カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • FIAが2026年F1レギュレーション修正を正式承認 2027年新規則初版も確定

    FIAが2026年F1レギュレーション修正を正式承認 2027年新規則初版も確定

    FIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)はマカオで開催した会合で、2026年F1レギュレーションの複数の修正を正式承認するとともに、2027年テクニカルレギュレーションの「初版(First Issue)」を承認した。

    今回の決定では、2026年シーズンの安全性や運用面に関する調整に加え、2027年以降のパワーユニットレギュレーション変更やプレシーズンテスト拡大も正式に確定。FIAは2026年導入の新レギュレーションについて、今後も継続的な見直しを行う方針を示した。

    2026年F1レギュレーションの主な変更点
    今回承認された2026年レギュレーションの修正では、安全性向上を目的とした運用面の見直しが中心となった。

    まず、猛暑時に適用される「ヒートハザード(Heat Hazard)」の宣言について、これまでは週末全体を対象としていたが、今後はスプリントと決勝レースを個別に指定できるようになる。ただし宣言は従来通り、対象セッション開始予定時刻の24時間前までに行われる。

    また、雨天や低グリップ路面、視界不良など安全上の懸念がある状況では、電力制御に関する特別措置も導入される。

    従来廃止されていたブーストモードが限定的に復活するが、これは出力向上のためではなく、パワーユニットの出力低下を防ぐための措置となる。一方で、オーバーテイクモードはこうした状況下では使用できなくなる。

    この変更は安全性向上を目的としたもので、雨天時や視界不良時におけるマシン性能の急激な低下を防ぎながら、過度なパフォーマンス向上は抑制する仕組みとなる。

    2027年プレシーズンテストは4日間へ拡大
    2027年シーズンに向けては、プレシーズンテストの日数が従来予定の3日間から4日間へ拡大されることが決定した。

    これにより各ドライバーは最低でも2日間ずつ走行できるようになり、新レギュレーション導入初年度の開発作業やマシン習熟により多くの時間を確保できる。

    同時に承認された2027年テクニカルレギュレーションの初版には、

    ■ 構造面の整理
    ■ 文言の明確化
    ■ 技術条項の調整
    ■ レギュレーション運用の強化
    ■ 2026年シーズンから得られた知見の反映

    などが盛り込まれている。

    FIAは今回の改訂について、レギュレーションの一貫性や執行可能性を高めることが目的だとしている。

    2027年からエンジン出力配分も変更
    WMSCは、すでに各メーカー間で合意されていた2027年以降のパワーユニット出力配分変更も正式承認した。

    2026年レギュレーションでは内燃機関(ICE)と電力の比率がおおむね50対50となるが、2027年以降は内燃機関の比重を高める方向へ転換される。

    2028年には最終的に60対40(ICE:電力)の比率となる。

    これに伴いICE出力は現行より50kW増となる450kWへ引き上げられる一方、MGU-Kの最大出力は300kWへ引き下げられる。ただしオーバーテイクモード使用時は350kWまで認められ、エネルギー回生能力の上限は350kWから400kWへ拡大される。

    また、ICE出力増加に対応するため燃料流量も引き上げられ、2027年には5%、2028年には13%増加する予定だ。

    この変更を巡っては燃料消費量増加への懸念もあり、一部ではグランプリ距離の短縮案も議論されていた。しかし最終的には出力配分を段階的に変更することで対応し、大幅なレース距離変更は見送られる見通しとなった。

    さらに今回の承認には、

    ■ パワーユニット供給体制に関する規定
    ■ レコノサンスラップ運用の見直し
    ■ 一部サーキットにおけるレース距離規定の調整
    ■ 2027~2028年の技術・競技レギュレーション変更に伴う財務規則改定

    なども含まれている。

    ビン・スライエム会長「議論は続いていく」
    FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、2026年レギュレーション導入後も継続的な見直しを行う考えを強調した。

    「大規模なレギュレーション変更では、マシンが初めて走り出した時点で作業が終わるわけではない」

    「レギュレーションがスポーツ、ドライバー、そしてファンのニーズを満たすためには、継続的な対話と協力が不可欠だ」

    さらに将来のパワーユニットについても言及した。

    「私たちは選手権の将来の方向性を探りながら、革新性、持続可能性、パフォーマンス、そしてファンの魅力をどのように両立させるかを検討している」

    「持続可能燃料を使用するV8エンジンを含む将来のパワーユニット構想に関する議論は、関係者全員がF1の次の時代を形作ろうとしている証拠だ」

    FIAは2027年テクニカルレギュレーションの詳細策定を今後も進める一方で、V8エンジン復活を含む2030年以降の将来構想についても検討を継続していく見通しだ。

  • FIA技術責任者が説明 ADUOがICEのみ測定する理由「メーカーが簡素化を望んだ」

    FIA技術責任者が説明 ADUOがICEのみ測定する理由「メーカーが簡素化を望んだ」

    2026年のF1で大きな議論を呼んでいるADUO(性能均衡調整制度)について、FIAシングルシーター技術責任者のニコラス・トンバジスが、その評価方法の背景を明かした。

