カテゴリー: F1マシン

  • 2026年F1でポーパシングは消える?メルセデスが警告する“新たな落とし穴”

    2026年F1でポーパシングは消える?メルセデスが警告する“新たな落とし穴”

    2026年シーズンのF1は、空力レギュレーションが大幅に刷新され、現在の世代を悩ませてきたポーパシング問題が「ほぼ解消される」と期待されている。しかしメルセデスのトラックサイド・エンジニアリングディレクター、アンドリュー・ショブリンは“安心は禁物”だと警告する。

    フロア形状の変更によって車体下の気流構造が大きく見直される一方で、新しい空力規則には別の“落とし穴”が潜んでいる可能性があるという。

    シミュレーションでは見えない挙動が実走行で露わになる可能性を指摘し、ショブリンは「誰かは必ずつまずく」と強い言葉で新時代のリスクを示唆した。

    ショブリン「ポーパシング再発の可能性は低いが、罠は必ずある」
    ショブリンは、2026年マシンが現在のようなポーパシングやバウンシングに苦しむ可能性は低いとしながらも、新規則に完全な安全地帯は存在しないと語る。

    「常に罠はあるし、必ずどこかのチームは“思っていたのと違う”という状況になる。新レギュレーションに入るときに『今回こそ楽だろう』と思うようなことは絶対にない」

    2026年のフロアは2022年以前の構造に近づき、フロア前方からディフューザーまでの大半がフラット化される。これにより、現在の世代で問題視された“渦の破綻”をきっかけとするポーパシングは起きにくいという。

    「規則が以前の世代のマシンに近い方向へ戻っている以上、今のようなポーパシングが発生するとは考えにくい」

    さらにショブリンは、仮に似たような現象が現れたとしても、チームはすでに対処するための知見やツールを備えていると説明する。

    「問題が起きたとしても、この期間で学んだことや、空力理解のために開発してきたツールがあるおかげで、はるかに正しく対処できるだろう」

    ただし、新レギュレーションで最も難しいのは「実走行まで真の挙動が分からない」点だと強調する。

    「シミュレーションでどれだけ作業をしても、実際にサーキットで走らせてみるまではどう振る舞うか分からない。そこが新フォーミュラのバランス取りの難しさだ」

    フォーミュラ1カー F1 自動車競技

    エネルギー不足が“オーバーテイクの新時代”を生む?
    ショブリンは、ジョージ・ラッセルが語った「2026年は奇妙な場所でオーバーテイクが発生するかもしれない」という見解にも触れた。

    2026年はバッテリーエネルギー管理が今よりもシビアになり、周回中のエネルギー残量の差がドライバー同士の駆け引きを大きく左右する可能性がある。

    「確かに、エネルギー不足はかなり重要な要素になる。最大限回生しなければならないが、この状況はグリッド全体で同じだ」

    エネルギー不足が生む新たなレース展開の一例として、ショブリンは“序盤に抜いても後半で抜き返される”状況を挙げる。

    「序盤の区間では簡単に追い抜ける場面があっても、そこで使い切ってしまえば後で抜き返される。それは十分に起こり得る」

    ショブリンは、エネルギーの使いどころが2026年のレース戦略の中心になると予測する。

    「大きな純粋性能差を生むわけではないが、レースの戦略面では非常に大きな要素になると思う」

  • ジェンソン・バトンが語る意外な真実「最高のF1マシンはブラウンGPではない」

    ジェンソン・バトンが語る意外な真実「最高のF1マシンはブラウンGPではない」

    ジェンソン・バトンは、2009年にブラウンGPでF1ワールドチャンピオンを獲得したが、彼自身が選ぶ“最高のF1マシン”は意外にもあの伝説のBGP001ではなかった。

    現在すべてのモータースポーツから引退したバトンは、改めて自身のキャリアを振り返り、2011年に駆ったマクラーレンMP4-26こそが「F1で運転した中で最高のシングルシーターだった」と明かした。

    バトンは2000年から2017年まで306戦を戦い、15勝・50回の表彰台・8回のポールポジションを記録した。2009年はそのうち6勝を挙げたキャリア唯一のタイトルシーズンだが、本人の評価は別のマシンに向いている。

    ホンダ撤退から“奇跡の王者”誕生へ…ブラウンGPの激動の2009年
    2008年末、ホンダは世界的金融危機の影響でF1からの即時撤退を発表。チーム存続は風前の灯火となったが、ロス・ブラウンがわずか1ポンドで買収し、ブラウンGPとして再出発した。

    メルセデスが土壇場でエンジン供給を決めたことで、設計段階から大きな変更を強いられたが、それでもチームは開幕前最後のテストを欠席した状態からシーズンへ突入した。
    しかし、車体後部のダブルディフューザーが大きな武器となり、バトンは開幕7戦で6勝という圧倒的なシーズン前半を築いた。

    ブラジルGP時点でセバスチャン・ベッテルの追撃を15ポイント差で振り切り、1戦を残して初のワールドチャンピオンに到達。ブラウンGPも同年のコンストラクターズタイトルを獲得し、チーム唯一のシーズンで歴史的成果を残した。

    ジェンソン・バトン ブラウンGP

    それでもバトンにとって“最高の1台”はBGP001ではなかった
    キャリアの頂点をもたらしたブラウンGPのマシンについて、バトンは「素晴らしい思い出」とした一方で、“ベストカー”には挙げなかった。

