カテゴリー: F1マシン

  • F1:DRSボタンを最初に押したのはバトン 最後に押したのはアントネッリ

    F1:DRSボタンを最初に押したのはバトン 最後に押したのはアントネッリ

    F1は2011年にドラッグ・リダクション・システム(DRS)を導入した。可動式リアウイングによって空気抵抗を減らし、トップスピードを上げて追い抜きを助けるシステムだったが、その効果は大きく、同時に「人工的だ」という批判も生んだ。

    そして週末、ついにレースでDRSボタンが押される最後の瞬間が訪れた。

    DRSによって追い抜きは大幅に増え、スリップストリームに入ったドライバーはリアウイングを開くことで時速10〜12kmの速度向上を得られた。2011年スペイングランプリでは、当時のワールドチャンピオン、ジェンソン・バトンが初めてDRSボタンを押したドライバーとして記録されている。

    「ただ僕をマシンに乗せてくれれば、最後のDRSボタンを押す者にもなれる。物事は一周して戻るべきだと感じるんだ」

    しかし、その願いは叶わず、栄誉はメルセデスのキミ・アントネッリに託された。

    DRSの最終作動は角田裕毅への追撃、しかし…
    アブダビGP最終ラップ。アントネッリは前を走るレッドブルの角田裕毅に迫り、最後の1回となるDRSを作動させた。だがDRSの“最期の瞬間”はオーバーテイクにはつながらず、アントネッリは0.6秒届かずチェッカーを受けた。


    2026年はDRS廃止、新たに「MOM」導入へ
    2026年、DRSは姿を消し、新たに「マニュアル・オーバーライド・モード(MOM)」が採用される。

    FIAシングルシーター技術ディレクターのヤン・モンシャウはその仕組みを次のように説明する。

    「ストレートに入ったとき、前方のマシンに十分近づいていれば、追い抜きを助けるために――両者ともリアウイングとフロントウイングのフラップを開いている状態で――後方のマシンにはそのラップの一定時間において、より多くの電気エネルギーを使うことを許可します」

    「現在のDRSでは、前の車の1秒以内に入ればDRSを開く権利がありますが、今後はそうではありません。ただしロジックは同じです。前の車に十分接近していれば、そのラップ中に自由に使える追加エネルギーが与えられます」

    「追加エネルギー量は定められており、そのブーストによって後続車がストレートの終わりで追い抜くチャンスを得られるでしょう」

  • メルセデスF1 2026年可動フロントウイングを評価「まだ楽観視できない」

    メルセデスF1 2026年可動フロントウイングを評価「まだ楽観視できない」

    メルセデスがアブダビのポストシーズンテストで、2026年レギュレーションを見据えた“アクティブ・フロントウイング”の試作仕様を公開し、来季のF1に最も鮮明なヒントを与えた。同時にチーム代表トト・ヴォルフは、メルセデスが新時代の本命と見なされることを強く否定し、慎重な姿勢を貫いている。

    今回投入されたフロントウイングはFIA承認のテスト項目で、ノーズから伸びる2本のプラスチック製チューブによって作動し、ストレートでは角度をフラットにする“ストレートラインモード”を再現する極めて原始的な構造だ。

    フェラーリも、より控えめな形で同様の機構を評価したとみられる。

    ピレリのマリオ・イゾラは、火曜日に2026年タイヤを披露した際、このテストの重要性を強調した。

    「FIAはチームに、フロントウイングでストレートラインモードを再現するシステムを開発する機会を与えている」とイゾラは述べている。

    一方で、ヴォルフはメルセデスが2014年のような“圧倒的黄金期”に入るという観測を一蹴した。

    「P2、P4、P3、P2……壊滅的というわけではない。しかしチャンピオンシップを逃したことに変わりはない。ようやくこのグラウンドエフェクト時代が終わることに満足している」と語り、2022年以降の迷走を振り返った。

    メルセデスはこの4年間、空力の根本的な問題を解決できず、風洞やCFDなど“ツールそのもの”の誤差に長く悩まされてきたという。

    「最後のレースが示したように、我々は依然としてこのマシンを完全には理解できていない。2022年に悪いスタートを切り、問題を修正しようとするたびに新たな問題が生まれた」とヴォルフは説明する。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ただし、2025年終盤になってようやく開発基盤が整ったという手応えを語った。

