カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • フェラーリF1 “ブロウン式”リアウイングレットは合法 FIAが承認

    フェラーリF1 “ブロウン式”リアウイングレットは合法 FIAが承認

    バーレーンで行われている2026年F1プレシーズンテスト第2週で、フェラーリが投入した新型リアウイングレットがパドックの注目を集めている。排気口直後に配置された小型エレメントについて、FIAは現時点でレギュレーション適合との判断を下した。

    開幕戦メルボルンまで2週間を切る中、各チームが新レギュレーション下での手の内を探り合うなか、フェラーリのSF-26に搭載されたこの新機構は、かつての“ブロウン・ディフューザー”時代を想起させるものとして技術的関心を呼んでいる。

    バーレーンでの第2回プレシーズンテスト初日、観測者たちはSF-26のディフューザー上部、排気口の直後に上向きに湾曲した小型ウイングレットが装着されていることを確認した。

    伊紙は「フェラーリが皆を驚かせた。この新しいウイングはライバルを不安にさせ、コピーもできない」と報じた。

    独誌は、この解決策が2014年の規制強化以前に見られた排気ブロー式エアロダイナミクスの復活を示唆していると伝えている。

    この小型ウイングレットは排気プルームの直下に位置し、回転数上昇に伴って発生する高温ガスを利用してリアのダウンフォースを増大させる設計とみられている。現在のドライバーたちはエネルギー回生量を最大化するため、コーナー中でも意図的に低いギアを保持し回転数を高く維持しているため、空力的な利得は小さくない可能性がある。

    このコンセプトは、ブロウン・ディフューザーが性能差を生んだ2010年代初頭を想起させる。当時はレッドブルがこの技術を最大限活用し、セバスチャン・ベッテルのタイトル獲得を支えたことで知られる。

    2026年レギュレーションでは排気と空力面の相互作用は厳しく制限されていると考えられていたが、条文を精査するとフェラーリは合法的な余地を見出した可能性があるとみられている。新エレメントの上部は標準的なカーボンファイバーではなく、耐熱素材で製作されているとの情報もある。

    焦点となるのは、特定フェーズで排気流量を最大化するエンジンマッピングも同時に開発されているかどうかだ。これはブロウン・ディフューザー全盛期に一般的だった手法である。

    FIAは設計を精査し、現時点では適合と判断したとされる。

    フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは過度な期待を戒めた。

    「まあまあ満足している」とバスールはスカイ・イタリアに語った。

    「今日の段階では、メルセデスや他のチームがまだ何かを隠しているかどうかを判断するのは難しい。我々が持っているものは分かっているが、彼らが何を持っているかは分からない」

    スクーデリア・フェラーリ

    一方でパドックの一部では、フェラーリが新レギュレーション下で既にメルセデスと並ぶ位置にいるとの見方も出ている。

    レッドブルのチーム代表ローラン・メキースは、軽微な医療処置のため最初のテストを欠席した後、バーレーンに復帰。プレシーズン特有の情報戦が展開されていると示唆した。

    「ピットレーンでは競争力に注目を集める楽しいゲームが行われている」とメキースは述べた。

    「我々のアプローチはノイズを最小限に抑えることだ」

    「残念ながら、我々がベンチマークではない。我々はトップグループにいると非常に自信を持っているが、現時点ではメルセデスが最速のチームに見えている。ただし、まだ推測の域を出ない部分もある」

  • キャデラックF1 2026年マシンの非対称リバリーにFIAが疑義?

    キャデラックF1 2026年マシンの非対称リバリーにFIAが疑義?

    2026年F1シーズンに新規参戦するキャデラックF1チームのマシンカラーリングをめぐり、早くもレギュレーション上の適法性が取り沙汰されている。

    問題となっているのはパフォーマンスではなく、リバリーデザインそのものだ。ドイツ紙ビルトによると、ゼネラルモーターズの支援を受けるアメリカの新チームは、先日公開した2026年仕様リバリーについてFIAから質問を受ける可能性があるという。

    キャデラックはスーパーボウルのハーフタイム中に放映された大規模なコマーシャルでマシンカラーを披露したとされ、そのPR費用は2,000万ユーロを超えるとも報じられている。グリッド初年度を前に、大きな話題作りとなった。