    バトンは次のように語っている。

    「僕にとって最高のマシンは2011年のマクラーレンだった。F1で運転した中で、あれがベストのシングルシーターだ」

    さらに2004年のBARホンダもお気に入りだという。

    「2004年のBARホンダはフィーリングが本当に良かった。フレキシブルなリアウイングがあって、V10エンジンのパワーは信じられないほどだった。僕は10回の表彰台を獲得したけど、勝利には届かなかった」

    そしてブラウンGPについてはこう振り返る。

    「みんな『あれが最高のマシンだったはずだ』と言うけど、2008年のハイダウンフォースから2009年はローダウンフォース規定になったからね。ブラウンは他より優れてはいたけど、極端に速いわけではなかった。弱点もあった」

    ジェンソン・バトン マクラーレン MP4-26

    2011年マクラーレンMP4-26──“最強ではないが最高に手に馴染むマシン”
    2011年といえば、レッドブルのRB7が圧倒的な速さでシーズンを席巻し、セバスチャン・ベッテルが13勝を挙げた年だ。しかし、バトンはその“最強マシン”の陰で、自身にとっての“最高マシン”を操っていた。

    MP4-26はRB7には及ばなかったが、バトンはシーズン2位を獲得。全19戦中12回の表彰台、最終9戦中8回の表彰台という安定性を発揮し、キャリア最多の年間表彰台数を記録した。

    この事実こそ、バトンが“性能が最強=最高”とは考えていなかったことを象徴している。

    ダブルディフューザーと低開発、それでも勝てた2009年の“特異性”
    バトンは2009年の強さについて、あのダブルディフューザーの存在が決定的だったと語る。ホンダが撤退前に開発していたアイデアで、ウィリアムズやトヨタも類似の設計を導入し、他チームは抗議したものの規則上は合法とされた。

    しかしブラウンGPは資金難でシーズン中の大規模アップデートがほとんどできず、後半戦になるとライバルの猛追を受ける形となった。
    それでも序盤の大量得点で逃げ切った点に、この年の“特殊性”がある。

    引退を迎えて改めて見えた“本当に好きなマシン”
    バトンはキャリアを通してウィリアムズ、ベネトン、ルノー、BAR、ホンダ、ブラウンGP、マクラーレンと渡り歩き、F1で306戦を経験した。
    その長い道のりの中で、彼が最後に選んだのは、タイトルをもたらしたブラウンではなく、**2011年マクラーレンという「自分の手に最も馴染んだマシン」**だった。

    結果ではなく“ドライビングの感覚”を基準にしたこの選択は、バトンらしい冷静な視点と職人肌のレーサー気質を感じさせる。

  • ジョージ・ラッセルが断言「2026年はF1が変わる。抜けない場所で抜ける」

    ジョージ・ラッセルが断言「2026年はF1が変わる。抜けない場所で抜ける」

    メルセデスのジョージ・ラッセルは、2026年に導入される新レギュレーションによってF1のレースがより改善されると自信を示した。来年はパワーユニットが内燃と電力がほぼ50:50となり、マシンはアクティブ・エアロダイナミクスを装備することで、ストレートではすべての車両が低ドラッグ状態に移行できる。これに伴ってDRSは廃止され、インディカーのプッシュ・トゥ・パスに似た「マニュアル・オーバーライド・モード」が新たなオーバーテイク手段として導入される。

    ラッセルはオーバーライド・モードそのものの効果については判断を保留しつつも、2026年マシンが生む走りの軽快さこそがレースを変えると強調した。彼は「来年はオーバーテイクが増えると思う。そして、これまで見たことがないような“意外な場所”でのオーバーテイクが起きると思う」と述べ、前を走るドライバーのバッテリーが尽きたタイミングと、後ろのドライバーが電力を残している状況が重なれば、従来では不可能だったコーナーで追い抜きが起き得ると説明した。また「ただのDRSの直線オーバーテイクは好きじゃなかった。2026年のレギュレーションはより良いレースにつながる」と語った。

    一方、ピレリは2026年仕様のタイヤ開発を進めているものの、より細くなるタイヤに対して耐久性と戦略性の両立という難しさが依然として存在するとされた。ラッセルは「僕たちはドライバーだから、最高で最速で楽しいクルマを求めてしまう。でも僕たちは20人のうちの1人にすぎない。毎週このスポーツを追っている1億人以上のファンがいることを理解しなくてはならない」と語ったうえで、60周レースならハードが30周、ミディアムが20周、ソフトが10周で性能が急激に落ちるような“理想的な落ち幅”を持つタイヤが作れれば戦略の幅が広がると理想像を示した。ただし「ピレリにとって簡単ではない。路面はサーキットごとに異なるし、開発は本当に難しい。もし全サーキットで路面が同じならもっとやりやすいのに」と述べ、タイヤメーカーの難しさも理解を示した。

    メルセデスは現在、コンストラクターズ選手権でフェラーリ(356点)、メルセデス(355点)、レッドブル(346点)が激しい2位争いを展開している。しかしラッセルは、チームの焦点はすでに2026年に完全移行していると明言した。「チームの95%は2026年に向けて動いている。レースに来ているメンバーは今年のマシンに集中している“最後の戦士”だけど、開発に関しては全員が来年のマシンに向かっている」と語り、自身のシミュレーター走行もすでに2026年マシンのみになっていると付け加えた。