    現在のADUOは内燃エンジン(ICE)の出力のみを評価対象としており、電気系統の性能は測定に含まれていない。この方針に対しては、2026年型パワーユニットが電動比率を大幅に高めたレギュレーションであることから、パドック内でも議論が続いている。

    ADUOを巡る議論が継続
    本来であればモナコGP前に正式発表される予定だった2026年最初のADUO適用結果だが、バルセロナ・カタルーニャGP終了後もなお正式な公表には至っていない。

    ただしチーム側にはモンテカルロGPの土曜日に非公式な形で配分区分が伝えられており、レッドブル・フォードが基準値となり、メルセデスが2%差、フェラーリが4%差のカテゴリーに分類されたとされている。

    この結果を受け、コンストラクターズ選手権をリードするメルセデスが補正対象となる可能性を巡って、パドックでは大きな議論が巻き起こった。

    なぜICEだけを測定するのか
    こうした論争の中心にあるのが、ADUOが内燃エンジンのみを測定対象としている点だ。

    トンバジスはスペインメディア『SoyMotor』に対し、その経緯を説明した。

    「ADUOが燃焼エンジン部分に焦点を当てている理由は、電気系統こそが本当の戦場になると考えられていたからだ。その分野で競争し、最も優れたメーカーが勝利するべきだという考え方があった」

    さらに2025年末から2026年初頭にかけて行われた議論についても振り返った。

    「ADUOの詳細を決める過程では、副次的なパラメータを含めるかどうかも議論した。例えば吸気マニホールド温度が高ければ出力は下がるが、冷却要求が減るため空力的には有利になる。そうした要素を考慮するべきかどうかも話し合われた」

    「エンジン性能に影響するさまざまなパラメータについて検討したんだ」

    メーカー側は『できるだけ単純に』を要求
    FIAとしては、より多くの要素を組み込んだ複雑な評価方式も検討していたという。

    しかし、その方向性はパワーユニットメーカー側の意向によって変わった。

    「その議論の中でメーカー側は、可能な限りシンプルな仕組みにすることを望んだ」

    「出力だけに集中するべきだという立場だった。我々はそれに対して問題ないと答え、その簡素化の方針を受け入れた」

    トンバジスは、FIAが独自に簡略化したわけではないことを強調した。

    「もっと複雑な方程式を作ることもできた。しかし最終的には、できる限りシンプルな制度にすることが選ばれた」

    現在はトルクセンサーでICE出力を監視
    現在のADUOでは、エンジンとギアボックスの間に設置されたトルクセンサーによって出力を測定している。

    評価対象はあくまで内燃エンジン部分のパワーだが、単純な最大出力値だけで判断しているわけではなく、一定の補正要素も組み込まれている。

    ただし、その根本思想は極めて明確だ。2026年レギュレーションにおいて電気系統は各メーカーの競争領域として残しつつ、ICE性能の大きな格差のみをADUOで調整するという考え方である。

    今回のトンバジスの説明によって、FIA主導でICE限定の評価方式が決まったのではなく、パワーユニットメーカー各社が求めた「シンプルな制度設計」が現在のADUOの土台になっていることが改めて明らかになった。

  • メルセデスF1 モナコGPの再審請求を取り下げ FIAが正式確認

    メルセデスF1 モナコGPの再審請求を取り下げ FIAが正式確認

    モナコGP決勝後の裁定を巡り、メルセデスが申し立てていた再審請求(Right of Review)を取り下げたことをFIAが正式に確認した。

    今回の騒動は、アルピーヌのピエール・ガスリーがモナコGPで獲得した3位表彰台を巡る一連の裁定が発端となった。

    ジョージ・ラッセルは決勝中に2件のペナルティを受けていた。1つ目はピットレーン速度違反で、FOMが管理する計測システムのタイミングループ不具合により複数のドライバーへ科されたものだった。

