カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • ルイス・ハミルトン FIAのADUO評価に異論 レッドブルF1首位は「意外だった」

    ルイス・ハミルトン FIAのADUO評価に異論 レッドブルF1首位は「意外だった」

    2026年のF1パワーユニット(PU)勢力図を巡り、FIAが導入した「追加開発・アップグレード機会(ADUO)」制度の初回評価結果が波紋を広げている。FIAはレッドブル・パワートレインズ製PUを最も競争力が高いと判定したが、当事者であるレッドブル自身がその結果に異議を唱えており、現在もFIAとの協議が続いている。

    そうした中、フェラーリのルイス・ハミルトンは、レッドブルがメルセデスを上回る評価を受けたことについて「驚きだった」と率直な見解を示した。

    今回の評価結果では、レッドブル、メルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダの順でランキングが決定。最上位と判断されたレッドブルは追加開発が認められず、メルセデスとフェラーリには性能改善の余地が与えられることになった。

    レッドブルの急成長を評価するハミルトン
    ハミルトンはモナコGP後に明らかになったADUOの評価結果について、レッドブルとメルセデスの差は極めて小さいと語った。

    「それは間違いなく驚きだった。レッドブルとメルセデスのエンジンは本当に、本当に接近しているからだ」

    「レッドブルは素晴らしい仕事をした。でもメルセデスも同じだ。そして、メルセデスからレッドブルへ移った人がいたと聞いている」

    「新しいエンジンメーカーとして、これほど短期間でここまで到達するとは誰も思っていなかったはずだ。彼らには敬意を払うべきだと思う」

    「それでもメルセデスのエンジンは依然として非常に優れている。もしかしたら同等かもしれない。本当に僅差なんだ」

    レッドブル・パワートレインズは2026年からフォードと提携して初の自社製PUを投入しているが、その競争力はパドック内でも大きな話題となっている。

    フェラーリに不足しているのはダウンフォース
    一方でハミルトンは、フェラーリがメルセデスに後れを取っている原因はPUではなくマシン性能にあるとの見方を示した。

    「詳しい分析についてはまだチームと話していないが、純粋にダウンフォースの問題だと思う」

    その根拠として、シーズン中の開発競争を挙げた。

    「マイアミでは僕たちがかなり力を入れてアップグレードを投入した。一方でメルセデスはアップグレードなしだったのに簡単に勝った」

    「その後、モントリオールでは4〜5分の4秒ほどの大きなアップグレードを投入した。あそこは低速コースだったから効果が完全には見えなかったかもしれない」

    アントネッリとの比較で見えた差
    ハミルトンはモナコGP決勝で2位を獲得したものの、優勝したアンドレア・キミ・アントネッリとの差を直接感じ取ったという。

    「モナコでは、前を走るアントネッリを見ていて、彼がどれだけ早くスロットルを開けられるかが分かった」

    「コーナーでのリアの安定性も明らかに優れていて、僕には追いつくことができなかった」

    「それはダウンフォースの差によるものだ」

    ハミルトンは、メルセデスの優位性はエンジン性能ではなく車体側の空力性能にあるとの認識を示しており、フェラーリにとっては今後の開発でダウンフォース向上が最優先課題となりそうだ。

    ADUOを巡る議論は継続
    今回のADUO評価結果については、レッドブル側がデータの再検証を求めており、FIAは追加調査を進めている。もし評価結果が見直されれば、各メーカーに与えられる開発権限にも影響する可能性がある。

    そのため、2026年の勢力図だけでなく、今後数シーズンのPU開発競争を左右する重要な判断として、パドック内の注目が集まっている。

  • FOMが計測システム誤差を認める アルピーヌF1の再審理請求をFIAが受理

    FOMが計測システム誤差を認める アルピーヌF1の再審理請求をFIAが受理

    モナコGPでピエール・ガスリーに科された2件のピットレーン速度違反ペナルティについて、FIAがアルピーヌの「再審理請求(Right of Review)」を正式に認めた。

    F1の公式計時システムを管理するFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)が、新たな証拠として計測システムの不正確さを認めたことが大きな転機となった。

    今回の判断により、ガスリーのペナルティが取り消される可能性が浮上。モナコGPで失われた表彰台が復活するかどうか、今後の本格的な審理に委ねられることになった。

    この問題はガスリーだけにとどまらず、同じレースで速度違反の処分を受けた複数のドライバーやチームにも影響を及ぼす可能性があり、モナコGPの結果そのものを揺るがす事態へと発展している。

    FIAがアルピーヌの再審理請求を認定
    モナコGPでガスリーは3位でチェッカーを受けたが、レース中に2度のピットレーン速度違反を犯したとして合計10秒加算のペナルティを受け、最終結果では7位へ降格となった。

    ガスリーはこの裁定について「競技人生で最もつらい瞬間だった」と語っていたが、アルピーヌは判定に疑問を抱き、FIAに再審理を申請した。

    木曜日に行われた審理では、決勝週末のスチュワードが確認できなかった新証拠が提出された。その中でも決定的だったのが、FOMから提出された計時システムに関する報告だった。

