カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • FIA F1新スタート補助を説明「悪いスタートは改善も“有利にはならない”」

    FIA F1新スタート補助を説明「悪いスタートは改善も“有利にはならない”」

    2026年F1のパワーユニット規則修正にあわせて、FIA(国際自動車連盟)は新たなスタート時の安全対策をマイアミGPで試験する。発進直後に加速が極端に遅いマシンに対し、MGU-Kによる補助を一時的に与える仕組みだ。

    目的は順位争いではなく、スタート直後の速度差によって生じる危険を抑えることにある。

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、このシステムが「ひどいスタートを悪いスタートに変える」ものであり、「悪いスタートを良いスタートに変える」ものではないと強調した。

    マイアミでは実戦投入せず、練習スタートで検証
    新システムは、マイアミGPのフリー走行中に行われる練習スタートでのみ試験される。スプリントや決勝の本番スタートでは使用されない。

    トンバジスは、発進後のごく短い時間でマシンがどれだけ加速しているかを検知し、一定のしきい値を下回った場合に補助が作動すると説明した。

    「基本的には、スタート後の短い時間が経過した段階で、マシンがどれだけうまく加速しているかを検知する」

    「それが一定のしきい値を下回った場合に作動する。参考までに言うと、今年これが介入していたのは全体で2、3回だったと思う。たとえば中国でのフェルスタッペンの悪いスタートには介入していなかったと思う」

    「オーストラリアでのリアム・ローソンのスタートには間違いなく介入していただろう。中国でのフェルスタッペンのスタートは、その介入しきい値には入っていなかったと思う」

    「意図的に使う」余地を排除する設計
    FIAが強調しているのは、この補助がスポーツ上の利益を生むものではないという点だ。補助を受けたドライバーは、結果的に失う順位を減らせる可能性はある。しかし、それでもFIAは意図的に利用するメリットはないと見ている。

    「まず明確にしたのは、これは人々が意図的にそれをやろうと誘惑されるような仕組みではないということだ。つまり、それでより良い結果を得られるようなものではない」

    「これが変えるのは、壊滅的なスタートを悪いスタートにすることだ。悪いスタートを良いスタートに変えるものではない」

    当初、FIAは補助が作動したマシンに対して1周目終了時のドライブスルーペナルティを科す案も検討していた。意図的な利用を完全に防ぐためだった。

    「最初にこの選択肢をチームと議論したとき、我々はこのメカニズムがどのマシンに作動した場合でも、1周目の終わりにドライブスルーを行わなければならないと提案した。あらゆる小細工を完全に思いとどまらせるためだ」

    「全チームの一致した立場は、そのような状況にあるとき、すでに自分たちのコントロールを外れ、間違いなく悪い状態にあるというものだった。したがって、それは必要ないということだった。我々はそれを受け入れた」

    「しかし、何らかの理由で我々が見落としていて、人々がそれを優位性のために使い始めた場合には、もちろん介入する。ただ、我々はそうは考えていない」

    スタート時の速度差対策として導入へ
    この仕組みは、2026年F1マシンの新しいパワーユニット特性によって、発進直後や加速局面で大きな速度差が生じる懸念を受けたものだ。FIAはマイアミでの練習スタートに加え、スプリントと決勝の実際のスタートも監視し、作動した場合に何が起きていたかを検証する。

    「実際のスタートを監視し、何が起きていたかを見ることになる。ただ、これらのレースのフリー走行ではいくつかのスタートが行われる」

    「我々はこれを行うと決めたが、レーススタートで導入する前に、もう少し試験走行を行いたい。したがって、マイアミのレーススタートでは使用できない」

    FIAは、新システムを即時導入するのではなく、まずマイアミでの検証を通じて安全性と公平性の両面を確認する方針だ。2026年F1の新レギュレーションではエネルギー管理をめぐる課題が続いており、今回のスタート補助も、競技性を変えるためではなく、極端な発進失敗が引き起こす危険を抑えるための限定的な安全装置として位置づけられている。

  • F1エンジン評価は出力のみ FIAの複雑基準をメーカーが拒否

    F1エンジン評価は出力のみ FIAの複雑基準をメーカーが拒否

    FIA(国際自動車連盟)が検討していたF1エンジンの評価方式について、より複雑な基準がメーカー側の反対によって見送られていたことが明らかになった。

    現在導入が進められている追加開発機会(ADUO)は、遅れているメーカーに開発余地を与える制度だが、その評価は極めてシンプルな形にとどまる見通しだ。

    The Raceのジョン・ノーブルによると、FIAは2025年の段階で、エンジン性能を単純な出力だけでなく複数の要素を組み合わせて評価する案を提示していたが、パワーユニットメーカー側がこれを拒否していた。

    メーカーが拒否した“複雑な評価基準”
    FIAは2025年の時点で、単純な出力比較ではなく、より多面的な要素を含めた評価方法をメーカー側に提案していた。

    具体的には、ターボの圧力やサイズ、プレナム温度の運用といった設計・運用要素を含めてエンジン性能を評価する案である。

    ニコラス・トンバジスはこの議論について次のように説明している。

    「エンジンのパワーが単一の数値ではないことは明らかに分かっていた。我々は2025年春にメーカーとかなり長い議論を行った」

    「ターボ圧やターボ径、プレナム温度の運用などを考慮するかどうかを提案した」

    しかし、この案に対してメーカー側は明確に反対した。

    「当時のパワーユニットメーカーの共通した立場は“シンプルにすべきだ”というものだった。そのため、内燃エンジンの馬力という現在の指標が最初から受け入れられていた」

    結果として、現在のADUO評価はICE出力のみを基準とするシンプルな形に落ち着いている。

    国際自動車連盟 フォーミュラ1エンジン

    フェラーリの設計思想は評価対象外
    一方で、現場ではこのシンプルな基準に対する疑問も出ている。

    例えば、フェラーリのようにドライバビリティを優先して小型ターボを採用するケースや、排気の流れを利用したエキゾースト設計などは、純粋な出力値を犠牲にする可能性がある。

