ねてきたシミュレーターでの周回が、今日のFP1でいきなり対応できたことにつながっていると感じている」

    「しっかり相関が取れているのを確認できたのは良いことだ」

    鈴鹿は想定通り苦戦
    また、クロフォードはアロンソとランス・ストロールのフィードバックにも触れ、現在のパッケージの特性から鈴鹿では苦戦が予想されていたと説明した。

    「基本的には同じ傾向だと思う」

    「今のパッケージの制約を考えると、このサーキットでは苦戦することは予想していた」

    「このあとデブリーフで詳しく聞くのが楽しみだが、少し苦しんでいるように見える。ただ、これは想定通りだと思う」

  • レッドブルF1に“深刻な問題” マックス・フェルスタッペン「一晩では直らない」

    レッドブルF1に“深刻な問題” マックス・フェルスタッペン「一晩では直らない」

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)は、2026年F1日本GP初日のフリー走行で苦戦を強いられた。FP1では7番手、FP2では10番手にとどまり、トップから大きく離される結果となった。

    マシンバランスの不安定さとグリップ不足に悩まされ、セットアップ変更も裏目に出るなど、チーム全体として課題が浮き彫りとなる一日となった。

    フェルスタッペン『両極端でバランスが見つからない』
    「正直あまり良くなかった。バランスもグリップも足りていない。FP1とFP2でまったく逆の状態になったが、どちらも良くなかった」

    「やるべきことはたくさんあるし、今はかなり大きな問題を抱えている。良い一日ではなかった」

    「ひとつを直そうとすると別の問題が出る。結局バランスがまったくまとまらない」

    「中国と似たような問題だが、まだ遅れている。特にセクター1の中高速コーナーでなぜここまで遅いのか理解できていない」

    「今日は両極端のセットアップを試したが、どちらも機能しなかった。極端から極端へ行くだけで、ラップタイムを大きく失っている」

    『一晩で解決する問題ではない』
    「方向性はあるが、現時点では解決が非常に難しい。だから一晩で奇跡が起きるとは思っていない」

    「まずは問題がどこから来ているのか、もっと理解する必要がある」

    低速走行の理由はFIA設定によるもの
    「回転数が低くなりすぎるとパワーが出なくなるFIAの設定がある」

    「ゆっくり走っているときに起きやすくて、速いマシンを先に行かせようとした際にダウンシフトが遅れると回転数が落ちすぎる」

    「セーフティモードのような状態に入って、10〜20秒ほどパワーが戻らない。いわばグリッチのようなものだ」

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    モナハン『基準に達していない』
    ポール・モナハン(レッドブル・レーシング/チーフエンジニア)も、この日の内容を厳しく評価した。

    「我々の相対的なポジションを見れば明らかだ。チームとしての基準にも、マックスが求めるレベルにも達していない」

    「いくつか問題は特定できているが、それを正しく理解し、明日までに修正できるかどうかが重要になる」

    「今日は間違いなく厳しい一日だった」

    アップグレード自体は機能も別の問題が露呈
    レッドブルは今回、サイドポッドやフロア、エンジンカバーなど大規模なアップグレードを投入した。

    「形状としては大きな変更だった。ミルトンキーンズのスタッフには感謝したい。それだけ大きな努力だった」

    「今回のパッケージ自体は期待通りに機能しているように見えるが、他の部分に問題がある」

    「そこを明日に向けて修正しなければならない」

  • マクラーレンF1がメルセデスに肉薄 鈴鹿で判明した“電力戦略の差”

    マクラーレンF1がメルセデスに肉薄 鈴鹿で判明した“電力戦略の差”

    2026年F1日本GPの金曜フリー走行で、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が最速タイムを記録した。しかし注目すべきは単純な順位ではなく、そのタイムの“作り方”だった。

    新時代レギュレーションで苦戦が続いていたマクラーレンだが、鈴鹿では少なくとも一発の速さにおいて改善の兆しを見せた。シャシー性能だけでなく、エネルギーの使い方にも明確な特徴が表れている。