    さらにヴォルフは、当時の2014年とは状況が根本的に異なると強調した。

    「2014年のときは事前に良い感触があった。しかし今は比較にならない。当時に比べて全チームの準備が格段に整っている」と述べ、2026年メルセデスPUと新車のパフォーマンスについても慎重な姿勢を崩さない。

    「私は決して楽観主義者ではない。グラスは常に半分空の状態だ。我々は正しい方向に進んでいるが、目標が十分に野心的なのかどうか、それを判断するのは時間だけだ」

  • ウィリアムズ 2026年F1マシン『FW48』テスト用リバリーをファン投票で決定

    ウィリアムズ 2026年F1マシン『FW48』テスト用リバリーをファン投票で決定

    ウィリアムズF1チームは、2026年シーズンのテストで使用するFW48のリバリーを、ファンによる投票で選択できる企画「Your Livery」を発表した。2025年コンストラクターズ選手権を5位で終えたチームは、新時代の幕開けに向けて期待感を高めている。

    アレクサンダー・アルボンに加え、カルロス・サインツが加入した2025年は“ルネッサンス”ともいえる躍進を示し、サインツが2度の表彰台を獲得。ミッドフィールドの中で存在感を示す一年となった。

    2026年の新レギュレーション下で主導権争いが激化へ
    2026年はF1が大幅な技術規則変更を迎え、グリッド全体の勢力図が読みづらくなると見られている。一方でウィリアムズは、来季も強力と評されるメルセデス製パワートレインを継続使用することから、上昇基調を維持できるとの見方が強い。

    ウィリアムズF1チームは1月、カタルーニャ・サーキットでFW48の“シェイクダウン”を実施する予定で、その初走行に向けて 6種類の特別デザイン を公式サイト上で公開。ファンはこの中から投票を通じてテスト用リバリーを選ぶことができる。

    ウィリアムズは、選ばれたデザインについて「ウィリアムズの歴史の一部として永遠に刻まれる」と説明している。

    ウィリアムズ・レーシング

    1月バルセロナ初走行の後、2回のバーレーンテストへ
    バルセロナでの初走行後、チームはバーレーンに移動し、2回に分けてプレシーズンテストを実施する。1回目は2月11日から、2回目は2月18日〜20日にかけて行われる。

    シーズン開幕戦は3月8日のオーストラリアGP(メルボルン/アルバートパーク)。ウィリアムズは2025年の躍進を自信に変え、さらなる前進を目指して新しい時代の戦いに臨む。

  • 2026年F1ミュールカーで可動式フロントウイング試作機が初披露

    2026年F1ミュールカーで可動式フロントウイング試作機が初披露

    アブダビで行われているポストシーズンテストで、来季導入される可動式フロントウイングシステムを模擬した試作機が姿を現した。

    2026年F1マシンは前後ウイングにアクティブエアロを搭載し、ストレートでドラッグを低減する仕様となる。火曜日のテストで使用されている“ミュールカー”は、モンツァのイタリアGPで使用されたウイングレベルのみを用いる形で、その効果を近似している。

    2026年仕様テストと「異例の速度制限」
    DRSは2011年以降、通常は長いストレート上の2〜3カ所のゾーンでのみ使用され、レース中は前車との差が1秒以内という条件が課されてきた。

    しかし2026年仕様では、FIAが「トラクション制限がない」と指定した区間に入ると、前後ウイングが開く仕組みに変わる。

    火曜日のアブダビテストでは、メルセデスがキミ・アントネッリのミュールカーに、フロントウイング上段エレメントの作動機構を装着した試作デザインを投入。大型のチューブでノーズ内部のシステムと接続された、やや粗削りな構造が見られた。

    チームにはこの種のシステムを開発し、今回のテストで使用することが許可されており、ドラッグレベルやタイヤ負荷の影響を把握する初期評価を行う狙いがある。通常仕様のミュールカーとの比較データも得られる。

    こうしたフロントウイングアクティブエアロを備えたミュールカーはこれが初の“可視化された”例で、ピレリによるミュールカーでの2026年テストの大半は、フロントウイングにアクティブエアロを搭載しない状態で実施されてきた。

