カテゴリー: ハースF1チーム

  • ハースF1 オコン後任へ3人を“オーディション” カマラ、フォルナローリ、平川亮

    ハースF1 オコン後任へ3人を“オーディション” カマラ、フォルナローリ、平川亮

    ハースが2027年F1シートを巡る事実上の“オーディション”を実施すると報じられている。エステバン・オコンの後任候補として、ラファエル・カマラ、レオナルド・フォルナローリ、平川亮の3人がポルティマオでテストに臨むという。

    ブラジル『UOL』のジュリアン・セラソリによれば、テストは水曜日と木曜日に行われる予定で、フェラーリとマクラーレンがそれぞれの有望株を2027年のF1グリッドに送り込もうとするなか、トヨタの支援を受ける平川亮も候補に加わる。

    オリバー・ベアマンも走行し、3人を評価するための比較対象になるとされている。

    オコン後任へポルティマオで“オーディション”
    今回のテストに参加すると報じられているのは、フェラーリ・ドライバー・アカデミーのブラジル人ドライバー、ラファエル・カマラ、マクラーレンのリザーブドライバーを務めるレオナルド・フォルナローリ、そしてトヨタの支援を受け、現在ハースのリザーブドライバーを務める平川亮だ。

    ハースは2027年にベアマンと組むドライバーとしてオコンに代わる候補を見極めるため、非公式なオーディションを行うとされている。

    ベアマン自身もテストに参加するが、シートを争う候補ではなく、3人のパフォーマンスを判断するための比較対象という位置づけになる。

    フェラーリとマクラーレンはいずれも、自らが推すドライバーを2027年に残された数少ないF1シートのひとつに送り込もうと強く働きかけているという。

    フェラーリが推しているのがカマラで、キャデラックの候補としても名前が挙がっている。一方、マクラーレンはフォルナローリを支援している。

    さらに、32歳の平川亮についても、トヨタがF1グリッド入りを望んでいると報じられている。

    平川亮(ハースF1チーム)

    フェラーリはカマラを全面支援
    なかでもフェラーリは、カマラのF1昇格に向けて大規模な支援を行っている。

    フェラーリF1チーム代表のフレデリック・バスールは『UOL』に対し、カマラへの投資について次のように語った。

    「我々はラファエルを全面的に支援している。単なる金銭的な支援という話ではない。資金面での支援も行ってきたが、今年は旧型車を使ったトレーニングにも多額の投資をしてきた」

    「そのコストは、金銭的な支援そのものよりもはるかに大きい。来週のテスト、そして来シーズンに向けて彼を可能な限り準備させるためだ。パートナーであるハースも、来年彼をF1に送り込むための最善の方法を見つけようとしている」

    フェラーリは資金面でカマラを支援するだけでなく、旧型F1マシンを使ったトレーニングにも多額の費用を投じ、今回のテストとその先を見据えた準備を進めている。

    カマラはリザーブ起用にとどまる可能性も
    ただし、カマラが今回のテストで最もF1への準備が整ったドライバー、あるいは最も即戦力としての可能性を示したとしても、2027年のレギュラーシート獲得が保証されるわけではない。

    カマラの2027年の役割がハースのテスト兼リザーブドライバーにとどまる可能性も十分にあるという。

    ハースはF1グリッドのなかでも資金力が比較的小さいチームであり、別のドライバーがスポンサーや投資という形でより多くの資金をもたらすことができると判断すれば、別の選択肢に向かう可能性もあるとされている。

    マクラーレンはF3&F2王者フォルナローリを後押し
    その対抗候補となるのがフォルナローリだ。

    マクラーレンはフォルナローリの将来に大きく投資してきた。フォルナローリは2024年のFIA F3、2025年のFIA F2で2年連続タイトルを獲得しており、今回のテストでハースのシート候補として評価を受けることになる。

    フェラーリが全面的に支援するカマラ、マクラーレンが投資してきたフォルナローリ、そしてトヨタの支援を受け、すでにハースのリザーブを務める平川亮。3人が参加するとされるポルティマオでのテストは、オコンの後任を巡る2027年のF1シート争いを占う重要な機会となりそうだ。

  • オリバー・ベアマン ハミルトン復調に複雑「僕のF1での将来には理想的ではない」

    オリバー・ベアマン ハミルトン復調に複雑「僕のF1での将来には理想的ではない」

    オリバー・ベアマンは、ルイス・ハミルトンが2026年のF1で復調を遂げたことについて、将来的なフェラーリ昇格を目指す自身にとっては「理想的ではない」と認めた。一方で、21歳という年齢を考えれば焦る必要はなく、現在所属するハースで経験を積むことにも大きな価値があると考えている。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)出身のベアマンは、現在ハースでF1に参戦している。

    将来的なフェラーリのレギュラードライバー候補として以前から名前が挙がっているが、ハミルトンの復活によって、そのタイミングは遠のく可能性がある。

    ハミルトン復活を喜ぶ一方で「僕の将来には理想的ではない」
    ハミルトンは2025年、フェラーリ加入初年度に苦しいシーズンを過ごした。その状況から、ベアマンが早い段階で後任候補になるのではないかとの見方も強まっていた。

    しかし、2026年にF1のテクニカルレギュレーションが大きく変更されると、ハミルトンは競争力を取り戻した。バルセロナではフェラーリ加入後初となるグランプリ優勝を達成し、現在はアンドレア・キミ・アントネッリに次ぐドライバーズランキング2位につけている。

