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  • F1合同ローンチイベント再開催へ? ロンドンとミラノが開催地争い

    F1合同ローンチイベント再開催へ? ロンドンとミラノが開催地争い

    2025年に初めて開催されたF1全チーム合同ローンチイベントが、再び実施される可能性が浮上している。開催候補地としてはロンドンとミラノが有力視されており、F1は新たな形でのシーズン開幕イベントを検討しているようだ。

    2025年、F1は創設75周年記念の一環としてロンドンのO2アリーナで全10チームによる合同発表会を開催した。各チームのマシンやカラーリングが披露され、ドライバーやチーム首脳陣も一堂に会する大規模イベントとなった。

    一方で、この試みはファンや関係者の間で賛否を呼んだ。ショービジネス的な演出を歓迎する声がある一方、従来のチーム単独発表の方が好ましいとの意見も少なくなかった。

    ミラノが2027年開催地候補に浮上
    英メディア『City AM』によると、イタリア・ミラノが将来の合同ローンチイベント開催地として検討されているという。早ければ2027年にも実現する可能性がある。

    しかし、初開催地となったロンドン側もイベント継続に強い意欲を示している。

    O2アリーナを運営するAEGインターナショナルのスポーツ部門シニアバイスプレジデント、ガエル・カセリは「もちろんだ」と再開催への意欲を示した。

    「本当に素晴らしいイベントだった。現在もF1と話し合いを続けている」

    「彼らがさまざまな選択肢を検討していることは聞いている。ただ、それがロンドンなのか別の都市なのか、あるいは異なる形式になるのかは分からない」

    商業的成功と運営上の課題
    F1のCEOである ステファノ・ドメニカリ は過去に合同ローンチイベント継続の可能性を示唆しているが、現時点で正式発表は行われていない。

    2025年のイベントは約2万人収容の会場を完売させるなど商業的には大きな成功を収めた。しかし、シーズン開幕前の多忙な時期に全チーム、全ドライバー、主要幹部を同じ場所へ集結させる必要があり、運営面では大きな負担も伴った。

    さらに、イベントの価値についても議論が続いている。F1人気拡大やスポンサー露出の観点からは有効との評価がある一方、チーム独自の発表機会が失われるとの懸念も残る。

    F1は新たな開催形式も検討か
    カセリはF1側が開催地だけでなくイベント形式そのものの見直しも進めていると示唆した。

    「我々は彼らに戻ってきてほしいと思っているし、そのことは彼らも理解している」

    「そして彼らも戻りたいと思っているはずだ。ただし、それが彼らにとって理にかなう形でなければならない」

    合同ローンチイベントは高い注目度と収益性を証明した一方で、F1全体の運営負担や伝統的な発表文化とのバランスという課題も浮き彫りにした。ロンドンとミラノの開催地争いの行方だけでなく、F1がどのような形でこのイベントを発展させるのかにも注目が集まりそうだ。

  • F1バルセロナGPが暴いた2026年マシンの真実 各チームの強みと弱点を総点検

    F1バルセロナGPが暴いた2026年マシンの真実 各チームの強みと弱点を総点検

    2026年F1第7戦バルセロナ・カタルーニャGPは、今季ここまでで最も厳しいマシン評価の場となった。高速コーナーから低速区間までを備える同サーキットは、空力性能、タイヤマネジメント、パワーユニット、車体バランスを総合的に試す“リトマス試験紙”として知られる。

    そこで明らかになったのは、各チームが抱える課題だった。メルセデスの信頼性問題、フェラーリのエンジン不足、マクラーレンのタイヤ優位性の喪失、アストンマーティンの深刻な低迷など、バルセロナは各陣営の現状を容赦なく映し出した。

    ■ メルセデス 最大の懸念は信頼性
    バルセロナでポールポジションを獲得したメルセデスは、依然として高い空力性能を誇ることを証明した。

    モナコGPでキミ・アントネッリが圧倒的な速さを見せたことに続き、高速コーナー主体のバルセロナでもジョージ・ラッセルが予選最速級のパフォーマンスを発揮。マクラーレン勢に対してコンマ3秒の差をつけた。

    しかし決勝ではラッセルがハードタイヤで苦戦し、アントネッリも終盤にメカニカルトラブルでリタイアした。

    カナダGPでのラッセルのリタイアに加え、今季はマクラーレンでもメルセデス系統の電装トラブルが発生しており、信頼性への不安が増している。

    ラッセルも「大きな懸念だ」と認めており、車体性能と信頼性の両面で改善が求められている。

    ■ フェラーリは最高のシャシー エンジンだけが課題
    ルイス・ハミルトンの優勝により、フェラーリの「最高のシャシー説」が再び注目を集めた。

    予選後にはランド・ノリスがSF-26を「コーナリング性能ではクラスリーダー」と評している。

    今回投入された大型アップグレードは大きな成果を上げ、タイヤデグラデーション面でも優位性を示した。シャルル・ルクレールも「大きな前進だった」と評価している。

    一方で最大の弱点はパワーユニットだ。

    フェラーリはストレートで明らかな不足を抱えており、FIAからADUOによる2回のアップグレード権を認められている。コーナーでは最強クラスだが、エンジン性能とエネルギーデプロイメントの改善が必要な状況だ。

