カテゴリー: FIA(国際自動車連盟)

  • フェラーリCEO F1のV8復活構想に言及「FIAとの議論は以前から続いている」

    フェラーリCEO F1のV8復活構想に言及「FIAとの議論は以前から続いている」

    フェラーリのCEOであるベネデット・ヴィーニャが、FIA(国際自動車連盟)との間でF1のV8エンジン復活に向けた議論が以前から進められていることを認めた。

    『Motorsport』イタリア版のフランコ・ヌニェスによると、ヴィーニャは2026年第1四半期決算に関するアナリスト向けカンファレンスコールの中で、フェラーリのモータースポーツ部門が収益面でも好調を維持していることを説明。その流れの中で、近年FIA内部で検討が進められている“次世代V8構想”についても言及した。

    フェラーリCEOがV8議論を公に認める
    ヴィーニャは、現在のF1パワーユニットの方向性について次のように語った。

    「我々は3種類のパワーユニットによる推進技術の継続を信じている」

    「FIAとの間で進められているこれらの議論については、以前から把握していた」

    「FIAレギュレーションと同じように、5年ごとに物事を見直す必要性は確かにあると思う」

    「ただし、それによって市販車や我々の戦略に影響が出ることはない」

    この発言は、FIA会長モハメド・ビン・スライエムが最近強く推進している“2030年を待たないV8復活構想”を、フェラーリ側も事実上認めた形となる。

    現在の2026年F1レギュレーションでは、内燃エンジンと電動システムを50対50で構成するハイブリッドPUが採用されているが、実戦ではエネルギーマネジメントの難しさや出力不足が問題視されている。

    そのため、FIA内部では2027年以降に「60対40」へとICE比率を高める議論が進行しており、さらにその先の2030年前後にはV8回帰案も検討されている。

    2600cc V8案は想像以上に進展か
    今回の報道では、次世代V8が「2600cc」になる可能性にも触れられている。

    さらに注目されるのは、交渉が“思われている以上に進んでいる”と報じられている点だ。記事では、2026年末までに次期レギュレーションの大枠がまとまる可能性もあるとしている。

    すでに賛同姿勢を示しているとされるのは、フェラーリ、メルセデス、レッドブル・フォード、そしてGM。

    一方でアウディは慎重姿勢を崩しておらず、ホンダについても正式な立場は明らかになっていない。

    特にホンダは、2026年F1レギュレーションで導入された「電動50%」時代への適応に苦戦しているとされ、FIAが推進する“ICE回帰”の流れにどう対応するかが今後の焦点になりそうだ。

    フェラーリが強調した“市販車とは別問題”
    今回のヴィーニャ発言で重要なのは、「F1エンジン変更が市販車戦略には影響しない」と明言した点だ。

    近年のF1では“市販車技術との関連性”がパワーユニット議論の中心にあった。しかしフェラーリは、高性能ロードカーとF1を完全に同一視する必要はないという立場を示したとも受け取れる。

    これは、F1が“自動車メーカーの技術ショーケース”から、“純粋なモータースポーツ”へと再び重心を戻そうとしている現在の流れとも一致する。

    FIAが進めるV8回帰構想は、単なる懐古主義ではなく、現在の複雑化したPUレギュレーションを見直す現実的な選択肢として、すでに具体的な段階へ入りつつあるのかもしれない。

  • F1 2027年に“50対50”パワー配分を廃止へ PU規則変更で60対40案に合意

    F1 2027年に“50対50”パワー配分を廃止へ PU規則変更で60対40案に合意

    F1チーム、パワーユニットメーカー、F1、FIA(国際自動車連盟)は、2027年に向けてパワーユニットのハードウェア変更を前倒しで導入する方針で原則合意した。現行レギュレーションで掲げられていた内燃エンジンと電動要素の“50対50”に近い出力配分を見直し、より60対40に近い構成へ移行することを目指す。

    狙いは、内燃エンジン側の出力を高め、バッテリーへの要求を下げることで、各サーキットでエネルギー不足に陥る場面を減らすことにある。

    これにより、ドライバーにとってより直感的に扱えるマシンに戻し、今季ここまで表面化していた複雑なエネルギーマネジメントの副作用を抑える狙いがある。

    2028年を待たずに2027年導入へ
    金曜日に行われたオンライン会議には、チーム、パワーユニットメーカー、F1、FIAが参加した。この場で、2027年に向けたハードウェア変更を進めるべきだという方向性で合意が形成された。

    2027年導入に向けた時間的余裕は大きくない。パワーユニットの耐久性を高める作業に加え、燃料タンク拡大に伴うシャシー側の調整も必要になるためだ。それでも関係者は、2028年まで待つのではなく、今すぐ動くべきだという判断に至った。

