カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • F1 バーレーンGPとサウジアラビアGP中止の可能性 中東情勢で今季22戦へ

    F1 バーレーンGPとサウジアラビアGP中止の可能性 中東情勢で今季22戦へ

    2026年F1カレンダーの第4戦バーレーンGPと第5戦サウジアラビアGPが、中東情勢の緊迫化により中止となる可能性が浮上している。フォーミュラワン・マネジメント(FOM)とFIAは現在も状況を注視しており、正式な判断はまだ発表されていない。

    報道によれば、両レースの開催可否については遅くとも3月20日までに決定される見通しだという。もし中止となった場合、代替レースは開催されず、2026年シーズンは全22戦で実施される可能性が高いとみられている。

    中東情勢の緊迫化で開催に影響
    問題の発端となったのは、先週末にアメリカとイスラエルがイランに対して実施した爆撃作戦だ。これに対しイランは報復攻撃を行い、周辺地域の米軍基地を標的としたミサイル攻撃を実施した。

    その攻撃の対象のひとつがバーレーンだったことから、来月開催予定のバーレーンGPとサウジアラビアGPの安全性に疑問が生じている。

    2026年F1カレンダーでは、バーレーンGPは4月10日から12日、サウジアラビアGPは4月17日から19日に開催される予定となっている。しかし両国はいずれもミサイル攻撃の影響を受けた湾岸地域に位置しており、開催は深刻な不確実性に直面している。

    チーム物流と日程が判断のカギ
    さらに、物流面の問題も決断を難しくしている。オーストラリアGP週末の時点ですでにF1チームは移動トラブルに直面しており、今週末の中国GP後には機材輸送がすぐにバーレーンへ向かう予定になっている。

    この輸送計画が実行可能かどうかが、両グランプリの開催判断に大きく影響するとみられている。

    英メディアによると、もし第4戦と第5戦が中止された場合でも代替レースは設定されない見込みだという。ポルトガルのポルティマオやイタリアのイモラが候補として名前は挙がっているものの、準備期間が極めて短く、実現は難しいとされている。

    F1 中東 バーレーングランプリ

    WECと同様の判断になる可能性
    今回の情勢を受け、FIAはすでに別カテゴリーで対応を取っている。世界耐久選手権(WEC)の2026年開幕戦として予定されていたカタール1812kmは、当初3月26日から28日に開催予定だったが、すでに延期が決定している。

    F1でも同様の判断が下される可能性があり、関係者の間では中止の方向に近づいているとの見方も出ている。

    モータースポーツ専門メディアの記者マット・コッチはSNSで「両レースは中止され、今季は22戦になると完全に予想している」と述べた。

    2027年にはポルトガルが復帰予定
    なお、ポルトガルGPの開催地ポルティマオは代替開催の候補として取り沙汰されたが、実際の代替開催は難しい状況だ。

    同サーキットはすでに2027年と2028年の2年間、オランダGPに代わってカレンダーに復帰することが決まっているが、現時点では2026年の緊急代替開催を準備する時間は残されていないとみられている。

    正式な決定は、FIAとF1による安全評価と物流状況の確認を踏まえ、今後2週間以内に発表される見通しだ。

  • FIAが“直前撤回” F1オーストラリアGPのアクティブエアロゾーン騒動

    FIAが“直前撤回” F1オーストラリアGPのアクティブエアロゾーン騒動

    2026年F1シーズン開幕戦オーストラリアGPの土曜日、アルバートパークでFIAが下した決定がパドックに大きな混乱をもたらした。

    最終プラクティス(FP3)を目前に控え、FIAはアクティブエアロの「ストレートモード」ゾーンのひとつを突然削除。しかしチームとドライバーから強い反発が起こり、わずか1時間足らずでその決定を撤回するという異例の展開となった。

    2026年の新レギュレーションでは、コーナーではダウンフォース重視の「コーナーモード」、ストレートでは低ドラッグの「ストレートモード」を切り替えるアクティブエアロが導入されている。アルバートパークでは当初、このストレートモードを使用できるゾーンが5カ所設定されていた。

    しかしそのうちの1つ、ターン8出口から高速のターン9〜10のS字区間へ向かうセクションが問題となった。

    FP3直前にアクティブエアロゾーン削除
    週末前のシミュレーションでは問題ないと判断されていたが、金曜夜のドライバーズブリーフィングで一部ドライバーが安全面への懸念を提起した。特に他車の後ろを走行した場合、ダウンフォース不足によりクラッシュリスクが高まる可能性があるという指摘だった。