    FOMが水曜日に提出した資料によると、モナコGPで使用された距離測定システムに誤差が存在し、ガスリー車の速度を実際より高く算出していた可能性が確認されたという。

    FIAスチュワードは、この情報が「重要かつ新たな証拠」に該当すると判断し、再審理請求の要件を満たしていると結論付けた。

    問題となったピットレーン速度計測
    争点となっているのは、ピットレーン内の速度を算出するための距離測定システムだ。

    F1ではピットレーン内の速度を時間と距離から算出しているが、今回FOM自身が距離測定の精度に問題があった可能性を認めたことで、従来の裁定の前提そのものが揺らぐことになった。

    モナコGPでは通常よりも多い6人のドライバーがピットレーン速度違反で処分を受けており、レース直後からパドック内では疑問の声が上がっていた。

    複数のドライバーは60km/h制限を確実に守るため、通常より慎重なライン取りや減速を行っていたとされるが、それでも違反判定が相次いでいた。

    アルピーヌは審理の中で、計時システムへの懸念がレース前から存在していたと主張した。一方でFIAおよびFOMの代表者はその見解に異議を唱えている。

    ピエール・ガスリー

    ガスリー以外にも影響拡大の可能性
    レース中、3件目の速度違反が発生した時点でスチュワードはレースコントロールに対し、計時システムに異常が確認されていないか問い合わせていた。

    当時は問題なしとの回答がなされたが、今回明らかになった新証拠によって状況は一変した。

    影響を受ける可能性があるのはガスリーだけではない。

    メルセデスのジョージ・ラッセルも同レースでピットレーン速度違反のペナルティを受け、その後ペナルティ消化手順の不備によってドライブスルーペナルティまで科された結果、入賞圏外へ沈んだ。

    もしFIAが最終的にモナコの計測システムに重大な誤差があったと認定すれば、複数の裁定が見直される可能性がある。

    失われた表彰台は戻るのか
    今回の決定は、ガスリーの表彰台復活への道を開く重要な第一歩となった。

    ただし、再審理請求が認められたことはペナルティ取り消しを意味するものではない。今後は新証拠の内容を基に、ペナルティそのものの妥当性について改めて審議が行われる。

    日曜日の夜には決着したと思われていたモナコGPの結果だが、FOMが認めた計測システムの問題によって、F1は新たな論争の渦中に入った。

    ガスリーの表彰台が復活するのか、それとも裁定は維持されるのか。モナコGPの最終結果は、まだ確定していない。

  • FIA会長 F1エンジン規則改定を歓迎「協力の成果だ」

    FIA会長 F1エンジン規則改定を歓迎「協力の成果だ」

    FIA(国際自動車連盟)会長のモハメド・ビン・スライエムは、F1パワーユニット規則の大幅変更が発表されたことを受け、FIA、F1、各チーム、パワーユニットメーカーによる協調的な取り組みを称賛した。

    2027年から、F1のパワーユニットは内燃エンジンとバッテリーシステムの出力配分を見直す。現行の50対50に近い構成は、バッテリーが消耗するとマシンが事実上大きくパワーを失うとして、一部ドライバーから不満が出ていた。

    2027年から内燃エンジン比率を拡大
    FIA、F1、パワーユニットメーカーはここ数週間、内燃エンジン側の出力比率を高め、バッテリーへの依存を下げる方向で協議を続けてきた。

    合意された目標は60対40の出力配分だ。2027年はまず58対42へ移行し、2028年に60対40へ到達する計画となる。

    この変更を実現するため、内燃エンジンへの燃料流量は2027年に5%、2028年に13%引き上げられる。

    一連の変更案は6月23日の世界モータースポーツ評議会に提出され、正式承認を受ける見通しだ。

    ビン・スライエム「F1は常に進化してきた」
    発表を受け、ビン・スライエムは関係者の協力に感謝を示した。

    「F1は常に、新たな課題に対応し、新たな機会をつかむために進化してきました」

    「今回提案された変更は、レギュレーションがエキサイティングなレース、技術革新、そして長期的な持続可能性を支え続けるために、スポーツ全体で進められている協調的な取り組みを反映したものです」

    「FIAには選手権の未来を守る責任があり、今回の調整はその責任の一部です」

    「僕たちのスポーツの未来を形づくり、世界中のファンに届けるためには、共に取り組むことが重要です。FIAスタッフ、各チーム、フォーミュラワン・グループ、そしてパワーユニットメーカーの建設的な姿勢に感謝します」

    批判を受けた50対50構成を修正
    2026年から導入された新世代パワーユニットは、電動領域の比重を大きく高めたことが特徴だった。

    しかし、走行中のエネルギーマネジメントが過度に複雑になり、バッテリーの消耗によってパフォーマンスが大きく変動する点が問題視されてきた。

    今回の変更は、電動化と持続可能燃料という新規則の方向性を維持しつつ、レース中の扱いやすさと競争性を高めるための修正と位置づけられる。

    2028年に60対40へ到達
    F1は2027年に58対42、2028年に60対40へ段階的に移行する。

    これにより、内燃エンジン側の役割が再び拡大し、ドライバーが訴えていたバッテリー消耗時の極端なパワー低下を抑える狙いがある。

    正式承認はまだ残されているが、6月23日の世界モータースポーツ評議会で問題なく通過すると見られている。

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    ・F1 2027年からPU規則改定で合意 内燃エンジン比率を段階的に拡大