    しかし同紙は、F1マシンには左右対称のリバリーを施すことが求められている一方で、キャデラックの現行デザインは片側が主にホワイト、もう片側がブラックという非対称仕様になっていると指摘している。

    「PR上のクーデターが、高くつく誤解に変わる可能性がある」とビルトは伝えている。

    さらにハリウッド的な皮肉も加わった。俳優キアヌ・リーブスは先週バーレーンを訪れ、キャデラックのF1初参戦までの舞台裏を記録するための撮影クルーに同行していたという。

    ビルトによれば、リーブス本人はカメラに映ることを望んでいなかったとされるが、その計画は思い通りには進まなかったようだ。

    キャデラック F1

  • FIA 2026年F1スタート手順を再検証 バーレーンで新シーケンス試行

    FIA 2026年F1スタート手順を再検証 バーレーンで新シーケンス試行

    2026年F1レギュレーション下でのレーススタートを巡り、FIA(国際自動車連盟)はバーレーンで実施中の第2回プレシーズンテストにおいて、新たなスタート手順の検証を開始した。

    新パワーユニット時代におけるターボ立ち上げ時間の問題が、ドライバーおよびチームから懸念として提示されたことを受けた対応である。

    ブレーキング時の回生エネルギー活用を拡大し、従来のMGU-Hを廃止した2026年仕様では、スタート前にV6エンジンの回転を一定時間保持してターボをスプールアップさせる必要がある。

    とりわけグリッド後方のドライバーは、前方の車両より準備時間が短くなるため不利になる可能性が指摘された。これを受けFIAは、各日の走行終了後に異なるスタート手順を試行し、データ収集とフィードバックを通じて開幕戦メルボルンまでに最終判断を下す方針を示した。

    FIAは次のように説明している。

    「バーレーンでのプレシーズンテスト第2週における各日の終了手順の一環として、新しいレーススタート・ライトシーケンスを評価する」

    「およそ18時50分に赤旗を提示し、全車がピットレーンに戻る。その後フォーメーションラップを1周行い、さらに追加のフォーメーションラップを実施したうえで、シミュレーションスタートのためグリッドに整列する」

    「全車が所定の位置に着いた後、新たなプレスタート警告として、全グリッドパネルが5秒間ブルーで点滅する。その終了後、通常のスタートシーケンスに移行する」

    手順全体は、赤旗提示、ピットレーン整列、ピット出口オープン、追加フォーメーションラップ、再グリッド整列、5秒間のブルー警告、通常のスタートライト手順という流れで構成される。また、新シーケンスでは各ドライバーにターボ作動開始のタイミング警告も与えられる。

    水曜午後のセッション後には、午後走行を担当した11名のドライバーがこの新手順でスタートを実施。安全確保のため各車は前方に1グリッド分の空間を空けて整列し、大きな混乱なく進行した。ただし、ホイールスピンは散見され、発進は必ずしも滑らかとは言えなかった。

    バーレーン 国際自動車連盟 F1

    この問題は同日午前に行われたF1コミッション会議でも議題となり、FIAシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスおよびF1 CEOステファノ・ドメニカリの下で議論された。

    FIAは次のように述べている。

    「コミッション会議ではレーススタート手順を中心に建設的な議論と提案が行われた。その結果、現在のバーレーンテスト期間中にレースシステムおよび車両側マネジメントの更新についてさらなる評価を行う」

    一方、マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは先週、ドライバーにグリッド整列とターボ立ち上げのための時間的余裕を与える案を提案していた。ただしフェラーリはこれに消極的姿勢を示したとされる。フェラーリは2025年中に同様の問題についてFIAに問い合わせたが、手順は変更されないとの回答を得ていたと理解されており、結果としてターボ設計を工夫し、必要な立ち上げ時間を短縮する方向で開発を進めたとみられている。

    安全性に関する懸念について、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は次のように語った。

    「決して危険ではない。そういう含みを持たせるべきではないと思う。ただ手順が違うだけだ」

    「これまでより手順が長いだけだ。もし今すぐ5つのライトが点灯したとしても、ライトが消えた後、我々は少し長くその場にとどまることになるだろう。それでもターボが回っていなくても発進はできる。ただアンチストールが何度か作動する可能性はある。もしかするとアンチストールが一部のドライバーにとって課題になるかもしれないが、危険だとは思わない」

