カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • 2026年F1レギュレーションの改訂案が合意 マイアミGPから新規則導入へ

    2026年F1レギュレーションの改訂案が合意 マイアミGPから新規則導入へ

    F1は、物議を醸している2026年型マシンに関する懸念に対処するため、5月3日のマイアミGPを前に一連のルール調整に合意した。

    2026年シーズンに導入された大規模なレギュレーション変更――内燃機関と電動パワーがほぼ50対50となる新しいV6ハイブリッドエンジンへの移行――は、エネルギーマネジメントへの依存度を大きく高め、その結果として多くの問題と新たなドライビングスタイルを生み出した。この状況は、多くのドライバーやファンにとって歓迎されるものではなかった。

    月曜日、F1チームはシリーズCEOのステファノ・ドメニカリおよび統括団体FIAの主要関係者と会合を開き、こうした懸念への対応とマイアミGPに向けた変更について協議した。

    また、ドライバーたちも今月に入りF1およびFIAと継続的にコミュニケーションを取っていた。

    月曜日夕方、FIAは包括的な変更リストを発表し、これらはマイアミGPから施行される予定である。ただしF1側は、この変更があくまで現行レギュレーションを支持した上での「小規模な調整」に過ぎないと非公式に強調している。

    なお、2027年シーズンに向けてより抜本的な変更が行われるかどうかは、現時点では不明である。

    FIAの声明は次のように述べている。

    「本日の会議で提示された最終提案は、ここ数週間にわたりFIA、技術代表者、そしてF1ドライバーからの広範な意見を反映した一連の協議の結果である」

    「調整の可能性に関する議論は、2026年シーズン最初の3戦(オーストラリア、中国、日本)から収集されたデータに基づいて行われた」

    今回の改訂は、FIA、チーム代表、パワーユニットメーカーのCEO、FOMによるオンライン会議で合意されたものであり、レーススタートに関する変更を除き、マイアミGPから導入される。スタート関連の変更については、マイアミでテストされた後、フィードバックと分析を経て正式採用される予定である。

    新世代マシンへの不満と安全性への懸念
    現世界王者ランド・ノリスは、新しいマシンが自身や同世代のドライバーが思い描いてきたF1の姿とは異なると語っている。

    4度の世界王者マックス・フェルスタッペンは、このマシンを「アンチレーシング」と批判し、「マリオカートのようだ」「過激化したフォーミュラEのようだ」と表現した。

    フェルスタッペンはまた、この新世代マシンへの不満を理由に、F1からの離脱も示唆している。

    問題は単一領域に留まらず、週末のあらゆる側面に及んでいる。

    予選では極端なエネルギーマネジメントが必要とされ、従来は全開で通過していたコーナーでもリフト・アンド・コーストを強いられるケースが発生している。

    さらに、新たに「スーパークリッピング」という現象も生まれた。これは、エネルギーがエンジンではなくバッテリーに回されることで、アクセル全開にもかかわらず最高速が低下する状態を指す。

    安全面でも懸念が浮上している。日本GPではオリバー・ベアマンがフランコ・コラピントに高速で接近し、接触寸前となる事例が発生した。

    各チームおよびメーカーは独自の戦略とソフトウェアでエネルギー配分を行っており、パワーブーストが発動する位置が統一されていないことも問題を複雑化させている。

    この件について、グランプリドライバーズアソシエーション会長カルロス・サインツは、ドライバーの警告を無視しているとしてF1とFIAを批判した。

    一方で、すべてのドライバーが新ルールに反対しているわけではなく、ルイス・ハミルトンはこれを「これまでのキャリアで最も純粋なホイール・トゥ・ホイールのレース」と評価している。

    また、スタート時の問題も指摘されている。ターボ設計の違いにより、フェラーリが非常に速いスタートを見せる一方で他メーカーは遅れ、速度差による接触リスクが懸念されている。

    さらにウェットコンディションにおける性能と安全性についても、多くの懸念が寄せられている。

    F1レギュレーション 国際自動車連盟

    以下はFIAが発表したルール変更の詳細である。

    予選:パフォーマンス重視への調整
    エネルギーマネジメントに関するパラメータが調整され、最大回生量は8MJから7MJへと削減される。これは過度なエネルギー回収を抑制し、より安定したフルスロットル走行を促すことを目的としている。この変更により、スーパークラッピングの最大持続時間は1周あたり約2〜4秒に短縮される見込みだ。

    また、スーパークラッピング時のピーク出力は従来の250kWから350kWへ引き上げられ、再充電に費やす時間の短縮と、ドライバーのエネルギーマネジメント負担軽減が図られる。この仕様は決勝でも適用される。