    ■ アストンマーティンはグリッド最後尾レベル
    今回最も厳しい現実を突きつけられたのがアストンマーティンだった。

    フェルナンド・アロンソは「最悪のマシンと最悪のエンジンの組み合わせ」とまで表現した。

    実際、AMR26は前後バランス、乗り心地、トラクション、ブレーキング、シフトダウン、高速域性能などあらゆる分野で問題を抱えている。

    予選ではキャデラックに1秒近く離される場面もあり、ホンダPUの性能不足だけでは説明できない状況となっている。

    AMR26B投入までの期間は、アロンソとランス・ストロールにとって厳しい戦いが続きそうだ。

    ■ アルピーヌは予選だけが謎
    アルピーヌは今回も決勝で強さを発揮した。

    ピエール・ガスリーとフランコ・コラピントは優れたレースペースを見せ、中団上位争いに加わった。

    しかし予選では両ドライバーとも苦戦した。

    今季のアルピーヌは日曜日になると競争力が向上する傾向が続いているが、なぜ一発の速さが安定しないのかはチーム自身も把握し切れていない。

    次戦オーストリアGPでは新アップグレードが投入予定で、この問題解決の手掛かりになる可能性がある。

    ■ ウィリアムズはタイヤ摩耗が致命傷
    ウィリアムズは車重超過とダウンフォース不足の代償を大きく払った。

    カルロス・サインツJr.は「みんなタイヤが厳しい。でも僕たちはその2倍だ」と説明した。

    ダウンフォース不足によりタイヤが滑りやすく、重い車体がさらなる摩耗を招く悪循環に陥っている。

    特に高デグラデーションのバルセロナでは弱点が完全に露呈し、サインツJr.は12位、アレクサンダー・アルボンも苦戦を強いられた。

    ■ マクラーレンはタイヤの魔法を失った
    昨年までのマクラーレン最大の武器だったタイヤマネジメント能力に陰りが見えている。

    モナコではタイヤを適正温度まで持ち込めず、バルセロナでは逆に性能維持に苦しんだ。

    ランド・ノリスは「以前のレベルではないことを認めるのは難しい」と語った。

    特にオスカー・ピアストリはノリスから30秒以上遅れ、フェルスタッペンにも18秒以上離された。

    チームは現在、タイヤを理想的な作動領域へ導くことを開発の最優先課題としている。

    ■ レーシングブルズは土曜日の速さを日曜日に活かせない
    レーシングブルズは高速サーキットで初めて新パッケージを本格評価した。

    結果は予選で大成功だった。

    今季3度目となる中団最上位の予選結果を記録し、平均予選順位では中団最速マシンとなっている。

    しかし決勝では予選ほどの優位性を発揮できなかった。

    リアム・ローソンも以前から決勝ペースに課題があることを示唆しており、現在のマシンは土曜日向きの特性が強すぎる可能性がある。

    ■ アウディはスタートが最大の弱点
    アウディは中団で最も完成度の高いマシンとの評価を受けている。

    ニコ・ヒュルケンベルグはポイント圏内を走行していたが、レーシングブルズの巻き上げた砂利がコクピット内へ入り、非常停止スイッチを作動させる不運に見舞われた。

    ただし本当の問題は別にある。

    ガブリエル・ボルトレトがまたしてもスタートで順位を落としたように、大型ターボに起因するとみられる発進性能の弱さが繰り返し表面化している。

    マシン性能自体は十分にポイント争いレベルにあるだけに、この欠点が結果を制限している。

    ■ キャデラックはロングランが課題
    キャデラックは中団グループに接近している。

    予選ではハースやウィリアムズを脅かし、アストンマーティンを大きく上回った。

    一方でセルジオ・ペレスは、15周を超えるとペースが「崖から落ちるように低下する」と説明した。

    そのため他チームより短いスティントを強いられ、3ストップ戦略を選択している。

    ダウンフォース不足は改善されつつあるものの、ロングラン性能が次の課題となっている。

    ■ ハースは扱いづらさが深刻
    ハースはアップグレード投入後の問題がより明確になった。

    オリバー・ベアマンは現在のVF-26について、「信じられないほど作動領域が狭い」と説明する。

    コーナー進入では不安定で、中盤ではアンダーステア傾向が強い。それでも完璧に扱えば速いが、少しでもバランスを外すとベアマンが「人生で最悪のクルマ」と表現するレベルまで性能が悪化する。

    さらにハースの小松礼雄代表は、チーム運営面にも問題があったと認めた。

    「今週末はマシンが十分に速くありませんでしたし、オペレーション面でも十分ではありませんでした」

    「レース中のコミュニケーションも十分ではありませんでした。マシンの改善も必要ですが、チームとしてもっと良くしなければなりません」

    技術面だけでなく組織運営面の改善も急務となっている。

    ■ レッドブルはセットアップでは解決できない
    レッドブルは今回、自らを4番手チームと認める結果となった。

    マックス・フェルスタッペンは以前から高負荷コーナーでの弱さを指摘しており、バルセロナでもその傾向が表れた。

    予選では改善に成功してマクラーレン勢の間に割って入ったものの、決勝ではメルセデス、フェラーリ、マクラーレンとの差が徐々に広がった。

    フェルスタッペンは高エネルギーサーキットと高デグラデーション環境が弱点を露呈させていると分析している。

    そして最も重要なのは、「セットアップ変更だけで解決できる問題ではない」と認めたことだ。

    オーストリアGPで投入されるアップデートにも大きな期待は寄せられておらず、レッドブルにはより根本的な開発が求められている。

  • FIA会長「V8は決定事項。決断は下された」 F1次世代エンジン構想が前進

    FIA会長「V8は決定事項。決断は下された」 F1次世代エンジン構想が前進

    FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエム会長が、F1の将来のパワーユニット規則について「V8は決定事項だ。すでに決断は下された」と明言した。2026年から導入される新世代パワーユニットへの懸念が高まるなか、2030年または2031年からのV8エンジン回帰に向けた議論が大きく前進した形だ。