    ある関係者は次のように指摘する。

    「パワーが不足しているのはエンジンではない。ラップタイムを最適化するための車両側の搭載方法がエンジン性能を制約している」

    こうした要素を考慮しなければ、公平な比較にならないという見方もあるが、現時点でFIAはこれらを評価対象に含めない方針を維持している。

    評価の難しさとFIAの本音
    レッドブルF1のローラン・メキースも、この評価作業の難しさを認めている。

    「誰がどの位置にいるのかを評価するのは非常に難しい。ICEとバッテリーの関係や、ターボサイズ、排気の使い方など、複雑な要素が絡んでいる」

    ただしトンバジス自身は、むしろ評価をより複雑にする余地があると考えている。

    「個人的にはパラメータをもっと複雑にすることには前向きだ。ただし、その議論は1年以上前に行われ、結論は出ている」

    つまり現在のシンプルな方式は“最適解”ではなく、あくまでメーカー間の合意による妥協点であることが示唆されている。

    ADUOは勢力図を変えるのか
    ADUOは遅れているメーカーに追加開発の機会を与える仕組みとして注目されているが、その影響についてトンバジスは冷静な見方を示している。

    「ADUOはパフォーマンス調整(BOP)のようなものではない。燃料流量を増やしたり、重量を変えたりするわけではない」

    「我々が与えるのは開発機会が少し増えるということだ。それは重要だが、最終的には最高のエンジンを作らなければ勝てない」

    つまり、ADUOはあくまで“追いつくための余地”を広げる制度であり、勢力図を劇的に変える仕組みではないという位置付けだ。

    最終的なエンジン序列は数週間以内に発表される見通しであり、その結果は2026年の開発競争の方向性を大きく左右することになる。

  • FIA「メーカーの人質にはなれない」F1次期エンジン規則で主導権確保へ

    FIA「メーカーの人質にはなれない」F1次期エンジン規則で主導権確保へ

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、将来のF1パワーユニット規則について、メーカー側の意向に左右されすぎるべきではないと強調した。

    2026年F1レギュレーションで導入された内燃機関と電動要素の50対50配分は、当時の自動車業界における電動化の流れを反映したものだったが、開幕から数戦を経た段階で早くも次世代規則の議論が始まっている。

    F1では今週末のマイアミGPから小規模なルール修正が適用される一方、2031年以降を想定した次のパワーユニット規則では、持続可能燃料を前提にV8エンジンへ回帰する案にも勢いが出ている。

    トンバジスは、自動車業界の政治的・経済的な状況が変化したことを認めつつ、F1はメーカーの参入・撤退に脆弱な構造であってはならないと語った。

    電動化前提で決まった2026年F1規則
    2026年F1パワーユニット規則は、内燃機関とMGU-Kによる電動要素の出力配分をほぼ50対50に近づける方向で設計された。この変更は、自動車業界全体で電動化への圧力が強かった時期に合意されたものであり、アウディのF1参入を促す狙いも大きかった。ホンダも、この新しい規則を前提として正式復帰を決断した。

    しかし、新世代パワーユニットは期待されたほど成功しているとは言い難く、すでに次の規則セットに向けた議論が進んでいる。理論上、次の大きな変更は2031年まで導入されないが、パワーユニット開発には長いリードタイムが必要となるため、FIAは早期の議論が不可避だと見ている。

    トンバジスは月曜日に、当時と現在では状況が変わったと認めた。

    「まず第一に、政治的な状況が変わったのは事実だ」

    「現在のレギュレーションを議論していた当時、自動車メーカーは非常に深く関与していて、彼らはもう二度と新しい内燃機関を作ることはない、と我々に言っていた」

    「内燃機関を段階的に廃止し、何年までには完全に電動化する、というような話だった。もちろん、それは起こらなかった。世界的に電動化が重要であることを軽視するわけではないが、私が言ったほどには進まなかった」

    持続可能燃料は成果として評価
    トンバジスはその一方で、2026年F1規則によって完全持続可能燃料に移行した点は、見えにくいながらも重要な成果だと語った。

    「第二に、あまり頻繁に議論されない話だと思う。目に見えるものではないからだが、我々は完全持続可能燃料へ進んだ。そして、それはかなり良い成果だったと思う」

    F1はこれまで、ロードカーとの関連性を理由に電動化比率を高めてきた。しかし現在は、電動化への一方向の流れが以前ほど強くなくなり、持続可能燃料を軸に内燃機関へ再び重点を置く可能性が現実的な選択肢として浮上している。

    「メーカーの人質にはなれない」
    トンバジスは、将来のF1規則がメーカーの希望だけで形作られるべきではないと強調した。メーカーはF1にとって重要な存在だが、参入と撤退を繰り返す存在でもあるため、競技全体がその判断に依存しすぎることは避けなければならないという考えだ。

    「将来どこに向かいたいのかという点では、我々は世界のマクロ経済状況からこのスポーツを守る必要がある」

    「つまり、自動車メーカーが我々のスポーツに参加するかどうかを決めることの人質にはなれない、ということだ」

    「我々は彼らにこのスポーツの一部でいてほしい。それは間違いない。そのために、新しいメーカーを参加させるべく懸命に取り組んできた」

    「しかし、彼らが参加したくないと決めた場合に、我々が突然脆弱な立場に置かれるような状況にもなってはならない。そして、コスト削減にも取り組み続ける必要がある」

    この発言は、2026年F1規則がアウディやホンダといったメーカーの参入・復帰を促す一方で、競技側が長期的にメーカー主導の規則設計から距離を取る必要性を示している。

