カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • 元マクラーレンF1代表エリック・ブーリエ WRCプロモーターCEOに就任

    元マクラーレンF1代表エリック・ブーリエ WRCプロモーターCEOに就任

    FIA(国際自動車連盟)は、世界ラリー選手権(WRC)の商業権をフランスの自動車企業コスモビリス(Cosmobilis)と投資会社パーク・スクエア・キャピタル(Park Square Capital)が取得したと発表した。これに伴い、元ロータスF1およびマクラーレンF1のチーム代表エリック・ブーリエがWRCプロモーターの最高経営責任者(CEO)に就任することも明らかになった。

    FIAのモハメド・ビン・スライエム会長は、この契約を「ラリー界にとって世紀の契約」と表現。

    WRCとヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)の歴史上、最大規模の商業契約だと位置づけている。

    WRCの商業権が新体制へ
    発表はラリー・フィンランド初日に行われた。FIAは今回の契約について、「WRCとERCにとって極めて重要な転換点」であり、「両選手権史上最大の契約」と説明した。

    新たな権利保有者であるコスモビリスとパーク・スクエア・キャピタルは、ファンを中心に据えた新たな成長戦略を掲げている。

    具体的には、ストーリーテリングの強化や映像配信の拡充、複数のプラットフォームを活用したコンテンツ展開を進めることで、世界中のファンがこれまで以上に競技へアクセスしやすい環境を目指すとしている。

    エリック・ブーリエがCEOに就任
    今回の体制変更に伴い、WRCの商業運営を担うWRCプロモーターのCEOにはエリック・ブーリエが就任した。

    ブーリエは2010年から2013年までロータスF1のチーム代表を務め、その後はマクラーレンでレーシングディレクターとして約4年半にわたりチームを率いた。

    2018年にマクラーレンを離れた後は、2022年まで開催されたフランスGPの運営にも携わっていた。

    ブーリエは新たな役職について次のように意気込みを語った。

    「私は大きな熱意と決意、そして謙虚さと強い責任感を持ってこの挑戦に臨む。この素晴らしい選手権をさらに魅力的なものにしたい」

    「FIAやパートナーとともに、すべてのイベントを世界中のファンが楽しめる特別な大会へ発展させたい」

    「目標は明確だ。WRCとERCを世界的ブランドへ成長させ、現代の技術や環境課題にも対応した持続可能な発展を実現することだ」

    FIA「ラリー界にとって世紀の契約」
    ビン・スライエム会長は、今回の契約が競技の将来に大きな意味を持つと強調した。

    「これはまさにラリー界にとって『世紀の契約』だ。かつてない規模の投資が実現したことを誇りに思う」

    「この投資はファンや競技者、加盟クラブに利益をもたらすだけでなく、ラリー競技の将来への強い信頼を示すものでもある」

    「私たちは現在だけでなく将来を見据え、長期的なビジョンを共有できる最適なパートナーを選んだ」

    「ラリーは私自身の人生を形作ってきた競技であり、その未来に深くコミットしている。新たな時代の始まりとなる重要な瞬間だ」

  • F1最終2戦にも暗雲 WECが中東ラウンド中止で代替開催を決定

    F1最終2戦にも暗雲 WECが中東ラウンド中止で代替開催を決定

    2026年FIA世界耐久選手権(WEC)がシーズン終盤に予定していたカタールとバーレーンでの開催を断念したことで、F1でも今季最終戦の開催を巡る不透明感が一段と高まっている。

    WECは安全面や物流への影響を理由に欧州での代替開催を決定した。一方、F1は依然としてカタールGPとアブダビGPをカレンダーに残しているものの、情勢次第では代替開催地への変更も視野に入れた検討を続けているとみられる。

    WECがカタールとバーレーン開催を正式中止
    FIAは29日、WECの終盤2戦について開催地を変更すると発表した。

    当初、ルサイル・インターナショナル・サーキットで開催予定だったカタール戦は10月18日にスペイン・バルセロナで6時間レースとして実施。さらにシーズン最終戦として予定されていたバーレーン戦は、11月8日にイタリア・モンツァへ移される。