    FIAは現在の複雑で高コストなパワーユニットから脱却し、より軽量でシンプルなエンジン規則への移行を目指している。今回の発言は、その方向性をFIA首脳自らが改めて強調したものとして注目を集めている。

    「V8は決定事項だ」
    ル・マン24時間レースの会場で複数のメディアに対して語ったビン・スライエム会長は、V8エンジンへの回帰がすでに既定路線であることを強調した。

    「V8は決定事項だ。すでに決断は下された」

    現在のF1は2026年から新たなパワーユニット規則を導入するが、重量増加や複雑なエネルギーマネジメントに対してはドライバーや関係者から懸念の声も上がっている。

    そうした状況を受け、FIAはすでに2027年と2028年に内燃機関の比率を引き上げる方向でルール改定を進めており、その先にはV8を中心とした新たなエンジン規則を見据えている。

    高騰する開発費に危機感
    ビン・スライエム会長は、現在のパワーユニット開発費が持続不可能なレベルに達していることも問題視した。

    「V8は持続可能だ。研究開発には2億ユーロ(約372億円)以上が必要だ」

    「レッドブルは現在のエンジンに13億ユーロ(約2418億円)以上を投資した。ばかげている」

    FIAはコスト削減を重要課題のひとつに位置付けており、次世代エンジンでは開発費だけでなく顧客チームが購入するエンジン価格も大幅に引き下げたい考えだ。

    ビン・スライエム会長によれば、現在約150万ユーロ(約2億7900万円)とされるエンジン価格を約70万ユーロ(約1億3020万円)まで削減することを目標としている。

    V型8気筒 エンジン 国際自動車連盟

    ターボ廃止で軽量化を目指す
    FIAが構想する新世代エンジンは、V8エンジンに軽量なハイブリッドシステムを組み合わせるものだ。

    会長はターボチャージャーについても否定的な見解を示した。

    「多くの人はターボが必要だと言う。しかしそれでは再び重量が増えてしまう」

    「ターボを搭載すればウェイストゲートやインタークーラー、配管が必要になる。それらはすべて重量であり、コストでもある」

    FIAは軽量化を重視しており、2030年代のF1マシンでは車重を約630kgまで削減する構想も描いている。

    目指すのはシンプルで魅力的なF1
    ビン・スライエム会長は、新規則の目的についても明確に説明した。

    「使命はシンプル化、コスト管理、そしてファンが喜ぶサウンドを取り戻すことだ」

    FIAの試算では、V8エンジンと約10%のハイブリッドシステムを組み合わせることで約760馬力を発生し、ハイブリッド出力を加えれば約880馬力に達するという。

    メーカーとの協議は今後も続く見通しだが、FIAトップが「決定事項」とまで言い切ったことで、2030年代初頭のF1がV8ハイブリッド時代へ向かう可能性は一段と高まった。

    2026年規則の導入を前にすでに次の時代を見据えた議論が始まっており、F1のエンジン哲学は大きな転換点を迎えようとしている。

  • FIA会長 F1のV8エンジン復活を再提唱「630kgの軽量マシンを目指す」

    FIA会長 F1のV8エンジン復活を再提唱「630kgの軽量マシンを目指す」

    FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエムFIA会長は、将来的にF1をV8エンジン時代へ回帰させる構想を改めて強調した。現在のマシンは複雑化と重量増加が進み、コストや安全性の面で課題を抱えていると指摘している。

    F1のパワーユニットメーカー各社はすでに2027年および2028年のレギュレーション修正で合意しているが、ビン・スライエム会長はその先の次世代規則を見据えている。

    持続可能燃料を使用する自然吸気V8エンジンへの移行により、軽量化とコスト削減を同時に実現できるとの考えを示した。

    複雑化した現代F1への問題提起
    モハメド・ビン・スライエム会長は、現在のF1マシンが抱える最大の問題として「複雑さ」を挙げた。

    「今のクルマの最悪な部分は何か? システムの複雑さ、開発に費やされる莫大な資金、コスト、そして大きなクルマだ」

    現在のF1マシンはハイブリッド技術の発展に伴い大型化・重量化が進んでいる。会長は、その重量増加が安全性にも悪影響を及ぼしていると考えている。

    「大きくて重いクルマは何を意味するのか? それは安全ではないということだ」

    630kgの軽量マシンを目指す
    FIAは近年、安全性向上のために車両重量を増やしてきた。しかしビン・スライエム会長は、今後はその流れを逆転させるべきだと主張する。