    ただし、フェラーリも同様のシステムを開発しており、非公開でのピレリテストで使用され、アブダビでも再び投入される見通しだという。すでに運用経験があるため、メルセデスより「侵襲性が低い」成熟したデザインとされている。

    フォーミュラ1カー

    “300km/h制限”を受けない試作ウイング仕様
    今回のテストで可動式フロントウイングを搭載するミュールカーは、直線速度300km/h(186mph)の上限を守る必要がない。

    この速度制限は、ミュールカー計画においてピレリが採用してきた方式で、ほとんどのストレートでDRSを作動させつつ、車両フロントのオーバーロードを防ぐための措置だった。

    2026年には前後ウイングが“開いた”状態となるため、前後軸ともロードが減少する。その状況に近づけるため、速度制限が設定されている。

    ホイールリムにも実験要素
    今回のアブダビテストではホイールリムにも新たな実験項目がある。

    ミュールカーの走行では標準サプライヤーが手を加えたリムが主に使用されてきたが、2026年からはチーム側の設計自由度が大きく広がる。アブダビでは、2026年型に近いリムを用いた限定的な走行も許可されている。

  • F1の“ダーティエア”が限界に…FIA最新データで判明した衝撃の「4倍悪化」

    F1の“ダーティエア”が限界に…FIA最新データで判明した衝撃の「4倍悪化」

    2025年シーズン終盤、F1ドライバーたちが繰り返し訴えてきた「前車を追走しにくい」という問題が、ついにFIAの詳細データで裏付けられた。

    FIAが最新のCFD解析(流体解析)を公開し、今のマシンがどれほど“汚れた乱流=ダーティエア”を後方へ放出し、追走性能を損なっているかが数値として明確になった。その一方で、新空力レギュレーションが導入される2026年には、この問題が大きく改善される見通しも示されている。

    2025年シーズン終盤、F1ドライバーたちが繰り返し訴えてきた「前車を追走しにくい」という問題が、ついにFIAの詳細データで裏付けられた。

    FIAが最新のCFD解析(流体解析)を公開し、今のマシンがどれほど“汚れた乱流=ダーティエア”を後方へ放出し、追走性能を損なっているかが数値として明確になった。その一方で、新空力レギュレーションが導入される2026年には、この問題が大きく改善される見通しも示されている。

    2022年と比べて“4倍悪化”した追走性能
    FIAが2022年の新レギュレーションで目指したのは、「前の車に近づきやすいF1」。初年度はその狙いが明確に反映されており、2台が2台分の車間距離(約20m)で走行した際のダウンフォース喪失量は わずか5% ほどだった。

    しかし開発が進んだ2025年には、この値が 約4倍悪化。現在のマシンは、2022年初年度の理想から大きく遠ざかっている。

    FIAが示した主な数値は以下の通り:

    ■ 1台分=約10mの距離
    ・2019年:前車のダウンフォースの 55%
    ・2022年(開発前の想定モデル“UNIFORM”): 85%
    ・2025年実測: 65%

    ■ 2台分=約20mの距離(実戦で最も重要)
    ・2019年: 65%
    ・2022年: 95%
    ・2025年: 80%

    2022年に大幅改善されたはずの“追走性”は、開発競争の中で 2019年レベルに近づきつつある。これが近年のレースが“プロセッショナル(行列)”に見える最大要因といえる。

    フォーミュラ1カー

    2026年は再び改善へ。FIAが目指す「劣化を防ぐ空力」
    FIAが2026年用に設計した新しいベースモデル(コード名“FANGIO”)では、
    ・10mで 80%
    ・20mで 90%
    のダウンフォース保持を達成している。

    数字だけを見ると「2022年より悪いのでは?」と思えるが、実は意図的だ。

    2026年車では重量削減のためにホイールアーチやホイールカバーといった“乱流抑制アイテム”を廃止しており、その分の差が含まれている。その上で 空力マップの形状を最適化し、ドラッグロス(スリップストリーム効果)を強める設計 がなされている。