    ベアマンはF1公式ポッドキャスト『Beyond the Grid』で、ハミルトンの復活について次のように語った。

    「F1ファンとして、それに僕はルイスのファンでもあるから、彼が今のようなレベルで走っているのを見るのはすごくクールだ」

    「バルセロナで彼が表彰台の一番上に立つ姿を見られたのは、イギリスのF1にとってもかなり特別な瞬間だった。表彰台にはイギリス人が3人いて、僕たちがこれまで見てきたなかで最高のドライバーが1位だった。本当に特別なことだと思う」

    ただし、その活躍が自身のフェラーリ昇格という観点では歓迎すべき材料ばかりではないことも理解している。

    「もちろん、僕の将来という意味では理想的ではない。でも、僕はまだ若い。まだ21歳だし、それほど急いでいるわけじゃない」

    「当面ハースに残ることも、僕にとって悪いことではないと思っている。このチームで学べることはたくさんあるし、まだ達成できることもたくさんある」

    ベアマンにとって、ハースでの時間は単なるフェラーリ昇格までの待機期間ではない。F1ドライバーとして成長し、自身の価値を高める重要な過程でもある。

    2024年にフェラーリからF1デビュー
    ベアマンとフェラーリの関係は、育成ドライバーという枠だけにとどまらない。

    2024年F1サウジアラビアGPでは、虫垂炎によって欠場したカルロス・サインツJr.の代役として急きょフェラーリのマシンをドライブ。これがベアマンにとってF1デビューとなった。

    準備時間がほとんどない状況での参戦だったが、ベアマンはその機会を生かし、将来のフェラーリ候補として存在感を高めた。その後ハースでフル参戦を開始し、フェラーリとの関係を維持しながらF1で経験を積んでいる。

    現状では、2027年もハースで戦う可能性が高いとみられている。ハミルトンが2026年に復調していることを考えれば、フェラーリが短期的にドライバーラインアップを変更する必要性も薄れている。

    それでもベアマン自身の最終目標は変わっていない。

    オリバー・ベアマンとルイス・ハミルトン

    「目標はいつかフェラーリのドライバーになること」
    ベアマンは、いつの日かフェラーリのレギュラードライバーになることが自身の目標だと明言する。

    「僕の目標は、いつかフェラーリのドライバーになること。それは変わらない」

    ただし、フェラーリのシートが空くまで無期限に待ち続けるつもりもない。

    「もちろん、シートが空くのを3年、4年、5年と座って待ち続けたいわけではない。何の保証もないからね。それでは自分の一番いい時期を無駄にしてしまう可能性がある」

    その発言からは、フェラーリへの強い思いと同時に、F1ドライバーとして自らのキャリアを最優先する姿勢もうかがえる。

    「僕の究極の目標は、少し利己的かもしれないけど、それでいいと思っている。それが僕がここにいる理由だから。僕はワールドチャンピオンシップを争いたい」

    「だから、それがどこであっても、そのチャンスを得られるなら僕はつかむ」

    フェラーリだけを待つつもりはないベアマン
    ベアマンの発言で重要なのは、フェラーリ昇格への意欲を改めて示しながらも、それを唯一のキャリアパスとは考えていない点だ。

    ハミルトンが2025年の苦戦から立ち直り、2026年に優勝争いへ戻ったことで、ベアマンが近い将来フェラーリへ昇格するための空席は見えにくくなった。だが、21歳のベアマンにはまだ時間があり、ハースで経験を重ねること自体が将来の選択肢を広げることにつながる。

    フェラーリの赤いレーシングスーツを着てF1世界選手権を戦うことは今も最大の目標だ。しかし、数年間にわたってただその機会を待つのではなく、タイトルを争えるチャンスが別の場所に現れれば、それを選ぶ覚悟もある。

    ハミルトンの復活によってフェラーリへの最短ルートは狭まったかもしれない。それでもベアマンにとって最終的に重要なのは「フェラーリに乗ること」だけではなく、「F1ワールドチャンピオンを争うこと」である。

  • ギュンター・シュタイナー MotoGPではハースF1式を封印「彼らに私は必要ない」

    ギュンター・シュタイナー MotoGPではハースF1式を封印「彼らに私は必要ない」

    ハースF1で8シーズンにわたってチーム代表を務めた61歳のギュンター・シュタイナーは、MotoGPのTech3ではまったく異なるマネジメントスタイルを採用している。チームのオーナー兼代表となった現在、レース現場の日常業務には深く介入せず、戦略や商業面、ライダー契約といった大きな意思決定に重点を置いている。

    シュタイナーは、ハースF1時代のように組織のあらゆる領域を自ら管理する考えはないと明言する。

    Tech3にはすでに優れたレース運営体制があり、そこに自身が入り込むよりも、F1で培った経験や人脈をチームの成長に生かすことが重要だと考えている。

    ハースF1とは異なるシュタイナーの役割
    ギュンター・シュタイナーはF1で広く知られるようになる以前、ラリーの世界でキャリアを築いた。マツダ、プロドライブ、Mスポーツなどを経て、F1ではジャガー・レーシング、レッドブルに所属。その後、ハースのF1参戦プロジェクトを率い、2016年のデビューから2023年末までチーム代表を務めた。

    ハースではチーム運営のほぼすべてに関与していたが、ジーン・ハースとの将来方針を巡る意見の相違もあり、2023年シーズン終了後にチームを離れた。

    その後、シュタイナーは新たな舞台としてMotoGPを選択した。2025年9月、シュタイナーが率いるコンソーシアムがTech3 KTMを買収。1990年にギ・クーロン、ベルナール・マルティニャックとともにチームを創設し、35年間にわたって率いてきたエルベ・ポンシャラルの時代に終止符が打たれた。