    キャデラックに所属するバルテリ・ボッタスも見解を示した。

    「正直に言って、以前より危険だとは思わない。主な違いは回転数をより長く保持することだと思う」

    「そこについては何か解決策を見つける必要がある。唯一の懸念は、グリッド後方にいる場合、ライトがすでに点灯し始めていて、ターボを回す時間が十分にない可能性があることだ」

    「それは明らかに後方のドライバーだけの問題だ。それ以外については解決策が見つかると思うし、回転数を長く保持すること自体に危険な要素があるとは思わない」

    また、直線でエネルギーが枯渇した際の速度差拡大についても議論されたが、現時点で即時の大規模なレギュレーション変更は行わないことで合意。FIAは開幕前に性急な変更を行うことで不安定さを増すリスクを避けるべきだとし、シーズン序盤の数戦でさらなるデータを収集したうえで再評価する方針を示している。

    新時代のパワーユニットがもたらす課題に対し、FIAは段階的かつデータ主導で対応する姿勢を明確にした。開幕戦オーストラリアGPまでに、どのスタート手順が正式採用されるかが注目される。

  • FIA 2026年F1レギュレーション調整で合意 圧縮比とスタート手順を再評価

    FIA 2026年F1レギュレーション調整で合意 圧縮比とスタート手順を再評価

    2026年F1シーズン開幕を前に、バーレーンでのプレシーズンテスト期間中にF1コミッションおよびF1パワーユニット諮問委員会が開催された。これを受け、FIA(国際自動車連盟)は両会合の内容について声明を発表した。

    2026年F1レギュレーションの導入に伴う技術的評価や圧縮比問題の検証方法などが議論され、いくつかの改良案がワールドモータースポーツ評議会へ付託されることが確認された。

    FIAは水曜日、F1コミッションおよびF1パワーユニット諮問委員会の会合後に2つのアップデートを発表した。

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスとF1社長兼CEOステファノ・ドメニカリが議長を務めたF1コミッションでは、2026年F1レギュレーションに関する改良が合意され、ワールドモータースポーツ評議会の承認に付されることとなった。

    F1コミッション会合に関する声明では次のように述べられている。

    「これほど大きなレギュレーション変更の導入に伴い、プレシーズンテストから得られる集団的な学びは依然として存在している」

    「チーム、パワーユニットメーカー、FIA、そしてフォーミュラワン・マネジメント(FOM)は一体となり、来月メルボルンで行われる2026年F1シーズン開幕戦に向け、すべての技術的側面を精査していくことにコミットした」

    FIA主導で実施されたドライバーアンケートの初期フィードバックを受け、すべてのチーム間で建設的な議論が行われたという。

    議題には、マシン全体の特性、エネルギーおよびパワーユニット、空力、オーバーテイクとレース展開、タイヤ、そしてメカニカルグリップが含まれた。

    「2026年型マシンの軽量化と小型化については、ドライバーからポジティブなフィードバックが寄せられた。新型車は乗り心地が向上し、初期加速もより力強いという点で概ね一致している」

    エネルギーマネジメントに関する事項については、バーレーンで行われる2回目のプレシーズンテストの残り3日間で、さらなる評価と技術チェックが実施される予定だ。

    「初期の証拠およびフィードバックはまだ成熟段階にないことから、直ちに大規模なレギュレーション変更は必要ないと合意された。時期尚早な変更は開幕前の不安定性を高めるリスクがある」

    「より多くのデータが得られ次第、さらなる見直しが行われる」

    国際自動車連盟 F1

    また、レーススタート手順に関しても建設的な議論と提案が行われた。

    その結果、現在のバーレーンテスト期間中にレースシステムおよび車載マネジメントのアップデートについてさらなる評価が行われることになった。

    さらに、ファンおよびプロモーターからの需要を受け、スプリントイベント数を最大12戦まで拡大する可能性についても議論された。

    F1パワーユニット諮問委員会からは、走行条件下における圧縮比評価に関する進展も発表された。

    声明では次のように述べられている。

    「ここ数週間および数カ月にわたり、FIAとパワーユニットメーカーは協力し、周囲温度から運転温度までの間で圧縮比がどのように変化するかを定量化する手法を開発してきた」

