カテゴリー: ハースF1チーム

  • 平川亮の2027年ハースF1シート獲得に備えるトヨタWEC「すでに後任プランがある」

    平川亮の2027年ハースF1シート獲得に備えるトヨタWEC「すでに後任プランがある」

    平川亮が2027年にハースのF1レギュラーシートを獲得した場合に備え、トヨタはすでにWEC(FIA世界耐久選手権)での後任プランを準備している。トヨタ・レーシングのテクニカルディレクターを務めるデビッド・フルーリーが明らかにした。

    ハースのリザーブドライバーを務める平川亮は、先週ポルティマオで行われたTPC(旧型車テスト)に参加。2027年のエステバン・オコンの後任候補として評価を受けており、トヨタ側も平川亮がF1へステップアップする可能性を現実的なシナリオとして想定している。

    トヨタ「平川亮がどの道を選んでもサポートする」
    平川亮は現在、トヨタのWECプログラムの中心的なドライバーのひとりである一方、ハースではリザーブドライバーとしてF1活動にも関わっている。

    トヨタとハースの関係は近年さらに深まり、トヨタ・ガズー・レーシングはハースのタイトルスポンサーを務めている。そのなかで平川亮は先週、ポルトガルのポルティマオで実施されたハースのTPCに参加した。

    テストには平川亮のほか、マクラーレンの開発ドライバーで現FIA F2王者のレオナルド・フォルナローリ、現在F2タイトルを争っているラファエル・カマラが参加。3人はいずれも、2027年にオリバー・ベアマンのチームメイトとなる可能性のある候補として評価を受けた。

    ハースはまだ最終決定を下していないものの、トヨタは平川亮がF1シートを獲得した場合に備え、2027年のTR010ハイブリッドのドライバーラインナップについて代替案を用意している。

    「亮がハースでテストしているのはかなり前からなので、予想外のことではない」とフルーリーはSportscar365に語った。

    「チームとして、我々は亮をサポートする。どのようなキャリアの道を選ぶとしても、彼にとって最善の結果になることを願っている」

    「どのような決定になったとしても、我々としてはおおむね対応できる状態にある。彼の来年のプランが正式に分かれば、それに越したことはない」

    平川亮の後任候補にエステバン・マッソン
    平川亮がハースのF1シートを獲得した場合、トヨタのハイパーカープログラムへ昇格する有力候補のひとりがエステバン・マッソンだ。

    フランス出身のマッソンは、WECでアコーディスASPのレクサスRC F GT3をドライブしており、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズの現王者でもある。

    過去2シーズンにわたってトヨタのリザーブを務め、プライベートテストではハイパーカーもすでに経験している。

    「我々はエステバンをGT3とLMP2を通じて育成してきた。彼はプライベートテストで我々のハイパーカーも走らせており、これまで期待通りの仕事をしている。彼の成長過程で設定したすべてのマイルストーンをクリアしてきた」とフルーリーは評価する。

    「将来的にステップアップするうえで、間違いなく有力な候補だ。非常に才能があり、頭のいいドライバーだ」

    つまりトヨタは、平川亮をWECに引き留めることだけを優先するのではなく、F1への昇格が決まればそのキャリアを後押ししつつ、自社のWECプログラムについては別のドライバーを昇格させる準備を進めていることになる。

    平川亮(ハースF1チーム)

    平川亮「3回テストしてまだ候補に残っている」
    一方、平川亮自身もポルティマオでのテストには手応えを感じている。

    ハースで3回のテストを経験したうえで、依然として2027年のレギュラー候補に残っていることを前向きに捉えているという。

    「3回テストをして、まだ候補に残れているというのは本当にいいことだと思います。なので、このままプッシュし続けて、どうなるか見ていきたいです」

    F1のレギュラーシートについては「すべてのドライバーが望んでいる」ポジションだと語り、自分にできるアピールはすべて行ったとの認識を示した。

    平川亮の強みのひとつが豊富なレース経験だ。2012年に全日本F3選手権のタイトルを獲得し、その後はスーパーフォーミュラを中心にシングルシーターで9シーズンを戦った。2022年からトヨタのWECラインナップに加わり、これまで2度ドライバーズタイトルを獲得している。

    平川亮は、オコンの後任を争う他の候補と比較して、この経験値が自身の武器になると考えている。

    「僕はスーパーフォーミュラで何年も走ってきたので、経験があります」

    「他のドライバーと比べれば、僕にとって初めて走るサーキットは多いかもしれません。でも、その一方で経験があります。なので、どうなるか見てみたいです」

    F1については「来週話し合うかもしれない」
    ただし、現時点で平川亮が最優先しているのはWECだ。

    トヨタは夏休み前に行われたブラジル戦で2台ともノーポイントに終わっており、今週末のローン・スター・ル・マンでは巻き返しが必要となる。

    「ここは僕にとってもチームにとっても、チャンピオンシップを考えると非常に重要です。なので、今は今週末に集中しています。F1については、もしかすると来週いくつか話し合いがあるかもしれません」

    ハースは2027年のドライバーラインナップについて結論を急いでおらず、平川亮、フォルナローリ、カマラらを比較しながら検討を続けている。

    その一方で、トヨタがすでに平川亮のWEC離脱を想定したプランを用意していることは、F1昇格が単なる憶測ではなく、関係者が具体的に備える段階に入っていることを示している。

    なおSportscar365によれば、トヨタは平川亮の後任候補とは別に、2027年のWECラインナップでマイク・コンウェイに代わり、ポルシェのファクトリードライバーであるケビン・エストレを起用する見通しだ。

  • オリバー・ベアマン ハースF1の大型アップデートを絶賛「昼と夜ほど違う」

    オリバー・ベアマン ハースF1の大型アップデートを絶賛「昼と夜ほど違う」

    ハースF1チームのオリバー・ベアマンは、F1イタリアGPで投入された今季最大規模のアップデートについて、従来のVF-26とは「昼と夜ほど違う」と手応えを語った。

    ハースはモンツァに新しいシャシーとボディワークを含む大規模なアップデートを持ち込み、中団争いへの復帰を目指している。金曜日のフリー走行ではベアマンがFP2で8番手につけ、新パッケージは早くも一定の成果を示した。

    ハースが今季最大規模のアップデートをモンツァに投入
    ハースはシーズン序盤以降、中団グループの中で徐々に後退しており、今回のF1イタリアGPを巻き返しの重要な機会と位置づけている。

    ベアマンは5月のカナダGPを最後にポイントを獲得しておらず、チームメイトのエステバン・オコンも6月初旬のモナコGPを最後に入賞から遠ざかっている。

    チームとして6戦連続ノーポイントとなったことで、ハースはコンストラクターズランキング7位に後退。レーシングブルズとアルピーヌには大きく離され、後方のアウディにも5ポイント差まで迫られている。

    その状況を打開するため、ハースはモンツァで今季最大となるアップデートを投入。新しいシャシーとボディワークが用意され、ベアマンのマシンにはフェラーリのアップデート版パワーユニットも搭載された。

    金曜日の走行を終えたベアマンは、新パッケージから明確な改善を感じ取ったという。

    「いい一日だった。本当にポジティブだったよ。おそらく3月か4月以来、一番いい金曜日だったと思う。だから本当にうれしいし、チームにとって大きな後押しになる」

    FP2を8番手で終えたベアマンは、順位だけでなくVF-26そのもののフィーリングが大きく変わったと強調した。

    「もちろん、コース上でいい位置に入れて、いいトウも使えた。それを予選でも確実に得られるわけではない。でも、マシンの感触は昼と夜ほど違う。それくらい大きなステップを踏むことができた」