    MotoGPへの直接的な関与はシュタイナーにとって初めてだが、その役割はハースF1時代とは大きく異なっている。

    「少し違う。結局のところ、以前ほかの仕事をしていたときは、それが私の唯一の仕事だった。だが、今はいろいろなこともやっている」

    最大の違いは、レースチームの日常的な運営から距離を置いていることだ。

    「今のところ、今年と来年については、私はもう少し後ろにいるつもりだ。技術的に見れば、ここは非常に優れたレーシングチームだからね。彼らは本当に優秀だ。私を必要としていない」

    「レースをするということに関して言えば、彼らのほうが私よりいい仕事をする。だから、そこに私が入る必要はない」

    レース現場は専門家に任せる
    ハースF1時代のシュタイナーは、技術部門からレース運営、人事、商業面まで幅広い領域に関与していた。一方、Tech3では現場の指揮をニコラ・ゴヨンに任せている。

    「ここでは中間レベルまで、ニコがレーシングチームを運営している。当然、私も何が起きているのかは把握しているが、メカニックやエンジニアについて私が決めることはない。それを管理するのは彼の仕事であって、私の仕事ではない」

    シュタイナーが重点を置くのは、チームの将来を左右する、より大きな判断だ。

    「私がやろうとしているのは、商業面でチームを助けることだ。それから、ライダーに関することのような大きな決断についても手助けしている」

    特にライダー選定については、自ら積極的に関与する意向を示している。

    「そこにはかなり関わっている。私自身がそうしたいからだ。ただ、F1チームにいたころとは違う。あのときは上から下まで、すべてを管理していた」

    Tech3では既存のレース運営組織を尊重し、自身の経験がより大きな効果を生む分野に集中する。シュタイナーにとって、それがハースF1時代との最大の違いとなっている。

    Liberty Media時代のMotoGPでF1経験を生かす
    シュタイナーがTech3で特に価値を発揮できると考えているのが、契約や商業面だ。MotoGPはLiberty Mediaの参入によって大きな転換期を迎えており、シュタイナーはF1がLiberty Media傘下で変化していった過程を経験している。

    「契約については私が担当している。この業界、MotoGP全体が変化していると思っているからだ。そこでは私が役に立てると思う。以前、別のカテゴリーでLibertyが入ってきたときに同じようなことを経験しているからね」

    F1ではLiberty Mediaによる商業権取得後、デジタル戦略やファンへのアプローチ、スポンサーシップなどさまざまな領域で変革が進んだ。シュタイナーは、その環境で築いたネットワークもTech3の武器になると考えている。

    「私は多くの人を知っているし、多くの人が私のことを知っている。それはチームにとって助けになる。チーム全体をもっと大きく、より良いものにしていくためにね」

    つまりシュタイナーがTech3にもたらそうとしているのは、F1チーム代表時代の管理手法そのものではない。むしろF1で得た商業的な経験、人脈、契約交渉のノウハウをMotoGPの新しい環境に持ち込むことが狙いだ。

    Tech3は2027年に向けライダー陣刷新へ
    Tech3は今後もKTMのサテライトチームとして活動し、複数年契約によって2027年に導入されるMotoGPの新テクニカルレギュレーションにも対応していく。

    一方で、ライダーラインアップは大きく変わる可能性が高い。

    現在Tech3で走るエネア・バスティアニーニとマーベリック・ビニャーレスは、ともに2026年限りでチームを離れる見通しとなっている。

    バスティアニーニはトラックハウス・アプリリアへ移籍し、小椋藍の後任になるとみられている。一方、小椋藍はヤマハへ移籍する見通しだ。

    ビニャーレスについてはMotoGPから離れる可能性が浮上している。本人によればKTMから一度は契約を提示されたものの、そのオファーは短期間で撤回されたという。

    こうした状況から、シュタイナーとTech3はすでに2027年の新たなライダーラインアップ構築に動いている。Moto2のセナ・アギウスにチャンスを与える可能性があるほか、ホンダを離れるとみられるルカ・マリーニも候補に挙がっている。

    ハースF1ではチーム代表として組織全体を直接動かしてきたシュタイナーだが、Tech3ではその経験をそのまま再現するつもりはない。レース運営はMotoGPを熟知するスタッフに任せ、自身は契約、商業戦略、ライダー選定などチームの将来を左右する領域を担う。61歳で新たなカテゴリーに挑むシュタイナーは、F1時代とは異なる立場からTech3の成長を支えようとしている。

  • ギュンター・シュタイナー F1復帰に前向き「やりたいプロジェクトがあれば戻る」

    ギュンター・シュタイナー F1復帰に前向き「やりたいプロジェクトがあれば戻る」

    ハースF1でチーム代表を務めたギュンター・シュタイナーは、条件が整えばF1パドックに復帰する可能性があると明かした。ただし、単に役職を得るために戻るつもりはなく、自ら形を作れる「プロジェクト」であることが条件だという。

    61歳のシュタイナーはハースF1チームの立ち上げにおける中心人物のひとりで、参戦初年度の2016年から2023年までチーム代表を務めた。

    しかし、2023年のコンストラクターズ選手権で最下位に終わった後、オーナーのジーン・ハースが契約を更新せず、2024年1月にチームを離れた。

    MotoGPチームのオーナー兼CEOとなったシュタイナー
    F1を離れたシュタイナーはその後、新たな舞台としてMotoGPに進出した。投資家コンソーシアムを通じてエルベ・ポンシャラルからテック3を買収し、レッドブルKTMテック3のオーナー兼CEOを務めている。

