カテゴリー: F1マシン

  • ステファノ・ドメニカリ F1のV8エンジン回帰を“1000%支持” PU内戦が激化

    ステファノ・ドメニカリ F1のV8エンジン回帰を“1000%支持” PU内戦が激化

    2026年F1レギュレーションを巡る“内戦”が、カナダGPを経てさらに激化している。電動化比率を大きく高めた現行PU規則に対し、ドライバーや一部チームから不満が噴出する中、F1 CEOステファノ・ドメニカリは将来的なV8自然吸気エンジン回帰を「1000%支持する」と明言した。

    2027年以降に電動比率を現在より抑えた「60:40」構成へ変更する議論が進む一方で、フェラーリやアウディは慎重姿勢を崩していないとされる。

    そこへマックス・フェルスタッペン、ルイス・ハミルトン、カルロス・サインツらも現行規則への不満を改めて表明し、F1の将来像を巡る政治的対立が表面化している。

    ハミルトンとストロールが現行PUに不満
    ルイス・ハミルトンは、カナダGPで2位表彰台を獲得したにもかかわらず、現在のF1マシンに違和感を隠さなかった。

    「モータースポーツ本来の姿には感じない」とハミルトンは語った。

    「ストレートの最後までエンジンを回し切って、ずっと伸び続ける感覚があった。V8やV10時代はそうだった」

    アストンマーティンのランス・ストロールはさらに踏み込んだ。

    「僕に決定権があるなら、バッテリーなんて一切いらない」とストロールはコメント。

    「運転するのはドライバーだけど、ルールを決めるのはメーカー側なんだ」

    ウィリアムズのカルロス・サインツも、現在検討されている“60:40”案ですら十分ではないとの考えを示した。

    「電動部分は補助的な存在であるべきだ。今みたいに依存するものではない」とサインツは語った。

    「60:40でも、ドライバー視点ではまだ十分じゃない。でも2030年に“本当のレーシング”と“本物のエンジン”が戻るまでの繋ぎにはなるかもしれない」

    マクラーレンとレッドブルは規則変更を支持
    一方で、マクラーレンとレッドブルは早期のルール修正を支持している。

    マクラーレンF1代表アンドレア・ステラは、各メーカーが自チームの利益だけでなくF1全体を考える必要があると強調した。

    「これは個人的利益よりも優先されるべき“共有の利益”だ」とステラは述べた。

    「良いスポーツでなければ、F1のビジネス価値を守れなければ、最終的に全員が損をする」

    表向きにはメルセデスも妥協に前向きな姿勢を見せている。しかしカナダGPで再び高い競争力を示したことで、パドック内では“現行規則維持を最も望んでいるのはメルセデスではないか”との見方も強まっている。

    ラッセルは新世代PUを擁護
    そんな中で、新規則を最も強く擁護したのがジョージ・ラッセルだった。

    ラッセルはカナダGPでアンドレア・キミ・アントネッリと激しいバトルを展開し、それこそが新世代F1の成果だと主張した。

    「こんなバトルは何年も経験していない」とラッセルは語った。

    「2014年のルイスとニコ以来だと思う。この新しいマシンだから可能なんだ。このエンジンだから可能なんだ」

    さらにラッセルは、フェルスタッペンを名指しこそ避けたものの、なぜそこまで急いで規則変更を求めるのか理解できないとも発言した。

    「なぜ誰かがルールを変えたがるのか分からない」とラッセルはコメント。

    「メルボルンでも良いバトルがあった。中国でもそうだった。そして今週末もキミと素晴らしい戦いができた」

    ドメニカリはV8回帰を全面支持
    こうした議論が続く中、F1 CEOステファノ・ドメニカリは、2030年または2031年に自然吸気V型8気筒エンジンへ回帰する構想を改めて支持した。

    「私は1000%V8に賛成だ」とドメニカリは仏『レキップ』紙に語った。

    ドメニカリは、軽量化されたマシンとシンプルなエンジンこそが「モータースポーツの純粋な本質」だと説明している。

    元F1王者エマーソン・フィッティパルディも、将来的な大音量エンジン復活を支持した。

    「F1は常にF1だ」とフィッティパルディは語った。

    「これほど大きな技術変革なのだから、改善すべき部分があるのは当然だ」

    そして、かつての時代で最も恋しいものを問われると、フィッティパルディは即答した。

    「自然吸気エンジンだ。あの素晴らしいサウンドが今は少し失われている」

  • 富士F1開催50周年企画展『知られざる富士の激闘』開催決定

    富士F1開催50周年企画展『知られざる富士の激闘』開催決定

    富士モータースポーツミュージアムは、1976年に富士スピードウェイで日本初のF1が開催されてから50周年を迎えることを記念し、特別企画展『知られざる富士の激闘』を開催する。

    展示期間は2026年6月16日から2027年1月31日まで。会場は富士モータースポーツミュージアム内2階展示エリアで、1976年と1977年の富士F1を彩った参戦車両や関連資料を通じて、日本にF1が初上陸した時代の熱狂と舞台裏を振り返る。