    「私は完成状態のマシンで650kg未満を見たい。私の目標は630kgだ」

    現在のF1マシンは最低重量が800kg近くに達しており、この構想が実現すれば大幅な軽量化となる。

    V8自然吸気エンジン復活を提唱
    ビン・スライエム会長は軽量化を実現する手段として、持続可能燃料を使用する自然吸気V8エンジンを提案している。

    「内燃エンジンだけで約760馬力、そこに10%程度の電動化を組み合わせることができる。それならサウンドも生まれるし、はるかに安価になる」

    現在の複雑なハイブリッドシステムと比べて、パワーユニットそのものを大幅に簡素化できるという考えだ。

    国際自動車連盟 V型8気筒

    コスト削減とファン重視の姿勢
    ビン・スライエム会長は、この構想によって研究開発費の削減も可能になると説明した。

    「研究開発費は大幅に安くなる。エンジン自体もずっと軽くなり、扱いやすくなる。そして観客はサウンドを楽しめる」

    さらに、この変更はファン、チーム、メーカーのすべてに利益をもたらすと主張した。

    「我々はビジネスとスポーツへの愛情の両方を支えなければならない。ファンに何かを提供する必要がある」

    2031年より前倒しの可能性も示唆
    一方で、会長は一方的な導入を考えているわけではない。実現にはパワーユニットメーカーやチームとの協議が不可欠だと認めている。

    「チーム、とりわけパワーユニット供給者との協議は重要だ」

    ただし合意が得られるなら、当初想定される2031年より前倒しでの導入も歓迎する姿勢を示した。

    「もし彼らが1年早く導入したいのであれば、我々は非常に歓迎する。なぜなら、その方が簡単で安価だからだ」

    F1が持続可能性とエンターテインメント性をどのように両立させるのか。その議論はすでに2030年代へ向けて始まっており、ビン・スライエム会長はその方向性として軽量なV8マシンへの回帰を強く訴えている。

  • F1 2027年からPU規則改定で合意 内燃エンジン比率を段階的に拡大

    F1 2027年からPU規則改定で合意 内燃エンジン比率を段階的に拡大

    FIA、FOM、F1チーム、そしてパワーユニットメーカーは、2027年および2028年に向けたパワーユニット規則の見直しで合意に達した。新世代パワーユニットの基本方針は維持しつつ、内燃エンジン比率を高めることで、近年課題として指摘されてきた過度なエネルギーマネジメントを緩和する狙いがある。

    今回の変更案は、各メーカーやチームの利害が交錯する中でまとめられた妥協案であり、2026年から導入された新規則の運用を通じて明らかになった課題への対応策となる。

    今後は6月23日に開催されるFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)で正式承認が行われる予定だ。

    2027年から段階的に内燃エンジン比率を拡大
    今回の合意では、一度に大幅な変更を加えるのではなく、数年をかけてパワーバランスを調整していく方針が採用された。

    2027年からは燃料流量を5%引き上げることで、内燃エンジン出力は400kWから420kWへ増加する。一方で、電動モーター(MGU-K)の最大出力は350kWから300kWへ引き下げられる。

    ただし、オーバーテイクモードについては現行の350kWを維持し、追い抜き時のパフォーマンス低下は避けられる。また、エネルギー回生能力は250kWから375kWへ大幅に拡大される。

    これにより、現在53%対47%となっている内燃エンジンと電動出力の比率は、2027年に58%対42%へ移行することになる。

    2028年には60対40の比率へ
    さらに2028年には追加の変更が予定されている。

    燃料流量は現行比で13%増加し、内燃エンジン出力は450kWへ到達する見込みだ。エネルギー回生能力も400kWまで引き上げられ、最終的に内燃エンジン60%、電動40%という長期目標のパワーバランスが実現される。

    段階的な導入としたことで、各メーカーは開発計画や予算を調整する時間を確保でき、大規模な規則変更による混乱も回避できる。

    メーカー間の意見対立を経て妥協案に到達
    今回の合意に至るまでには数か月にわたる協議が行われた。

    一部メーカーは内燃エンジン出力の引き上げをより早い段階で実施することを望んでいた一方、別のメーカーは開発コストや短期間での対応の難しさを理由に慎重な姿勢を示していた。

    最終的には性能向上とコスト管理の双方を考慮した妥協案として、段階的な移行プランが採用された。

    FIAは声明で次のように説明している。

    「2026年のF1レギュレーションはFIA、FOM、チーム、自動車メーカー、パワーユニットメーカーが緊密に協力して策定された。今回の修正もその協力関係の延長線上にあり、関係者全員が運用上の課題に対処するために共同でフレームワークを改善したものだ」

    またFIAは、規則変更への対応を支援するため、メーカー向けの財務規則についても柔軟性を持たせる改定を盛り込んだことを明らかにした。

    エネルギーマネジメント負担の軽減が狙い
    今回の見直しの背景には、2026年規則下で顕在化した運用面の課題がある。

    新世代パワーユニットはレース展開の多様化に貢献した一方で、ドライバーからは予選や決勝で求められるエネルギーマネジメントの負担が大きすぎるとの声が相次いでいた。

    また、特定の状況下で発生する大きな速度差についても懸念が示されていた。

    そのためF1関係者は、レギュレーションを全面的に作り直すのではなく、段階的な改善によってパフォーマンスとレース品質を維持しながら問題解決を図る道を選択した。

    世界モータースポーツ評議会で承認されれば、今回の改定はF1ハイブリッド時代の次なる方向性を決定づける重要な転換点となる。

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  • メルセデスF1がADUO救済対象? 開幕6連勝チームへの優遇措置に波紋

    メルセデスF1がADUO救済対象? 開幕6連勝チームへの優遇措置に波紋

    開幕から6戦全勝。ドライバーズランキング首位のキミ・アントネッリを擁し、コンストラクターズ選手権でも他を圧倒するメルセデスに、FIAの救済制度による開発優遇措置が与えられる可能性が浮上した。