    この決定は、中東地域で続く紛争が安全性や貨物輸送、国際移動に及ぼす影響を慎重に検討した結果だ。

    WECのフレデリック・ルキアンCEOは、チームやマニュファクチャラーに十分な準備期間を確保する必要があったと説明した。

    「ここ数か月、中東情勢を注意深く見守ってきた」

    「数週間前まではカタールとバーレーンで開催できると楽観視していた。しかし現在の状況では代替案へ切り替えざるを得ない」

    「メーカーやチーム、そしてWEC運営が必要な準備を進められるよう、このタイミングで決断することが物流面で不可欠だった」

    また、FIA会長モハメド・ビン・スライエムも最後まで開催継続を模索したことを明らかにした。

    「ここ数か月、カタールとバーレーンのパートナーと協力し、開催維持に向けあらゆる選択肢を検討してきた」

    「しかし地域情勢を考えれば、チームや関係者、そしてモータースポーツファンの安全を最優先しなければならない」

    「容易な決断ではないが、モータースポーツコミュニティの安全確保が最優先だ」

    F1も最終2戦の代替開催を検討
    WECの決定により、F1が11月29日に予定するカタールGP、12月6日に予定するアブダビGPにも改めて注目が集まっている。

    現時点で両レースとも2026年カレンダーに残されており、正式な変更は発表されていない。しかし、現地情勢が改善しない場合に備え、F1は複数の代替開催案を検討しているとされる。

    有力候補の一つがイモラ・サーキットだ。2025年までF1を開催していた実績があり、短期間でグランプリ開催に対応できるインフラを備えている。

    ただし、12月のイモラは低温によってタイヤのウォームアップが難しくなるほか、悪天候のリスクも大きな課題となる。

    もう一つの候補として挙がるポルティマオは、近年F1開催実績があり冬場の気候も比較的温暖だ。しかし、2027年からのF1復帰に向けた施設改修工事が予定されているため、開催可能性は以前より低下しているという。

    このほか、トルコのイスタンブール・パークや、すでに2026年カレンダーへ組み込まれているサーキットでダブルヘッダーを実施する案も検討対象となっている。

    2026年カレンダーはすでに大幅変更
    F1は2026年シーズン序盤にも中東情勢の影響を受け、大幅な日程変更を余儀なくされた。

    バーレーンGPとサウジアラビアGPはシーズン途中で中止となり、当初24戦だったカレンダーは22戦へ縮小。その後、マレーシアGP復活という異例の措置により、セパンで10月2日から4日に「バーレーンGP」として開催されることが決定した。

    このレースは「フォーミュラ1 ガルフ・エア・バーレーンGP・イン・マレーシア」の名称で実施され、アゼルバイジャンGP、シンガポールGPと合わせたアジア3連戦を構成する。

    この追加によって2026年シーズンは23戦へ戻ったものの、WECが中東ラウンドの中止を正式決定したことで、F1もシーズン最終盤の開催について慎重な判断を迫られる状況となっている。

    現時点でF1から変更は発表されていないが、今後の地域情勢次第では、シーズン最終2戦の開催地が変更される可能性も残されている。

  • レッドブルF1 FIAとのPU性能評価対立が法廷闘争へ?

    レッドブルF1 FIAとのPU性能評価対立が法廷闘争へ?

    2026年F1シーズンのパワーユニット(PU)性能評価をめぐり、レッドブルとFIA(国際自動車連盟)の対立が新たな局面を迎えている。

    FIAが5月のマイアミGP後に実施したエンジン性能評価で、レッドブル・パワートレインズ製PUが「基準(ベンチマーク)」と認定されたことに対し、チーム側は現在も異議を唱え続けている。

    この対立は単なる技術論争にとどまらず、FIA国際控訴裁判所(International Court of Appeal)への持ち込みに発展する可能性まで指摘されており、2026年シーズン後半の政治的な焦点となりつつある。

    ADUO制度を巡るレッドブルとFIAの溝
    FIAはマイアミGP後、メルセデス、フェラーリ、ホンダ、アウディ、レッドブル・パワートレインズの5メーカーの内燃エンジン(ICE)性能を比較。その結果、レッドブル製PUが最も高性能と判断された。

    この評価によってレッドブルはADUO(性能調整制度)の対象外となり、シーズン中のPUアップグレードを認められていない。一方で、メルセデスやフェラーリには性能改善のためのアップグレードが許可されている。

    しかし、この結果には多くの関係者が驚きを示した。メルセデスは開幕から10戦で8勝を挙げており、ベルギーGP後にはチーム代表トト・ヴォルフも自ら「我々のエンジンが最高だ」と認めているためだ。

    そのため、一部ではメルセデスやフェラーリがADUO制度を有利に活用できるよう性能を見せ方で調整しているのではないかとの憶測も浮上している。ただし、こうした主張を裏付ける証拠は示されていない。

    「非常に緊張した状況」 国際控訴裁判所に発展する可能性も
    ブラジル人ジャーナリストのジュリアンネ・セラソリは、ポッドキャスト『Nailing the Apex』で、この問題を「非常に緊張した状況」と表現した。