    「チームのみんなを本当に誇りに思う。このアップデートが前進になることを期待していたし、そうなる必要もあった。もちろん、それを疑っていたわけではないけど、チーム全員がしっかり仕事をやり遂げたことを本当に誇りに思うよ」

    ベアマン「マシンがより予測しやすくなった」
    ベアマンが特に評価したのは、VF-26の挙動が予測しやすくなった点だった。

    高速のモンツァでは、前戦オランダGPが行われたザントフォールトよりもダウンフォースを削った仕様で走行している。それにもかかわらず、高速コーナーでマシンの安定性が向上しているという。

    ベアマンは「マシンがより予測しやすくなった」と説明。これまでドライバーを苦しませてきた挙動が改善され、限界付近でも自信を持ってVF-26をドライブできるようになったことを示唆した。

    ハースにとっては、単にモンツァのロードラッグ仕様が機能しているだけでなく、大型アップデートによってマシンの基本的な特性そのものが改善されているのであれば大きな収穫となる。

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    オコンは18番手もハース「本来の速さを出せていない」
    一方、エステバン・オコンはFP2で18番手にとどまった。オコンのマシンにはベアマンとは異なり、フェラーリのアップデート版パワーユニットは搭載されていない。

    ただし、ハースの車両エンジニアリング責任者であるホーギー・ニッドは、両者の順位差がそのままマシンのパフォーマンス差を示しているわけではないと説明した。

    「今日はエステバンがベストラップを出すための最適な環境を用意できなかったと思う」

    「多くのマシンがトラフィックに苦しんでいた。FP1では他車に引っかかる場面があって少しまとまりを欠いていたし、FP2ではマシンの右リアにちょっとした問題が発生した」

    「そのため最初のランを走ることができず、セッションを通じて本来の形でペースを上げていくことができなかった。でも、そこは改善していく」

    ベアマンの8番手という結果にはトウの恩恵も含まれており、予選で同じ条件を再現できる保証はない。それでも、本人が「昼と夜ほど違う」と表現するほどVF-26のフィーリングが改善したことは、6戦連続ノーポイントと苦戦するハースにとって明るい材料だ。

    モンツァで投入した今季最大規模のアップデートが予選、そして決勝でも競争力につながるのか。中団争いへの復帰を目指すハースにとって、土曜日はその真価を測る重要な一日となる。

  • ハースF1 2027年シート候補は5人 小松礼雄がエステバン・オコン含む争いを明言

    ハースF1 2027年シート候補は5人 小松礼雄がエステバン・オコン含む争いを明言

    エステバン・オコンのハースF1での将来が不透明さを増している。チーム代表の小松礼雄は、2027年のひとつのレースシートを巡ってオコンを含む5人のドライバーが候補になっていることを明らかにした。

    候補はオコンのほか、リザーブドライバーの平川亮とジャック・ドゥーハン、若手のレオナルド・フォルナローリとラファエル・カマラ。ハースはTPC(旧型車テスト)を利用して複数の候補を実際に走らせており、実走データを比較しながら2027年のラインナップを検討している。

    小松礼雄が明言「5人が2027年のひとつのシートを争っている」
    2027年のドライバー選定について、これまでハースは具体的な候補者を明言してこなかった。しかし、F1イタリアGPが開催されるモンツァで、小松礼雄は現在の状況を明確に説明した。

    「その通りです。報じられているように、リザーブドライバーを含む5人のドライバーが2027年のひとつのシートを争っています」

    さらに小松礼雄は、その5人を具体的に挙げた。

    「5人は、リザーブドライバーの平川亮とジャック・ドゥーハン、レオナルド・フォルナローリ、ラファエル・カマラ、そしてエステバンです」

    これにより、オコンが単に契約更新を待つ立場ではなく、4人のライバルと2027年のシートを争う候補のひとりであることが明確になった。

    もう一方のシートについては、オリバー・ベアマンがチームの将来を担う存在として位置づけられており、今回の選考は事実上、そのパートナーを決める争いとなる。

    選考基準は「主にパフォーマンス」
    オコンにとって大きなポイントとなるのが、ハースが選考で何を重視するかだ。F1で豊富な経験を持つオコンに対し、フォルナローリやカマラといった若手も候補に入っているが、小松礼雄は経験や知名度ではなく、速さを中心に評価すると説明した。

    「決定を下す際に用いる基準について言えば、主にパフォーマンスです」

    ハースは候補者を比較するため、すでにTPCを活用したテストプログラムを進めている。

    平川亮、フォルナローリ、カマラはハースのF1マシンをドライブする機会を与えられており、ドゥーハンも9月にヘレスでテストを行う予定となっている。

    こうした走行は単なる若手育成ではなく、2027年のレースシートを見据えた評価という意味合いを強めている。

    小松礼雄(ハースF1チーム)

    平川亮とフォルナローリはベアマンと0.1秒以内
    候補者の比較が簡単ではないことを示す材料もある。小松礼雄によれば、ヘレスで行われたテストでは平川亮、フォルナローリ、ベアマンのタイム差が極めて小さかったという。

    「すでにヘレスでテストを行っていて、平川亮、レオナルド、オリーの3人は0.1秒以内に収まっていました」

    ハースはその後も評価を継続し、ポルティマオでもTPCプログラムを実施。異なる経験を持つドライバーたちを比較するためのデータを蓄積している。

    F1で長年戦ってきたオコンにはレース経験という明確な強みがある。一方で、若手候補が旧型車で十分な速さを示せば、その経験だけでシートを守れる状況ではなくなっている。

    ハースは若手起用にも前向き
    小松礼雄は、十分なパフォーマンスを示した若手であればF1に昇格させることにも前向きな姿勢を示している。

    「以前は若手ドライバーにF1で多くのチャンスが与えられない時期もありましたが、昨年から状況は大きく変わりました」

    近年のF1では若手ドライバーを積極的に起用する動きが広がっており、小松礼雄もその流れを肯定的に捉えている。

    「若手にチャンスを与えることは、いつだって良いことです」

    この発言は、フォルナローリやカマラが単なる将来候補ではなく、2027年から実際にレースシートを獲得する可能性があることを示すものでもある。

    オコンにとって2026年後半戦が重要な評価期間に
    オコンにとって状況は明快になった。ハースでのF1経験やチームへの理解はアドバンテージとなるものの、それだけで2027年の残留が保証されるわけではない。

    平川亮とドゥーハンという経験を持つリザーブ勢に加え、フォルナローリとカマラという若手が同じシートを狙っている。さらにハースはTPCを通じて候補者の実走データを集め、パフォーマンスを直接比較している。

    小松礼雄が「主にパフォーマンス」で決めると明言した以上、オコンにとって2026年後半戦の結果は重要な判断材料となる。2027年のハースF1のシート争いは、現役ドライバーのオコン対4人の挑戦者という構図がはっきりした。

    Source: Nextgen-Auto.com

  • ハースF1 新フェラーリPUをベアマンだけに投入 小松礼雄「最も公平な方法」

    ハースF1 新フェラーリPUをベアマンだけに投入 小松礼雄「最も公平な方法」

    ハースF1は、2026年F1イタリアGPでフェラーリの最新パワーユニット「ADUO 2」をオリバー・ベアマン車だけに投入する。エステバン・オコンは従来仕様を使用するため、同じチームの2台で異なるPU仕様を走らせる異例の状況となる。