    さらにメルセデスは、この5秒ペナルティを正しく消化しなかったと判断され、追加でドライブスルーペナルティを受けた。これによりラッセルは14位まで後退していた。

    一方で、アルピーヌに科された2件の5秒ペナルティはレース後に加算されたため、チームは再審請求を行う余地があった。しかし、メルセデスのペナルティはレース中に裁定が下されており、覆すことは極めて難しい状況とみられていた。

    当初、メルセデスが証拠を提示する最初の審理は6月20日に予定されていた。しかしFIAは19日に声明を発表し、メルセデスが申し立てを取り下げたことを明らかにした。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    FIAのスチュワード声明には次のように記されている。

    「スチュワードは、メルセデスAMGペトロナスF1チームから、2026年モナコGPにおける63号車のFIA F1規則B1.6.3a条違反に関する裁定について提出していた再審請求を取り下げる旨の通知を受けた」

    メルセデスが再審請求を取り下げたことは大きな驚きではない。チームが再審手続きの初期段階を突破できるだけの新証拠を提示できる可能性は低いと見られていたためだ。

    それでも今回の動きは、たとえ成功の可能性が低くても、F1チームが自らの立場を守るために利用可能な法的・競技的手段を最後まで追求する姿勢を示した事例となった。

  • FIA会長「V8は決定事項。決断は下された」 F1次世代エンジン構想が前進

    FIA会長「V8は決定事項。決断は下された」 F1次世代エンジン構想が前進

    FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエム会長が、F1の将来のパワーユニット規則について「V8は決定事項だ。すでに決断は下された」と明言した。2026年から導入される新世代パワーユニットへの懸念が高まるなか、2030年または2031年からのV8エンジン回帰に向けた議論が大きく前進した形だ。

    FIAは現在の複雑で高コストなパワーユニットから脱却し、より軽量でシンプルなエンジン規則への移行を目指している。今回の発言は、その方向性をFIA首脳自らが改めて強調したものとして注目を集めている。

    「V8は決定事項だ」
    ル・マン24時間レースの会場で複数のメディアに対して語ったビン・スライエム会長は、V8エンジンへの回帰がすでに既定路線であることを強調した。

    「V8は決定事項だ。すでに決断は下された」

    現在のF1は2026年から新たなパワーユニット規則を導入するが、重量増加や複雑なエネルギーマネジメントに対してはドライバーや関係者から懸念の声も上がっている。

    そうした状況を受け、FIAはすでに2027年と2028年に内燃機関の比率を引き上げる方向でルール改定を進めており、その先にはV8を中心とした新たなエンジン規則を見据えている。

    高騰する開発費に危機感
    ビン・スライエム会長は、現在のパワーユニット開発費が持続不可能なレベルに達していることも問題視した。

    「V8は持続可能だ。研究開発には2億ユーロ(約372億円)以上が必要だ」

    「レッドブルは現在のエンジンに13億ユーロ(約2418億円)以上を投資した。ばかげている」

    FIAはコスト削減を重要課題のひとつに位置付けており、次世代エンジンでは開発費だけでなく顧客チームが購入するエンジン価格も大幅に引き下げたい考えだ。

    ビン・スライエム会長によれば、現在約150万ユーロ(約2億7900万円)とされるエンジン価格を約70万ユーロ(約1億3020万円)まで削減することを目標としている。

    V型8気筒 エンジン 国際自動車連盟

    ターボ廃止で軽量化を目指す
    FIAが構想する新世代エンジンは、V8エンジンに軽量なハイブリッドシステムを組み合わせるものだ。

    会長はターボチャージャーについても否定的な見解を示した。

    「多くの人はターボが必要だと言う。しかしそれでは再び重量が増えてしまう」

    「ターボを搭載すればウェイストゲートやインタークーラー、配管が必要になる。それらはすべて重量であり、コストでもある」

    FIAは軽量化を重視しており、2030年代のF1マシンでは車重を約630kgまで削減する構想も描いている。

    目指すのはシンプルで魅力的なF1
    ビン・スライエム会長は、新規則の目的についても明確に説明した。

    「使命はシンプル化、コスト管理、そしてファンが喜ぶサウンドを取り戻すことだ」

    FIAの試算では、V8エンジンと約10%のハイブリッドシステムを組み合わせることで約760馬力を発生し、ハイブリッド出力を加えれば約880馬力に達するという。

    メーカーとの協議は今後も続く見通しだが、FIAトップが「決定事項」とまで言い切ったことで、2030年代初頭のF1がV8ハイブリッド時代へ向かう可能性は一段と高まった。