    レッドブルが疑問視しているのは、FIAが示した性能評価そのものだ。しかし、FIAは他メーカーの詳細データを機密情報として扱っており、レッドブル側へ公開することはできない。

    セラソリは次のように説明している。

    「レッドブルが数値に疑問を呈しても、FIAは他メーカーのデータを見せることはできない。『我々を信頼してほしい』と言うしかないのだ」

    さらに、両者の対立は法廷闘争へ発展する可能性もあると指摘した。

    「現在、水面下では非常に緊張した状況になっている。解決策が見つからなければ裁判になる可能性もある」

    一方で、セラソリは「F1では最終的には政治が勝つ」とも述べ、法的な決着よりも政治的な妥協によって収束する可能性が高いとの見方も示している。

    ハンガリーGP後に再評価へ
    FIAは今週末のハンガリーGP終了後、夏休み前最後となるPU性能評価を再び実施する予定となっている。

    ただし、レッドブルがADUOの対象となるには、最新の評価で基準PUより2%以上劣ると認定される必要がある。前回は逆にトップ評価だったため、制度適用には大幅な評価の変化が求められる。

    なお、現在のランキングは内燃エンジン(ICE)の性能を基準として算出されているが、ADUOによる開発許可はICEに限らず、パワーユニット全体のコンポーネントへ適用できる仕組みとなっている。

    今回の問題は、新代表ローラン・メキース体制となったレッドブルにとって初めての大きな政治的争点ともいえる。かつてFIAで要職を務めた経験を持つメキースが、この難しい交渉をどのように進めるのかにも注目が集まる。

    今後のハンガリーGP後の再評価結果次第では、レッドブルとFIAの対立がさらに激化する可能性もありそうだ。

  • フェルスタッペンはお咎めなし サインツJr.は警告処分 FIAがFP1インシデント裁定

    フェルスタッペンはお咎めなし サインツJr.は警告処分 FIAがFP1インシデント裁定

    FIAはF1ハンガリーGPフリー走行1回目で発生したマックス・フェルスタッペンとカルロス・サインツJr.のインシデントについて審議を行い、フェルスタッペンには処分を科さず、サインツJr.に警告(Warning)を与える裁定を下した。

    問題となったのはターン12進入での場面だ。アタックラップ中だったフェルスタッペンが、レーシングライン上を低速で走行していたサインツJr.に接近。衝突を避けるため右へ回避することを余儀なくされ、両者はセッション後にスチュワードへ召喚された。

    サインツJr.「無線トラブルで警告を聞けなかった」
    審議の中でサインツJr.は、無線ケーブルが外れていたため、後方からフェルスタッペンが接近しているというレースエンジニアからの警告を受信できなかったと説明した。

    FIAの裁定文書によると、ターン12へ向かうストレートで55号車(サインツJr.)はレーシングライン上を走行し、後方からアタックラップ中の3号車(フェルスタッペン)が接近する中で早めにブレーキングを開始。フェルスタッペンは衝突を避けるため右側へ回避しなければならなかった。

    チーム無線にはエンジニアが複数回にわたって後方車両の接近を伝えていた記録が残っていたが、サインツJr.は無線ケーブルの不具合によってそれらのメッセージを聞くことができなかったという。

    サインツJr.は自身がアタックラップへ向けてブレーキを温める準備をしていたため、通常より早いタイミングで減速したと説明。一方、フェルスタッペンは「レーシングライン上をあれほど低速で走っているとは予想していなかった」と語ったものの、「危険な状況だったとは思わない」と証言した。

    FIA「レーシングラインでのブレーキウォームアップは不適切」
    スチュワードはサインツJr.が無線トラブルに見舞われていたことは認めた一方、そのような状況だからこそチームからの警告を受けられないことを考慮し、レーシングライン上でブレーキウォームアップを行うべきではなかったと判断した。

    裁定では「55号車のドライバーはチームからの警告を受けられない状況であった以上、レーシングライン上でブレーキを温める行為は避けるべきだった。その結果として3号車の走行を妨害した」と結論付けている。

    ただし、このインシデントはフリー走行中の出来事であり、実際にフェルスタッペンを危険な状況へ追い込んだわけではないことを考慮し、ペナルティポイントやグリッド降格ではなく、警告処分にとどめる裁定となった。

