カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • フェラーリF1 “ヘイローウイング”撤去 FIAが合法性を疑問視

    フェラーリF1 “ヘイローウイング”撤去 FIAが合法性を疑問視

    スクーデリア・フェラーリは2026年F1中国GPの週末、マシンに装着していたヘイロー周辺の小型ウイングレットを撤去した。これはFIAとの協議の結果、レギュレーション解釈を巡る議論が生じたためだと報じられている。

    このパーツは金曜プラクティスとスプリントで使用され、車検も通過していた。しかし土曜日のスプリント後、予選前の段階で取り外され、そのまま決勝では使用されなかった。

    FIAとの議論で「ボーダーライン」と判断
    フェラーリの内部関係者によると、このウイングレットはレギュレーション上「ボーダーライン」に位置するデザインと受け止められていたという。

    そのためチームは、中国GPの週末にこの問題を巡って議論が長引くことや、他チームによる抗議、あるいはレース後の裁定トラブルに発展するリスクを避ける判断を下した。

    さらに、このパーツによるパフォーマンス向上は数百分の一秒程度と小さく、リスクを冒してまで使用する価値は大きくないと判断されたとされる。

    その結果、フェラーリは予選前にウイングレットを撤去し、パルクフェルメ規定の関係で決勝レースでも使用しない形となった。

    ヘイロー周辺のエアロ処理が焦点
    フェラーリは中国GPに向けて、マシンに2つの注目すべき空力アップデートを投入していた。

    ひとつはリアウイングの新しい「フリップフロップ」コンセプトで、上部エレメントが180度回転して“ストレートモード”時に上下が逆転する仕組みを持つ。これによりドラッグを大きく減らし、場合によってはわずかな揚力を発生させてタイヤの転がり抵抗を減らす効果も狙っている。

    もうひとつが問題となったヘイロー周辺の小型ウイングレットで、中央のエアロ支柱の両側に取り付けられていた。

    フェラーリはFIA提出書類の中で、この変更について次のように説明している。

    「イベント特有のアップデートではなく、小さな空力負荷の改善をもたらすものだ」

    設計意図としては、コックピット周辺の気流を整え、後方のダウンフォース生成や空力効率の向上につなげる狙いがあったとみられる。

    スクーデリア・フェラーリ

    ライバルチームの疑問が発端の可能性
    このウイングレットはスプリント後の車検も通過しており、当初は合法と判断されていた。

    しかし予選前の段階でFIAが関心を示した背景には、他チームからの問い合わせや異なる解釈の提示があった可能性が指摘されている。

    F1のレギュレーションでは、ボディワークを装着できる位置は厳しく制限されており、ヘイロー周辺の追加フェアリングについても条件が定められている。

    規則では、ヘイローのセカンダリー・ロールストラクチャーにはフェアリングを装着できるとされているが、その形状や位置は特定の合法ボックス内に収める必要があり、曲率や接続部分の半径にも制限が設けられている。

    2018年にもヘイロー空力で論争
    フェラーリがヘイロー周辺の空力デバイスで議論を呼んだのは今回が初めてではない。

    2018年F1スペインGPでは、ヘイローに取り付けたミラーやフィンを利用して空力効果を得るデザインを導入したが、FIAはこれを問題視し、そのレース後に禁止措置を取った。

    今回のウイングレットについても最終的な合法性はまだ確定しておらず、フェラーリとFIAの協議は今後も続く見込みだ。

    “フリップフロップ”リアウイングは鈴鹿で再登場へ
    一方、もうひとつの注目パーツであるフリップフロップ式リアウイングについては、日本GPで再びテストされる可能性が高い。

    フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは、走行距離を重ねて信頼性とデータを確認する必要があると語っている。

    「新しいパーツの走行距離を稼ぐには、フリー走行で走らせる必要がある」

    「おそらく来週の日本GPでも再び試すことになるだろう。信頼性と走行距離が十分であれば、週末のレースで導入する可能性もある」

  • F1 バーレーンGPとサウジアラビアGP4月開催中止を発表 中東情勢で決定

    F1 バーレーンGPとサウジアラビアGP4月開催中止を発表 中東情勢で決定

    2026年F1世界選手権のバーレーンGPとサウジアラビアGPが、4月には開催されないことが正式に決定した。中東地域で続く情勢を受け、慎重な評価を重ねた結果として、F1はこの判断を下した。

    代替開催も検討されたものの、4月に他会場を組み込むことは見送られた。あわせて、FIA F2、FIA F3、F1 ACADEMYの各ラウンドについても、当初予定されていた日程では実施されないことになった。