    このアプローチの検証を経て、2026年8月1日以降、圧縮比制限の遵守は周囲温度条件だけでなく、代表的な運転温度である130℃においても証明する必要があるという提案が提出された。

    この提案はパワーユニットメーカーに投票が付託されており、結果は今後10日以内に判明し、追って公表される見込みだ。

    なお、すべてのF1レギュレーション変更と同様に、最終的な改正はFIAワールドモータースポーツ評議会の承認を必要とする。

  • 2026年F1スタート手順を修正 5秒の“ターボ準備”予告を導入

    2026年F1スタート手順を修正 5秒の“ターボ準備”予告を導入

    2026年F1シーズンの新レギュレーション下で課題となっていたスタート手順に対し、FIAとF1コミッションは小規模ながら重要な修正を導入した。グリッド上のLEDがスタート手順開始の5秒前に点灯し、ドライバーにターボ準備のための予告時間が与えられる。

    ここ数日、レーススタートの難しさが議論の中心となっていた。

    新パワーユニットではエネルギー配分が大きく変わり、かつてターボの回転維持を担っていたMGU-Hが廃止されたことで、ターボを適切な作動領域に持ち込む負担が内燃エンジン側に集中している。

    バーレーンでの最初のテストでは、スタート準備のために1万3000回転近くまで回転数を引き上げるケースも確認された。しかし重要なのは単に高回転を維持することではなく、それを一定時間保つ必要がある点にある。これが手順を従来よりも繊細かつ複雑なものにしている。

    現実のスタート場面では、最後尾付近のドライバーが十分な準備時間を確保できない可能性が指摘されていた。前方のグリッドでは最後尾の整列状況を無線で把握できるが、後方では待機時間が短く、準備ウインドウが極端に限られる場合がある。

    F1コミッションの声明でも、全ドライバーが適切にスタート手順を完了できる代替案を検討していることが確認された。その選択肢はすでに午後セッション終了後のスタートシミュレーションでテストされ、多くのドライバーが好意的に受け止めたという。

    2026年のF1世界選手権

    新たな措置では、5つの赤信号点灯手順が始まる前に、グリッド両側のLEDパネルが青色で一斉に点灯する。これが5秒間の事前予告となる。

    青色LEDが消灯した瞬間に、通常の5灯シーケンスが開始され、全消灯でスタートとなる。この小さな変更により、ドライバーは正確なタイミングを把握できるようになった。

    実際に導入されたシミュレーションでは、信号点灯前からエンジン回転が上昇する音が聞かれた。この5秒間でターボを作動領域に持ち込み、消灯と同時に最適なトルクを引き出すことが可能となる。

    これはMGU-Kを用いてターボへエネルギーを供給する案よりもはるかにシンプルな解決策だ。現行レギュレーションでは、マシンが停止状態にある際の電力供給は禁止されており、さらに50km/h未満での使用も認められていない。

    新レギュレーション初年度における実践的な調整の一つとして、この5秒予告はスタートの安全性と公平性を両立させる現実的な対応といえる。

  • F1エンジン規則改定へ FIAがメーカー投票実施 圧縮比問題が新局面

    F1エンジン規則改定へ FIAがメーカー投票実施 圧縮比問題が新局面

    2026年F1レギュレーションを巡るパワーユニット論争が、新たな段階に入った。FIA(国際自動車連盟)は物議を醸している圧縮比測定方法について、エンジンメーカーによる投票を実施することを決定した。

    問題となっているのは、圧縮比16:1という規定が「外気温条件でのみ」測定される形で明文化されている点だ。この解釈を巡り、メルセデスとレッドブルのパワートレイン部門がレギュレーションの“穴”を突いたとされ、冬の間から大きな論争を呼んでいた。

    現行規則では、パワーユニットの圧縮比は外気温条件で16:1であることが求められている。しかし、作動温度下での測定については明確な記載がなく、これがパフォーマンス上の優位性につながる可能性が指摘されてきた。

    アウディ、フェラーリ、ホンダの3メーカーは、この状況について明確化と是正を求め、FIAとの協議を重ねてきた。一方でメルセデスは当初の立場を維持していたが、レッドブルがアウディ、フェラーリ、ホンダ側に歩調を合わせたことで、構図は4対1へと変化した。