  • レッドブルF1がADUO評価に異議 FIAがPUデータ再検証へ

    レッドブルF1がADUO評価に異議 FIAがPUデータ再検証へ

    レッドブルが、FIAによる2026年F1パワーユニット評価に異議を唱えたことで、FIAがADUO制度に基づく評価データの再検証を開始したことが明らかになった。

    問題となっているのは、性能が劣るパワーユニットメーカーに追加開発機会を与える「ADUO」制度だ。FIAは開幕から5戦分のデータを分析し、モナコGP後に各メーカーへ評価結果を通知していたが、現時点で公式発表は行われていない。

    レッドブルPUが内燃エンジン評価で首位に
    バルセロナ・カタルーニャGPのパドックで話題となっているのは、FIAが実施した評価結果だ。

    ここ数週間で関係者の間に広まった情報によると、レッドブル・フォード・パワートレインズのパワーユニットが、内燃エンジン単体の性能評価でトップと判断されたという。

    この結果は多くの関係者にとって意外なものだった。パドックではメルセデスのパワーユニットが総合的に最も優れているとの見方が強く、特に内燃エンジン性能でも基準となる存在だと考えられていたためだ。

    De Telegraafのエリック・ファン・ハーレンによれば、メーカー各社はモナコでFIAから1ページの文書を受け取り、その中で評価結果が示されたという。

    ただし、この評価はパワーユニット全体ではなく、内燃エンジン部分のみを対象としている。

    「出力のおよそ半分は電動モーターによるものだが、この測定では除外されている」とファン・ハーレンは説明した。

    メルセデスは救済対象 レッドブルは対象外
    暫定評価では、メルセデスは基準値から2%以上遅れていると判断され、2026年と2027年にかけて1回のアップグレードパッケージを認められる見込みとなった。

    一方でフェラーリ、アウディ、ホンダは基準値から4%以上遅れているとされ、2回のアップグレードパッケージが許可される可能性がある。

    対照的に、基準メーカーと位置付けられたレッドブルには一切の開発優遇措置が与えられない。

    この結果に対し、レッドブルは強い不満を抱いているとされる。

    ファン・ハーレンは「情報筋によると、エンジンサプライヤーとして初参戦のレッドブルが、いきなり基準メーカーと位置付けられたことに非常に不満を抱いている」と報じている。

    レッドブルが再評価を要求
    motorsport.comによれば、レッドブル首脳陣はメルセデスより上位と評価されたことに驚き、FIAに結果の見直しを要求したという。

    チームから公式なコメントは出ていないが、内部ではこの結果を受け入れ難いとの見方が強いとされる。

    その結果、FIAは追加の検証作業を開始した。

    当初はモナコGP後に正式な発表が行われる予定だったが、再確認作業が始まったことで公表は延期された。

    レッドブル代表のローラン・メキースもモナコではコメントを避けた。

    「FIAがまだ正式な結論を公表していないため、現時点ではコメントしたくない」との立場だったと伝えられている。

    レッドブル F1 国際自動車連盟

    FIAは三度目の確認作業へ
    FIAは評価の正確性を保証するため、プロセス全体を再確認している。

    実際には技術担当者がすでに一度追加チェックを実施していたが、レッドブル・パワートレインズからの異議申し立てを受け、さらにもう一度検証を行うことを決定した。

    FIA内部では、最終結果が大きく変わる可能性は低いと考えられているという。しかし、後の論争を避けるために可能な限り透明性を確保したい考えだ。

    新たな検証プロセスは今週月曜日から開始されており、結果は10日ほどでまとまる見通しだ。最終的な結論は来週末までに出され、FIAが正式な声明として公表する予定となっている。

    透明性への批判も高まる
    FIAが結果を公表せず沈黙を続けていることに対しては、メディアからも批判の声が上がっている。

    L’Equipeのフレデリック・フェレは「連盟は依然として舞台裏で動いており、透明性が欠けている。そのため数字の実態は依然として不明確だ」と指摘した。

    また、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは評価手法そのものに疑問を呈した。

    「もちろん電動部分も大きな役割を果たすが、この比較では考慮されていない」

    「私はメルセデスが非常に賢く立ち回ったと思う。トト・ヴォルフはフォード・レッドブルのエンジンが非常に強力だと繰り返し話していた」

    「GTレースのバランス・オブ・パフォーマンスを思い出す。シーズンを有利に進めるためには賢く立ち回る必要がある。メルセデスはまさにそれをやったのだと思う」

    「彼らのエンジンがまだ本当の性能を見せていなかったとしても、私は驚かない」

    シューマッハは一方で、もしFIAの評価が正しいのであれば、レッドブルの成果は極めて特別なものだとも強調した。

    「レッドブルが成し遂げたことがどれほど特別か、僕たちは強調し続けるべきだ」

    「結局のところ、エナジードリンク企業がトップクラスのエンジンを開発したということだ」

    「クリスチャン・ホーナーはその功績に対して大きな称賛を受けるべきだ」

    ADUO制度は本来、競争力の差が開き過ぎることを防ぎ、出遅れたメーカーに開発機会を与えるために導入された。しかし、評価対象が内燃エンジン部分のみに限定されていることから、実際のパワーユニット性能やレース結果との整合性を疑問視する声も出ている。