    今回の裁定により、フェルスタッペンは一切の処分を受けず、サインツJr.のみが公式警告を受ける結果となった。

  • メルセデス 新型F1セーフティカーを投入 ハンガリーGPで初実戦へ

    メルセデス 新型F1セーフティカーを投入 ハンガリーGPで初実戦へ

    F1は2026年ハンガリーGPで、新型のメルセデス製セーフティカーを初めて実戦投入する。メルセデスは木曜日、ハンガロリンクで「Mercedes-AMG GT 63 PRO 4MATIC+」を正式発表し、今週末からFIA公式F1セーフティカーとして運用されることを明らかにした。

    メルセデスは1996年から約30年にわたりF1へセーフティカーを供給しており、今回のモデルは「スリーポインテッドスター」を掲げる14代目の公式セーフティカーとなる。四輪駆動システムの採用など、従来モデルから大幅な進化を遂げている。

    四輪駆動を初採用した新型セーフティカー
    新たに投入されるMercedes-AMG GT 63 PRO 4MATIC+は、F1セーフティカーとして初めて可変式四輪駆動(4MATIC+)を採用したモデルだ。これにより、ドライコンディションだけでなくウエット路面でも最適なトラクション性能を発揮する。

    パワーユニットには4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力612hp(450kW)、最大トルク850Nmを発生。力強い加速性能と高い安定性を両立している。

    外観はブラックとレッドを基調とした新しいカラーリングが採用され、従来モデルとは印象を大きく変えたデザインとなっている。

    ベルント・マイランダー(F1セーフティカードライバー)

    マイランダー「コーナリングと加速で真価を発揮する」
    1999年からF1セーフティカードライバーを務めるベルント・マイランダーは、新型車の性能を高く評価した。

    「Mercedes-AMG GT 63 PRO 4MATIC+は、FIA公式F1セーフティカーとして最高レベルの安全性と卓越したスポーティさ、そして運転する楽しさを兼ね備えている」

    「ドライバーの操作に対する反応は非常に俊敏で正確だ。これは初めて四輪駆動を採用したセーフティカーであり、その効果は他の技術的な特徴と組み合わさることで、特に優れたトラクションとして実感できる」

    「コーナリングや加速時には、その真価を存分に発揮する。本当に素晴らしいロードカーだ。ハンガリーで実際のレースコンディションの中、この新しいセーフティカーを初めて走らせるのを楽しみにしている」

    F1 セーフティカー メルセデス

    30年続くメルセデスとF1のパートナーシップ
    メルセデスAMGモータースポーツ責任者のサイモン・ウィルバースは、30年にわたるF1との協力関係を振り返りながら、新型モデルへの自信を示した。

    「30年にわたり、メルセデス・ベンツとメルセデスAMGはF1へセーフティカーを供給するという特別な責任を担ってきた」

    「私たちにとって、この長い伝統を、自らの基準をさらに引き上げるクルマで受け継いでいけることは大きな名誉であると同時に挑戦でもある」

    「Mercedes-AMG GT 63 PRO 4MATIC+は、卓越したパフォーマンスと精密なコントロール性、安全性を兼ね備えている。FIA公式F1セーフティカーとしてだけでなく、市販車としても非常に優れた1台だ」

    今回投入される新型セーフティカーは、可変式四輪駆動の採用によってあらゆる路面状況で高い走行安定性を実現しており、2026年ハンガリーGPでその実力が初めて実戦で試されることになる。

  • F1ドライバーがFIAの裁定基準に困惑 ハミルトンとルクレールの事例を協議へ

    F1ドライバーがFIAの裁定基準に困惑 ハミルトンとルクレールの事例を協議へ

    F1ベルギーGPで発生したルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールを巡る2件の接触事案を受け、F1ドライバーたちの間でFIAの裁定基準に対する疑問が広がっている。

    報道によると、今週末のF1ハンガリーGPではドライバーとFIAが会合を開き、オーバーテイク時の判断基準やドライビングガイドラインについて協議する予定だ。

    ハミルトンには5秒加算 ルクレールはお咎めなし
    ベルギーGPでは、フェラーリのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが、それぞれ異なる接触事故でスチュワードの調査対象となった。

    ハミルトンはオープニングラップでジョージ・ラッセル(メルセデス)と接触し、ラッセルをリタイアに追い込んだ。この件についてスチュワードはハミルトンに全面的な責任があると判断し、5秒加算ペナルティを科した。

    通常であれば10秒加算が標準的な裁定となるケースだったが、接触を回避しようとしたことや、マシンのグリップを失っていたことが情状酌量の要素として認められ、ペナルティは5秒へと軽減された。

    一方、ルクレールはオスカー・ピアストリ(マクラーレン)との接触について調査を受けたものの、故意にコース外へ押し出したわけではないと判断され、ペナルティは科されなかった。

