カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • 迷走するFIA暴言規制にF1ドライバーが苦言 ラッセル「そもそも不要だった」

    迷走するFIA暴言規制にF1ドライバーが苦言 ラッセル「そもそも不要だった」

    メルセデスF1のジョージ・ラッセルは、FIAが進めていた「暴言」に対する取り締まり強化について「おかしな状況」だと語り、厳しすぎる罰則は「そもそも存在すべきではなかった」と強く批判した。

    ラッセルはこれまでも、ドライバーの「言葉遣い」に罰則を科す姿勢に一貫して否定的であり、今回もその立場を崩さなかった。FIAが最近、規定を一部緩和したことについても「評価するつもりはない」と述べている。

    この規定緩和は、FIA会長モハメド・ビン・スライエム主導による「国際モータースポーツ競技規則 付則B」の見直しによって実現したもので、暴言に対する罰金の引き下げや、特定のケースではスチュワードが処分を猶予できるようになるなどの変更が含まれている。

    見直しには、FIAドライバーズ・コミッティ(委員長:ローナン・モーガン)や、F1スチュワード代表のギャリー・コネリーらが関与していた。

    「最初から間違っていた」
    しかし、F1エミリア・ロマーニャGPを前にしたメディアセッションで、ラッセルはFIAの対応に依然として不満を隠さなかった。

    「そもそも、こんな変更は最初から行うべきではなかったと思っている」とラッセルは語った。

    「元に戻ったのは良いことだけど、そもそも最初からそんな馬鹿げた状況にするべきじゃなかった。だから、それを元に戻したからといって感謝するのは、少し違和感がある」

    「これは奇妙な状況だし、いまだにFIAの上層部からは誰一人として連絡がない。だから、正直言って怪しいと思っている」

    FIA F1 国際自動車連盟フェルスタッペン「FIAが当初の裁定が厳しすぎたと気づいたのは良かった」

    フェルスタッペンとハミルトンも言及
    FIAへの批判をためらわないマックス・フェルスタッペンも、この件について自身の見解を示した。

    「前向きな第一歩だと思う。少なくとも行動に移したという点ではね」

    「以前のやり方はちょっと攻撃的すぎたと思うから、FIAがそれに気づいたのは良かった」

    一方、フェラーリのルイス・ハミルトンは、元チームメイトであるラッセルの発言を耳にしていなかったが、今回の一連の騒動について「混乱している」と率直に語った。

    「正直、馬鹿げていると思う。何を言っても意味はないかもしれないけど、今の状況はかなり混乱してる」

    「変えるべきことはたくさんある。それは間違いない」

    FIAとの対話を求め続けるラッセル
    グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)のディレクターを務めるラッセルは、昨年のF1サンパウロGP後、他のドライバーとともにFIAへ書簡を送っていた。しかし、その対応について、依然として十分な手応えがないと感じている。

    「正直言って、こんなに難航するとは思っていなかった」

    「僕らは自分たちの意見をしっかり伝えてきた。まだ『手遅れ』ってわけじゃないけど、相手にも歩み寄る姿勢が欲しい」

    「意見を出して、対話の機会を求めてきた。こっちからばかり何度も頼んでる状況じゃダメなんだ。双方向でなければならないし、相手側にもその意志が必要なんだ」

  • マクラーレンF1 タイヤ冷却疑惑でFIAが「規則違反なし」と正式判断

    マクラーレンF1 タイヤ冷却疑惑でFIAが「規則違反なし」と正式判断

    マクラーレンは、F1マイアミGPでのタイヤ冷却に関する疑惑についてFIAの調査を受けたが、技術規則に準拠していたことが確認された。ドライバーのオスカー・ピアストリも、こうした噂を一蹴し、「まったく気にしていなかった」と語っている。

