カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • レッドブルF1 ADUO判定見直しをなお要求 FIAと「建設的な話し合い」

    レッドブルF1 ADUO判定見直しをなお要求 FIAと「建設的な話し合い」

    レッドブル・レーシングは、FIA(国際自動車連盟)による2026年F1パワーユニットの「ADUO(追加開発・アップグレード機会)」評価について、現在も見直しを求める協議を続けていることを明らかにした。

    レッドブル・フォードの内燃エンジン(ICE)が全メーカー中で最も優れていると評価されたことで、フェラーリ、アウディ、ホンダ、メルセデスには性能差に応じた追加開発枠が認められる一方、レッドブルは対象外となっている。

    この判定は2026年シーズンだけでなく、今後の開発競争にも大きな影響を与える可能性がある。

    判定見直しへ FIAとデータを精査
    レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、FIAとの協議が現在も続いていると説明した。

    「それ以来、FIAとは非常に建設的な話し合いを続けている」

    「FIAは現在レビューを進めており、正しい判断と全体像を把握してもらえるよう、できる限り多くのデータを提供している」

    メキースは、今回の評価にはチームとして納得していないと改めて強調した。

    「おっしゃる通り、我々はこの結果について異なる見解を持っている。それだけでなく、この判定は今年だけでなく来年にも大きな影響を及ぼす」

    「だからこそ、まず何よりもスポーツ全体のために、正しい判断が下されることが重要だ」

    「もちろん、レッドブル・レーシングにとっても、どちら側の立場になるかで影響は非常に大きい」

    最終順位は未確定 ハンガリーGPで再評価の可能性も
    FIAは現時点でもADUO評価の最終順位を正式発表しておらず、当初の評価は暫定的なもので、夏休み前最後の一戦となるハンガリーGPまでに再評価が行われる可能性も取り沙汰されている。

    レッドブルが求める再審査が受け入れられるかは依然として不透明だが、FIAとのデータ検証は現在も継続している。

    ADUOは内燃エンジンのみを評価対象
    一方、アウディのマッティア・ビノットは、ADUOが評価しているのはパワーユニット全体ではなく、内燃エンジン単体の性能であることを改めて説明した。

    「エネルギーマネジメントや電気システムの効率とは関係ない。純粋なエンジン出力だけを評価している」

    「もしエンジン出力が劣ると評価されたのであれば、まず集中すべきなのはエンジン出力そのものだ」

    その一方で、バッテリーやインバーター、ターボの仕様などには別の性能向上余地があると指摘した。

    「バッテリーやインバーターの効率、ターボのサイズ、サーキットでのドライバビリティや妥協点など改善できる要素はある。しかしADUOが評価しているのは純粋な内燃エンジンの性能差だけだ」

    メルセデスのトト・ヴォルフも、この見解に同意した。

    「マッティアが言ったように、対象は内燃エンジンだ」

    「ICEのパワーがどれだけあるかは比較的簡単に分析できる。そして我々が後れを取っているのであれば、それは確かに課題だ」

    メルセデスは追加開発を温存か
    パドックでは、メルセデスがADUOによる追加開発権を獲得しているにもかかわらず、当面はその権利を行使しない可能性があるとの見方も浮上している。

    レッドブルによる判定見直しの行方に加え、各メーカーが認められた追加開発枠をいつ、どのような形で投入するのかは、2026年のパワーユニット開発競争を左右する重要な焦点となりそうだ。

  • FIA 2027年F1技術規則を正式公開 ドライバーは改善を評価も課題を指摘

    FIA 2027年F1技術規則を正式公開 ドライバーは改善を評価も課題を指摘

    FIA(国際自動車連盟)は2027年のF1技術規則の全文を公開し、新世代パワーユニット導入を巡る議論を経て、大幅なルール改訂の詳細が明らかになった。

    世界モータースポーツ評議会(WMSC)が先週正式承認した新規則は全278ページに及び、2026年規則への批判を受けて内燃エンジンとハイブリッドシステムの双方を強化する内容となっている。ドライバーからは改善を歓迎する声が上がる一方で、依然としてタイヤやエネルギーマネジメントへの課題も指摘された。