    レース後、フェラーリ代表のフレデリック・バスールも、スチュワードの判断基準について見解の違いがあることを示唆していた。

    ドライバー側にも困惑 FIAとブダペストで協議へ
    これら2件の裁定は、ドライバーの間でも混乱を招いている。

    とりわけGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)理事を務めるジョージ・ラッセルは、ハミルトンへの5秒ペナルティに驚きを示した一人だ。

    ラッセルは自身とハミルトンの接触について、1周目に自身のマシンが抱えていたパワーデリバリーの問題が発端となった「通常のレーシングインシデント」だったとの認識を示している。

    こうした状況を受け、PlanetF1によると、ハンガリーGPの週末にはドライバーとFIAが会合を開き、オーバーテイク時の裁定手順やドライビングガイドラインについて議論する予定となっている。

    複数のドライバーは、今回の裁定が国際競技規則(ISC)やドライビングスタンダードガイドラインと整合していないように見えるとして疑問を抱いているという。

    スパでの裁定が議論の焦点に
    FIAとドライバーによるこのテーマの正式な協議は、2025年カタールGP以来となる。

    今回の会合自体は以前から予定されていたものだが、ベルギーGPでハミルトンとルクレールを巡る対照的な裁定が下された直後というタイミングもあり、スパでの判定基準を明確化する場として大きな注目を集めそうだ。

  • FIA会長 スライエム 2026年F1新規則の不備認める「我々も間違いを犯す」

    FIA会長 スライエム 2026年F1新規則の不備認める「我々も間違いを犯す」

    FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエム会長は、2026年のF1新レギュレーションについて「我々も間違いを犯す」と認め、ベルギーGPで噴出したドライバーたちの批判を受けて、規則の見直しを進める考えを示した。

    スパ・フランコルシャンでは長い全開区間でエネルギーマネジメントの問題が顕在化し、カルロス・サインツJr.やルイス・ハミルトンは「なぜこの規則が承認されたのか」と疑問を呈していた。

    ビン・スライエム会長は『Viaplay』の取材に対し、自らの責任も認めた。

    「我々も間違いを犯す。規則には抜け穴もある。そのような問題については、我々は常に手を挙げて修正していく」

    一方で、2026年シーズン開幕当初と比べれば、レース内容は改善されているとの見方も示した。

    「シーズン序盤のレースを見れば、十分な競争がなかったことは明らかだった。今はその競争が生まれている」

    「FIAは介入し、あらゆるデータや寄せられた苦情を分析してきた」

    PU規則変更にはメーカーの合意が必要
    ただし、ドライバーから求められているような大幅なルール変更を、FIAだけで決定することはできないと説明した。

    「最終的にはエンジンサプライヤーやメーカーとも向き合わなければならない」

    「必要なのは6者中4者の特別多数決だ。モータースポーツの競争力と公平性を維持するためには、各チームの理解も必要になる」

    現在のパワーユニット規則の修正については、レッドブル・フォードとメルセデスが変更に前向きとされる一方、ホンダ、アウディ、キャデラックは慎重な姿勢を取り、フェラーリは大幅な見直しに反対していると報じられている。

    国際自動車連盟

    2031年V8エンジン復活も議論
    一方で、2031年以降の次世代エンジン規則については、V8エンジンへの回帰を支持する動きが広がっている。

    ビン・スライエム会長は、その方向性についても言及した。

    「V8エンジンに戻るのであれば、まず目標は何なのか、なぜそうするのかを考えなければならない」

    「私は、あらゆる要件を満たす新しいエンジンが必要だと考えている」

    「ファンにとってはサウンドも重要な要素だ。それと同じくらい、シンプルさやコスト削減も重要になる」

    100%持続可能燃料を使用するV8エンジン構想について質問されると、すでに具体的な協議が進んでいることを明かした。

    「そうだ。その燃料なら100%持続可能性を実現できる。現在、チームやエンジンサプライヤー、そしてドライバーとも計算や協議を進めている」

    「最終的に重要なのは私やチームではない。マシンを走らせるのはドライバーなのだから」

  • ルイス・ハミルトン F1終盤の赤旗判断に裁量拡大を提案「ファンのためになる」

    ルイス・ハミルトン F1終盤の赤旗判断に裁量拡大を提案「ファンのためになる」

    ルイス・ハミルトンは、F1ベルギーGPを前に、レース終盤でセーフティカーのまま決着する展開を避けるため、FIAレースディレクターに赤旗を掲示する裁量をより与える案に前向きな考えを示した。

    この発言は、マックス・フェルスタッペンのクラッシュによってセーフティカー決着となった2026年F1イギリスGPを受けたもの。ハミルトンは、ファンにとってより見応えのあるレースを実現するためには、終盤の赤旗運用に柔軟性を持たせることも選択肢のひとつだとの考えを語った。