    F1は、この決定がFIAおよび各プロモーターとの全面的な協議のうえで下されたものだと説明している。

    ステファノ・ドメニカリ「現段階では正しい判断」
    F1の社長兼CEOを務めるステファノ・ドメニカリは、今回の決定について次のように述べた。

    「これは難しい決断だったが、中東地域の現在の状況を踏まえれば、残念ながら現段階では正しい判断だ」

    「この機会に、FIA、そしていつも通りのエネルギーと情熱で我々を迎える準備を進めてくれていた素晴らしいプロモーターの皆さんに、支援と全面的な理解を示してくれたことへの感謝を伝えたい。状況が許し次第、できるだけ早く再び彼らのもとへ戻れることを心待ちにしている」

    モハメド・ビン・スライエム「安全と健康を最優先にした」
    FIA会長のモハメド・ビン・スライエムも、安全面を最優先にした判断であることを強調した。

    「FIAは常に、我々のコミュニティと仲間たちの安全と健康を第一に考える。慎重に検討を重ねた結果、その責任をしっかりと踏まえたうえでこの決定を下した」

    「我々は引き続き、この地域に平穏と安全が訪れ、情勢が速やかに安定へ向かうことを願っている。今回の一連の出来事で影響を受けているすべての人々に思いを寄せている」

    「バーレーンとサウジアラビアは、我々のレースシーズン全体の仕組みにおいて極めて重要な存在だ。状況が許し次第、両国を再び訪れることを楽しみにしている。今回の決定に至るまで協力的かつ建設的な姿勢を示してくれたプロモーター、パートナー、そして選手権全体の仲間たちに心から感謝したい」

    F1 中東

    バーレーンとサウジ側も決定を支持
    バーレーン・インターナショナル・サーキットの最高経営責任者、シェイク・サルマン・ビン・イーサ・アル・ハリファは、F1の決定を全面的に支持すると述べた。

    「我々はF1による決定を全面的に支持している。そしてF1とFIAの支援、そして変わらぬパートナーシップに感謝している。F1が戻ってくる際には、世界中のファンを再びバーレーンに迎えられることを楽しみにしている。BICを代表して、この機会にF1コミュニティの皆さんが我々に寄せてくれた支援のメッセージに心から感謝したい」

    また、サウジ自動車・二輪車連盟会長であり、サウジ・モータースポーツ・カンパニー会長でもあるハリド・ビン・スルタン・アル・アブドゥラー・アル・ファイサル王子も、今回の判断に理解を示した。

    「サウジ自動車・二輪車連盟は、2026年のレースカレンダーに関してF1が下した決定を尊重する。サウジアラビア王国のファンは、今年4月にジェッダで開催されるF1 STCサウジアラビアGPを再び楽しみにしていたが、我々はこの決定の背景にある事情を理解しており、引き続きF1と緊密なパートナーシップを維持していく」

  • F1中国GPでスタート練習拡大 フォーメーションラップ変更は見送り

    F1中国GPでスタート練習拡大 フォーメーションラップ変更は見送り

    FIA(国際自動車連盟)は2026年F1中国GPに向けて、スタート時の安全性への懸念を和らげるため、新たな手順を導入した。これによりドライバーは、各セッション後に追加のプラクティススタートを行えるようになる。

    一方で、ジョージ・ラッセルらが問題視していたフォーメーションラップ中のバッテリー再充電制限については、一部チームから見直しを求める声が上がっていたものの、変更は行われないことが決まった。

    2026年F1開幕戦オーストラリアGPでは、スタート時の加速のばらつきが大きな話題となった。とくにフランコ・コラピントとリアム・ローソンが接触しかけた場面を受け、多くのドライバーが重大事故の危険性を懸念していた。

    2026年型F1マシンは、スタートに向けた準備手順が複雑になっているうえ、バッテリーマネジメントも難しく、わずかなミスで極端に悪いスタートにつながりやすい状況にある。キャデラックF1チームのセルジオ・ペレスも、中国GPを前に危機感をあらわにしていた。

    「大きなクラッシュが起きるのは時間の問題だ」とペレスは語った。

    FIAと各チームが中国GP前に協議
    オーストラリアGPで起きた混乱を受け、木曜日にはFIAと各チームの間で、中国GPに向けた改善策が話し合われた。

    議論の中では、オーストラリアでバッテリーマネジメントに影響したフォーメーションラップ中の再充電制限を緩和する案も検討された。しかし最終的には、この変更は導入しない方針となった。