    この一件は、ピアストリがマイアミ・オートドローム・インターナショナル・サーキットで優勝を果たした直後に浮上した。

    レース週末中、マクラーレンのチーム代表ザク・ブラウンが「Tire Water(タイヤ水)」と書かれたボトルから飲む様子が中継に映し出され、これに対してレッドブルF1のクリスチャン・ホーナーがレッドブルのドリンクを差し出すなど、軽妙なやり取りも話題となった。

    FIAが正式に問題なしと報告
    FIAはエミリア・ロマーニャGPを前に、技術代表による報告書を公開。その中で、マイアミGP後に上位10台の中からランダムに選ばれたピアストリのマシン(カーナンバー81号車)について、物理的な検査を実施したことを明かしている。

    報告書には次のように記されている。

    「マイアミのレース後、上位10台の中からランダムに選ばれた81号車に対し、詳細な物理的検査を実施した。調査対象となったのは4輪すべてのホイールおよびボディワーク構成であり、技術規則第3.13条および第11.5条への準拠を確認した」

    「検査されたすべての構成部品は、2025年F1技術規則に準拠していると確認された」

    ピアストリ「全く心配していなかった」
    エミリア・ロマーニャGPを控えたFIA主催のドライバー記者会見で、選手権リーダーであるオスカー・ピアストリは、この疑惑について質問を受けた。

    「正直に言うと、何も読んでいない。なぜなら、まったく気にしていなかったからだ」とピアストリは淡々と語った。

    さらに、疑惑に対してユーモアを交えてこう付け加えた。

    「次は小さなフィギュアでもウォータースライダーに乗せてみるかもね」

    「まあ、何か面白いことを考えてみる」

    「いずれにしても、検査はすべてクリアしていたし、心配はしていなかった。レースに集中するだけだ」

  • FIAがF1ドライバーの暴言罰則を見直し 初犯・情状酌量を考慮

    FIAがF1ドライバーの暴言罰則を見直し 初犯・情状酌量を考慮

    FIA(国際自動車連盟)は、国際モータースポーツ競技規則の付則Bを改訂し、F1ドライバーの暴言などの行為に対する罰金を引き下げたほか、初犯に対する執行猶予や情状酌量の考慮などの新たな仕組みを導入した。

    今年1月、FIAはドライバーの不適切行為に関する一連のスチュワード指針を付則Bに盛り込んだ。これには「侮辱的、下品、粗野、無礼または攻撃的な言葉遣いやジェスチャー、表現」の使用、FIA職員への暴行、およびその扇動行為などが含まれている。

    しかし、2月のWRC(世界ラリー選手権)ラリー・スウェーデンでフランス人ドライバーのエイドリアン・フルモーがインタビュー中に放った一言により罰金を科せられたことを発端に、この規定には複数のカテゴリーから不満の声が上がっていた。特に、「違反と見なされる表現」の明確な基準がないことが問題視されていた。

    例えば、フォーミュラEのダン・ティクタムがジェッダE-Prixのレース中に乱暴な無線交信を行ったにもかかわらず処罰されなかったことが、こうした不公平感を助長した。

    FIA F1ダン・ティクタム

    今回の見直しは、昨年のF1シンガポールGPの記者会見でマックス・フェルスタッペンが暴言を口にしたことが発端だったとされている。その後、フェルスタッペンはFIA主催のメディア対応で発言を最小限にとどめる姿勢を見せていた。

    FIAは今回の改訂で、不適切行為に対する基本罰金を1万ユーロから5000ユーロへと半減。さらにFIA世界選手権では、従来の「乗数方式」で加算されていた罰金が、これまで以上に大幅に軽減されることが明らかにされた。

    また、スチュワードには初回の違反者に対する罰則の執行猶予を適用する裁量が与えられるほか、どのセッションでの発言や行動が処罰対象となるかも明確にされた。

    改訂された付則Bでは、「統制された環境」と「非統制環境」の区別が導入された。前者には記者会見などが含まれ、より厳しく判断される。一方、走行中に発したコメントなどは非統制環境と見なされ、処罰対象となりにくいとされている。