    この懸念を受けてFIAは土曜朝、FP3開始の数時間前というタイミングで「ストレートモードゾーン4」を無効化するとチームに通知した。

    しかしこの決定はチーム側にとって極めて大きな問題だった。金曜日の走行データをもとにセッティングを作り上げてきた各チームにとって、ゾーン削除はエネルギーマネジメントから車高、タイヤ圧まで大きな影響を与えるためだ。

    あるチーム関係者はその状況をこう例えた。

    「これはサッカーの審判がハーフタイムにゴールポストのサイズを変えるようなものだ」

    ストレートモードが使えなくなることでマシンは高ドラッグ状態のまま長いストレートを走ることになり、バッテリー消費の増加やタイヤ荷重の変化が発生する。さらにダウンフォース増加によって車体が路面に押し付けられ、プランク摩耗が増えて失格のリスクが高まる可能性もあった。

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、この決定が歓迎されないことは理解していると認めた。

    「これはかなり大きな変更だ。チームはマシンのセットアップを調整しなければならない」

    「彼らは金曜日とは異なる条件で走ることになる。だから不満を持つチームがいるのは確かだろう」

    「しかし我々は安全を最優先にする必要がある。今週末にとってそれが最も責任ある判断だ」

    F1 オーストラリアGP 国際自動車連盟

    チームとドライバーの反発でFIAが撤回
    しかしこの決定は、すぐにパドック全体の反発を招いた。チームとドライバーが連携してFIAに抗議し、ゾーン削除は不要だと主張したのである。

    問題のセクションの危険性を最初に指摘したのは、アウディのガブリエル・ボルトレトだったとされる。ボルトレトは単独走行でも全開で通過するのが難しいと述べ、レースで他車の後ろを走ると危険になる可能性があると説明した。

    ただし他の多くのドライバーはそこまで深刻な問題とは捉えておらず、ブリーフィング終了時点ではゾーン削除にまで発展するとは誰も予想していなかったという。

    ゾーン削除の影響は非常に大きく、チームは車高、サスペンション設定、タイヤ圧、エネルギーマネジメントなどをすべて見直す必要があった。あるチーム代表は、事実上すべての準備を「ゼロからやり直す」ことになると語った。

    またストレートモードが使えない場合、トップスピードが大幅に低下する可能性も指摘された。あるシミュレーションでは、ターン9進入速度がF3マシンよりも50km/h遅くなるという予測さえあったという。

    こうした状況を受け、チームとドライバーは一致してFIAに決定の見直しを求めた。

    そしてFP3開始まで1時間を切った段階で、FIAは方針を撤回した。

    FIAは声明で次のように発表した。

    「過去1時間にチームとドライバーから寄せられたフィードバック、およびチームから提供された追加分析を受け、アルバートパークのストレートモードゾーン4を削除する決定を撤回する」

    「この修正は直ちに有効となり、ストレートモードゾーン4はFP3で使用される」

    「FP3の走行中および終了後にさらなる評価を行う」

    ダウンフォース設定がチームごとに差
    今回の問題の背景には、チームごとの空力設定の違いもあった。

    トンバジスによれば、このセクションを安全に通過できるダウンフォース設定を持っていたのはわずか4チームだったという。残りのチームではフロントダウンフォースが予想より少なく、想定していた安全マージンを満たしていなかった。

    「11チームのうち約7チームがその問題を抱えていた」

    「前輪のダウンフォース量が我々の想定より少なく、安全だと思われた設定が実際には安全ではなかった」

    FIAは個別チームにセッティング変更を求めるという選択肢もあったが、短時間では現実的ではないと判断した。

    「この影響はすべてのマシンで同じではない」

    「しかし短時間で『このチームは変更しなければならないが、他は不要』という明確な基準を作ることはできなかった」

    結果として今回の騒動は、2026年F1の新技術であるアクティブエアロがいかにセッティングと戦略に大きな影響を与えるかを象徴する出来事となった。シーズン開幕戦の週末は、予想外の混乱とともにスタートすることになった。