    2026年規則の導入を前にすでに次の時代を見据えた議論が始まっており、F1のエンジン哲学は大きな転換点を迎えようとしている。

  • FIAとアウディF1が対立か V8エンジン回帰でターボ存続を巡る攻防

    FIAとアウディF1が対立か V8エンジン回帰でターボ存続を巡る攻防

    FIA(国際自動車連盟)が推進する2030年以降の次世代F1パワーユニット構想を巡り、新たな対立構図が浮かび上がっている。

    モハメド・ビン・スライエムFIA会長は自然吸気のV型8気筒エンジンへの回帰を強く支持している一方で、アウディはターボチャージャーの継続採用を主張しており、両者の考え方の違いが鮮明になった。

    2026年から導入される新世代パワーユニットは重量増加や複雑化が批判されているが、FIAはすでに2027年と2028年に内燃機関の比率を引き上げる方向へ舵を切っている。そして2030年または2031年からは、さらにシンプルなV8ハイブリッドへの移行を目指している。

    FIA会長「V8は決定事項」
    ル・マン24時間レースの会場で取材に応じたモハメド・ビン・スライエムは、V8エンジンへの回帰が既定路線であると明言した。

    「V8は決定事項だ。すでに決断は下された」

    FIAは現在のパワーユニット開発費が過度に高騰していることを問題視している。

    「研究開発には2億ユーロ(約372億円)以上が必要だ。レッドブルは現在のエンジンに13億ユーロ(約2418億円)以上を投資した。ばかげている」

    FIAの構想では、V8エンジンに10%程度の軽量ハイブリッドシステムを組み合わせ、持続可能燃料を使用することで十分な性能を確保できるという。

    ビン・スライエムは、ターボチャージャーを廃止することで大幅な軽量化とコスト削減が可能になると説明した。

    「ターボを搭載すればウェイストゲートやインタークーラー、配管が必要になる。すべて重量増加につながり、コストもかかる」

    「使命はシンプル化、コスト管理、そしてファンが喜ぶサウンドを取り戻すことだ」

    さらにFIAの試算では、V8と軽量ハイブリッドを組み合わせることで約760馬力を発生し、ハイブリッドシステムを加えれば約880馬力に達するとされている。加えて車重も630kg前後まで削減できる可能性があり、現在のF1マシンより大幅な軽量化が期待されている。

    アウディはターボ維持を希望
    しかし、アウディはFIAとは異なる立場を取っている。

    モナコGPの週末にアウディCEOのゲルノート・デルナーは、ターボチャージャーの継続採用を支持する考えを改めて示した。

    「効率性の観点からターボチャージャーを好んでいる」

    「アウディにとって最も重要なのは持続可能性の理念を維持し、エネルギー効率をF1規則の柱として残すことだ」

    報道によると、アウディは新型スーパーカー『ヌヴォラーリ』に採用された技術に近いツインターボ方式にも関心を示しているという。

    これは「軽量化とシンプル化」を重視するFIAと、「効率性と技術的先進性」を重視するアウディとの価値観の違いを象徴している。

    F1が持続可能燃料時代へ移行する中で、自動車メーカー各社は市販車への技術還元を重視している。特にアウディにとってターボ技術はブランド戦略の中心にあるため、今後のルール策定交渉でも重要な論点となりそうだ。

    2030年導入へ向けた駆け引き
    FIAは2030年からの新規則導入を希望しているが、自動車メーカーとの合意形成が前提となる。

    一方でビン・スライエムは、仮にメーカー側との合意が得られなくても、2031年以降はFIA主導で規則を策定する可能性を示唆した。

    「もちろん意見交換は良いことだ。FIAはパワーユニットメーカーの要望に耳を傾けている」

    「しかし私たちとしては軽量でシンプルな設計を望んでいる。変更にかかる時間も短くしたい」

    現在F1にはレッドブル・フォード、メルセデス、フェラーリ、ホンダ、アウディ、キャデラックの6メーカーが参戦または参戦予定であり、全社の利害を一致させるのは容易ではない。