    FIAは最終的に、民主的な手法で結論を導く方針を採用。エンジンメーカーに対し電子投票(e-vote)を実施することを決定した。

    圧縮比 F1 エンジン 国際自動車連盟

    FIAの声明では次のように説明している。

    「このアプローチ(外気温および作動温度の双方で圧縮比を測定する方式)の検証を経て、2026年8月1日以降、圧縮比制限への適合は外気条件のみならず、130℃という代表的作動温度においても証明されなければならないとする提案が提出された」

    「投票はパワーユニットメーカーに提出されており、結果は今後10日以内に判明し、適切な時期に公表される予定である」

    「すべてのF1レギュレーション改定と同様に、最終的な承認はFIA世界モータースポーツ評議会の承認を必要とする」

    提案が可決された場合、2026年8月1日から新たな測定方式が適用される見通しだ。これは夏休み明けのシーズン後半戦再開に合わせたタイミングとなる。

    仮に4メーカー側の主張が通れば、シーズン後半11戦にわたりメルセデス製パワーユニットが再検証の対象となる可能性がある。8月23日のオランダGPを皮切りに、勢力図が変化する展開も否定できない。

    技術論争が政治的判断へと移行した今回の一件は、2026年F1の勢力図を左右しかねない重大局面となりつつある。

  • 2026年F1マシンのスタートに安全懸念 開幕前に手順見直し論が浮上

    2026年F1マシンのスタートに安全懸念 開幕前に手順見直し論が浮上

    2026年F1レギュレーション下で初めて行われたバーレーン公式テストにおいて、レーススタート時の安全性を巡る懸念が急浮上している。新世代ハイブリッドパワーユニットの特性により、各車の発進挙動が従来よりも不安定かつ難解になっているためだ。

    FIA(国際自動車連盟)はすでに状況を把握しており、来週開催予定のF1コミッションでスタート手順の変更が議題に上がる見通しとなっている。

    なぜ2026年F1はスタートが難しくなったのか
    2026年から導入された新型パワーユニットでは、従来の1.6リッターV6ハイブリッドからMGU-Hが撤廃された。これによりターボラグを電動で補完する仕組みが消失し、スタート時に十分な過給圧を作るまでに時間を要するようになった。

    従来はMGU-Hがターボを即座にスプールさせ、低回転域のラグを補っていた。しかし現在は内燃機関とターボのみで初期加速を担い、MGU-Kが本格的に機能するまでの間に回転数を適正域へ維持しなければならない。

    ピットレーン出口での練習スタートでは、ドライバーが10〜15秒間も空ぶかしを続けてブーストを作る光景が見られた。ターボサイズの違いも影響しており、各メーカーごとに最適ウインドウが異なる状況だ。

    ハースF1チームのオリバー・ベアマンは、そのタイミングが「ミリ秒単位」であると明かし、わずかなズレでスタートが失敗する可能性があると示唆している。

    現行スタート手順とのミスマッチ
    現在のスポーティングレギュレーション(B5.7条)では、最後のマシンがグリッドに停止してから約10秒以内にスタートが切られる。5灯式のレッドライトは1秒間隔で点灯し、その後2〜3秒以内に消灯するのが通常だ。

    しかし後方グリッドのドライバーにとって、この短い時間ではターボを理想状態に持っていく余裕がない。前方のマシンが正常発進する一方で、後方では加速できない車両が混在する危険な状況が想定される。

    アルピーヌのピエール・ガスリーは次のように語った。

    「オーストラリアではテレビの前に座っていたほうがいい。みんなの記憶に残るスタートになるかもしれない」

    「どうなるかは分からない。正直、自分でも分からないよ。間違いなく以前より難しくなる」

    FIAと各チームの対応
    FIAはバーレーンテスト中に複数のシミュレーションと技術評価を実施し、問題点を把握している。F1コミッションでは、オーストラリアGPまでにスタート手順を調整する可能性が検討される予定だ。

    2025年の議論段階ではフェラーリが反対意見を示していたとされる。小型ターボを採用していると見られ、他メーカーより有利な可能性があるためだ。

    もっとも、安全性が理由であればFIAは全会一致を待たずに規則変更を進めることができる。

    フォーミュラ1カー F1

    過去に起きたスタート事故の教訓
    スタート直後の速度差は極めて危険である。1982年カナダGPではリカルド・パレッティがスタート直後の事故で命を落とした。1994年ブラジルGPではベネトンのJJレートがストールし、ペドロ・ラミーが追突して観客にも破片が飛散した。