  • F1ドライバーに“裁定の寛容性” FIAがドライビングスタンダードを修正

    F1ドライバーに“裁定の寛容性” FIAがドライビングスタンダードを修正

    2026年シーズンに向けて、FIA(国際自動車連盟)はF1のオン・トラック・バトルに関するドライビングスタンダードのガイドラインを調整した。今回の変更により、スチュワードはこれまでよりも“寛容”な判断を行う方針となり、特にオーバーテイク時のインシデントに対する解釈が明確化された。

    近年のF1では、接触やポジション争いを巡るペナルティの判断が議論を呼ぶケースが続いており、ドライバーやチームからは裁定基準の透明性を求める声が強まっていた。FIAはこうした状況を受け、ガイドラインを微調整した形だ。

    ザントフォールトの接触が議論のきっかけ
    今回の見直しの背景には、2025年F1オランダGPで発生したカルロス・サインツJr.とリアム・ローソンの接触がある。このインシデントでは、当時ウィリアムズに所属していたサインツJr.に対し、スーパーライセンスのペナルティポイント2点が科された。

    しかし、その後ウィリアムズが行った控訴が認められ、このペナルティポイントは取り消された。この一件は、スチュワードの判断基準に対する議論を呼び、ルールの明確化を求める声につながった。

    ロックアップ時は“物理法則”も考慮
    新たなガイドラインでは、オーバーテイクを試みる際にドライバーが接触回避のためにロックアップした場合、“物理法則”による影響を考慮し、ドライバーに有利な判断が与えられる可能性がある。

    つまり、ブレーキング時にタイヤをロックさせた結果として接触のリスクが生じた場合でも、それが避けようとした結果であれば、これまでよりも厳しい裁定が下されにくくなる。

    国際自動車連盟 F1レギュレーション

    危険・無謀・故意の行為にはペナルティ
    一方で、FIAは危険または無謀、あるいは意図的と見なされる行為については、引き続き厳格に対処する姿勢を示している。

    新しい規定では、「危険、無謀、あるいは明らかに意図的な行為によって接触を引き起こした場合、または受け入れがたい、もしくはスポーツマンシップに反する行為」はペナルティポイントの対象となると明記された。

    “ダイブボム”問題にも明確な指針
    これまで解釈が分かれていたポイントのひとつが、コーナー進入時のいわゆる“ダイブボム”だ。内側から急激に飛び込むオーバーテイクに対し、どこまでスペースを与えるべきかは長年議論されてきた。

    今回のガイドラインでは、この状況についても方針が示されており、コーナー頂点で内側のマシンが飛び込んできた場合でも、「もう一方のクルマが単純に消えることはない」と規定されている。つまり、外側のドライバーにも存在する権利があることを明確にした形だ。

    これらの変更は、2025年F1カタールGPの週末に行われたFIAとドライバーたちの会合をきっかけに議論が進められたものだ。FIAは今回の調整によって、オン・トラックの判断基準について、より透明性と明確さを持たせることを目指している。

  • F1セーフティカーの象徴 ベルント・マイレンダーが通算500戦の節目

    F1セーフティカーの象徴 ベルント・マイレンダーが通算500戦の節目

    F1セーフティカードライバーを務めるベルント・マイレンダーが、2026年F1オーストラリアGPで節目となる500グランプリ参加を迎える。2000年にアルバート・パークでデビューして以来、26年にわたりF1の安全を支えてきた人物だ。

    この記録は現役ドライバーのどの記録よりも多く、オーストラリアGP終了時点で426戦となるフェルナンド・アロンソをも上回る数字となる。長年にわたりセーフティカーを操るマイレンダーは、F1の歴史の中でも欠かせない存在となっている。

    26年にわたりF1の安全を支えてきた存在
    ベルント・マイレンダーは2000年のオーストラリアGPでF1セーフティカードライバーとしてデビューした。それ以来、2001年カナダGPを含むわずかな例外を除き、ほぼすべてのレースでこの役割を務めてきた。

    2001年のカナダGPでは、DTMイベント出席中に転倒してかかとを骨折したため欠場している。

    セーフティカーは、コース上で事故が発生した際や回収車両をコースに入れる必要がある場合に出動し、レース全体のペースをコントロールする重要な役割を担う。マイレンダーはその任務を長年にわたり担い、グランプリの一部として認識される存在となった。

    F1以前も実績あるレーシングドライバー
    マイレンダーはセーフティカーの役割に就く以前からレーシングドライバーとして実績を残している。

    1997年にはFIA GT選手権のタイトルを獲得。さらに1999年のル・マン24時間レースではクラス2位に入り、2000年にはニュルブルクリンク24時間レースでも勝利を挙げている。