    電力の使い方が生んだ決定的な差
    今回のタイム差は、単純なラップ全体の微差ではなかった。マクラーレンとメルセデスは、まったく異なるエネルギー運用を採用していた。

    マクラーレンは最終シケイン立ち上がりで電力を集中投入し、メインストレートで20km/h以上のトップスピード差を確保。その結果、1コーナーで大きなアドバンテージを得て、S字進入時点で約0.5秒リードを築いた。

    一方でメルセデスは、中高速コーナーで着実に差を削るアプローチを取り、ヘアピンではその差を約0.2秒まで詰める展開となった。

    さらにスプーン以降では、マクラーレンが130Rに向けて再び電力を使う一方、メルセデスはより高い最高速(約330km/h)まで伸ばすなど、区間ごとに優位性が入れ替わる展開となった。

    最終的には、シケイン出口で残ったバッテリーを使い切ったマクラーレンがフィニッシュラインで再逆転。わずか0.092秒差という結果につながった。

    鈴鹿特有の“抜きにくさ”が鍵を握る
    このように区間ごとに強みが分かれる特性は、レース展開に大きな影響を与える可能性がある。

    鈴鹿はオーバーテイクが難しく、タイヤデグラデーションも大きくないため、一度前に出ればポジションを守りやすい。そのためマクラーレンが前方スタートを決めれば、メルセデスにプレッシャーをかける展開も十分にあり得る。

    ロングランペースでは依然としてメルセデス優勢と見られているが、予選と序盤の展開次第では波乱の可能性も見えてきた。

    マクラーレン vs メルセデス

    路面進化がメルセデスに味方する可能性
    ただし、この結果には重要な前提がある。金曜の鈴鹿は路面グリップが低く、“ダーティトラック”状態だった。

    2026年マシンの特性として、路面が改善するにつれてブレーキングポイントが奥になり、エネルギー回収(ハーベスティング)が難しくなる。その影響で、エネルギー運用の最適解も変化する。

    実際にジョージ・ラッセルは、ラップ終盤を待たずに回生上限に達してしまい、最終シケイン立ち上がりで電力を使えない状態に陥っていた。

    メルセデスのブラッドリー・ロード副代表は次のように説明している。

    「Q3終盤のような週末のピーク状態で、エネルギー管理がどうなるかを見極めようとしている。そのため、週末序盤にはある種の妥協が生まれる」

    「その一つがスプーンでのドライビングスタイルで、ジョージはキミよりも早い段階で回生上限に達してしまった。その結果、最終コーナーでの加速に影響が出ていた」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    マクラーレンの“金曜最速”は本物か
    もっとも、マクラーレン自身もこの結果を楽観視はしていない。

    ロングランでは依然としてメルセデスに及ばず、さらにフェラーリも本来の一発の速さをまだ見せていない状況だ。

    実際、開幕戦オーストラリアでもピアストリは金曜最速を記録していたが、決勝ではメルセデスが圧倒的な強さを見せている。

    それでも今回明らかになった“異なるエネルギー戦略”は、2026年F1の新たな戦い方を象徴するものだ。

    予選で前に出ることができれば、マクラーレンがメルセデスに一矢報いる展開も現実味を帯びてきている。

  • ジョージ・ラッセル 鈴鹿でのマクラーレンF1の速さに警戒「少し驚きだった」

    ジョージ・ラッセル 鈴鹿でのマクラーレンF1の速さに警戒「少し驚きだった」

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、2026年F1日本GP金曜フリー走行で見せたマクラーレンのペースについて、「少し驚きだった」と警戒感を示した。メルセデスは2026年シーズン序盤を力強くスタートさせているが、鈴鹿での初日はマクラーレン勢も存在感を示した。

    ラッセルはFP1でメルセデスの1-2を牽引した一方、FP2ではオスカー・ピアストリに及ばず、トップからコンマ2秒差の位置につけた。予選を前に、ラッセルは自身のパッケージにもまだ改善の余地があると認めている。