    制限を引き上げれば、ドライバーがより激しく加速と減速を繰り返すことにつながり、別の問題や予期しない副作用を招く可能性があると判断されたためだ。

    この判断の背景には、とくにフェラーリが、スタート規則を急いで変更することに慎重だったこともある。チームによっては、設計上の選択によって発進を決めるのが難しくなっており、そうした事情を踏まえずにルールを変えるべきではないという考えがあった。

    各セッション後に追加スタート練習が可能に
    フォーメーションラップの再充電制限は維持される一方で、FIAはドライバーがスタートをより多く練習できる余地を与えることにした。

    中国GPの最初のプラクティス開始前に配布された改訂イベントノートの中で、F1レースディレクターのルイ・マルケスは、今後ドライバーが各セッション後に追加で2周を行い、その中でスタート練習を実施できると明らかにした。

    マルケスは、チェッカーフラッグ後にドライバーは「各ラップでグリッド上に停止してプラクティススタートを行うことのみを目的として、さらに2周を完了してよい」と記している。

    今回の措置は、2026年型F1マシン特有の難しいスタート手順に対応するための応急策といえる。根本的なレギュレーション変更は見送られたが、少なくとも中国GPでは、各ドライバーがより多くの確認作業を行ったうえで決勝スタートを迎えることになる。

  • F1ドライバーが危険なスタートに警鐘 FIAにルール変更を要求

    F1ドライバーが危険なスタートに警鐘 FIAにルール変更を要求

    2026年F1中国GPを前に、ドライバーたちが今季のスタート手順に対する安全面の懸念を一斉に訴えている。新レギュレーション下では内燃機関と電力の出力配分が50対50となり、エネルギーマネジメントとバッテリー運用の重要性が急激に高まったが、その影響がレーススタート時の大きな速度差として表面化している。

    開幕戦オーストラリアGPでは、発進直後の加速にマシンごとの差が大きく生じ、フランコ・コラピントがリアム・ローソンのスロー発進したマシンに追突しかける場面もあった。

    ドライバーたちは、現状のままでは重大事故が起きるのは時間の問題だとみており、FIAによる早急な対応を求めている。

    開幕戦メルボルンで露呈した危険性
    オーストラリアGPのスタートでは、各車の発進に大きなばらつきが出た。特にローソンのマシンはアンチストールが作動し、通常の速度に達するまでに時間を要したことで、後方から高速で迫ったコラピントとの接触寸前の状況を招いた。

    「週末に僕に起きたことは、本当に簡単に起こり得る」とリアム・ローソンは語った。

    「もしフランコがうまく避けていなかったら、本当に本当に大きなクラッシュになっていたはずだ。現時点ではかなり危険だ」

    この件を受け、複数のドライバーが安全面への懸念を表明している。

    サインツ“このままなら大事故は避けられない”
    GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)のディレクターを務めるカルロス・サインツは、FIAがスタート手順を見直さなければ、今季中に大きな事故が起きるとの見方を示した。

    「メルボルンでは、リアムとフランコの件で本当に何も起きなかったのはとても幸運だったと思う」とカルロス・サインツは語った。

    「僕の感覚では、スタートに関して何も変えなければ、今年のどこかの時点でああいう大きなクラッシュが起きる」

    「間に合ううちに対応して改善し、そういうことが決して起きないことを願っている。でも何もしないままでいれば、いずれはああした状況を見ることになると思う」

    FIAはすでに今季に向けてスタート手順を延長し、プレシーズンテストでも試していた。これはターボを適切に立ち上げるための時間を確保する狙いがあったが、多くのドライバーは現状でも十分に安全とは感じていない。

    バッテリー残量の差がスタートを左右
    問題のひとつは、フォーメーションラップ後に各車が異なるバッテリー残量でグリッドに並んでしまう点にある。マックス・フェルスタッペンもその影響を受けたひとりだった。

    「バッテリー残量0%でスタートするのは、まったく楽しくないし、かなり危険だ」とマックス・フェルスタッペンは語った。

    「だから、何ができるかについて彼らと話し合っている」

    「メルボルンのスタートでは、もう少しで大きなクラッシュになるところだった。これは一部はバッテリーに関係していて、一部はアンチストールの問題でもある。でも大きな速度差が出ているのは見て分かる」

    「僕だけじゃなく、ほとんどバッテリーがない状態や20〜30%しかない状態のクルマがほかにもあった。これは簡単に修正できることだ」

    セルジオ・ペレスもまた、この新世代パワーユニットのスタート難度の高さを指摘した。

    「これらのパワーユニットはスタートさせるのがとても難しい」とセルジオ・ペレスは語った。

    「うまくスタートできる時もあれば、さまざまな要因で悪いスタートになることもある。ローソンに起きたようにアンチストールが入ることもあるし、それは非常に危険になり得る。というのも、2〜3秒の間に生じる速度差が極端だからだ」