    2027年F1技術規則で何が変わるのか
    FIAが公開した2027年技術規則では、2026年に導入された新世代パワーユニットの方向性を維持しつつ、競技性やドライバビリティを改善するための見直しが実施された。

    ドイツの『Auto Motor und Sport』によると、主な変更点は以下の通り。

    ■ 最大燃料エネルギー流量の引き上げ

    ■ ERS最大出力の増加

    ■ 1周あたり使用可能なバッテリーエネルギーの増加

    ■ 車速に応じた新しいエネルギー展開制御を導入

    ■ 新たなオーバーテイクモードを採用

    ■ フロア下空力を簡素化

    ■ 空力パーツのたわみ試験を見直し

    ■ ドライバー+バラスト込み最低重量を82kgへ引き上げ

    ■ 安全規則の一部を簡素化

    これらはFIAとF1、各チーム、そしてドライバーが協議を重ねた結果、2027年および2028年のエンジン規則見直しとして合意された内容を反映したものとなる。

    ラッセル「クルマはかなり運転しやすくなった」
    オーストリアGPをポール・トゥ・ウィンで制したジョージ・ラッセルは、シーズン途中から進められてきた規則変更によってマシンは着実に改善していると評価した。

    「日本GP以降に行われたレギュレーション変更は非常に良かったと思う。クルマはかなり運転しやすくなった」

    その一方で、現在のF1マシン最大の課題としてタイヤを挙げた。

    「すべてのドライバーが不満を言っているのはタイヤ空気圧だ。でも、聞いている限りではピレリも改善に取り組んでいるようだ」

    「僕たちからすると、大きな風船の上を走っているような感覚なんだ」

    「そこが改善されれば、ドライバーにとってもレースにとってもずっと良くなる。タイヤのオーバーヒートも減るし、もっと接近戦ができるようになる。それが次の大きなステップだと思う」

    ルクレール「まだエネルギーマネジメントを考え過ぎている」
    シャルル・ルクレールもマシンの改善を認めながらも、依然としてエネルギーマネジメントへの依存が大きい点を課題として挙げた。

    「今年のクルマと昨年のクルマのどちらが好きかと聞かれれば、昨年のほうが好きだ。いくつかのサーキットでは限界までプッシュすることができたからね」

    「ジョージが言うように改善されてきているのは事実だ。でも、このようなサーキットでは今でもエネルギーマネジメントを常に考えながら走らなければならない」

    「バルセロナ・カタルーニャGPやモナコではそれほどではなかったけれど、まだそういうコースは残っている。それがドライビングの楽しさを少し減らしてしまっている」

    「ただ、現状はそういうものだし、今後さらに改善されていくと確信している」

    2027年へ向けてFIAは実用性と競技性の両立を目指す
    2027年技術規則は、2026年型パワーユニットに対する「エネルギーマネジメントが多すぎる」「オーバーテイクしにくい」といった懸念を受けて見直された内容となった。

    内燃エンジンとERSの双方を強化するとともに、オーバーテイク支援機能やエネルギー展開方式を刷新することで、ドライバーがより積極的にプッシュできるレースを目指している。

    ラッセルやルクレールのコメントからも分かるように、現行マシンには改善の兆しが見え始めている一方、タイヤ特性やエネルギーマネジメントなど、今後も解決すべき課題は残されており、2027年規則がそれらをどこまで改善できるかが注目される。

  • バーニー・エクレストン FIA会長を全面支持「何か悪いことをしたとは思えない」

    バーニー・エクレストン FIA会長を全面支持「何か悪いことをしたとは思えない」

    バーニー・エクレストンは、FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエム会長を高く評価し、その手腕を全面的に支持した。また、自身が以前から主張している自然吸気エンジンへの回帰についても改めて持論を展開した。

    エクレストンはF1オーストリアGPで報道陣の取材に応じ、2021年からFIAを率いるビン・スライエムについて「これまで何か間違ったことをしたとは思えない」と語り、その改革姿勢を称賛した。