    ラッセル「マクラーレンはかなり速かった」
    ジョージ・ラッセルは、金曜走行後にマクラーレンの速さについて率直な驚きを口にした。

    「マクラーレンはかなり速かったので、正直に言えば少し驚きだった。まだ改善しなければならない部分があるし、今夜やるべき仕事が少しある」

    2026年の新レギュレーション下でここまで主導権を握ってきたメルセデスだが、鈴鹿ではマクラーレンが対抗勢力として浮上した。中国GPでは、オスカー・ピアストリとランド・ノリスの両マシンがメルセデス製パワーユニットのトラブルによってダブルDNSに終わる不運もあったが、日本GP初日は再びスピードを示した。

    ノリスも日本GPでは油圧漏れの疑いによりFP2の走行時間の半分を失ったものの、それでもピアストリからコンマ5秒差で走行を終えている。

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) F1 日本GP

    「本物の速さだと思う」
    マクラーレンのペースが本物かどうかを問われたラッセルは、メルセデス側にまだ詰めるべき点が残っているとしつつ、その速さを素直に認めた。

    「正直、なぜ本物じゃないと思うのか分からない。ランドは混乱した一日になったけど、オスカーは今朝ガレージを出た最初のラップからかなり良かった」

    「予選になれば分かると思う。我々にはまだ引き出せるものがあるし、特に僕の側ではエネルギーマネジメントが完全に最適化されていなかったので、明日はもう少し良くなることを期待している」

    ラッセルは、各チームのデプロイメント運用に大きな違いがあるとも指摘し、メルセデスとしては比較的簡単に修正できる課題だと見ている。

    「チームごとにデプロイメントの使い方や、ラップ全体の中で何を最適化しているかにかなり大きな違いがあると思う。僕たちはそこが完全には合っていなかったし、比較的簡単に修正できるはずだ」

  • 日本の車文化がF1鈴鹿を特別にする理由 ドリフトと熱狂の正体

    日本の車文化がF1鈴鹿を特別にする理由 ドリフトと熱狂の正体

    F1が鈴鹿に戻ってきた。日本の車文化が、いかにして鈴鹿のレースウイークエンドにさらなる高揚感を加えているのかを見ていこう。

    日本GPは、常に単なるレースウイークエンド以上のイベントに感じられる。世界でもとりわけ情熱的で独自性のある車文化を背景に持つ鈴鹿は、ドライバーたちが毎年のようにハイライトとして名前を挙げる場所だ。

    その理由は、特に日本では、クルマが単なる移動手段ではないからだ。クルマは、アイデンティティ、創造性、そしてコミュニティを表現する大切な手段でもある。F1が象徴的な鈴鹿サーキットに戻ってくる今こそ、この開催地を特別なものにしている文化を、コースの上でも外でも見つめる絶好のタイミングだ。

    日本の自動車文化のDNA
    日本の車文化には、機械そのものを超えた何かがある。東京、大阪、横浜のような大都市を歩けば、馬力と自己表現が刺激的に混ざり合った、驚くべきサブカルチャーに出会える。

    この世界を象徴するクルマたちは、世界的にほとんど神話のような地位を手にしている。日産 スカイラインGT-R、ホンダNSX、トヨタ スープラ、マツダRX-7といった人気モデルは、この領域におけるアイコンだ。そうしたクルマに向けられる献身は、まるで信仰のようでもあり、オーナーたちは何年も、ときには何十年もかけて、クルマを改造し、磨き上げ、車輪のついた芸術作品へと仕上げていく。

    このサブカルチャーのすべてを支えているのが、日本の「ものづくり」という考え方だ。それは、職人技、細部へのこだわり、そして絶え間ない改善に根ざした哲学であり、さまざまなカーイベントで見られる精密さや見せ方にも表れている。結局のところ、日本ではクルマは単に走らせるだけのものではなく、手をかけ、磨き続けるものなのだ。そうした精神が、日本の車文化を世界で最も模倣され、最も称賛される文化のひとつにしている。

    地元の道路から世界のスクリーンへ
    世界中の多くのモータースポーツファン、とりわけ1990年代後半から2000年代にかけて育った世代にとって、日本の車文化を初めて本格的にのぞき見た瞬間は、ポップカルチャーを通じて訪れた。映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』のような作品は、巨大な映画フランチャイズを通じてドリフト文化を世界の観客に紹介し、かつては比較的ニッチだったものを世界的な魅力へと変えた。