    2001年ドイツGPではミハエル・シューマッハが4番グリッドからギアボックストラブルで停止し、ルチアーノ・ブルティが空中に舞い上がる事故も発生している。同年ブラジルではミカ・ハッキネンがストールし、後続車を避けるために手を振って警告する場面もあった。

    スタートラインでの停止車両は視界が遮られる中で極めて危険な障害物となる。

    マクラーレンとメルセデスの見解
    マクラーレン代表のアンドレア・ステラは次のように述べた。

    「スタート手順は、すべての車がパワーユニットを適切に準備できるものでなければならない」

    「グリッドは発進が遅れる場所であってはならない」

    「これは競争上の問題ではなく、より大きな利益の問題だ。すべてのチームとFIAが責任ある姿勢で臨むべきだ」

    マクラーレンのオスカー・ピアストリも「競争以前に安全なスタートを切ること自体が難しい」と認めている。

    一方、メルセデスのジョージ・ラッセルは改善傾向を示した。

    「僕は自分のウインドウに入った時にしかローンチを行わない」

    「レースではライトが消えたら行かなければならない。ターボが理想状態かどうかは関係ない」

    「バルセロナでは確かに安全上の懸念があったが、その点では大きく改善している」

    オーストラリアGPまでに決断は下されるか
    2026年F1開幕戦オーストラリアGPを目前に控え、スタート手順の見直しは急務となっている。グリッド上でのわずかなタイミング差が重大事故に直結する可能性がある以上、競争優位よりも安全性が優先される可能性は高い。

    F1コミッションの判断が、2026年シーズン最初の大きな政治的決定となるかもしれない。

  • FIA確認 2026年F1マシンはダウンフォース25%減で“F2的マシン”に?

    FIA確認 2026年F1マシンはダウンフォース25%減で“F2的マシン”に?

    2026年F1レギュレーションの本格導入を前に、FIAは新世代マシンの空力負荷が最大で25%削減されることを正式に認めた。バルセロナでのシェイクダウンを経て、ドライバーからはすでに従来型とは大きく異なるフィーリングが報告されている。

    新時代のマシンは、軽量化・ナロー化・空力負荷削減という明確な哲学転換のもとに設計されており、F1は“F2的”とも形容される新たなドライビング特性へと踏み出した。

    ランド・ノリスは、バルセロナでの走行後に次のように語った。

    「ある意味ではF2マシンのように感じる。特にドライブの仕方という点でね」

    この発言はフェルナンド・アロンソにも伝わり、記者団の前で軽妙な応酬が展開された。

    「彼は僕たちよりも大きな一歩を後退したんだろう」とアロンソは冗談めかして語った。

    「彼らは100か120ポイント分のダウンフォースを失ったんじゃないか。僕たちはそこまで失っていないから、適応はずっと楽だと思う」

    冗談の裏側には、明確な技術的転換がある。FIAテクニカルディレクターのヤン・モンショーは、新型車が2025年型よりも大幅に低い空力負荷で走っていることを認めた。

    「単純に言えば、マシンはより少ないダウンフォースで走っている。それは意図的な決定だった」

    具体的な数値を問われると、モンショーはこう明かした。

    「20%から25%だ」

    この削減は、2026年の設計思想そのものを象徴している。軽量化と機敏性の回復、そしてドライバーの操作感覚を重視する方向への転換だ。

    「この20年でマシンは常に重くなってきた。それはドライバーからの批判の対象でもあった。機敏さが失われ、世界最高のドライバーにとって“楽しいクルマ”ではなくなっていた」とモンショーは説明する。

    「今回の新レギュレーションでは重量削減が明確な目標だった。2年前に設定した数値は野心的だったが、チームとの何度も繰り返した議論の結果であり、挑戦的だが可能だと判断して全面的に踏み込んだ」