    「何か悪いことをしたとは思えない」
    F1商業面を長年率いたエクレストンは、ジャン=マリー・バレストル、マックス・モズレー、ジャン・トッドと歴代FIA会長とも密接に仕事をしてきた経験を持つ。そのうえで、現会長のビン・スライエムにも高い評価を与えた。

    また、妻のファビアナ・エクレストンがFIA副会長(南米担当)を務めていることから、組織内部の事情にも理解があることを示している。

    「彼が何か悪いことをしたか考えてみているが、思いつかない」

    「彼が引き継いだ仕事は簡単ではなかった。すべてを公平に機能させ、少しずつ時代に合わせようとしていると思う」

    「もちろん、常に100%正しい判断を下すことはできない。しかし、現時点で彼がやるべきではなかったことをやったとは思えない。むしろ、今後やってほしいことが一つ二つある」

    望むのは3リッター自然吸気エンジン
    その「今後やってほしいこと」としてエクレストンが真っ先に挙げたのが、自然吸気エンジンへの回帰だった。

    「3リッターエンジンだ。V8でもV10でもV12でも構わない」

    「おそらく誰もがそれを歓迎すると思う。私はそれが正しい方向だと考えている」

    一方で、パワーユニットメーカーを説得する難しさについても理解を示した。

    「メーカーは十分だと思った時に、自分たちの都合で去っていくだけだ。誰かに相談するわけではない」

    現在F1では、将来的なV8エンジン復活について議論が進められている。

    モハメド・ビン・スライエム(国際自動車連盟 / FIA会長)

    FIA財政改革も高く評価
    エクレストンは、ビン・スライエム体制でFIAの財務状況が改善したことも大きな成果として挙げた。

    FIAは2021年に2400万ユーロの赤字を計上していたが、2025年度決算では670万ユーロの黒字を報告している。

    「彼は非常に難しい仕事を任された。自分が始めた問題ではないものを引き継いだからだ」

    「何をすべきか、何をすべきでないかを一つひとつ学びながら進めてきた。そして素晴らしい仕事をしていると思う」

    さらに、FIAが利益を生み出すことへの批判にも反論した。

    「財政面でもFIAを本来あるべき姿に戻している。FIAが利益を出すことに何の問題もない」

    「組織を維持するには資金が必要であり、各国クラブへの支援など彼が進めている活動にも資金は欠かせない」

    「彼自身は報酬目的でその職に就いているわけではない。スポーツのために最善を尽くそうとしているだけだ」

    24戦カレンダーとスプリントにも否定的
    エクレストンは現在のF1が採用している年間24戦のカレンダーとスプリントレースについても否定的な見解を示した。

    「どちらも間違っていると思う」

    「24戦というのは、ファンも含めて誰にとっても多すぎる。1戦見逃しても『また2週間後にあるだろう』となってしまう」

    「スプリントレースについては、何のためにあるのか私にはまったく分からない」

    また、自身がF1を率いていた頃を恋しく思うかと問われると、商業面での仕事には未練があるとしながらも、レースそのものへの執着はないと笑顔で振り返った。

    「恋しい部分もある。財政面で物事をまとめる仕事は好きだった」

    「でも、私はレースの最後まで観戦したことは一度もない。それが良かったのか悪かったのかは分からないが、自分の仕事は果たしたと思っている」

    今回の発言でエクレストンは、ビン・スライエム会長によるFIA改革を全面的に支持するとともに、自然吸気エンジンへの回帰や現在のF1フォーマットの見直しなど、自身が考える将来のF1像について改めて持論を示した。

  • F1オーストリアGP決勝前にマーシャルが心臓疾患で搬送 FIAが回復を祈る

    F1オーストリアGP決勝前にマーシャルが心臓疾患で搬送 FIAが回復を祈る

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1第8戦オーストリアGPの決勝前に、サーキットで活動していたマーシャル1人が心臓の緊急疾患を発症し、病院へ搬送されたことを明らかにした。

    搬送されたマーシャルはヘリコプターで近隣の病院へ運ばれ、医療処置を受けた。FIAは声明を発表し、一日も早い回復を願うとともに、長年にわたる献身に感謝の意を示した。