    フェラーリからカスタマーチームに供給された新仕様PUが現時点では各チーム1基に限られていることが理由だ。ハースF1代表の小松礼雄は、モンツァでは新PUの性能をガレージに眠らせておくべきではないと判断。

    そのうえで、最近のアップデートではオコンを優先してきた経緯から、今回はベアマンに新PUを割り当てることが「最も公平」だと説明した。

    ハースがモンツァで「1台だけ」新PUを使う理由
    フェラーリはイタリアGPで、ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities=追加開発・アップグレード機会)を利用した2度目のPUアップデート「ADUO 2」を投入する。フェラーリのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールは、ともに新仕様を使用する。

    一方、カスタマーチームに対して現時点で用意された新仕様は各チーム1基のみ。キャデラックはモンツァでは2台とも新PUを使用しないことを選択したが、ハースは違う判断を下した。

    モンツァは長い全開区間を持ち、PU性能がラップタイムに大きく影響するサーキットだ。新仕様を1基しか使えないとしても、その性能向上を活用する価値があるとハースは判断した。

    問題は、ベアマンとオコンのどちらに新PUを与えるかだった。

    小松礼雄によれば、その判断にはシーズン中のアップデート配分が関係している。夏休み前に導入したブレーキの改善やパワーステアリングの変更では、オコンが先に新しいパーツを使用していた。そのため今回はベアマンを優先することで、シーズンを通した公平性を保つことにした。

    前回は2基揃うまで待ったハース
    ハースにとって、1台だけに新仕様PUを投入することは本来望んでいた形ではない。

    フェラーリが6月末のF1オーストリアGPで最初のADUOアップデートを導入した際、ハースは新仕様が2基揃うまで投入を延期し、両ドライバーを同時に切り替えた。

    しかし今回は、モンツァというサーキットの特性が判断を変えた。

    「前回はそうしませんでした。十分な数のエンジンが揃うまで待って、2人のドライバーに同時に導入しました」と小松礼雄は説明した。

    「でも今回は、当然ながらモンツァはパワー感度が非常に高いサーキットです。性能があるのに、それをガレージに置いておくのはもったいないですよね。ただ、もちろん1基しかないというのは非常に難しい状況です」

    「少なくとも2基用意されていれば、その方がよかったです。ただ、フェラーリもエンジンからできる限りの性能を引き出すために全力で取り組んでいます」

    「先ほどお話しした理由から、当然彼らはモンツァで導入したいわけです。そうすると、規則を満たすために必要な最低限の数量しか用意できないということです」

    F1規則ではカスタマーへの「最低1基」で条件を満たす
    ハースが新PUを1基しか受け取っていない背景には、F1技術規則がある。

    新しいホモロゲーション仕様を導入する場合、PUメーカーは、その仕様を初めて使用する大会で「PUメーカーが供給する各F1チームに対して、新しいホモロゲーション仕様のパワーユニットを少なくとも1基」利用可能にすることが求められている。

    つまり、カスタマーチームにも新仕様を提供する義務はあるものの、最初の大会から2台分を揃える必要はない。

    少なくとも1基の供給を義務づけることで、ワークスチームだけが新仕様を使用し、カスタマーチームが性能面で取り残されることを防いでいる。一方ですべてのカスタマーチームに2基ずつ用意することを義務づければ、多数のチームにPUを供給するメーカーほど製造面の負担が増し、新仕様そのものの投入時期が遅れる可能性がある。

    フェラーリは規則上必要な新仕様をハースにも供給したが、その数が1基だったことで、チーム内でどちらのドライバーに割り当てるかを決める必要が生じた。

    小松礼雄「隠された意図はありません」
    こうした状況では、PUの性能差以上にチーム内の公平性が問題になり得る。

    小松礼雄は、オコンが新PUをすぐに使用できないことを喜ばないのは当然だと認めた。そのうえで、重要なのは判断基準を両ドライバーに明確に説明することだと強調した。

    「こういうことについては、透明性を保つしかありません」と小松礼雄は語った。

    「私たちは可能な限り透明で、公平な方法でチームを運営しています」

    「もちろん、毎回すべての人を満足させることはできません。ただ、私たちには隠された意図はありませんし、どちらか一方のドライバーを個人的に優遇するような考えもありません」

    「そういう関係をこれまで築いてきました。当然、エステバンはPU4をすぐに使えないことを喜んではいないでしょう。でも、これがチームにとってベストですし、私たちができる最も公平な方法です」

    今回ベアマンが選ばれたのは、単純にどちらかのドライバーを優遇した結果ではない。ブレーキやパワーステアリングなど直近の開発ではオコンが先行していたため、その履歴まで含めて機会を均等化した形だ。

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    オコンは旧PUで「かなりの損失」と予想
    では、ADUO 2による性能差はどれほどなのか。

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、大幅な勢力図の変化につながるようなアップデートではないとの姿勢を示している。

    「これは正しい方向への一歩だ。今年は小さなゲインの積み重ねが非常に重要だということは分かっている」とバスールは語った。

    一方、旧仕様を使うオコンは、自身が聞いている情報から、新旧PUの差を無視できないものと受け止めている。

    「僕は古いエンジンで走ることになる。だから、かなりの損失になると思う」とオコンは語った。

    フェラーリのアップグレード版PUには、より大型のターボが採用され、そのほかにも出力向上を目的とした重要な設計変更が施されているとみられている。

    フェラーリは2026年シーズン開幕時、レスポンスを重視して比較的小型のターボを選択していた。特にレーススタート時に、レスポンスに優れたPUが大きなアドバンテージをもたらすと考えていたためだ。

    しかし、その後スタート手順に変更が加えられたことで、ライバルが抱えていたターボラグによる不利が大幅に縮小した。その結果、小型ターボによってフェラーリが得ていた相対的なアドバンテージも失われた。

    そこで今回の新仕様では、より大型のターボを採用することで、全体的な出力を高める方向へと進んだと考えられている。

    その差が勢力図を一変させるほど大きなものになる可能性は低いものの、パワー感度の高いモンツァでは、旧仕様と新仕様の違いが通常以上に表れやすい。

    ハミルトン「必要な差のすべてではない」
    ハミルトンも、新PUだけでフェラーリのパフォーマンス不足がすべて解消されるわけではないと認めている。

    「少しでも助けになる」とハミルトンは語った。

    「ここまでのシーズンでは、前戦のような短いサーキットでさえ、レースでは1周あたり4コンマを失っていた。それはものすごく大きな差だし、今年はここまでずっとそれを抱えてきた」

    「これは前進だ。僕たちが必要としている差のすべてを埋めるものではないけど、そうなることは分かっていた。でも毎週末、少しずつ新しいものが投入されてマシンに加わっていくのを見るのはうれしい。僕たちがまだプッシュし続けていることが分かるし、勝つために必要なものを持っていると今も強く信じている」

    異なるPU仕様が生むモンツァでの比較
    ハースがモンツァで選んだのは、2基が揃うまで待つという意味での完全な平等ではなく、限られた1基をすぐに投入してチーム全体のパフォーマンスを最大化することだった。

    前回のADUOアップデートでは2台分が揃うまで待ったが、モンツァではPU性能の重要度が高い。新仕様によって得られる可能性のあるゲインを使わずに週末を戦うことは、ハースにとって得策ではないとの判断だ。