    日本初のF1開催から50年 富士に刻まれた“激闘”を再現
    1976年、富士スピードウェイでは日本初、さらに東洋初となるF1世界選手権イン・ジャパンが開催された。当時の日本の自動車産業はオイルショックや排ガス規制の影響を受け、モータースポーツ界も厳しい時期にあったが、世界最高峰のレースを日本で開催したいという関係者の情熱と、それを待ち望んだファンの熱気が歴史を動かした。

    本企画展では、記録的な豪雨の中で行われた1976年の富士決戦を中心に、ニキ・ラウダとジェームス・ハントのタイトル争い、マキやコジマといった日本勢の挑戦、そしてサーキット周辺の職人たちが支えた知られざる舞台裏に焦点を当てる。

    ティレルP34やコジマKE007など伝説のF1マシンを展示
    展示車両には、F1史上唯一実戦投入された6輪車として知られるティレルP34、純国産マシンとして世界を驚かせたコジマKE007とコジマKE009、1977年にジョディ・シェクターのドライブで3勝を挙げたウルフWR1が含まれる。

    さらに、純国産プライベーターとして海外へ挑んだマキ・エンジニアリングのマキF101モノコック/カウルも参考展示される。展示車両は企画展後半にかけて追加される予定となっている。

    ティレル P34
    ティレル P34

    コジマKE007
    コジマKE007

    ウルフWR1
    ウルフWR1

    コジマKE009
    コジマKE009

    マキF101モノコック/カウル
    マキF101モノコック/カウル

    コジマKE007を支えた“大御神レース村”の物語
    本展の大きな見どころのひとつが、コジマ・エンジニアリングと大御神地区の職人たちの物語だ。

    1976年の富士F1で、長谷見昌弘がドライブしたコジマKE007は予選で一時4番手のタイムを記録し、海外の強豪チームを驚かせた。しかし、その後のクラッシュで大きなダメージを負う。決勝出走が危ぶまれる中、富士スピードウェイのふもとに集まった職人たちがわずか1日半でマシンを修復し、豪雨の決勝へ送り出した。

    この企画展では、単なるレース結果だけでなく、日本の技術者や職人たちの執念が、いかにして世界最高峰の舞台に挑んだのかを紹介する。

    F1人気を支えた当時の文化資料も展示
    会場では、当時のF1文化を伝える資料も展示される。人気F1漫画の原画複製、1976年当時の排気音を収めたレコード音声、激戦を記録した映像などを通じて、レースそのものだけでなく、F1が日本のファン文化に与えた影響もたどる内容となる。

    開催概要は以下の通り。

    ■ 企画展名称:富士F1開催50周年企画展『知られざる富士の激闘』

    ■ 展示場所:富士モータースポーツミュージアム内 2F展示エリア

    ■ 展示期間:2026年6月16日(火)~2027年1月31日(日)

    ■ 入館料金:通常入館料金で観覧可能

    ■ 展示車両:1976年、1977年の富士F1参戦車両など。追加予定あり

    富士で初めてF1が開催されてから50年。『知られざる富士の激闘』は、雨の最終戦として語られる1976年の日本GPを、マシン、資料、映像、そして日本のものづくりの視点から見つめ直す企画展となる。

  • ヘルムート・マルコ 2026年F1規則を酷評「ライブタイミングは意味がない」

    ヘルムート・マルコ 2026年F1規則を酷評「ライブタイミングは意味がない」

    ヘルムート・マルコは、2026年F1レギュレーションの複雑化によって、レース観戦時に使用していた“セカンドスクリーン”を諦めたと明かした。

    レッドブルF1の元アドバイザーであるマルコは、電動比率が大幅に高まった2026年規則を以前から強く批判してきたひとりだ。特にエネルギーマネジメントやバッテリー運用の重要性が増したことで、レース展開が外部から極めて分かりづらくなっていると指摘している。

    「誰がフルバッテリーなのか分からない」
    オランダ紙『De Telegraaf』の取材に応じたヘルムート・マルコは、現在のF1中継ではライブタイミングを見ても状況を把握しづらいと不満を口にした。

    「最初は2画面で見ていたが、今はテレビ1台だけで見ている」とマルコは語った。

    「タイム表示用の2画面目にはあまり意味がなかった。誰がフルバッテリーで、誰がそうでないのか分からないからだ」

    現在のF1では、電力デプロイメントや回生状況によってラップタイムの意味合いが大きく変化する。しかし、その重要情報が視聴者に十分共有されていないことが、観戦体験を難解にしているというのがマルコの主張だ。

    「F1はもはや昔のF1ではなくなってしまった」

    2027年規則変更と“V8回帰”への期待
    マルコは、将来的なエンジン簡素化によってF1本来の姿が戻ることを期待している。

    「V8エンジンが早く戻ってくることを願っている」

    F1ではすでに2027年に向けたレギュレーション調整が議論されており、現行の“50対50”電動比率から、内燃機関寄りの“60対40”へシフトする案が浮上している。

