カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • F1イタリアGPに「ヒートハザード」宣言 モンツァで35度予報 冷却ベスト使用可能

    F1イタリアGPに「ヒートハザード」宣言 モンツァで35度予報 冷却ベスト使用可能

    FIAは、2026年F1第13戦イタリアGPを「ヒートハザード(Heat Hazard)」対象イベントに指定した。モンツァでは週末を通して厳しい暑さが予想されており、ドライバーの安全を守るため、冷却ベストを含む特別な暑熱対策が適用される。

    イタリアGPの週末は平年を大きく上回る気温となる見通しで、金曜日は最高34度、土曜日は35度、日曜日も34度まで上昇すると予想されている。

    FIAの規定では、イベント中に気温が31度を超えることが予想され、定められたヒートインデックスの条件を満たした場合、ヒートハザードを宣言することができる。

    FIAがイタリアGPを「ヒートハザード」に指定
    ヒートハザードは、極端な暑さによってドライバーの健康や安全が脅かされる可能性がある場合に適用される制度だ。

    今回のイタリアGPは、2025年のシンガポールGPとアメリカGP、2026年のオーストリアGPに続き、F1で4例目のヒートハザード指定となる。

    モンツァではグリッド上でファンやアイスベスト、日よけなどの暑熱対策が強化されるほか、マシンにはFIAが承認したドライバー冷却システムを搭載することが認められる。

    冷却ベストは着用を選択可能
    ヒートハザードが宣言されると、ドライバーは液体冷却式のベストを使用できる。耐火性のアンダーウェアにチューブを組み込み、冷却された液体を循環させることで、走行中の体温上昇を抑える仕組みだ。

    システムではグリコールなどの液体を使用し、ドライアイスを入れたタンクを通して冷却したうえでドライバーの身体周辺に循環させる。

    ただし、冷却ベストの着用自体は義務ではない。ドライバーは快適性などを理由に使用しないことも選択できる。

    一方、冷却システムを使用しないことで重量面のアドバンテージを得ることは認められない。そのため、ヒートハザードが適用された場合には冷却システム搭載を考慮してマシンの最低重量が5kg引き上げられ、システムを使用しないドライバーも相当するバラストを搭載しなければならない。

    イタリアグランプリ

    ラッセルは冷却システムを評価
    GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)のディレクターを務めるジョージ・ラッセルは、2025年シンガポールGPで冷却ベストを着用して優勝しており、このシステムを評価している。

    「全員がこのトップを快適だと感じるわけではないけど、人によっては他の人より快適に感じると思う。もちろん、時間が経てば自分の好みに合わせて調整できるようになるだろう」

    「でも、コンセプトはいい。湿度90%のなかでレースをして、コックピットが60度近くになると、マシンの中はちょっとしたサウナみたいになる。だから、僕たちはみんな歓迎していると思う」

    一方で、冷却ベストへの評価はドライバーによって異なる。マックス・フェルスタッペンはこれまで、ベストの着心地やシステムに問題があるとして否定的な見解を示している。

    また、冷却に使用するドライアイスが走行中になくなる可能性も課題のひとつだ。その場合、十分に冷却されなくなった液体がシステム内を循環し、ドライバーにとって逆に不快になる可能性がある。

    きっかけは2023年カタールGPの過酷なレース
    FIAがこうした暑熱対策を導入する大きなきっかけとなったのが、2023年F1カタールGPだった。

    極端な高温と高湿度のなかで行われた決勝では、複数のドライバーが深刻な体調不良に陥った。エステバン・オコンはヘルメット内で嘔吐しながら走行を続け、ローガン・サージェントは体調悪化によってリタイア。ランス・ストロールやアレクサンダー・アルボンもレース後に暑さによる体調不良の処置を受けた。

    複数のドライバーが高速走行中に意識を失いかけるほどだったことから、FIAは同様の事態を防ぐための暑熱対策を制度化した。

    2026年はスプリントと決勝を別々に指定可能
    2026年にはヒートハザード規定にも変更が加えられ、スプリントと決勝について、それぞれ個別に宣言できるようになった。

    FIAは規定について、「ヒートハザードの宣言は、スプリントと決勝で分けることができるようになった。ヒートハザードはスプリント、決勝、またはその両方について、競技開始24時間前までに宣言される」と説明している。

    これにより、週末途中で気象予報が変化した場合にも、実際のコンディションに応じて柔軟に暑熱対策を適用できる。

    最高35度という厳しい暑さが予想される2026年F1イタリアGPでは、純粋なマシン性能だけでなく、コックピット内の温度管理とドライバーの体調管理も重要な要素となる。特に高速コースのモンツァで長時間にわたって集中力を維持するため、各ドライバーが冷却システムを使用するかどうかも注目点となりそうだ。

  • アルゼンチン大統領がF1復活開催を熱望「我々にはすべてが揃っている」

    アルゼンチン大統領がF1復活開催を熱望「我々にはすべてが揃っている」

    アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が、F1アルゼンチンGPの復活開催に強い意欲を示した。1998年を最後にF1カレンダーから姿を消している同国について、「再びF1を迎えるために必要な条件はすべて揃っている」と訴えている。

    アルゼンチンでは、フランコ・コラピントのF1参戦によってモータースポーツ人気が再び大きな盛り上がりを見せている。

    ミレイ大統領は、その熱気に加えて、歴史、ドライバー、そして国際大会を開催するための制度的な信頼性を整えることで、F1だけでなくWRC(世界ラリー選手権)の招致も目指す考えを明らかにした。

    FIAアメリカン・コングレスでF1招致を表明
    ミレイ大統領は9月1日(月)、ブエノスアイレスで開幕したFIAアメリカン・コングレスで演説し、アルゼンチンにおけるモータースポーツの重要性を強調した。