    2030年からの新規則が実現するか、それとも2031年まで議論が持ち越されるかは不透明だが、次世代エンジンの方向性を決定づける重要な議論がすでに始まっている。

    ドライバーたちはV8回帰を歓迎
    興味深いことに、多くのドライバーはFIAの方向性を支持している。

    アストンマーティンのランス・ストロールは2026年マシンについて厳しい評価を下した。

    「僕に言わせれば来年にでもV8へ戻るべきだ」

    「クルマのことを知っている人なら誰でも、このマシンが運転しづらいことは分かっていただろう」

    「バッテリーや回生システムなど、重量を増やすものが増えればこうなるのは当然だった」

    さらにフェルナンド・アロンソは、FIA案よりもさらに踏み込んだ意見を示した。

    「僕は電動部分を完全になくしたい」

    「電動システムはレースそのものに大きな付加価値を与えていない」

    「フォーミュラEという完全電動カテゴリーがすでに存在する。そこで技術開発を極限まで進めればいい」

    2026年の新レギュレーションでは電動出力の比率が大幅に高まり、ドライバーの間からは重量増加やエネルギーマネジメントへの不満が相次いでいる。今回のV8回帰論争は単なる懐古主義ではなく、F1が競技として何を重視するべきかという根本的な議論でもある。

    FIAが求める「軽量・低コスト・高音質」の方向性と、アウディが重視する「効率性・技術革新・市販車との関連性」。両者の主張にはそれぞれ合理性があり、2030年代のF1エンジン規則は今後数年間にわたって激しい議論の対象となりそうだ。

  • BYDのF1参戦に追い風 FIA会長「中国に適切なチームがいる」

    BYDのF1参戦に追い風 FIA会長「中国に適切なチームがいる」

    中国のEV大手BYDによるF1参戦の可能性が再び注目を集めている。FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは、中国メーカーのF1参入を歓迎する姿勢を明確に示し、「適切なチーム」として中国勢の参戦を支持する考えを明かした。

    2026年からキャデラックが11番目のチームとして参戦したことで、F1には12番目のチーム枠が残されている。BYD幹部とF1首脳陣の接触も報じられるなか、ビン・スライエムの発言は同社の将来的な参入への期待を一段と高めるものとなった。

    FIA会長が中国チーム参戦を後押し
    モハメド・ビン・スライエムはル・マン24時間レースの会場でドイツのDPA通信の取材に応じ、新たなチーム参入について持論を展開した。

    キャデラックの参戦実現を後押ししてきたビン・スライエムは、グリッド拡大そのものが目的ではないと強調する。

    「単純にもう1チームを加えることが目的ではない。重要なのは適切なチームを加えることだ」

    そして、その候補として中国勢に言及した。

    「我々は中国に適切なチームがいると考えている」

    さらにビン・スライエムは、中国メーカーの参入を以前から望んでいたことも明かした。

    「もし新たなチームが加わるのであれば、中国からのチームであってほしいという考えは以前から明確だった」

    BYDとF1首脳陣の接触が憶測を加速
    こうした発言が注目を集める背景には、BYDとF1関係者との接触が報じられていることがある。

    報道によれば、BYDの副社長であるステラ・リーはモナコGPの週末にモハメド・ビン・スライエムおよびF1 CEOのステファノ・ドメニカリと会談したとされる。

    現時点でBYDはF1参戦計画を公式に認めていない。しかし、中国最大級の自動車メーカーであり、世界有数のEVメーカーでもある同社がF1プロジェクトを検討しているとの噂は以前から流れていた。

    今回のビン・スライエムの発言によって、その憶測はさらに勢いを増すことになりそうだ。

    クリスチャン・ホーナー関与説も浮上
    さらに最近では、元レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーがBYDのF1プロジェクトに関与する可能性も報じられている。

    ホーナーは先日開催されたカンヌ映画祭でBYD関係者と行動をともにしている姿が目撃されており、一部では将来的なF1参戦計画との関連が取り沙汰されている。

    もっとも、現時点では具体的なチーム構想や参戦時期、パワーユニット計画などは明らかになっていない。また、新規参入には既存チームやFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)との調整も必要となる。

    F1の中国市場拡大戦略とも一致
    F1は近年、中国市場の成長を重要な戦略のひとつに位置付けている。

    中国GPの定着に加え、中国人ドライバーの活躍によって同国でのF1人気は拡大を続けている。そこにBYDのような世界的メーカーが参入すれば、F1にとって商業面やブランド価値の向上にも大きな意味を持つ可能性がある。

    モハメド・ビン・スライエムの今回の発言は、BYDのF1参戦が単なる憶測ではなく、少なくともFIAレベルでは歓迎される存在として認識されていることを示した。12番目のチームを巡る動きが今後どのように進展するのか、引き続き注目される。

  • FIA会長 F1のV8エンジン復活を再提唱「630kgの軽量マシンを目指す」

    FIA会長 F1のV8エンジン復活を再提唱「630kgの軽量マシンを目指す」

    FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエムFIA会長は、将来的にF1をV8エンジン時代へ回帰させる構想を改めて強調した。現在のマシンは複雑化と重量増加が進み、コストや安全性の面で課題を抱えていると指摘している。