    「難しい問題だ。あの件で何ができるのか、僕には分からない。ただ、この新しいエンジンはスタートがとても難しいということだ」

    F1 フォーミュラ1カー 国際自動車連盟

    ラッセルが説明した“奇妙なルール”
    ジョージ・ラッセルは、なぜ各車のバッテリー状況に差が生まれたのかについて、フォーメーションラップ中のエネルギー回生制限に原因があると説明した。

    ラッセルによれば、前方グリッドのドライバーはすでにその周回の扱いに入っていたため、フォーメーションラップでの発進時にバッテリーを使いながら充電した分が、そのラップの回生上限にカウントされてしまった。一方、後方グリッドのドライバーはスタート・フィニッシュラインを越えた時点で周回がリセットされ、条件が変わっていたという。

    「多くのチームが見落としていた問題が、フォーメーションラップ中の回生制限だった」とジョージ・ラッセルは語った。

    「かなり奇妙なルールだ。グリッド前方のドライバーは、すでにそのラップに入っていた。だからフォーメーションラップのスタートでスロットルを開けた時、バッテリーを充電した分がその周回の回生上限のかなりの部分を使ってしまった」

    「僕はポールからスタートしたけど、スロットルを開けてバッテリーを充電したら、そのラップの回生上限の50%くらいを使ってしまった。だからコースの半分まで来た時点で、もうバッテリーを充電できず、まともなバーンアウトもできなかった」

    ラッセルは、FIAがこの制限の撤廃を検討していたとしたうえで、それを望まないチームがあったことも示唆した。

    「FIAは調整したがっていたと思うが、チームの特別多数が必要で、それを得られていない」とラッセルは語った。

    「どのチームが反対しているかは、おそらく想像できるだろう」

    「彼らの利得がこの問題だけによるものだとは思っていない。でも今は全チームが問題を理解したから、回避するように動くだけだ。ただ、本来必要のない複雑さを生んでいる」

    「メルボルンではグリッドの半分がこの問題をうまく処理できなかった。僕たちは次は対応するし、何に気を付けるべきかも分かった。FIAは単に我々の仕事を少し楽にしたくて、この回生制限を取り除きたかっただけだ」

    「でも、いつものように自分たちにとって最善のことをしたいという利己的な見方をする人たちもいる。それもF1であり、F1の難しさの一部だ。我々は対処する。ここのスタートはもっと良くなると思う」

    フェラーリの存在が政治問題化
    この問題には、F1らしく政治的な側面もある。フェラーリは今季、より小型のターボを採用したことでスタート性能に優位性を持っているとされ、シャルル・ルクレールはオーストラリアGPで4番手スタートからターン1までに首位へ浮上した。

    イタリアでは、フェラーリが今季初めに提案された類似のルール変更案に拒否権を行使したとの報道も出ている。フェラーリは新車設計の初期段階で安全上の懸念を指摘していたが、それが無視されたことで、結果的にスタート時のアドバンテージにつながる小型ターボを開発したという見方もある。

    ラッセルもまた、現在もフェラーリが手順変更を妨げている可能性をにおわせた。ただし彼自身は、その優位性が今回の問題だけに由来するとは考えていないとも付け加えている。

    中国GPでは週末に2度のグリッドスタート
    中国GPは2026年シーズン最初のスプリント開催週末となる。そのため、通常の決勝に加えて土曜日のスプリントでもグリッドスタートが行われる。開幕戦で浮き彫りになった問題が本当に改善されるのか、それとも再び危険な速度差が生じるのか。上海での2度のスタートは、FIAと各チームにとって早くも大きな試金石となる。

  • フェリペ・マッサ 2008年F1王座問題に進展 エクレストンらに費用支払い命令

    フェリペ・マッサ 2008年F1王座問題に進展 エクレストンらに費用支払い命令

    2008年のF1世界選手権を巡る法的闘争で、新たな動きが報じられている。フェリペ・マッサが提起していた訴訟に関連し、バーニー・エクレストン、F1(FOM)、そしてFIAが金銭的支払いを行うことになったと伝えられた。

    この訴訟は、マッサがルイス・ハミルトンにわずか1ポイント差で敗れた2008年のタイトル争いをめぐるものだ。ブラジル人ドライバーは、その年のシンガポールGPで発生したいわゆる「クラッシュゲート事件」が選手権の結果に重大な影響を与えたと主張している。