    国際自動車連盟 フォーミュラ1エンジン

    次期規則の議論は「すぐに始める必要がある」
    トンバジスは、2026年F1シーズンが始まってまだ数戦しか経っていない段階で将来の規則を議論することは奇妙に見えるかもしれないとしながらも、パワーユニット開発の時間軸を考えれば自然な流れだと説明した。

    「次のサイクルに向けて何かを変えるのであれば、我々は非常に早く議論を始める必要がある」

    「パワーユニットやエンジンなどを作るには、かなり長い時間がかかるからだ」

    「だから、始まって数レースしか経っていない段階でこうした問題を議論するのは少し奇妙に聞こえるかもしれないが、それが議論を行うべき自然なサイクルなのだ」

    2031年以降のF1パワーユニット規則では、V8エンジンへの回帰、持続可能燃料のさらなる活用、コスト削減、メーカー依存からの脱却が主要な論点になりつつある。

    大音量の内燃機関復活に懸念なし
    トンバジスは、V8時代の最終年だった2013年以降にF1を見始めた新しいファンが、より大きなエンジン音に慣れていないことを懸念しているかと問われると、問題にはならないとの見方を示した。

    「正直に言えば、懸念はない」

    「音が大きすぎる場合には、可能であれば音を下げるのは常に簡単だ。その逆、つまり音が小さすぎる場合に大きくする方がより難しい」

    「だから、過去のマシンがグランプリの日曜朝などに時折走ると、多くの人々の間にある種の感情を呼び起こす。私はそれが問題になるとは思わない」

    2026年F1規則は、電動化と持続可能性を両立させる狙いで導入された。しかし、実際の競技面ではバッテリー管理や速度低下といった課題が浮上し、マイアミGPからは修正が入る。FIAは当面の不具合に対応しつつ、次の時代に向けてF1がどの技術軸を選ぶべきかを早くも再検討し始めている。

  • F1マイアミGP前にレギュレーション変更 FIA「進化であって革命ではない」

    F1マイアミGP前にレギュレーション変更 FIA「進化であって革命ではない」

    2026年シーズン序盤に浮き彫りとなった課題を受け、FIAとF1はマイアミGPを前にレギュレーションの微調整で合意した。主な焦点はエネルギー管理の見直しと安全性の向上であり、とくに予選での“全開アタック”の復活と、速度差によるリスク低減が狙いだ。

    今回の変更は大規模な刷新ではなく、あくまで現行パッケージの補正という位置づけだ。

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスも「進化であって革命ではない」と説明しており、レースの魅力自体は維持しつつ、問題点にピンポイントで手を入れる形となる。

    トンバジスが語る“進化”という位置づけ
    「重要なのは、誰も“患者である我々のスポーツ”が集中治療室にいるとは考えていなかったということだ。明らかに取り上げるべき問題はあったが、集中治療室にいたわけではない」

    「もしかすると患者はもう少し運動をして、毎日リンゴを食べて、ビタミンを摂る必要があるのかもしれない。そして我々がやってきたのはまさにそれだ。これは進化であって革命ではない」

    「我々は基本的に良いパッケージを持っていると信じているし、状況に応じて調整を行うのは当然のことだ」

    鈴鹿でのオリバー・ベアマンのクラッシュ以降、安全性が議論の最優先事項に浮上した一方で、レース内容そのものへの介入は最小限に抑えられている。トト・ヴォルフも「必要なのはメスであってバットではない」と述べ、大幅変更に否定的な姿勢を示していた。

    スーパークラッピング拡大の狙い
    今回の調整のひとつがスーパークラッピング上限の引き上げだ。従来250kWに制限されていた領域が、350kWまで拡大される。

    この変更についてトンバジスは次のように説明している。

    「それは明らかに安全の話題であり、我々はどのように解決するかを議論してきた。主なポイントは、コーナーやよりツイスティな区間など、サーキットの特定の場所では、クルマが持てる最大の電力、つまり電力出力を350キロワットから250キロワットへと制限するということだ」

    また、ドライバーの負担軽減にもつながるとされる。

    「ドライバーがブーストボタンを押したときでも、出力を増加させることはできず、ゼロの状態からでも150キロワットを超えることはない」

    予選のエネルギー制限とその意図
    予選ではエネルギー回収上限が8メガジュールから7メガジュールへと引き下げられる。この決定についてもトンバジスは詳細に説明している。

    「これらすべての変更は、単なる数ページのレギュレーション以上のものだと理解することが重要だ。何千ものシミュレーション、多くの会議、多くの分析、そして“もしこうだったら”というシナリオが関わっている」

    「スタッフは、我々が投票した最終パッケージをまとめ上げるために、数週間にわたって休むことなく働いてきた」

    この変更によりラップタイムは約1秒遅くなると見積もられているが、ドライバーはエネルギー管理よりも純粋なアタックに集中できるようになる。

    マイアミグランプリ F1レギュレーション

    ベアマンの事故を受けた安全対策
    今回の変更の背景には、鈴鹿での重大事故がある。エネルギー展開の差による速度差が問題視され、安全対策が強化された。

    トンバジスはその効果について明言している。

    「その点に関して言えば、鈴鹿でオリー・ベアマンのクラッシュで見られたような問題は、基本的には次のレース以降は回避されるはずだ」

    スタート時の新安全システム
    マイアミGPではスタート時の安全対策も試験導入される。低出力状態を検知し、自動的にMGU-Kが補助する仕組みだ。

    トンバジスはその運用についてこう説明している。

    「次のレースから、いくつかのテストを行う予定だ。完全導入には2〜3レースかかる可能性がある。マイアミとカナダでテストと調整を行うことになるが、実質的にはセーフティネットのようなものになるだろう」