    一方で、新PUをベアマンだけに与えれば、オコンとの間に性能差が生じる可能性がある。オコン自身が「かなりの損失」と表現している以上、予選や決勝で両者の結果を単純に比較する際にはPU仕様の違いを考慮する必要がある。

    同時に、同じハースのマシンで新旧フェラーリPUが走ることで、ADUO 2が実戦でどれほどの効果をもたらすのかを確認できる貴重な機会にもなる。

    高速・高出力型のモンツァで新仕様がどこまでラップタイムに寄与するのか。ベアマンとオコンの「PU分割」は、ハースのチーム内事情だけでなく、フェラーリがADUO 2で実際にどれほどの性能向上を果たしたのかを測るうえでも注目すべきポイントとなる。

  • 角田裕毅 オランダGPで評価を上げ2027年ハースF1候補に再浮上

    角田裕毅 オランダGPで評価を上げ2027年ハースF1候補に再浮上

    角田裕毅が、2027年のF1復帰に向けて再びハースのドライバー候補に浮上している。オランダGPでレーシングブルズから緊急参戦し、限られた準備時間のなかで見せたパフォーマンスによって、パドックでの評価を改めて高めたようだ。

    F1公式サイトのローレンス・バレットによれば、角田裕毅はオリバー・ベアマンのチームメイト候補として再び検討対象に入っているという。

    ハースではエステバン・オコンの2027年シートが不透明となっており、角田裕毅にとってF1復帰への有力なルートとなる可能性が出てきた。

    オランダGPの緊急参戦でF1復帰へアピール
    角田裕毅に突然チャンスが巡ってきたのは、夏休み中にアイザック・ハジャーが手首を負傷したことがきっかけだった。レッドブル・レーシングはハジャーの代役としてリアム・ローソンを起用し、空いたレーシングブルズのシートにはリザーブドライバーを務めていた角田裕毅が入った。

    角田裕毅にとっては2025年最終戦アブダビGP以来となるF1実戦であり、2026年型マシンでレースウイークを走るのは初めてだった。しかもオランダGPはスプリントフォーマットで、通常よりもフリー走行が少ない。レーシングブルズのVCARB 03をシミュレーターで初めて試したのもレース直前の水曜日だった。

    それでも角田裕毅はセッションを重ねるごとにマシンへの理解を深めた。グランプリ予選ではQ1を突破し、Q2では12番手。チームメイトのアービッド・リンドブラッドとの差をわずか0.102秒まで縮めた。

    決勝ではピエール・ガスリーとポイント圏内を争い、最終的には11位。ポイント獲得こそ逃したものの、長期間F1の実戦から離れ、初めて扱うマシンだったことを考えれば、その適応力は強い印象を残した。

    角田裕毅自身もオランダGP終了後、短期間で自分の力を示すことができたとの手応えを語った。

    「自分に何ができるかは分かっていますし、今回の1レースと数セッションだけでも、パドックの多くの人たちに自分が何をできるかをかなり示せたと思います」

    「ポイント近くで戦うことができました。もちろんポイントを獲れればもっと良かったですけど、そのためにできることはすべてやったと思っています」

    さらに2027年については、「僕のマネージャーと、来年のラインナップをまだ決めていない他のチーム次第です。僕を起用したいかどうかですね。でも、起用するべきだと思います!」とアピールしている。

    ハースの2027年候補に角田裕毅が再浮上
    オランダGP前まで、角田裕毅のF1復帰への道は決して広いとはみられていなかった。インディカーへの転向も選択肢として取り沙汰されるなか、2027年のF1グリッドでは各チームのラインナップが次々と固まりつつある。

    しかし、ザントフォールトでの緊急参戦が状況を変えた。

    F1公式サイトのローレンス・バレットは情報筋の話として、角田裕毅がハースの2027年シートをめぐって「再び候補に入った」と伝えている。

    ハースではベアマンの残留が有力視される一方、オコンの将来は確定しておらず、そのシートをめぐって複数の候補が浮上している。

    角田裕毅にとって追い風となるのは、小松礼雄が以前からその能力を評価していることだ。ハースは過去にも角田裕毅の獲得に関心を示したとされており、レッドブル側が2026年のドライバー選択を検討していたことから実現には至らなかった。

    今回のオランダGPは、角田裕毅にとって小松礼雄をはじめとするハース首脳陣に自身の実力を改めて示す機会になった。

    一方、小松礼雄は2027年のドライバー決定を急ぐつもりはないとして、現行ドライバーのパフォーマンスを見極めながら判断する姿勢を示している。

    「我々はまったく急いでいません。今はオリーとエステバンという2人のドライバーに集中し、彼らから最大限を引き出そうとしています」

    「彼らに何ができるかは分かっています。オリーはそれを何度も示していますし、エステバンもマシンに満足しているときに何ができるかは分かっています」

    角田裕毅 ハースF1チーム

    カマラ、フォルナローリ、平川亮らもハースのシート争い
    もっとも、角田裕毅が2027年ハースの最有力候補になったというわけではない。

    ハースは将来の選択肢を幅広く検討しており、ラファエル・カマラ、レオナルド・フォルナローリ、平川亮らも候補として名前が挙がっている。3人はポルティマオで行われたハースのTPC(旧型車テスト)にも参加しており、チームは複数のドライバーを評価している。

    カマラはハースにパワーユニットを供給するフェラーリと契約している。一方、平川亮はハースのタイトルスポンサーであるトヨタとの結びつきが強い。

    フォルナローリにはそうした直接的な後ろ盾はないものの、所属するマクラーレンがF1シート獲得に向けてハースに競争力のある条件を提示する用意があるとも伝えられている。

    そのなかで角田裕毅が持つ大きな武器は、すでに豊富なF1経験を備えていることだ。オランダGPでは2026年型マシンをそれまで一度もドライブしていなかったにもかかわらず、限られた走行時間のなかでリンドブラッドに迫り、決勝でもポイント圏内を争った。

    若手ドライバーの将来性を取るのか、それとも即戦力としての経験を重視するのか。ハースにとって2027年のドライバー選択は、その判断も重要なポイントになりそうだ。

    2027年F1復帰へハースが重要な選択肢に
    角田裕毅にとっては、2027年のF1グリッドに残された選択肢そのものが限られつつある。

    上位チームではすでにラインナップが固まり、ウィリアムズとアルピーヌも2027年の体制を決めている。アウディ、キャデラック、レーシングブルズについても、現行ラインナップを維持する可能性が高いとみられている。

    そのため、現時点ではハースが角田裕毅にとってF1レギュラー復帰を実現するうえで最も重要な選択肢のひとつとなる。

    オランダGPの前にはインディカーへの転向も取り沙汰され、F1復帰への道が狭まりつつあるように見えた角田裕毅。しかし、ハジャーの負傷によって突然巡ってきた一度のチャンスを生かし、ほとんど準備のない状態から2026年型マシンでポイント圏内を争うパフォーマンスを披露した。

    その走りによって、角田裕毅は再び2027年のF1ドライバー市場で存在感を高めた。以前から角田裕毅を評価してきた小松礼雄率いるハースが最終的にどの選択を下すのか。オランダGPでの好走は、角田裕毅のF1復帰への道を再び開く重要なアピールとなった。