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    2026年レギュレーションがもたらす“レースの質の変化”
    ラッセルの発言は、2026年が単なる規則変更ではなく、レース展開そのものの質が変わる転換点になるという見方を示している。ストレートで全車が低ドラッグ状態になるため、従来のようなDRS依存のオーバーテイクは姿を消し、エネルギーマネジメントの差が新しいレースの主役になる可能性が高い。

    バッテリー残量の違いによる“局所的な性能差”は、従来ではオーバーテイクの対象にならなかった中速コーナーなどでも追い抜きが発生する状況を生む。ラッセルの言う“意外な場所”とは、まさにそうしたコーナーでの一撃を指すものだ。

    タイヤに関しては、戦略の幅を広げるための急激な性能落ち込みという理想と、各サーキットで大きく異なる路面条件という現実が対立する。ピレリがどこまで2026年タイヤで統一性を持たせられるかが、レース戦略の自由度を左右する大きな要素になる。

    メルセデスの“2026年全集中”が示すもの
    ラッセルが「95%が来年に向いている」と語ったことは、メルセデスが2026年を新たなスタート地点と捉えている強い証拠だ。レギュレーション初年度は勢力図が大きく変わる可能性が高く、過去には2014年にメルセデスがハイブリッド元年で圧倒的優位を築いた例もある。現状の競争ではタイトル争いに絡むのが難しい中、2026年に勝機を見出す姿勢は極めて明確だ。

  • キャデラックF1 2026年マシンの年内ファイアアップ&1月初走行を宣言

    キャデラックF1 2026年マシンの年内ファイアアップ&1月初走行を宣言

    キャデラックF1チームは、2026年シーズン開幕前に向けてマシン開発を急ピッチで進めており、来年1月末のバルセロナ・プレシーズンテスト(1月26〜30日)より前に“初走行”を実施する計画を明らかにした。

    チームプリンシパルのグレアム・ロードンはブラジルGPで取材に応じ、セルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスが駆るフェラーリ製PU搭載マシンについて「50日以内に初めてのファイアアップを行う」「初走行は1月に実施する」と説明した。

    キャデラックF1、初走行は1月予定 “50日以内”に初ファイアアップ
    キャデラックの初代F1マシンは、年明け前に初ファイアアップを済ませ、1月にプロモーションイベント規定に基づくシェイクダウン走行を行う計画だ。走行距離は最大200kmになる見込み。

    ロードンは次のように語った。

    「すべて順調に進んでいる。実際、50日以内に初めてエンジンに火を入れ、来年1月には初走行を行う。その後、1月末のバルセロナテストに向かう」

    しかしその一方で、キャデラックが直面するスケジュールの厳しさも強調した。

    「こうしたプロジェクトでは“時間”こそ最大の敵だ。2026年3月第1週のメルボルンでレースをするという期限は絶対に動かない。我々のエントリーが確定したのは2025年3月で、時間的な余裕は非常に小さい。その間に、マシンの設計、製造、人員登用、施設の整備など、すべてを完了させなければならない。本当に大きな挑戦だ」

    2026年の大規模レギュレーション変更が“追い風”に?
    キャデラックF1は、アンドレッティ体制から始まった長年のプロジェクトを経てFIAとF1から参戦承認を受けたものの、そのデビューは偶然にも2026年の大規模レギュレーション変更と重なった。ロードンはこれについて「メリットとデメリットがある」と語る。

    「ルールが安定している年なら、目指すべき基準がはっきりしている。たとえば今なら、マクラーレンやフェラーリが速いと把握している。しかし2026年については誰も速さの予測ができない。基準がはっきりしないのは不利だが、それこそがスポーツであり、ファンが魅了される部分でもある」

    「有利な点は、レギュレーション大変更により既存チームも同じく新たな挑戦を強いられることだ。どのチームも自分たちの立ち位置を読めていない。そこがエキサイティングなところで、我々のチャンスでもある」

    キャデラックは経験豊富な人材を集めつつも、チームとしてはまだ結成から1年に満たない。ロードンはその点を次のように説明した。

    「我々には合計で“数千年分”のF1経験が集まっているが、チームとして一緒に働いてきた期間は1年未満だ。まず最初の挑戦は、チームとして円滑に機能すること。そしてどんな位置からスタートしても、どれだけ速く改善できるかが重要になる」

    「だからこそ、レギュレーション変更の年に参入できるメリットは大きいと考えている」

    キャデラック F1 フォーミュラ1チーム

    キャデラックF1へ追い風か、さらなる試練か?
    キャデラックの参入は“時間との戦い”である一方、2026年の技術規則刷新が追い風になる可能性もある。既存チームが築いてきた優位性がリセットされ、勢力図が大きく変動する可能性が高いためだ。

    特に以下の点がキャデラックの強みになる。

    ■ 規則変更により、全チームが“ゼロから”の開発となる
    ■ 既存チームとのギャップが小さくスタートできる
    ■ ペレス、ボッタスという経験豊富なドライバーを擁する

    一方で、マシン製造・人員採用・ファクトリー構築を同時並行で進める負荷は莫大であり、初年度は信頼性確保に全リソースが割かれる可能性が高い。

    それでも、ロードンの言う通り「どれだけ速く改善できるか」が参入初年度の鍵を握る。シェイクダウン → バルセロナ5日間テスト → メルボルン開幕戦という超タイトスケジュールの中で、キャデラックF1がどこまで戦闘力を引き上げられるか注目だ。