    政治的制約の中での最適解
    F1におけるルール変更は常に政治的な制約と隣り合わせだ。各チームやメーカーの利害が絡む中で、合意形成は容易ではない。

    トンバジスはその難しさについても率直に語っている。

    「我々がドライバー、チーム、パワーユニットメーカーについて話しているかに関わらず、F1は非常に競争の激しいスポーツであることを理解することが重要だ」

    「人々は常にトラック上で互いに戦っており、賭けられているものは非常に大きい。そのため、全員の合意を得るのは簡単ではない」

    「FIAの役割は最良の妥協点を見つけることにあり、それが我々が非常に努力してきたことだ」

    今回の変更はあくまで“調整”にとどまるが、予選の性質と安全性には確実に影響を与える。マイアミ以降も状況を見ながら、さらなる修正が検討されることになる。

  • 中村紀庵ベルタがFIA FREC開幕戦で歴史的優勝「新時代の最高のスタート」

    中村紀庵ベルタがFIA FREC開幕戦で歴史的優勝「新時代の最高のスタート」

    中村紀庵ベルタが、FIAフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン・チャンピオンシップ(FIA FREC)の歴史的な開幕レースで優勝を飾った。

    2026年に新設された同シリーズの初戦で、プレマ・レーシングの中村紀庵ベルタはポールポジションからスタートし、レース中に首位を奪い返して初代ウイナーとなった。

    同日に行われた第2レースでは、ラシード・アル・ダヘリが11番グリッドから勝利を収めた。新型フォーミュラ・リージョナル・タトゥースT-326と、プッシュ・トゥ・パスに相当するレースモードの導入により、開幕戦から接近戦と逆転劇が相次いだ。

    中村紀庵ベルタが新時代の初代ウイナーに
    オーストリアのレッドブルリンクで行われた第1レースでは、中村紀庵ベルタがラシード・アル・ダヘリ(R-ace GP)を抑えて優勝。3位には一時2番手を走行したセバスチャン・ウェルドン(MPモータースポーツ)が入り、表彰台を完成させた。

    トップ10には6チームのドライバーが入り、32分間のレースで10位までの差は10.636秒。新チャンピオンシップの競争力の高さを示す初戦となった。

    4位はウェルドンのチームメイトである智振瑞、5位はレノ・フランコ、6位はマクシミリアン・ポポフ。7位にアレクサンダー・アブハザワ、8位にカイ・ダリヤナニ、9位に27番グリッドから追い上げたミゲル・コスタ、10位に日本の佐野雄城が入った。

    アレックス・ニノビッチはコース上では3位でフィニッシュしたが、ライバルをコース外に押し出したと判定され、10秒ペナルティにより12位へ降格した。ルーキー最上位はG4レーシングのマーカス・セターだった。

    第2レースはアル・ダヘリが11番手から逆転
    第2レースは予選1の上位12台をリバースグリッドとする形式で行われ、11番グリッドからスタートしたアル・ダヘリが勝利を収めた。

    コース上ではファン・アメルスフォールト・レーシングのディオン・ゴウダがトップでフィニッシュしたが、ジャンプスタートによる5秒ペナルティを受けて後退。ポールポジションから出たレザ・シーウォールサンが勝利を引き継ぐ展開になりかけたが、アル・ダヘリが残り2周でオーバーテイクを決めた。

    アル・ダヘリはレースモードの100秒を使い切っていたため、終盤にシーウォールサンが再逆転に迫ったが、1.081秒差で届かず2位。3位にはロダン・モータースポーツのニノビッチが入り、この日2度目の表彰台となった。

    F4とFIA F3をつなぐ新カテゴリー
    FIA FRECは、従来のフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン・チャンピオンシップ・バイ・アルピーヌ(FRECA)を引き継ぐ形で2026年に始まった新シリーズだ。

    FIAのシングルシーター・ピラミッドではF4とFIA F3の間に位置づけられ、使用車両は第2世代フォーミュラ・リージョナルのタトゥースT-326に統一される。このマシンはF1に着想を得た空力思想を採用し、接近戦を促す設計とされている。

    シリーズはACIが主催・プロモートし、2026年は全8大会・20レースで開催される。レッドブルリンク大会は、その最初の週末となった。

    中村紀庵ベルタ FIA FREC

    中村紀庵ベルタ「新時代の始まりに最高の勝利」
    「オーバーテイクがあちこちで起きて、プッシュ・トゥ・パスもかなり効果的に見えたし、みんなにとって間違いなくエキサイティングなレースだった。僕たちが勝利をつかめて本当にうれしい。新しいチャンピオンシップ、フォーミュラ・リージョナルの新時代を始めるには素晴らしい形だった」と中村紀庵ベルタは語った。

    「スタートと1周目は僕にとって理想的ではなかった。でも冷静さを保ち、かなり早い段階で首位を奪い返すことができた。そこからはレースを管理するだけだった」

    「ラシードは僕の周りで本当にいい動きをしたので、それには敬意を表したい。数周にわたってラシードといいバトルができたし、いいレースだった。今後のレースの特徴について、僕たちはかなり多くを学んだと思う」

    アル・ダヘリ「戦略的思考が勝利につながった」
    「この週末の流れ、そしてレース1のあとにプッシュ・トゥ・パスを戦略的にどう使えるかを理解するためにできた作業が、この素晴らしい勝利につながった」とアル・ダヘリは語った。

    「僕たちは本当にいい仕事ができたし、努力と戦略的思考が報われることを示せた。スタート前、トレーナーに『自分のベストを出せれば、勝てるかもしれない』と言った。圧倒的なペースがあったからではなく、このプッシュ・トゥ・パスがどれほど強力で、このトラックでどれだけ差を生み出せるかを分かっていたからだ」