    F1のパワーユニットメーカー各社はすでに2027年および2028年のレギュレーション修正で合意しているが、ビン・スライエム会長はその先の次世代規則を見据えている。

    持続可能燃料を使用する自然吸気V8エンジンへの移行により、軽量化とコスト削減を同時に実現できるとの考えを示した。

    複雑化した現代F1への問題提起
    モハメド・ビン・スライエム会長は、現在のF1マシンが抱える最大の問題として「複雑さ」を挙げた。

    「今のクルマの最悪な部分は何か? システムの複雑さ、開発に費やされる莫大な資金、コスト、そして大きなクルマだ」

    現在のF1マシンはハイブリッド技術の発展に伴い大型化・重量化が進んでいる。会長は、その重量増加が安全性にも悪影響を及ぼしていると考えている。

    「大きくて重いクルマは何を意味するのか? それは安全ではないということだ」

    630kgの軽量マシンを目指す
    FIAは近年、安全性向上のために車両重量を増やしてきた。しかしビン・スライエム会長は、今後はその流れを逆転させるべきだと主張する。

    「私は完成状態のマシンで650kg未満を見たい。私の目標は630kgだ」

    現在のF1マシンは最低重量が800kg近くに達しており、この構想が実現すれば大幅な軽量化となる。

    V8自然吸気エンジン復活を提唱
    ビン・スライエム会長は軽量化を実現する手段として、持続可能燃料を使用する自然吸気V8エンジンを提案している。

    「内燃エンジンだけで約760馬力、そこに10%程度の電動化を組み合わせることができる。それならサウンドも生まれるし、はるかに安価になる」

    現在の複雑なハイブリッドシステムと比べて、パワーユニットそのものを大幅に簡素化できるという考えだ。

    国際自動車連盟 V型8気筒

    コスト削減とファン重視の姿勢
    ビン・スライエム会長は、この構想によって研究開発費の削減も可能になると説明した。

    「研究開発費は大幅に安くなる。エンジン自体もずっと軽くなり、扱いやすくなる。そして観客はサウンドを楽しめる」

    さらに、この変更はファン、チーム、メーカーのすべてに利益をもたらすと主張した。

    「我々はビジネスとスポーツへの愛情の両方を支えなければならない。ファンに何かを提供する必要がある」

    2031年より前倒しの可能性も示唆
    一方で、会長は一方的な導入を考えているわけではない。実現にはパワーユニットメーカーやチームとの協議が不可欠だと認めている。

    「チーム、とりわけパワーユニット供給者との協議は重要だ」

    ただし合意が得られるなら、当初想定される2031年より前倒しでの導入も歓迎する姿勢を示した。

    「もし彼らが1年早く導入したいのであれば、我々は非常に歓迎する。なぜなら、その方が簡単で安価だからだ」

    F1が持続可能性とエンターテインメント性をどのように両立させるのか。その議論はすでに2030年代へ向けて始まっており、ビン・スライエム会長はその方向性として軽量なV8マシンへの回帰を強く訴えている。

  • オスカー・ピアストリ ガスリー処分撤回でFIAを批判「F1に危険な前例を作った」

    オスカー・ピアストリ ガスリー処分撤回でFIAを批判「F1に危険な前例を作った」

    マクラーレンのオスカー・ピアストリは、モナコGPでピエール・ガスリーに科された速度違反ペナルティが取り消され、3位が復活した件について「信じられない」と強い不満を示した。