    ルイス・ハミルトンは、F1ベルギーGPを前に、レース終盤でセーフティカーのまま決着する展開を避けるため、FIAレースディレクターに赤旗を掲示する裁量をより与える案に前向きな考えを示した。

    この発言は、マックス・フェルスタッペンのクラッシュによってセーフティカー決着となった2026年F1イギリスGPを受けたもの。ハミルトンは、ファンにとってより見応えのあるレースを実現するためには、終盤の赤旗運用に柔軟性を持たせることも選択肢のひとつだとの考えを語った。

    「ファンに最高のレースを届けられる」
    レース終盤に赤旗を掲示し、最後をグリーンフラッグ下で争わせるためにレースディレクターへより大きな裁量を与えることについて質問されたハミルトンは、メディアに対して次のように語った。

    「そうだね、間違いなくそう思う」

    「オーストラリアでもそういうことがあったし、あれは本当に最高のレースのひとつだった。もちろん自分がトップを走っている立場なら歓迎できないかもしれないけど、ファンにとっては最高のレース体験になる」

    「これまでも実際にそういう判断は行われてきた。だからセーフティカーのままレースが終わるのは、僕としても残念だ」

    「マシンに乗っているドライバーとしても残念に思うし、アスリートとしてもそう感じる。だからファンがどんな気持ちだったかは想像できるよ」

    議論の発端となったシルバーストンの結末
    この議論のきっかけとなったのは、前戦イギリスGP終盤の出来事だった。

    レース終盤、フェルスタッペンがクラッシュしたことでセーフティカーが導入され、多くの関係者は51周終了時点でセーフティカーが退去し、最後の1周をレーシングスピードで争う展開になると予想していた。

    しかし実際には、競技規則に従ってセーフティカーは52周終了時までコース上に留まり、シャルル・ルクレールは追い抜きのないままトップチェッカーを受けた。

    FIAはその後、51周終了時に表示された「Safety Car in this Lap」のメッセージはソフトウェアエラーによるものだったと説明している。

    ルイス・ハミルトン F1終盤の赤旗判断に裁量拡大を提案「ファンのためになる」

    過去にも赤旗再スタートで劇的な決着
    F1では近年、レース終盤に赤旗が掲示され、再スタートによって劇的な決着が演出されたケースもある。

    2021年アゼルバイジャンGPでは、首位を走行していたフェルスタッペンがタイヤバーストでクラッシュしたことを受けて赤旗が提示され、スタンディングスタートによる2周のスプリント勝負が行われた。この際、ハミルトンは1コーナーでロックアップを喫し、大きく順位を落としたことでも知られている。

    また2023年オーストラリアGPでは、ケビン・マグヌッセンのクラッシュによるデブリ回収のため終盤に赤旗が掲示され、残り2周で再スタートが実施された。しかし1コーナーで多重クラッシュが発生し、再び赤旗中断となった後、最終ラップはセーフティカー先導で終了した。

    今回のハミルトンの発言は、こうした過去の事例を踏まえたうえで、ファンにとってより見応えのあるレースを実現するために、終盤の赤旗運用について議論する余地があるとの考えを示したものだ。

  • F1ドライバー イギリスGPのセーフティカー終了をFIAと協議へ

    F1ドライバー イギリスGPのセーフティカー終了をFIAと協議へ

    F1ドライバーたちは、イギリスGPがセーフティカー先導のまま終了した一件について、ベルギーGP開幕前に行われるドライバーズブリーフィングでFIAと話し合う予定だ。アルピーヌのピエール・ガスリーが明らかにした。

    イギリスGPでは終盤にマックス・フェルスタッペンがクラッシュし、セーフティカーが導入された。その後、システム上に一度は「セーフティカーはこの周に入る」と表示されたものの、レースは再開されず、予定されていた52周をセーフティカー先導のまま終えた。

    ガスリーがフィニッシュ直後に皮肉な拍手
    ガスリーはシルバーストンのフィニッシュラインを通過する際、コクピット内で皮肉を込めるように拍手を送った。

    10位でレースを終えたガスリーだけでなく、複数のドライバーが競争のないまま決着した結末に不満を示していた。スタンドの観客からもブーイングが起こり、パドック内からも厳しい意見が上がった。

    レースはフェラーリのシャルル・ルクレールが優勝し、ジョージ・ラッセルが2位、ルイス・ハミルトンが3位に入った。しかし、その結果以上に、レース終了までの手順が大きな議論を呼ぶことになった。