    それでも、F1への扉を完全に閉ざしたわけではない。

    『Up to Speed Podcast』でF1復帰を検討する可能性について尋ねられたシュタイナーは、気に入ったプロジェクトがあれば戻る意思があると語った。

    「そうだね。私が気に入るプロジェクトがあれば戻るよ。ただ、いつも言っているように、単に戻って仕事をするだけなら、それはないね」

    「私にはほかにもやりたいことがたくさんあるからね。この10年、15年、いや20年くらいを振り返ってみても、私がやってきたのはいつもプロジェクトだった。仕事をするためだけに何かをやったわけじゃない」

    「ただ仕事をするだけというのは……退屈とまでは言わないけど、私にはちょっと刺激が足りないんだよ」

    「本当に自分を試されるようなものでないとね」

    シュタイナーはモータースポーツ界で幅広いキャリアを築いてきた。F1だけでなくMotoGP、ラリー、DTMにも関わり、F1ではジャガー、レッドブル、そして最もよく知られるハースで経験を積んできた。

    「肩書きなんてどうでもいい」F1復帰に求める条件
    では、シュタイナーが求める「刺激的なプロジェクト」とは何なのか。本人によれば、重要なのは自分の手で方向性を作り上げられることだという。

    「プロジェクトというのは、自分で何をするのかを形にしていけるものだ。ただどこかに入って仕事をするということじゃない」

    「私は肩書きで生きているわけじゃないからね。肩書きなんて、正直どうでもいいんだ」

    「私にとって大事なのは、自分がやりたいと思えることをやることなんだよ」

    その一例として、シュタイナーはハースを離れた後にテレビの仕事へ挑戦したことを挙げた。未知の分野だったからこそ、むしろ挑戦してみようと思ったという。

    「ハースを離れたとき、テレビの仕事を始めた。そんな業界があることすら知らなかったんだけどね。でもオファーをもらったから、『まあ、やってみるか』と思ったんだ」

    そして、テレビの世界で目標にした人物として、元F1ドライバーで現在は解説者として活躍するデビッド・クルサードの名前を挙げた。

    「デビッドくらいうまくなりたかったんだけど、まだそこまでは行ってないね! 先は長いよ。まあ、不可能かもしれないけどね」

    ギュンター・シュタイナー

    「F1チームを作る方が簡単だった」クルサードを引き合いにジョーク
    シュタイナーにとって、新しいことへの挑戦は今に始まったことではない。ハースのF1参戦を実現させた際にも、周囲からは新規チームの立ち上げなど不可能だと言われていたという。

    「F1チームを立ち上げたときも、『そんなことは絶対にできない。新しいF1チームなんて誰にも作れない』と言われたんだ」

    「それで私は、『そうか。じゃあ、やってみせようじゃないか』と思った。それだけだよ」

    そして最後は、クルサードを再び引き合いに出し、自らのテレビでの仕事をネタにした。

    「だから考えてみると、F1チームを立ち上げる方が、テレビでデビッドくらいうまくなるより簡単だったんじゃないかな」

    現在はMotoGPでテック3の運営という新たなプロジェクトに取り組んでいるシュタイナーだが、F1復帰の可能性そのものは否定していない。ただ既存チームのポストに収まるだけでは、シュタイナーを動かすには刺激が足りないようだ。自ら方向性を形作る余地があり、新たな挑戦に値するプロジェクトが現れれば、再びF1パドックでその姿を見ることになるかもしれない。

  • オリバー・ベアマン F1離れた新ビジネス モナコで自転車ショップ&カフェ開業

    オリバー・ベアマン F1離れた新ビジネス モナコで自転車ショップ&カフェ開業

    ハースF1チームのオリバー・ベアマンが、モナコ近郊で友人たちと自転車ショップ兼カフェをオープンしたことを明かした。F1ドライバーとしてのトレーニングをきっかけに深めてきたサイクリングへの情熱を、21歳にして新たなビジネスへと発展させている。

    2026年のF1シーズンに向けたトレーニングにも自転車を積極的に取り入れてきたベアマン。今回の店は単なる投資ではなく、自ら運営にも関わる「パッションプロジェクト」だという。

    サイクリストが多く集まるモナコ周辺の山岳エリアという立地を生かし、自転車だけでなくコーヒーや自家製ケーキを楽しめる拠点を目指している。

    モナコの山に自転車ショップをオープン
    オリバー・ベアマンはF1公式ポッドキャスト『Beyond The Grid』に出演し、友人たちと始めた新たな事業について語った。

    「何人かの友人と一緒に自転車ショップをやっているんだ。モナコの上のほうにショップをオープンした。サイクリングがすごく盛んなエリアなんだ。本当にクールだし、今のところすごくうまくいっていて、みんな喜んでいるよ」

    モナコ周辺は海岸線から山岳地帯まで変化に富んだ道路が広がり、多くのプロスポーツ選手がトレーニングに利用する環境でもある。モナコに住むベアマン自身も、日常的に周辺の山道へ自転車で走りに出ている。

    その仲間には、ウィリアムズのカルロス・サインツJr.や、ツール・ド・フランス5勝を誇るタデイ・ポガチャルもいるという。

    「ビジネスというより情熱から始めたプロジェクト」
    ベアマンにとって今回のショップは、F1とは別の収入源を作ることだけが目的ではない。仲間たちと共通するサイクリングへの情熱が出発点になっている。