    FIA「一日も早い回復を願う」
    FIAは公式X(旧Twitter)で次のようにコメントした。

    「FIAは、日曜日のレース前に心臓の緊急疾患を発症したオーストリアGPのマーシャル、ハーランドさんを思っています」

    「彼はヘリコプターで近隣の病院へ搬送され、医療処置を受けました」

    「ハーランドさんの一日も早い完全な回復を願うとともに、ご家族や大切な方々へ心からお見舞い申し上げます。そして、このスポーツへの献身と尽力に感謝します」

    F1開催を支えるボランティアの存在
    F1のレース運営は、世界各地のサーキットで活動する数百人規模のマーシャルによって支えられている。

    マーシャルの大半は無報酬のボランティアであり、事故発生時の初動対応やコース上の安全確保、医療支援、車両回収など、レース運営に欠かせない役割を担っている。あらゆる天候の中でコース脇に配置され、F1だけでなくサポートレースを含む週末全体の安全確保に貢献している。

    オーストリアGPではジョージ・ラッセルが優勝を飾ったが、そのレースはこうしたマーシャルをはじめとする多くの運営スタッフの支えによって成立している。今回の出来事を受け、FIAは改めてマーシャルの献身に感謝するとともに、搬送されたハーランドさんの早期回復を願っている。

  • フェラーリF1発案の「エキゾーストウイング」 2027年から禁止へ FIAが規則改定

    フェラーリF1発案の「エキゾーストウイング」 2027年から禁止へ FIAが規則改定

    フェラーリが2026年シーズンに先駆けて導入した「エキゾーストウイング」が、2027年からF1で禁止されることが正式決定した。

    FIAは技術規則を改定し、排気口周辺にウイングを設置する設計を不可能にする新たな「エキゾースト除外ゾーン」を導入。オーストリアGPではフェラーリが早くもこのパーツを取り外した状態で走行テストを実施しており、将来を見据えたデータ収集を進めている。

    FIAが技術開発競争の激化を未然に防止
    フェラーリが考案したエキゾーストウイングは、ギアボックスとクラッシュストラクチャーを独自に配置することで、テールパイプ後方に小型ウイングを装着する設計だった。

    このデバイスはディフューザーの実質的な長さを拡大するとともに、リアウイングへ流れる気流を整え、リアダウンフォースを増加させる効果があった。

    ライバルチームは同じレイアウトを採用するにはホモロゲーション済み部品の再承認が必要となるため、そのままコピーすることは困難だった。

    その代わり、メルセデス、マクラーレン、レッドブルなどは、レギュレーションで認められていた排気管サポートを利用し、その支持構造を空力デバイスとして活用する設計を取り入れた。

    FIAはこれらの設計が現行規則には適合していると判断していた一方、このまま放置すれば開発競争が過熱し、新たな技術競争へ発展する可能性を懸念。各チームのテクニカルディレクターとの協議を経て、2027年から全面的に禁止することで合意した。

    スクーデリア・フェラーリ

    新たな「エキゾースト除外ゾーン」を導入
    2027年規則では、排気口の外径より20mm大きい円筒状の「エキゾースト除外ゾーン」が新設され、この範囲内にはいかなる車体パーツも配置できなくなる。

    さらに、これまで認められていた排気管サポートに関する規定そのものも削除され、支持構造を空力目的で利用する余地は完全になくなる。

    これにより、フェラーリが生み出したエキゾーストウイングだけでなく、他チームが採用した類似コンセプトもすべて使用できなくなる。

    フェラーリはオーストリアGPで早くも実験開始
    こうした禁止決定が正式発表された同日に、フェラーリはオーストリアGPのフリー走行1回目で育成ドライバーのディーノ・ベガノヴィッチのマシンからエキゾーストウイングを取り外して走行させた。

    このテストは主にデータ収集が目的であり、特に低ダウンフォース仕様が求められるサーキットでは、ウイングを装着しないセットアップが有利になる可能性を評価する狙いがある。