    2026年規則は、環境性能と技術革新を重視した結果としてエネルギーマネジメント主体のレースになったが、その一方で「分かりやすさ」を犠牲にしているという批判は少なくない。マルコの発言は、長年F1を見てきた関係者でさえ現在のレースを直感的に理解しづらくなっている現状を象徴している。

    マックス・フェルスタッペンへの絶対的評価
    一方でマルコは、苦戦が続くレッドブルについても、マックス・フェルスタッペンの能力だけは依然として別格だと強調した。

    「レッドブルは他のトップチームに遅れを取っている。それでもマックスは再びマイアミでフロントローにマシンを並べた」

    「適切なマシンさえあれば、彼は誰にもできない何かを持ち込める」

    さらにマルコは、満員となったニュルブルクリンク24時間レースでのフェルスタッペンの走りにも言及。別媒体『f1-insider.com』では、次のように最大級の賛辞を送っている。

    「マックスは史上最高のレーシングドライバーかもしれない」

    「彼はノルドシュライフェでもそれを改めて証明した。あのパフォーマンスは彼の評価をさらに高めるものだった」

  • F1“純粋主義者”との距離縮まる? ステファノ・ドメニカリがV8回帰論に言及

    F1“純粋主義者”との距離縮まる? ステファノ・ドメニカリがV8回帰論に言及

    F1のステファノ・ドメニカリCEOが、2026年レギュレーションを巡る“純粋主義者”からの批判に反論する一方で、将来的なV8回帰論にも言及した。

    2026年F1は、50対50のハイブリッド出力配分と大規模なエネルギーマネジメントを軸にした新世代PUレギュレーションを導入。しかし開幕前テストから、「リフト・アンド・コーストが多すぎる」「電動化が行き過ぎている」といった批判が噴出していた。

    “純粋主義者”の批判には反論
    ドメニカリはイタリアのRadio 24で、こうした批判の多くは“誇張されている”との考えを示した。

    「私は1990年代からこのスポーツに関わっている。こういうコメントは昔からずっと見てきたので驚きはなかった」

    「特にグリッド後方のチームが、数年前から全員が理解していたレギュレーションの限界を強調していたことは明白だった」

    近年のF1では、“昔ながらのF1”を求めるファンや関係者から、エンジン音の静かさや省エネ走行の増加、複雑化したPUへの不満が噴出している。こうした層はしばしば“純粋主義者”と呼ばれている。

    ただドメニカリは、現在の方向性はメーカー参戦維持のために不可欠だったと主張した。

    「レギュレーション変更には常に理由がある。好きか嫌いかは別として、このタイプのPUが必要だったからこそ、現在のメーカーがF1世界選手権に参戦している」

    一方でV8回帰論にも含み
    しかしその一方で、ドメニカリは次世代PUについては“より伝統的な方向”へ向かう可能性も認めている。

    「次のサイクルでは、メーカー側の状況も変化している。PUはより伝統的な方向へ戻っていくだろう」

    「マシンはより軽くなり、持続可能燃料を使う形になる」

    現在FIA内部では、将来的なV8エンジン復活や、ICE(内燃機関)比率を高める方向性が議論されている。

    これは、大音量エンジンや軽量マシン、よりシンプルなPU、そして“全開”で戦うF1を望む純粋主義者の考え方とも重なる部分が多い。

    つまりドメニカリは、「2026年の方向性は必要だった」と擁護しながらも、「将来的にはより伝統的なF1へ戻る可能性」にも言及した形だ。

    V型8気筒 F1レギュレーション

    “リフト・アンド・コーストは昔からあった”
    2026年序盤に最も議論を呼んだのが、エネルギー節約のためのリフト・アンド・コーストだった。

    しかしドメニカリは、それを“現代F1だけの問題”として扱う風潮にも異論を唱えた。

    「1980年代にもリフト・アンド・コーストは存在していた。それを忘れてはいけない」

    さらに、マイアミGP以降は“技術的議論”そのものが落ち着き始めているとも主張した。

    「最初の3戦、特にマイアミ以降では、純粋主義者向けの技術的議論はすでに消えつつある」

    「我々は来年に向けて対策を講じているし、批判を最小化するための措置も取っている」

    “陰謀論”も否定
    ドメニカリは、2026年レギュレーションが特定メーカーに有利になるよう政治的に作られたという一部の見方についても否定した。

    「私はこのレギュレーションを書いていないし、リバティ・メディアが押し付けたわけでもない」

    「これは数年前にFIAとメーカーの間で合意されたものだ」

    「巨大な陰謀の結果のように語るのは子供じみている。誰の陰謀だ? 何のために?」

    F1人気拡大を強調
    ドメニカリは最後に、現在のF1人気そのものが“失敗論”への反論だと強調した。

    「今のF1は史上最大の人気を誇っている」

    「若者や女性のファン層もかつてないほど拡大している」

    その上で、現在の成功は2026年規則以前から築かれていたとも語っている。

    「これは新しい技術規則のおかげではない。フェルスタッペンのレッドブルが支配していた旧規則時代から、すでにその流れは確立されていた」

  • 2026年F1レギュレーションに再び修正論 FIAが“電力問題”再検証

    2026年F1レギュレーションに再び修正論 FIAが“電力問題”再検証

    2026年F1レギュレーションを巡る議論が、再び大きく動き始めている。FIA、FOM、各チームは会合を開き、マイアミGPで導入された“応急処置”的なルール修正が本当に効果を発揮したのかを検証した。

    バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止によって生まれた5週間の空白期間を経て、マイアミでは改訂版パッケージが初投入された。しかし、F1パドックでは「根本問題は解決していない」との見方が依然として強い。

    2026年F1の“エネルギー不足問題”は未解決
    特に懸念されているのが、モントリオールのような全開区間の長いサーキットだ。

    独Auto Motor und Sport誌は、「充電オプションが十分ではない」と指摘。さらに、ドライバーたちは長いフルスロットル区間で予定より早く電力を使い切る可能性があると報じている。

    現在の2026年F1パワーユニットは、内燃エンジンと電力出力の比率をほぼ50対50に設定している。しかし、この配分そのものが“レースを不自然にしている”との批判が強まりつつある。

    そのため、議論のひとつとして浮上しているのが、燃料流量や燃料搭載量を増やし、内燃エンジン側の比率を引き上げる案だ。

    アルピーヌ「2027年導入なら今すぐ決断が必要」
    ただし、こうした変更は単なるソフト修正では済まない。

    アルピーヌのスティーブ・ニールセンは、「もし2027年から実施するつもりなら、我々は実質的に“今”知る必要がある」と警告した。

    「我々は現在、次世代マシンのアーキテクチャを最終決定している段階だ」

    つまり、レギュレーション変更はすでに設計工程そのものに影響を与え始めている。

    マクラーレンは“回生能力強化”を提案
    マクラーレンのアンドレア・ステラは、問題はエネルギー使用量ではなく“回生量の不足”にあると分析している。

    「1周の中にはエネルギーを使う場所はたくさんあるが、回収できる場所は少ない」

    そのうえで、回生能力そのものを引き上げる案を提示した。

    「例えば、充電能力を350kWから400kW、あるいは450kWまで引き上げることも考えられる。より大型のバッテリーも助けになるだろう」

    ただし、ステラも2027年対応には現実的な限界があると認めている。

    「エンジンメーカーのリードタイムは非常に長い。我々には来季まで、それほど時間が残されていない」

    さらに、「可能な対策についての議論は夏休み前までに終えるべきだ」と訴え、現実的には2028年導入が妥当との見方を示した。

    フェラーリは“V8回帰論”にも冷静姿勢
    一方で、2030〜2031年に自然吸気V8へ回帰する可能性についての議論も続いている。

    しかし、フェラーリCEOのベネデット・ヴィーニャは、現時点で危機感は抱いていないと説明した。

    「我々は熱、ハイブリッド、電動という3エンジン戦略を継続すると信じている」

    「FIAとの議論は以前から続いている。一定期間ごとにルールを見直す必要があるのは確かだが、我々のロードカー戦略にも影響はない」

    フェラーリとしては、現行のハイブリッド路線を維持する姿勢を崩していない。

    F1首脳陣は“危機ではない”と強調
    F1 CEOステファノ・ドメニカリは、外部からの批判が過熱する中でも、現状を「危機」とは捉えていない。

    「我々には回復力がある」

    「最初は誰もが何かを言うものだ。しかし最終的には、誰かが結論を出さなければならない」

    さらに、「進化はF1の一部であり続けてきた」と強調したうえで、「現時点ではレース自体は本当にエキサイティングだ」と語った。

    ただ、FIA、FOM、チーム、PUメーカー、そしてドライバーたちの間で、2026年F1レギュレーションへの不満が完全に収束していないこともまた事実だ。

    マイアミでの修正は“第一歩”に過ぎず、2027年、さらには2028年に向けて、F1はさらに大きな方向転換を迫られる可能性がある。

    Source: GMM

  • 2027年F1エンジン規則“60対40”合意でも残る火種「問題はどう実現するか」

    2027年F1エンジン規則“60対40”合意でも残る火種「問題はどう実現するか」

    F1の2027年パワーユニット規則をめぐり、内燃機関と電動出力の比率を事実上「60対40」へ見直す方向で合意が示された。しかし、この変更はまだ正式な規則化には至っておらず、実現までには技術、政治、予算の各面で大きな障害が残されている。

    FIAは金曜日、関係者の「全会一致」によって、2027年に向けて電動デプロイ出力を約50kW引き下げ、内燃機関出力を約50kW引き上げる方向で一致したと発表した。

    これは、2026年規則で導入された内燃機関と電動の50対50構成から、より内燃機関寄りの60対40構成へ移行することを意味する。

    合意はしたが、まだ規則にはなっていない
    今回の発表で重要なのは、合意されたのが「方向性」であり、まだ競技規則・技術規則として正式に書き込まれたわけではない点だ。