    2008年王座を巡るクラッシュゲート問題
    マッサが問題視しているのは、2008年シンガポールGPで発生したルノーのスキャンダルだ。レースではネルソン・ピケJr.が意図的にクラッシュし、それによってセーフティカーが導入された。

    このレースではフェルナンド・アロンソが優勝を果たしたが、当時のルノーが戦略的にクラッシュを仕組んだことでレース結果が大きく変わったとされている。

    マッサはこのレースで首位争いをしていたが、セーフティカー導入による混乱のなかでピットストップを行った際、給油ホースをつけたままピットを離れてしまうミスが発生。これにより大きく順位を落とし、最終的にポイント圏外に沈んだ。

    この結果がシーズンのタイトル争いにも影響し、最終的にマッサはルイス・ハミルトンに1ポイント差で王座を逃すことになった。

    フェリペ・マッサ F1 クラッシュゲート

    エクレストン発言が裁判の焦点に
    問題をさらに大きくしたのは、当時のF1最高責任者だったバーニー・エクレストンの発言とされる。

    エクレストンはF1専門メディアのインタビューで、当時のFIA会長マックス・モズレーとともにクラッシュゲートの詳細を知っていた可能性があると示唆したと報じられた。

    しかしエクレストン本人は、このインタビューを行ったこと自体を否定している。

    それでもこの発言は、FIAやF1が問題を把握しながらシーズン中に調査を行わなかったのではないかという疑問を呼び、マッサ側の訴訟の重要な論点となった。

    F1・FIA・エクレストンに費用支払い命令
    2025年11月には、この訴訟が正式に裁判へ進むことが決定していた。マッサは総額8200万ドル(約120億円)の損害賠償を求めている。

    そして今回、英スカイスポーツの報道によると、バーニー・エクレストン、F1の商業権を管理するFOM、そしてFIAに対し、マッサの法的費用として25万ポンド(約5000万円)の支払いが命じられたという。

    この支払いは訴訟そのものの最終的な結論ではないが、マッサの主張が裁判で正式に審理される段階へ進んでいることを示す重要な動きとみられている。

    2008年のタイトル争いを巡る問題は、すでに17年以上が経過している。しかしF1史上でも最も議論を呼んだスキャンダルのひとつは、いまもなお法廷で決着を待つ状況が続いている。

  • ボルトレトの安全提言でF1混乱 FIAがストレートモード禁止を2時間で撤回

    ボルトレトの安全提言でF1混乱 FIAがストレートモード禁止を2時間で撤回

    メルボルンで行われた2026年F1オーストラリアGP週末、アウディのガブリエル・ボルトレトが提起した安全性の懸念をきっかけに、FIAがストレートモードの使用を一時禁止する事態が発生し、パドック全体を巻き込む混乱に発展した。

    しかしこの決定は他チームの強い反発を受け、わずか2時間で撤回された。今回の騒動は、2026年F1レギュレーションの問題点と政治的駆け引きを改めて浮き彫りにした出来事として議論を呼んでいる。

    ストレートモード禁止をFIAが通達 チームは猛反発
    土曜日のフリー走行3回目の約3時間前、FIAは各チームに対しターン8からターン11の区間でリアウイングをフラットにする「ストレートモード」の使用を禁止すると通達した。

    この区間には高速のターン9とターン10が含まれており、金曜日の走行ではマックス・フェルスタッペンを含む複数のドライバーがコースアウトしていた。

    ボルトレトは、集団走行のなかでダウンフォースを減らした状態で走ることが事故につながる可能性があると警告していた。

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、複数のマシンで想定以上のダウンフォース損失が発生していることを認めた。