    「アルゼンチン自動車クラブ(ACA)は国内モータースポーツに多大な貢献をしてきました。そして、アルゼンチンは自動車を愛する国です」

    「アルゼンチン人のレースに対する情熱は時代を超えて存在しています」

    その言葉を裏付けるように、アルゼンチンでは現在、F1への関心が急速に高まっている。その中心にいるのがコラピントだ。

    コラピントは2001年以来となるアルゼンチン人F1ドライバーとして最高峰カテゴリーに参戦。今年4月にはブエノスアイレス市街地でデモ走行を行い、沿道には数十万人規模のファンが集まった。アルピーヌとの契約も2027年まで延長され、国内でのF1人気を押し上げる存在となっている。

    ただし、ミレイ大統領が描く構想は、アルゼンチン人ドライバーがF1に参戦しているという話だけにとどまらない。

    1998年以来となるアルゼンチンGP復活への課題
    アルゼンチンGPが最後に開催されたのは1998年であり、復活が実現すれば約30年ぶりのF1開催となる。

    アルゼンチンとF1の歴史は古い。1950年代には伝説的ドライバー、ファン・マヌエル・ファンジオが活躍し、5度のF1ワールドチャンピオンに輝いた。アルゼンチンGPはこれまで20回開催され、そのすべてがブエノスアイレスのアウトドローモ・オスカル・イ・フアン・ガルベスを舞台としてきた。

    一方、現代のF1を開催するためにはサーキットをFIAグレード1の基準に適合させる必要がある。

    同サーキットについては2017年にも大規模改修計画が持ち上がったものの実現には至らなかった。したがって、アルゼンチンGP復活に向けては、F1側との商業的な合意だけでなく、施設改修や開催資金を含めた具体的な計画が必要になる。

    現時点でF1アルゼンチンGPの復活が正式決定したわけではなく、ミレイ政権が招致への意欲を公に示した段階とみるべきだ。

    アルゼンチングランプリ F1

    ミレイ大統領「F1とWRCを再びカレンダーに」
    ミレイ大統領は、アルゼンチンが国際的なモータースポーツイベントを開催するための環境を再構築していると強調。F1とWRCの双方を具体的な招致対象として挙げた。

    「だからこそ、皆さんにも私と一緒に夢を見ていただきたいと思います。アルゼンチンには、F1と世界ラリー選手権を再びカレンダーに迎えるために必要な条件がすべて揃っています」

    さらにミレイ大統領は、国際カテゴリーが開催国を選ぶうえで重要になる「制度的な信頼性」についても言及した。

    「我々には伝統があります。ドライバーもいます。そして今、こうしたカテゴリーが開催国を選択する際に求める制度的な信頼性を、再び築きつつあります。我々には本当にすべてが揃っています」

    コラピント人気はF1復活への追い風
    アルゼンチンにとって最大の追い風となっているのは、コラピントの存在によって国内のF1熱が目に見える形で復活していることだ。

    F1開催には、FIAグレード1を満たすサーキット、巨額の開催費用、プロモーター、政府や自治体の支援、そしてF1との契約など複数の条件をクリアする必要がある。その意味では、大統領による今回の発言だけでアルゼンチンGP復活が具体化したとは言えない。

    それでも、国家元首がFIAの公式会議という場でF1招致を明言した意味は小さくない。ファンジオによって築かれた歴史にコラピントが新たな熱狂を加え、政府も開催への意思を示したことで、長年語られてきたアルゼンチンGP復活構想には新たな政治的な後押しが加わった。

    次に問われるのは、その「すべてが揃っている」という言葉を、サーキット改修や開催契約といった具体的な計画へと結びつけられるかどうかだ。

  • 元F1ドライバーのニキータ・マゼピン 欧州復帰戦で2連勝 FIAがロシア制限撤廃

    元F1ドライバーのニキータ・マゼピン 欧州復帰戦で2連勝 FIAがロシア制限撤廃

    元F1ドライバーのニキータ・マゼピンが、欧州でのレース復帰を果たし、いきなり2連勝を飾った。FIA(国際自動車連盟)がロシア人競技者に対する制限を撤廃してからわずか数日後の参戦となった。

    マゼピンはスパ・フランコルシャンで開催されたドイツを拠点とするシリーズ、スペツィアル・トゥーレンヴァーゲン・トロフィー(STT)にチーム・モトパークから参戦。メルセデスAMG GT3をドライブし、週末の2レースでともにポール・トゥ・ウインを達成した。

    マゼピンがスパで2戦連続ポール・トゥ・ウイン
    2021年にハースからF1に参戦したマゼピンは、第1レースの予選で2番手に4秒以上の大差をつけてポールポジションを獲得。決勝でも16秒以上のリードを築いて勝利した。

    翌日曜日にも再びポールポジションを獲得すると、決勝でもトップでチェッカーを受け、欧州でのレース復帰を2連勝で締めくくった。

    今回の参戦は、FIAがロシア人競技者に課していた中立資格での参加要件を撤廃した直後に実現したものだ。

    FIAは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシア人競技者に対して中立的な立場で国際大会に参加することを求める措置を導入していた。今回の変更によって、ロシア人競技者は再び自国の国籍を掲げて競技に参加できるようになった。

    ウクライナ自動車連盟がFIA倫理委員会に正式申し立て
    一方、FIAによる制限撤廃をめぐっては、新たな争いも生じている。

    ウクライナ自動車連盟は、ロシア自動車連盟を相手取り、FIA倫理委員会に正式な申し立てを行った。

    ウクライナ側は、ロシア自動車連盟がクリミア、セヴァストポリ、ドネツク、ザポリージャに事務所を設置・運営していると主張。これらは国際的にウクライナ領と認められている地域であり、各国のモータースポーツ統括団体が持つ管轄権を定めたFIAの規約に違反すると訴えている。