    FIAは会議後に声明を発表し、燃料流量の増加によって内燃エンジン側の出力を50kW引き上げる一方、電動要素については350kWから300kWへ引き下げる方針を示した。

    「最終的なパッケージを決定する前に、チームとパワーユニットメーカーで構成される技術作業部会において、さらに詳細な議論が必要であることが合意された」

    マイアミで導入された暫定変更も継続評価
    今回の会議では、マイアミGPで導入された回生量とデプロイメント量の調整についても確認された。短期的な追加変更の可能性は残されており、FIAは今後のレースに向けたさらなる調整を検討している。

    「マイアミ・パッケージの評価は継続中であり、今後のイベントでさらなる調整を導入することを視野に入れている」

    「これには、スタート時の安全性を改善する改定や、ウエットコンディション下での安全性を高める措置が含まれる。これらは定義され次第、各チームに伝達される。カナダGPに向けて、視覚的シグナル措置の改善も評価されている」

    50対50構想から現実的なバランスへ
    2026年F1レギュレーションは、内燃エンジンと電動要素の出力配分を大きく近づけることを前提として導入された。しかし、実戦ではバッテリー残量やエネルギー回生・放出の制約が走行に大きく影響し、ドライバーが自然に攻められない場面が出ていた。

    2027年案は、電動化の方向性そのものを否定するものではなく、内燃エンジン側に比重を戻すことで、レース中のエネルギー不足を緩和するものだ。350kWから300kWへの電動出力引き下げと、内燃エンジン側の50kW増加が実現すれば、マシンの挙動やレース展開にも大きな変化をもたらす可能性がある。

    提案は今後、詳細な技術評価を経たうえで、F1コミッション、パワーユニット諮問委員会、そしてFIA世界モータースポーツ評議会という正式なガバナンス手続きに進むことになる。現行規則の課題が開幕から早くも表面化したなか、F1は2027年に向けてパワーユニット規則の軌道修正に踏み出した。

    Source: The Race

  • ホンダF1を後押し FIAがADUO改定で「10%以上遅れ」に追加支援

    ホンダF1を後押し FIAがADUO改定で「10%以上遅れ」に追加支援

    FIA(国際自動車連盟)は2026年F1パワーユニット規則の性能調整制度であるADUOについて、技術・財務・運用面の規定を更新し、世界モータースポーツ評議会の臨時会合で承認した。

    今回の変更では、基準となるエンジンに対して10%以上遅れているメーカーを対象に、新たな支援カテゴリーが設けられた。これは、2026年F1シーズン序盤から性能と信頼性の両面で苦戦しているホンダにとって、大きな追い風になる可能性がある。

    カナダGP後に最初のADUO評価
    ADUOの最初の評価は、2026年F1第5戦カナダGP後に実施される。当初、この評価時期をめぐっては議論があった。バーレーンGPとサウジアラビアGPが中止されたことで、当初予定されていたマイアミGP後の実施を維持すべきだという意見と、基準側とされるメルセデスが主張した改訂カレンダー第6戦モナコGP後まで待つべきだという意見が分かれていた。

    最終的にFIAは中間案を採用し、初回評価をカナダGP後に設定した。2回目の評価も当初予定より1戦前倒しされ、第12戦後ではなく第11戦後に行われる。3回目の評価は変更されず、第18戦後に実施される。

    10%以上遅れたメーカーに230時間の追加ベンチテスト
    今回の最大の変更点は、最良のエンジンに対して10%以上遅れているメーカーを対象とした新カテゴリーの創設だ。

    ADUOでは、FIAが評価するのはパワーユニット全体ではなく、内燃エンジンの性能に限られる。この分野では、現時点でメルセデスが基準とされており、550馬力をやや上回る出力を持つとされている。

    一方、ホンダについては、内燃エンジンで60〜70馬力の不足があると報じられており、基準から10%以上遅れている計算になる。そのため、新たに設けられた10%以上の救済カテゴリーは、事実上ホンダを念頭に置いた措置と受け止められている。

    運用面では、性能差に応じて追加ベンチテスト時間が段階的に設定された。

    ■ 基準との差が2%未満:0時間

    ■ 2%以上4%未満:70時間

    ■ 4%以上6%未満:110時間

    ■ 6%以上8%未満:150時間

    ■ 8%以上10%未満:190時間

    ■ 10%以上:230時間

    10%以上遅れているメーカーには、最大230時間の追加ベンチテストが認められる。これは、現行の性能差を縮めるための開発機会としては大きな意味を持つ。

    予算面でも最大1100万ドルの追加枠
    財務面でも、性能差に応じた追加予算枠が設定された。10%以上遅れているメーカーには、今後2年間で1100万ドルの追加予算が認められる。ただし、この予算は2026年中には使用できず、翌年以降の開発に充てられる。