    2026年ここまでメルセデス勢が全勝を続けるなか、内燃エンジン評価ではレッドブルが基準メーカーと判断されたことは、制度そのものの妥当性を巡る新たな議論を呼んでいる。FIAが来週公表する最終結果に注目が集まっている。

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  • マレリのF1公式データロガーが300戦達成 AI搭載のSDR 5を投入

    マレリのF1公式データロガーが300戦達成 AI搭載のSDR 5を投入

    マレリがFIAと共同開発するF1公式データロガー「サバイバル・データ・レコーダー(SDR)」が、2026年モナコGPで通算300レース目の運用を達成した。

    さらに、2026年の新レギュレーションに対応した最新モデル「SDR 5」が実戦投入され、AIを活用した高度なデータ分析機能や通信性能の向上によって、F1の安全性と規則順守を支える役割をさらに強化している。

    F1の安全と競技運営を支える重要な電子ユニット
    SDRはすべてのF1マシンに搭載されている公式データロガーであり、レース中の安全性向上や技術レギュレーションの監視を目的としてFIAへリアルタイムでデータを提供している。

    マシンに搭載された加速度センサーや温度・圧力・速度センサー、さらには各種電子制御ユニットから情報を収集し、高速かつ高信頼で記録する。取得したデータは数式処理やハードウェアフィルターによって整理・分析され、専用通信回線を通じてFIAの競技委員へ送信される。

    これにより異常な挙動やトラブルの兆候を迅速に検知できるほか、事故解析や技術規則違反の有無を確認するための重要な基盤となっている。

    FIAとマレリが300レース達成を祝福
    モナコGPでは300レース到達を記念するセレモニーが実施され、マレリ・モータースポーツ責任者のリカルド・デ・フィリッピが、FIA会長モハメド・ビン・スライエムへ限定版の「SDR 4」を贈呈した。

    モハメド・ビン・スライエムは次のように述べた。

    「SDRはF1にとって極めて重要な存在です。安全性を支え、規則順守を確実にするために必要な高品質なデータをFIAに提供してくれています。F1で300レースを達成したことは素晴らしい節目であり、マレリとの強い協力関係の証でもあります」

    「モータースポーツの根幹には常にイノベーションがあります。新しいSDR 5のような先進技術は、より速く、より正確で、より包括的なデータを届けることで、FIAの競技委員を支える上で、今後さらに重要な役割を果たすことになるでしょう」

    AIを搭載した新型SDR 5がデビュー
    今回投入されたSDR 5は、2026年から導入された新たなF1技術規則に対応するために開発された最新モデルだ。

    従来システムとの互換性を維持しながら、10基の高速CAN FDインターフェースと新たな車載イーサネット・ポートを搭載し、通信能力を大幅に向上させた。

    最大5,000チャンネルのデータ取得に対応し、重要データの収集速度も改善。データ転送量と通信速度は従来比で2倍となり、より効率的な情報処理が可能となった。

    さらに、高度なフィルター機能や監視機能の追加によってデータ精度を高めたほか、電圧や電流の測定機能も新たに搭載。最新のドライバー回路によってアクチュエーター制御の柔軟性も向上し、電流の直接計測や設置作業の簡略化も実現している。

    そして最大の特徴がAIの導入だ。AIによる高度なデータ分析機能によって、膨大なレースデータから有益な情報をより迅速に抽出できるようになった。また、本体の軽量化によってマシン全体の性能向上にも貢献している。

    マレリ「F1の進化を支え続ける」
    リカルド・デ・フィリッピは、新型SDR 5の投入について次のようにコメントした。

    「最先端のモータースポーツにおいて、リアルタイムのデータ分析は極めて重要です。当社のSDRがデータの収集と転送を支え、技術レギュレーションの順守に貢献してきたF1レースは、これまでに300回を超えました。これはまさに祝うべき節目です」

    「新しいSDR 5の導入により、競技委員はこれまで以上に正確で信頼性が高く、すぐに役立つ情報を得られるようになります。私たちはFIAと共にイノベーションを推進し、F1の進化を支えていきます。これからも技術の限界に挑み続けることを楽しみにしています」

    マレリは、SDR 5の導入によってF1およびFIAへの技術的貢献をさらに深めていく考えだ。100年以上にわたりモータースポーツで培ってきた経験を活かし、今後も安全性の向上と技術革新を通じて、最高峰カテゴリーの発展を支えていく。

  • F1 2027年からPU規則改定で合意 内燃エンジン比率を段階的に拡大

    F1 2027年からPU規則改定で合意 内燃エンジン比率を段階的に拡大

    FIA、FOM、F1チーム、そしてパワーユニットメーカーは、2027年および2028年に向けたパワーユニット規則の見直しで合意に達した。新世代パワーユニットの基本方針は維持しつつ、内燃エンジン比率を高めることで、近年課題として指摘されてきた過度なエネルギーマネジメントを緩和する狙いがある。