    「僕たち全員にとって、どちらかというと情熱から始めたプロジェクトなんだ。みんな本当にサイクリングが好きだし、ショップをどう運営するかについて自分たちの意見を反映できるのもいいところだね」

    F1ドライバーにとってサイクリングは、心肺機能や持久力を鍛えながら身体への衝撃を比較的抑えられるトレーニングのひとつだ。ベアマンも2026年シーズンに向けたフィジカル作りの中で自転車に乗る機会を増やし、それが今回の事業につながった。

    ショップにはカフェも併設され、山岳ルートを走るサイクリストが途中で立ち寄れる場所になっている。

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    自家製バナナブレッドとケーキにもこだわり
    自転車だけではなく、カフェで提供するメニューにもベアマンたち自身のこだわりが反映されている。

    「僕たちオリジナルのバナナブレッドがあるし、ケーキも自分たちのものなんだ。だからいいよね。楽しいよ」

    特にサイクリストにとって重要なコーヒーには力を入れている。ただし、ベアマン本人は意外にもコーヒー好きではないという。

    「一番大事なのはそこだね。僕たちはおいしいコーヒーに力を入れている。でも僕自身はコーヒーがそんなに好きじゃないんだ」

    「ただ、コーヒーがものすごく重要だということは分かっているし、サイクリストはコーヒーにすごくこだわるんだ。それは僕が学んだことのひとつだね!」

    一方、自信を持って勧められるのがスイーツだ。

    「僕が好きなのはケーキだね。うちにはおいしいケーキがある。それは誇りに思っているよ」

    2026年F1では18ポイントでランキング13位
    新たなビジネスをスタートさせた一方、ベアマンの2026年F1シーズンは浮き沈みのある展開となっている。

    開幕戦オーストラリアGPと第2戦中国GPで合計17ポイントを獲得して好スタートを切り、カナダGPでも1ポイントを追加した。しかし、日本GP、モナコGP、スペインGPではリタイアを喫し、直近4戦ではトップ10圏外でのフィニッシュが続いている。

    ここまで18ポイントを獲得し、ドライバーズランキングでは13位につけている。

    F1という極めて競争の激しい世界で戦いながら、自身のトレーニングから生まれたサイクリングへの情熱を仲間たちとの事業へ発展させたベアマン。モナコの山道を走るサイクリストにとって、21歳のF1ドライバーが携わるショップ兼カフェは新たな立ち寄りスポットとなりそうだ。

  • ハースF1チームがTPCの目的を解説 富士で示したトヨタとの育成プログラム

    ハースF1チームがTPCの目的を解説 富士で示したトヨタとの育成プログラム

    TGRハースF1チームは、富士スピードウェイで実施したTPC(Testing of Previous Cars)にあわせて、そのプログラムの目的や舞台裏を紹介する動画を公開した。

    TPCはFIA(国際自動車連盟)の規則で認められた旧型F1マシンによるテストであり、ドライバー育成だけでなく、エンジニアやメカニックなどチームスタッフの育成も担う重要なプログラムとなっている。

    TPCとは何か?
    F1ではテストが厳しく制限されており、グランプリ週末以外で現行マシンを走らせる機会はほとんどない。そのためFIAは、原則として2年以上前のマシンを使用した「Testing of Previous Cars(TPC)」を認めている。

    ただし2026年はレギュレーションが全面刷新されたため、2025年型マシンも「旧型車」と見なされ、ハースはVF-25を使用してテストを実施できる。

    TGRハースF1チームは2025年にTOYOTA GAZOO Racingとの協力による「TGRハース・ドライバー育成プログラム」を立ち上げ、このTPCを本格的に開始した。

    ドライバーだけでなくチーム全体を育成
    プログラム責任者は、TPCの目的は単なるドライバー育成ではないと説明する。

    「このプログラムはトヨタとの協力から生まれた。トヨタが支援する日本人ドライバーを育成したいという思いがあり、それがスタートだった」

    「今年は昨年型マシンを使えるようになり、ドライバー育成プログラムもさらに充実した。事前にシミュレーターを行い、各ドライバーに合わせたカリキュラムを用意し、習得してほしいスキルに応じて走行プランを組み立てている」

    一方で、チームにとって同じくらい重要なのがスタッフ育成だという。

    「レース週末のプレッシャーから離れて人材を育成できる貴重な機会だ。若いエンジニアやメカニック、新しい役割に挑戦するスタッフが参加している。ドライバーだけでなくチーム全体を成長させることができる」

    また、トヨタから派遣されたエンジニアやメカニックも現場でハースのスタッフとともに活動しており、両者の協力体制が強化されている。

    ハースF1チーム トヨタ

    若手スタッフの実践的な育成の場
    TPCでは若手メカニックが通常のレースでは担当しない作業も経験できる。

    あるメカニックは「フロントやリアなど車両全体を経験することで、レースチームに昇格した際も様々な役割に対応できるようになる」と説明。別のスタッフも「レース週末ほどのプレッシャーがない環境で実車を扱えることが大きい」と語っている。

    2025年にTPCからレースチームへ昇格したメカニックは、その経験が大きな助けになったという。

    「TPCで1年間経験を積んでいたので、レースチームへ移っても何が起きるか分かっていた。自分の担当だけでなく他の役割も学べるので、チーム全体でより価値のある存在になれる」