    さらに、低エネルギー制限を適用可能なイベント数は8戦から12戦へ拡大され、サーキット特性に応じた柔軟な対応が可能となる。

    決勝:安全性とパフォーマンスの一貫性向上
    決勝におけるブースト出力は最大+150kWに制限される(もしくは発動時点の車両出力がそれを上回る場合はその値)。これにより、突発的なパフォーマンス差の発生が抑えられる。

    MGU-Kの出力は、コーナー出口からブレーキングポイントまでの加速区間(オーバーテイクゾーンを含む)では350kWを維持する一方、それ以外の区間では250kWに制限される。

    これらの措置は、過度な接近速度の発生を抑制しつつ、オーバーテイク機会と全体的なパフォーマンス特性を維持することを狙いとしている。

    レーススタート:安全性向上の新機構
    新たに「低出力スタート検知システム」が開発された。このシステムはクラッチリリース直後の加速を監視し、異常に加速が遅い車両を検知する。

    その場合、自動的にMGU-Kの展開が作動し、最低限の加速を確保することでスタート時のリスクを低減する。この機構は競技上の優位性を与えない設計となっている。

    加えて、該当車両には後方および側面の点滅ライトによる視覚警告が作動し、後続車への注意喚起が行われる。

    また、フォーメーションラップ開始時にエネルギーカウンターをリセットする措置も導入され、従来指摘されていたシステム上の不整合が修正される。

    なお、これらスタート関連の変更はマイアミGPでテストされ、フィードバックと分析を経て正式導入される予定となっている。

    ウェットコンディション:視認性と安全性の改善
    インターミディエイトタイヤのブランケット温度が引き上げられ、ウェット時の初期グリップおよびタイヤ性能の向上が図られる。

    最大ERS出力は制限され、トルクを抑制することで低グリップ状況での車両コントロール性が改善される。

    さらにリアライトシステムは簡素化され、より明確で一貫性のある視覚情報を提供することで、悪条件下での後続ドライバーの認識と反応時間の向上を狙う。

    導入に向けた最終プロセス
    これらの最終提案は、FIA世界モータースポーツ評議会による電子投票に付され、正式承認を経て導入される予定だ。

  • FIA 南米ラリーで観客死亡事故 ミナ・クラベロで車両が観客エリア突入

    FIA 南米ラリーで観客死亡事故 ミナ・クラベロで車両が観客エリア突入

    南米ラリー選手権の一戦で発生した重大事故を受け、FIAが公式声明を発表した。アルゼンチンで開催されたラリー・スダメリカーノ第2戦で、競技車両が観客エリアに突入し、1名が死亡、複数の負傷者が出る事態となった。

    今回の事故は、競技の安全管理と観客配置のあり方に改めて大きな課題を突きつけるものとなった。FIAは調査への全面協力を表明しており、今後の安全対策に影響を与える可能性がある。

    横転した車両が観客エリアへ突入
    アルゼンチンで開催されたラリー・スダメリカーノ第2戦ミナ・クラベロで、ディディエ・アリアスとコ・ドライバーのエクトル・ヌニェスが重大な事故に巻き込まれた。

    マシンはダートの盛り土に乗り上げたことでバランスを崩し、そのままバレルロール状態となって観客エリアへ突入した。岩場の上から観戦していた観客の多くは間一髪で回避したものの、車両は複数回転した末に横転して停止した。

    この事故によりドライバーとコ・ドライバーに大きな負傷はなかったが、観客に被害が及び、FIAの確認によれば1名が死亡、複数名が負傷した。

    FIAが哀悼声明 調査支援を表明
    FIAは事故を受けて声明を発表し、犠牲者への哀悼の意を示した。

    「FIAは、本日アルゼンチンで開催されたFIA CODASURラリー選手権第2戦ミナ・クラベロにおいて発生した悲劇的な事故により、観客1名が命を落とし、2名が負傷したことに深い悲しみを表する」

    「亡くなられた方のご家族とご親族に心よりお悔やみ申し上げるとともに、負傷されたすべての方々に思いを寄せている。また、迅速に対応した救急サービスおよび医療チームに感謝する」

    さらにFIAは、主催者であるアルゼンチン自動車クラブ(ACA)、CODASUR、そして地元当局による調査に対し全面的に支援する姿勢を明らかにした。

    「FIAは本件に関する調査において、主催者および関係機関に全面的な支援を提供する」

    相次ぐ重大事故 モータースポーツ界に重い週末
    この週末はモータースポーツ界にとって厳しいものとなっている。

    ニュルブルクリンクでは多重クラッシュによりユハ・ミエッティネンが命を落とす事故が発生しており、異なるカテゴリーでの死亡事故が立て続けに起きたことで、安全性への懸念が一層高まっている。