    今回の変更案は、各メーカーやチームの利害が交錯する中でまとめられた妥協案であり、2026年から導入された新規則の運用を通じて明らかになった課題への対応策となる。

    今後は6月23日に開催されるFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)で正式承認が行われる予定だ。

    2027年から段階的に内燃エンジン比率を拡大
    今回の合意では、一度に大幅な変更を加えるのではなく、数年をかけてパワーバランスを調整していく方針が採用された。

    2027年からは燃料流量を5%引き上げることで、内燃エンジン出力は400kWから420kWへ増加する。一方で、電動モーター(MGU-K)の最大出力は350kWから300kWへ引き下げられる。

    ただし、オーバーテイクモードについては現行の350kWを維持し、追い抜き時のパフォーマンス低下は避けられる。また、エネルギー回生能力は250kWから375kWへ大幅に拡大される。

    これにより、現在53%対47%となっている内燃エンジンと電動出力の比率は、2027年に58%対42%へ移行することになる。

    2028年には60対40の比率へ
    さらに2028年には追加の変更が予定されている。

    燃料流量は現行比で13%増加し、内燃エンジン出力は450kWへ到達する見込みだ。エネルギー回生能力も400kWまで引き上げられ、最終的に内燃エンジン60%、電動40%という長期目標のパワーバランスが実現される。

    段階的な導入としたことで、各メーカーは開発計画や予算を調整する時間を確保でき、大規模な規則変更による混乱も回避できる。

    メーカー間の意見対立を経て妥協案に到達
    今回の合意に至るまでには数か月にわたる協議が行われた。

    一部メーカーは内燃エンジン出力の引き上げをより早い段階で実施することを望んでいた一方、別のメーカーは開発コストや短期間での対応の難しさを理由に慎重な姿勢を示していた。

    最終的には性能向上とコスト管理の双方を考慮した妥協案として、段階的な移行プランが採用された。

    FIAは声明で次のように説明している。

    「2026年のF1レギュレーションはFIA、FOM、チーム、自動車メーカー、パワーユニットメーカーが緊密に協力して策定された。今回の修正もその協力関係の延長線上にあり、関係者全員が運用上の課題に対処するために共同でフレームワークを改善したものだ」

    またFIAは、規則変更への対応を支援するため、メーカー向けの財務規則についても柔軟性を持たせる改定を盛り込んだことを明らかにした。

    エネルギーマネジメント負担の軽減が狙い
    今回の見直しの背景には、2026年規則下で顕在化した運用面の課題がある。

    新世代パワーユニットはレース展開の多様化に貢献した一方で、ドライバーからは予選や決勝で求められるエネルギーマネジメントの負担が大きすぎるとの声が相次いでいた。

    また、特定の状況下で発生する大きな速度差についても懸念が示されていた。

    そのためF1関係者は、レギュレーションを全面的に作り直すのではなく、段階的な改善によってパフォーマンスとレース品質を維持しながら問題解決を図る道を選択した。

    世界モータースポーツ評議会で承認されれば、今回の改定はF1ハイブリッド時代の次なる方向性を決定づける重要な転換点となる。

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    ・F1 2027年からPU規則改定で合意 内燃エンジン比率を段階的に拡大

  • FIAがF1モナコGP速度違反騒動を説明「原因はピット入口のライン取り」

    FIAがF1モナコGP速度違反騒動を説明「原因はピット入口のライン取り」

    2026年F1モナコGPでは、複数のドライバーがピットレーン速度違反によるペナルティを科される異例の展開となった。

    ルイス・ハミルトン、オスカー・ピアストリ、ジョージ・ラッセル、フランコ・コラピント、ピエール・ガスリーらが処分を受けたが、その多くは制限速度をわずか0.1km/h超過しただけだった。

    レース後には計測システムの不具合を疑う声も上がったが、FIAは独自調査の結果、「計測機器やタイミングシステムに異常は確認されなかった」と結論付けた。では、なぜこれほど多くのドライバーが同じ違反を犯したのだろうか。

    FIAが指摘したのはピット入口のライン取り
    FIAによると、問題はドライバーたちがピットレーンへ進入する際のライン取りにあった。

    モナコのピット入口には軽い屈曲があり、ドライバーは右側をまっすぐ通過するような形で進入できる。このラインを使うことで実際の走行距離をわずかに短縮できるが、その結果として計測上の平均速度が高く算出される可能性があるという。

    FIAの広報担当者は、計測はマシンの最初のタイヤがファストレーンへ入った瞬間から開始されると説明した。

    ピット入口をショートカットするようなラインを取った場合、左フロントタイヤが早い段階で計測エリアへ入ることになる。その結果、電子ループと公式トランスポンダーを用いて算出される平均速度がわずかに上昇し、違反判定につながったと考えられている。

    実際、今回の違反はいずれも極めて小さな数値であり、ピアストリ、ラッセル、コラピント、ガスリーは0.1km/h超過、その他のケースでも1km/h未満に収まっていた。