    金曜日の会合はF1コミッションに近い構成で行われたものの、正式なF1コミッションではなかった。今後は技術諮問委員会で詳細が詰められ、その後パワーユニット諮問委員会での承認を経て、最終的に世界モータースポーツ評議会で批准される必要がある。

    つまり、60対40という数字は共有されても、それをどのような技術的手段で実現するのか、どこまで改造を認めるのか、どの範囲を予算上の例外とするのかは、まだ確定していない。

    最大の問題はホモロゲーションの再開
    現行のホモロゲーション済みハードウェアのまま60対40を実現するのは難しいと見られている。そのため、パワーユニットのホモロゲーションを一部開放する必要が出てくる可能性がある。

    内燃機関の出力を上げるには燃料流量の増加が必要になり、それに伴って燃料タンク容量、車体設計、冷却、バッテリー容量、既存コンポーネントの耐久性にも影響が及ぶ。

    アルピーヌのスティーブ・ニールセンは、燃料タンクを大きくする場合、新しいシャシーが必要になると説明している。そうなれば、2027年に現行シャシーを継続するつもりだったチームも、設計計画を見直さざるを得ない。

    「この数週間で多くのレギュレーション変更があった。少し落ち着いてほしい。来年に向けて今後数カ月で大きな変更が始まれば、我々の対応力は限界まで引き伸ばされることになる」とニールセンは語った。

    予算上限と開発優遇措置も火種になる
    大規模なハードウェア変更が必要になれば、各チームの予算上限にも影響する。各チームは当初、2027年に大幅なパワーユニット関連変更が必要になる前提で予算を組んでいない。

    さらに、後方にいるパワーユニットメーカーに追加のテストベンチ時間やアップグレード機会を与えるADUO制度も複雑さを増す。これは本来、競争力を補正するためのキャッチアップ制度だが、60対40規則への準備にも使えるとなれば、単なる救済以上の意味を持つ可能性がある。

    そのため、競争上の利害は一致していない。ドライバーは現行規則の問題を訴えていても、チームやパワーユニットメーカーが同じ立場とは限らない。

    F1 エンジン

    FIAの発表は政治的圧力でもある
    今回のFIA発表は、単なる技術方針の共有ではなく、政治的な意味も持つ。60対40案を公に示すことで、変更に抵抗するチームやメーカーに対し、世論の圧力をかける狙いがあると見る関係者もいる。

    FIAはドライバー側の不満に寄り添う姿勢を強めている。一方で、FOMや一部チーム、メーカーは2026年規則に対して前向きなコメントも残してきた。マッティア・ビノットやトト・ヴォルフは、マイアミ後に現行規則のレース内容を評価する発言をしており、全関係者が同じ危機感を共有しているわけではない。

    だからこそ、今回の「全会一致」という表現には慎重な見方も必要になる。方向性への合意と、実際の規則変更への賛成は同じではない。

    50対50構想の早すぎる後退
    2026年規則は、内燃機関と電動の50対50構成を大きな柱として導入された。しかし、開幕からわずか数戦で60対40への転換が示されたことは、事実上の方針修正と言える。

    マックス・フェルスタッペンやクリスチャン・ホーナーは、2023年の段階から電動比率の高さがレース内容に悪影響を及ぼす可能性を警告していた。ホーナーは当時、内燃機関側に5〜10%寄せれば問題は解決できると述べており、今回の60対40案はその主張に近い方向となる。

    だが、問題は数字そのものではなく、その数字にどう到達するかだ。ある関係者は金曜日の夜、「数字が問題ないとしても、より大きな問題はそこへどう到達するかだ」と語っている。

    2026年は実戦テストのような状態に
    2026年F1は、シミュレーション上で懸念されていた問題を実戦で確認しながら、規則を修正していく形になっている。マイアミに向けた変更は安全面を理由にFIAが強く主導できたが、2027年の60対40化は同じ理屈では進めにくい。

    本来であれば、これほど大きな規則変更にはミュールカーによる事前テストや、2024年から2025年にかけての実走データ蓄積が必要だったのではないかという疑問も残る。4年間のエンジン凍結を前提とするなら、実戦のチャンピオンシップを使って問題点を洗い出す形は、あまりにリスクが大きい。

    60対40への移行は、F1が2026年規則の問題を認め、手遅れになる前に修正へ動いたという意味では前向きな一歩だ。しかし、ホモロゲーション、シャシー、燃料、バッテリー、予算上限、ADUO、メーカー間の利害が絡む以上、合意はまだゴールではない。