  • F1マシン 2026年に“カーボン剥き出し規制”導入:最低55%の塗装を義務化

    F1マシン 2026年に“カーボン剥き出し規制”導入:最低55%の塗装を義務化

    FIA(国際自動車連盟)は、近年多くの批判を浴びてきたカーボン剥き出し主体のF1リバリー問題に対処するため、2026年に向けて新たなレギュレーションを導入する。

    金曜日のF1コミッションの会合では、側面および上面から見た車体表面積のうち、最低55%を塗装あるいはステッカーで覆わなければならないという義務が正式に盛り込まれた。FIAは、この措置の目的を「マシン間の視覚的な差別化を高めること」と説明している。

    近年のF1では軽量化を優先し、塗装を極力省いたカーボン剥き出しのマシンが増加していた。華やかだった過去のグリッドと比べ、近年のマシンは色彩が乏しく、見分けがつきにくいという批判がファンやメディアから数多く寄せられてきた。2026年から最低重量が引き下げられることもあり、各チームはさらなる軽量化を狙ってカーボン剥き出しを拡大しようとする可能性があったが、今回の規制はその流れに歯止めをかけることになる。

    会合では、2014年に導入されたドライバーの固定ゼッケン制度についても議論が行われ、キャリア途中でナンバー変更を認める提案が合意されたと報告された。ただし、どのような条件で変更が可能になるのかといった具体的な内容は示されていない。

    空力開発制限(ATR)についても協議された。ATRは前年のコンストラクターズ順位に基づいて風洞やCFDの使用量を制限する制度で、年の途中でリセットが実施される。FIAは、計算能力とシミュレーション技術の進歩に合わせた制度改訂を進めており、同時にコストを考慮した形に調整する必要があるとの見解を示した。

    グランプリにおける2ストップ義務化の可能性も話し合われたが、今回は合意には至らず、2026年に議論を継続することになった。ドライバー冷却システムについては改善案が提起され、こちらも今後さらに検討される予定である。

    一方で、公開された会合サマリーには、ブラジルGPでレッドブルがマックス・フェルスタッペンのエンジンを交換した件に関してマクラーレンが求めている明確化については一切触れられていない。マクラーレンは、信頼性ではなくパフォーマンスを目的としたエンジン交換がコストキャップの対象に含まれるのかどうか、FIAに判断を求めている。

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    2026年に向けて“カーボン剥き出し規制”がもたらす変化
    今回の規制は、近年急速に進んでいたF1マシンの“黒一色化”を抑えるための明確な方針転換となる。各チームは軽量化のため塗装を削る動機が強かったが、視覚的な魅力を損なうとの批判が増えていた。最低55%の塗装義務は、ファンからの要望に応え、マシンの識別性を高めるための強制力を持つ施策といえる。

    ドライバー番号変更の合意が示すF1の新しい柔軟性
    ゼッケン変更を認める案が合意されたことは、F1のマーケティング戦略やドライバーのブランド構築に新たな選択肢を提供する可能性がある。ドライバーがキャリアの節目で番号を変えることによりイメージ刷新につながるだけでなく、タイトル獲得時の象徴的な番号の扱いにも自由度が広がる。

    2ストップ義務化とレース運営の今後
    2ストップ義務化はレースの戦略幅を制限する可能性があるため慎重な扱いとなっており、すぐに導入される見込みは薄い。それでもレースの単調化を避けるための議論は継続される見通しで、タイヤ運用のあり方を巡る議論は今後も注目を集めるだろう。

    マクラーレンのPU疑義が取り上げられなかった背景
    フェルスタッペンのエンジン交換が「性能向上のためではないか」というマクラーレンの疑念は、今回の会合では正式な議題として扱われなかった。これは調査が別枠で進められている可能性や、政治的判断によって公表を避けた可能性が考えられる。この問題はタイトル争いの行方にも関わるため、今後も議論が続くことが予想される。

  • アウディ、2026年F1マシン『R26』のコンセプトリバリー公開「勝つために来た」

    アウディ、2026年F1マシン『R26』のコンセプトリバリー公開「勝つために来た」

    アウディは、2026年にデビューを迎えるF1マシン『R26』を彩るカラーリングを、ミュンヘンで行われた華やかなローンチイベントで初披露した。

    このドイツの自動車ブランドは、これまでさまざまなモータースポーツで成功を収めてきたが、2026年から自社製のシャシーとパワーユニットを用いて、完全ワークスチームとしてF1に参戦する。チーム運営権はザウバーから引き継がれる。

    アウディは2022年にF1参戦を決定して以来、ドイツ・ノイブルクにパワーユニット開発拠点を整備し、スイス・ヒンウィルのザウバー本社を強化。また、英国モータースポーツ・バレーの知見を活かすため、ビスタにテクノロジーセンターを開設している。

    ドライバーは、今季ザウバーでデビューしたガブリエル・ボルトレトと、今夏のシルバーストンで初表彰台を獲得したベテランのニコ・ヒュルケンベルグが、アウディ時代にも引き続きラインアップを構成する。

    イベントには、アウディCEOゲルノット・ドルナー、アウディF1プロジェクト責任者マッティア・ビノット、チーム代表ジョナサン・ウィートリーが出席。ミュンヘンのアウディ・ブランド・エクスペリエンス・センターで、ブランドのF1ビジョンを披露した。

    公開されたのは「Audi R26 Concept」と名付けられたカラーリング案。「ブランド初のF1マシンのカラーリングとデザインの明確なプレビュー」とされるコンセプト・リバリーで、2026年型マシンのビジュアルを先取りするものだ。