    「このチャンピオンシップは始まったばかりだが、今のマシンとプッシュ・トゥ・パスの可能性があることで、レースはとてもエキサイティングになっている」

    大会は26日(日)に予選2と第3レースが行われる。予選2は現地時間8時45分から、週末最後の第3レースは16時40分にスタートし、30分+1周で争われる。

  • FIA F1判定の裏側を公開 150台カメラとAIで全車を常時監視

    FIA F1判定の裏側を公開 150台カメラとAIで全車を常時監視

    FIAは、F1のレース運営において最大150系統の映像、全チームの無線、各車の位置情報やタイミングデータを統合し、違反の可能性がある事象を監視している。新たに公開したYouTube動画では、レースコントロールと遠隔支援拠点が連携し、インシデントの検知から審議、裁定に至るまでの流れを紹介した。

    とりわけ焦点となっているのは、たびたび論争を呼ぶトラックリミットだ。

    FIAは人の目による確認に加えて、映像解析や文字起こしなどのAI支援を拡充し、より一貫性があり迅速で、なおかつ透明性の高い判断体制の構築を進めている。

    レースコントロールと遠隔拠点が判断を支える
    FIAのスポーティングディレクターを務めるティム・マリオンは、レースコントロールについて「レースディレクションは、すべてのデータの中心であり、意思決定の中枢だ」と説明した。

    この中枢機能を担うレースコントロールでは、多数の専門スタッフが安全かつ公正で透明性のあるレース進行を支えている。ただし、判断は現場だけで完結しているわけではない。

    そこに加わるのが、レースコントロールを外部から支援するRemote Operations Centre(遠隔オペレーションセンター)だ。ここでは複数の専門家が並行して膨大なデータと映像を精査し、その評価をレースディレクションへ送っている。

    レースディレクションには最大30人が直接関与し、ROCにはサーキットに応じて4人から8人の専門スタッフが配置される。さらに最終的なペナルティ判断を下すスチュワードも加わり、各自がデータアナリストの支援を受けながら大量の情報を効率的に評価している。

    インシデント検知から裁定までの流れ
    判断の出発点となるのは、違反の可能性がある事象の検知だ。これは自動システムによって検出される場合もあれば、人の目で見つけられる場合もあるが、多くはまずROCで拾い上げられる。

    その後、関連する映像、テレメトリー、位置情報、無線交信といったデータが収集され、ひとつのパッケージとしてまとめられる。これがレースディレクションに送られ、最初の分析が行われる。

    マリオンは「インシデントはさまざまな視点から分析される」と語り、「その後、ルール違反の可能性があるかどうかを判断する」と説明した。

    そして、違反の可能性があると判断された場合にのみ、完全なデータパッケージがスチュワードへ送られる。最終的にペナルティの有無を決めるのはスチュワードであり、レースディレクションやROCはその判断を支えるための整理と分析を担っている。

    150系統の映像とAIが監視精度を高める
    FIAが処理している情報量は非常に大きい。最大150系統の映像に加え、全チームの無線通信、全車両の正確な位置情報とタイムデータが並行して集約されている。

    重要なのは、これらを単に集めることではなく、相互に関連づけて意味のある形で解釈することだ。その負荷を軽減し、判断の速度を高める役割を担っているのが、AIを含む新しい技術だ。

    FIAの情報システム戦略責任者クリス・ベントレーは、システムが自動的にレビュー対象となる場面を認識していると説明した。システムは特定のコース区間を常時監視し、異常を抽出する仕組みになっているという。

    ベントレーは「ある意味でプレフィルターのように機能する」と述べた。こうした事前のふるい分けによって、分析担当者は本当に重要な場面へ集中しやすくなっている。

    トラックリミット監視は“全車・全周・全コーナー”へ
    特に難しいテーマとして挙げられたのがトラックリミットの監視だ。時速200キロを超える状況で、全車の走行ラインを一貫して見極めることは容易ではない。

    マリオンは「ドライバーは常に限界を攻めており、より高いパフォーマンスを得るために、それを超えることもある」と述べた。その上で、FIAの役割はその限界を一貫して公正に適用することだとした。

    FIAはこの問題に対し、ふたつの方向から取り組んでいる。ひとつは、グラベルや改良型の縁石などを用いて、コース外にはみ出すメリットを小さくするサーキット側の構造的対策だ。もうひとつが、監視技術の高度化である。

    長期的にFIAが掲げているのは、「All cars, every turn」という考え方だ。すべてのマシンを、すべてのコーナーで、漏れなく監視する体制を目指している。

    この実現に向けて、追加カメラ、より高精度な位置測定、改良されたソフトウェアの開発が進められている。理想的には、違反の有無を数秒以内、場合によってはドライバーが次のコーナーへ到達する前に判断できる状態を目指している。

    AIは補助役 ただし自動化の余地は広がる
    FIAはすでにコンピュータービジョンなどの技術を活用し、ルール違反の可能性がある場面を自動的に検出し、選別している。全体のおよそ90%は事前に除外できるようになっており、専門スタッフは判断が必要な局面に集中できるという。

    また、無線交信についてもAIを使ってテキスト化が進められており、内容の検索や確認がより迅速になっている。

    もっとも、現段階でAIはあくまで人間の判断を助ける存在という位置づけだ。マリオンは「現時点では、この技術は主として人を支援するためのものだ」と強調した一方で、「将来的には特定のプロセスが自動化される可能性もある」との見通しも示した。

    FIAが重視するのは安全性と透明性
    FIAは、こうした技術が安全面でも大きな可能性を持つとみている。将来的には、事故の危険が迫った際にマシンが自律的に反応し、自動ブレーキのような形で危険回避につながる可能性もあるという。

    同時に、FIAが強く意識しているのが透明性の向上だ。正しい判断を下すだけでなく、なぜその判断に至ったのかをドライバー、チーム、ファンが理解できることが重要だと位置づけている。

    マリオンは「我々の目標は、明確で、理解しやすく、透明性のあるルールシステムだ」と語った。FIAは、そうした仕組みこそが長期的な信頼の強化につながり、最終的にはF1のエンターテインメント価値を高めることにもつながると考えている。