    ■ 基準との差が2%未満:0ドル

    ■ 2%以上4%未満:300万ドル

    ■ 4%以上6%未満:465万ドル

    ■ 6%以上8%未満:635万ドル

    ■ 8%以上10%未満:800万ドル

    ■ 10%以上:1100万ドル

    さらにFIAは、2026年F1レギュレーション導入初年度に基準エンジンから10%以上遅れているメーカーに対し、追加で800万ドルの予算枠を認める規定も導入した。これは1100万ドルの枠に上乗せされるもので、今後2シーズンにわたって使用できる。

    ホンダ F1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ホンダ救済色が強いADUO変更
    今回のADUO変更は、ホンダに対する支援色が強い。10%以上という新カテゴリーは、該当するメーカーが存在しなければ意味を持たない制度であり、現時点でその対象に最も近いのがホンダだと見られている。

    この変更には、トト・ヴォルフの意向も反映されている可能性がある。ヴォルフは以前から、ADUOは大きく遅れたメーカーを支援するための制度であり、フェラーリやレッドブルがメルセデスとの差を縮めるための仕組みではないという考えを示していた。

    ただし、追加のベンチテスト時間や予算枠が認められたとしても、10%を超える差を短期間で埋めるのは容易ではない。ホンダにとっては、信頼性と性能の両面で立て直しを進めるための重要な機会になる一方、成果が表れるまでには時間が必要になる。

    アストンマーティンとホンダにとって、2026年F1シーズン序盤は厳しいスタートとなった。それでも、FIAがADUOを通じて救済枠を拡大したことで、今後の開発競争には新たな流れが生まれる可能性がある。

    Source: SoyMotor.com

  • クリスチャン・ホーナーのF1復帰をFIA会長が支持「スポーツに必要な存在」

    クリスチャン・ホーナーのF1復帰をFIA会長が支持「スポーツに必要な存在」

    クリスチャン・ホーナーのF1復帰を巡る動きが、再びパドックで注目を集めている。

    昨年レッドブルを離れたホーナーは、現在アルピーヌの株式取得に関与する可能性が報じられており、その動きはメルセデスとトト・ヴォルフとの新たな駆け引きにも発展しつつある。

    アルピーヌでは現在、Otro Capitalが保有する24%の株式が市場に出されているとされ、複数の関係者が関心を示している。そのなかでホーナーの名前が浮上したことで、F1界における彼の影響力の大きさが改めて浮き彫りとなった。

    FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは、マイアミGPでホーナーについて質問されると、復帰を歓迎する姿勢を隠さなかった。

    「私は彼と定期的に話しているし、彼は戻ってくると思う」

    「クリスチャン・ホーナーの名前をモータースポーツとF1の歴史から消し去ることなど不可能だ」

    「彼は常に成功していた。ただ、我々も知っているように、成功した人間には敵もいるものだ。私に言わせれば、我々は彼を恋しく思っているし、個人的にも私は彼がいなくて寂しい」

    さらにビン・スライエムは、ホーナーの存在感そのものがF1に必要だと語った。

    「彼は我々のスポーツにとって大きな財産だった。そして彼自身も復帰を望んでいる」

    「ホーナーは非常に活気に満ちた人物だ。我々のスポーツには彼のような存在が必要だ」

    アルピーヌ株式を巡る“勢力争い”
    今回の話題は、単なるホーナー復帰論に留まらない。

    背景には、アルピーヌ株式を巡るF1内部のパワーバランス問題が存在している。報道では、メルセデスとトト・ヴォルフ側も同株式への関心を示しているとされており、FIA側は「複数チームへの影響力」に警戒感を示し始めている。

    ビン・スライエムは次のように語った。

    「他者に取得させないためだけにチーム株式を取得したり、レギュレーション投票へ影響力を持つ目的で取得するのでなければ、おそらく問題はないだろう」

    「だが、そうしたケースでは2チームを所有することは間違っていると思う。これは私個人の見解だ」

    この発言は、単なる投資ではなく、“政治的影響力”を伴うチーム保有に対する牽制とも受け取れる。

    2026年F1ではPUレギュレーションや将来のV8議論など、メーカー間の利害が激しく衝突している状況にあり、チーム株式の保有は単なるビジネス以上の意味を持ち始めている。