    アウディは1月1日にF1チームとして正式に再ブランディングを行い、実車R26はその後、1月後半に発表される予定となっている。チーフ・クリエイティブ・オフィサーのマッシモ・フラスケッラは「グリッドで最も目を引くマシンにしたい。そしてトラック外では最も大胆なブランドでありたい」と語った。

    アウディは最近、オールチタン仕上げの「Concept C」を発表しており、これは今後の市販モデルに展開される新たなブランドアイデンティティとなる。今回のR26コンセプトの前半部分にはそのデザイン哲学が反映され、後半にはカーボンブラックと新しい「Audiレッド」が配されている。さらにこのアウディレッドは、アウディの象徴である4リングにも「選択的に」使用されるという。

    また、今回のコンセプトにはリボルト(Revolut)、bp、アディダスといったパートナーブランドのロゴは一切登場せず、昨年アウディが大規模持分売却の合意を発表したカタール投資庁(QIA)に関する示唆もない。今回の主目的は「アウディブランドそのものを中心に据える」ことであり、F1チームのアイデンティティを今後のロードカー戦略と結びつける狙いがある。

    アウディ F1

    ドルナーCEOは「モータースポーツはアウディDNAの一部であり、常に技術革新の原動力となってきた。F1参戦は明確で野心的なメッセージだ。これはアウディの再生における次の章であり、F1はより俊敏で革新的なアウディへの変革を促す触媒となる」とコメント。

    「我々はただF1に参加するために来たのではない。勝つために来た。しかし、トップチームになるには一朝一夕ではいかない。時間と忍耐、そして現状を絶えず問い直す姿勢が必要だ。2030年までに世界選手権タイトルを争うチームになることを目指す。」

    プロジェクトを率いるのは、フェラーリで約30年にわたり経験を積んだマッティア・ビノットだ。彼はドルナーと同様に、5年以内にタイトル争いを目標に掲げた。

    「アウディF1プロジェクトは、モータースポーツ界のみならずスポーツ界全体で最もエキサイティングなプロジェクトだ」とビノットは語る。

    「目標は明確だ。2030年までにチャンピオンを争うこと。その旅路には時間、適切な人材、そして継続的に成長を目指すマインドセットが欠かせない」

    「F1は極めて競争の激しい環境だ。チャンピオンになるには、失敗を恐れず、そこから学ぶことが重要だ。我々は3段階のアプローチを取る。挑戦者としてスタートし、現状に挑みながら競争力を高め、最終的にはチャンピオンになる。」

    アウディ F1 2026年のF1世界選手権

    チーム代表のジョナサン・ウィートリーは、今年初めにレッドブルのスポーティングディレクターとしての18年のキャリアを終え、チームに加わった人物だ。

    「この旅は目的地だけでなく、そこへ至る人々との関わりに意味がある」とウィートリーは語る。

    「重要なのはマインドセット、集中力、そして自信と油断のない姿勢だ」

    「チャンピオンチームは魔法で作られるわけではない。互いを信じ、プロセスを信じ、目的地を信じる人々によって作られる」

    「我々のドライバーであるニコとガビは、その精神を体現している。彼らは情熱と向上心を持ち、1周ごとに学び、前進している。」

    アウディF1

    ブラジル人のボルトレトとドイツ人のヒュルケンベルグは、ザウバー加入時に複数年契約を結んでおり、アウディ時代まで在籍が保証されている。

    「アウディの一員になれたことは夢のようだ」とボルトレトは語った。

    「僕の大きな憧れはアイルトン・セナだ。そしてセナがアウディをブラジルに紹介した」

    「アウディF1プロジェクトが始まり、その一員になれると知ったとき、それはまるで贈り物のように感じた。僕はいまF1で走るという夢を生きている。そしてアウディとともに、ゼロからチームを築いている。」

    2010年にF1デビューを果たしたヒュルケンベルグは、今季シルバーストンで239戦目にして初表彰台を獲得し、以降も安定したポイント獲得を続けている。

    「ここでは何か大きなことが起きていると感じる」とヒュルケンベルグは語った。

    「チームのエネルギーと野心は印象的で、このプロジェクトのポジティブな雰囲気は本当に感じ取れる」

    「これは長い旅の始まりだ。そのことこそが、僕のモチベーションになっている。」

  • レッドブルF1 メキシコでRB21に新型フロア投入も誤算「気温と標高が敵」

    レッドブルF1 メキシコでRB21に新型フロア投入も誤算「気温と標高が敵」

    マックス・フェルスタッペンのドライバーズ選手権争いを維持するため、レッドブルは他チームが2026年マシンの開発に専念する中、依然としてRB21の積極的な開発を続けている。では、メキシコシティで投入された新たなアップグレードはどのような効果を発揮したのだろうか。

    チームは、わずか4戦前のモンツァで導入されたフロアをさらに発展させたバージョンを持ち込んだ。

    このフロアは完全な新設計ではなく、モンツァ仕様を流用したものだとトラックサイド・エンジニアリング責任者のポール・モナハンが説明している。

    「これは“メイク・フロム”なんだ」とモナハンは語った。「以前のフロアを再利用できたのは、それが十分にモジュール化されていたからで、こうしてここに持って来ることができたんだ。」