    また、各レースにおいてスチュワードは、情状酌量すべき事情を考慮することが求められるという。

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、次のように述べた。

    国際自動車連盟 F1FIA会長モハメド・ビン・スライエム

    「私自身も元ラリードライバーとして、競技中にさまざまな感情が入り交じることを身をもって知っている。

    私は、7つのFIA世界選手権すべて、FIA加盟クラブ、そして他のモータースポーツ団体からの意見を反映しながら、広範で協調的な見直しを主導してきた。

    今回の付則Bの改訂によって、モータースポーツにおけるスポーツマンシップの精神をより強く推進できると同時に、競技の品位を損なうような行為に対して、スチュワードが的確に対処するためのガイドラインも整備されることになる。

    FIAは、今後もすべての人々に開かれたモータースポーツを目指して尽力していく」

    さらに、FIA職員への暴言・暴力については今後、金銭罰ではなく「スポーティングペナルティ(競技上の罰則)」が科される。また、あらゆる人種差別的あるいは差別的な言動については、特に厳しく判断されることになる。

    F1スチュワード委員長のギャリー・コンリーも今回の見直しを歓迎し、今後もスチュワードの裁量権は保持されるべきだと述べている。

    「今回の改訂によって、スチュワードはオン・トラックとオフ・トラックの問題を区別するための明確な指針を持つことになる。

    私は、特定の状況に応じて情状酌量を考慮し、公平な処分を下すためにスチュワードが引き続き裁量を行使できることを嬉しく思っている。

    こうした変化によって、あらゆる年齢層のファンがモータースポーツを楽しむことができ、世界的な普及に向けた我々の努力も継続していけるだろう」

  • フラビオ・ブリアトーレ アルピーヌF1を実質指揮もFIAは資格認めず

    フラビオ・ブリアトーレ アルピーヌF1を実質指揮もFIAは資格認めず

    フラビオ・ブリアトーレは今週末のF1エミリア・ロマーニャGPに向けて、混迷するアルピーヌF1チームの指揮を執っている。しかし彼は、チーム代表でもなければ、チームの従業員でもなく、F1におけるライセンス保有者でもない。

    アルピーヌの元チーム代表である英国人オリバー・オークスは、5月6日に「個人的な理由」で辞任した。

    アルピーヌによれば、親会社ルノーからコンサルタント契約で雇用されているブリアトーレが、「これまでオークスが担っていた業務を引き継いでいる」という。

    しかし、F1の統括団体であるFIA(国際自動車連盟)から見て、チームの責任者はブリアトーレではないことが明らかになった。というのも、彼はチームスタッフではなく、FIAが定める「競技者スタッフ登録制度」において必要とされるF1ライセンスを保有していないからである。

    新たなチーム代表が正式に任命されるまでの間、レースディレクターのデイブ・グリーンウッドが「専任の責任者」となっていると、アルピーヌF1チームの広報担当者は述べている。

    グリーンウッドは1月、オークスの率いるハイテックからアルピーヌに復帰。それ以前にはフェラーリ、マノー/マルシャ、そしてルノーでブリアトーレの下にいた経歴を持つ。

    ブリアトーレがスタッフ登録されておらず、ライセンスも保有していない理由について問われると、アルピーヌの広報は次のように説明した。

    「フラビオはエグゼクティブ・アドバイザーとしてチームに加わっており、今もコンサルタントです。それ以上でも以下でもなく、深読みする必要はありません」

    FIAの広報担当者も次のように述べている。

    「アルピーヌは、オークス氏の退任に関するすべての規制要件を満たしており、更新されたスタッフ登録を提出済みです。マネジメント構造に関する情報提供はアルピーヌに委ねられているため、特定の人物が登録証を持っているかどうかについてはコメントしません」