    2027年F1エンジン規則の本当の争点は、「60対40にするか」ではなく、「誰が、どの範囲で、どれだけの負担を受け入れて60対40を実現するか」に移っている。

  • F1のV8エンジン回帰論に警鐘 モントーヤ「当時のレースは退屈だった」

    F1のV8エンジン回帰論に警鐘 モントーヤ「当時のレースは退屈だった」

    ファン・パブロ・モントーヤが、2026年F1レギュレーションを擁護するとともに、加熱するV8エンジン回帰論に対して警鐘を鳴らした。

    2026年のF1は、電動出力への依存度が高まった新世代パワーユニットによって賛否が分かれている。特にドライバーやファンの間では、予選やオーバーテイク時の“バッテリー管理”がレースを複雑化させているとの不満も少なくない。

    2026年F1規則を擁護したモントーヤ
    BBCの『Chequered Flag』ポッドキャストで、1996年F1ワールドチャンピオンのデイモン・ヒルは、2026年型F1について「少し分かりづらい」と語った。

    「いつブーストを使っているのか分からない」

    「突然オーバーテイクが起きる。昔のレースなら、後ろのマシンが徐々に近づいて、仕掛けて、抜いて、そのまま離れていった」

    「でも今は抜いたと思ったら、また抜き返される。何が起きたのか分からなくなる」

    これに対し、モントーヤは即座に反論した。

    「僕はそれが好きなんだ」

    「本当に良いと思う」

    DRSより“戦える”現在のF1
    さらにモントーヤは、2025年限りで廃止されたDRSについて厳しく批判した。

    「僕にとってDRSは本当にナンセンスだった」

    「1秒差というのは十分なギャップだ。それなのにストレートの終わりには簡単に抜かれてしまう。そしてみんな“素晴らしいオーバーテイクだ”と言う」

    「でも実際には何もしていない。ただそこにいただけなんだ」

    モントーヤは、現在のバッテリー主体の駆け引きの方が、防御側にも戦う余地があると説明した。

    「相手が抜きに来ると分かれば、先に回生モードへ入ることもできる」

    「そうすれば次のストレートで余分なエネルギーを使って反撃できる」

    「DRS時代は、抜かれる側はただの“座っている標的”だった」

    F1 V型8気筒 エンジン

    V8回帰論への冷ややかな視線
    一方で、FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、将来的なV8エンジン復活について「実現する」と明言している。

    F1では現在、2030年にもV8エンジンへ回帰する可能性が議論されており、往年の自然吸気時代を懐かしむ声も根強い。

    だが、モントーヤはその“ノスタルジー”に冷ややかな視線を向けた。

    「みんな“君たちの時代は最高だった”と言う。でも当時のレースを見返してみればいい。本当に退屈だ」

    「僕たちドライバーにとってさえ、ただの短いテストセッションみたいな時もあった」

    2027年にはさらなる規則変更も
    F1とFIAは、2026年レギュレーションへの批判を受け、すでに調整へ動き始めている。予選ではバッテリー回生量を減らし、より“全開走行”を増やす方向へ修正。決勝での電動ブースト量も抑制された。

    しかし、多くのドライバーは依然として「小手先の修正に過ぎない」と感じており、より大規模な変更を求めている。

    そして、その大規模改革として浮上しているのが、2027年に向けた内燃エンジンと電動出力の配分変更だ。現在の“50対50”構成を見直し、より内燃エンジン寄りへ移行する案が進められている。

  • F1 V8エンジン回帰論が加速 ステファノ・ドメニカリ「もう時間は多くない」

    F1 V8エンジン回帰論が加速 ステファノ・ドメニカリ「もう時間は多くない」

    ステファノ・ドメニカリは、F1の将来のエンジン規則をめぐる議論が加速するなか、スポーツとして「時間を失いすぎることはできない」と警告した。

    2026年F1レギュレーションはまだ開幕4戦を終えた段階にすぎないが、すでに焦点は次のパワーユニット規則へ移りつつある。議論の中心にあるのは、持続可能燃料を軸にしながら、内燃エンジンの比重を高め、V8エンジンへ回帰する可能性だ。

    2026年規則の課題が早くも次期エンジン議論を加速
    現在のF1パワーユニットは、内燃エンジンと電動要素の出力配分がほぼ50対50に近い構成となっている。しかし、このバランスをめぐってはすでに見直し論が強まっており、FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは以前から、ターボハイブリッド時代以前にファンが慣れ親しんだサウンドを想起させるエンジン規則への回帰を望んでいる。

    ビン・スライエムは最近、そうした変更について「2030年を目標にしている」と語った。

    一方、F1の商業面を統括するドメニカリは、自動車業界の流れは持続可能燃料、ハイブリッド、内燃エンジンの組み合わせに向かっているとしつつ、判断を先送りする余裕はないと強調した。

    「将来の中心には間違いなく持続可能燃料があり、強力な内燃エンジンと、将来の電動化がどのようなバランスになるのかという異なる配分があると見ている」とドメニカリは英オートスポーツ誌に語った。

    「我々は時間を失いすぎることはできない。時間は非常に速く過ぎていくからだ。だから私は以前言ったことに戻る。もし我々が追い込まれないだけの十分な強さを持つ必要があるなら、できるだけ早く決断する必要がある」