    変更点はごくわずかだ。上面フロア表面の前縁がわずかに下げられ、フロア・エッジ・ウイングの形状もそれに合わせて変更されている。

    この変更により、チームの説明によれば「フロースタビリティ(流れの安定性)を維持しつつ、わずかにダウンフォースが増加した」という。つまり、空力バランスを保ったまま、特定箇所で追加のダウンフォースを得る設計ということだ。

    同じアップグレードの一環として、サイドポッドのラジエター開口部上面がサイドポッド本体と統合され、「スプリットライン(分割線)」が再設計された。その結果、外側のフロアフェンス後方に向かう気流の流れ方がより効率的になり、冷却効率の向上とわずかなダウンフォースの増加が得られたとされている。これは冷却スリット周辺の圧力分布を巧みに操ることで実現している。

    レッドブル RB21 角田裕毅上:メキシコで角田裕毅が使用した従来仕様、下:フェルスタッペンが使用した新仕様。フロアエッジウイング(下の2本の矢印)とサイドポッド分割線(上の2本の矢印)の形状が微妙に変更され、空気の流れを最適化してわずかにダウンフォースを増加させている。

    チームはこれらの改良が確実に性能向上をもたらしたと確信しているが、メキシコでのRB21は近年のレースに比べて競争力を欠いていた。

    とはいえ、「相関関係は因果関係ではない」。つまり、マシンが苦戦した理由はアップグレード自体ではなく、リアタイヤの保護を優先するために必要だったセットアップにある。メキシコシティ特有の高温かつ低密度の空気が、リアタイヤに大きな負担をかけたのだ。

    これによりフェルスタッペンのマシンは、金曜の予選シミュレーション時のような軽燃料状態では好調だったにもかかわらず、決勝ロングランでは深刻なアンダーステア傾向を示した。そのセットアップは結局「ロングランでは破綻する」ことが明らかになった。

    なぜレッドブルはメキシコで苦戦したのか
    一方でマクラーレンはリアタイヤ温度の制御に優れており、ランド・ノリスはフェルスタッペンがこれまで享受していたような強いフロントエンド特性を得ることができた。

    標準的な標高のサーキットでもマクラーレンはリアタイヤ温度制御で優位に立っているが、その差はメキシコの環境ではさらに拡大した。マクラーレンの冷却技術はリアタイヤだけでなく、ボディワーク冷却にも反映されている。

    他チーム――特にレッドブル――が冷却性能を確保するためボディワークを大きく開口し、ラジエターに流れる空気量を増やしたのに対し、マクラーレンのボディ形状は通常のサーキットとほぼ同じだった。アンドレア・ステラ代表はこれを「MCL39に導入された新技術のおかげ」と説明している。

    レッドブルは、高地で空気密度が25%低下するメキシコでは冷却能力を確保するため、サイドポッド上部の排熱スリットを大きく開けることで対応した。薄い空気では、同じ冷却効果を得るためにより多くの空気流量が必要になるからだ。

    レッドブル・レーシング RB21メキシコでのレッドブルは、標高の影響によりサイドポッド上の排熱スリット間の間隔を広げていた。

    モナハンはこの計算手法についてこう説明している。「必要な冷却空気量をまず計算する。そこから必要な排出口の面積を見積もる。ほとんどのマシンは吸入口よりも排出口で制約を受けている。だからまず出口を開ける。我々は主にサイドポッド上で開放する方法を取ったが、他チームの中にはエンジンカバー下部の排出口を拡大したところもある。」

    こうした理由から、今回のメキシコでの不調はあくまで一時的なものであり、車そのものの性能低下ではないという見方が強い。モナハンは次のように補足した。

    「シーズン序盤から、我々はより良いクルマを作るために多くの作業を進めてきた。問題点を特定したと考えていたが、実際にはそれを完全に理解するまでにいくつかの段階を要した。単純にダウンフォースを削るだけではなく、モンツァに向かう過程でいくつかの要素がかみ合い、クルマは大きく改善したんだ。特定の一要素だけが原因というわけではない。」

    「セットアップは、ボディワーク形状や空力の結果が示唆した方向へ進化している。その恩恵を今、我々は享受している。シーズン初期の3、4戦の時点では、今のような走り方はできなかっただろう。現代のF1マシンは非常に複雑で洗練された空力デバイスだから、方向性を間違えれば本当に全てが崩れる。」

    「すべてを正しく組み合わせなければならない。単独のパーツではなく、全体が噛み合った時に、我々がここ数戦で示してきたようなパフォーマンスを発揮できるんだ。」

  • F1は速すぎて退屈になった? オーバーテイクが消えた理由と2026年の希望

    F1は速すぎて退屈になった? オーバーテイクが消えた理由と2026年の希望

    F1マシンはかつてない速さに達している。しかし、その一方でコース上の接近戦は減り続けている。FIAとリバティ・メディアが2022年に導入した「オーバーテイクを増やすための新レギュレーション」は、期待された効果を発揮していない。果たして2026年の新ルールで状況は変わるのだろうか。

    バクー・シティ・サーキットのメインストレートはF1カレンダー最長で、その距離はモンツァのほぼ2倍にあたる。全長2200メートル、最高速は時速330kmを超えるにもかかわらず、アゼルバイジャンGPでは目を見張るようなオーバーテイクはほとんどなかった。

    これは2022年の技術規定が掲げた「レースをよりエキサイティングに」という目標を思えば、看過できない事実だ。

    レース後、後方からの追い上げを狙ったシャルル・ルクレール、ランド・ノリス、ルイス・ハミルトンらが一様に失望を示したのも当然だろう。特にルクレールは予選でクラッシュし、フェラーリで続けてきた4戦連続ポールの記録を絶たれ、悔しさを隠せなかった。