    また2026年車は現在の極端な“低車高ベタベタ”でもなく、旧世代のハイレーキでもない、 中間的な車高 で走るよう設計される。これにより、前車の乱流による挙動変化に強くなるとFIAは説明している。

    FIAシングルシーター部門責任者のニコラス・トンバジスは「2026年車はこれまでで最も良い追走特性になると信じている」と語る。

    なぜ追走性能は“劣化”したのか? 2022年レギュレーションの教訓
    2022年の新レギュレーションは、もともと“ダーティエアの抑制”を主目的としていたが、チーム側が数多くの抜け道を発見し、開発を進めたことで、結果的に乱流は年々悪化した。

    主な原因領域は以下の通り:

    ■ フロントウイングエンドプレート
    ■ フロントブレーキダクト内のエアロ
    ■ フロア外縁部
    ■ ディフューザーのエッジ形状

    特に2022年のメルセデスは、本来想定されていなかった“アウトウォッシュ方向の流れ”を作るエンドプレート形状を導入。これを受け、FIAは2023年に規則を厳格化したが、依然として別の手法で類似効果を生み出すことが可能だった。

    この“イタチごっこ”を防ぐため、FIAは2026年レギュレーションで各領域を大幅に厳格化。開発の自由度が減る分、汚れた乱流(dirty wake)が再び急激に悪化するリスクが抑えられると見られている。

    2026年は改善確実。ただし“劣化スピード”が最大の焦点に
    F1の根本的な空力原理として「乱流を完全になくすことは不可能」である。

    メルセデスのジェームス・アリソンが「風車に突撃するドン・キホーテのような戦い」と表現したように、ルールでどこまで抑え込めるかには限界がある。

    重要なのは、2026年に改善されても、その後どれだけ“劣化”するか。

    2022年の轍を踏まないため、FIAは“劣化しにくい”レギュレーションを設計している。

    ただ、レースの面白さは空力だけで決まらず、
    ・2026年に刷新されるPU(電力比率50/50)
    ・ピレリタイヤの性質
    ・車重の変化
    など、複数の要素が絡む。

    それでもFIAの解析結果は、2026年の開幕時点では明確に“追走しやすいF1”に戻る ことを示している。

    あとは開発競争が再びどれだけ乱流を増やすか——F1の永遠のテーマである“空力との戦い”は、これからも続くことになる。

  • キャデラックF1、スーパーボウルで2026年マシン初披露 史上最も大胆な船出

    キャデラックF1、スーパーボウルで2026年マシン初披露 史上最も大胆な船出

    キャデラックF1チームは、2026年のF1参戦に向けて、デビュー車のリバリーを来年のスーパーボウル中継内で公開すると発表した。F1チームが別の大型スポーツイベント内で初披露を行うのは史上初となる。

    同チームは2026年、F1の11番目のエントラントとして参戦を開始する。スーパーボウルでのリバリー公開は、米国最大の放送枠を活用した極めて野心的な試みで、視聴者数1億2700万人を超えた前回大会を踏まえても、そのマーケティング規模が際立つ。

    キャデラックF1 CEOのダン・トーリスは、スーパーボウルでの公開がアメリカ文化の象徴的な舞台であると強調し、「我々のブランドらしさを示す最高の場だ」と語った。同チームはF1において唯一のアメリカ自動車メーカーとなり、長年の欧州勢が支配する世界へ“スタンディングスタート”で挑む姿勢を示している。

    スーパーボウルという“究極の舞台”を選んだ理由
    トーリスは、「スーパーボウルはスポーツ、エンターテインメント、ストーリーテリングが融合する特別な瞬間だ」と述べ、キャデラックF1チームを象徴的に紹介するために最適な場だと説明した。

    30秒の広告枠が約800万ドル(約12億円)に達する現状でも、その価値を上回るインパクトがあると判断したかたちで、チームは一気に全米へ存在感を示す戦略に打って出る。

    チーム体制と準備状況
    キャデラックF1チームは、ジェネラルモーターズ(GM)とTWGモータースポーツの支援を受けて参戦。TWGを率いるのは元マルシア代表のグレアム・ロードンだ。

    ドライバーには複数回の優勝経験を持つバルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスを起用。さらにアメリカ人ドライバーのコルトン・ハータがテストドライバーを務める。2026年はフェラーリ製パワーユニットを搭載し、自社製エンジンは数年後の投入を見込む。