    エキゾーストウイングを外すことで空気抵抗を減らせるほか、排気の背圧も低減できると考えられており、理論上は約10kWの出力損失を防げる可能性があるとされている。

    FIAは2027年のレギュレーション改定によって、排気周辺を利用した空力開発の余地を完全に閉ざす方針を打ち出した。一方でフェラーリは、禁止を待つことなく実戦データの収集を始めており、2026年シーズン後半の低ダウンフォース仕様に生かせるかどうかを検証していく。

  • レッドブルF1に痛手 FIAがADUO再審査でも判定維持へ

    レッドブルF1に痛手 FIAがADUO再審査でも判定維持へ

    FIA(国際自動車連盟)が進めていた2026年F1パワーユニット(PU)の「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」初回評価の再審査で、レッドブルの異議申し立ては認められない見通しとなった。

    レッドブルは、FIAが自社の内燃エンジン(ICE)をグリッド最強と評価したことに異議を唱え、詳細な説明を求めていた。

    しかし再審査を経ても当初の判定は変更されない見込みで、同チームは引き続き性能向上のためのADUOアップグレードを認められない可能性が高い。

    FIAはレッドブルへの説明を準備 判定変更の兆候はなし
    レッドブルは、FIAによるADUO評価で自社PUがメルセデスやフェラーリを上回る「ベンチマークエンジン」と認定されたことに納得しておらず、評価方法の詳細な説明を求めてきた。

    その結果、レッドブルだけが現時点でADUOによる性能アップグレードを一切認められていない。

    チーム代表ローラン・メキースはスペインGPで次のように疑問を呈していた。

    「より深く議論したいのは、我々が持っているデータには、メルセデスより優位にあることを示すサンプルが一つも見当たらないからだ」

    FIAのADUOランキングは内燃エンジン(ICE)の性能のみを対象としており、高出力バッテリーやエネルギー回生システムの性能は評価対象外となっている。

    レッドブルの要請を受け、FIAは5月のカナダGPまでを対象とした初回評価期間のデータを再確認した。

    しかし『The Race』によると、この再審査は最終段階に入っているものの、レッドブルのICEがメルセデスより少なくとも2%優れているとした当初の判断が誤りだったことを示す証拠は確認されていないという。

    そのため、モナコGP決勝日に各チームへ正式通知された初回評価結果は維持される見通しだ。

    ベルギーGP前に正式発表へ 他メーカーは開発を進行
    FIAはレッドブルとの最終的な協議を続けているものの、ベルギーGPまでに正式なADUO評価結果を公表するとみられている。

    それに先立ち、FIAは収集したデータや評価理由についてレッドブルへ詳細な説明を行う用意がある。ただし、他PUメーカーに関する機密データについては守秘義務のため開示されない見込みだ。

    現状ではレッドブルのみがアップグレード権を持たない唯一のPUメーカーとなる可能性が高い。

    一方、フェラーリは今週末のオーストリアGPでADUOを利用した今季初の性能向上版PUを投入。アウディもスペインGPでドライバビリティ改善を実施したとされる。

    ホンダも今季中に認められたアップグレード枠の一つを使用する予定で、夏休み前後、早ければベルギーGPで新仕様を投入する可能性がある。

    第2評価期間でもレッドブルは厳しい立場
    レッドブルが第2評価期間でADUO対象となるかどうかは、メルセデスが内燃エンジンの性能向上を実施するかに左右される。

    第2評価期間はモナコGPからハンガリーGPまでとなっており、もしメルセデスがICEの性能を据え置き、他のPU要素のみを改良した場合、レッドブルは再び「最強ICE」と判定される可能性が高い。

    そうなれば、同チームは再び大規模な性能アップグレードを実施できない状況が続くことになる。

    今回の再審査では、レッドブルが求めていた評価変更は実現しない見通しとなった。ベルギーGPまでに正式発表が行われれば、同チームは唯一アップグレード権を持たないPUメーカーとしてシーズン後半戦を迎える可能性が高く、今後の勢力図にも影響を与えそうだ。

  • FIA会長の任期制限撤廃を承認 ビン・スライエム会長は無期限続投が可能に

    FIA会長の任期制限撤廃を承認 ビン・スライエム会長は無期限続投が可能に

    FIA(国際自動車連盟)は6月26日、マカオで開催した臨時総会で会長を含む幹部職の任期制限を撤廃する定款改正を承認した。これにより、現職のモハメド・ビン・スライエム会長は、落選または自ら退任を選ばない限り、任期を重ねて再選を目指し続けることが可能となった。