    こうした経歴を持つマイレンダーは、F1でセーフティカーを担当するにふさわしい経験豊富なドライバーとして知られている。

    FIAが500戦の節目を祝福
    500戦という節目を記念し、FIAはオーストラリアGPの週末を前にマイレンダーを祝福した。

    彼には記念としてベル製ヘルメット、ポスター、そしてケーキが贈られ、その功績が称えられた。

    F1の歴史の中で、ドライバー以上に多くのグランプリに関わってきたマイレンダー。オーストラリアGPでの500戦到達は、F1における長年の貢献を象徴する節目となる。

  • メルセデスF1に追い風 ペトロナス燃料がFIAホモロゲーション取得

    メルセデスF1に追い風 ペトロナス燃料がFIAホモロゲーション取得

    2026年F1シーズン開幕を目前に控え、メルセデスにとって追い風となるニュースが浮上した。報道によると、同チームのパートナーであるペトロナスが供給する燃料が、FIAのホモロゲーション(認証)を正式に取得したという。

    2026年からF1は大規模なレギュレーション変更を迎え、パワーユニットとシャシーの双方が刷新される。その中心にあるのが「完全持続可能燃料」の導入であり、燃料の認証プロセスはこれまで以上に複雑化している。

    2026年F1で大幅に強化された燃料認証プロセス
    2026年F1では、燃料は従来の化学的仕様を満たすだけでは不十分となった。新たに「持続可能性」の要件が導入され、燃料の原料調達から生産、供給までの全工程が厳密に監査される仕組みとなっている。

    このプロセスの検証を担うのが、FIAが任命した独立機関「ゼモ」である。ゼモは燃料の製造プロセス全体を監査し、最終製品だけでなく原料の供給源やライフサイクル全体の温室効果ガス排出量まで確認する。

    そのためホモロゲーションの手続きは非常に長く複雑になり、プレシーズンテストの段階では一部の燃料サプライヤーが認証を完了できていない状況も報じられていた。

    当初はメルセデスと長年提携するペトロナスも、認証取得に向けて時間との戦いに直面していると噂されていた。

    しかし報道によると、ペトロナスの燃料は2026年F1オーストラリアGPを前にFIAの承認を取得したとされる。

    BPが語る「2026年燃料の難しさ」
    こうした状況の中、アウディと提携するBPのモータースポーツ流体技術責任者ルーク・ジョリーは、新レギュレーション下での燃料開発の難しさを明かしている。

    「2026年の燃料には大きく2つの要素がある」とジョリーは語った。

    「ひとつは、昨年までと同じように定められた燃料仕様だ。物理的・化学的なパラメータがあり、その範囲内に収める必要がある。サンプルをFIA認定ラボに送ってチェックするという点では、以前と同じだ」

    「新しいのは持続可能性に関する要件だ。ここでホモロゲーションのプロセスはまったく新しい次元になった」

    ジョリーによれば、ゼモは燃料の原料から最終製品まで、すべての工程を監査する。

    「FIAが任命した独立機関であるゼモが、原料調達から生産、そして最終燃料のライフサイクルにおける温室効果ガス排出量まで、すべてを検証する」

    「この部分は以前よりもはるかに複雑だ」

    BPはすでに先月ホモロゲーションを取得しており、アウディとの初戦に向けて準備は整っているという。

    「ここ数週間で、このレース週末に間に合う形で認証を取得できた。非常に重要なマイルストーンだった」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    他メーカーは依然沈黙
    ジョリーはまた、2026年燃料の開発が多くのサプライヤーにとって難題になっていることを示唆した。

    「このプロセスは非常に厳格で、燃料に使う原料が何であれ、FIAが任命した監査人が実際に現地に赴き、その原料が本当に持続可能なものか確認する必要がある」

    「そしてその原料が供給チェーンを通じて最終ブレンドに至るまで、すべて追跡される。ここメルボルンに届くまでだ」

    「非常に厳しいプロセスで、だからこそ一部のメーカーではタイミングがかなりタイトになっている」

    さらにジョリーは、他メーカーの状況についても意味深な発言を残した。

    「全体として見ても、かなりの苦労があったという話は聞こえてくる」

    「他のサプライヤーはまだあまり情報を出していない。だから実際の状況は分からない」

    ただし、BP自身は計画的な判断を行ったことで順調に進んでいると説明する。

    「我々は計算された決断をしてきた。その結果、今週末に向けて非常に良い状態にある」

  • フェラーリF1 FIAのスタート手順変更議論に驚き「最初から分かっていたこと」

    フェラーリF1 FIAのスタート手順変更議論に驚き「最初から分かっていたこと」

    2026年F1レギュレーションの導入に伴い、スタート時の挙動をめぐる議論がパドックで浮上している。特にMGU-Hが廃止されたことでターボラグの影響が強まり、スタート時の扱いが課題になる可能性が指摘されている。