    「両方のウイングを開いた状態で、11台のマシンのうち7台が予想以上にダウンフォースを失っている」

    しかしチーム側の反応は即座に強い反発となった。独メディアによると、各チームは金曜日のデータが無意味になると抗議したという。

    「ライドハイト、セットアップ、エネルギーマネジメントまで、すべて最初からやり直しだ」

    ボルトレトへの批判も噴出し、ある関係者は次のように皮肉を口にした。

    「彼にとって速すぎるなら、F2で走ればいい」

    わずか2時間で決定撤回 パドックは政治的動きと受け止め
    チームからの強い圧力を受け、FIAはわずか2時間後に決定を撤回した。

    この一連の出来事は、アウディが政治的な駆け引きを仕掛けたとの見方もパドックで広がっている。

    アウディのマシンはセクター2で速さを見せていたものの、問題となった高速コーナーでは苦戦していたと報じられている。

    著名な技術ジャーナリストのミハエル・シュミットは今回の騒動について厳しく批判した。

    「今回の出来事は、このレギュレーションがいかに不十分に設計されているかを改めて示している」

    アウディ F1

    それでもアウディは好発進 ボルトレトはQ3進出
    こうした議論のなかでも、メルボルン週末でのアウディのパフォーマンスはポジティブな話題のひとつとなった。

    ボルトレトはアウディでの初レースとなる予選でQ3進出を果たした。

    チーム代表のジョナサン・ウィートリーはこの結果を高く評価した。

    「ガブリエルがアウディでの初戦でQ3に進出したのは、関係者全員にとって特別な瞬間だ」

    元F1ドライバーのニック・ハイドフェルドも、アウディの好スタートは偶然ではないと語る。

    「新しいエンジン時代が始まり、誰もがほぼゼロからのスタートになっている」

    「アウディはレギュレーションの枠組みに関しても一定のロビー活動を行っていた。そうでなければ参戦していなかったかもしれない」

    「少なくとも中団で戦える位置に入ることが目標だろう。ただそれ以上に重要なのは、着実な進歩を見せることだ」

  • F1中国GP 物流遅延でFIAがカーフュー規則変更 ピレリタイヤ到着遅れ

    F1中国GP 物流遅延でFIAがカーフュー規則変更 ピレリタイヤ到着遅れ

    2026年F1中国GPを前に、FIAはチームの作業時間を制限する“カーフュー(夜間外出禁止)”規則を一部変更した。これはピレリのタイヤ輸送が遅れたことによる物流トラブルへの対応措置だ。

    上海インターナショナル・サーキットでは、タイヤの到着遅れにより本来予定されていた作業スケジュールの調整が必要となり、FIAは水曜日の「Restricted Period 1(作業禁止時間)」を一部緩和する特例を認めた。

    ピレリの物流遅延でカーフューを一時緩和
    FIAは今回、水曜日の夜間外出禁止時間を6時間短縮する特例措置を決定した。

    これにより各チームは最大6名のスタッフをサーキットに残すことが認められる。ただし作業内容はタイヤ準備に限定され、ピレリがタイヤ装着作業を終えた後の準備のみが許可される。

    F1レースディレクターのルイ・マルケスはチーム宛ての通知で次のように説明した。

    「タイヤサプライヤーの物流上の問題、具体的には貨物到着の遅れにより、水曜日に予定されていたタイヤ装着スケジュールを見直す必要が生じた」

    「そのため本競技に限り、水曜日のRestricted Period 1を6時間短縮し、各チーム最大6名の作業スタッフに限ってタイヤ準備を目的とした作業を許可する」

    中国グランプリ 国際自動車連盟

    開幕戦でも発生していた物流トラブル
    F1では2026年シーズン開幕から移動面での混乱が続いている。地政学的な情勢の影響で各地の空域が閉鎖され、チームの移動や貨物輸送に影響が出ているためだ。

    前戦オーストラリアGPでも同様の問題が発生し、水曜日と木曜日のカーフューが完全に撤廃された。

    報道によるとフェラーリとレーシングブルズは特に影響を受け、イタリアに取り残されたクルーが後から別便でメルボルン入りする事態となった。

    チームは最終的にレース週末までにアルバートパーク・サーキットへ到着したものの、通常の準備スケジュールより大きく遅れることになった。

    この事態を受けてマルケスは当時、次のように説明していた。

    「オーストラリアGPの準備において継続している移動および貨物輸送の混乱という不可抗力の状況を踏まえ、スチュワードと協議した結果、本大会ではRestricted Period 1およびRestricted Period 2を適用しないことを決定した」

    2026年シーズンは新レギュレーション導入による輸送量の増加に加え、世界情勢による航空輸送の制限も重なり、序盤戦から物流面での課題が浮き彫りになっている。

  • FIAが2026年F1レギュレーション見直し示唆「まだ切り札がある」

    FIAが2026年F1レギュレーション見直し示唆「まだ切り札がある」

    2026年F1シーズンの開幕戦となったオーストラリアGPでは、新レギュレーション時代のマシンが初めて実戦に投入された。しかしレースではエネルギーマネジメントの問題やスタート時のトラブルなどが相次ぎ、ドライバーや関係者から賛否が分かれる結果となった。

    FIA(国際自動車連盟)のシングルシーター部門ディレクターを務めるニコラス・トンバジスは、中国GP終了後にレギュレーションの運用を見直す可能性があることを示唆し、「我々にはまだ切り札がある」と語った。

    2026年F1マシンのエネルギーマネジメントに懸念
    オーストラリアGPでは、2026年F1レギュレーションで導入された新世代マシンの特徴が早くも明らかになった。