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスも、ドライバーがすでに変化を体感していると語る。

    「これは第一歩だが、その第一歩の段階でもドライバーの最初のコメントは『違いを感じる』というものだ」

    「彼らはマシンがより機敏になったと実際に身体で感じている。それは言葉だけではない」

    フォーミュラ1カー 国際自動車連盟

    一方で、重量削減が安全性を犠牲にしたわけではないと強調する。

    「安全性が損なわれることは決してない」

    「この20年間で重量が増えた大きな理由は安全対策だ。ハロ、強化されたノーズやサイド構造など、マシンははるかに堅牢になり、その結果ドライバーはより安全だと感じている」

    空力負荷の減少は、同時にドライビング難度の上昇も意味する。

    「ダウンフォースが少ないマシンはより扱いが難しく、ブレーキングでタイヤをロックしやすくなる」とモンショーは指摘する。

    「以前は全開でほぼ直線のように走れた区間が、今ではスキルが重要になるコーナーへと変わる」

    2026年F1は、数値上の25%削減以上に、哲学そのものを刷新するシーズンになる。絶対的な空力依存から一歩引き、よりドライバーの技量が前面に出る世界へ。F1は再び“操るスポーツ”としての色合いを強めつつある。

  • FIA、メルセデスPUを巡るF1エンジン圧縮比問題の開幕前決着を目指す

    FIA、メルセデスPUを巡るF1エンジン圧縮比問題の開幕前決着を目指す

    FIA(国際自動車連盟)のシングルシーター部門ディレクターであるニコラス・トンバジスは、2026年F1パワーユニットを巡る圧縮比論争について、開幕戦オーストラリアGP前の解決を目指していると明言した。

    この問題は、新レギュレーション下で定められた圧縮比「16:1」の解釈を巡るもので、メルセデスが規則の文言を巧みに利用しているとの報道を受けて議論が激化している。キャデラックF1チームのCEOダン・トウリスは「メルセデス以外は全会一致」と述べ、ライバル勢が一致団結していると主張していた。

    トンバジスは、FIAのテクニカルディレクターであるヤン・モンショーとともに公開動画に出演し、圧縮比制限の背景について説明した。

    「まず圧縮比とは、ごく基本的な4ストロークエンジンの概念だ」とトンバジスは語った。

    「ピストンが上下に動き、クランクシャフトを回転させる。燃料と空気が入り、ピストンが上昇する際にそれらを非常に小さな容積に圧縮する。その割合が圧縮比だ」

    「圧縮比が高いほど、一般的には効率は向上する。ただし高すぎるとノッキングなどの問題が発生する」

    FIAは2026年レギュレーション策定にあたり、新規参入メーカーを呼び込むことを重視していた。現在はメルセデス、フェラーリ、ホンダ、アウディ、レッドブル・フォードが参戦しており、将来的にはゼネラルモーターズも加わる予定だ。

    「もし変更を行わなければ、今ごろは2メーカーしか残っていなかったかもしれない」とトンバジスは述べた。

    従来は18:1だった上限を16:1へ引き下げたのも、新規参入者が戦える環境を整えるためだったという。

    「18:1は実質的に到達困難な数値だった。16:1は妥協点だ」

    しかし、トンバジスはエンジンが高温作動時に実質的な圧縮比を引き上げる方法を「非常に賢いエンジニアたち」が見出した可能性があると認めた。

    「エンジンが高温で作動しているときに、それを引き上げる方法を見つけた者がいる可能性がある。それが今われわれが議論している点だ」

    圧縮比 F1 国際自動車連盟

    FIAとしては、法廷やスチュワード審議室で争う状況は望んでいないという。

    「我々はコース上で競ってほしい。法廷やスチュワード室での争いは望んでいない。シーズン開幕までに解決する意向だ」

    さらに、今後も別の論点が浮上する可能性について問われると、トンバジスはレギュレーション変更の規模を考えれば議論は避けられないと述べた。

    「完璧なのは、いかなる議論も起きないことだ。しかしレギュレーションが大きく変われば、想定外の事象は必ず生まれる」

    「各チームには約200人のエンジニアがいる。11チームと5メーカーを合わせれば数千人規模だ。その中の誰かが誰も思いつかなかったことを見つけるのは統計的に当然だ」

    「我々はルール解釈選手権にはしたくない。最高のドライバーと最高のエンジニアが競う選手権であってほしい」

    圧縮比論争が示す2026年F1の難しさ今回の問題は、2026年F1レギュレーションが抱える根本的な課題も浮き彫りにしている。新規参入を促進するための“簡素化”と、既存メーカーの技術追求とのバランスだ。