  • フェルスタッペンのF1危機論にFIAが反論「根本的には良いレギュレーション」

    フェルスタッペンのF1危機論にFIAが反論「根本的には良いレギュレーション」

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、FIAが2026年F1レギュレーションに複数の修正を発表したことを受け、新規則は「根本的には良いパッケージ」だと主張した。

    一方で、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、修正の動きを歓迎しながらも、2026年F1レギュレーションについて「根本的に何かが間違っている」と批判。FIAとドライバーの見解の差が、マイアミGPを前に改めて浮き彫りになっている。

    FIAは「集中治療室ではない」と説明
    FIAは4月を通じてF1関係者との複数の会合を行った後、月曜日に2026年F1レギュレーションの一連の修正を発表した。変更は来週末のマイアミGPから適用される予定で、主にエネルギーマネジメント、レーススタート時の安全性、ウエットコンディションでの安全性に関するものとなっている。

    フェルスタッペンはドライバーの中でも新規則に対して最も強い批判を示してきた人物であり、2月のプレシーズンテストではこのレギュレーションを「反レース的」だと評していた。

    FIAが新しいレギュレーションの初期段階で調整を行うこと自体は珍しくない。2022年にグラウンドエフェクト規則が導入された際も、複数チームがポーパシングに苦しんだことを受け、FIAはドライバーの安全性を理由にバウンシングを抑えるための措置を導入した。

    その後、2023年シーズンに向けてフロアエッジやディフューザー・スロート高の引き上げなど、さらなる調整も行われ、極端なポーパシングは事実上解消された。

    マクラーレンやフェラーリで働いた後、2018年にFIAに加わったトンバジスは、FIA制作のインタビューで次のように語った。

    「我々のスポーツという患者が集中治療室に入っていると考えていた者は誰もいなかった、ということを知っておくのは重要だ」

    「明らかに引き出すべき問題はあったが、我々は集中治療室にいたわけではない」

    「おそらく患者にはもう少し運動が必要で、1日にリンゴをいくつか食べ、改善し、ビタミンを取る必要があるということだ」

    「我々が取り組んできたのはそういうことだ。これは進化であり、革命ではない」

    「我々は根本的に良いパッケージを持っていると信じているし、実際に起きていることに応じて調整が必要になるのは普通のことだ」

    フェルスタッペンは「微調整では足りない」と主張
    トンバジスの発言は、フェルスタッペンが2026年F1レギュレーションに対して根本的な欠陥が残っているとの見解を示した数日後に出たものだ。

    フェルスタッペンは放送局Viaplayが主催したイベントに登壇し、規則変更について話し合いが行われていること自体は前進だとしながらも、問題はより深いところにあると語った。

    「僕たちが変更について話しているという事実は、すでに一歩前進だ」

    「問題は単純で、このレギュレーションはいくらか微調整できるが、根本的に何かが間違っているということだ」

    「誰もがそれを公に認めるわけではないが、それは事実だ」

    フェルスタッペンはさらに、2005年を最後に使われたV10エンジン、あるいは2013年を最後に使われたV8エンジンの復活を支持した。

    「僕はただ、それに適応しようとしている」

    「数年後には引退することになるとしても、まともなスポーツであり続けてほしいと思っている」

    「何かを変えなければならない。その場合、僕ならV10かV8エンジンを戻すことを選ぶ」

    昨年には、FIA会長のモハメド・ビン・スライエムが、持続可能燃料を使用するV10エンジンを将来のF1レギュレーションで検討対象にすべきだと示唆し、FIAが可能性を評価する作業部会を設置したことで、V10復活論が一時的に再浮上していた。

    FIA会長は「ドライバーが議論の中心にいた」と強調
    FIAが月曜日にPlanetF1.comへ提供した声明の中で、モハメド・ビン・スライエムは、現在のレギュレーションを洗練させるためにF1関係者が行った「建設的かつ協力的な作業」を称賛した。

    「FIAスタッフ、チーム、ドライバー、パワーユニットマニュファクチャラーを含むF1エコシステム全体の全員に対し、非常に短い時間の中で行われた建設的かつ協力的な作業を称賛したい」

    「スポーツの制御を超えた事情により、カレンダーに予期せぬ空白が生じたが、すべての関係者はF1にとって最善の利益のために行動することに完全にコミットし続けた」

    「これまで以上に、ドライバーたちはこの議論の中心にいた。彼らがこのプロセスを通じて貴重な意見を寄せてくれたことに感謝したい」

    「安全性とスポーティング上の公平性は、FIAにとって最優先事項であり続けている」

    「これらの変更は、開幕イベントで確認された問題に対処し、競技の完全性と質を継続的に確保するために導入された」

    「我々は今、エキサイティングな2026年シーズンの残りに期待している」

    マックス・フェルスタッペン F1レギュレーション

    マイアミGPから適用される主な変更点
    FIAによると、2026年F1世界選手権レギュレーションの複数の改良案は、FIA、チーム代表、パワーユニットメーカーのCEO、FOMによるオンライン会議で合意された。

    最終提案は、過去数週間にわたるFIA、技術代表者、そしてF1ドライバーからの広範な意見を踏まえた協議の結果としてまとめられた。調整の議論は、2026年シーズン開幕3戦で収集されたデータに基づいて行われた。

    合意された提案は、レーススタート関連の変更を除き、マイアミから実施される。スタート関連の提案についてはマイアミでテストされ、フィードバックと分析を経て採用される。

    予選では、エネルギーマネジメントのパラメータが調整され、最大許容リチャージ量が8MJから7MJに引き下げられる。これは過度な回生を減らし、より一貫した全開走行を促すことを目的としており、最大スーパークリップ時間を1周あたり約2〜4秒に短縮することを狙っている。