    こうした状況を受けてFIAが安全面を理由にスタート手順の変更を検討しているとの報道もあるが、フェラーリF1のチーム代表フレデリック・バスールは、この議論の再燃に驚きを示した。

    「MGU-Hがなくなればターボラグを管理する必要が出てくることは明らかだった。これは初日から分かっていたことであり、我々がパワーユニットの指針を決める際には、純粋なパワーだけでなくスタートのような側面も含めて評価していた」とフレデリック・バスールは語った。

    「だからこそ我々はエンジンについていくつかの決断を下したし、FIAも当初からスタート手順を変更しないという意向をかなり明確にしていた。だからこの話題がバーレーンで再びニュースになったときには驚いた」

    「ドライバーに安全面の問題などを提起させるのは簡単だが、実際にはすべて以前から分かっていたことだ。エンジンのアーキテクチャーを決める際には常に妥協がある。一方には可能な限りの最大出力があり、もう一方にはドライバビリティがある。その中で選択を行うのだ」

    シャルル・ルクレールもまた、この問題はチームとして想定していた範囲だと説明する。新レギュレーションに対応する開発の段階から、スタートの挙動はすでに検討されていたという。

    「これは新しいレギュレーションに取り組み始めたときから考えていたテーマだ」とシャルル・ルクレールは語った。

    「スタートが僕たちにとって特に重大な弱点になるとは思っていない。もちろん、まだ実際に経験していない状況については多くの発見が残っている」

    「例えばウェットコンディションでのマシンの挙動や、オーバーテイクの状況などだ。テストセッションだけではカバーできない疑問もある。最初のレースウィークエンドでどうなるか見てみよう」

    FIAは現時点でスタート手順の問題について公式な見解を示していない。しかし安全面に関わる問題と判断された場合、チームの同意がなくてもレギュレーション変更が行われる可能性がある。フェラーリがすでにこの前提でパワーユニット設計を進めていることを考えると、この議論の行方は2026年シーズンの序盤における新たな焦点となりそうだ。

  • 2026年F1レギュレーション大改革 DRS廃止など12の変更点

    2026年F1レギュレーション大改革 DRS廃止など12の変更点

    2026年F1シーズンは、パワーユニットと空力の両面で大規模なレギュレーション変更が導入される“新時代”の幕開けとなる。マシンのサイズや重量、エネルギー管理、オーバーテイクシステム、さらにはチームの予算上限に至るまで、スポーツの多くの要素が刷新された。

    ここでは、ファンが知っておくべき2026年F1の主要な12の変更点を整理する。

    マシンは小型化 ホイールベース200mm短縮
    2026年F1マシンは全体的にサイズが縮小された。

    ホイールベースは2025年の3600mmから3400mmへと200mm短縮され、ドライバーからはより機敏なマシンになったとの声も上がっている。

    さらにフロア幅は100mm狭くなり、タイヤも細くなった。フロントタイヤは25mm、リアタイヤは30mm幅が減少している。

    こうした変更はコース上のスペースをわずかに増やし、バトルをしやすくする狙いがある一方、タイヤ接地面積の減少によってグリップには影響が出る可能性がある。

    最低重量は768kgへ大幅減
    2025年の800kgから2026年は768kgへと最低重量が引き下げられた。

    MGU-Hの廃止に加え、マシンサイズとタイヤの縮小が軽量化の主な要因となっている。

    ドライバーからはすでに、ダウンフォースが減少したにもかかわらずハンドリングが改善したという感想も聞かれている。

    グラウンドエフェクト縮小 新しい空力コンセプト
    最大の空力変更は、グラウンドエフェクトの中核だったベンチュリトンネルの廃止だ。

    新しいフロアでも空力性能は依然として重要だが、これまでほど支配的ではなくなる。

    フロントウイングとリアウイングはシンプル化され、ホイールカバーも廃止された。さらにバージボードが再導入され、フロントタイヤから発生する乱流を車体内側へ導く設計となっている。