  • ハースF1 イタリアGPで後半戦の命運握る大型アップデート投入「中団争いに戻る」

    ハースF1 イタリアGPで後半戦の命運握る大型アップデート投入「中団争いに戻る」

    ハースF1チームは、2026年F1第13戦イタリアGPでVF-26に大型アップデートを投入する。今季の欧州ラウンドで苦戦を強いられてきたチームにとって、モンツァで導入する新パッケージは、シーズン後半戦で再び中団争いに加われるかを左右する重要なアップデートとなる。

    ハースはマシン製造をイタリアのダラーラに委託し、フェラーリの本拠地マラネロにも設計拠点を置く。

    そのためイタリアGPはチームにとって“ホームレース”に近い意味を持つ一戦でもあり、エステバン・オコン、オリバー・ベアマン、小松礼雄チーム代表はいずれも、新パーツから最大限のパフォーマンスを引き出すことを最優先課題に挙げている。

    モンツァ仕様だけではない「包括的アップデート」
    モンツァはF1カレンダーの中でも最高速度が最も高いサーキットのひとつであり、各チームは通常、ドラッグを抑えた低ダウンフォース仕様を投入する。

    しかし、今回ハースが用意する変更は単なるモンツァ専用の空力仕様にとどまらない。オコンは「中団のライバルたちのレベルに戻る」ことを狙った包括的なアップデートだと説明している。

    フェラーリ製パワーユニットがストレートで相対的に苦戦していることは懸念材料となるものの、オコンは新しいパッケージへの期待を隠さない。

    「チーム全体がいくつかの理由から、このレースをかなり前から楽しみにしていた」

    「まず、僕たちにはイタリアに設計オフィスがある。現地のチームと一緒に仕事をする素晴らしい機会だし、彼らにとっても、自分たちが懸命に取り組んできたものが実際にコースを走るところを見ることができる」

    「そして2つ目に、モンツァには包括的なアップデートを持ち込む。中団のライバルたちのレベルに僕たちを戻すことを狙ったものだ」

    オコンはハンガリーGPとオランダGPではVF-26に比較的好感触を得ていたとし、その流れを新パッケージにつなげたいと語る。

    「ブダペストとザントフォールトは、僕自身としてはポジティブだった。マシンの中で快適に感じられていたし、僕たちが持っていたパッケージから本当に最大限を引き出せたと思う」

    「だから、その流れを続けたい。初日からアップデートの性能を最大限に引き出して、ポイント争いに戻りたい」

    ベアマン「大きなパフォーマンス向上を期待している」
    オリバー・ベアマンにとっても、モンツァはザントフォールトでの失望を払拭する重要な週末となる。ハースはオランダGPで2台とも完走できず、結果を残すことができなかった。

    「レースを完走できなかったときは、当然すぐにマシンへ戻って、もう一度仕事を始めたくなる」

    ベアマンも今回のアップデートには大きな期待を寄せている。

    「でも今週末に走るのが楽しみなのはそれだけじゃない。僕たちはアップデートを持ち込むし、それによってマシンに大きなパフォーマンス向上が加わることを期待している」

    「今シーズンのヨーロッパでの戦いは僕たちにとって厳しかった。だから、ここを終えるときには残りのシーズンに向けて楽観的な気持ちになっていたい」

    フェラーリ・ドライバー・アカデミー出身のベアマンにとって、モンツァそのものにも特別な意味がある。

    「『スピードの神殿』は僕のお気に入りのサーキットのひとつだ。パラボリカやアスカリを走っていると、文字通り歴史の中を走っているように感じる」

    「コースの外ではティフォシが信じられないような雰囲気を作ってくれる。フェラーリ・ドライバー・アカデミーの一員として、その愛情の一部を感じられる僕は本当に幸運だと思う」

    ハースF1チーム イタリアグランプリ

    小松礼雄「フリー走行を最大限に活用することが重要」
    小松礼雄チーム代表も、モンツァで新たなアップデートパッケージを投入することを認めている。

    一方で、新パーツを装着すれば即座に速くなるわけではない。限られたフリー走行の中でデータを集め、実際に狙い通り機能しているのかを評価し、セットアップを最適化する作業が重要になる。

    「イタリアGPは、マラネロに設計オフィスを置いている私たちにとって、いつも特別なイベントです」

    「多くの仲間をモンツァに迎えて、彼らが毎日取り組んでいる仕事が何につながっているのかを実際に体験してもらえますし、本当に特別な雰囲気を楽しんでもらうこともできます」

    ハースにとって前戦ザントフォールトは、運営面では一定の収穫があったものの、純粋なパフォーマンスという面では満足できるものではなかった。

    「ザントフォールトでのフラストレーションの残る週末を完全に過去のものにしたいという気持ちでイタリアに向かいます」

    「オペレーション面では確かにポジティブな部分もありましたが、最終的にはVF-26からもっとパフォーマンスを引き出す必要がありました」

    「今週末はマシンにもうひとつアップデートパッケージを持ち込みます。そのため、フリー走行の時間を最大限に活用し、データを徹底的に評価して、中団でさらに前進するための努力を続けることが改めて重要になります」

    2025年終盤の再現を狙うハース
    ハースが今回のアップデートに期待を寄せる背景には、前年の経験もある。チームは2025年もシーズン後半までマシン開発を継続し、終盤戦に入ってからパフォーマンスを引き上げることに成功した。

    小松礼雄は、2026年も同様に開発を止めず、残りのシーズンでVF-26の競争力を高め続けることが目標だと強調する。

    「シーズン後半のレースは速いペースで次々と続きます。それは素晴らしいことですが、間違いなくチャレンジでもあります」

    「昨年は、シーズンがかなり進んだ段階でもパフォーマンスを見つけ続けられることを示しました。今年もそれが一貫した目標です」

    ハースにとってモンツァは、単なる低ダウンフォース仕様への変更を試す週末ではない。今回投入する大型アップデートが狙い通り機能し、中団勢との差を縮められるかどうかは、残る2026年シーズンの戦い方そのものを左右する可能性がある。

    まずは金曜日のフリー走行で新パッケージを正確に理解し、そのポテンシャルを引き出せるか。ハースにとってイタリアGPは、後半戦の巻き返しに向けた重要な分岐点となる。

  • ハースF1 2027年ドライバー決定を急がず 小松礼雄「2人から最大限を引き出す」

    ハースF1 2027年ドライバー決定を急がず 小松礼雄「2人から最大限を引き出す」

    ハースF1の小松礼雄代表は、2027年のドライバーラインアップについて「急いでいない」と語った。オリバー・ベアマンとエステバン・オコンはともに今季限りで契約満了を迎える一方、チームはポルティマオで平川亮、レオナルド・フォルナローリ、ラファエル・カマラを起用したTPC(旧型車テスト)を実施。将来に向けた選択肢の評価も進めている。

    しかし、小松礼雄は現時点で後任候補の選定を優先する考えはない。

    2026年の大規模なF1レギュレーション変更による開発競争のなか、まずはマシン側の問題を改善し、ベアマンとオコンが本来の能力を発揮できる環境を整えることが重要だと強調した。

    2027年ラインアップは「急いでいない」
    オランダGPの週末、ベアマンとオコンの将来について質問された小松礼雄は、ハースが早期決定を迫られているとの見方を否定した。

    「僕たちはまったく急いでいません」

    「今はオリーとエステバンという2人のドライバーに集中して、彼らから最大限を引き出そうとしています。彼らには難しいチャレンジがありますよね」

    「彼らに何ができるかは分かっています。オリーはそれを何度も示していますし、エステバンもマシンに満足できているときに何ができるかは分かっています」

    「ですから、本当に集中しなければならないのは、彼らに可能な限り最高のマシンを提供し、セットアップを適応させて、2人から最大限を引き出すことです。そして、2人のドライバーも完全にそこに集中しています」