    2026年から導入された「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」の初回評価結果を巡り、レッドブル・フォードのパワーユニット(PU)がベンチマークと認定され、メルセデスも救済措置の対象になるとの報道が波紋を広げている。

    全勝チームが“追いつくための制度”の対象に
    ADUOは、2026年の新PUレギュレーション導入に伴い設けられた救済制度だ。

    ベンチマークとなる最速PUに対して一定以上の性能差が認められたメーカーには、追加開発の機会やコストキャップ上の優遇措置が与えられる。

    本来の目的は、出遅れたメーカーが性能差を縮めるための支援である。

    ところがイタリアのAutoracerによると、FIAが各メーカーへ通知した初回評価では、レッドブル・パワートレインズ・フォード(RBPT-Ford)が最速PUと判定されたという。

    さらにメルセデスPUは基準値から2〜4%遅れていると評価され、2026年に1回、2027年に1回の追加アップデート権を得る見通しだと報じられている。

    もしこれが事実であれば、開幕から6戦全勝を記録しているチームが「追いつくための制度」の恩恵を受けるという異例の状況になる。

    ホンダとアウディはさらに大きな差か
    報道によれば、各メーカーの差は以下のように評価されている。

    ■ レッドブル・フォード:基準PU

    ■ メルセデス:2〜4%の遅れ

    ■ フェラーリ:4%超の遅れ

    ■ アウディ:4〜6%の遅れ

    ■ ホンダ:6%超の遅れ

    この数字が正しければ、レッドブル・フォードのみが救済措置の対象外となり、その他すべてのメーカーが追加開発の権利を得ることになる。

    特に注目されるのはホンダの評価だ。6%以上の性能差が認定された場合、追加開発だけでなくベンチテスト時間や予算面でもより大きな優遇措置を受けられる可能性がある。

    ホンダについては、シーズン開幕当初から50〜60馬力程度の出力不足が指摘されてきた。

    今回報じられた数値は、その見方を裏付ける内容とも受け取れる。

    ただし実際の性能差については見解が分かれている。

    アストンマーティンのランス・ストロールは先日、ホンダPUの不足分は40馬力未満との認識を示しており、パドック内でも評価は一致していない。

    また、FIAは各メーカーの詳細な数値を公表しておらず、現時点では報道ベースの情報である点にも注意が必要だ。

    ホンダ F1 パワーユニット

    現場の認識と食い違う評価結果
    今回の評価結果が注目される理由は、パドックの一般的な認識と大きく異なるためだ。

    2026年シーズン序盤を見れば、多くの関係者はメルセデスPUを最強と考えている。

    実際にメルセデスは開幕から6連勝を達成しており、マクラーレンやウィリアムズといったカスタマーチームも高い競争力を示している。

    そのため「最強PUはメルセデス」という見方が広く浸透していた。

    しかしFIAの評価では、内燃エンジン単体の出力を中心とした独自の計算式が用いられているとされる。

    各マシンに搭載された標準センサーから得られたデータを分析し、特にストレート序盤で発揮される出力を重視して性能を算出した結果、レッドブル・フォードがトップと認定されたという。

    つまり今回の評価は、ラップタイム全体ではなくPU単体の性能を重視した結果とみられている。

    FIAは制度見直しを検討か
    こうした状況を受け、FIAとメーカー各社はADUO制度そのものの見直しを検討していると報じられている。

    The Raceによれば、FIA内部では評価式をより複雑なものへ変更する案も浮上しているという。

    現在の方式では内燃エンジン出力が重視されているが、実際の競争力は電動システム、エネルギーマネジメント、ターボ特性、空力との統合性能によって大きく左右される。

    そのため「最速PU」の定義そのものを見直すべきとの意見が出ている。

    実はFIAシングルシーター部門責任者のニコラス・トンバジスは2025年の段階で、より複雑な評価方式をメーカー側へ提案していたことを明かしている。

    しかし当時はメーカー側が導入に否定的だったため、現在のシンプルな計算方式が採用された経緯がある。

    今回の結果を受け、その議論が再燃する可能性が高まっている。

    制度廃止論まで浮上
    一部ではADUO制度そのものを廃止すべきとの意見も出始めている。

    特に議論を呼んでいるのは、開幕から6戦全勝のメルセデスが追加開発の権利を得る一方で、基準PUと判定されたレッドブル・フォードだけが救済措置の対象外になる可能性だ。

    本来は後れを取るメーカーを支援するための制度だが、実際には選手権を支配しているチームにさらなる開発機会を与える構図になりかねない。

    そのためFIAとメーカー各社は、制度の継続や運用方法の見直しについて協議を進めているとみられる。

    2027年F1レギュレーションにも影響
    この問題は2027年F1パワーユニット規則の議論とも密接に関係している。

    これまでフェラーリは、内燃エンジンと電動出力の比率変更案に反対してきた。

    その背景には、ADUOを利用して性能差を縮められるとの期待があった

  • F1解説:メルセデスとマクラーレン 同じPUでもギア比が生む決定的な差

    F1解説:メルセデスとマクラーレン 同じPUでもギア比が生む決定的な差

    2026年のF1では、パワーユニットの性能差ばかりが注目されがちだ。しかし、同じメルセデス製パワーユニットを搭載するメルセデスとマクラーレンを比較すると、実際にはギアボックスの設定がマシン特性に大きな影響を与えていることが分かる。