    狙いはアウトウォッシュの抑制と、後続車が前走車に近づきやすくすることだ。

    新パワーユニット MGU-H廃止で電動比率50%
    2026年F1のパワーユニットは引き続きV6ターボハイブリッドだが、中身は大きく変わった。

    MGU-Hが廃止され、内燃エンジン出力は約400kWに低下。一方でMGU-Kの出力は120kWから350kWへ大幅に増加した。

    その結果、内燃エンジンと電動パワーがほぼ50対50という構成となっている。

    また1周あたりのエネルギー回生量も従来の4MJから倍以上に増え、ブレーキングや部分スロットルなどを通じてエネルギー回収がより重要になる。

    次世代燃料「持続可能燃料」を導入
    2026年からF1はAdvanced Sustainable Fuel(先進持続可能燃料)を使用する。

    原料は化石燃料ではなく、食品生産と競合しない廃棄物や産業副産物などの持続可能な原料から抽出される。

    さらに既存エンジンにそのまま使用できる「ドロップイン燃料」であることが求められている。

    F1レギュレーション 2026年のF1世界選手権

    DRS廃止 新オーバーテイクモード導入
    DRSに代わる新たな追い抜きシステムとして「オーバーテイクモード」が導入された。

    このモードでは追加で0.5MJのエネルギーを使用し、より高い電動出力を長く維持できる。

    作動条件は、検知ポイントで前車から1秒以内に入ること。条件を満たすと次の周回で使用可能となる。

    アクティブエアロ「ストレートモード」
    2026年マシンには新たなアクティブ空力システムが導入される。

    ストレートモードではリアウイングに加えてフロントウイングも可動し、直線では空気抵抗を減らす低ドラッグ状態になる。

    コーナーでは自動的に高ダウンフォース仕様へ戻るため、コース上で2つの空力状態を使い分ける形となる。

    エネルギー「ブースト」機能
    ドライバーは回生した電力を任意のタイミングで使用できる「ブースト」も利用できる。

    オーバーテイクだけでなく防御やラップタイム向上にも使えるため、エネルギー管理がより戦略的な要素となる。

    サーキットに新しいゾーン表示
    DRSゾーンに代わり、サーキットには「SM(ストレートモード)」の標識が設置される。

    これらのゾーンでは自動的に低ドラッグ状態に切り替わる。

    低グリップ条件では短いゾーンが設定され、フロントウイングのみが作動するケースもある。

    スタート手順の微調整
    MGU-Hの廃止により、ターボを回転させるための準備時間が必要になった。

    そのためグリッド整列後にプレスタート警告が出され、ドライバーは5秒間エンジン回転数を上げて準備できるようになる。

    予選方式を調整 22台グリッド対応
    2026年はキャデラックF1チーム参戦によりグリッドが22台に拡大した。

    これに合わせて予選方式も変更される。

    ■ Q1:6台脱落
    ■ Q2:6台脱落
    ■ Q3:トップ10が争う

    Q3の時間は13分となる。

    予算上限を大幅引き上げ
    新レギュレーションへの対応コストを考慮し、チームのコストキャップも拡大された。

    ■ チーム予算上限
    1億3500万ドル → 2億1500万ドル(約332億円)

    ■ パワーユニット予算上限
    9500万ドル → 1億3000万ドル(約201億5000万円)

    新世代マシンの開発に伴うコスト増を吸収するための措置となっている。

    2026年F1は、パワーユニット、空力、燃料、そしてレース運営までが一斉に刷新される大きな転換点となる。新しいマシンの性能だけでなく、エネルギー管理や空力モードの使い方がレースの鍵を握ることになりそうだ。

  • 2026年F1に新ルール「レインハザード」発動条件は降水確率40%

    2026年F1に新ルール「レインハザード」発動条件は降水確率40%

    FIA(国際自動車連盟)は2026年F1シーズンに向けて、新たなレギュレーション「レインハザード(Rain Hazard)」を導入した。これは降雨の可能性がある週末において、より明確で構造的な介入プロセスを確立することを目的とした措置である。

    特にスプリント週末における運用を念頭に置きつつ、グランプリを含む全イベントに適用される。天候が不確実な状況下での判断基準と時間枠を明文化することで、直前の混乱を回避し、各チームに十分な準備時間を与える狙いがある。