    今回の改正は加盟クラブによる投票で可決され、これまで定められていた「3期・計12年まで」という会長職の任期上限が撤廃された。

    ビン・スライエム会長は2021年末に初当選し、2025年末には対立候補不在のまま2期目の再選を果たしている。

    ビン・スライエム会長は2021年末に初当選し、2025年末には対立候補不在のまま2期目の再選を果たしている。

    加盟クラブが圧倒的多数で承認
    FIAの広報担当者は、今回の改正について次のように説明した。

    「FIA定款は、世界モータースポーツ評議会や上院を含むすべてのFIA機関と整合性を持たせるため、任期制限の扱いを統一するよう更新された」

    「提案された定款改正は、臨時総会において特別多数の賛成によって承認された」

    「FIAの各機関は、適切と判断した候補者を民主的に選出する完全な権限を引き続き有している」

    BBC Sportによると、この改正案には90.71%が賛成したと報じられているが、FIAはこの数字を公式には公表していない。

    従来の3期制限は、2009年から2021年まで3期12年間にわたり会長を務めたジャン・トッド前会長の時代に導入されたものだった。

    ビン・スライエム「FIAは前進を続けている」
    ビン・スライエム会長は、今回の決定はFIA改革の成果を示すものだと強調した。

    「本日、加盟団体によって承認された決定は、連盟として共に進めてきた継続的な前進を反映している」

    「より強固なガバナンス、財務規律、そして明確な長期ビジョンを通じて、加盟団体への支援、選手権の強化、そして世界のモータースポーツとモビリティへの貢献をより確実に実現できるFIAを築いている」

    選挙制度にも新たな要件
    今回の総会では、任期制限の撤廃に加え、大統領選挙の立候補資格についても新たな規定が承認された。

    今後は会長候補に対し、FIA加盟団体またはFIA機関で十分な活動実績を有していることが求められる。

    一方、2025年の会長選では、立候補者はFIAの6地域それぞれから副会長候補を擁立する必要があり、南米代表のファビアナ・エクレストンが早い段階でビン・スライエム支持を表明したことで、対抗候補の擁立が事実上困難になったと指摘されていた。

    立候補を断念したアメリカのモータースポーツ関係者ティム・メイヤーは当時、次のように批判していた。

    「この選挙のルールでは、選挙そのものが存在しない」

    「投票が行われる前に結果が決まっているなら、それは民主主義ではない。単なる演出だ」

    なお、FIA定款には現在も「会長候補は選挙または再選時点で70歳未満でなければならない」と規定されているが、一部ではビン・スライエム会長が将来的にこの年齢制限についても撤廃を目指す可能性があると報じられている。

    今回の定款改正により、FIA会長職の任期上限は撤廃され、ビン・スライエム会長は今後も再選に立候補し続けることが可能となった。また、選挙制度にも立候補資格の追加要件が導入され、FIAの統治体制は新たな枠組みへ移行することになった。

  • FIA F1オーストリアGPにヒートハザード発令 気温36度の猛暑予報

    FIA F1オーストリアGPにヒートハザード発令 気温36度の猛暑予報

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1第8戦オーストリアGPに向けて「ヒートハザード(暑熱警報)」を発令した。決勝レースでは気温が36度に達する可能性があり、ドライバーは厳しい暑さの中での戦いを強いられる見通しだ。

    今週末の舞台となるレッドブル・リンクには、ヨーロッパを襲う熱波の中でF1が開催される。これを受け、FIAは公式気象サービスの予報をもとに、レースウイーク中に暑熱警報を発令した。

    31度超の予報で暑熱警報を発令
    FIAは2023年カタールGPで極端な高温環境が問題となったことを受け、ドライバーの安全性向上を目的に暑熱対策に関するレギュレーションを改定した。