    ハミルトンもFIAの説明に同意
    5秒加算ペナルティを受けながらも2位でフィニッシュしたルイス・ハミルトンも、この見解に理解を示した。

    「僕はスピード違反なんてしていなかった」

    「モナコのピットレーンは何年も走ってきた。ボタンを押し忘れたわけでもないし、ピットリミッターはすぐに作動していた」

    「問題はライン取りだと思う。みんな何年も同じラインで入ってきた。白線を少しカットして進入するラインだ」

    「速度違反だと聞いて本当に驚いた。実際には制限速度を超えていなかったからね」

    「距離の計測方法に関係していると思うし、これは見直す必要がある。今日は多くのドライバーが同じ状況になったが、実際にはスピード違反ではなかったと思う」

    ハミルトンはそう語り、計測方式そのものに改善の余地があるとの考えを示した。

    モナコGP

    レース前にはFIAが警告していた
    興味深いのは、FIAがこの問題をレース前から認識していたことだ。

    レースコントロールは各チームに対し、ピット入口の計測距離や速度判定に関する注意喚起を実施。より大回りのラインを取るようドライバーへ伝えることを推奨していたという。

    それでも複数のドライバーが同じ違反を犯したことで、モナコ特有のレイアウトが改めて注目されることになった。

    なお、ペナルティを受けたドライバーの大半がメルセデス製パワーユニットを搭載していたが、FIAはこれについてパワーユニットやピットリミッターの設定とは無関係だと説明している。

    マクラーレンも同じ見解 アルピーヌは再審査請求
    マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラも、オスカー・ピアストリのケースは入口でのライン取りが原因との見方を示した。

    「現時点では、ピット入口をショートカットしすぎたことが原因ではないかと考えている」

    「そのためオスカーには同じことを避けるよう指示した」

    「以前からショートカットしすぎるとスピードリミッター作動中でも超過として計測される可能性があることは分かっていた。ただ、現段階ではそれ以上のことは分かっていない」

    一方、表彰台を失ったピエール・ガスリーは強い不満を示しており、アルピーヌはFIAに対して再審査請求(ライト・オブ・レビュー)を提出した。

    モナコGP後に大きな議論となった今回の速度違反騒動は、単なるドライバーのミスではなく、モナコ特有のピット入口形状と計測方法が生み出したグレーゾーンだった可能性が高そうだ。

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    ・FIAはセルジオ・ペレスの警告を無視 F1モナコGP終盤の路面崩壊で物議

  • FIAはセルジオ・ペレスの警告を無視 F1モナコGP終盤の路面崩壊で物議

    FIAはセルジオ・ペレスの警告を無視 F1モナコGP終盤の路面崩壊で物議

    F1モナコGP終盤で発生したシャルル・ルクレールとランス・ストロールのクラッシュについて、新たな無線内容からセルジオ・ペレスがかなり前の段階で問題を指摘していたことが明らかになった。

    当初はドライバー側のミスと考えられていたが、その後の調査で原因は最終コーナー進入部の路面損傷だったことが判明。路面の一部が崩れたことでグリップが著しく低下し、ルクレールとストロールはマシンをコントロールできずバリアに激突した。

    ペレスは35周以上前から危険を訴えていた
    問題となったのはサーキット・ド・モナコ最終コーナーの進入部分だった。

    キャデラックF1のセルジオ・ペレスは25周目の時点で無線を通じてチームに異常を報告していた。

    「最終コーナーの路面を清掃する必要がある」

    ペレスはそう訴えていたが、レースコントロールは対応を取らず、レースは通常のグリーンフラッグ状態のまま続行された。

    その後、60周目にストロールが同じ場所でクラッシュ。さらにセーフティカー明けにはルクレールもほぼ同じ形でクラッシュを喫した。

    ストロールの事故を目撃したペレスは無線で強い不満を示した。

    「彼のせいじゃない」

    「レース中ずっとあの場所を清掃するよう言い続けていた。こうなるのは分かっていた」

    結果的にFIAが路面損傷を本格的に調査したのは、ルクレールのクラッシュ後だった。

    赤旗後に修復も時すでに遅し
    ストロールとルクレールの事故が極めて似た状況だったことから、FIAは赤旗を提示して路面の確認を実施した。

    マーシャルは応急処置として損傷箇所を補修し、レースは再開された。

    しかし、その時点で既にアストンマーティンとフェラーリの2台は戦列を去っており、地元優勝を狙っていたルクレールにとっては取り返しのつかない事態となった。

    今回の件は、ドライバーからの安全に関する報告をレースコントロールがどのように扱うべきかという新たな議論を呼びそうだ。

    ドライバー自身は別の原因を指摘
    興味深いのは、当事者であるルクレールとストロールがともに路面を事故原因とは考えていない点だ。

    ルクレールはクラッシュ後、フェラーリが使用するブレンボ製ブレーキシステムに問題があったとの見解を示した。

    一方のストロールは、アストンマーティン・ホンダのマシンで発生したエンジンブレーキ関連の不具合が原因だったと説明している。

    ただし、同一箇所でほぼ同じ形のクラッシュが連続して発生したこと、さらにペレスが約35周前から危険性を警告していた事実を踏まえると、路面状況が少なくとも事故発生の一因だった可能性は高そうだ。