    新レギュレーションではハイブリッド比率が50対50に引き上げられたことで、エネルギー管理がレース展開に大きな影響を与えるようになった。

    その結果、ある区間でオーバーテイクを成功させたマシンが、次のストレートで再び抜き返されるという場面が見られた。例えばアルバート・パークでは、ターン11付近で抜いたドライバーがエネルギーを消費し、その後の高速区間でエネルギー回収を行った後続車に再び抜き返されるケースが確認された。

    この現象については、ランド・ノリスやマックス・フェルスタッペンも新型マシンに対して批判的なコメントを残している。

    一方で、新レギュレーションへの適応が最も進んでいると見られているのがメルセデスであり、オーストラリアGPではジョージ・ラッセルが優勝、アンドレア・キミ・アントネッリが2位に入りワンツーフィニッシュを達成した。

    F1レギュレーション 国際自動車連盟

    FIAは中国GP後に状況を評価へ
    FIAのシングルシーター部門ディレクターであるニコラス・トンバジスは、シーズン序盤の状況を踏まえてエネルギーマネジメントの運用を見直す可能性を示唆した。

    「ここでエネルギーマネジメントに関する変更を行うのは現実的ではないと考えた」とトンバジスは語った。

    「我々はバーレーンテスト後、およそ10日前にチームと会議を行い、この問題について検討した」

    「チームの総意として、最初の数戦は現在のレギュレーションのまま進め、十分なデータを得てから状況を見直すべきだという結論になった」

    「我々の意図としては、中国GPの後にエネルギーマネジメントの状況を評価することだ」

    さらにトンバジスは、FIAがすでに複数の対策を検討していることも明かした。

    「そのための切り札をいくつか用意している。ただし、開幕戦の前に慌てて導入するような対応は望ましくないと判断した」

    「それらの案については、中国GPの後にチームと議論することになる」

  • メルセデスF1圧縮比問題 FIAが16.7:1容認 PU論争が新局面

    メルセデスF1圧縮比問題 FIAが16.7:1容認 PU論争が新局面

    2026年F1シーズンの序盤戦で、パワーユニット規則を巡る新たな技術論争が浮上している。焦点となっているのは、内燃エンジンの「圧縮比」をどの条件で測定するのかという問題だ。

    FIAとエンジンメーカーの協議の結果、2026年6月1日以降はエンジンが高温状態にある場合の測定方法が変更されることが決まり、実質的に最大16.7:1までの“測定許容値”が認められる形になる。この変更は、メルセデスのパワーユニット設計を巡る議論と深く関係していると見られている。

    F1レギュレーションの圧縮比は16:1が基本
    現在の2026年F1レギュレーションでは、内燃エンジンの圧縮比は「16:1」が上限と定められている。この数値は、エンジンを常温状態で測定した場合の基準であり、2026年開幕戦オーストラリアGPで検査を受けたすべてのパワーユニットはこの規則に適合していた。

    しかしパドックでは、メルセデスがシリンダーヘッド内にプレチャンバー(副燃焼室)を導入したことで、実際の運転条件では圧縮比が18:1に近い値まで上昇するのではないかという疑惑が浮上している。

    この数値は2025年まで許されていたレベルであり、ライバルメーカーからは強い懸念が示された。ただし、メルセデスのパワーユニットが実際にそこまで達している証拠は確認されていない。

    PUAC合意でレギュレーションを修正
    この問題を受け、エンジンメーカーが参加するPUAC(パワーユニット・アドバイザリー委員会)で議論が行われ、レギュレーションの該当条項である「C5.4.3」を修正することで合意が成立した。

    新しい規定では、圧縮比16:1の上限は維持されるものの、測定条件が以下のように変更される。

    ■2026年5月31日まで
    エンジンが常温状態で測定

    ■2026年6月1日~12月31日
    常温および油温130度の状態で測定

    また、運転条件下で圧縮比が16:1を超えるよう設計された機構や部品の使用は禁止されることも明記された。

    高温測定では16.7:1まで許容
    ただし、合意の詳細にはもうひとつ重要なポイントがある。

    高温状態で圧縮比を測定する際、測定誤差を考慮した“許容範囲”が設定されており、その結果として最大16.7:1までの値が容認される可能性があるという。

    ここで言う130度とはエンジンオイルの温度を指しており、実際のレースコンディションに近い状態で検査を行うことになる。

    このため、メルセデスの6気筒エンジンがこの許容範囲内に収まるのか、それともシリンダーヘッドの設計変更が必要になるのかが大きな焦点となっている。

    メルセデスは改修不要と主張
    メルセデス側は、現在の設計のままでもレギュレーションに適合すると主張している。

    一方でライバル陣営は、プレチャンバーの充填効率を調整するためにシリンダーヘッドの小さな穴を拡大するなど、何らかの改修が必要になる可能性があると見ている。

    圧縮比16:1という基準は、パワーユニット規則を策定する段階でアウディやポルシェが強く要求したものでもあり、この技術的な駆け引きはメーカー間の政治問題にも発展している。