    ザク・ブラウンも“ホーナー復帰支持”
    興味深いのは、マクラーレンCEOのザク・ブラウンまでもがホーナー復帰を歓迎している点だ。

    ブラウンはこれまで、一つのメーカーが複数チームへ強い影響力を持つことに否定的な立場を取ってきた人物として知られる。

    それでも今回、ホーナーについては次のように語った。

    「彼がスポーツに戻ってくるなら素晴らしいことだと思う」

    「アルピーヌであれ、別の場所であれ、彼がF1に戻ってこないとは思えない」

    ホーナーは長年にわたりレッドブル黄金期を築き上げた象徴的存在でもあり、パドック内では依然として大きな存在感を持っている。

    今回のアルピーヌ株式問題は、単なる投資案件というより、“ポスト2026時代”に向けたF1勢力図の再編の一部として見られ始めている。

  • メルセデスF1 V8復活論に警鐘「電動化を捨てれば時代遅れに見える」

    メルセデスF1 V8復活論に警鐘「電動化を捨てれば時代遅れに見える」

    メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは、F1が将来的にV8エンジンへ回帰する可能性に前向きな姿勢を示しつつも、電動化を大きく後退させるべきではないと警告した。

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムが2030年または2031年のV8復活を目指す考えを示すなか、メルセデスF1のチーム代表であるヴォルフは、F1が現実社会とのつながりを失えば「少し馬鹿げて見える」リスクがあると語った。

    V8復活には前向きも「100%内燃機関」は否定
    メルセデスはV8エンジンそのものには好意的だ。F1は2013年までV8自然吸気エンジンを使用しており、その高回転サウンドは今も多くのファンに支持されている。

    「メルセデスの立場から言えば、新しいエンジンレギュレーションにはオープンだ」とトト・ヴォルフはマイアミでPlanetF1.comなどに語った。

    「我々はV8が大好きだ。素晴らしい思い出しかない。我々の視点では、あれは純粋なメルセデスエンジンで、高回転まで回る」

    ただし、ヴォルフが強調したのは、F1が単純に内燃機関だけへ戻るべきではないという点だった。

    「どうやってそれを作るのか。現実世界とのつながりを失わないために、バッテリー側から十分なエネルギーをどう与えるのか。もし100%内燃機関に振れば、2030年や2031年には少し馬鹿げて見えるかもしれない」

    「800馬力のICE+400馬力の電動」なら歓迎
    ヴォルフは、F1がよりシンプルで迫力あるエンジンを目指すことには賛成している。その一方で、電動エネルギーを完全に脇へ追いやる案には慎重だ。

    「そこは考慮する必要がある。よりシンプルにして、メガエンジンにすることだ」

    「ICEから800馬力を引き出し、その上に400馬力、あるいはそれ以上の電動エネルギーを載せることができるかもしれない。我々は完全に前向きだ」

    ヴォルフは、議論が構造的に進められ、各メーカーの事情が考慮されるなら、メルセデスとして参加する用意があるとした。

    「その議論が構造的な形で行われ、人々の考えが取り入れられる限り、我々は前向きだ。我々はOEMの財政的な現実も認識している」

    「簡単な状況ではない。しかし、しっかり計画され、実行されるなら、我々メルセデスは本物の、本物のレーシングエンジンで戻ってくる準備がある」

    F1 V8 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    短期的なエンジン変更には強く反対
    一方で、現在の2026年F1パワーユニット規則を短期的に大きく変更する案について、ヴォルフは否定的な姿勢を示した。

    「短期的にエンジンレギュレーションを変えることを語る人は、その時点でのF1の評価の仕方を疑うべきだ」

    マイアミGPではアントネッリが勝利し、4人のドライバーがレースをリードした。ヴォルフは、現行規則にも改善余地はあるとしながら、ショーとしての可能性はすでに示されていると見ている。

    「素晴らしいレースだった。首位争いがあり、中団でもバトルがあった。我々はエネルギーマネジメントとエネルギー部門で、他より後手に回った部分があった。そして、それは見事だった」

    中期的な改善案はストレートラインモード強化
    ヴォルフは、短期的な規則変更には反対しながらも、中期的な微調整には前向きだ。特にストレートラインモードの強化を求めている。

    「中期的に調整し、最適化できるか。私は絶対にできると思う。我々はショーをさらに良くすることに反対することは決してない」

    「私はSMモードのことを考えている。SMモードでは、もっとストレートスピードが必要だ。そこは勇気を持ってやる必要がある」

    「中期的には反対していない。ICEからもう少しパフォーマンスを引き出せるなら素晴らしい。ただし、実際にそれを行えるだけの十分な準備期間を与えてほしい」

    メルセデスは開幕4戦を終えてコンストラクターズ選手権をリードし、ドライバーズ選手権でもアントネッリが100ポイントで首位、ジョージ・ラッセルが80ポイントで続いている。F1のV8復活論は勢いを増しているが、ヴォルフの発言は、単なるノスタルジーではなく、メーカー参戦の現実と技術的な方向性を両立させる必要があることを示している。