    現在は「ヒートインデックス(暑さ指数)」が31度を超えると予想された場合、「ヒートハザード」が宣言される。

    FIAのレースディレクターを務めるルイ・マルケスは声明で次のように説明した。

    「FIA F1レギュレーション第B1.5.10条に従い、公式気象サービスから本大会の決勝レース中にヒートインデックスが31.0度を超えるとの予報を受けたため、ヒートハザードを宣言する」

    冷却システムは使用任意
    暑熱警報が発令されたことで、各ドライバーはここ数年にわたり開発・テストが進められてきた車載冷却システムを装着することが可能となる。

    ただし、冷却システムの使用は義務ではなく、採用するかどうかは各チームとドライバーの判断に委ねられる。一方で、公平性を保つため、使用しない場合には車両へバラスト(重量物)を搭載する必要がある。

    決勝は36度に達する可能性
    シュピールベルクでは週末を通じて気温が徐々に上昇する見込みで、決勝が行われる日曜日には最高36度前後のコンディションになると予想されている。

    2023年カタールGPでは高温によって複数のドライバーが体調不良を訴えた経緯があり、今回のオーストリアGPでも暑さへの対応がレース結果を左右する重要な要素の一つとなりそうだ。

  • フェラーリの問い合わせでFIAが動く メルセデスF1のディフューザーに規制強化か

    フェラーリの問い合わせでFIAが動く メルセデスF1のディフューザーに規制強化か

    FIA(国際自動車連盟)が、メルセデスのディフューザー設計の運用方法について技術的な明確化(クラリフィケーション)を発行する準備を進めていると、RacingNews365が報じた。

    メルセデスは今季投入したアップグレードパッケージの一環として、リアディフューザー後端に延長部品を追加。2026年の新技術規則下で各チームが革新的な解釈を模索する中、メルセデス独自のアイデアとして注目を集めていた。

    2026年はレギュレーションが大幅に変更されたことで、各チームが新たな設計コンセプトを導入している。メルセデスのディフューザーに加え、フェラーリとレッドブルが採用する、軸を中心に回転する通称「マカレナ・リアウイング」もその一例とされる。

    しかし、このメルセデスのディフューザーに対してライバルチームが関心を示しており、フェラーリがFIAに対して合法性についての見解を求めたという。

    F1では過去にも、競合チームがライバルの革新的な設計についてFIAへ問い合わせを行うケースが数多くあった。問い合わせを行うチームは、その技術を自ら開発可能か判断する目的で確認することもあれば、規則解釈の明確化を求める場合もある。

    また、FIAは必要と判断した場合、規則の明確化を通じて当該設計の模倣を防いだり、既存の設計の使用中止を求めたりすることができる。

    オーストリアGPから適用の可能性
    こうした措置は即時適用される場合もあれば、チーム側に対応期間が与えられる場合もある。

    RacingNews365によると、今回のメルセデスのディフューザーに関しては後者のケースに該当する見込みだという。

    現在、FIAは関連文書の作成を進めており、オーストリアGPから適用される方向で準備が進んでいるとされる。しかしメルセデスは、その適用開始を次戦のイギリスGPまで延期するよう求めているという。

    その理由は物流上の問題にある。すでにチームの輸送トラックはオーストリアへ向けて出発しており、現地で仕様変更に対応することが難しいためだ。

    メルセデスは、自らのフロアおよびディフューザー設計は現行規則の範囲内で合法だと考えている。しかし、FIAの明確化によって設計変更が必要になれば、修正版を投入するために追加の作業が必要になる。

    今回の動きは、2026年の新世代マシンを巡る技術開発競争が激化する中で、各チームがライバルの革新的な解釈を厳しく監視していることを改めて示している。フェラーリの問い合わせを受けたFIAの判断が、今後の開発競争や勢力図にどのような影響を及ぼすのか注目される。

  • ピエール・ガスリーのF1モナコGP表彰台問題 FIA国際控訴裁判所で審理へ

    ピエール・ガスリーのF1モナコGP表彰台問題 FIA国際控訴裁判所で審理へ

    ピエール・ガスリーのモナコGP表彰台復活を巡る論争が、新たな局面を迎えた。マクラーレンとレッドブルが異議を申し立てたことで、この問題はFIA国際控訴裁判所(ICA)で審理されることになった。