    今回のラリー事故は、観客エリアの安全確保という古くからの課題を改めて浮き彫りにした。調査結果とその後の対応は、今後の競技運営に大きな影響を与える可能性がある。

  • FIAが哀悼声明 ニュルブルクリンク事故で66歳ユハ・ミエッティネン死去

    FIAが哀悼声明 ニュルブルクリンク事故で66歳ユハ・ミエッティネン死去

    ユハ・ミエッティネンの死去を受け、FIA(国際自動車連盟)は公式声明を発表し、深い哀悼の意を示した。ニュルブルクリンクで発生した事故は、モータースポーツ界に大きな衝撃を与えている。

    今回の事故は、ADACニュルブルクリンク24時間予選レース1の開始から25分後、現地時間17時55分に発生した7台による多重クラッシュによるものだった。レースは直ちに赤旗中断となり、そのまま再開されることはなかった。66歳のミエッティネンは、この事故により命を落とし、20時に行われた記者会見で死亡が確認された。

    FIAが公式声明で哀悼の意
    FIAはSNSを通じて声明を発表し、次のように述べた。

    「本日行われたADACニュルブルクリンク24時間予選レース1での事故により、ユハ・ミエッティネンが亡くなったとの報に接し、深い悲しみを感じている」

    「我々の思いは、彼の家族や友人、そしてこのイベントに関わるすべての人々とともにある」

    BMWとメルセデスも追悼
    ミエッティネンは#121のBMW 325iで参戦しており、BMW Mモータースポーツも声明を発表した。

    「ニュルブルクリンクからの悲痛な知らせに衝撃を受けている。我々はユハ・ミエッティネンの悲劇的な事故死に深い悲しみを覚えている」

    「我々はBMWレーシングファミリーの一員を失った。我々の思いは彼の家族と友人とともにある」

    またメルセデスも声明を発表し、モータースポーツ界としての結束を強調した。

    「本日行われたニュルブルクリクリンク24時間予選での悲劇的な出来事に、我々は深い悲しみを感じている」

    「我々の思いと心からの哀悼の意は、ユハ・ミエッティネンの家族と愛する人々に向けられている」

    「今日ほど、モータースポーツコミュニティが一つとなり、互いを支え合うべき時はない」

  • FIAが予選の“危険な電力トリック”を封じる 2026年F1の抜け穴対策を即断

    FIAが予選の“危険な電力トリック”を封じる 2026年F1の抜け穴対策を即断

    2026年F1のエネルギーマネジメントを巡り、FIAが予選で使われていた“危険なトリック”の封じ込めに動いた。報道によると、メルセデスとレッドブルは、バッテリー残量の低下に応じて出力を段階的に落とすべき仕組みの抜け穴を突き、最後の瞬間まで最大電力を引き出す運用を試していたという。

    この手法によるタイム上の利得はわずかでも、予選ではコンマ数秒が結果を左右する。その一方で、アタック後にマシンの速度が急激に落ち、大きな速度差を生む危険性も露呈した。

    2026年F1マシンのエネルギー依存が強い特性を踏まえれば、FIAが短期間で介入したのは当然の流れだと言える。

    メルセデスとレッドブルが使っていたとされる抜け穴
    4月上旬の報道で明らかになったのは、複数チームが電力デプロイの使い方を極端に攻めていたという実態だった。『Auto Motor und Sport』や『La Gazzetta dello Sport』によると、メルセデスとレッドブルは2026年F1のエネルギーマネジメント規則にある抜け穴を突いていたという。

    問題となったのは、電気エネルギーをラップ終盤まで最大限に使い切り、その後に突然カットオフを発生させるような運用だ。これによりマシンの挙動が不安定になり、さらにMGU-Kシステムには60秒間のロックアウトが発生するとされた。

    本来は保護機能だった“緊急モード”の流用
    『Auto Motor und Sport』によると、この“危険な”手法では、本来ハードウェア保護のために用意されていた内蔵の「緊急モード」を作動させていたという。

    この機能を使うことで、バッテリー残量の低下に応じて出力を50kW刻みで段階的に下げていくべき制御を事実上回避できた。つまり、通常なら徐々に落ちていくはずの電力を、最後の瞬間まで最大のまま引き出せる余地があったことになる。