    マクラーレンは自社製ギアボックスを採用し、メルセデスとは異なるギア比を選択。結果として加速性能と最高速に明確な違いが生まれている。

    マクラーレンは加速重視のショートギアを選択
    マクラーレンはギアボックス内部のコンポーネントを含めて完全自社開発を行っており、メルセデスよりも短いギア比を採用している。

    チーム代表のアンドレア・ステラはカナダGPで次のように説明した。

    「選択したギア比には明確なメリットとデメリットがある。我々はメルセデスよりも短いギア比を採用している。それはスタート時の加速などで利点になる」

    実際に開幕からの5戦では、同じメルセデス製パワーユニットを使用しているにもかかわらず、マクラーレンの方がスタート加速で優位に立つ場面が多く見られた。

    短いギア比は後輪へ伝わるトルクを増大させるため、発進直後や低速域での加速力向上につながる。

    特にMGU-Kの電力アシストが本格的に介入する前の区間では、この効果が大きい。

    メルセデスはエネルギー効率を優先
    一方でメルセデスは比較的長いギア比を選択している。

    低速コーナーでもエンジン回転数を高く維持できるため、バッテリー充電効率の向上が期待できるからだ。

    2026年規則ではエネルギーマネジメントが極めて重要なテーマとなっており、ギア比の違いは単なる加速性能だけでなく、回生や電力運用にも影響する。

    メルセデスやレッドブル・レーシングが長めのギア比を採用している背景には、この考え方がある。

    マイアミとカナダで見えた最高速の差
    ギア比の違いはストレート速度にも現れている。

    マイアミでは予選中に1周あたり最大8MJのエネルギー回生が許可されていたが、モントリオールでは6MJに制限された。

    マクラーレンは短いストレートではメルセデスと互角の速度を示したものの、ストレートが長くなるにつれて徐々に不利になった。

    特にマイアミ予選ではターン11手前でその傾向が顕著となった。

    マクラーレンはターン16立ち上がりで発生した問題への対策として、ターン11ブレーキング前に「スーパークリッピング」を終了させるエネルギー運用を実施。その結果、長いストレート終盤では電力残量が減少し、短い8速ギアとの組み合わせによってメルセデスより10km/h以上遅い最高速を記録するケースもあった。

    カナダでも同様だった。

    第2セクターの短いストレートでは互角だったものの、最終シケインへ向かうロングストレートではメルセデスが明確な優位性を示している。

    ギア比の違いは2026年F1の重要テーマ
    ギアボックスのデータを見ると、マクラーレンは他チームより早い段階で8速へシフトアップしている。

    一方でメルセデスは高い速度域まで7速を保持し、ロングストレートでの速度維持を重視している。

    2026年レギュレーションではエネルギー回生と電力使用がラップタイムを左右するため、ギア比の設定はこれまで以上に重要な開発項目となった。

    マクラーレンはコーナー立ち上がりや加速区間で優位性を得る一方、メルセデスは長いストレートとエネルギー管理で優位性を発揮する。

    どちらが正解というわけではなく、それぞれが異なる方法でラップタイムを生み出しているのだ。

    マクラーレンは現状維持を選択
    2026年シーズンは特例として、各チームに1回だけギア比変更が認められている。

    しかしステラは現時点で変更を検討していないことを明かした。

    「現状には満足している。規則上は変更できるが、見直すことは考えていない。最も長いストレート以外では現在の構成が多くのメリットをもたらしていると考えている」

    つまりマクラーレンは最高速の弱点を理解しながらも、加速性能や低速区間で得られるメリットの方が大きいと判断している。

    メルセデスW17が様々なサーキットで安定して速さを見せている理由のひとつが、この長めのギア比によるエネルギー運用の自由度にある。一方でマクラーレンMCL40は、よりアグレッシブな加速性能を武器に異なる方向性で戦っている。

    同じパワーユニットを搭載していても、ギアボックスの設計思想ひとつでマシンの性格は大きく変わる。その好例が、2026年のメルセデスとマクラーレンの違いだ。

  • 2027年F1パワーユニット規則に妥協案浮上 出力増は13%ではなく5%か

    2027年F1パワーユニット規則に妥協案浮上 出力増は13%ではなく5%か

    2027年F1パワーユニット規則を巡る議論が、新たな局面を迎えている。

    FIA(国際自動車連盟)は2026年から導入された内燃エンジン(ICE)と電動システムの50対50という出力配分を見直し、2027年から60対40へ変更する案を推進している。しかし、この計画には大きな反発があり、現在は「13%増」ではなく「5%増」に抑える妥協案が検討されている。

    なぜFIAは出力配分変更を目指しているのか
    2026年の新レギュレーションでは、内燃エンジンと電動システムがほぼ同等の出力を担う設計となった。

    しかし一部サーキットでは、バッテリーの充電不足による「クリッピング」や「スーパークリッピング」が問題視されている。FIAはこれを解消するため、燃料流量を増やして内燃エンジン側の出力を高め、約70馬力の上積みを実現したい考えだ。

    当初、この方向性には6社すべてのパワーユニットメーカーが原則的に同意していた。

    ところが具体的な規則案が示されると状況は一変した。

    メーカー間で意見が真っ二つに分裂
    現在の勢力図は大きく二つに分かれている。

    ■ 賛成:メルセデス、レッドブル・パワートレインズ

    ■ 反対:アウディ、ホンダ、フェラーリ、キャデラック

    記事によると、PUAC(パワーユニット諮問委員会)で必要な「スーパー・マジョリティ(特別多数)」が得られないため、F1コミッションやFIA世界モータースポーツ評議会へ進めることができない状況となっている。