    「仕事の基本は同じだが、違うのはプレッシャーと環境だ。その環境に入る前にTPCで経験できたことで、レースチームへの移行はずっとスムーズになった」

    1年前から始まる準備
    TPCイベントの準備は約1年前から始まる。

    チームはトヨタと協議して開催サーキットを選定し、各サーキットと日程を調整。FIAのテスト規則を考慮しながら、輸送や機材搬入も自前で手配する。

    担当者は「サーキットを丸1日借り切るため、自分たちのペースで運営できる。レース週末ほど時間的な制約がないので、新人スタッフやドライバーにとって理想的なトレーニング環境になっている」と説明する。

    目標はF1レースシート輩出
    ハースとトヨタは、このプログラムを通じてドライバーだけでなく技術者の育成も進めている。

    すでにTPCを経験したトヨタの技術者やメカニックがハースのレースチームへ昇格しており、成果も現れ始めている。

    チームは最終的な目標について「究極の目標は、このプログラムからF1レースドライバーを輩出することだ。ただし、それは実力主義であり、適切なタイミングとチャンスが必要になる。いつ実現するかは分からないが、いつかそこへ到達できるかもしれない」と期待を寄せている。

  • ラファエル・カマラ ハースF1加入報道を冷静視「今は何も分からない」

    ラファエル・カマラ ハースF1加入報道を冷静視「今は何も分からない」

    ラファエル・カマラは、自身に浮上している2027年のハースF1加入説について、「今は何も分からない」と冷静な姿勢を示した。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)に所属する21歳のブラジル人は、今季FIA F2選手権で好成績を残しており、エステバン・オコンの後任候補として名前が挙がっている。しかし本人は、F1昇格への期待を認めつつも、「今は今年のF2に集中している」と強調した。

    ハースF1加入の噂にも冷静な姿勢
    フェラーリとハースF1の強い関係性から、カマラは2027年にエステバン・オコンの後任として加入する有力候補とみられている。ほかにも候補者の名前は挙がっているものの、フェラーリ育成ドライバーであるカマラへの注目は高まっている。

    2022年からフェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属するカマラは、F2デビューイヤーの今季、ここまで4回のポールポジションと2勝を記録するなど、タイトル争いを展開している。

    F2公式サイトのインタビューで、F1昇格の噂について質問されたカマラは、次のように語った。

    「そういう話が出るのはうれしいことだ」

    「現時点では何が起こるかは本当に分からない。でも、夢が近づいていると感じられるのは素晴らしいことだ」

    「でも同時に、そのことばかり考えすぎるわけにはいかない。今はとても重要な選手権を戦っているし、良い結果を残せば、おそらくチャンスはやって来る」

    「だから僕は、本当に今シーズンに集中している」

    ラファエル・カマラ

    F1テスト経験も大きな財産
    カマラはこれまでにフェラーリで複数回にわたりF1マシンのテストも経験している。

    将来のF1参戦については、夢であることを認めながらも、テストではドライバーとしての責任を強く意識していたという。

    「もちろん夢はフルタイムでF1に参戦することだ。でも、その瞬間は本当に感情が込み上げるものだった」

    「同時に、それは仕事でもある。できる限り楽しもうとするけれど、それでも良い仕事をしなければならない」

    F2で結果を残すことが最優先
    カマラは現在、F2ルーキーイヤーながら優勝争いに加わる活躍を見せている。安定した速さを武器に評価を高めており、2027年のF1シート候補として名前が挙がるのも不思議ではない状況だ。

    それでも本人は、将来の噂に気を取られることなく、まずはF2で結果を残すことがF1への最短ルートだと考えている。

    その冷静な姿勢は、フェラーリ育成ドライバーとして着実にステップアップを目指すカマラらしさを物語っている。

  • 小松礼雄 ハースF1失速の責任は自らに「環境を整えられなかった」

    小松礼雄 ハースF1失速の責任は自らに「環境を整えられなかった」

    2026年シーズン序盤に好スタートを切ったハースF1だが、シーズンが進むにつれて開発競争でライバル勢に後れを取り、順位を落としている。

    チーム代表の小松礼雄は、その原因はスタッフの能力ではなく、限られた人員や設備といったチーム環境にあると説明。十分な開発環境を提供できなかった責任は自分にあると認めた。

    序盤の躍進は「予想をはるかに超えていた」
    2026年にF1は大幅なテクニカルレギュレーション変更を迎えたが、ハースは開幕戦オーストラリアGPでオリバー・ベアマンが7位、中国GPでは5位に入るなど、期待以上のスタートを切った。

    小松礼雄は、この結果について次のように振り返った。

    「今シーズンここまでの流れは、このチームの良い面も悪い面もすべて表していると思います。シーズン序盤のあれほど強いスタートは、僕の予想や期待をはるかに超えるものでした」

    「今回は史上最大規模のレギュレーション変更でした。グリッドで最も小さなチームである僕たちは、新規参戦のキャデラックを除けば最後尾付近から始まると本気で思っていました」

    そのうえで、基本を徹底したことが好結果につながったと説明した。

    「僕たちは基本に集中しました。予定どおりマシンを完成させ、すべてのテストを消化し、信頼性を確保しながらできる限り多くを学ぼうとしました。走らなければ学べませんからね」

    「その基本は非常にうまくできました。一方で、途中でいくつかミスもありました。それでも開幕戦までには、自分たちの持っているパッケージを最大限引き出す理解は十分にありました」