  • F1のV8復活論にフェラーリも前向き アウディは現行PU支持

    F1のV8復活論にフェラーリも前向き アウディは現行PU支持

    2026年の新PUレギュレーションを巡り、F1パドックでは早くも“V8回帰論”が議論の的となっている。持続可能燃料の導入によって、将来的に自然吸気V8エンジンへ戻る可能性も取り沙汰されるなか、各メーカーやチーム代表の間では温度差も浮き彫りになっている。

    アウディは現行ハイブリッド路線を支持する一方で、フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは「エンジン予算削減」を重要テーマとして提示。サウンドやエンターテインメント性だけでなく、F1の将来像そのものを巡る議論が本格化しつつある。

    アウディは現行PUレギュレーションを擁護
    2026年からF1にワークス参戦するアウディは、現行PUレギュレーションの成立を強く後押ししてきたメーカーのひとつだ。

    そのため、将来的なV8復活論についても、アウディ側は慎重なスタンスを崩していない。

    アウディの責任者であるマッティア・スピーニは、現在のF1について次のように語った。

    「まず強調したいのは、我々のドライバーたちは現在のフォーマットを評価しているということだ。過去とは大きく異なるが、誰もがこの変化に適応しなければならない」

    「レースを見ても、ファンにとって素晴らしいショーになっている。開幕戦からオーバーテイクがあり、大きなレギュレーション変更にもかかわらず接戦が実現している」

    さらにスピーニは、現在のF1が依然として“技術革新の最前線”である点を強調した。

    「F1は依然として最先端技術のプラットフォームだ。ファンも、その背後にある技術的挑戦を理解している」

    「将来についてはまだ早い段階だが、FIAとは今後について議論を始めている。我々はF1にとって何がベストかを話し合っていく」

    ジェームス・ボウルズは“V8サウンド”を歓迎
    一方、PUメーカーを持たないウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表は、より率直に“V8回帰”への思いを口にした。

    「私はPUメーカーではないから、あくまで個人的な意見になる」

    「だが、FIAとチームは非常に協力的に議論を重ねている。現在のプロダクトが十分なのか、どこを改善すべきなのかを話し合っている」

    「必要なら今後も変更を検討していくことになるだろう」

    そのうえで、ボウルズは率直にこう語った。

    「私はV8復活を歓迎したい。あの時代が恋しい」

    フェラーリF1代表バスールが重視する“予算問題”
    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、V8議論について“感情論”だけでなく、F1全体のコスト問題という現実的な側面を強調した。

    「我々は素晴らしいレースを見ている。オーバーテイクも多い」

    「人工的だと感じる人もいるかもしれないが、DRSより人工的ではない」

    現在のエネルギーマネジメント主体のレースについても、バスールは一定の評価を与えている。

    「これは単にボタンを押すだけではない。ドライバーやチームによるエネルギーマネジメントだ」

    「我々は毎戦後にFIAと協力しながら改善を進めている」

    その一方で、将来的なPU議論では“予算削減”が極めて重要だと指摘した。

    「将来については複数のエンジン案がテーブルに載っている」

    「だが最初から我々が念頭に置いているのは、天文学的なエンジン予算を削減することだ」

    「これはPUメーカーだけでなく、カスタマーチーム、そしてF1全体の利益にも関わる問題だ」

    F1 V8 / V型8気筒

    F1は“サウンド”か“効率”かの時代へ
    2026年レギュレーションは、電動比率を大幅に高めた新世代PUとして導入された。しかしその一方で、ドライバーやファンの間では「F1らしいサウンド」を求める声も根強い。

    今回の議論では、単なる懐古主義ではなく、技術革新・持続可能燃料・コスト削減・エンターテインメント性という複数のテーマが複雑に絡み合っている。

    FIAとFOM、そして各メーカーが今後どの方向へ舵を切るのか。V8復活論は、すでにF1の次なる時代を巡る本格的な政治テーマになり始めている。

  • F1のV8復活論に追い風 フォードとGMも支持表明

    F1のV8復活論に追い風 フォードとGMも支持表明

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムが「実現する」と発言したことで、F1におけるV8エンジン復活論が一気に現実味を帯び始めている。これまで慎重姿勢だったメーカー勢からも前向きな声が相次ぎ、2026年F1レギュレーション導入前にもかかわらず、すでに“次の次”のパワーユニット論争が動き始めた。

    特に注目されるのは、アメリカ勢の明確な支持だ。キャデラックF1として参戦するゼネラルモーターズ、そしてレッドブルと組むフォードの双方が、V8復活に好意的な姿勢を公に示している。