    この利点について『f1-insider.com』は、「フィニッシュラインまでの最後の数メートルを最大エネルギーで走ることができ、重要なコンマ数秒を稼げる」と伝えた。予選ではそのわずかな差がグリッド順を左右するだけに、チームにとっては見過ごせない武器だった。

    問題はタイムではなく安全性だった
    ただし、この手法がもたらす影響はラップタイムだけではなかった。

    アタックラップ後、MGU-Kが60秒間停止することで、マシンは突然大きく減速する可能性があった。すでに2026年F1マシンはエネルギーマネジメントの特性によって速度差が大きくなりやすいと懸念されており、そこにさらに予測しにくい減速が加われば、後続車との相対速度差は一段と危険なものになる。

    今回の件は、単なる“うまい使い方”ではなく、安全性を脅かし得る運用として受け止められたからこそ、FIAが早急に手を打ったと見るべきだ。

    国際自動車連盟 F1

    FIAは即座に監視強化 乱用にはペナルティ
    4月のインターバル期間に入る中で、FIAはこの問題に対して明確な姿勢を示した。

    各チームには、緊急モードは本当に技術的な問題が発生した場合に限って使用すべきであり、パフォーマンス目的で使うことは認められないと通達された。今後はテレメトリーが厳しく監視され、不適切な使用があればペナルティが科される見通しだ。

    重要なのは、仕組みそのものが完全に違法化されたわけではない点だ。あくまで合法な保護機能としては残されるが、予選タイムを稼ぐための利用は実質的に封じられた。

    2026年F1の課題を象徴する一件
    今回の措置は、2026年F1レギュレーションが持つ難しさを改めて浮き彫りにした。

    チームはルールの範囲内で常に限界を探る。しかし、その最適化が安全性と衝突したとき、FIAは線引きを迫られる。今回の“電力トリック”封じは、まさにその典型例だった。

    予選での数百分の1秒を争う攻防の裏で、マシンの速度差や挙動の予測不能性が拡大していた以上、この問題は放置できなかった。2026年F1のエネルギーマネジメントを巡る議論は今後も続くが、FIAは少なくともひとつの危険な抜け穴について、早い段階で明
    確に境界線を引いた。

  • 2026年F1レギュレーション議論にドライバー参加 FIAは危機論を否定

    2026年F1レギュレーション議論にドライバー参加 FIAは危機論を否定

    2026年F1レギュレーションを巡る議論が、新たな局面を迎えている。FIAは4月20日の重要会合を前に、ドライバーたちを正式に協議へ参加させる方針を示した。これまで競技者の声がルール作りに十分反映されていないとの不満が続いてきただけに、今回の動きは大きな変化といえる。

    一方で、FIAのシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは、現行規則をめぐる混乱が「全面的な作り直し」を要する危機的状況だとの見方を否定した。

    安全性やドライバビリティの面で修正すべき論点は認めつつも、制度全体が破綻しているわけではないという立場を明確にしている。

    ドライバーの発言力がこれまで以上に高まる
    F1ドライバーたちは、物議を醸している2026年F1レギュレーションについて、4月20日の重要な決定会合を前に正式に議論へ加わることになった。

    FIAはその日程までにドライバーたちとのオンライン会議を開く予定で、長年にわたって「競技者の影響力が小さい」との不満が出ていた状況からの変化として注目されている。

    GPDA会長のアレックス・ブルツは、ドライバー間の議論の活発さがこれまでにない水準に達していると明かした。

    「有名なドライバーたちのWhatsAppグループは、実質的に爆発したような状態だ。チャットはこれまで以上に活発で、ここまで活発なのはめったに見たことがない」とアレックス・ブルツは語った。

    「ドライバーたちは感情をぶつけ合い、さまざまな解決策、技術的な解決策を提案している。そして、ドライバーの声が聞かれる必要があると皆にどう納得してもらうかを議論している」

    サインツは“チーム主導”の議論に警鐘
    GPDAディレクターのカルロス・サインツも、現状の意思決定プロセスがチーム寄りになりすぎる危険性を指摘した。

    「チームの意見だけを聞くのは問題だ。彼らはテレビでどう見えるかを楽しんでいるから、レースは問題ないと感じるかもしれない」とカルロス・サインツは述べた。

    「でも、他のドライバーと競い合い、そこに50km/hの速度差があり得ると分かるドライバーの立場からすれば、それは本当のレースではない」

    サインツは、たとえ段階的であっても、FIAと関係者が速やかに対応すべきだと訴えた。

    「本当に彼らが我々の声に耳を傾け、チームの意見だけを聞くのではなく、我々が与えたフィードバックに焦点を当ててくれることを願っている。そして、マイアミまでに状況を改善するプランと、このレギュレーションをさらに改善するための中期的なプランを作ってほしい」