    この申し立てについて、FIAは現時点で公に回答していない。

    マゼピンにとっては、FIAによる規制変更を受けて実現した欧州復帰戦で圧倒的な結果を残す形となった。一方、その復帰を可能にしたロシア人競技者への措置変更をめぐっては、ウクライナ側から正式な異議申し立てが行われており、今後のFIAの対応が注目される。

  • レッドブルF1に痛手 第2回ADUOでも対象外 2026年PU追加開発不可

    レッドブルF1に痛手 第2回ADUOでも対象外 2026年PU追加開発不可

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1シーズンに導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)の第2評価期間の結果を公表した。第1期間で最も高い性能を持つパワーユニット(PU)と判定されたレッドブル・フォード・パワートレインズには、第2期間でも追加のホモロゲーション枠は与えられなかった。

    これにより、レッドブルは2026年シーズン終了までADUOを利用したPUアップグレードを行うことができない。

    一方、第1期間の評価で基準となるレッドブルから一定以上の性能差があると判定されたメルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダには、すでに追加開発の機会が認められている。

    第2回ADUOでは全メーカーに追加枠なし
    FIAは水曜日、2026年のADUOについて、第1期間と第2期間の評価結果を正式に発表した。

    第1期間はカナダGP終了後、第2期間はハンガリーGP終了後に評価が締め切られた。

    そのなかでFIAは、第2期間について「いずれのパワーユニットメーカーにも追加のホモロゲーションは付与されなかった」と明らかにした。

    つまり、第1期間で追加開発の対象外だったレッドブル・フォード・パワートレインズにとって、第2期間は新たな開発機会を得るチャンスとはならなかった。

    ADUOは、2026年から始まった新しいPUレギュレーションの下でメーカー間の性能差が大きくなった場合、後れを取ったメーカーに追加の開発機会を与えるために導入された制度だ。

    評価基準となる最上位メーカーとの性能差に応じて、追加ホモロゲーションやダイナモテスト、コストキャップ面での追加枠が認められる。

    レッドブルが「最強PU」と正式認定
    FIAの今回の発表によって、第1期間の評価でレッドブル・フォード・パワートレインズが最も高い性能を持つPUと判定されていたことも正式に確認された。

    これは2026年シーズン序盤のF1パドックで広く共有されていた認識とは異なるものだった。

    開幕からのパフォーマンスを受け、メルセデスが最も競争力の高いPUを持っているとの見方が強かったが、FIAの分析ではレッドブルが基準となった。

    メルセデスはレッドブルに対して2〜4%の性能差があるカテゴリーに分類され、2026年に1回、2027年に2回の追加ホモロゲーションが認められた。さらにコストキャップとダイナモテストについても追加枠を得る。

    一方、フェラーリ、アウディ、ホンダはいずれも4%を超える性能差があると判定されたため、2026年と2027年にそれぞれ2回の追加アップグレード機会が認められている。

    レッドブルはFIAの評価に反発
    レッドブル側は、第1期間で自社PUが最高性能と評価されたことに疑問を呈してきた。

    チーム代表のローラン・メキースは、レッドブル・フォード・パワートレインズがライバルをリードしていることを示す「データポイントはひとつもない」と主張し、FIAに事実関係の再検討を求めていた。

    モナコGP後にこの評価が明らかになった際には、その後数週間以内にFIAから正式な発表が行われるとみられていたものの、公表は見送られていた。

    今回、FIAが第1期間と第2期間の結果をまとめて発表したことで、少なくともADUOの評価上ではレッドブルが基準メーカーであることが正式に確定したことになる。

    そして第2期間でも追加ホモロゲーションが認められなかったことで、レッドブルは少なくとも2026年中、ADUOによる追加アップグレードの恩恵を受けることができない。

    レッドブル・レーシンフ

    FIA「分析結果には高い信頼性がある」
    ただしFIAは、各メーカーの具体的な性能指数については公表しない方針を示している。

    FIAは声明で「この情報の機密性を考慮し、パワーユニットの性能指数測定に関するこれ以上の詳細は公表されない」と説明した。

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、ADUOの評価について次のように語った。

    「FIAはADUOのレビュー過程の一環として、徹底的かつ包括的な分析を行った」

    「第2期間の結果を公表するにあたり、データの質を踏まえれば、その分析は極めて堅牢なものであり、我々の結論には非常に高い信頼性があると確信している」

    一方で、PUメーカーの技術情報をどこまで公開できるかには限界があると説明する。

    「結果の詳細を公表するにあたっては、チームとパワーユニットメーカーの機密性、そして知的財産を尊重しなければならない」

    また、ADUOが導入初年度の制度であることから、将来的に仕組みが変更される可能性も認めた。

    「今年はADUOの初年度なので、当然ながら、すべてのPUメーカーと協議しながら今後発展させていく可能性のある領域も存在する」

    第3回評価が残っていてもレッドブルは救済対象外
    2026年シーズンのADUO評価はこれで終了ではない。第3評価期間はメキシコシティGP終了後に設定されており、そこで再び各メーカーのPU性能が評価される。

    ただし、レッドブル・フォード・パワートレインズにとって、第3期間は2026年中の追加アップグレードを獲得する機会にはならない。

    ADUOの規則では、シーズン最初の2回の評価期間のいずれでも追加開発機会を与えられなかったPUメーカーは、そのシーズン最後の評価期間で新たにADUOの対象になることはできない。

    レッドブルは第1期間で最も高い性能を持つPUと判定され、ADUOを付与されなかった。さらに第2期間でも追加ホモロゲーションは認められなかったため、この条件に該当する。

    つまり、第3期間の評価で勢力図が変化し、仮にレッドブルがライバルメーカーに対して性能面で後れを取る結果になったとしても、それを理由として2026年中の追加ホモロゲーションを新たに獲得することはできない。