    フォードとGMがV8支持を明言
    デトロイト・ニュース紙に対し、フォードのレーシング部門責任者マーク・ラッシュブルックは次のように語った。

    「FIAとF1がすでに次のレギュレーションについて議論しているのを見るのは素晴らしいことだ」

    「我々はこのスポーツのステークホルダーであり、自分たちの見解を共有していく」

    「当然ながら、多くの自然吸気V8を生産している企業として、ここでV8を見たいと思っている」

    キャデラックF1の母体となるGMの社長マーク・ロイスも、同様の立場を示した。

    「私はV8とそのサウンドが大好きだ」

    「ただ、V6ハイブリッドに多額の投資をしてきたメーカーへの敬意も持っている」

    「だからF1、FIA、そしてチームが“V8へ行く”と決めるなら、我々は準備ができている」

    メルセデスF1も容認姿勢
    パドック内部でも流れは変わりつつある。メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、V8回帰に対してオープンな立場を示した。

    「我々は新しいエンジンレギュレーションに対してオープンだ」

    「V8エンジンには良い思い出しかないし、我々にとっては“真のメルセデスエンジン”だった」

    その一方で、完全な自然吸気回帰には慎重な姿勢も見せている。

    「もし突然、自然吸気エンジンへ完全回帰するなら、少し時代遅れに見えるかもしれない」

    「おそらく内燃エンジンで800馬力、そこに電動パワー400馬力を組み合わせる形が考えられる」

    これは現在の“電動50%時代”から完全に逆戻りするのではなく、V8+高出力ハイブリッドという折衷案を示唆した発言とも受け取れる。

    V8 / V型8気筒

    レッドブルF1も賛成 フェラーリはコスト削減重視
    新PUプロジェクトに巨額投資を続けるレッドブル・フォード・パワートレインズも、この議論に前向きだ。ローラン・メキースは次のように語った。

    「レッドブル・フォード・パワートレインズは、このアイデアにかなりオープンだ」

    「我々はこの世代のパワートレインをゼロから開発しなければならなかった。同時に、新たな挑戦には興奮している」

    一方、フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、技術思想よりもコスト面を問題視している。

    「異常なほど膨れ上がったエンジン予算を削減することが極めて重要だ」

    “2031年V8回帰”は現実路線になりつつある
    今回の発言群が示しているのは、V8復活論がもはや“懐古主義”ではなく、現実的な政治テーマになっているという点だ。

    FIAはすでに2031年を視野に、より軽量・低コスト・高音量なエンジンへの移行を検討しているとされる。さらに一部では、2026年F1レギュレーションの複雑さやコスト増への不満から、「もっと早い段階で方向転換が起きる可能性」まで囁かれ始めている。

    特に今回、メルセデス、フォード、GMという大手メーカーが相次いで肯定的な姿勢を示したことで、“V8復活”は単なるファン向けの理想論から、一気に現実味を帯び始めた。

  • FIA会長が警戒 トト・ヴォルフのアルピーヌF1関与に「反対」

    FIA会長が警戒 トト・ヴォルフのアルピーヌF1関与に「反対」

    マクラーレンのザク・ブラウンが提起した“チーム間の相互依存”問題が、F1パドックに新たな政治的緊張を生み出している。

    その議論の中心にあるのが、メルセデスF1のチーム代表であるトト・ヴォルフによるアルピーヌへの出資計画だ。FIAのモハメド・ビン・スライエム会長もこの問題に言及し、慎重な姿勢を示している。

    ブラウンが問題提起した“チームB”構造
    F1パドックで現在進行中の政治的対立のひとつが、いわゆる“チームB”の存在だ。

    マイアミGPを前に、マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンはこの構造を強く批判した。レッドブルが長年にわたり2チーム体制を維持している点に加え、フェラーリとハースF1チームの技術・人材面での密接な関係、さらにトト・ヴォルフとメルセデスがアルピーヌの株式取得を検討している点にも疑問を投げかけた。

    現在、アルピーヌは投資ファンドによって売却が進められており、ヴォルフとメルセデスは約24%の株式取得に向けた交渉を行っているとされる。

    ベン・スライエムは“個人的に反対”と明言
    こうしたブラウンの問題提起に対し、FIA会長のモハメド・ビン・スライエムも反応を示した。

    「もしそれが、他者に取得させないためや、レギュレーションに関する投票権を強めるためでないのであれば、ある程度は理解できるかもしれない。しかし一般的に言えば、2つのチームを所有することは正しい方向ではないと考えている」