    小松礼雄の発言からは、今季の成績だけを材料にベアマンとオコンを評価するのではなく、まずチーム側がドライバーの能力を引き出せるパッケージを用意する必要があるとの考えがうかがえる。

    平川亮ら3人をポルティマオで比較
    一方、ハースは将来に向けたドライバー評価も並行して進めている。

    チームはポルティマオで3日間のTPCを実施し、2025年型VF-25を平川亮、レオナルド・フォルナローリ、ラファエル・カマラに走らせた。

    32歳の平川亮は、2022年のル・マン24時間レース優勝者で、2020年にはスーパーフォーミュラでランキング2位を獲得。F1ではこれまで6回のFP1出走経験を持ち、マクラーレンやアルピーヌでリザーブドライバーを務めた後、2025年にハースのリザーブドライバーに就任した。

    21歳のフォルナローリはFIA F2王者で、2026年6月にもハースのテストに参加している。同じく21歳のカマラはフェラーリ・ドライバー・アカデミー所属で、今季F2では2勝を挙げてタイトル争いを展開している。

    今回のテストが直接2027年のレースシート選考を意味するわけではない。ただし、現レギュラー2人の契約が今季限りとなっている状況で、ハースが複数の候補について実走データを収集していることは、今後の選択肢を広げる動きといえる。

    「史上最大」の規則変更で開発競争に苦戦
    小松礼雄がドライバー評価を急がない背景には、ハース自身が直面している開発面の課題もある。

    2026年シーズン序盤、ハースは新レギュレーションへの対応で予想以上の競争力を示した。しかし、シーズンが進んで各チームのアップデートが本格化すると、F1で最小規模の組織であることによる制約が表面化したという。

    「これは史上最大のレギュレーション変更です」

    「ですから、僕たちは最小のチームなので、開発競争で他の大きなチームについていくのに本当に苦労するだろうと予想していました」

    「シーズンのスタートは非常に良かったです。誰もが考えていたよりもはるかに良かったと思います。でも、その時点から先は、これが現実なんだと思います」

    「僕たちは制約があるなかで可能な限り速くマシンを開発しようとしていますが、他のチームは僕たちよりも速いペースでマシンにパフォーマンスを加えています。それが現実です」

    この状況では、単純な獲得ポイントや順位だけでドライバーを判断することは難しい。マシンそのものの競争力やドライバビリティも含めて評価する必要があるというのが小松礼雄の認識だ。

    ハースF1チーム

    「チームのみんなに問題があるわけではない」
    小松礼雄は、シーズン中盤以降に競争力が低下した責任をスタッフやドライバーに求める考えも否定した。

    「正直に言って、チームのみんなに問題があるわけではありません」

    「みんな素晴らしい仕事をしていますし、一緒になって取り組んでいます。他のチームについていくチャンスを得るためには、僕たちの場合、すべてが完璧でなければならないんです。本当にすべてです。でも人生では、常にそれを求めることはできませんよね」

    小松礼雄はむしろ、チーム代表としてスタッフやドライバーが能力を発揮できる環境を改善することを自身の責任として挙げた。

    「僕自身が、彼らにもっと良い環境を提供し、彼らが持っている能力を示せるようにしなければならないと本当に思っています。それは間違いありません」

    「でも、こういう厳しい時期には人間性が表れますよね。僕たちには誰かを責めるような文化はありません」

    ダウンフォース不足とドライバビリティを分析
    現在のハースでは、単に結果が出ないことを問題とするのではなく、その原因を技術的に分解して改善作業を進めている。

    「僕たちは問題を見ています。何が問題なのか、どこでダウンフォースが不足しているのか、なぜドライバビリティが良くないのか、ドライバーは何に苦しんでいるのか。全員が同じ認識を持って、問題を解決し、マシンにパフォーマンスを加えようとしています」

    「もちろん、それには時間がかかります」

    「僕たちが現在進めている多くの取り組みは、実際に成果として現れるまで時間がかかります。でも、自分たち自身とチームワークを信じて、お互いを支え合っていかなければなりません。そうすれば、過去2年間と同じように乗り越えられると思っています」

    ハースにとって2027年のドライバー選択は、単純にベアマンとオコンの成績を比較するだけの問題ではない。現在のVF-26が抱えるダウンフォースやドライバビリティの問題を改善したうえで、2人がどこまで能力を発揮できるかを見極める必要がある。

    その一方で、平川亮、フォルナローリ、カマラをTPCで走らせることで、将来に向けた比較材料も着実に蓄積している。小松礼雄が「急いでいない」と強調する2027年のラインアップ決定は、現レギュラードライバーの評価と将来候補の検証を並行しながら進められることになりそうだ。

  • ラファエル・カマラ ハースF1テストでフォルナローリと平川亮を上回る

    ラファエル・カマラ ハースF1テストでフォルナローリと平川亮を上回る

    ラファエル・カマラが、2027年のF1昇格に向けた重要な一歩を踏み出した。

    ポルトガルのアルガルヴェ・インターナショナル・サーキット(ポルティマオ)で行われたハースの非公開テストで、比較基準となったオリバー・ベアマンのタイムに最も近いパフォーマンスを示し、レオナルド・フォルナローリと平川亮を上回ったとブラジルのGE.globoが報じている。

    2027年のF1シート候補を評価する今回のテストには、21歳のカマラ、同じく21歳のフォルナローリ、32歳の平川亮が参加。ハースは3人に類似したテストプログラムを与えて比較を行ったが、非公開セッションだったため、それぞれのラップタイムは公表されていない。

    GE.globoが入手した情報によると、そのなかでレギュラードライバーのベアマンが記録した基準タイムに最も近づいたのがカマラだった。その結果、フォルナローリと平川亮を上回る評価につながったという。

    具体的なタイムや差は明らかになっていないものの、2027年のレギュラーシート獲得を目指すカマラにとって重要な結果となった。

    VF-25で3人を比較 カマラがベアマンの基準に最接近
    今回ハースが使用したのは、2025年F1シーズンを戦ったVF-25だった。現行規則で認められている旧型車テスト、TPC(Testing of Previous Cars)の一環として実施され、3人は類似したプログラムをこなした。

    カマラがハースのF1マシンをドライブするのは今回が初めてだった。しかし、F1マシンでの走行自体が初めてだったわけではない。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属するカマラは、これまでハンガロリンク、バルセロナ、ムジェロでフェラーリのF1マシンをドライブしている。

    さらに今回のハースのテスト直前にもフェラーリがカマラの準備を支援した。8月26日(水)にはムジェロで2025年型SF-25を走らせ、その後ポルティマオへ移動してハースの評価に臨んだ。

    GE.globoによると、カマラはそれまでに行ったフェラーリでのテストでも好印象を残しており、高い評価を得た状態で今回のハースのテストに参加した。

    F2王者フォルナローリと経験豊富な平川亮も参加
    フォルナローリは2025年のFIA F2チャンピオンで、現在はマクラーレンのリザーブドライバーを務めている。

    フォルナローリは6月にスペインのヘレスでハースのTPCに参加しており、今回がチームで初めての走行ではなかった。また、数週間前には今回と同じポルティマオで2025年型マクラーレンもドライブしている。