    なぜF1は“オーバーテイクできる時代”を失ったのか
    FIAとリバティ・メディアが約束した「オーバーテイクの多いF1」は、なぜ4年足らずで霧散してしまったのか。その理由は、各チームが角を曲がるたびに最大限の空力ダウンフォースを追い求め続けた結果にある。

    現在のマシンはフロア下の気流を利用するグラウンドエフェクトを採用しているが、各チームはその制約を超えて空力性能を押し上げ続けている。結果として、レギュレーションが意図した「接戦化」の効果は薄れ、再び空力依存の時代に戻りつつあるのだ。

    テクノロジーの進化が“オーバーテイク”を奪った
    マックス・フェルスタッペンがモンツァで記録した平均時速264.68kmの予選ラップは、F1史上最速だ。さらに決勝の平均速度も新記録となり、今や各サーキットでラップレコードが次々と塗り替えられている。

    パワーユニットの開発がコスト削減のため凍結されているにもかかわらず、マシンとタイヤの性能は飛躍的に向上している。世界最高のエンジニアたちは風洞実験で限界を超えるソリューションを生み出し、レギュレーションが目指した「競り合えるF1」の効果を帳消しにしてしまった。

    この進化の“最初の犠牲者”がオーバーテイクだ。マシンが発生させる強烈な乱流(ダーティエア)は後続車の空力を乱し、接近戦を難しくする。バクーのようにDRSで10〜15km/hの速度差を得られるストレートでさえ、前のマシンを抜くことは容易ではなかった。

    F1 オーバーテイク

    2026年、新レギュレーションは状況を変えられるか
    2026年、F1は近代史上最大のレギュレーション変更を迎える。マシン、エンジン、タイヤのすべてが刷新され、ハイブリッドシステムも再設計される。これにより、現在優勢なレッドブルやマクラーレンに対して、フェラーリやメルセデスが巻き返すチャンスを得る可能性もある。

    しかし、その一方でトップとの差がさらに広がるリスクもある。新世代マシンは初期段階では現行車より遅くなる見込みだが、それがドライバーにとって“楽しいマシン”になるとは限らない。エイドリアン・ニューウェイを筆頭に、空力設計者たちは再びダウンフォースを取り戻すための開発競争を始めている。

    結局のところ、「オーバーテイクが減る」「DRS頼みの演出」という問題は、再びF1の課題として浮上するだろう。

    ドライバーたちが望む“本物のバトル”
    F1が真のエンターテインメントを取り戻すためには、ドライバーたちの声に耳を傾ける必要がある。彼らが求めているのは、軽量でメカニカルグリップが高く、空力が過度に複雑でないマシン――20年前にミハエル・シューマッハやミカ・ハッキネンが操ったような、純粋に“走る楽しさ”を感じられるF1だ。

    それこそが、ファンが再び胸を高鳴らせるオーバーテイクを生み出す唯一の方法かもしれない。

    F1が“速さの先にある面白さ”を取り戻すために必要なのは、彼らの声を聞くこと。それだけだ。

  • マクラーレン 2026年F1マシン『MCL40』をアブダビGP前にオークション出品

    マクラーレン 2026年F1マシン『MCL40』をアブダビGP前にオークション出品

    マクラーレンF1チームが、来季2026年シーズンに投入する新車『MCL40』を、アブダビGP前にRMサザビーズのオークションへ出品することを発表した。未発表のF1マシンが一般向けに販売されるのは史上初の試みとなる。

    マシンは2026年レギュレーションに対応した最新仕様で、メルセデス製パワーユニットを搭載。落札者にはマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)訪問やランド・ノリス、オスカー・ピアストリとの面会など、チーム公認の特典が付与される予定だ。

    史上2番目の名門、マクラーレンが2025年に通算10冠
    マクラーレンF1チームは2025年シンガポールGPで12勝目を挙げ、残り6戦を残してコンストラクターズタイトルを確定。ザク・ブラウンCEOとアンドレア・ステラ代表のもと、ノリスとピアストリの両エースが活躍し、再び黄金期を築いた。

    これにより、ウォーキング拠点のマクラーレンはF1史上2番目に多くのタイトルを獲得したチームとなり、その名を再びモータースポーツ史に刻んだ。

    2026年F1の技術革命 ─ 軽量化とアクティブエアロの導入
    2026年のF1ではマシン規格が大幅に刷新される。全長は20cm短く、全幅は10cm狭まり、重量も約30kg軽くなる見込みだ。

    空力面では、これまで主流だった複雑なフロア構造とヴェンチュリトンネルの依存度が下がり、可変式エアロデバイスが導入される。DRSは廃止され、ストレートでは抗力を減らす「Xモード」、コーナーでは高ダウンフォースの「Zモード」を切り替える“アクティブ・エアロ”が採用される予定で、オーバーテイク性能の改善が期待されている。

    電動化が加速する2026年パワーユニット
    パワーユニットも大幅に改良され、内燃エンジンの出力は550〜560kWから400kWへ低下する一方、電動パワーは120kWから350kWへと約3倍に強化される。

    回生エネルギーの上限は1周あたり8.5MJに倍増し、燃料は持続可能な合成燃料を使用。すでに世界で最も効率的とされるF1ハイブリッドエンジンが、さらに環境性能を高めた次世代仕様へと進化する。