    さらに、小松は与えられた力を確実に結果へ結び付けることの重要性を強調した。

    「僕はいつも『チャンスを生かせる位置にいなければならない』と言っています。5位を争えるクルマなら5位を獲るべきですし、それが10位や15位のクルマでも、その位置にいなければいけません」

    「15位のクルマでも前で何が起きるかは分かりません。だからこそ基本をしっかりやる必要があります。序盤の好スタートは、それを実践したチーム全員のおかげです。本当に素晴らしい仕事でした」

    小松礼雄(ハースF1チーム)

    開発競争で後退した原因は「環境」にある
    しかし、開幕6戦で5度の入賞を記録した後、ハースはアップデート競争でライバルに追い抜かれた。

    小松は、その責任はスタッフではなく、自身が整えられなかったチーム環境にあると語る。

    「その後の開発競争で起きたことは、僕たちが置かれている制約の多い環境を示しています」

    「人数も、使えるツールも、利用できるリソースも限られています。その制約の中でも、みんなは本当に素晴らしい姿勢を見せてくれています」

    「問題から目を背けることなく、オープンで透明性のある形で向き合い、できるだけ早く改善しようとしています」

    そして、自らの責任について率直に認めた。

    「彼らが本来の力を発揮できる環境を、僕がまだ提供できていないということです」

    「だからこそ、できるだけ早くその環境を整えたいと思っています。開発競争で後れを取ったことは、決してスタッフの能力を反映したものではありません」

    「問題は彼らが置かれている環境であり、それは僕の責任です。彼らが本当のポテンシャルを発揮できるよう改善を進めています。約400人という規模で、これだけの成果を上げていること自体が本当に驚くべきことです」

    「激しい開発競争は想定内だった」
    一方で、小松は現在の状況そのものには驚いていないという。

    「これは完全に予想していました。新しいレギュレーションでは、どのチームにも改善の余地が大きく残っています。だから開発競争がこれほど激しくなることは分かっていました」

    「僕たちが追いつき続けるのは非常に厳しい戦いになるとも分かっていました。制約がある以上、すべてが完璧でなければなりません。しかし現実には、すべてを完璧にはできません」

    「だから今の位置にいるのです。しかし、開発競争がこれほど熾烈だったこと自体は、まったく驚きではありません」

    今回の発言からは、ハースの成績低下をスタッフの能力不足ではなく、組織規模や設備といった構造的な制約によるものと捉えていることがうかがえる。小松は責任を自ら引き受け、チームが本来の力を発揮できる環境づくりを最優先課題として進めていく考えを示した。

  • オリバー・ベアマン フェラーリF1に固執せず「王座を争えるならどこへでも行く」

    オリバー・ベアマン フェラーリF1に固執せず「王座を争えるならどこへでも行く」

    オリバー・ベアマンは、レース優勝やF1世界選手権を争えるチャンスがあるなら、フェラーリの育成プログラムを離れる可能性もあることを示唆した。

    現在21歳のベアマンは、厳しいシーズンを送るハースで存在感を示しており、チームは契約継続を望んでいるとみられている。一方で、エステバン・オコンの後任候補としてF2王者レオナルド・フォルナローリやフェラーリ育成のラファエル・カマラの名前も取り沙汰されている。

    また、フェルナンド・アロンソの将来が不透明なことから、アストンマーティン移籍の可能性も噂されている。

    しかし、アロンソのマネジメントにも関わるフラビオ・ブリアトーレは、現時点で来季以降について決定はないと説明した。

    「フェルナンドはアストンマーティンでレースをしている」

    「以前と比べてアストンマーティンは大きく前進したように見えるし、彼自身もチームに満足している」

    「それ以上に言うことは何もない。彼はアストンマーティンのドライバーであり、シーズン終了時点でもアストンマーティンのドライバーだ」

    ハミルトン復調でフェラーリ昇格はより困難に
    ベアマンは、ルイス・ハミルトンが2026年シーズンに復調したことで、自身のフェラーリ昇格への道が以前より厳しくなったことも認めた。

    「もちろん、自分の将来という意味では理想的な状況ではない」

    「でも、僕はまだ若い。まだ21歳だし、そこまで焦っているわけではない」

    「当面ハースに残ることも、僕にとって悪いことではない」

    一方で、ハースにはさらなる競争力向上を求めている。

    「メキシコや他のレースで味わえたような好調な状態を、もう一度取り戻したい」

    「僕との最初のシーズンだけ良かったチームとして終わりたくない。またパフォーマンスを改善して、多くのポイントを獲得できることを願っている」

    オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)

    夢はフェラーリ しかし最優先は世界王者
    ベアマンはフェラーリ加入が今でも夢であることを強調した一方、それだけに固執するつもりはないと明言した。

    「フェラーリは夢のチームだ。いつかフェラーリのドライバーになることが僕の目標であることに変わりはない」

    「でも、3年も4年も5年もシートが空くのを待ち続けたいとは思わない。保証なんてないし、自分にとって一番いい時期を無駄にしてしまう可能性もある」

    そして、自身の最大の目標は世界タイトル獲得だと語った。

    「僕の究極の目標は少し自分勝手かもしれない。でも、それでいいと思っている。それが僕がここにいる理由だからだ。僕は世界選手権を争いたい」

    「もしどこかでそのチャンスが得られるなら、その機会をつかむ。フェラーリがその環境を用意できず、別のチームで戦うことになるなら、それも人生だ」

    アストンマーティンとの噂について問われると、ベアマンは将来性を認めながらも、現時点では移籍先として考えているわけではないと語った。

    「いつかアストンマーティンが非常に強いチームになることは間違いないと思う」

    「でも、現時点でそのチームを目指しているわけではない」

    ベアマンはフェラーリへの憧れを隠さない一方で、キャリアの最優先事項は世界タイトル獲得だと強調した。ハースで成長を続けながらも、将来的に優勝やタイトル争いができる環境が他チームにあるなら、その機会を逃さない姿勢を明確に示している。