    一方、第1期間の評価ですでにADUOの対象となったメルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダには追加開発の機会が認められている。

    初の自社開発F1パワーユニットを投入したレッドブルにとって、第1、第2期間でADUOを獲得できなかったことで、2026年中に同制度を利用してPUを追加アップグレードする道は閉ざされたことになる。

  • FIAがF1新PUのADUO結果発表 レッドブルが基準 ホンダら3社は4%超の差

    FIAがF1新PUのADUO結果発表 レッドブルが基準 ホンダら3社は4%超の差

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1で導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)制度について、最初の2回の公式評価結果を発表した。

    レッドブル・パワートレインズのパワーユニット(PU)が基準となり、メルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダには性能差に応じた追加開発の機会が与えられる。

    なかでもフェラーリ、アウディ、ホンダは基準から4%を超える差があると判定され、2026年と2027年にそれぞれ2回ずつの追加アップグレードが認められる。これはADUO制度で認められる最大の開発機会となる。

    レッドブル・パワートレインズがADUOの基準PUに
    ADUOは、F1が新しいパワーユニット規則を導入した2026年から採用された制度である。新規則では内燃エンジンと電動部分の出力比率が大きく変更され、各メーカー間に生じる性能差を一定の範囲内に収めるため、後れを取ったメーカーに追加の開発機会を与える仕組みが設けられた。

    FIAは今回、最初の2回の公式レビューの結果を明らかにし、レッドブル・パワートレインズが現在の基準となるPUを持っていると判定した。

    レッドブルにとって2026年は、自社製パワーユニットでF1に参戦する最初のシーズンである。それにもかかわらず、FIAによるADUOの評価では他メーカーが追うベンチマークとなった。

    ただしFIAは、各PUメーカーの性能をどのような具体的な指標によって比較し、差を算出しているのかについて詳細を公表していない。

    メルセデスは2%超の差で追加アップグレード1回
    メルセデスは、基準となるレッドブル・パワートレインズに対して2%を超える差があると判定された。

    これによりメルセデスには、2026年に1回、2027年にも1回の追加アップグレードを実施する機会が与えられる。

    さらにADUOでは、性能差に応じて開発費とベンチテスト時間についても追加枠が設けられている。

    メルセデスにはコストキャップ上の追加枠として300万ドルが認められ、さらに70時間の追加ベンチテストが許可される。

    ホンダF1 エンジン ADUO

    フェラーリ、アウディ、ホンダは4%超 最大限の追加開発
    一方、フェラーリ、アウディ、ホンダについては、いずれもレッドブル・パワートレインズの基準から4%を超える差があるとFIAが判断した。

    その結果、3メーカーには2026年に2回、2027年にも2回の追加アップグレードが認められる。これはADUO制度で許可される最大回数となる。

    性能差が大きくなるにつれて、コストキャップとベンチテスト時間の追加枠も段階的に拡大する。

    基準から4~6%の差がある場合は465万ドルと100時間、6~8%では635万ドルと150時間、8~10%では800万ドルと190時間の追加ベンチテストが認められる。

    ただしFIAは今回、フェラーリ、アウディ、ホンダの3メーカーが、それぞれこのスケールのどこに位置しているのかについては明らかにしていない。

    したがって現時点で公式に確認できるのは、3メーカーすべてがレッドブル・パワートレインズに対して「4%超」の差があると判定され、2026年と2027年に最大2回ずつの追加アップグレードを認められたという点までとなる。

    2026年最後のADUO評価はオランダGPからメキシコシティGP
    2026年に行われる最後のADUO評価期間は、第12戦オランダGPから第18戦メキシコシティGPまでが対象となる。

    この期間のデータをもとに再び各メーカーのPU性能が評価され、その結果が今後の追加開発機会に反映されることになる。

    2026年からF1のPUメーカーとして本格参入したレッドブル・パワートレインズが最初のADUO評価でベンチマークとなる一方、メルセデスには1回、フェラーリ、アウディ、ホンダには最大となる2回の追加アップグレードが認められた。新PU規則初年度の勢力図が、ADUOによる追加開発を通じて今後どこまで変化するのかも注目される。

    国際自動車連盟 F1 ADUO

  • FIA コラピントのスポンサーによる「F1の公正性を壊している」批判に声明

    FIA コラピントのスポンサーによる「F1の公正性を壊している」批判に声明

    FIA(国際自動車連盟)は、F1オランダGP後にフランコ・コラピントの主要スポンサーからスチュワードに厳しい批判が向けられたことを受け、正式な声明を発表した。

    発端となったのは、アルピーヌのコラピントがザントフォールトの決勝で受けたペナルティだ。コラピントの主要スポンサーであるメルカド・リブレのCMO(最高マーケティング責任者)ショーン・サマーズは、スチュワードについて「F1の公正性を壊している」とSNSで痛烈に批判。

    FIAはこれに対し、判定への異議とスチュワード個人への攻撃は区別されるべきだとの立場を示した。

    コラピントにドライブスルーペナルティ
    オランダGPの決勝1周目、マックス・フェルスタッペンがクラッシュし、さらに最終コーナーではガブリエル・ボルトレトがスピン。コース上には黄旗が提示された。