    今回の争点はガスリー個人の結果だけではない。誤ったペナルティが取り消された場合、レース中にペナルティを消化したドライバーとの公平性をどう確保するのかという、F1の競技運営そのものに関わる重要な問題として注目を集めている。

    なぜ問題になっているのか
    発端となったのはモナコGPで発生したピットレーン速度違反だった。

    当初、ガスリー、フランコ・コラピント、オスカー・ピアストリ、ジョージ・ラッセル、ルイス・ハミルトンら複数のドライバーにピットレーン速度超過のペナルティが科された。

    しかしレース後、この違反判定がモナコ特有のピット入口に設置された計測ループの不具合による誤判定だったことが判明した。

    ピアストリやハミルトン、ラッセルらはレース中にすでにペナルティを消化していた一方、ガスリーはチェッカーフラッグ後に5秒加算ペナルティ2件を受けて3位から7位へ降格していた。

    アルピーヌは再審査請求(Right of Review)を提出し、FIAスチュワードはスペインGP週末に両ペナルティを取り消した。その結果、ガスリーは3位へ復帰し、アイザック・ハジャーは4位へ降格。ピアストリも順位面で不利益を受けることになった。

    マクラーレンとレッドブルが反発する理由
    両チームの主張は「誤審の訂正そのもの」ではなく、「訂正の結果として生じた不公平」にある。

    ピアストリを擁するマクラーレンは、誤ったペナルティであっても指示に従って実際にタイムを失ったドライバーと、ペナルティを消化しなかったガスリーが同じ扱いにならない点を問題視している。

    マクラーレンは声明で、「規則に従った競技者が不利益を被る結果となり、競技の公平性と規則適用への信頼を損なう」と主張した。

    レッドブルも同様に、ハジャーが表彰台を失ったことに加え、この判断が将来的なペナルティ運用に悪影響を及ぼす可能性を懸念している。

    F1パドック内では「今後、ドライバーやチームがペナルティを消化せず、後から抗議する方が有利になるのではないか」という懸念も広がっている。

    メルセデスの再審査請求との違い
    メルセデスもジョージ・ラッセルのモナコGPでのペナルティ取り消しを模索したが、こちらは再審査請求という別の手続きだった。

    再審査請求では、当時のスチュワードに対して「重要かつ新たな証拠」を提示しなければならない。

    しかしメルセデスはFIAおよびF1との協議後、ラッセルのケースを実質的に覆すことは不可能と判断し、申請を取り下げた。

    一方、マクラーレンとレッドブルはスチュワードの判断そのものを不服として正式控訴しており、問題はより上位機関である国際控訴裁判所へ移っている。

    国際控訴裁判所で何が行われるのか
    FIA国際控訴裁判所(International Court of Appeal)はモータースポーツ界における最終的な上訴機関である。

    FIA総会で選出された36人の裁判官で構成され、今回の案件では少なくとも3人の裁判官が審理を担当する。

    裁判所は以下の権限を持つ。

    ■ スチュワード決定の支持
    ■ 決定内容の修正
    ■ ペナルティの軽減
    ■ ペナルティの取消し

    公開審理ではマクラーレンとレッドブルが主張を展開し、それに対してFIA側が反論する。

    必要に応じて証人や技術専門家の証言も求められる可能性がある。

    今後のスケジュールと焦点
    今回の争点はガスリーのモナコGP表彰台だけではない。

    ICAがスチュワード判断を支持した場合、今後も同様のケースでレース後の順位修正が認められる前例となる。

    逆にガスリーの表彰台復活が取り消されれば、誤審があった場合でもレース中にペナルティを受けた競技者との公平性を優先する考え方が強まる。

    つまり、この裁定は今後のF1におけるペナルティ制度や抗議手続きのあり方に直接影響を与える重要判例となる可能性が高い。

    現在は両チームが控訴理由書を提出済みとみられており、その後FIA側の答弁書提出期間を経て、公聴会は7月中に開催される見通しだ。

    その結果次第では、モナコGPの最終順位と選手権順位が再び変更される可能性も残されている。