    「これはあくまで私個人の見解だが、この問題は非常に複雑であり、現在も検討を続けている」

    この発言は、FIAとして正式な規制に踏み込む可能性を示唆するものではないが、トップ自らが否定的な見解を示したことは無視できないシグナルとなっている。

    ヴォルフの意図とパドックの思惑
    パドックでは、かつてレッドブルのチーム代表だったクリスチャン・ホーナーもアルピーヌへの関与に関心を示していたとされる。

    そのため、ヴォルフによる出資検討は、長年のライバルを排除する意図があるのではないかとの憶測も流れた。しかし、この見方についてヴォルフ本人は否定している。

    それでも、今回の問題は単なる投資案件にとどまらず、F1における“勢力図”や“影響力”に直結するテーマであることは明らかだ。

    レッドブル体制にも波及する可能性
    仮にFIAがチーム間の相互依存や複数チーム所有に対して厳格な姿勢を打ち出した場合、その影響はヴォルフとアルピーヌの関係にとどまらない。

    レッドブルが長年維持してきた2チーム体制の正当性も、改めて議論の対象となる可能性があるためだ。

    今回の発言が単なる個人的見解にとどまるのか、それとも将来的なルール変更の前触れとなるのか。F1の政治構造を揺るがす議論は、今後さらに激しさを増していくことになりそうだ。

  • メルセデスF1がV8復活案を支持 1200馬力の「メガエンジン」構想

    メルセデスF1がV8復活案を支持 1200馬力の「メガエンジン」構想

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムが進めるF1のV8エンジン復活案に、メルセデスが支持の姿勢を示した。現行の2026年F1パワーユニットが導入されたばかりのなか、FIAは2031年までに、より安価で軽量なV8エンジンへ移行する計画を前進させている。

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、完全な内燃機関回帰ではなく、バッテリーによる電動要素を残したうえで、内燃機関800馬力+電動400馬力以上という「1200馬力級」の新世代パワーユニット構想に前向きな考えを示した。

    FIAが進めるV8復活案 2031年までに実現へ
    モハメド・ビン・スライエムはF1マイアミGPで、現行のターボハイブリッドに代わる新たなV8パワーユニット計画をFIAが進めていると語った。新エンジンは、より安価で軽量、電動化は「小規模」にとどめる方向で検討されている。

    導入時期は遅くとも2031年とされ、十分な支持が得られれば2030年への前倒しもあり得るという。

    「私は前向きだ。彼らはそれを実現したがっている」とビン・スライエムはロイターに語った。

    「だが、仮にメーカーが2030年の導入を承認しなかったとしても、その翌年には実現する。2031年にはいずれにせよ決まっている。実現する」

    現行の2026年F1パワーユニットは、内燃機関と電動パワーをほぼ50対50に近づける設計思想を持つ。メーカー側が支持してきたこの方向性から、V8復活は大きな転換となる。

    ヴォルフ「我々はV8を愛している」
    トト・ヴォルフはThe Raceの質問に対し、新たなエンジンレギュレーションに前向きな姿勢を示した。

    「我々は新しいエンジンレギュレーションにオープンだ」

    「我々はV8を愛している。そこには素晴らしい思い出しかないし、我々の視点では純粋なメルセデスエンジンだ。高回転で回る。そして、現実世界とのつながりを失わないために、バッテリー側から十分なエネルギーをどう与えるかということだ」

    ヴォルフは、バッテリーの役割を大きく後退させるのではなく、史上最も強力なF1パワーユニットの中核要素として電動エネルギーを組み込む案を示した。

    「もし100%内燃機関へ振り切れば、2031年や2030年には少し馬鹿げて見えるかもしれない」

    「そこは考慮する必要がある。よりシンプルにし、メガエンジンにする。おそらく内燃機関から800馬力を引き出し、その上に400馬力、あるいはそれ以上の電動エネルギーを載せることができる」

    「我々は完全に前向きだ。ただし、その議論が構造的に行われ、人々に配慮がなされ、関係者が取り込まれることが条件だ」

    「最近のメーカーの財政的現実も我々は認識している。簡単ではない。だが、善意をもって実行されるのであれば、本物の、本物のレーシングエンジンで戻ってくることに我々も加わる」

    V型8気筒 F1

    レッドブルも支持 メキース「新たな挑戦に興奮している」
    V8復活案への支持はメルセデスだけにとどまらない。現行レギュレーションに向けてレッドブル・フォード・パワートレインズを立ち上げ、多額の投資を行ってきたレッドブルも、次世代構想に前向きな姿勢を示している。

    チーム代表のローラン・メキースは語った。

    「レッドブル・フォード・パワートレインズとして、我々はかなり前向きだ。このパワーユニットに取り組むためにゼロから始めなければならなかったが、出発点は悪くないと思っている」

    「明日の新たな挑戦にはかなり興奮している。我々はおそらく、もう少し柔軟で独立している」

    レッドブルにとって、現行パワーユニットへの投資は大きい。それでもメキースの発言は、V8復活が単なる懐古路線ではなく、コスト、独立性、競争環境を含めた次世代F1の設計問題として受け止められていることを示している。