    「たとえマイアミまでにすべてを改善できなくても、少なくともマイアミ前にもう一歩進めるべきだし、その後、もしかしたら来年か、あるいはシーズン後半に大きな一歩を踏み出すべきだ」

    FIAは“全面改定”ではなく部分修正を示唆
    ただし、FIAのシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは、状況が一部で言われるほど深刻ではないと強調した。

    「全面的な書き直しを議論しているわけではない」とニコラス・トンバジスは語った。

    「我々は、患者が集中治療室にいるわけではないと考えている。患者に必要なのは、開胸手術ではなく、1日にリンゴを2個食べることだ」

    「ドライバビリティと安全性の両面から、対処すべきテーマはある。同時に、反対側の極端な見方として『すべてがめちゃくちゃだ』とも言いたくない」

    この発言からも分かるように、FIAは2026年F1レギュレーションの方向性そのものを否定しているわけではなく、問題点を限定的な修正で抑え込みたい考えだ。

    ベアマンの鈴鹿クラッシュが安全議論を後押し
    トンバジスは、オリバー・ベアマンが鈴鹿で喫した高速クラッシュを受け、安全面への懸念が高まっていることも認めた。新しいエネルギーマネジメント規則の下では、極端な速度差が生まれる可能性があり、それが重大なリスクとして改めて意識された形だ。

    「高速での事故は、いつだって少しショックなものだ」とトンバジスは述べた。

    「それが予想されていたと言うのは間違いだが、速度差についてはリスクとして認識されていた」

    今回の議論は、単なるドライバビリティの不満にとどまらず、安全性そのものに踏み込むものとなっている。4月20日の会合では、マイアミGPまでに実施可能な短期的対応と、その先を見据えた中期的な修正方針の両方が焦点になりそうだ。

  • FIAがF1予選の“抜け穴”を封鎖 メルセデスとレッドブルの手法に制限

    FIAがF1予選の“抜け穴”を封鎖 メルセデスとレッドブルの手法に制限

    FIA(国際自動車連盟)が、2026年F1マシンの予選で使われていたバッテリー展開の手法に対し、運用制限を通達したことが明らかになった。問題となったのは、メルセデスとレッドブルのパワーユニットを搭載する陣営が活用していた手法で、フィニッシュライン手前で本来の出力低下プロセスを回避し、わずかな性能上乗せを得ていたとされる。

    2026年F1レギュレーションは、導入直後からいくつかの抜け穴を浮かび上がらせてきたが、今回の件はその象徴的な事例といえる。

    安全確保のために定められた電力制御機能が、予選専用のパフォーマンス獲得手段として使われ始めたことで、FIAは本来の目的外使用を認めない姿勢を明確にした。

    予選終盤で使われていた“緊急オーバーライド”
    2026年F1の複雑なパワーユニット規則では、マシンが突然大きく減速して危険を招くことを防ぐため、電力は段階的に減少させることが義務づけられている。

    しかし、この制御はMGU-Kを停止し、緊急用のオーバーライド機能を用いてエネルギーを一気に使い切ることで回避可能だったという。本来であればライン通過に向けて毎秒50kWずつ出力が下がるところ、この方法を使えば50〜100kWの上乗せ効果が得られるとされた。

    その代償として、MGU-Kは60秒間ロックアウトされる。ただ、予選ラップ終了後はドライバーが大幅にペースを落として走るため、この不利益は実質的な痛手になりにくかった。

    オーストラリアと日本で実戦使用
    この手法は、該当するパワーユニットを搭載する複数チームによって、オーストラリアGPとF1日本GPで使われていたとされる。いずれもラップ終盤、フィニッシュラインまでの区間で活用されていたという。

    効果自体は大きなものではなかったとみられるが、実際に採用されていた以上、現場では明確なメリットがあると判断されていたことになる。

    日本GPでは、この方法に伴う副作用も表面化した。アレクサンダー・アルボンは予選シミュレーション後のトラブルによってコース上でストップを強いられ、他のドライバーたちもMGU-Kのロックアウトによる影響を受けたとされる。

    FIAは“本来の用途に限る”と通達
    今回、Crash.netによると、FIAは各チームに対して文書を送り、標準電子制御ユニットのソフトウェア内にあるこの機能は、あくまで本来想定された緊急用途に限って使用されるべきだと通知したという。

    その中では、予選でこれを常態的なパフォーマンス獲得手段として使うことは認められないと明記されたとされる。形式上はルール文言の範囲内であったとしても、統括団体としては競技上の慣行として広がることを問題視した格好だ。