    この状況でコラピントは角田裕毅をオーバーテイクしたと判断され、スチュワードからドライブスルーペナルティと2点のペナルティポイントを科された。

    さらにコラピントは別の黄旗区間で十分に減速しなかったとして、追加で1点のペナルティポイントを科されている。

    コラピント自身はレース後、この裁定について「極めて厳しい」と不満を示した。角田裕毅を抜かないために急ブレーキを踏む方が、むしろ危険だったとの考えを説明している。

    「ものすごく強くブレーキを踏んで抜かないようにする方が危険だったと思う。あの判断は極めて厳しかった」

    同じオープニングラップで同様のペナルティを受けたレーシングブルズのアービッド・リンドブラッドも、スチュワードの判断に疑問を呈した。

    リンドブラッドは、個々のインシデントの状況を評価するというよりも、スチュワードが今後に向けた「前例を作ろうとしている」と感じたと語っている。

    主要スポンサーがFIAを痛烈批判
    レース後、コラピントの主要スポンサーであるメルカド・リブレのCMO、ショーン・サマーズはXを通じてFIAスチュワードを強く批判した。

    「FIAのスチュワードはF1の公正性を壊している」

    「今シーズン、彼らはひどい仕事をしており、レース結果に影響を及ぼしていることを証明している。無能なのか? 不誠実なのか? それとも両方なのか? あの組織の文化には何か深刻な問題がある」

    単なる判定への異議にとどまらず、FIAの組織文化そのものに疑問を投げかける厳しい内容だった。

    FIA(国際自動車連盟)

    FIAが正式声明「脅迫や個人攻撃を正当化するものではない」
    これを受け、FIAはオランダGP後にスチュワードへ向けられたオンライン上の攻撃について声明を発表した。

    「オランダGP後、FIAスチュワードはFIAのレギュレーションに従ってスポーティングペナルティを適用したことで、オンライン上で誹謗中傷の標的となりました」

    「United Against Online Abuse連合は、あらゆる形態の誹謗中傷やハラスメントを非難します。判定に対する意見の相違はスポーツの一部ですが、それが脅迫や個人攻撃を正当化することは決してありません」

    さらにFIAは、今回が初めての問題ではないことも強調した。

    「2023年、アメリカGP後にスチュワードのひとりが標的を絞った誹謗中傷を受けたことをきっかけに、FIAはUnited Against Online Abuse連合を立ち上げました」

    「私たちのスポーツに関わるすべての皆様に、オンライン、オフラインを問わず、敬意と責任を持って行動していただくようお願いします」

    判定そのものへの反論には踏み込まず
    一方で、今回のFIA声明は、コラピントに対するペナルティが妥当だった理由を改めて説明する内容ではない。

    コラピントやリンドブラッドが主張した黄旗下での状況判断や、サマーズが提起したスチュワードの判定基準そのものへの批判について、FIAは具体的な反論を示していない。

    FIAが声明で焦点を当てたのは、スポーツ上の判定に対する意見の相違は認められる一方、それがスチュワード個人への誹謗中傷や脅迫に発展してはならないという点だ。

    オランダGPでは黄旗を巡る裁定がコラピントとリンドブラッドのレース結果に大きな影響を及ぼし、両ドライバーから厳しすぎるとの声が上がった。その議論はレース後、スポンサーによるFIAへの異例の批判、そしてFIAによる正式声明へと発展する形となった。

  • フランコ・コラピントのスポンサー FIAを痛烈批判「F1の健全性を壊している」

    フランコ・コラピントのスポンサー FIAを痛烈批判「F1の健全性を壊している」

    アルピーヌF1のフランコ・コラピントが2026年F1オランダGPで2度のペナルティを科されたことを受け、主要スポンサーであるメルカド・リブレの幹部がFIAスチュワードを痛烈に批判した。

    メルカド・リブレの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるショーン・サマーズは、今季のスチュワードの判断がレース結果に影響を及ぼしていると主張。「FIAスチュワードはF1の健全性を壊している」とSNSで異例の強い言葉を投げかけた。

    角田裕毅への追い越しでドライブスルーペナルティ
    フランコ・コラピントはオランダGP決勝の序盤、マックス・フェルスタッペンの大クラッシュによって提示されたイエローフラッグ下で角田裕毅をオーバーテイクしたとして、ドライブスルーペナルティを科された。

    同様に、ピエール・ガスリーを追い越したアービッド・リンドラッドにもドライブスルーペナルティが科されている。

    コラピントは好スタートを決めてポイント圏内を走行していたが、この処分によって大きく後退。レース後、状況を考えれば追い越しを回避することは極めて難しかったと説明した。

    「レース全体を台無しにしたのはドライブスルーペナルティだった。すごくいいスタートを切って、ポイント圏内にいた。難しい状況だったと思う」

    「1周目にバトルをしていて、路面は濡れていて湿っていた。バンクもあるし、マシンのパーツがあちこちに飛んでいた。あのコンディションで判断するのは難しかった」

    コラピントによれば、イエローフラッグを確認した時点ですでに角田裕毅へのオーバーテイクをほぼ完了していたという。

    「オーバーテイクを終えようとしていたときに、本当にかなり遅いタイミングでイエローフラッグが見えた。そこで急ブレーキを踏んで、ストレートの途中、バンクがあって濡れていて、みんながスピンしているような状況で再加速する方が明らかに危険だった」

    「だからすごく難しい。ルールとして書かれているのは分かるけど、もっと柔軟であるべきだと思うし、何がより安全で、何がより危険なのかを理解したうえで判断する基準も必要だと思う」

    「同じ場所で誰かが時速30kmも遅く走っていて、そのクルマを追い越している最中にイエローフラッグが出たら、できることはそれほど多くない。あれに反応するのは本当に難しい」

    フランコ・コラピント(アルピーヌF1チーム) オランダグランプリ

    「あまりにも厳しい」コラピントが判定に疑問
    コラピントは、規則違反そのものだけを見るのではなく、当時の路面状況や安全性を考慮すべきだったと主張。自身だけでなくリンドラッドに対する処分についても厳しすぎたとの見解を示した。