    それでもブリアトーレは、実質的にはアルピーヌF1の最高権限者であり、最終的な決定権はルノー・グループCEOであるルカ・デ・メオの下にある。

    75歳のイタリア人であるブリアトーレは、低迷するチームの立て直しを図るべく、昨年夏に招へいされた。

    この任命は物議を醸した。

    ブリアトーレは、現在のアルピーヌの前身チームを2度にわたってワールドチャンピオンに導いた実績を持つ。ベネトン時代の1994~95年にはミハエル・シューマッハと共に、ルノー時代の2005~06年にはフェルナンド・アロンソと共にタイトルを獲得した。

    一方で、彼は「クラッシュゲート」として知られるスキャンダルでも悪名高い。2008年のF1シンガポールGPにおいて、ネルソン・ピケJr.が意図的にクラッシュし、チームメイトのアロンソを有利にする計画が実行された。

    この一件は翌年まで公にならず、発覚後、ブリアトーレはFIAから無期限のF1追放処分を受けた。

    この処分は2010年にフランスの裁判所によって無効とされたが、それ以降、ブリアトーレはアロンソのマネジメント業務を除いて、F1の表舞台から遠ざかっていた。

    FIAの「競技者スタッフ登録制度」とは?
    F1チームは、チーム代表、スポーティングディレクター、テクニカルディレクター、チームマネージャー、そして2名のレースエンジニアという6名の「主要スタッフ」の人選をFIAに提出し、承認を得る必要がある。

    この制度は「FIAフォーミュラ1世界選手権の保護と維持」を目的としており、「競技者スタッフ登録制度」としてFIAの運用指針に定められている。

    FIAは、ある人物が「懲戒処分を受けている場合」や「FIAのグッドスタンディング規範に違反している場合」には、登録証の発行を拒否する権利を有する。これらの決定には不服申し立ても可能である。

    FIAが例示する違反行為には、以下のようなものが含まれる:

    ・ ドライバーやチームスタッフに対し、事故・接触・クラッシュ、あるいはレースの中断や中止を引き起こす意図、もしくはその可能性のある指示を与えること。
    ・ レースの結果や展開に影響を及ぼすような指示や行動をとること。

  • ウィリアムズF1代表 カルロス・サインツSr.のFIA会長選出馬を支持「適任だ」

    ウィリアムズF1代表 カルロス・サインツSr.のFIA会長選出馬を支持「適任だ」

    ウィリアムズF1のチーム代表ジェームス・ボウルズは、カルロス・サインツSr.がFIA会長選挙に出馬する可能性について、「適任だと思う」と支持を表明した。

    現ウィリアムズF1ドライバーであるカルロス・サインツの父、サインツSr.は、FIA現会長モハメド・ビン・スライエムへの対抗馬として出馬を検討しているとされ、これは先週『オートスポーツ』が最初に報じた。

    一部からは、63歳のサインツSr.がFIA会長選に出馬すれば、F1トップカテゴリーに息子が参戦している点で「利益相反」にあたるのではないかという指摘も出ている。しかし、2024年のダカール・ラリー優勝者であるサインツSr.は、この懸念を否定している。

    ボウルズも、「仮にサインツSr.がFIA会長に選ばれたとしても、息子のレースキャリアに影響を与えるとは思わない」と述べた。その理由として、サインツSr.は息子のキャリア選択に干渉しないこと、そして仮に影響が生じる可能性があっても「十分にファイアウォール(遮断)が可能」だと強調している。

    「もし彼がFIA会長になったとしても、問題が生じるとは思わない」とボウルズは『オートスポーツ』を含む一部メディアに語った。

    「まず第一に、カルロスにはこのスポーツでの40年の経験がある。そして、もし彼と話す機会があれば、ぜひ話してみてほしい。モータースポーツがどのように構築されているのか、自身がどうやって現在の地位にたどり着いたのか、何がその周辺で機能するのかを非常に論理的に語ってくれるはずだ」