    誤表示で一時はレース再開への期待
    FIAはレース後、「Safety Car In This Lap」というメッセージが表示されたのはソフトウェアエラーによるものだったと説明した。

    この表示によって、セーフティカーがピットレーンに戻り、残りの周回でレースが再開される可能性があるように見えた。しかし、メッセージはその後に訂正され、実際にはセーフティカー先導のままチェッカーフラッグが振られた。

    FIAのセーフティカー規則である第B5.13.5条では、周回遅れのマシンが隊列を追い越して同一周回に戻る手続きが行われた後、少なくとも1周を完了する必要がある。

    イギリスGPでは、その1周が予定された52周目と重なった。このため、現行規則上はチェッカーフラッグまでにレースを再開する機会がなかった。

    「SCの後ろで終わるのは誰にとっても良くない」
    ガスリーは、自身の反応について尋ねられると、当時はすべての情報を把握していなかったと説明した。

    「僕はレーサーですし、可能な限り、セーフティカーの後ろでレースが終わることは、コース上にいる人にとっても、外にいる人にとっても決して良いことではないと思っています」

    「だから、あの状況には少しフラストレーションを感じていました。その時点では、僕もすべての情報を持っていたわけではありません。その後、なぜあのような展開になったのかは理解しました」

    規則上の理由には理解を示した一方で、今後も同様の形でレースが終了することは避けるべきだと訴えた。

    「でも、今後はあのような形でレースが事実上セーフティカーの後ろで終わる状況にならないことが理想だという点では、全員が同意していると思います」

    「僕たちにとっても、メディアのみなさんにとっても、良い見え方ではないと思います」

    ベルギーGP前にFIAと意見交換
    ガスリーによると、ドライバーたちはベルギーGPを前に行われるドライバーズブリーフィングで、イギリスGP終盤の対応についてFIAと協議する予定だ。

    今回の問題は、FIAが規則を誤って適用したというよりも、誤ったメッセージが表示されたことでレース再開への期待が生まれたことや、現行の手順では終盤のレース再開が難しいことにある。

    安全確保を最優先しながらも、セーフティカー先導での終了を可能な限り避けるため、終盤の運用や手続きに改善の余地があるかが議論の焦点となる。

    イギリスGPでは規則上、レースを再開することはできなかったが、誤表示によって混乱と不満が拡大した。ドライバー側はFIAの対応理由を理解しながらも、今後は同様の形でレースが終わらない仕組みを求めていくことになる。

  • F1の独立系カスタマーエンジン構想にゲイリー・アンダーソンが警鐘「失敗する」

    F1の独立系カスタマーエンジン構想にゲイリー・アンダーソンが警鐘「失敗する」

    FIAが2031年以降の次世代F1エンジン規則として検討を進める「独立系メーカーによるカスタマーエンジン」構想について、元F1テクニカルディレクターのゲイリー・アンダーソンが「過去にも失敗したアイデアであり、今回もうまくいかない」と厳しく批判した。

    アンダーソンはV8エンジンへの回帰や車両軽量化には賛成の立場を示す一方で、メーカー製パワーユニットと独立系カスタマーエンジンを共存させる構想はF1を「持つ者」と「持たざる者」に二分しかねないと警告。

    独立系メーカーを活用するのであれば、別の形で制度設計すべきだと提案している。

    カスタマーエンジン構想は「過去にも失敗した」
    アンダーソンは、FIA会長モハメド・ビン・スライエムが提唱したカスタマーエンジン構想について、「一見すると理にかなっているように思えるが、実際には数多くの問題を抱えている」と指摘した。

    「権限を持つ人物が思いつきのような発言をすると、『口を開く前によく考えろ』という言葉を思い出す」

    そう切り出したアンダーソンは、将来的なV8エンジン導入には賛成の立場を示した。

    「将来のV8エンジン規則には全面的に賛成だ。追い抜き補助程度のシンプルな電動回生システムを組み合わせれば、F1が失った迫力あるサウンドも戻ってくる。DRSやアクティブエアロに頼る必要もなくなるだろう」

    さらに100kg近い軽量化という目標にも前向きな見解を示した。

    「100kg減は少し野心的かもしれないが、各チームの設計陣なら十分に挑戦できるはずだ」

    しかし、その一方でメーカー製PUと並行して独立系カスタマーエンジンを導入する構想については、「極めて大きな方向転換」であり、慎重な議論なしに進めるべきではないと主張した。