    未発表のMCL40Aを世界初オークションへ
    この新レギュレーションに合わせ、マクラーレンは2026年型マシン『MCL40A』を開発中で、正式発表を前に12月5日アブダビで行われるRMサザビーズのオークションに出品する。

    史上初めて、まだ走行していないF1マシンが一般に販売されることになる。落札者はランド・ノリスまたはオスカー・ピアストリがドライブする予定の実際のシャシーを入手でき、メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレイン製の2026年仕様パワーユニットが搭載される。

    納車は2028年予定 ─ 技術保護の観点から段階的に引き渡し
    マクラーレンは知的財産の流出を防ぐため、MCL40Aの実車を2028年第1四半期に納車予定としている。

    それまでの期間、落札者には2025年仕様の展示用ショーカーが提供される。最終的に納車された車両は、マクラーレンのエンジニアやメカニックによるフルサポートのもと、デモランやプライベート走行会での走行が可能となる。

    落札特典は豪華プログラム ─ MTC訪問とレース招待
    落札者には、マクラーレン・テクノロジー・センターへの招待をはじめ、ザク・ブラウンCEO、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリとの面会が約束される。

    さらに、2026年マシン発表会および2戦(うち1戦はモナコGP)への招待、チームピットガレージからの観戦、マクラーレン・チームハブでのホスピタリティ体験など、希少かつ豪華な特典が付属。

    また、ル・マン24時間レースやインディ500の現地観戦権も含まれるなど、まさに“トリプルクラウン”を体現するパッケージとなっている。

    マクラーレン F1 MCL40

    ハイブリッド時代の象徴、F1マシンが民間へ
    2014年のハイブリッド時代以降、現役仕様のF1マシンが一般に渡る例はほとんどなく、走行可能な車両として提供されるのは極めて異例だ。

    今回の出品は、RMサザビーズとマクラーレン・レーシングが共同で実現した“未来のF1マシンを所有する初の機会”として、モータースポーツ史に残る出来事といえる。

    マクラーレンの“トリプルクラウン”を象徴する特別出品
    マクラーレンは、モナコGP、インディ500、ル・マン24時間の三冠を制した数少ないチームのひとつだ。

    今回のオークションでは、この“トリプルクラウン”を象徴する形で、2026年型アロー・マクラーレン・インディカーと、2027年世界耐久選手権(WEC)参戦初年度のLMDhハイパーカーも同時出品される。

    マクラーレン・レーシングの過去・現在・未来を一挙に感じられる、まさに“歴史的”なセールとなる。

  • F1が全グランプリで「2ストップ義務化」を検討?タイヤ使用45%制限案も浮上

    F1が全グランプリで「2ストップ義務化」を検討?タイヤ使用45%制限案も浮上

    F1は現在、全グランプリでの2回ピットストップ義務化を検討していると報じられている。近年、各チームがタイヤ摩耗を抑えた1ストップ戦略を採用する傾向が強まり、レース展開が単調化していることを受けた措置だ。

    イタリアの『Motorsport Italy』によれば、F1コミッションは今後、3種類のドライタイヤ(ハード/ミディアム/ソフト)すべての使用を義務付ける案を協議する予定で、さらに1セットのタイヤ使用をレース距離の45%以内に制限するという新ルール案も浮上しているという。

    戦略単調化への対策として「2ストップ義務化」案が浮上
    F1ではここ数年、ピット戦略の多様性が失われており、タイヤ摩耗が少ないサーキットでは1ストップ戦略が定着。ピット作業による順位変動や戦略的駆け引きが減少した結果、レース展開が「予測可能で退屈」との批判も聞かれるようになっていた。

    この流れを受け、F1はすでに一部サーキットでピットレーン速度制限を引き上げるなど、ピットストップ促進策を導入。しかし十分な効果が得られなかったことから、今回の「2ストップ義務化」案が新たな改革案として浮上している。

    モナコGPやカタールGPでの前例が背景に
    実際に2025年のモナコGPでは、前例のない2ストップ義務レースが実施された。これは前年2024年大会で、全車が1周目の赤旗中断時にタイヤ交換を済ませた結果、レース中のピットインがほとんどなかったことに対する対策だった。

    また、2023年のカタールGPでは、タイヤの安全性に関する懸念から、スティント(走行距離)の最大長が制限される特別ルールが導入されており、今回の議論もその延長線上にあるとみられる。

    F1 自動車競技

    レースの“自由度”と“ショー効果”のせめぎ合い
    2ストップ義務化は、戦略の多様性を取り戻す可能性がある一方で、各チームが独自の判断で戦略を組み立てる「自由度」を奪うとの懸念もある。特に、タイヤ摩耗の少ないコースでは、無理に2ストップを行うことがレースの合理性を損なう恐れがある。

    一方で、ピット戦略による順位変動が増えることで、観客にとってはよりダイナミックな展開が期待される。F1コミッションによる正式な協議は今後数週間以内に行われる見通しで、2026年以降の競技規則に反映される可能性も指摘されている。

    ファン視点では歓迎ムードも、課題は「バランス」
    観戦者の間では「戦略による緊張感を取り戻せるなら歓迎」との声も多いが、一方で「人工的に作られた展開はF1本来の魅力を損なう」との慎重論も根強い。タイヤの性能、ピットタイム、安全性、そして戦略自由度――そのバランスをどう取るかが、今後のF1における重要なテーマとなりそうだ。