    「今のサインツSr.を見ていて感じるのは――これは以前と違うかもしれないが――彼は息子を“自立した1人の人間”として認めていて、何にも干渉していないということだ」

    「彼が本当に楽しんでいるのは、ただサーキットを走るマシンを眺めることなんだ。そして、それを可能にするために自分が積み重ねてきたものがあると感じることなのだと思う」

    「もし彼がFIAの道を選ぶなら、そういった役割からは大きく距離を置く必要があるだろうが、それでも我々は適切に分離できると確信している。だから問題にはならないと考えている」

    カルロス・サインツJr. ウィリアムズ F1

    さらにボウルズは、サインツSr.が多様なカテゴリーのモータースポーツに関わってきたことを挙げ、FIA会長候補としての資質を強調した。

    サインツSr.は今後数週間をかけて、ビン・スライエム会長への対抗馬として必要な支持を得られるかを見極め、出馬を正式表明するかを判断する見通しだ。

    「私は彼が『適任』だと思っている。なぜなら彼は世界選手権を2度獲得しており、非常に幅広いモータースポーツの経験を持っている。シングルシーターからラリーまで精通しているし、スペイン国内ではすでにモビリティ関連の会長職も務めているはずだ」とボウルズは語った。

    「だから、これは一部の人が思っているほど大きなステップではないかもしれない。ただし、最終的にそれを選ぶかどうかは彼自身の判断だ」

    カルロス・サインツSr.は、1990年と1992年にWRC(世界ラリー選手権)を制覇し、2024年には4度目となるダカール・ラリー優勝を果たしている。

  • 元アルピーヌ代表サフナウアー 第12のF1チーム立ち上げに意欲

    元アルピーヌ代表サフナウアー 第12のF1チーム立ち上げに意欲

    元アルピーヌおよびアストンマーティンのF1チーム代表を務めたオトマー・サフナウアーが、F1参戦に向けた新たな野望を明かした。2026年からの参戦が決まっているキャデラック(GM)とは別に、自らが率いる第12の新チームでF1グリッドへの参入を目指しているという。

    サフナウアーはマイアミGP開催週に合わせて行われた「Fuelling the City’s Global Spotlight」イベントに出席し、フランスの『Auto Hebdo』誌の取材に対し次のように語った。

    「BARとともにF1に入った当時は、今より多くのチームがあった。予備予選が存在していた時代だ。だからもし12番目のチームが現れるなら、私はその座を掴み取りたい」

    F1は現在、2025年にキャデラックを迎えて11チーム体制になる見込みだが、サフナウアーはさらなる拡張の可能性を見据えている。

    「12チームは十分に現実的だし、22台より24台のほうがずっといい。物理的なスペースもあるし、12チームがすべて競争力を持てるなら、そのほうがF1全体にとってプラスだ」

    これまでリバティ・メディアや現行チームの多くは新規参入に慎重な立場を取ってきたが、FIA会長モハメド・ベン・スライエムは11番目のチーム導入を主導した人物であり、12番目のチームについても扉を開いたままだ。

    「12番目のチームのための公募が始まった時には、いくつもの応募があるだろう」とサフナウアーは続けた。「だからこそ、自分の応募が最も魅力的なものになるよう備えたいと思っている」

  • マクラーレンF1の冷却技術は違反か? FIAがリアブレーキを詳細検査

    マクラーレンF1の冷却技術は違反か? FIAがリアブレーキを詳細検査

    マクラーレンのMCL39が、F1マイアミGP後にFIAの詳細検査対象として選ばれ、リアブレーキシステムが精密に調査されていたことが明らかになった。

    この調査は、通常のレース後車検とは異なり、上位10台のうちから1台を選んで実施される「詳細技術検査」の一環で、FIAの技術代表ジョー・バウアーによって行われる。

    たとえば、今年のサウジアラビアGPではマックス・フェルスタッペンのレッドブルが選ばれ、エンジンのエアインテークやオイル・冷却システム、過給空気冷却装置に加え、標準ECUへのセンサーや配線の接続状況などが検査された。