    レインハザード宣言の条件とタイミング
    レインハザードは、公式気象サービスがスプリントまたは決勝レース中の降水確率を40%超と予測した場合に宣言可能となる。加えて、状況が急変している場合にはレースディレクターの裁量によって宣言されることもある。

    宣言のタイミングも明確に規定された。

    ■ スプリント週末:スプリント予選開始の2時間前までに宣言。効力はスプリント終了まで継続。
    ■ グランプリ:予選開始の2時間前までに宣言。効力は決勝レースの正式終了シグナルまで継続。

    この「2時間前」という時間枠の設定により、パドック内の運営計画が直前で覆る事態を避けることが目的とされている。また、40%という数値基準を設けたことで、判断の曖昧さを排除し、客観的な発動条件を整備した。

    パルクフェルメへの影響
    今回の規則で最も重要な変更点は、パルクフェルメ体制への影響である。

    通常、予選後から決勝までの間はパルクフェルメ規定によりマシンへの変更は厳しく制限される。しかし、レインハザードが有効な状態でパルクフェルメ下にある場合、FIAの別文書で定められた特定の技術的作業が許可される。

    これは潜在的な雨天コンディションに対応するための措置であり、天候リスクが具体化した場合に限り、一定の範囲でセッティング調整が可能となる。

    ただし、特定条項に基づき既に封印された車両については例外とされ、従来通りの厳格な制限が適用される。

    国際自動車連盟 F1レギュレーション

    競技の公正性と実務的柔軟性の両立
    FIAの狙いは明確である。具体的な雨天リスクが存在する場合に限り、チームへ一定の柔軟性を与える一方で、競技の公平性は損なわないというバランスを追求している。

    客観的な確率基準と明確な発動タイムラインを組み合わせることで、戦略判断がより計画的に行える環境を整備した形だ。

    エネルギーマネジメント、空力モード運用、セットアップの最適化が複雑化している2026年F1において、レインハザード規則は「直前対応」ではなく「事前想定」に重きを置く制度設計と言える。

    実際にどの程度の頻度で適用されるか、そして予選や決勝の戦略構築にどれほど影響を及ぼすかは、今後のレースウィークエンドで明らかになるだろう。

  • 中東情勢緊迫でF1開催に暗雲 FIA会長「安全とウェルビーイングが最優先」

    中東情勢緊迫でF1開催に暗雲 FIA会長「安全とウェルビーイングが最優先」

    中東情勢の急激な悪化を受け、FIA(国際自動車連盟)は2026年F1およびWEC中東ラウンドの開催可否について慎重な評価を続けている。

    アメリカおよびイスラエルによるイランへの攻撃、それに対する報復行動が広範囲に及び、バーレーン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦などが影響を受けている。

    4月12日のバーレーンGP、4月19日のサウジアラビアGP、さらに今月後半に予定されているWEC開幕戦(ルサイル)を控えるなか、FIA(国際自動車連盟)会長モハメド・ビン・スライエムは「安全とウェルビーイング」がすべての判断基準になると明言した。

    「FIA会長として、最近の中東での出来事に影響を受けたすべての人々に思いを寄せている」とモハメド・ビン・スライエムは声明で述べた。

    「我々は命が失われたことを深く悲しんでおり、影響を受けた家族や地域社会とともにある」

    「不確実性のこの瞬間において、我々は冷静さ、安全、そして迅速な安定回復を願っている。対話と民間人の保護は最優先事項でなければならない」

    「我々は加盟クラブ、選手権プロモーター、チーム、そして現地関係者と緊密に連絡を取りながら、責任ある形で状況を慎重に監視している」

    「FIA世界耐久選手権およびFIAフォーミュラワン世界選手権として予定されている今後のイベントについては、安全とウェルビーイングが我々の判断を導くことになる」

    「我々の組織は団結と共通の目的の上に成り立っている。その団結は今こそこれまで以上に重要だ」

    バーレーン F1

    週末にかけて事態は急速に悪化した。アメリカによるイラン爆撃を発端に、イランは報復措置を実施。軍事施設だけでなく、バーレーン、ドバイ、アブダビの国際空港を含む民間インフラも攻撃対象となり、物流面でも重大な影響が出ている。