    ピーク時のスーパークリップ出力は、従来の250kWから350kWへ引き上げられる。これにより回生に費やす時間をさらに減らし、エネルギーマネジメントに関するドライバーの負担を軽減する。この変更はレース状況にも適用される。

    また、代替の低エネルギー制限を適用できるイベント数は8戦から12戦に増やされ、各サーキット特性への適応幅が広げられる。

    レースでは、ブーストによって使用できる最大出力が+150kWに制限される。あるいは作動時点で車両の現在出力がそれを上回っている場合は、その出力が上限となる。これは突然の性能差を制限するための措置だ。

    MGU-Kのデプロイメントは、コーナー出口からブレーキングポイントまでの主要な加速区間、オーバーテイク区間を含むエリアでは350kWに維持される。一方で、それ以外のラップ区間では250kWに制限される。

    これらの措置は、オーバーテイクの機会と全体的な性能特性を維持しながら、過度な接近速度を抑えることを目的としている。

    レーススタートでは、新たに「低出力スタート検知」システムが開発された。クラッチリリース直後に異常に低い加速を示すマシンを識別できるもので、その場合には自動的にMGU-Kデプロイメントが作動し、最低限の加速を確保する。スポーティング上の優位性を生むことなく、スタート関連のリスクを軽減する狙いがある。

    これに関連して、影響を受けたマシンには後方および側面の点滅ライトを作動させ、後続ドライバーに警告する視覚システムも導入される。

    さらに、フォーメーションラップ開始時にエネルギーカウンターをリセットする措置も実施され、以前に確認されたシステム上の不整合が修正される。

    ウエットコンディションでは、ドライバーからのフィードバックを受けてインターミディエイトタイヤのタイヤブランケット温度が引き上げられ、初期グリップとタイヤ性能の改善が図られる。

    最大ERSデプロイメントは削減され、トルクを制限することで低グリップ時の車両コントロールを改善する。

    リアライトシステムも簡素化され、悪条件下で後続ドライバーの視認性と反応時間を改善するため、より明確で一貫した視覚的合図が採用される。

    これらの最終提案は、5月3日のマイアミGP前の実施を目指してFIA世界モータースポーツ評議会の電子投票にかけられる。ただし、レーススタート関連の提案については、マイアミGP週末にテストと分析が行われる。

  • F1レギュレーション変更の舞台裏 トンバジスが明かすドライバー主導の議論

    F1レギュレーション変更の舞台裏 トンバジスが明かすドライバー主導の議論

    FIAシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは、4月20日に決定されたF1の新たな規則変更の背景について、ドライバーたちの関与が極めて重要だったことを明らかにした。

    今季序盤3戦で浮上した予選、決勝、スタート時の課題に対応するため、FIAは即時導入の複数の対策を発表したが、その議論の中核にはドライバーたちの意見があった。特に「より攻められる環境」と「安全性の改善」が強く求められていたという。

    ドライバーの意見はほぼ一致 予選改善と安全性を要求
    トンバジスはFIAの公式動画の中で、会合におけるドライバーの姿勢について次のように説明した。

    「ドライバーたちの立場はかなり一致していた。彼らは予選でより運転を楽しめるように、そしてよりプッシュできるようにするための変更を求めていた」

    「同時に、いくつかの安全面の懸念にも対応するよう求めていた。彼らは非常に団結していて、その意見は今回の議論において非常に重要だった」

    この発言からは、2026年レギュレーション下で顕在化した“エネルギーマネジメント主導の走り”に対する不満と、ドライバー主導の改善要求が制度変更の大きな原動力となったことが読み取れる。

    利害対立の中での合意形成 FIAの役割を強調
    一方でトンバジスは、F1という競技の性質上、全関係者の意見を一致させる難しさについても言及した。

    「ドライバー、チーム、パワーユニットメーカーのいずれであっても、F1は極めて競争の激しいスポーツだ。常に互いに争っており、かかっているものは非常に大きい」

    「全員の合意を得るのは簡単ではない。だからこそFIAの役割は、最善の妥協点を見つけることにある。我々はそれに向けて非常に努力してきた」

    このコメントは、今回の規則変更が単なる技術調整ではなく、複雑な利害調整の産物であることを示している。

    F1レギュレーション 国際自動車連盟

    チーム側も評価 マイアミGP以降の影響に注目
    今回の変更については、チーム側からも一定の評価が出ている。ウィリアムズのチーム代表ジェームス・ボウルズは、これらの対策を「理にかなっている」と評価し、FIA、F1、各チームの協力によって合意に至った点を称賛した。

    また、今季のレース自体はすでに一定の競争力を持っているとしながらも、「改善を続けることが重要だ」と強調し、マイアミGP以降にこれらの変更がどのように影響するかに注目していると語った。

    今回の一連の動きは、ドライバーの意見が直接レギュレーションに反映された典型例とも言える。今後のレース展開がどのように変化するのか、その実効性が問われる局面に入る。

  • FIA会長スライエム 2026年F1レギュレーション修正を評価「協力の成果」

    FIA会長スライエム 2026年F1レギュレーション修正を評価「協力の成果」

    FIAのモハメド・ビン・スライエム会長は、2026年F1マシンをめぐる一連のレギュレーション修正が正式に決まったことを受け、短期間で合意に到達した関係者の対応を称賛した。今回の見直しでは、予選、決勝、スタート手順、そしてウエットコンディションでの走行に関する変更が盛り込まれている。

    2026年F1シーズン開幕から3戦を終えた段階で、ドライバーからは新世代マシンに対する不満の声が相次いでいた。

    そうした状況を受け、4月20日にFIA、F1、各チームが参加する重要会議が行われ、競技の安全性と公平性を維持するための修正が決定された。

    ビン・スライエムは、そのプロセスそのものをF1全体の協調の成果として評価している。

    短期間での合意形成をFIA会長が評価
    モハメド・ビン・スライエムは、今回の議論に関わったすべての当事者に謝意を示し、短い期間で建設的な作業が進められたことを高く評価した。