    「ものすごく厳しかったと思う。それが彼らの仕事なのは分かっているけど、少し柔軟になって状況を理解することも彼らの仕事だと思う」

    「特にグリップがこれほど低くて、ああいうコンディションだったときには、何がより危険なのかを考える必要がある。僕には少し厳しすぎるように感じた」

    「僕だけじゃなくリンドラッドに対してもそうだと思う。でも特にドライブスルーはレースを終わらせてしまう。それは重すぎると感じるけど、決まったことは仕方がない」

    さらにコラピントは、その後にも別のイエローフラッグ違反で10秒ペナルティを科された。この2件によってペナルティポイントも合計3点が加算され、直近12カ月の累計は4点となった。

    最終的にコラピントは、旧仕様のアルピーヌを駆って14位でレースを終えた。

    主要スポンサーがFIAに異例の猛批判
    2度にわたるペナルティに強く反発したのが、コラピントの主要スポンサーであるメルカド・リブレだ。

    同社CMOのショーン・サマーズはXで、FIAスチュワードの今季の判断について極めて厳しい言葉を並べた。

    「FIAスチュワードはF1の健全性を壊している」

    「今シーズン、彼らはひどい仕事をしていて、レース結果にまで影響を及ぼしている。無能なのか? 不誠実なのか? それとも両方なのか?」

    「この組織の文化には、何か深刻に壊れているものがある」

    スポンサー企業の最高幹部がFIAのスチュワードを「無能」「不誠実」とまで表現して公然と批判するのは異例だ。

    今回の一件では、コラピントとリンドラッドの双方が、混乱したウェットコンディションで発生したイエローフラッグ下の追い越しによってドライブスルーペナルティを受けた。規則の厳格な適用と、その瞬間の安全性を踏まえた裁量をどこまで両立させるべきなのか。オランダGPでの判定は、FIAスチュワードの判断基準をめぐる新たな議論を呼ぶことになった。

  • FIA ピエール・ガスリーのF1モナコGPペナルティ巡る控訴審を8月25日に開催

    FIA ピエール・ガスリーのF1モナコGPペナルティ巡る控訴審を8月25日に開催

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1モナコGPでピエール・ガスリーに科されたペナルティが取り消された問題を巡り、マクラーレンとレッドブル・レーシングが申し立てた控訴について、8月25日(火)に審理を行うことを決定した。

    焦点となるのは、アルピーヌによる再審請求(Right of Review)が認められたことでガスリーの5秒ペナルティのひとつが取り消され、最終結果が変更された一件だ。

    ガスリーは7位から3位へ復帰し、その影響でアイザック・ハジャーやオスカー・ピアストリらの順位がひとつずつ繰り下がった。今回の控訴審は、その判断を維持するのか、それとも当初のペナルティを復活させるのかを決める重要な手続きとなる。

    FIAが8月25日にパリで控訴審
    審理は8月25日(火)の現地時間9時からパリで行われる。マクラーレンとレッドブル・レーシングは、2026年モナコGPのDocument 99に記された決定#1および#2を対象として控訴している。

    両チームが求めているのは、ガスリーに対するペナルティ取り消しの撤回、つまり当初科されていた5秒ペナルティの復活だ。

    控訴は6月16日に正式に提出されており、審理はオランダGP終了後の火曜日に設定された。FIAによれば、審理は一般およびメディアには公開されない。

    モナコGPで複数ドライバーにピットレーン速度違反
    問題の発端となったモナコGPでは、ガスリーを含む複数のドライバーがピットレーンの速度制限違反としてタイムペナルティを受けた。

    当時モナコのピットレーンでは60km/hの速度制限が設定されており、ガスリーのほか、ルイス・ハミルトン、ジョージ・ラッセル、フランコ・コラピント、ピアストリにも5秒ペナルティが科された。

    ガスリーには2件のペナルティが科されており、そのうちひとつについてはピットストップ時に5秒間停止することで消化していた。しかし、もうひとつの5秒がレースタイムに加算されたことで、当初の最終結果では7位となっていた。

    アルピーヌの再審請求で計測方法に問題が発覚
    その後、アルピーヌはガスリーに対する2件のペナルティについて再審請求を提出した。

    審理の過程で判明したのが、タイムキーパーによるピットレーンの距離の計測に問題があったことだった。

    速度違反の判断では、ピット入口や出口に設けられた単一の計測地点だけではなく、速度、距離、時間を用いた計算式によってピットレーン内の平均速度が算出されていた。しかし、その計算の基礎となるピットレーンの距離が正しく測定されていなかったことが明らかになった。

    この情報は、モナコGP当日にスチュワードが最初の裁定を下した時点では入手できなかった。そのためFIAは、再審請求を成立させるために必要となる「重要かつ新しい証拠」の条件を満たしていると判断した。

    結果としてガスリーに残されていた5秒ペナルティが取り消され、順位は7位から3位へと戻された。

    ガスリー3位復帰でハジャーとピアストリが降格
    この裁定によってモナコGPの最終順位は大きく変わった。

    ガスリーが3位に復帰したことで、レッドブル・レーシングのハジャーは3位から4位、マクラーレンのピアストリは4位から5位へ後退。さらにレーシングブルズのリアム・ローソンもひとつ順位を落として6位となった。

    つまり今回の控訴は、ガスリーだけでなく複数のドライバーとチームのF1選手権ポイントにも直接影響する案件となる。

    特にレッドブル・レーシングにとってはハジャーの表彰台、マクラーレンにとってはピアストリの4位がかかっており、両チームが控訴に踏み切った背景には明確な競技上の利害がある。

    メルセデスは控訴を見送る
    ガスリーのペナルティが取り消されたことで、同じモナコGPでピットレーン速度違反の裁定を受けた他のドライバーにも波紋が広がった。

    メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは、バルセロナGPでガスリーの裁定変更が発表された後、ラッセルのペナルティについても何らかの対応が可能か検討していることを示唆していた。