    また、1月26〜30日にバルセロナで2026年マシンのプライベートテストを予定しており、スーパーボウルでの公開はその直後となる。

    F1人気急上昇の米国市場を捉える狙い
    F1は米国で人気を急速に高めており、スーパーボウルという巨大な舞台で新チームの存在を打ち出すことは、キャデラックにとって象徴的な投資となる。同時に、2月11〜13日に始まるバーレーンのTV中継付き公式プレシーズンテスト、18〜20日の第2回テストへとスムーズに接続され、3月8日のオーストラリアGPでのデビューへ勢いを持ち込む構図だ。

    今回の取り組みは、単なる新チームの参入発表にとどまらず、F1とアメリカ文化の交差点にキャデラックが如何に大きな影響力を持ち込もうとしているかを象徴する一手となる。

  • アルピーヌF1 2026年F1マシン『A526』のリバリー発表を1月23日に実施

    アルピーヌF1 2026年F1マシン『A526』のリバリー発表を1月23日に実施

    アルピーヌF1チームは、2026年型マシンA526のリバリーを1月23日(金)にバルセロナで開催されるローンチイベントで披露すると発表した。

    アルピーヌは今季のコンストラクターズ選手権で最下位に位置しているが、来季はファクトリーとしてのルノー製パワーユニットから、メルセデス製カスタマーユニットへと切り替える大きな転換期を迎える。

    アルピーヌ、2026年F1マシンのローンチ日を発表
    アルピーヌは2026年のF1ローンチ計画を発表した4番目のチームとなった。レッドブルの両チームは1月15日のフォードイベントでマシン公開を予定しており、アストンマーティンは次期マシンAMR26を2月9日に発表すると月曜に告知している。

    エンストン拠点の同チームは、これまでのファクトリーチームとしてのステータスを離れ、2026年に向けた自前エンジン計画を棚上げし、代わりにメルセデスからカスタマーパワーユニットを購入することで新時代のF1へと踏み出す。

    また、2026年のドライバーラインナップも確定しており、サンパウロGPの前にフランコ・コラピントが来季もピエール・ガスリーとともに継続することが明らかにされている。

    プレシーズン最初のテストは1月26日からバルセロナ・カタルーニャサーキットで非公開で実施されるが、アルピーヌはその3日前に新しいリバリーを公開する。

    両ドライバーと上級マネジメントがイベントに出席予定であり、現行シーズンの終了から新シーズンの準備期間まで、例年より短いスケジュールとなっている。

    アルピーヌF1チーム

    アルピーヌのマネージングディレクターであるスティーブ・ニールセンは、エンストンのスタッフが来季マシンに向けて懸命に取り組む中、チームを再びF1の前方へ押し戻すという意思について語った。

    カタールでPlanetF1.comおよび他の認定メディアから、これまでチームで何に感銘を受けたかと質問された際、彼は次のように述べた。

    「陳腐に聞こえるが、ここはレーシングチームだ。レーススピリットを持つ人間で満ちている。

    最近は結果が混ざっているが、かつてそこにあった場所にチームを戻したいという情熱と意志がある。

    会社のトップからボトムまで献身が巨大で、私の仕事はそれを調整し、良いエリアを強化し、弱いエリアを再強化し、マネジメントに常識と一貫性をもたらすことだ。

    ここ数年、エンストンではあまりにも多くの変化があった。前任者を批判するつもりはないが、忍耐と常識と一貫性が必要な時だ。もちろん、我々はチームを良くしたい。しかし“忍耐”と“F1”は相性が良くないが、それがタスクなんだ。

    だから、次の数年をかけてチームを築いていかなければならない。F1とはゆっくりと削り出すようなプロセスだ。魔法の弾丸は存在しない。ただ百万のディテールを適切に直していくしかない。

    何よりも、これは“人のビジネス”なんだ。だからその教訓を再び学んでいるところだ」

    2026年はプレシーズンテストが3回実施され、合計11日間にわたり、パワーユニットとシャシー規則が同時に変わる巨大レギュレーション刷新の中で、各チームは新型車を把握していくことになる。