    マイアミGPではマクラーレンのMCL39が検査対象に選ばれ、通常よりも踏み込んだ調査が実施された。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリのどちらのマシンが対象だったかは明らかにされていない。

    FIAはこのとき、MCL39のリアブレーキシステムに特に注目し、徹底的なチェックを行ったとされる。この領域は他チームにとっても大きな関心事となっており、マクラーレンがタイヤ温度をうまくコントロールできている要因として注目を集めている。

    マクラーレンの冷却構造に他チームが疑念
    FIAがこうした精密調査を行う基準は明確ではないが、過去の例を見る限り、目覚ましいパフォーマンス向上や、他チームから寄せられる情報に基づいて調査対象が選ばれている。今回のケースもその一環と見られる。

    検査結果はまだ公表されておらず、来週のエミリア・ロマーニャGPの水曜日に発表される予定だ。ただし、現時点でFIA技術代表からスチュワードへの報告がなされていないことを踏まえると、重大な技術規則違反は確認されていない可能性が高い。

    なお、今回検査されたパーツや技術の詳細が明かされることはない。すべての項目が技術規定を満たしていた場合、合法性の確認という形式的な発表のみにとどまり、さらなる技術的な情報の公開は行われない。

    複数の報道によると、マクラーレンのリアブレーキドラムの冷却構造に関して、明確なアドバンテージが存在するのではないかと懸念する声が他チームから上がっていたという。

    ドイツの『Auto Motor und Sport』は、レッドブルがFIAに対して、マクラーレンのブレーキの冷却が他車より優れていることを示す温度分布スキャン画像を提出したと報じている。

    マイアミGPでは、マクラーレンが1-2フィニッシュを達成し、2位以下に30秒以上の差をつけて勝利した。この結果を受け、チーム代表アンドレア・ステラは、冷却性能を含めた同チームのエンジニアリングの卓越性を強調した。

    「タイヤにとって厳しい条件、特にオーバーヒートのリスクが高い状況では、我々のマシンはタイヤを最適な温度レンジに保つことができている。非常に優れたエンジニアリングの成果だ」とステラは語る。

    「我々は、タイヤ挙動に影響を与えるあらゆる要素を包括的に分析し、それらを効果的に設計に落とし込んできた。タイヤの扱いという、F1において今なお“ブラックアート”とされる分野で、チーム全体が力を発揮した結果だ」

    「ドライバーたちもこのプロセスに貢献しており、チームとして非常に誇りに思っている」

    また、冷却システムに関しては次のように語っている。

    「特に高温のコンディションでは、我々のマシンにおけるもう一つの特徴――冷却システム――が非常によく機能している。マクラーレンのボディワークは比較的閉じた構造だが、その中で効率的な冷却レイアウトがなされている」

    「こうした要素が組み合わさることで、マクラーレンのエンジニアリングは競争優位を築けるレベルにまで達している」

  • カルロス・サインツSr. FIA会長選出馬を本格検討 ビン・スライエムに対抗か

    カルロス・サインツSr. FIA会長選出馬を本格検討 ビン・スライエムに対抗か

    元世界ラリー選手権(WRC)王者でありダカール・ラリーの勝者でもあるカルロス・サインツSr.が、次期FIA(国際自動車連盟)会長選への出馬を検討していることが明らかになった。モータースポーツ界の複数の有力関係者から出馬を打診されていると、オートスポーツ誌が報じている。

    関係者によれば、63歳のサインツSr.は、同じく元ラリードライバーで現FIA会長のモハメド・ビン・スライエムに対抗する形で立候補を真剣に考えており、「前向きかつ建設的なプログラム」を提示し、会長選における代替案を示すことを目的としているという。