    F1は現在メルボルンでの開幕戦に向けて移動を進めているが、空港施設への攻撃は輸送体制に現実的な課題を突き付けている。F1側も状況を「綿密に監視している」としており、開催には大きな不確実性が伴う。

    一方、カタールも標的となっており、今月後半に予定されているWECプロローグおよび開幕戦の開催可否についても疑問符が付いている。FIAはカタール当局と直接連絡を取りながら評価を続けている。

    また、アメリカのドナルド・トランプ大統領はニューヨーク・タイムズ紙に対し、軍事作戦は4〜5週間同様のペースで継続可能だと述べており、情勢が短期間で収束する保証はない。

    4月に予定されているバーレーンとサウジアラビアのダブルヘッダー開催は、今後数週間の情勢次第で大きく左右される可能性がある。FIAが明確にした通り、最終判断の基準は一貫している。

    「安全とウェルビーイング」──それがすべてに優先する。

  • FIA 2026年F1予選Q3を1分延長 ピット渋滞対策で微調整

    FIA 2026年F1予選Q3を1分延長 ピット渋滞対策で微調整

    2026年F1シーズンに向けて、FIA(国際自動車連盟)は予選フォーマットの一部を微調整することを正式に確認した。変更点はQ3のセッション時間で、最終パートに1分が追加される。

    予選全体の所要時間はこれまで通り1時間だが、Q2とQ3の間のインターバルを1分短縮することで、Q3を13分間とする。

    最終アタック集中によるピット渋滞への対応
    近年の予選では、路面コンディションが最も良くなる終盤に向け、各チームがドライバーを可能な限り遅いタイミングでコースインさせる傾向が強まっていた。

    前走車との最適な間隔は約6秒とされ、わずかなトウ(スリップストリーム効果)を得つつ、コーナーでダウンフォースを乱さない距離が理想と考えられている。

    しかし2025年には、セッション終盤にほぼ全車が同時にピットレーン出口に並ぶ光景が増加。アンセーフリリースのリスクや、タイム計測を間に合わせられない危険性が指摘されていた。

    さらに、デルタタイム規制によりアウトラップで極端にペースを落とすこともできず、ピットレーンやコース上での交通問題に対するドライバーからの不満も高まっていた。

    今回のQ3延長は、各車により余裕を持ってアタックラップを行わせることで、終盤の混雑緩和と戦略的プレッシャーの軽減を狙った措置といえる。

    エステバン・オコンが語った予選の難しさ
    ハースF1チームのエステバン・オコンは、2025年アゼルバイジャンGP予選でのポジション争いについて次のように語っていた。

    「今はほとんどすべてにルールがある」

    「アウトラップで好きなだけゆっくり走ることはできない。デルタを守らなければならないからだ。ピットレーンでもある程度制限があるし、レース中も同様だ。どこへ行っても制限されている」

    「全員が止まっている状況では、簡単に合流することもできない。みんな動かなければならない。もし出るタイミングが遅れれば最後尾になりかねないし、全員が5秒間隔を取ってデルタに縛られていると、追いつくこともオーバーテイクすることもできず、ラインに間に合わない危険がある」

    「チームにとっても極めて難しく、非常にストレスが大きい。メカニックは『行くのか? 行かないのか?』と周囲を見ながら必死に判断している。本当に異様な状況だ」

    「デルタは安全のためにあるのは理解している。インラップなどで遅くなり過ぎないためだ。ただ、以前のようにもう少し自由があって、アウトラップでポジションを調整できた頃の方が好ましかった」

    22台体制復活で脱落台数も変更
    2026年はグリッドが22台体制に戻るため、Q1およびQ2では下位6台が脱落する形式となる。従来の5台から1台増える形だ。

    ■2026年F1予選フォーマット
    Q1:18分(17番手〜22番手が脱落)
    Q2:15分(11番手〜16番手が脱落)
    Q3:13分(トップ10でグリッド決定)

    ■2026年F1スプリント予選フォーマット
    Q1:12分(17番手〜22番手が脱落)
    Q2:10分(11番手〜16番手が脱落)
    Q3:8分(トップ10でグリッド決定)

    フォーマット自体は成熟段階に入っているが、戦略の最適化が進んだ結果として生じた“終盤集中型”の副作用に対し、FIAが微修正を施した形となる。2026年の新レギュレーション時代においても、予選の緊張感は維持されつつ、より安全で公平な環境が整えられるかが注目される。