    だが、ドリフトの実像は、テレビや映画で描かれるものよりずっと深い。このテクニック自体は1970年代の日本のモータースポーツにさかのぼり、ドライバーの高橋国光が、コーナーを抜ける際の速度を保ち、コース上のタイム向上につなげるために、コントロールされたスライドを試し始めたことに由来する。レーステクニックとして始まったものは、やがて独自の生命を持ち、より表現豊かで刺激的なものへと発展していった。

    そうした進化の多くは、伝統的なサーキットの外で起きた。舞台となったのは、日本の峠道だ。狭く曲がりくねった道は、新しい世代のドライバーたちがタイトでテクニカルなコーナーでクルマを限界まで追い込む遊び場となった。やがてドリフトは、速さよりもスタイルと流れが重視されるものになっていった。

    その世界で最も優れた存在のひとりが、「ドリフトキング」こと土屋圭市だった。彼はさまざまなテクニックを新たな次元へと高め、ドリフトを認知された競技へと押し上げた。彼のバイラル動画はその文化を一気に表舞台へ押し出し、新たなドリフト愛好家の波を生み出した。

    そうした露出は、この文化が世界レベルで持つ影響力をさらに強めただけだ。いまや日本の高性能車やデザイン哲学は世界中で認識されており、多くのF1ドライバーにとっても、そうした初期のポップカルチャー体験こそが、日本をレースするのが楽しみな場所にした理由の一部になっている。

    ドライバーたちも理解している
    F1ドライバーたちが日本の車文化とどう向き合っているかを、すべて物語る瞬間がある。そこには、7度のワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトン、日産 スカイラインGT-R、そして東京の街が関わっている。

    ここ数年、ハミルトンはひとつの伝統のようなものを築いてきた。レースウイークエンドに先駆けて早めに到着し、日本を代表する名車のひとつのステアリングを握り、その様子を丸ごと撮影するのだ。結局のところ、史上屈指の実績を持つドライバーであっても、根っこの部分では、彼もまたクールなクルマを愛するひとりの男なのだ。

    リアム・ローソンもまた、日本車の大ファンだ。ニュージーランド出身の彼自身、この世界のアイコンの1台であるトヨタ・スープラ A90を所有しており、大幅な改造を施して自分だけの1台に仕立ててきた。その過程は自身のSNSでも発信している。

    だが、地元のヒーローである角田裕毅にとって、その意味はさらに大きい。父親はホンダS2000を所有しており、それは元レッドブルのドライバーである角田裕毅が初めて運転したクルマでもあった。さらに父親は、ジムカーナ競技でNSXにも乗っていた。2025年の日本GPを前にレッドブルに対して、彼はこう語っている。「S2000で走るのはいつも楽しい。父のクルマなんだ」 だからこそ、角田裕毅が東京のREBLカー・ミートに現れ、ヴィンテージのNSXをこれまで見た中で最高のクルマだと呼んだ時、それは心からの言葉だった。

    驚異的なファン
    鈴鹿のレースウイークエンドを訪れるファンは、その絶え間ない熱意と応援によって、ドライバーたちにとって忘れられない体験を作り出している。彼らの多くは自作のグッズを持ち込むが、それは単なるチームTシャツにとどまらない。レプリカのレーシングスーツ、手作りのヘルメット、さらには頭に装着するミニチュアのリアウイングまである。その労力の大きさは、どこで見ても驚くべきものだろう。だが鈴鹿では、それがごく当たり前なのだ。

    その雰囲気は比類ない。ファンは通過する1台1台すべてのマシンに拍手し、声を上げる。お気に入りのチームやドライバーだけではない。レッドブルのキャップをかぶった観客で埋まったスタンドが、マックス・フェルスタッペンと同じくらいハースF1チームの2台にも熱狂している光景を目にすることもある。なぜなら、それが何よりもまず、スペクタクルそのもの、ドライバーたち、そしてこのスポーツに対する純粋な敬意だからだ。