    ピアストリ自身もレース中に同様の速度違反でペナルティを受けており、その裁定を消化するために予定外のピットストップを実施。その結果、ガスリーの後方に下がった。

    「なぜ一人だけ裁定を覆せるのか」
    ピアストリはCrash.netに対し、ガスリーの順位復活について率直な思いを語った。

    「正直、その決定には本当に驚いた」

    「最終的に間違った裁定だったとしても、同じ理由で他のドライバーたちもペナルティを受け、それをレース中に消化していた」

    「それなのに一つのペナルティだけを覆すというのは信じ難い。おそらく過去5〜6戦にも影響が及んでいることを分かっていながらそうしたのだから驚きだ」

    ピアストリは自身が順位を失っただけでなく、同じく影響を受けたジョージ・ラッセルの立場にも言及した。

    「僕は順位を失ったけれど、ジョージがどう感じているかを考えればなおさらだ。本当に自分の目を疑った」

    「今の前例では裁判に持ち込む者が得をする」
    今回の決定によって、F1の競技運営に危険な前例が生まれたとピアストリは警鐘を鳴らした。

    「僕はペナルティを消化したことでピエールの後ろに落ちた。だから理屈上は僕が3位であるべきだ」

    「でも同じ理屈ならジョージが3位であるべきだし、結局すべてが混乱している」

    「どうやってこの状況を収拾するのか分からない」

    さらに今回の裁定変更が今後のレース運営に悪影響を与える可能性を指摘した。

    「今の前例だと、ペナルティを受けても消化せず、異議申し立てをして数カ月後に結果を決めればいいという話になる」

    「そんなレースを誰が望むんだ?」

    「困惑しているというのが一番適切な表現だ」

    従来は全員が同じ扱いだった
    ピアストリは、仮に裁定そのものが誤りだったとしても、これまでは全員が同じ基準で扱われていたと主張した。

    「これまでは『運が悪かった』『裁定は間違っていた』と言えたとしても、全員に同じ基準が適用されていた」

    「でも今はどう判断すればいいのか非常に曖昧になってしまった」

    「もちろんレース結果そのものが取り消されるとは思わない。でも本当に厄介な状況になった」

    予選7番手もレースペースには自信
    一方、バルセロナ・カタルーニャGP予選で7番手に終わったピアストリは、マクラーレンの競争力が失われたとは考えていない。

    「他のチームが少し競争力を上げてきただけだと思う」

    「今年のメルセデスは練習走行で少し手の内を隠していることが多かったから驚きはない」

    「まだ少しタイムを残していたと思うし、最終セクターでどこを失ったのか確認したい。ラップ自体はかなり良かったからね」

    決勝ではメルセデスとフェラーリを警戒
    タイヤマネジメントが鍵となる決勝について、ピアストリはメルセデスとフェラーリを強力なライバルとして警戒している。

    「決勝は厳しい戦いになると思う」

    「予選ではメルセデスに近づけると思っていたし、フロントローやトップ3争いも可能だと思っていた」

    「でも決勝距離になると隠せるものは何もない」

    「メルセデスは非常に強いと思う。フェラーリも全コーナーでとても速かったし、直線で少し苦しんでいただけだった」

    「彼らを抜くのも簡単ではないだろう」

    そのうえで、「とはいえ、F1では何が起こるか分からない」と逆転への期待も口にした。

  • フェリペ・マッサのF1訴訟が最高裁へ FIAとバーニー・エクレストンが上訴

    フェリペ・マッサのF1訴訟が最高裁へ FIAとバーニー・エクレストンが上訴

    フェリペ・マッサが2008年F1シンガポールGPの“クラッシュゲート”をめぐって起こした約131億2000万円(8200万ドル)の損害賠償訴訟で、バーニー・エクレストン、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)、FIAが英国最高裁に直接上訴することになった。

    マッサは、ルノーによる意図的なクラッシュによって2008年のF1ワールドチャンピオン獲得の機会を奪われたと主張。

    高等法院は王座認定の請求を退けた一方で、損害賠償請求については審理を進めることを認めており、今回の上訴はその判断を覆すことを目的としている。

    最高裁で争われるマッサの損害賠償請求
    マッサは、2008年シンガポールGPで発生したルノーの意図的なクラッシュによって、自身が初のF1ワールドチャンピオン獲得の機会を奪われたと主張している。

    同レースでは、ルノーがネルソン・ピケJr.にマリーナベイ市街地コースで故意にクラッシュするよう指示し、直前にピットインしていたチームメイトのフェルナンド・アロンソを有利な状況に導いた。セーフティカー導入後、当時首位を走っていたマッサを含む多くのドライバーがピットへ向かい、結果的にアロンソがリードを得て優勝した。

    一方のマッサは、フェラーリのピット作業で給油ホースを装着したまま発進するトラブルに見舞われ、入賞圏外でフィニッシュした。タイトル争いのライバルだったルイス・ハミルトンは3位に入り、6ポイントを加算。マッサは最終的にハミルトンに1ポイント差でタイトルを逃した。

    高等法院は王座認定を退け損害賠償のみ許可
    マッサは、F1とFIAが当時このスキャンダルを把握していたのであれば、2008年シンガポールGPの結果は選手権から除外されるべきだったと訴えている。

    ロンドン高等法院は、マッサがこの件を審理に持ち込む権利を認めた一方で、2008年の王者は自分であるべきだったという主張は退けた。認められたのは、損害賠償請求として争う道に限られている。