    反対派が懸念する技術的な問題
    反対派の主張は単なる政治的駆け引きではない。

    出力を約70馬力増やす場合、現在設計されているパワーユニットでは対応が難しくなる。

    まずV6エンジンそのものを再設計する必要が生じる。

    さらに現在のギアボックスも限界近くまで軽量化・最適化されているため、トランスミッションの再設計が必要になる可能性が高い。

    問題はそれだけではない。

    燃料流量が増えれば現在の燃料タンク容量では不足する恐れがあり、シャシー設計そのものにも手を加えなければならなくなる。

    つまり影響はエンジン単体ではなく、マシン全体に及ぶというわけだ。

    時間不足も大きな障害
    技術面以上に深刻なのがスケジュールである。

    現在はすでに2026年シーズンの中盤に差し掛かっており、多くのメーカーはADUO(性能差是正のためのアップデート制度)への対応にリソースを割いている。

    エンジン開発は半年程度で完了できるものではない。

    そのためホンダやアウディなどは、2027年向けの大規模改修とADUO対応を同時進行させることに強い懸念を示している。

    メルセデスとレッドブルが有利になるとの見方
    反対派には別の警戒感もある。

    現状で競争力の高いパワーユニットを持つメルセデスとレッドブル・パワートレインズは、ADUOによる大幅な性能改善を必要としていない。

    そのため2027年用パワーユニット開発へより多くの人員や資金を投入できる可能性がある。

    一方で他メーカーは性能改善と新開発を並行して進めなければならず、開発競争で再び差が広がるリスクがある。

    ADUOの目的が勢力均衡の実現にあることを考えると、この懸念は無視できない。

    浮上した「5%増」の妥協案
    こうした対立を受け、現在は中間案が検討されている。

    それが出力増加幅を13%ではなく5%程度に抑える案だ。

    この案であればエンジン、ギアボックス、燃料タンク、シャシーの全面的な再設計を回避できる可能性がある。

    そして2028年に正式なホモロゲーションを実施する際に、当初予定していた13%増へ段階的に移行するという考え方である。

    背景にあるV8移行構想
    今回の議論の裏側では、将来的な自然吸気V8エンジン復活構想も影響している。

    現在の計画では2030年までパワーユニットを凍結する方向だが、一部では2.6リッター自然吸気V8エンジンに小型KERSを組み合わせた新世代パワーユニットを2029年にも前倒し導入する可能性が取り沙汰されている。

    そのためメーカー側には、短期間しか使用しないかもしれない2027年仕様のために大規模投資を行うことへの抵抗感もある。

    モナコが重要な交渉の場に
    現時点では最終決定には至っていない。

    ただし各メーカーによる妥協点探しは続いており、モナコで行われる協議が重要な転換点になる可能性がある。

    現在はメルセデスとレッドブル・パワートレインズが当初案を支持し、アウディとホンダが妥協案を推進。フェラーリは依然として反対姿勢を維持しているが、最終的には妥協案側へ加わるとの見方もある。

    最大の敵は時間だ。

    交渉が長引けば長引くほど、2027年に向けた設計変更の余地は失われていく。今回の議論は単なる出力配分の問題ではなく、F1の次世代パワーユニット時代の勢力図そのものを左右する重要な分岐点となりそうだ。

  • 2026年F1レギュレーションはトップドライバーから何を奪ったのか?

    2026年F1レギュレーションはトップドライバーから何を奪ったのか?

    元F1チーム代表のフランツ・トストは、2026年F1レギュレーションによってトップドライバーたちの持つ本来の強みが発揮しづらくなっているとの見解を示した。

    2026年から導入された新世代パワーユニットは、内燃エンジンと電気エネルギーの出力比率を50対50とする構成が特徴となっている。

    しかし、この変更によってドライバーは以前のように限界まで攻める走りが難しくなり、マックス・フェルスタッペンをはじめとするトップドライバーから不満の声が上がっている。

    「遅らせてブレーキを踏む」武器が失われた
    トロロッソ時代にフェルスタッペンを起用した経験を持つフランツ・トストは、『15 Love – der Business Podcast』で、新レギュレーションが特に才能あるドライバーに不利に働いていると説明した。

    「内燃エンジン50%、電気50%という配分が問題を引き起こすことは以前から分かっていた」

    2026年マシンでは、ストレートで使用するエネルギーを確保するため、ドライバーはコーナー進入前から早めにアクセルを戻し、エネルギーを温存しながら走行する必要がある。

    その結果、従来のように限界までブレーキングを遅らせてタイムを稼ぐことが難しくなった。

    「しかし、特別な才能を持つドライバーたちにとって、この規則は不利だ。なぜなら現在のレギュレーションでは、もはや最後の瞬間までブレーキングできないからだ」

    トストによれば、以前なら100メートル看板付近まで攻められたコーナーでも、現在は20~30メートルほど早くアクセルを戻し、マシンを転がすようにコーナーへ進入しなければならない。

    そのため、トップドライバーが得意としてきた「ブレーキングで差をつける技術」が発揮しにくくなっているという。

    フェルスタッペンやアロンソの強みが薄れる理由
    トストは、こうした影響を受ける代表的なドライバーとしてマックス・フェルスタッペン、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリ、フェルナンド・アロンソの名前を挙げた。