    焦点は“50対50”から内燃エンジン重視へ
    ドメニカリの発言は、現行規則の電動化比率を将来的に見直す可能性を示唆するものだ。完全に電動要素を排除するのではなく、持続可能燃料を前提にしながら、内燃エンジンの存在感をより強める方向性が議論されている。

    レッドブルなどは将来的な変更に前向きな姿勢を示しており、メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフも「新しいエンジン規則にはオープンだ」としながら、パワーユニットから電動要素を完全に取り除くことには慎重な姿勢を示している。

    つまり、争点はV8かどうかだけではない。F1がどこまで電動化を残し、どこから内燃エンジンの音、軽量化、シンプルさを優先するのかという、競技の方向性そのものに関わる議論になっている。

    F1 エンジン V型8気筒

    ビン・スライエムはV8回帰を支持
    ビン・スライエムは以前、V10エンジンへの復帰は将来のレギュレーションには適合しない可能性があると述べた一方で、V8内燃エンジンに「ごくわずかな」電動要素を組み合わせる形が望ましいとの考えを示している。

    「最も人気があり、最も扱いやすいのはV8だ」とビン・スライエムは語った。

    「サウンドが得られ、複雑さが少なく、軽量だ」

    「それについてはまもなく聞くことになるだろう。そして、それは非常に、非常に小さな電動化を伴うものになる。だが主役はエンジンだ。現在のような46対54の分配にはならない。電動パワーは非常に最小限になる」

    「V8はフェラーリ、メルセデス、アウディ、キャデラックのロードカーにも見られる。ほとんどのメーカーに存在しており、それが軽量なマシンをもたらす」

    F1は2026年に新しいパワーユニット時代へ入ったばかりだが、すでに次の方向転換をめぐる議論は始まっている。持続可能燃料を前提にしながら、電動化と内燃エンジンの比率をどう再設計するのか。ドメニカリの警告は、F1が技術的にも政治的にも、早急な判断を迫られていることを示している。

  • 2027年F1エンジン規則大転換に賛否 4戦で“50対50”崩壊に業界は何を見た?

    2027年F1エンジン規則大転換に賛否 4戦で“50対50”崩壊に業界は何を見た?

    F1は2027年に向けて、パワーユニット規則の大幅な方向転換に踏み出した。内燃エンジンと電動要素による“50対50”出力配分を事実上見直し、より現実的な60対40に近い構成へ移行する方針で原則合意したことで、業界内では早くも賛否両論が巻き起こっている。

    2026年シーズン開幕からわずか4戦。F1がここまで早い段階で理念の修正に動いたことは、現在のパワーユニット規則が抱える問題の深刻さを示すものでもある。

    『The Race』は、この決定について複数の記者による論評を掲載し、「現実的な修正」と歓迎する声がある一方で、「最初から問題は見えていた」とF1側の対応を疑問視する意見も出ている。

    “物理法則には勝てなかった”という現実
    The Raceのスコット・ミッチェル=マルムは、今回の変更を「絶対に必要だった修正」と評価した。

    現行規則では、バッテリー容量やMGU-Kの制約に対して、回生・放出要求が過大になっており、エネルギー管理とレース性能が両立できていなかったという。

    「F1は巨大な総合出力を掲げながら、それを予選ラップの一部でしか使えない状況に陥っていた」と指摘し、現在の複雑なエネルギーマネジメントは“ナンセンス”だったと断じた。

    さらに、問題点は数年前から議論されていたにもかかわらず、十分な修正が行われなかったと批判。「もっと早く対応できたはずだった」と振り返っている。

    エド・ストローも同様に、「結局は物理法則そのものが、このコンセプトの成立を許さなかった」と指摘した。

    「細かな調整では解決できなかった。数字そのものが成立していなかった」とし、“50対50”という理念自体に無理があったとの見方を示している。

    “ようやく常識が勝った”という歓迎論
    一方で、今回の方向転換を強く歓迎する声も多い。

    ベン・アンダーソンは、「常識が勝利した」と表現。“50対50”構想を「粗悪なエンジンコンセプト」とまで表現し、現在のF1はドライバーがデプロイメントアルゴリズムに縛られ、本来の“攻める走り”ができなくなっていたと指摘した。

    特に問題視されたのは、エネルギー不足による“スーパークリッピンング”だ。ストレート途中で出力が尽きる現象や、コーナー進入で回生を優先しなければならない状況が、ドライバーの自由なアタックを妨げていた。

    アンダーソンは、「フェルスタッペンの批判は単なる不満ではなかった」とも語っており、現場側でも現在のレギュレーションに対する危機感が強まっていたことを示唆している。