    今年3月には、エクレストン、FOM、FIAに対し、マッサ側の訴訟費用25万ポンド(約5000万円)の支払い命令も出された。

    通常手続きを飛ばす“リープフロッグ”上訴
    Skyによると、エクレストン、FOM、FIAは通常の控訴手続きを経ずに最高裁へ直接上訴する“リープフロッグ”上訴を認められた。

    これにより3者は、マッサの共謀に関する訴えを正式な審理に進めることを認めた判断について、最高裁で直接争うことになる。

    「僕は盗まれた」マッサは救済を求める
    マッサは、自身が正当なタイトルを奪われたという立場を崩していない。

    「僕は自分が盗まれたと分かってから、心の平穏を失った。あれ以来、一度も心から落ち着くことはなかった」とマッサは語った。

    「これは操作されたレースに対する訴えだ。2008年のシーズンは素晴らしい選手権だった。最初から最後まで大きな戦いだった」

    「僕にとっても素晴らしいシーズンだった。その年に最も多く勝利を挙げたドライバーであり、ポールポジションも最も多く獲得した」

    「今のF1は当時のF1とは違うし、今のFIAも過去のFIAとは違う」

    「過去に起きたことがスポーツにとって公平ではなかったと理解してくれることを本当に願っている。そして、この問題が正されることを願っている」

  • フェルナンド・アロンソに警告処分 キャデラックF1は罰金 FIAがFP2裁定

    フェルナンド・アロンソに警告処分 キャデラックF1は罰金 FIAがFP2裁定

    FIAはF1バルセロナ・カタルーニャGPのフリー走行2回目(FP2)後、フェルナンド・アロンソとキャデラックF1に関する複数のインシデントについて裁定を発表した。アロンソには警告処分が科され、キャデラックF1には合計600ユーロ(約9万6000円)の罰金が科された。

    今回の裁定は、アルピーヌによるモナコGPの再審請求が認められた直後の忙しい一日となったスチュワードの追加審議の一環として行われた。

    アロンソはピットレーン出口横断で警告
    FP2の中盤、フェルナンド・アロンソがピットレーン出口のラインを横断した行為について審議対象となった。

    スチュワードはこの件について調査を行い、国際競技規則付則L第4章第6条c項違反と判断。アロンソには警告処分が科された。

    一方で、ドライバーズランキングや予選に影響するような重いペナルティは科されていない。

    キャデラックF1はピットレーン速度違反で罰金
    キャデラックF1の2台は、ともにピットレーン速度制限違反が認定された。

    まずバルテリ・ボッタスは制限速度80km/hを0.5km/h超過。これによりチームには100ユーロ(約1万6000円)の罰金が科された。

    さらにセルジオ・ペレスは4.4km/h超過していたことが判明。この違反に対して500ユーロ(約8万円)の罰金が科され、チームの合計罰金額は600ユーロとなった。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アストンマーティンとホンダは苦戦認める
    アロンソはFP2を21番手で終え、アストンマーティンの厳しい状況が続いている。

    ホンダF1の折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアは、初日の走行を振り返った。

    「まず何よりも、このような情熱的なスペインのファンの前でレースができることはいつも喜びです。今年のバルセロナ・カタルーニャGPも例外ではありません」

    「今日のフリー走行は大きな問題なく進み、パワーユニットのセッティング調整を進めることができました」

    「残念ながら現時点でのペースは期待しているレベルには達していません。明日の予選に向けて収集したデータを活用し、セットアップを最適化していきます。現在のPUパッケージから可能な限りのパフォーマンスを引き出すことが目標です」

    アロンソ「おそらく最後のバルセロナ」
    2027年以降、バルセロナ・カタルーニャ・サーキットはF1カレンダーから外れる予定となっており、アロンソは今回が自身最後の母国バルセロナ戦になる可能性を認めた。

    「特別な週末になる。おそらくF1での最後のバルセロナになるだろう。だから皆に感謝したい」

    「この週末を楽しみたい。競争力はないだろうし、予選では長く走れないと思う。決勝ではそうならないことを願っているが、みんなが望むようなペースではない」

    「今回で23回目の母国GPになる。これまでのすべてが魔法のようなレースだった。そして最後になるかもしれない今回も、やはり特別なものになってほしい」

    アロンソはFP1を19番手、FP2を21番手で終えた。なお、アストンマーティンの金曜公式リリースではアロンソ本人のコメントは発表されておらず、現時点でF1公式チャンネルでもセッション後のインタビュー映像は公開されていない。

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