    モハメド・ビン・スライエムは2021年末、ジャン・トッド前会長の後任としてFIA会長に就任。しかし、その在任期間は数々の論争や組織内の混乱に揺れてきた。次回のFIA総会および会長選挙は、2025年12月12日にウズベキスタン・タシュケントで行われる予定となっている。

    今年初めには、F1アカデミーのマネージングディレクターであるスージー・ヴォルフが出馬を検討しているとの憶測もあったが、これについてはすでに否定されている。

    FIA(国際自動車連盟) モハメド・ビン・スライエム

    内部ガバナンスを巡る混乱と反発
    一方、FIA内部では統治に関する深刻な問題が相次いでいる。先月にはスポーツ部門副会長のロバート・リードが辞任。「ガバナンス基準の根本的な崩壊」および「適正な手続きを経ずに下された重大な決定」があったと指摘した。

    2月には、FIA世界モータースポーツ評議会の会合において、非開示契約への署名を拒否した複数のメンバーが出席を拒否される事態が発生。リードや英国代表のデビッド・リチャーズも署名を拒否し、後にリチャーズはFIAのガバナンスに対する懸念を記した公開書簡を発表した。

    その書簡では、「FIAの統治および憲法構造はますます不透明となり、権力が会長個人に集中している」「指導部の道徳的なコンパスが変わってしまっており、透明性や開かれた議論を求める声を無視するような状況は看過できない」と警鐘を鳴らしている。

    モハメド・ビン・スライエムは、FIA内部のみならず、ドライバーたちとの間でも摩擦を引き起こしている。彼が導入した「罵声禁止」方針に対しては、ラリードライバーたちが英語でのインタビューを拒否し、F1ドライバーたちも「大人として扱ってほしい」とする公開書簡を提出するなど、抗議の声が広がった。

    他にも、モハメド・ビン・スライエムはレース結果への不当介入の疑いで調査を受けたが、最終的には潔白とされた。また、SNS上でF1の価値に関する発言を行ったことで、F1側の弁護士から「中止命令書」を受け取った事例もある。さらに過去の女性蔑視的な発言が再浮上し、批判を浴びた。

    2023年末には、FIAの主導でメルセデスF1代表のトト・ヴォルフとその妻スージー・ヴォルフに対する利益相反の疑いに関するコンプライアンス調査が開始された。しかし、F1の他の9チームが「問題はない」とする共同声明を発表したことで、調査はわずか2日で撤回され、現在はFIAが法的措置に直面している状況だ。

    今回のサインツSr.による出馬検討は、こうした現体制への不信感が高まる中での象徴的な動きともいえる。FIA会長選には今後も複数の対抗馬が名乗りを上げる可能性があり、選挙戦の行方が注目されている。

  • F1 シャイラ=アン・ラオがビン・スライエム会長の顧問としてFIAに復帰

    F1 シャイラ=アン・ラオがビン・スライエム会長の顧問としてFIAに復帰

    一部関係者の予想を大きく裏切るかたちで、元FIA暫定事務総長のシャイラ=アン・ラオ氏がF1の統括団体である国際自動車連盟(FIA)に電撃復帰を果たした。しかも今回は、組織の中枢にさらに近づくポジションでの登場だ。

    FIAは水曜日、ラオ氏がモハメド・ベン・スライエム会長の特別顧問に任命されたことを正式に発表。この決定は、彼女の物議を醸した前回の退任劇と、現在進行中の大規模な制度改革のタイミングを考え合わせると、関係者の間に驚きをもって受け止められている。

    これはラオ氏にとってFIAでの3度目の勤務となる。2022年にはモータースポーツ部門の暫定事務総長として復帰したが、わずか半年で突如として退任。その背景には、スライエム会長との確執や、当時報じられた性差別・ハラスメントの疑惑も絡んでいたとされている。