    2010年にも似た構想は頓挫
    アンダーソンは過去のF1でも同様の試みが存在したと振り返る。

    2010~2012年に向けて、全チーム共通の標準エンジンとギアボックスを導入するための入札が実施されたが、最終的には実現しなかった。

    「私は十分長くF1に関わってきた。この話は以前にも見てきた。そしてその時もうまくいかなかった。今回もうまくいかないだろう」

    さらに1970年代のF1を例に挙げ、当時はフェラーリやBRM以外の大半がコスワースDFVエンジンを使用していたことを紹介。しかし、その後メーカー参入が進むにつれてプライベーターは姿を消し、コスワースも2013年のマルシャを最後にF1から撤退したと説明した。

    一方で、BMWやトヨタ、プジョー、ホンダなど多くのメーカーが経営判断ひとつでF1から撤退してきた歴史も忘れてはならないと指摘している。

    現在のPU問題は「99%がFIAの責任」
    アンダーソンは現在の複雑なハイブリッドPUそのものについても厳しい見方を示した。

    「現在抱えているパワーユニットの問題は99%がFIAによって生み出されたものだ。規則を書いたのはFIAであり、残り1%はメーカー側の要望だろう」

    2014年のハイブリッド導入時にも反対意見は多く、2026年規則についてもエネルギー回生と放出バランスに問題があるという指摘が繰り返されてきたが、それらは聞き入れられなかったという。

    F1 エンジン

    「持つ者」と「持たざる者」に分かれる危険性
    アンダーソンは、安価な独立系エンジンが導入されればチーム間格差を固定化する危険があると警告した。

    「低価格で独立メーカー製エンジンを認めれば、F1はすぐに『持つ者』と『持たざる者』の選手権になる」

    メーカー系チームが顧客チームを支配しているという懸念についても否定的だ。

    「メーカーの言うことを聞かなければ不利な扱いを受けると考えるチームもあるが、それは被害妄想だ。まず自分たちのパッケージを最大限活用すべきであり、他人のせいにするべきではない」

    一方で、メーカー側がカスタマーエンジンの性能を意図的に低く抑えるよう圧力をかけることは避けられないとも予想する。

    「メーカーは莫大な資金を投じている。安価なエンジンに負けることを望むはずがない」

    結果として、コストキャップや空力テスト制限など近年進められてきた戦力均衡策とも矛盾すると指摘した。

    独立系メーカーは参入可能にすべき
    アンダーソンは、独立系メーカーの参入自体には反対していない。

    その代わり、FIAとリバティ・メディア、既存PUメーカー、独立系エンジンメーカーが共同で、よりシンプルな次世代エンジン規則を策定すべきだと提案する。

    また、シーズン供給価格には上限を設け、独立系メーカーが自由にエンジンを開発・販売できる環境を整えるべきだと述べた。

    さらに各メーカーには最低2チーム、最大3チームへの供給を義務付ければ、現在のメーカー数だけでも10~15チーム分の供給能力を確保できると試算している。

    現状では、

    メルセデス:4チーム
    フェラーリ:3チーム
    レッドブル:2チーム
    ホンダ:1チーム
    アウディ:1チーム

    という供給体制になっており、このバランスを見直すだけでも外部サプライヤーを必要としない体制が構築できるという考えだ。

    V6自然吸気という代替案も提示
    アンダーソンはV8だけが選択肢ではないとも主張する。

    「FIAはV8だけでなく、大排気量の自然吸気V6も検討すべきだ」

    2.4リッター自然吸気V6なら、ファンが求める出力とサウンドを十分実現できると説明した。

    また、ターボチャージャーは排気音を大きく抑えてしまうため、FIA会長が「ターボはサイレンサーのようなもの」と語った点にも同意している。

    ハイブリッドは追い抜き専用に
    最後にアンダーソンは、ハイブリッドシステムを完全に廃止するのではなく、役割を限定する案も提示した。

    回生は現行同様にブレーキング時のみ行い、蓄えた電力は前車の1秒以内でホームストレートを通過した場合のみ使用可能とする。

    例えば4MJの電力を1周の中で自由に使い切り、使用しなければリセットされる方式なら、現在のDRSより自然な追い抜き支援になるという。

    「人工的ではある。しかし、これまで導入された追い抜きシステムの中では最も人工的ではない方法だ」

    アンダーソンは、F1にはさまざまな改善案が存在するものの、それらが十分に耳を傾けられてこなかったことを最後に嘆いた。

    今回の提言では、独立系エンジンメーカーの存在そのものを否定するのではなく、FIAが検討する「安価なカスタマーエンジン」という構想ではチーム間格差を助長すると警鐘を鳴らした。V8あるいは自然吸気V6を軸としたシンプルな規則と、公平な供給体制の構築こそが、F1の将来に必要だと訴えている。