    圧縮比 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    6月1日という日程の意味
    今回の規定変更が6月1日から適用されるのは偶然ではない。

    F1では24戦のシーズンで使用できるパワーユニットは3基のみと定められており、1基あたりの理論寿命は約8レースとなる。

    その8戦目にあたるのが6月7日に開催されるモナコGPであり、もしメルセデスが設計変更を行う場合でも、次のエンジンである「PU2」から導入すれば通常のローテーション内で対応できる。

    また、圧縮比を活用して発熱量を最大化する設計を前提に開発されたペトロナスの持続可能燃料についても、仕様変更が行われる可能性があると見られている。

    ライバル勢はADUOの活用を検討
    もしメルセデスのパワーユニットが性能面で優位に立つ場合、ライバルメーカーはADUO(開発追随措置)を利用して差を縮めることが可能だ。

    この制度では、基準となるパワーユニットより2%以上出力が低いと認定された場合、FIAの承認を得て6気筒エンジンの改修を行うことができる。

    その申請は第6戦マイアミGP以降に可能となり、承認は第12戦ベルギーGPで行われる見込みだ。実際のアップデート投入は、続くハンガリーGPからになる可能性が高い。

    序盤戦での“逃げ切り”を狙うメルセデス
    メルセデスは2026年F1開幕戦オーストラリアGPでワンツーフィニッシュを達成し、すでに競争力の高さを示している。

    チーム代表のトト・ヴォルフはフェラーリを最大のライバルとして警戒しているが、同時にシーズン序盤でポイント差を広げることを狙っているとも見られる。

    同じメルセデス製パワーユニットを搭載するマクラーレンでさえ、まだエネルギー回生の最適な管理方法を完全には理解できておらず、現時点ではワークスチームに後れを取っている状況だ。

    とはいえ、マクラーレンがこの課題を解決すれば、再びメルセデスにとって大きな脅威になる可能性も高い。2026年F1シーズンの勢力図は、パワーユニットを巡る技術戦争とともに今後も大きく揺れ動くことになりそうだ。

  • ジョージ・ラッセル FIAに安全対策要請 新F1マシンのストレートモードに懸念

    ジョージ・ラッセル FIAに安全対策要請 新F1マシンのストレートモードに懸念

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、2026年F1オーストラリアGPを制したものの、新レギュレーションで導入された「ストレートモード」に安全面の懸念があるとして、FIAに改善を求めた。

    アルバート・パークでポールポジションから勝利を挙げたラッセルは、レース序盤にシャルル・ルクレール(フェラーリ)と激しい首位争いを展開。その際、ストレートモード作動時にフロントのダウンフォースが急激に失われ、大きなアンダーステアが発生したと明かした。

    ラッセルは、低ダウンフォース仕様に切り替わる際のフロントウイングの挙動が急激すぎると指摘し、安全面の観点から改善が必要だと訴えた。

    「今日のレースを経験して実際にバトルをしてみて、FIAにお願いしたいのは一つだけだ」とラッセルは語った。

    「ストレートモードを開いたとき、フロントウイングがあまりにも急激に落ちないようにしてほしい」

    「ストレートモードを開くと大きなアンダーステアが出る。シャルルの後ろにいて、スリップストリームから外れようとしたとき、まるでフロントウイングが機能していないように感じた」

    ストレートモードは「かなり危うい」
    ラッセルの懸念は、レース直後に語ったコメントとも一致している。彼は新しいシステム、とりわけコーナー付近での使用が非常に扱いにくかったと振り返った。

    「少し改善する必要があると思う。正直言って、かなり危うかった」

    メルボルンで特に問題となったのは、ターン8からターン9へ向かう長い高速区間だった。この区間には4番目のストレートモード作動ゾーンが設置されていた。

    週末にはこのゾーンを巡って議論が起きていた。金曜夜のドライバーブリーフィングを受け、FIAは土曜朝にゾーン4を削除する決定を下したが、各チームがFP3前の作業負担を理由に反発したため、すぐに撤回された。

    GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)のディレクターでもあるラッセルは、今後のレースでもより慎重な運用を採るべきだと考えている。

    「安全という観点から見れば、それはレースをより安全で、より良いものにするはずだ」

    「その変更を行うことにデメリットはないと思う」