    一方で、60秒のロックアウト措置そのものは維持される見通しとなっている。テレメトリーによって、本当に緊急事態だったのかどうかは容易に判別できるため、FIAとしてはそれ自体が十分な抑止力になると考えているようだ。

    フェラーリも懸念を示していた
    この手法については、フェラーリが特に強い懸念を示していたという。フェラーリ側も、規則の文言上は合法であること自体は認めていたが、こうした使い方が常態化していくことには否定的だった。

    2026年F1では、エネルギーマネジメントと安全性の両立がレギュレーションの根幹にある。その中で、緊急用の制御が予選アタックの一部として使われるようになれば、制度設計そのものの意図が揺らぎかねない。今回の通達は、レギュレーションの解釈をめぐる駆け引きがすでに新たな段階に入っていることを示している。

  • F1を支える2万人 約24億円規模のボランティア貢献 FIAが公表

    F1を支える2万人 約24億円規模のボランティア貢献 FIAが公表

    FIA(国際自動車連盟)が発表した最新レポートにより、F1を支えるボランティアの実態とその経済的価値が明らかになった。年間を通じた貢献は、シリーズ運営に不可欠な規模に達している。

    今回の報告は、F1が高度な技術と巨額の資金で成り立つ一方で、その基盤を支えているのが大規模な人的ネットワークであることを示している。単なる補助ではなく、運営そのものを成立させる重要な要素として位置づけられている。

    1戦あたり838人 季間2万人が関与
    FIAの調査によると、F1の各グランプリには平均838人のボランティアが参加している。シーズン全体では延べ2万人以上が関わっており、マーシャル、オブザーバー、救出チーム、医療スタッフなど、運営のあらゆる領域を支えている。

    1人あたりの活動時間は1戦あたり平均48時間に達し、シーズン全体では96万5376時間が費やされている。さらに、約65%が有給または無給休暇を取得して参加しており、85%が経験者という点も特徴だ。専門性と継続性の両面で、F1の運営を下支えしている構造が浮かび上がる。

    約24億円規模に相当するボランティア価値
    レポートでは、これらのボランティアを有償スタッフに置き換えた場合のコストも試算されている。いわゆる代替労働コストで算出すると、年間で少なくとも1550万ドル(約24億6450万円)に相当するという。

    一方で、各国クラブが負担する募集・訓練・運営コストは1290万ドル(約20億5110万円)とされており、現行の体制は効率的に運営されている側面も持つ。この差は、ボランティアの存在が単なる補完ではなく、F1全体の運営構造に組み込まれていることを示している。

    国際自動車連盟 F1

    体制強化へ FIAが示した次の一手
    FIAはこの人的基盤を将来にわたり維持・発展させるため、運営体制の強化にも着手している。報告書では、訓練や評価の中央集約化、レース運営センターの拡充、専任スタッフによるオフィシャル部門の強化などが提言された。

    すでに設立されたオフィシャル部門は、従来の地域依存型から、より統合的な運用へと移行する役割を担っている。また、年間約40万ドル(約6360万円)を投じる育成プログラムの拡充や、専用訓練施設「センター・オブ・エクセレンス」の構想も進められている。

    FIA会長が強調したボランティアの重要性
    FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、今回のレポートがその重要性を裏付けるものだと述べた。

    「FIAのF1世界選手権はボランティアに依存している。彼らは我々のスポーツの基盤であり、彼らなしではレースは成立しない」

    「彼らは競技の安全性と公平性を確保し、プロフェッショナルとしての誇りを持ってドライバー、チーム、ファンを支えている」

    「この報告はその価値を明確に示し、我々の投資の重要性を裏付けるものだ。我々は今後も最も効果的な形で支援を続けていく」

    F1はテクノロジーと資本が注目されがちな競技であるが、その舞台裏では膨大な人の力が機能している。今回のレポートは、その存在を初めて具体的な数値として可視化したものとなった。

  • FIA圧縮比テストに疑問 130度測定とF1エンジン実走400度の差

    FIA圧縮比テストに疑問 130度測定とF1エンジン実走400度の差

    2026年F1で導入される新たな“ホット”圧縮比テストを巡り、現場の実態とのギャップが指摘されている。元マクラーレンのパフォーマンスエンジニアで、現在はスカイスポーツF1の解説者を務めるバーニー・コリンズは、測定温度と実際のエンジン作動温度に大きな差があると述べた。