    ただし、ラッセルのケースには別の事情があった。

    ラッセルは5秒ペナルティを消化する際、ピットで5秒間待機する前に作業を開始してしまったため、ペナルティを正しく消化したとは認められなかった。その結果、自動的にドライブスルーペナルティへ変更され、終盤の赤旗後にこれを消化。最終的に12位まで順位を落としていた。

    メルセデスは最終的に正式な手続きを取らないことを選択した一方、マクラーレンとレッドブル・レーシングは控訴を継続した。

    モナコGPの最終結果が再び変わる可能性
    8月25日の審理で最大の焦点となるのは、アルピーヌの再審請求を受けて下されたペナルティ取り消しが法的・競技的に妥当だったのかという点だ。

    FIAが現在の裁定を維持すれば、ガスリーの3位はそのまま確定する。一方、マクラーレンとレッドブル・レーシングの主張が認められ、5秒ペナルティが復活すれば、モナコGPの最終順位が再び変更される可能性がある。

    モナコGPから約3カ月を経てもなお確定を巡る争いが続く異例の展開となっており、ガスリーの表彰台だけでなく、ハジャー、ピアストリ、ローソンの順位と各チームの獲得ポイントにも関わるFIAの判断が注目される。

  • ウクライナ自動車連盟 FIAにロシア復帰決定の撤回を要求

    ウクライナ自動車連盟 FIAにロシア復帰決定の撤回を要求

    ウクライナ自動車連盟(FAU)は、FIA(国際自動車連盟)がロシアおよびベラルーシのドライバーや関係者に対する国際モータースポーツでの制限を解除した決定について、正式に異議を申し立てた。

    FIAは2026年8月3日の世界モータースポーツ評議会(WMSC)で、2022年3月から実施してきた措置を解除。ロシアとベラルーシのドライバー、ナショナルチーム、個人競技者、役員が制限なく国際大会に参加できるようにするとともに、国旗や国家シンボルの使用、国歌の演奏も認めた。

    これに対しFAUは「断固として反対する」と表明し、決定の撤回を求めている。

    FIAがロシア・ベラルーシへの制限を解除
    FIAはロシアによるウクライナ侵攻を受け、2022年3月からロシアおよびベラルーシのモータースポーツ関係者に対する特別措置を導入していた。

    ドライバーや競技者、役員を国際大会から全面的に排除するものではなく、FIA旗の下で中立的な立場として参加することは認められていた。一方、国を代表する形での参加や国家シンボルの使用には制限が設けられていた。

    しかしFIAの法務部門は今回、これらの措置を解除すると通知した。

    「ロシアおよびベラルーシのドライバー、ナショナルチーム、個人競技者、役員は、いかなる制限もなく国際大会およびゾーン大会への参加を認められる」

    「中立性に関する誓約書への署名義務も適用されなくなる」

    この方針は8月3日に開催されたWMSCで正式に決定された。これによりロシアとベラルーシの国旗や国家シンボルの使用が再び認められ、表彰式などで国歌を演奏することも可能となった。

    ただし、ロシアおよびベラルーシ国内でFIAの国際競技を開催することについては、引き続き禁止されている。

    FIAはウクライナ情勢について「引き続き注意深く監視する」と説明しており、制裁制度への対応など必要が生じた場合には、追加措置を講じる権利を留保するとしている。

    ウクライナ側が「断固として反対」
    この決定に対し、FAUはFIA会長とWMSCメンバーに正式な申し立てを行った。

    RacingNews365が確認したFAUの申し立てによれば、同連盟は今回の決定に「断固として反対する」と表明。FIAに対し「2026年8月3日の決定を緊急に再検討して撤回し、ロシア連邦およびベラルーシ共和国の国家シンボル使用に対する制限を復活させる」よう求めている。

    FAUはその理由として、ロシアによるウクライナへの「武力侵攻」が現在も続いていることを挙げた。

    また「侵略国の国家シンボルを復活させることはフェアプレーの原則に反し、重大な倫理的および安全上のリスクを生じさせる」と主張している。

    「スポーツが国家プロパガンダに利用されている」
    FAUはさらに、ロシアとベラルーシが「スポーツを国家プロパガンダの手段として利用している」と指摘した。

    「侵略国に対する国際スポーツ政策は、戦争の実際の状況とウクライナの立場を考慮することなく変更されるべきではない」

    FAUによれば、戦争によってこれまでにウクライナのアスリートやコーチ650人以上が死亡しており、その中にはモータースポーツ関係者も含まれているという。

    同連盟は今回のFIAの決定についてウクライナ青年・スポーツ省にも報告し、FIAへの働きかけに加わるよう要請した。

    FAUは現在、同省からの「正式な回答を待っている」と説明しており、今後の対応については状況に応じて発表するとしている。

    IOCもロシアへの措置を緩和
    国際スポーツ界では、ロシアの扱いを巡る動きに変化も見られている。

    国際オリンピック委員会(IOC)も2026年7月、ロシアに対する資格停止措置を暫定的に解除した。この措置は2023年10月に科されていたものだった。

    ロシアの選手については、それ以前にも国家ぐるみのドーピング問題を背景として、国を代表する形でのオリンピック参加が制限されてきた。

    FIAによる今回の決定は、こうした国際スポーツ界の動きと重なる一方、ウクライナ側は戦争が継続している状況で国家シンボルまで解禁することに強く反発している。

    焦点となるのは、FAUの正式な申し立てを受けてFIAとWMSCが8月3日の決定を再検討するかどうかだ。FIA自身も情勢次第で追加措置を取る可能性を残しており、ロシアとベラルーシのモータースポーツへの参加を巡る議論は今後も続くことになりそうだ。