    グレン・フリーマンも、「最悪なのは、ミスを認めず問題を放置することだ」としたうえで、わずか4戦で修正に動いたF1の対応には驚きもあると評価した。

    F1 エンジン 国際自動車連盟

    F1は“失敗”したのか それとも“柔軟”だったのか
    今回の議論で興味深いのは、単純な“失敗論”だけでは終わっていない点だ。

    ジャック・ベニオンは、「F1にはPR上の勝機もあった」と指摘する。

    問題を認め、シーズン序盤で方向修正に踏み切ったこと自体は、本来なら“柔軟な統治”として評価できるはずだったという。

    しかしその一方で、F1首脳陣がここまで問題を軽視するようなメッセージを発してきたことには強い違和感を示している。

    「ファンは、彼らが考えている以上に理解力がある」

    そうした言葉からは、F1側が批判を“過剰反応”として扱ってきたことへの不満もにじむ。

    実際、2026年F1レギュレーションは導入当初から、“エネルギー不足”“ストレート失速”“回生優先走行”といった問題が繰り返し指摘されてきた。

    それでもF1は当初、「新時代のレースを受け入れるべきだ」という姿勢を崩してこなかった。

    だからこそ、わずか4戦で“50対50”の理念を実質的に修正する今回の動きは、業界内でも極めて大きなインパクトを持って受け止められている。

    “誰がF1を動かしたのか”という新たな焦点
    今回の急転換を受け、業界内では「誰がこの変更を主導したのか」にも注目が集まっている。

    ドライバーなのか、パワーユニットメーカーなのか、それともテレビ局やプロモーターなど外部勢力なのか。

    The Race記者陣の間でも、「ファンの反発を無視していたF1が、なぜここまで早く動いたのか」という疑問は共通している。

    現時点では詳細な技術内容は今後の協議に委ねられているが、“50対50”という2026年F1規則最大の象徴が、わずか1年で事実上見直される流れになったことだけは間違いない。

    そしてその背景には、“理想”よりも“実際にレースとして成立すること”を優先せざるを得なかった現実がある。

  • F1 2027年に“50対50”パワー配分を廃止へ PU規則変更で60対40案に合意

    F1 2027年に“50対50”パワー配分を廃止へ PU規則変更で60対40案に合意

    F1チーム、パワーユニットメーカー、F1、FIA(国際自動車連盟)は、2027年に向けてパワーユニットのハードウェア変更を前倒しで導入する方針で原則合意した。現行レギュレーションで掲げられていた内燃エンジンと電動要素の“50対50”に近い出力配分を見直し、より60対40に近い構成へ移行することを目指す。

    狙いは、内燃エンジン側の出力を高め、バッテリーへの要求を下げることで、各サーキットでエネルギー不足に陥る場面を減らすことにある。

    これにより、ドライバーにとってより直感的に扱えるマシンに戻し、今季ここまで表面化していた複雑なエネルギーマネジメントの副作用を抑える狙いがある。

    2028年を待たずに2027年導入へ
    金曜日に行われたオンライン会議には、チーム、パワーユニットメーカー、F1、FIAが参加した。この場で、2027年に向けたハードウェア変更を進めるべきだという方向性で合意が形成された。

    2027年導入に向けた時間的余裕は大きくない。パワーユニットの耐久性を高める作業に加え、燃料タンク拡大に伴うシャシー側の調整も必要になるためだ。それでも関係者は、2028年まで待つのではなく、今すぐ動くべきだという判断に至った。

    FIAは会議後に声明を発表し、燃料流量の増加によって内燃エンジン側の出力を50kW引き上げる一方、電動要素については350kWから300kWへ引き下げる方針を示した。

    「最終的なパッケージを決定する前に、チームとパワーユニットメーカーで構成される技術作業部会において、さらに詳細な議論が必要であることが合意された」

    マイアミで導入された暫定変更も継続評価
    今回の会議では、マイアミGPで導入された回生量とデプロイメント量の調整についても確認された。短期的な追加変更の可能性は残されており、FIAは今後のレースに向けたさらなる調整を検討している。

    「マイアミ・パッケージの評価は継続中であり、今後のイベントでさらなる調整を導入することを視野に入れている」

    「これには、スタート時の安全性を改善する改定や、ウエットコンディション下での安全性を高める措置が含まれる。これらは定義され次第、各チームに伝達される。カナダGPに向けて、視覚的シグナル措置の改善も評価されている」

    50対50構想から現実的なバランスへ
    2026年F1レギュレーションは、内燃エンジンと電動要素の出力配分を大きく近づけることを前提として導入された。しかし、実戦ではバッテリー残量やエネルギー回生・放出の制約が走行に大きく影響し、ドライバーが自然に攻められない場面が出ていた。

    2027年案は、電動化の方向性そのものを否定するものではなく、内燃エンジン側に比重を戻すことで、レース中のエネルギー不足を緩和するものだ。350kWから300kWへの電動出力引き下げと、内燃エンジン側の50kW増加が実現すれば、マシンの挙動やレース展開にも大きな変化をもたらす可能性がある。

    提案は今後、詳細な技術評価を経たうえで、F1コミッション、パワーユニット諮問委員会、そしてFIA世界モータースポーツ評議会という正式なガバナンス手続きに進むことになる。現行規則の課題が開幕から早くも表面化したなか、F1は2027年に向けてパワーユニット規則の軌道修正に踏み出した。

    Source: The Race