    6月1日から施行されるこのテストでは、圧縮比は130度で測定される。しかし、実際のF1エンジンは350〜400度に達するとされており、規則の検証条件と実走環境の乖離が議論を呼んでいる。

    130度テストと実走400度のギャップ
    コリンズはスカイのポッドキャスト番組内で、圧縮比問題の本質に言及した。

    「まず言っておきたいのは、これはF1では新しい話ではないということだ。エンジニアリングとイノベーションの面白さはここにある。誰もがレギュレーションを読み、『何が書かれているか』だけでなく、『何が書かれていないか』を考え、どうすればテストを通過できるかを探る」

    「検査は特定の条件で行われる。リアウイングでも同じだった。昨年は途中でテスト方法を変え、負荷を増やしてたわみを抑えた。圧縮比も同じだ」

    「エンジンの圧縮比は、空気と燃料を圧縮して燃焼させることでパワーを生む。より圧縮すれば、それだけ大きな爆発が得られる。これはシンプルな話だ」

    メルセデス優位説と“抜け道”の疑念
    この問題は、2026年シーズン開幕前からメルセデスに関連して取り沙汰されてきた。従来の常温(16:1)テストでは規則を満たしつつ、実走時の高温状態で圧縮比を高める手法が存在するのではないかという見方だ。

    そのパフォーマンス差は、ほぼ無視できるレベルから1周あたり数コンマ秒に及ぶ可能性まで、情報源によって幅がある。

    「メルセデスがより強く圧縮しているという見方がある」

    「従来は冷間状態で測定していたが、温度が上がると圧縮比をわずかに高める方法を見つけたと考えられている。これらのエンジンは非常に高温で動作する」

    フォーミュラ1エンジン

    新テストの効果は未知数
    FIAはこの“抜け道”を塞ぐため、130度でのホットテストを導入する。しかし、コリンズはその実効性に疑問を呈する。

    「150度で圧縮比を測るテストを導入するが、実際のエンジンは350〜400度だと見積もっている。つまり大きな差がある」

    「このテストがどんな影響を与えるかは分からない。メルセデスは影響はないと繰り返し主張している」

    「リアウイングの変更と同じで、どのチームにどう影響するかはまだ分からない」

    序盤戦の勢力図と規則変更の影響
    2026年シーズン序盤、メルセデスはメルボルン、上海、鈴鹿でフロントロウを独占し、全勝を記録するなど圧倒的なスタートを切った。コンストラクターズランキングではフェラーリに45ポイント差をつけて首位に立っている。

    ドライバーズ選手権でもキミ・アントネッリがチームメイトのジョージ・ラッセルに9ポイント差をつけてリードしており、この優位性が圧縮比問題と無関係なのかどうかも含め、今後の焦点となる。

    6月以降に導入される新テストが、勢力図にどのような変化をもたらすのかは依然として不透明なままだ。

  • 2026年F1レギュレーションに警鐘「見えない速度差が最も危険」

    2026年F1レギュレーションに警鐘「見えない速度差が最も危険」

    2026年のF1レギュレーションが導入されて以降、エネルギーマネジメントを重視した新世代マシンは、これまでにない課題を露呈している。

    日本GPで発生したオリバー・ベアマンのクラッシュは、その象徴的な事例となった。フルスピードで走行するマシンと、エネルギー回生中で大きく減速したマシンとの“速度差”が、重大なリスクとして浮かび上がっている。

    速度差が生む“見えない危険”
    問題の本質は、単なる速度差ではなく「視認できない低速車」の存在にある。

    リカルド・チェッカレッリ(フォーミュラ・メディシン代表/F1ドライバーのメンタルコーチ)は、この点について次のように指摘する。

    「カルロス・サインツのインタビューを読んだが、彼は以前から警鐘を鳴らしていた。ただ、多くのドライバーの発言の中で見過ごされていた部分でもある」

    「これまでは主にスタートの問題が議論されていたが、安全面での警告は強く認識されていなかった」

    トラフィック下で顕在化する構造的リスク
    レース中、とりわけトラフィックが発生する状況では、この問題はより深刻になる。

    「レースでは混雑した状況が生まれる。その中で1台がエネルギー回生のため極端に遅く走っていた場合、前のマシンが急にラインを外した瞬間、後続のドライバーはその低速車に気づけない可能性がある」