    「マックス・フェルスタッペン、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリ、フェルナンド・アロンソのようなトップドライバーは、まさにブレーキングポイントとコーナー頂点へ向かう速度によってパフォーマンスを引き出している。そして当然ながら立ち上がり加速でもだ」

    従来のF1では、ドライバーはコーナー進入でギリギリまでブレーキングを遅らせ、より高い速度を維持しながらアペックスへ向かうことでタイムを削っていた。

    しかし2026年マシンでは、エネルギー回生と使用量の管理が重要となり、ドライバーは積極的に攻めるよりも効率を優先しなければならない。

    トストは、この変化によってドライバー個人の能力差が見えにくくなったと考えている。

    FIAとFOMは問題を認識している
    一方で、FIAとFOMもこうした問題を把握しているとトストは明かした。

    「FOMとFIAはそのすべてを理解している。問題も認識している」

    実際、FIAはマイアミGP前にエネルギーマネジメント関連の調整を実施し、ドライバーがより自由にプッシュできるよう一部ルールを修正した。

    トストは今後も追加の調整が行われると予想しているが、その過程では政治的な駆け引きが障害になる可能性があると指摘する。

    現在のレギュレーションによって利益を得ているチームは、自らの優位性を失うような変更に賛成しない可能性があるからだ。

    ドライバーの技術と電動化のバランスが焦点
    2026年F1は技術革新を重視したレギュレーションとしてスタートしたが、その一方でドライバーの能力がどこまで結果に反映されるべきかという議論も活発化している。

    特にフェルスタッペンのような「限界ブレーキング」で差を生み出してきたドライバーにとって、現在の50対50パワー配分は大きな制約となっている。

    今後のシーズンを通じてFIAとFOMがどの程度レギュレーションを調整するのか、そしてドライバーの技術を再び際立たせる方向へ進むのかが注目される。

  • FIAがF1新LED表示をテスト MGU-Kの状態を青・紫・黄で可視化

    FIAがF1新LED表示をテスト MGU-Kの状態を青・紫・黄で可視化

    2026年F1カナダGPのフリー走行で、FIAは新たなLEDリアライト表示システムの試験運用を開始した。2026年レギュレーションで大幅に強化されたMGU-K(運動エネルギー回生システム)の作動状況を、後続車のドライバーがより直感的に把握できるようにすることが目的だ。

    これまでの点滅回数による表示は、コックピット内の激しい振動の中では判別が難しいとの指摘がドライバーから寄せられていた。

    FIA(国際自動車連盟)は安全性向上の観点から、色によってMGU-Kの状態を示す新システムを導入し、カナダGPで実戦テストを行った。

    2026年F1で重要性を増したリアLEDライト
    2026年のF1マシンでは、電動出力が大幅に増加した新世代パワーユニットが導入された。これに伴い、リアLEDライトの役割も従来の「エネルギー回生中の表示」から大きく拡張されている。

    今年からリアライトは、ハイブリッドシステムの作動状況を外部へ伝える情報ツールとして機能しており、ルーキードライバーの走行や特別なテストプログラムなども識別できるようになった。

    特にMGU-Kの出力状態は、マシンの速度変化に直結するため、後続車へ正確に伝えることが安全面で重要視されている。

    従来は点滅回数で3つの状態を表示
    これまでFIAはLEDライトの点滅パターンによってMGU-Kの状態を示していた。

    1回点滅はMGU-Kが最大出力350kWを発生していない状態を意味する。この段階では電力供給は継続しているものの、マシンはデレーティング領域に入り始め、加速性能が徐々に低下する可能性がある。

    2回連続点滅はMGU-Kが完全に電力供給を停止した状態を示し、マシンは内燃エンジンのみで走行している。

    高速点滅は「スーパークリッピング」と呼ばれる回生モードを表す。この状態ではMGU-Kが発電側に回り、バッテリーへエネルギーを回収している。

    しかし、こうした点滅の違いは走行中に判別しづらく、ドライバーから改善要望が出されていた。

    青・紫・黄の3色で状態を識別
    カナダGPで試験導入された新システムでは、点滅回数ではなく色そのものでMGU-Kの状態を表示する。

    青色はMGU-Kが最大出力350kWを発揮していない状態を示す。従来の1回点滅に相当する。

    紫色はMGU-Kがエネルギー供給を停止している状態で、マシンは内燃エンジンのみで走行していることを意味する。従来の2回点滅に相当する。

    黄色はスーパークリッピングによる充電状態を示す。MGU-Kが発電側として作動し、バッテリーを充電している状況だ。

    色による表示に変更することで、後続車のドライバーは一目でライバル車のエネルギー状態を把握できるようになる。

    安全性向上が最大の狙い
    FIAがこの変更を進める最大の理由は安全性の向上にある。

    MGU-Kが充電モードへ移行した際には、特にスーパークリッピング中にマシンの速度が低下するケースがある。後続車がその変化を事前に認識できなければ、接近時のリスクが高まる可能性がある。

    新しい色分けシステムによってドライバーは前方車両の状況を瞬時に把握できるようになり、不意の速度差による危険を軽減できると期待されている。

    カナダGPのフリー走行ではデータ収集とドライバーからのフィードバックが行われており、FIAは評価結果を踏まえたうえで正式導入を判断する見込みだ。