    ラオ氏は2016年から2018年までFIAの法務ディレクターを務めた後、メルセデスF1チームに移籍。チーム代表のトト・ヴォルフ氏の特別顧問も務めた経験を持つ。

    今回の復帰について、スライエム会長は次のようにコメントしている。

    「シャイラ=アン・ラオ氏をFIAに再び迎えることができ、大変うれしく思う。彼女はモータースポーツの世界で優れた実績を持ち、我々のチームにとって大きな財産となるでしょう。今後、すべてのFIA世界選手権の規制および商業的枠組みの強化に貢献してくれると確信している」

    FIAは公式声明の中で、「今回の任命は、FIAにとって極めて重要な時期に行われた」と強調。同時に、2024年度には220万ユーロの営業黒字を見込んでおり、2021年にスライエム会長が引き継いだ際の2400万ユーロの赤字からの大きな改善をアピールしている。

    国際自動車連盟 F1

    ラオ氏もまた、発表に際して冷静かつ前向きなコメントを発表した。

    「FIA世界選手権全体を対象に会長をサポートできることを楽しみにしています。現在の会長のもとで大きな進展がすでに見られており、それをさらに発展させていきたいと思います。FIAは世界スポーツ界でも独自の地位を占める存在であり、未来のモータースポーツの強化に尽力していきたいです。」

    表向きには「継続性」と「前進」が語られているが、この異例の人事は、FIA内部の信頼関係や政治的な力学に再び注目が集まるきっかけとなるだろう。

    ラオ氏は5月1日付で新たな役職に就任。F1カレンダーでも最も商業的・政治的に活発な時期に合わせての登場となる。

    彼女の存在が更なる改革をもたらすのか、それとも波乱の火種となるのか――注目が集まっている。

  • F1 ピットレーン速度制限の緩和を一部グランプリで検討…戦略多様化を促進

    F1 ピットレーン速度制限の緩和を一部グランプリで検討…戦略多様化を促進

    FIA(国際自動車連盟)は、2025年シーズン中の一部F1グランプリにおいて、ピットレーンの速度制限を引き上げる方向で検討を進めていることが明らかになった。これは、1ストップ戦略が定着しつつある現状を打開し、レース戦略の多様性を高めるための一環とされている。

    F1開幕戦以降、戦略面でのバリエーション不足が懸念されており、F1のCEOステファノ・ドメニカリは、ピレリのモータースポーツディレクターであるマリオ・イゾラとサウジアラビアGPの場で改善策について協議した。

    現在、より柔らかく劣化しやすいタイヤの投入や、タイヤコンパウンド間の性能差を拡大するなどの取り組みが進められているが、さらに注目を集めているのが、ピットストップ自体の時間を短縮するというアプローチだ。

    具体的には、ピットレーン速度制限を従来の80km/hから100km/hに引き上げた場合、約5秒の短縮が見込まれる。しかし、2014年から続くこの制限の安全性を考慮すると、全体的な引き上げには懸念も多く、実現は難しいとされていた。

    そこでFIAは、安全性に影響を及ぼさない範囲で、通常60km/hに制限されている狭いピットレーンを持つサーキットに限り、80km/hに引き上げる方針を検討中だ。具体的な候補地としては、オーストラリア、モナコ、ザントフォールト、シンガポールが挙げられている。

    例えば、シンガポールGPのピットストップ時間は現在約29秒だが、速度制限が80km/hに引き上げられれば、22~23秒程度に短縮される見込みだ。これは、2ストップ戦略をより魅力的にする可能性を持つ。

    国際自動車連盟 F1

    この措置は、F1スポーティングレギュレーション第34.7条に基づき、レースディレクターの裁量で速度制限を調整できるため、規則改定を必要としないのも利点だ。

    FIAは今後、各サーキットにおける安全性評価を行い、対象となるレースをチームに事前通知する予定としている。

    フェラーリのシャルル・ルクレールはこの件について、「全レースで導入すべきとは思わないが、サーキットによっては理にかなっているかもしれない」と語り、柔軟な導入には前向きな姿勢を示した。