    焦点はコスト削減 フェラーリも優先事項に
    F1 CEOのステファノ・ドメニカリも以前、次世代レギュレーションではパワーユニットのコスト削減が不可欠だとThe Raceに語っている。これはフェラーリにとっても重要な論点だ。

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは語った。

    「最初から我々の頭の中にはひとつのパラメーターがある。それはエンジンの狂ったような予算を削減することだ」

    「これはメーカーのためでもあり、カスタマーのためでもあり、F1の利益のためでもある」

    V8復活案は、サウンドや軽量化といったファンに分かりやすい魅力だけでなく、メーカーとカスタマーチーム双方のコスト構造をどう抑えるかという現実的な課題とも結びついている。

    2030年または2031年に向けた議論は、単にエンジン形式を戻す話ではない。F1がどこまで電動化を残し、どこまで内燃機関の魅力を取り戻すのか。そのバランスが、次世代レギュレーションの最大の争点になりつつある。

    Source: The Race

  • 「メーカーの賛成は不要」 F1にV8エンジン復活へFIA会長が強行姿勢

    「メーカーの賛成は不要」 F1にV8エンジン復活へFIA会長が強行姿勢

    F1界に激震が走る。FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエム会長が、ファンの切望する「V8エンジン」の復活に向け、パワーユニットメーカーとの対立も辞さない構えを明確にした。

    スライエム会長は、2030年の導入を目標に掲げつつ、仮にメーカー側の合意が得られなかったとしても、2031年には「FIAの単独権限」でレギュレーションを強行できると言明。ハイブリッド比率50%を目指す2026年規定がスタートする前から、F1の勢力図を根底から覆す「メーカー支配からの脱却」を宣言した形だ。

    2031年は投票不要 FIAが単独で決定可能
    スライエム会長はロイター通信に対し、F1が再びV8エンジンへと回帰するのは避けられない流れであると強調した。その言葉に迷いはない。

    「それは起きる。時間の問題だ」

    特筆すべきは、これまでF1の意思決定を左右してきた「パワーユニットメーカー(PUメーカー)」の合意さえも、今後は必須ではないと明言したことだ。

    「2031年にはFIAが単独で実行できる。パワーユニットメーカーの投票は必要ない。それがレギュレーションだ」

    現在の規約では、2030年までのルール変更には6メーカー中4社の賛成が必要な「セーフガード」が存在する。しかし、スライエム会長はその期限が切れる翌2031年を“デッドライン”に設定し、法的権限を持ってV8導入を断行する構えだ。

    メーカー主導からの転換 F1の意思決定が変わる
    なぜ、FIAはここまで強硬なのか。そこには現行の2026年レギュレーション策定プロセスへの強い反省がある。

    2022年に合意された次世代ルールは、当時の自動車業界の急進的な電動化シフトを反映したものだった。しかし、現在は世界的に内燃機関(ICE)の価値が再評価されるなど、潮流が変化している。

    メーカーの顔色を伺いすぎた結果、F1は「電動比率50%」という極めて複雑で重量のあるパワーユニットを採用することになった。スライエム会長は、こうした「メーカー主導のルール作り」がレースの質やコスト面で課題を招いていると見ており、主導権をFIAの手に取り戻そうとしている。

    V型8気筒 フォーミュラ1エンジン 国際自動車連盟

    V8回帰は「軽量・単純化」の象徴
    スライエム会長がV型8気筒エンジンにこだわる理由は、ファンが求める「F1の原点」への回帰に他ならない。

    「最も人気があり、扱いやすいのはV8だ。サウンドがあり、複雑さが少なく、そして何より軽量だ」

    「ごくわずかな電動化は残るが、主役はエンジンになる」

    現在のハイブリッドシステムが抱える「重すぎる」「静かすぎる」という欠点を、100%持続可能燃料(e-fuel)を用いたV8エンジンによって解決する。これは単なる懐古主義ではなく、最新技術をファンが喜ぶパッケージで包み直す戦略と言える。

    2030年前倒し導入を狙うも最終ラインは2031年
    FIAのターゲットは2030年だが、たとえメーカーが反対し続けても、その1年後には「強制執行」という切り札が待っている。

    「我々は1年前倒し(2030年)での導入を望んでいる。しかし仮にメーカーが同意しなくても、その翌年には実現する」

    「これは支持を得るかどうかの問題ではない。実行されるのだ」

    この発言は、メーカーの撤退を恐れて妥協を繰り返してきたこれまでのF1の歴史に終止符を打つものだ。V8エンジンの復活は、マシンが奏でる咆哮だけでなく、FIAが再びF1の絶対的な統治者として君臨する時代の幕開けを象徴している。