    「この状況では重大な事故のリスクが非常に高い」

    予測できない速度差は、ドライバーにとって最も危険な状況のひとつだ。

    ドライバーが恐れる“コントロール不能”
    チェッカレッリは、この問題を心理的側面からも説明する。

    「ドライバーは高速でのクラッシュ自体を恐れているわけではない。問題は、突然障害物が現れ、自分では何もできない状況だ」

    「濡れた路面での視界不良時に起きた事故と同じように、見えない障害物は最も恐怖を感じる要因になる」

    ドライバーにとって重要なのは、すべてが自らのコントロール下にあるという感覚だ。その前提が崩れたとき、リスクは一気に現実のものとなる。

    “避けられない事故”が残す影響
    このような状況でのクラッシュは、通常のミスとは異なる影響を残す可能性がある。

    「同じ状況に再び直面すれば、わずかにアクセルを緩めるなどの予防的な行動を取ることはあり得る」

    「ただし、ヘルメットをかぶれば基本的にはその記憶を消し、限界で走ることに集中する」

    それでも、回避不能な事故の記憶は完全には消えない可能性がある。

    FIAに求められる“予防的対応”
    今回の問題について、チェッカレッリは早期対応の必要性を強調する。

    「症状が深刻化する前に対処すべきだ」

    また、ドライバーの意見の重要性についても言及した。

    「FIAやチーム代表がルール変更を議論する際に、ドライバーの意見を無視するのは大きな誤りだ」

    「もちろん利害はあるが、現代のドライバーは理性的で、無謀なリスクを望む存在ではない」

    2026年のF1は、安全性を高めてきたこれまでの進化の延長線上にありながら、新たな種類のリスクと向き合う段階に入っている。

    ベアマンの事故は、その“見えない速度差”という問題を明確に示した最初のケースであり、今後のレギュレーション議論における重要な転換点となる。

  • オトマー・サフナウアー F1第12チーム構想 ファン・アメルスフォールトと連携

    オトマー・サフナウアー F1第12チーム構想 ファン・アメルスフォールトと連携

    オランダの名門チーム、ファン・アメルスフォールト・レーシングの経営陣が、F1における第12チーム参戦を視野に入れた新プロジェクトを進めていることが明らかになった。

    この計画は、元アルピーヌおよびレーシングポイントのチーム代表であるオトマー・サフナウアーと、同チームのオーナーであるラファエル・ビジャゴメスの連携によって進められており、キャデラックF1チームに続く新規参入の可能性として注目される動きとなっている。

    第12チーム構想は継続中 VARとの連携が鍵
    サフナウアーは約1年前からF1第12チームの立ち上げに関与していることを明かしていたが、その背後にあったパートナーが今回、ファン・アメルスフォールト・レーシングのオーナーであるビジャゴメスであることが明確になった。

    「我々はF1チームの立ち上げについて検討してきたし、興味深い案件があれば参入、あるいは既存チームへの出資もあり得る」とサフナウアーは語った。

    「以前は第11チームとしての参入を模索していたが、その枠はキャデラックに渡った。今後第12チームの可能性が開かれれば、我々もそこに挑戦したいと考えている」

    このプロジェクトと並行して、サフナウアーはファン・アメルスフォールト・レーシングのマネージングパートナーにも就任。単なる雇用関係ではなく、パートナーとして関与することを条件に参画したという。

    オトマー・サフナウアー ファン・アメルスフォールト・レーシング

    インディカー参戦も視野 短期的拡張を模索
    ただし、この構想はF1に限定されたものではない。サフナウアーは、より現実的な短期戦略としてインディカーやスポーツカー分野への進出も検討していることを明かした。

    「インディカーチームの検討やスポーツカーも含め、組織全体の価値を高める方向で拡張していく。長期ではなく、より短期的な視点で考えている」

    その中で、インディカーの既存チーム買収も選択肢として浮上しているが、現在のシリーズでは“チャーター制度”が導入されており、参入には参戦枠の有無が大きな判断材料となる。

    「買収するならチャーター付きのチームであるべきだ。いくつか考慮すべき点がある」

    ブランド戦略は柔軟 VARの名称は維持へ
    ファン・アメルスフォールト・レーシングは51年の歴史を持つ名門であり、このブランドは今後も維持される見通しだ。

    一方で、将来的にF1チームやインディカー参戦が実現した場合の名称については未定であり、買収対象やパートナー次第で柔軟に決定されるという。

    「何を買うかによる。価値あるブランドを手に入れるなら、その名前を維持するのが合理的だ」

    この発言は、単独新規参入だけでなく、既存チームの買収や資本参加も現実的な選択肢として検討していることを示している。

    F1ではすでにキャデラックF1チームの参入が決定しており、第12チームの枠が開放されるかどうかは依然として不透明だが、サフナウアーとファン・アメルスフォールト・レーシングの動きは、ポスト2026年のグリッド拡張を巡る重要な布石となる可能性がある。