    一方、平川亮は3人のなかでは最も豊富な経験を持つ。ル・マン24時間レースでの優勝をキャリアに持ち、日本のスーパーフォーミュラでは2020年にランキング2位を獲得している。

    F1でも複数のチームでリザーブドライバーを経験してきた。平川亮は昨年、ハースのリザーブドライバーとして契約。それ以前にはマクラーレンのドライバー・デベロップメント・プログラムに所属し、同チームのリザーブドライバーを務めたほか、アルピーヌでもリザーブを担当した。

    つまりカマラにとって今回のテストは、F2タイトルを獲得し、すでにハースとマクラーレンのF1マシンを経験しているフォルナローリ、そしてル・マン24時間レース優勝を含む豊富な実績と複数のF1チームでのリザーブ経験を持つ平川亮との比較でもあった。

    そうしたなか、GE.globoが入手した情報では、カマラが3人のうちベアマンの基準タイムに最も近いパフォーマンスを示した。

    カマラとフォルナローリが2027年シートの有力候補
    ただし、ハースのドライバー評価は今回で終了ではない。

    元アルピーヌF1ドライバーのジャック・ドゥーハンも翌週、スペインのヘレスでVF-25をテストする予定となっている。

    それでもGE.globoは、現時点で2027年のレギュラーシートを獲得する有力候補はカマラとフォルナローリの2人だとしている。

    空く可能性があるとされているのは、現在エステバン・オコンが座っているシートだ。

    GE.globoは以前から、オコンのパフォーマンスにハースが満足しておらず、現在のシートが近く空く可能性があると報じている。

    ベアマンは引き続きチームの中心となる見込みであり、カマラがシートを獲得すれば、ハースはフェラーリ・ドライバー・アカデミー出身の若手2人を並べることになる。

    ラファエル・カマラ

    フェラーリとの契約交渉もカマラの追い風
    カマラには、純粋なドライビングパフォーマンスとは別の強力な追い風もある。

    カマラは2021年、まだカートで戦っていた時期にフェラーリ・ドライバー・アカデミーに加入した。一方、ハースはフェラーリと緊密な技術提携関係にあり、パワーユニットだけでなく、ギアボックスやリアサスペンションなど、FIAの技術規則で認められる範囲のコンポーネントをフェラーリから購入している。

    両者の現在の供給契約は2027年末で満了する。

    GE.globoによると、ハースはこの契約をより有利な条件で更新することを目指しており、フェラーリ側もカマラを2027年のレギュラードライバーとして起用することと関連して、前向きな姿勢を示しているという。

    カマラとの契約が成立すれば、ハースはフェラーリから購入するコンポーネントについて、値引きを含む経済的な恩恵を得られる可能性がある。

    フェラーリにとっても、自ら育成してきたカマラをF1に昇格させ、ベアマンと同様にハースで実戦経験を積ませられるメリットがある。フェラーリとハース双方の利害が一致する構図となっている。

    ハースを逃した場合はフェラーリのリザーブへ
    一方、カマラには2027年にハースのシートを獲得できなかった場合の「プランB」も用意されている。

    GE.globoによると、ハースとの契約が実現しなかった場合、カマラは2027年シーズンにフェラーリのリザーブドライバーを務める見込みだという。

    さらにカマラ自身は、2026年中にフェラーリからF1公式セッションのフリー走行に出走する予定であることも明らかにしている。

    現在カマラはF2で145ポイントを獲得してランキング3位。首位のニコラ・ツォロフが167ポイント、2位のガブリエレ・ミニが147ポイントとなっており、残り5大会でタイトル争いを続けている。

    F2での結果に加え、フェラーリでのF1テスト、そして今回のハースでの直接比較と、カマラのF1昇格に向けた評価材料は着実に積み上がっている。

    特に今回、ラップタイムそのものは非公開ながら、F2王者のフォルナローリと、ル・マン24時間レース優勝や複数のF1チームでのリザーブ経験を持つ平川亮を上回り、ベアマンの基準タイムに最も近づいたというGE.globoの情報は大きい。フェラーリとの技術提携を巡る事情も含め、カマラは2027年のハースF1シート獲得に向けて有力な位置につけている。

  • ハースF1小松礼雄代表 ベアマンの才能を絶賛「限界がまだ見えていない」

    ハースF1小松礼雄代表 ベアマンの才能を絶賛「限界がまだ見えていない」

    ハースF1チーム代表の小松礼雄は、オリバー・ベアマンの成長について「まだ限界が見えていない」と高く評価した。一方で、将来のF1ワールドチャンピオン候補と断言するには、勝利や表彰台を争えるマシンを手にしたときのパフォーマンスを見る必要があるとも慎重な姿勢を示している。

    21歳のベアマンは、ハースでフル参戦2年目を迎え、2025年メキシコGPで4位、今季中国GPで5位に入るなど存在感を高めてきた。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミーの一員でもあり、将来的にスクーデリア・フェラーリのF1シートを獲得することを目標に掲げている。

    「オリーの限界はまだ見えていない」小松礼雄が評価
    小松礼雄はPA通信の取材に対し、ベアマンの潜在能力について非常に高い評価を口にした。

    「僕には、オリーの限界がまだ見えていません」

    「現時点では制限のようなものは感じていないですね。ただ、彼はまだ一度も表彰台に上がっていませんから、ここで僕が『ワールドチャンピオンになれるドライバーです』と言うつもりはありません」

    小松礼雄が重要視しているのは、ベアマンがより競争力のあるマシンを手にしたときに、どこまで能力を引き出せるかという点だ。

    「次のレベルに進んだとき、例えば競争力のあるマシンを手にして、コンスタントに表彰台や優勝を争えるようになったときに初めて、本当にワールドチャンピオンになれるだけの力があるのかを見ることができます」

    「そこまで行けば、彼は間違いなく素晴らしい力を発揮してくれると思っています」

    21歳とは思えない成熟度「チームをどう鼓舞するか考えた」
    小松礼雄がベアマンを高く評価する理由は、純粋な速さだけではない。厳しい状況に直面した際の精神的な成熟度や、チーム全体を意識した振る舞いにも強い印象を受けているという。

    その象徴として挙げたのが、今季マイアミGPでの出来事だった。

    ハースはシーズン序盤に好調なスタートを切っていたが、マイアミではベアマンが自身に責任のない状況で苦しいレースを強いられ、さらにピットストップでもチーム側のミスが発生した。

    それでもベアマンは苛立ちを爆発させるのではなく、無線を通じてチームを励ます姿勢を見せた。

    「彼の性格について言えば、物事がうまくいっていないときでも、ただフラストレーションを溜めるようなことはありません」

    「21歳ですからね。もちろん大人ではありますけど、それでもまだ若いですし、チームの中でも最年少クラスです」

    「マイアミでは本当にフラストレーションの溜まるレースでした。彼自身には何の落ち度もなく、できることをすべてやっていました」

    「それなのに僕たちがピットストップでもミスをして、ずっと後ろに引っかかることになってしまった。彼には何もできなかったんです」

    それでもベアマンの頭に浮かんだのは、自身の不運を嘆くことではなかったという。

    「それでも彼はすぐに切り替えて、『じゃあ、このチームをどうやって鼓舞しよう?』という方向に考えたんです」

    「そこには素晴らしい状況認識と成熟度が表れていると思います」

    小松礼雄(ハースF1チーム)