    ペレス自身はポイント獲得ならず
    ペレスはモナコ市街地で今季のキャデラックF1としては最も競争力のある走りを披露した。

    チェッカー時点では11位だったが、ニコ・ヒュルケンベルグのペナルティによって10位へ繰り上がり、チーム初ポイント獲得が目前となった。

    しかしレース後、リスタート時の位置違反により10秒加算ペナルティを科され、ポイント圏外へ降格。キャデラックの初ポイントは再び持ち越しとなった。

    今回のモナコGPではポイントこそ逃したものの、結果的にペレスの無線がレース後最大級の論争材料のひとつとなっている。

    【関連】
    ・フェラーリF1ブレーキ問題 ハミルトンはブレンボ製ディスクを使用せず

  • FIAがガスリー降格裁定を再審理 アルピーヌF1の異議申し立てを受理

    FIAがガスリー降格裁定を再審理 アルピーヌF1の異議申し立てを受理

    ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は2026年F1モナコGPで3位フィニッシュを果たしたものの、ピットレーン速度違反による2件の5秒加算ペナルティによって表彰台を失った。しかし、その結果を覆そうとするアルピーヌの挑戦が新たな局面を迎えている。

    FIAは、アルピーヌが提出した「再審査請求(Right of Review)」を受理し、6月11日(木)にオンライン形式で審理を実施することを正式に発表した。

    アルピーヌが2件のペナルティ取り消しを要求
    レース後、アルピーヌはガスリーに科された2件の5秒加算ペナルティについて再審査請求を提出した。

    FIAが公開した文書によると、対象となるのはモナコGP決勝中に科された2件のピットレーン速度違反の裁定で、審理は中欧時間13時(日本時間20時)からオンラインで行われる。

    ただし、アルピーヌが直面する最大のハードルは、ペナルティが誤っていたことを証明することではない。

    FIA国際競技規則第14条に基づき、まずは当初の裁定時点では利用できなかった「重要かつ関連性のある新たな証拠」が存在することをスチュワードに認めさせる必要がある。

    今回の審理は2段階で進められる。

    まず第1段階で、アルピーヌは新証拠の存在を示す資料や主張を提出する。

    スチュワードがそれを認めた場合のみ、第2段階に進み、ペナルティそのものの妥当性が再検討される。

    0.1km/hと0.4km/h超過で表彰台喪失
    ガスリーはモナコGPで9番グリッドから追い上げ、キャリア最高レベルのレースのひとつと評した走りで3位チェッカーを受けた。

    しかし、レース中に60km/h制限のピットレーンで平均速度を0.1km/h、さらに別の場面で0.4km/h超過したとして、それぞれ5秒加算ペナルティを科された。

    合計10秒が加算された結果、ガスリーは3位から7位へ降格した。

    これによりアイザック・ハジャーが繰り上がりで初表彰台を獲得し、オスカー・ピアストリ、リアム・ローソン、アービッド・リンドブラッドも順位を上げた。

    ガスリーが3位を取り戻すためには、事実上2件のペナルティがともに取り消される必要がある。

    モナコ特有の速度計測方式が争点か
    今回のモナコGPでは異例ともいえる数のピットレーン速度違反が発生した。

    FIAは瞬間速度ではなく、ピットレーンのファストレーン区間に埋め込まれた計測ループとトランスポンダーを用いて平均速度を算出している。

    モナコのピットレーン入口はカーブ形状となっており、一部のドライバーはライン取りによって計測区間の走行距離が短くなった。その結果、制限速度付近で走行していても平均速度が上昇し、違反判定を受けたとみられている。

    レース後にはFIAも計測システムを再確認したが、異常は発見されなかったと説明している。

    アルピーヌF1チーム(ピエール・ガスリー) モナコGP

    過去にも成功例はあるが高い壁
    再審査請求が成功するケースはF1では非常に稀だ。

    多くの場合、チームは「新たな証拠」の存在を認めさせることができず、審理の第1段階で却下される。

    ただし前例がないわけではない。

    昨年のザントフォールトでは、カルロス・サインツJr.とリアム・ローソンの接触に対するペナルティについて、ウィリアムズがレース中には利用できなかった車載映像を提出し、裁定が覆されたケースがあった。

    現時点でアルピーヌがどのような証拠を提出するのかは明らかになっていない。

    ガスリー「不公平な理由で奪われた」
    レース後のガスリーは強い失望を隠さなかった。

    「今の僕をこれ以上傷つけられるものはないと思う」

    「こういう瞬間のために10年間必死に努力してきたんだ」

    「今日はすべてを正しくやった。応援してくれたファンの前で表彰台に立てたはずだった」

    「こういう瞬間が、不公平な理由で僕たちから奪われるべきではない」

    木曜日の審理では、まずアルピーヌが提示する証拠が「重要かつ関連性のある新事実」と認められるかが焦点となる。そのハードルを越えられなければ、ガスリーの表彰台復活の可能性はその時点で消滅することになる。