    FIAは競争の場をサーキットに限定したい考えだが、数千人規模の技術者が関わる世界最高峰の開発競争において、グレーゾーンが生まれること自体は避けられない。

    圧縮比問題が豪州GP前に決着するかどうかは、2026年F1シーズンの勢力図だけでなく、新時代の統治モデルの成否を占う試金石ともなりそうだ。

  • 圧縮比の次は何が来る? FIAが身構える2026年F1の“次章”

    圧縮比の次は何が来る? FIAが身構える2026年F1の“次章”

    2026年F1シーズンに向けた準備は、まもなく「公式」な段階に入ろうとしている。各チームは今後2週間にわたり、バーレーンで2回の3日間テストを実施し、新型マシンの検証を進める。

    その前哨戦となったのが、非公開で行われたバルセロナでの5日間の「シェイクダウン・ウィーク」だった。この走行ではメルセデスが強さを見せ、パドックの空気を大きく揺さぶる結果となった。

    昨年末以降、メルセデスが内燃エンジンの圧縮比に関して抜け道を見つけたのではないか、という噂が流れている。当時から競合メーカーが不満を抱いているとされていたが、バルセロナでのパフォーマンスが、その疑念にさらに火を注ぐ形となった。

    報道によれば、レッドブルがフェラーリ、アウディ、ホンダと足並みを揃え、メルセデスの手法に反対しているという。反対勢力は拡大しており、この4社はできるだけ早期の解決を求めている。

    最近行われたエンジンメーカー会合からの情報によれば、4社はいずれも、シーズン開幕戦オーストラリアGPまでに納得のいく解決策が示されることを期待しているという。

    事態は緊迫している。メルセデスはエンジンが完全に合法であるという立場を崩していない一方、FIAは「すべての関係者が納得できる解決策」を模索していると述べている。

    FIAの技術部門を率いるニコラス・トンバジスとヤン・モンショーは、月曜日に公開されたYouTube動画で、世間の関心が最も高い疑問に答えた。

    「エンジニアたちは非常に賢く、常にアドバンテージを追い求めている」とトンバジスは語った。

    「中には、エンジンが高温状態で作動しているときに、性能を引き上げられる可能性のある方法を見つけた者もいる。それが、まさに今我々が議論している点だ」

    「ヤンとともに、これらの問題をどう解決するかについて多くの時間を費やしてきた。我々の意図は当然、シーズン開幕までに解決することにある」

    「我々は論争を望んでいない。コース上で競い合ってほしいのであって、法廷やスチュワードルームで争ってほしいわけではない。そのために取り組んでいる」

    国際自動車連盟 F1 圧縮比

    「ルール解釈選手権」にはしない
    バルセロナでは、各チームが初めてライバルの実力を垣間見た。例年どおり、プレシーズン後半に向けて多くの変更や改良が施されることになるだろう。

    シェイクダウン・ウィークでは、アストンマーティンのAMR26が遅れて走行に加わり、最大の話題を呼んだ。英国の天才デザイナーによる数々の極端なソリューションは、レギュレーションの限界を突いていると見る向きもある。

    関係者によれば、ライバルチームは、バーレーンでシルバーストン拠点のチームがどのような仕様を持ち込んでくるのかを注視しているという。ただし、注目すべきアイデアを披露するのはアストンマーティンだけとは限らない。

    バーレーンで準備が本格化すれば、FIA技術部門が各チームからの声明要請や、新たなソリューションに関するルール解釈の質問で殺到される可能性は十分にある。

    トンバジスは、その事態を想定したうえで次のように語っている。

    「我々は、最高のドライバー、最高のエンジニア、最高のチームによる競争の選手権にしたいと考えている。ルール解釈の競争にはしたくない」

    「工学的な能力とドライビングの能力を競う選手権にしたいのであって、『誰が一番うまくルールを解釈できるか』を競う場にはしたくない」

    バーレーンで状況がさらに熱を帯びれば、少なくとも世間の注目という点では、圧縮比問題以上に技術革新そのものが話題の中心になる可能性も否定できない。