    「私は、FIAのスタッフ、チーム、ドライバー、そしてパワーユニットメーカーを含むF1全体のあらゆる関係者に対し、ごく短い期間の中で建設的かつ協力的な作業を行ったことを称賛したい」とモハメド・ビン・スライエムは語った。

    「我々は、このスポーツの外部にある事情によって予期せぬカレンダー上の空白に直面したが、すべての当事者はF1の最善の利益のために行動することに全面的にコミットし続けた」

    今回の一連の修正は、単なる技術的な見直しにとどまらず、開幕3戦で表面化した課題に対して競技全体がどう向き合うかを示す意味合いも持っていた。FIAとしては、混乱を長引かせるのではなく、早い段階で実務的な対応をまとめた形だ。

    ドライバーの声を重視した修正
    2026年型マシンについては、シーズン序盤から複数のドライバーが問題点を指摘していた。そうした現場の声がFIA側に伝えられたことで、今回の修正にもドライバーの意見が反映される流れとなった。

    ビン・スライエムは、今回の議論でドライバーが重要な役割を果たしたことにもあらためて言及した。

    「これまで以上に、ドライバーたちは今回の議論の中心にいた。そして、このプロセス全体を通して寄せられた貴重な意見に感謝したい」とビン・スライエムは述べた。

    「安全性と競技としての公平性は、FIAにとって引き続き最優先事項だ」

    「これらの変更は、開幕戦からのイベントで明らかになった問題に対処し、競技の完全性と質を継続的に確保するために導入されたものだ」

    「我々は今、刺激的なものになると約束されている2026年シーズンの残りを楽しみにしている」

    2026年F1シーズンの軌道修正となるか
    今回のコメントからは、FIAが今回の修正を応急処置ではなく、シーズンの質を維持するための必要な対応として位置づけていることがうかがえる。開幕3戦で噴出した不満に対し、FIA、F1、チーム、ドライバー、そしてパワーユニットメーカーが短期間で結論を出したこと自体が、2026年F1シーズンの先行きを左右する重要な動きになった。

    今後は、実際に導入される修正が予選や決勝の展開、そしてウエット走行時の安全性にどこまで効果をもたらすかが焦点になる。FIAとしては、問題を認識したうえで迅速に手を打った形だが、その評価はマイアミ以降のレース内容によってさらに問われることになりそうだ。

    Source: RacingNews365

  • マイアミGPでF1レギュレーション修正導入も「第一歩」にとどまる見方

    マイアミGPでF1レギュレーション修正導入も「第一歩」にとどまる見方

    2026年F1レギュレーションを巡る議論が続く中、FIAは4月20日の会議を受けて複数の修正を正式決定した。導入はマイアミGPからで、エネルギーマネジメントと安全性の問題に対応する内容となる。

    シーズン開幕から指摘されてきた「極端な速度差」や「リフト・アンド・コーストの多発」といった課題に対し、一定の対策は講じられたが、パドックでは「抜本的解決には至らない」との見方が大勢を占めている。

    エネルギー管理と安全性に焦点を当てた修正
    今回の変更の柱となるのは、エネルギー運用に関する制限強化だ。

    最大エネルギー回生量の削減に加え、「スーパークリップ」のピーク出力は引き上げられた。一方でレース中のブースト使用には制限が設けられ、過度な速度差の発生を抑制する狙いがある。

    FIAは「スーパークリップの最大持続時間を1周あたり2〜4秒に制限する」ことを目標に掲げており、これにより極端な加速差の是正を図る。

    さらに、安全面ではスタート時の極端な低速走行を防ぐ自動システムが導入されるほか、ウエットコンディションに関する運用も見直される。

    FIAは今回の措置について、「過度な接近速度を抑えつつ、オーバーテイク機会とパフォーマンス特性を維持すること」が狙いだと説明している。

    「第一歩」に過ぎないとの冷静な評価
    こうした修正に対し、現場の反応は概ね肯定的ながらも慎重だ。

    Auto Motor und Sportのトビアス・グリューナーは「マイアミ前の調整は第一歩に過ぎない」と指摘する。

    「状況を大きく改善するには、内燃機関側の出力も引き上げる必要がある」とし、より踏み込んだ変更は2027年、あるいは2028年まで実現しない可能性に言及した。

    De Telegraafのエリック・ファン・ハーレンも影響は限定的との見方を示している。

    「現在導入されている小規模な変更では、彼の望みを満たすには至らない」とし、とりわけマックス・フェルスタッペンのような批判的立場のドライバーには不十分だと伝えた。

    F1レギュレーション マイアミグランプリ

    チーム側は評価も“さらなる改善”前提
    一方でチーム側は、今回の合意プロセス自体を前向きに評価している。

    ジェームス・ボウルズは「これは理にかなった変更であり、ここ数週間でチーム、FIA、F1が良い仕事をした結果だ」と述べた。

    「今年はすでに素晴らしいレースも見られているが、常に改善を追求するのは正しいことだ」と続けている。

    マクラーレンのアンドレア・ステラも、協調的な姿勢を強調した。

    「全員が示している責任感と協力の精神こそが、現時点でF1が示すべき最善の答えだ」

    ドライバー視点では方向性は一致
    技術的な方向性については、ドライバー側の提案とも一定の一致が見られる。

    ジョージ・ラッセルは以前からスーパークリップ出力の引き上げを「明確な解決策」として挙げていた。

    「これだけでもリフト・アンド・コーストを強いられる状況の多くは避けられるはずだ」

    今回の修正は確かに現状への対応としては前進だが、エネルギー依存構造そのものに手を入れない限り、根本的な問題は残る。マイアミでの実走データが、その“第一歩”の実効性を測る試金石となる。