  • メルセデスF1のヴォルフがV8エンジン復活を支持「純粋主義者として好きだ」

    メルセデスF1のヴォルフがV8エンジン復活を支持「純粋主義者として好きだ」

    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフが、将来のF1パワーユニット(PU)規則で検討されているV8エンジン復活を支持した。「純粋主義者として好きだ」と語り、内燃エンジンの比重を再び高める方向性に賛同している。

    2014年に始まったターボハイブリッド時代で最大級の成功を収めてきたメルセデスを率いる人物の発言だけに興味深い。

    さらにヴォルフは、2027年と2028年に予定されている現行PUの出力配分変更についても説明し、2027年により大幅な内燃エンジン出力増加を目指した案をフェラーリが阻止したことを明かした。

    V8復活を支持するトト・ヴォルフ
    FIA会長モハメド・ビン・スレイエムは、次世代PUについてV8エンジンを軸としながら電動化を残す構想を推進している。導入時期として2030年または2031年が議論されている。

    RacingNews365の独占インタビューで、ヴォルフはFIAやF1、他のPUメーカーとの協議がすでに進んでいると説明した。

    「僕はFIA会長のモハメド・ビン・スレイエムと話しているし、F1のCEOであるステファノ・ドメニカリ、それから他のエンジンメーカーとも話している」

    「現在のエンジンはとても複雑だ。そして僕たちもようやく理解し始めているところだけど、それによってレースそのものが変わった。日曜日のレースを好きな人もいる。オーバーテイクが多いからね。一方で好きではない人もいる。でも、最も適応できるドライバーが勝つ」

    ヴォルフが特に不満を示したのが、現在のPUが生み出す音だった。

    「スタート前にグリッドでマシンが10秒間エンジンを回しているのは耐えられない。火災報知器みたいな音がする」

    さらに、新しいPU特性への適応がドライバーのパフォーマンスにも影響していると指摘する。

    「ルイス(ハミルトン)を見てみればいい。彼は変わったし、パフォーマンスも大きく変わった。キミ(アントネッリ)はとてもうまくやっている。他のドライバーたちも適応しなければならなかった」

    「80対20」で1000馬力 V8+小型バッテリー構想
    ヴォルフによれば、中長期的には現在よりも内燃エンジンへの依存度を大幅に高める方向へF1が進む可能性が高い。

    「中長期的に考えると、現時点では3〜4年先ということになるけど、僕たちは再び内燃エンジンがパフォーマンスの50%以上を占めるところへ戻っていく」

    その有力案が、ビン・スレイエムが推しているV8エンジンだ。

    「ビン・スレイエムは8気筒のV8を望んでいる。いい音がするエンジンだ。それに、より小さなバッテリーを組み合わせる」

    「出力配分は内燃エンジンとバッテリーで80対20くらいになると思う。そして出力は1000馬力だ」

    自然吸気になるか、ターボなどの過給システムを残すかについては決まっていないという。

    「自然吸気になるかどうかは分からない。でも、現時点ではF1はこの方向へ進んでいると思う。僕は純粋主義者だから、これは好きだ」

    2027年はICE出力20kW増 フェラーリが50kW案を阻止
    ただし、V8時代へ移行する前にも現在のPU規則には段階的な変更が予定されている。

    2026年規則では内燃エンジンと電動側の出力を大幅に接近させたことが大きな特徴だったが、2027年以降は燃料流量を増やすことで、再び内燃エンジン側の比重を高めていく方向となっている。

    ヴォルフは、その変更にはハードウェア側の対応も必要になると説明した。

    「来年もう1年やって、その次にさらに進める。でも、エンジンを再設計する必要がある」

    「燃料流量を増やせば、今まさに僕たちがやっているように馬力が増える。そうなると、それに対応するために変更しなければならないハードウェアも出てくる」

    そしてヴォルフは、2027年にメルセデス側がさらに大きな変更を望んでいたことを明かした。

    「僕たちは来年、エンジン出力を50kW増やしたかった。でもフェラーリがそれを阻止した」

    「だから20kW増というステップになり、その後2028年に50kW増というステップになる」

    つまりF1は、V8復活という次世代規則を待つだけではなく、2027年と2028年にも段階的に内燃エンジン側の比重を引き上げていくことになる。

    F1 V型8気筒エンジン

    ドメニカリCEOも「シンプルなF1」を要求
    F1のステファノ・ドメニカリCEOも、将来規則では複雑さを減らすことが重要だとの考えを示している。

    「技術規則について最終決定権を持っているのはFIAだ。ただ、メーカー、ファン、チーム、ドライバーも含めて行っている議論は正しい方向にあると思う」

    ドメニカリが掲げるキーワードは「シンプルさ」だ。

    「将来の規則における最大の目標は、可能な限り物事をシンプルにすることだと思う。より軽いマシンをF1に導入し、持続可能燃料を使用し、もちろん電動化も残す」

    「そして何よりも、特定のモードではドライバーが可能な限り全力でプッシュできるようにしたい。それはF1ドライバーたちが常に求めてきたことでもある」

    具体的な技術仕様についてはFIAに委ねながらも、2026年末までには将来の方向性をまとめたいとしている。

    「今年末までには、議論できるパッケージを用意できると思っている」

    「現在、多くの良い話し合いが進んでいる。当然ながら、それぞれが異なる理由から異なる方向性を求めている。でも年末までには、将来に向けた適切なパッケージを用意できると思う」

    2014年以来、メルセデスは複雑なターボハイブリッド技術を最大の武器としてF1を支配してきた。そのメルセデスを率いるヴォルフ自身が、よりシンプルで内燃エンジンを中心としたV8時代への回帰を歓迎している。

    2027年、2028年と段階的にICEの比重を高め、その先にV8と小型バッテリーを組み合わせた約1000馬力のPUを導入する――。F1の次世代エンジン構想は、具体的な出力配分まで含めた議論へと進み始めている。