    ハースは「両手両足を縛られているような状態」
    一方、小松礼雄はベアマンを支えるハース自体が、ライバルと同じ条件で戦えているわけではないことも強調した。

    ハースは2016年にF1へ参戦して以来、グリッドで最も規模の小さいチームとして活動してきた。2026年シーズンも11チーム中7位につけているが、ジーン・ハースの所有するチームはF1のコストキャップ上限まで予算を使える状況にはなく、アップデート競争では大規模チームに後れを取らざるを得ない。

    2024年からチーム代表を務める小松礼雄は、現在のハースを「両手両足を後ろで縛られている」ような状態だと表現した。

    「僕のチームを見ると、本当に両手両足を後ろで縛られた状態で戦っているように感じます」

    「今シーズンの最初に、彼らがどうやってあれだけのマシンを作り上げ、信頼性とパフォーマンスを実現したのか、本当に説明できないくらいです」

    限られたリソースの中でも、ハースはシーズン序盤に高い競争力を示した。

    小松礼雄によれば、少なくともシャシー面では一時期レッドブル・レーシングを上回っていたという。

    「シャシーだけを見れば、シーズン序盤は僕たちの方がレッドブルより良かったです」

    しかし、豊富な開発力を持つトップチームとの差は、その後急速に表面化した。

    「ただ、やはりレッドブルはレッドブルです。4月頃に彼らがマシンへ投入したパフォーマンス向上の量は、とんでもないものでした」

    「そもそも僕たちは、あの位置にいられるような状況ではなかったんです」

    限られた予算と開発リソースの中でも存在感を示しているハースにとって、ベアマンの成長は今後の大きな武器となる。小松礼雄は現段階でタイトル候補という言葉を使うことには慎重だが、表彰台や優勝を争える環境を手にしたとき、ベアマンがさらに高いレベルへ到達する可能性には強い期待を寄せている。

  • フェラーリF1 カマラの2027年ハース加入を猛プッシュ「全面的に支援」

    フェラーリF1 カマラの2027年ハース加入を猛プッシュ「全面的に支援」

    フェラーリは、育成ドライバーのラファエル・カマラを2027年にF1へ昇格させるべく、ハースへの加入を強力に後押ししている。チーム代表のフレデリック・バスールは、金銭的な支援だけでなく、旧型F1マシンを使用したTPC(Testing of Previous Cars)にも多額の投資を行っていることを明かした。

    カマラがハースのシートを獲得すれば、すでにフェラーリ育成出身のオリバー・ベアマンが所属していることから、ハースとフェラーリの関係はさらに深まることになる。

    2027年のシートを巡ってはマクラーレンがレオナルド・フォルナローリを強力に推しているとも報じられており、若手有望株を巡る両陣営の争いにも注目が集まっている。

    フェラーリがカマラの2027年F1昇格を全面支援
    現在、フェラーリはハースにパワーユニットを供給しており、両チームは長年にわたって緊密な関係を築いている。

    この提携は、フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)の若手にF1参戦の機会を与えるという面でも重要な役割を果たしてきた。現在ハースからF1に参戦しているベアマンは、その代表的な例である。

    そしてフェラーリは今、カマラについても同じ道を歩ませようとしている。

    ブラジルメディア『UOL』のジュリアン・セラソーリに対し、バスールはフェラーリがカマラの2027年F1昇格に向けて非常に大きな支援を行っていることを明らかにした。

    「我々はラファエルを全面的に支援している。単に金銭的な支援だけではない」

    「もちろん金銭面でも支援しているが、今年は旧型マシンを使ったトレーニングにも多額の投資をしてきた」

    「そのコストは金銭的な支援よりもはるかに大きい。来週のテスト、そして来シーズンに向けて、彼を可能な限り最高の状態に準備するためだ」

    さらにバスールは、パートナーであるハースがカマラをF1へ昇格させる方法を模索するとの見通しを示した。

    「パートナーであるハースは、来年彼をF1に送り込むための最善の方法を見つけようとしてくれるだろう」

    フェラーリのチーム代表がここまで具体的に支援内容を明かしたうえでハースに言及したことからも、カマラの2027年F1昇格を強く後押ししていることがうかがえる。

    金銭支援以上のコストをTPCに投入
    バスールが強調したのは、フェラーリによるカマラへの支援が単なる資金提供にとどまらないという点だ。

    フェラーリは2026年、カマラに旧型F1マシンを走らせるTPCの機会を与え、F1マシンへの適応を進めている。バスールによれば、このプログラムに要するコストはカマラへの直接的な金銭支援を「はるかに」上回るという。

    つまりフェラーリは、カマラを育成ドライバーとして抱えているだけでなく、2027年のF1デビューを見据えて実戦的な準備にも相当なリソースを投入していることになる。

    カマラは数週間前の時点で2027年のハース加入候補の本命とみられていた。フェラーリとの強いつながりに加え、今回バスールが明らかにした支援体制も、その可能性を後押しする材料となっている。

    フレデリック・バスール(スクーデリア・フェラーリ)

    ベアマンとカマラならフェラーリ育成2人の布陣
    カマラが2027年にハースへ加入した場合、同チームはベアマンとカマラという2人のフェラーリ系ドライバーを起用することになる。

    そうなればフェラーリとハースの関係はさらに強固なものになる。パワーユニット供給だけでなく、フェラーリが育成した若手ドライバーにF1で経験を積ませる役割をハースが担う構図がより鮮明になるためだ。

    これは、レッドブル・レーシングがレーシングブルズを若手育成の場として活用している構図にも似ている。ただし、レッドブル・レーシングとレーシングブルズが同じ企業グループに属しているのに対し、フェラーリとハースにはそのような資本上の関係はなく、あくまでパートナーシップを通じた協力となる。

    一方、2027年にはエステバン・オコンがハースのシートを失う可能性も取り沙汰されており、その場合に空くシートを誰が獲得するかが焦点となっている。

    マクラーレンもフォルナローリを強力にプッシュ
    ただし、カマラのハース入りが決まったわけではない。もうひとりの有力候補として浮上しているのが、マクラーレンのリザーブドライバーを務めるレオナルド・フォルナローリだ。

    セラソーリの報道によれば、カマラへの投資とフェラーリからの強力な後押しによって、当初はカマラが2027年のハースのシートを獲得する最有力候補となっていた。

    しかし、マクラーレンもフォルナローリに2027年のハースのシートを獲得させるため、フェラーリに負けないほど積極的に働きかけているという。マクラーレン側は、フォルナローリがすでにF1参戦に十分な準備を整えていると考えている。

    さらに、マクラーレンがハースを動かすような魅力的な条件を提示する可能性もあるとされている。

    ここで複雑な要素となるのが、ハースのテクニカルパートナーでありタイトルスポンサーでもあるトヨタの存在だ。

    トヨタは平川亮のF1参戦を支援しており、フォルナローリがその将来にとって脅威になると判断した場合、マクラーレン側の提案に難色を示す可能性があるという。

    現時点ではカマラが2027年のハース加入に向けた有力候補とみられているものの、マクラーレンがどのような条件を提示するかによっては、フォルナローリに流れが傾く可能性も残されている。

    フェラーリにとって、カマラのF1昇格は育成ドライバーひとりの将来だけにとどまらない。ベアマンに続いてカマラもハースに送り込むことができれば、フェラーリとハースの提携はドライバー育成の面でもさらに深まる。金銭面に加えてTPCにも大規模な投資を行っているというバスールの発言からは、フェラーリがカマラの2027年F1デビュー実現に本腰を入れていることが伝わってくる。