  • トヨタがタイトルスポンサーでも資金不足 ハースF1が抱える“予算上限”の現実

    トヨタがタイトルスポンサーでも資金不足 ハースF1が抱える“予算上限”の現実

    2026年からTOYOTA GAZOO Racing(TGR)をタイトルスポンサーに迎えたハースF1。しかし、チーム代表の小松礼雄は「予算上限まで使える状況にはない」と明かし、依然として資金面がチーム最大の課題であることを認めた。

    世界最大級の自動車メーカーであるトヨタとの提携によって、ハースF1は大きな後ろ盾を得たように映る。しかし、その実態は一般的なタイトルスポンサー契約とは異なり、技術・人材育成を重視したパートナーシップが中心となっている。

    そのことは、先日富士スピードウェイで実施されたTPC(Testing of Previous Cars)にも表れていた。

    小松礼雄代表「予算上限まで使えない」
    ベルギーGPのメディアデーで、小松礼雄代表はチームの現状について率直に語った。

    「このチームが予算上限まで運営できるだけの資金を確保することが、私の仕事の最優先事項のひとつです」

    2026年のF1では、ドライバー給与などを除いた年間予算上限は2億1500万ドル(約344億円)に設定されている。

    しかしハースF1は、その水準まで予算を投入できていないという。

    さらにチームの規模も約400人とされ、多くのライバルチームが1000人以上のスタッフを擁する中で戦っている。

    「スタッフは両手を縛られた状態で戦っているようなものです」

    小松のこの言葉は、資金だけでなく人員面でも厳しい状況に置かれている現実を物語っている。

    トヨタとの提携は「技術協力」が軸
    では、なぜタイトルスポンサーとなったトヨタの存在が、資金不足の解消にはつながっていないのだろうか。

    その理由は、トヨタとハースの提携内容にある。

    2024年に締結された提携は、設計・製造・シミュレーター・人材育成などを柱とする技術協力が中心だった。トヨタとハースは「People(人材)」「Product(技術)」「Pipeline(育成)」をキーワードに掲げ、ドライバーだけでなくエンジニアやメカニックも含めた協力体制を構築してきた。

    2026年からはTOYOTA GAZOO Racingがタイトルスポンサーへ昇格したものの、その基本方針は変わっていない。

    つまり、トヨタは巨額のスポンサー料を提供する存在というよりも、技術や人材、設備などを通じてチームを支えるパートナーという色合いが強い。

    富士TPCが示した提携の方向性
    その象徴とも言えるのが、7月末に富士スピードウェイで行われたTPCだった。

    坪井翔と福住仁嶺が2025年型VF-25をドライブしたこのテストは、日本では「国内トップドライバーがF1マシンを走らせる姿を見ることができた」と歓迎された一方で、「若手育成の機会に使うべきではないか」という議論も巻き起こった。

    しかしハースは、このTPCについて「ドライバー育成だけでなく、エンジニアやメカニックを含めたチーム全体の育成プログラム」であることを強調している。

    実際、TPCでは走行データの取得だけでなく、ピットオペレーションやチーム運営の確認も重要な目的となる。

    つまり、このプログラム自体が「人材育成」を重視するトヨタ・ハース提携の考え方を象徴する取り組みだったと言える。

    トヨタ ハースF1チーム

    MoneyGram時代より資金は減ったのか
    一方で、多くのファンが気になるのはスポンサー収入だろう。

    ハースは2023年からMoneyGramをタイトルスポンサーとして迎えていた。

    海外メディアでは、この契約規模は年間2500万~3500万ドル(約40億~56億円)と報じられている。

    対して、トヨタとのタイトルスポンサー契約の金額は公表されていない。

    そのため、小松礼雄代表が今回「予算上限まで使えない」と明言したことで、「トヨタからの現金スポンサー料はMoneyGram時代より少ないのではないか」と推測する声も出始めている。

    ただし、そのような見方を裏付ける公式情報や報道は現時点では存在しない。

    むしろ、これまでの発表内容を見る限りでは、トヨタとの提携は現金よりも技術や人材への支援に重点が置かれている可能性が高い。

    技術支援と資金力は別の課題
    小松礼雄代表は、ハースが開発競争で苦戦している原因について「スタッフの能力ではない」と繰り返し強調している。

    「スタッフには十分な能力があります。ただ、彼らが実力を発揮できるだけの武器を、私がまだ与えられていません」

    開幕直後にはコンストラクターズランキング4位につけるなど健闘したハースだったが、ライバル勢が大型アップデートを続ける中で徐々に後退した。

    トヨタとの提携によって技術や人材育成の環境は着実に強化されている。その一方で、小松礼雄代表が語ったように、F1の予算上限まで運営できるだけの資金を確保するという課題は依然として残されている。

    富士TPCが示した「技術・人材育成」という提携の姿と、小松代表が明かした「資金不足」という現実。その両方を合わせて見ることで、トヨタとハースのパートナーシップは、単なるタイトルスポンサー契約ではなく、長期的なチーム強化を目指す取り組みであることが見えてくる。

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