  • メルセデスF1がADUO救済対象? 開幕6連勝チームへの優遇措置に波紋

    メルセデスF1がADUO救済対象? 開幕6連勝チームへの優遇措置に波紋

    開幕から6戦全勝。ドライバーズランキング首位のキミ・アントネッリを擁し、コンストラクターズ選手権でも他を圧倒するメルセデスに、FIAの救済制度による開発優遇措置が与えられる可能性が浮上した。

    2026年から導入された「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」の初回評価結果を巡り、レッドブル・フォードのパワーユニット(PU)がベンチマークと認定され、メルセデスも救済措置の対象になるとの報道が波紋を広げている。

    全勝チームが“追いつくための制度”の対象に
    ADUOは、2026年の新PUレギュレーション導入に伴い設けられた救済制度だ。

    ベンチマークとなる最速PUに対して一定以上の性能差が認められたメーカーには、追加開発の機会やコストキャップ上の優遇措置が与えられる。

    本来の目的は、出遅れたメーカーが性能差を縮めるための支援である。

    ところがイタリアのAutoracerによると、FIAが各メーカーへ通知した初回評価では、レッドブル・パワートレインズ・フォード(RBPT-Ford)が最速PUと判定されたという。

    さらにメルセデスPUは基準値から2〜4%遅れていると評価され、2026年に1回、2027年に1回の追加アップデート権を得る見通しだと報じられている。

    もしこれが事実であれば、開幕から6戦全勝を記録しているチームが「追いつくための制度」の恩恵を受けるという異例の状況になる。

    ホンダとアウディはさらに大きな差か
    報道によれば、各メーカーの差は以下のように評価されている。

    ■ レッドブル・フォード:基準PU

    ■ メルセデス:2〜4%の遅れ

    ■ フェラーリ:4%超の遅れ

    ■ アウディ:4〜6%の遅れ

    ■ ホンダ:6%超の遅れ

    この数字が正しければ、レッドブル・フォードのみが救済措置の対象外となり、その他すべてのメーカーが追加開発の権利を得ることになる。

    特に注目されるのはホンダの評価だ。6%以上の性能差が認定された場合、追加開発だけでなくベンチテスト時間や予算面でもより大きな優遇措置を受けられる可能性がある。

    ホンダについては、シーズン開幕当初から50〜60馬力程度の出力不足が指摘されてきた。

    今回報じられた数値は、その見方を裏付ける内容とも受け取れる。

    ただし実際の性能差については見解が分かれている。

    アストンマーティンのランス・ストロールは先日、ホンダPUの不足分は40馬力未満との認識を示しており、パドック内でも評価は一致していない。

    また、FIAは各メーカーの詳細な数値を公表しておらず、現時点では報道ベースの情報である点にも注意が必要だ。

    ホンダ F1 パワーユニット

    現場の認識と食い違う評価結果
    今回の評価結果が注目される理由は、パドックの一般的な認識と大きく異なるためだ。

    2026年シーズン序盤を見れば、多くの関係者はメルセデスPUを最強と考えている。

    実際にメルセデスは開幕から6連勝を達成しており、マクラーレンやウィリアムズといったカスタマーチームも高い競争力を示している。

    そのため「最強PUはメルセデス」という見方が広く浸透していた。

    しかしFIAの評価では、内燃エンジン単体の出力を中心とした独自の計算式が用いられているとされる。

    各マシンに搭載された標準センサーから得られたデータを分析し、特にストレート序盤で発揮される出力を重視して性能を算出した結果、レッドブル・フォードがトップと認定されたという。

    つまり今回の評価は、ラップタイム全体ではなくPU単体の性能を重視した結果とみられている。

    FIAは制度見直しを検討か
    こうした状況を受け、FIAとメーカー各社はADUO制度そのものの見直しを検討していると報じられている。

    The Raceによれば、FIA内部では評価式をより複雑なものへ変更する案も浮上しているという。

    現在の方式では内燃エンジン出力が重視されているが、実際の競争力は電動システム、エネルギーマネジメント、ターボ特性、空力との統合性能によって大きく左右される。

    そのため「最速PU」の定義そのものを見直すべきとの意見が出ている。

    実はFIAシングルシーター部門責任者のニコラス・トンバジスは2025年の段階で、より複雑な評価方式をメーカー側へ提案していたことを明かしている。

    しかし当時はメーカー側が導入に否定的だったため、現在のシンプルな計算方式が採用された経緯がある。

    今回の結果を受け、その議論が再燃する可能性が高まっている。

    制度廃止論まで浮上
    一部ではADUO制度そのものを廃止すべきとの意見も出始めている。

    特に議論を呼んでいるのは、開幕から6戦全勝のメルセデスが追加開発の権利を得る一方で、基準PUと判定されたレッドブル・フォードだけが救済措置の対象外になる可能性だ。

    本来は後れを取るメーカーを支援するための制度だが、実際には選手権を支配しているチームにさらなる開発機会を与える構図になりかねない。

    そのためFIAとメーカー各社は、制度の継続や運用方法の見直しについて協議を進めているとみられる。

    2027年F1レギュレーションにも影響
    この問題は2027年F1パワーユニット規則の議論とも密接に関係している。

    これまでフェラーリは、内燃エンジンと電動出力の比率変更案に反対してきた。

    その背景には、ADUOを利用して性能差を縮められるとの期待があった