    ファンが常に期待以上のことをしてくれる鈴鹿。その中でも最も心温まる瞬間のひとつは2025年に起きた。若いファンが父親とともに、特注のメルセデスのキットを身に着けて現れたのだ。ジョージ・ラッセルは観客席から彼らを見つけると、その親子をステージに招き、自身のトレードマークであるTポーズを少年と一緒に披露した。一生残る思い出をつくったその交流は、日本での魔法のような週末をよく表していた。

    すべてはひとつのことにつながっている。日本には、クルマ、職人技、献身、そして何をするかと同じくらい、どうやるかが重要だという考え方に対して特別な関係がある。その信念は、ここでは他のどこよりも深く根づいているように見える。F1が毎年鈴鹿にやって来るたびに、ファンは何度でも世界に思い出させてくれる。レースへの情熱が、いかに喜びに満ちた形で表れるものなのかを。

  • オスカー・ピアストリ F1日本GP初日最速も慎重「まだ序列は変わっていない」

    オスカー・ピアストリ F1日本GP初日最速も慎重「まだ序列は変わっていない」

    オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、2026年F1日本GPの金曜フリー走行2回目でトップタイムを記録し、厳しいシーズン序盤の中で明るい兆しを見せた。

    開幕2戦(オーストラリア、中国)でスタートできなかった状況から、ようやく迎えた実質的な初戦に向け、ピアストリは「前向きな一日だった」としながらも、勢力図そのものは大きく変わっていないとの見方を示した。

    マクラーレンはこの日、両車にエアロレーキを装着するなど実験的なプログラムを中心に走行。2026年レギュレーション下でのMCL40の理解を深める作業に重点を置いた。

    ピアストリ「良い進歩を感じられた」
    ピアストリは金曜の走行について次のように語った。

    「全体としては悪くない一日だった」

    「特にフリー走行2回目では良い進歩を感じられたし、ポジティブな手応えがある」

    「価値のあるデータも得られたし、良いポジションにいると思う」

    一方で、トップタイムを記録した結果については冷静な姿勢を崩さなかった。

    「まだやるべきことはあるし、特にメルセデスのようなライバルは非常に強い」

    「でも重要なのは自分たちのパフォーマンスに集中することだ」

    「今日の進歩をベースに、さらに競争力を高めていきたい」

    マクラーレン首脳「序列は変わっていない」
    マクラーレンのレーシング部門シニアディレクターであるランディ・シンも、チームの前進を評価しつつ現実的な見方を示した。

    「難しいスタートだったが、その中で最大限の成果を引き出すことができた」

    「FP1後にはランドのマシンに油圧系の問題があったが、チームは素晴らしい対応でデータ収集を継続できた」

    「オスカーがトップで終えたのは励みになるが、我々は現実的に見ている」

    「前戦から大きく序列が変わったとは考えていない」

    オスカー・ピアストリ F1 日本GP

    ノリスは油圧トラブルで苦戦
    一方、チームメイトのランド・ノリスは対照的に難しい一日を強いられた。

    FP2序盤に油圧トラブルが発生し、連続した走行ができない状況となり、セットアップの最適化に必要な周回数を確保できなかった。

    「難しい一日だった。必要な周回をこなせなかった」

    「FP2序盤は1周ずつしか走れない状態で、午前中もエアロ作業が中心だったから、実際のパフォーマンスを示す走行はほとんどできていない」

    最終的にノリスは4番手まで順位を上げたものの、ロングラン不足が大きな課題として残った。

    「このコースでは周回を重ねて自信を築き、セットアップを詰めることが重要だ」

    「でも今はロングランもなく、連続走行もほとんどできていないから、2〜3歩遅れている状態だ」

    「それでも最後にいくつかはまとめることができたし、多少は学べた」

    「今夜はリセットしてデータを見直し、明日は意味のある走行を取り戻したい」

    ピアストリのトップタイムは確かにポジティブな材料ではあるが、チーム内外ともに“本当の位置関係”を見極めるにはまだ早いというのが共通した認識だ。週末を通じてマクラーレンがどこまでパフォーマンスを引き上げられるかが注目される。