  • FIAが断言「2026年F1マシンはダーティエア問題を大幅改善」

    FIAが断言「2026年F1マシンはダーティエア問題を大幅改善」

    FIA(国際自動車連盟)は、近年のF1でレース品質が悪化しており、マシン同士が接近して走れなくなっていることを認めている。2022年に導入した新レギュレーションでは“ダーティエア”削減に大きく踏み込んだが、その効果はシーズンを経るごとに薄れていったとニコラス・トンバジスは説明する。

    FIAは2026年に大幅な技術規則変更を導入するが、2022年の反省点を踏まえ、マシン同士がより接近して走行できる“好ましい空力特性”をより長期的に維持できると自信を示した。

    2022年の改善は“劣化した”。原因は各チームが生んだ設計の抜け穴
    トンバジスは、2022年マシンが当初は「前世代のクルマより大幅に良い“後方乱気流(ウェイク)特性”」を持っていたことを認める。

    「20メートル後方でのダウンフォース損失は、前世代では約50%だったが、2022年マシンは80〜85%ほどに改善された」とし、しかしその後「規則サイクルの中で徐々に悪化した」と述べる。

    その理由は、チームが追加したエアロデバイスや、意図せぬ形で生まれた“アウトウォッシュ”を発生させるパーツ設計だという。

    ・フロントウイングエンドプレート
    ・フロントブレーキダクト内部
    ・フロア外側部

    これらが小さな変化として積み上がり、現在のマシンの“ダーティエア特性”を悪化させた、とトンバジスは説明した。

    2026年は「90%前後」で過去最高の接近戦性能を実現できる
    FIAは2026年に導入される新レギュレーションの初年度で、2022年を上回る“追従性能”を実現できるとみている。

    「2026年の新サイクルでは、20メートル後方でのダウンフォース保持率は90%前後になると考えている」とトンバジスは語る。

    また今回の規則では、下記の特徴により接近戦を促進する。

    ・シンプル化されたエアロサーフェス
    ・アクティブエアロ(コーナーでダウンフォース最大化、ストレートでドラッグ最小化)
    ・DRS廃止 → ボタン式オーバーテイクパワーブーストへ移行

    これらが“2026年のレースをより面白くする要素”になるとしている。

    フォーミュラ1カー F1 国際自動車

    性能差は一時的に拡大へ。ただし“レースの質”は確実に向上するとFIA
    トンバジスは「新規則の導入初期は、当然グリッドの性能差が広がる」としつつも、後続車が前走車に近づきやすくなる点を強調した。

    「ウェイク特性は大幅に改善されており、2022年規則から多くを学んだ。その学びを2026年の空力規則に反映している」と述べる。

    さらに、DRSからエネルギーシステムへのオーバーテイク手段の切り替えにより、「レースの性質が変わり、より予測しづらい展開になる」とし、エアロと合わせて「最終的にレースはよりエキサイティングになる」と結論づけた。

  • 2026年F1マシンは「F2並みにはならない」 FIAがF1新規則への懸念に反論

    2026年F1マシンは「F2並みにはならない」 FIAがF1新規則への懸念に反論

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、2026年のF1マシンが現行F2マシンに近いパフォーマンスになるとの一部の主張を否定した。

    ラスベガスでレーシングブルズのアイザック・ハジャーがドライバーインザループ(DiL)シミュレーターでの経験をもとに「F2に近い」と語り、「パフォーマンス面の話だ」と補足していたが、FIAのラップタイムシミュレーションはこれを裏付けていない。

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、2026年のF1マシンが現行F2マシンに近いパフォーマンスになるとの一部の主張を否定した。ラスベガスでレーシングブルズのアイザック・ハジャーがドライバーインザループ(DiL)シミュレーターでの経験をもとに「F2に近い」と語り、「パフォーマンス面の話だ」と補足していたが、FIAのラップタイムシミュレーションはこれを裏付けていない。

    アストンマーティンのジャック・クロフォードもシミュレーターで「F2にかなり似ている」と述べたが、こちらはペースについては触れていない。2026年の新レギュレーションでは、V6エンジンと電動パワーの比率がほぼ50/50となり、エネルギーマネジメントがパフォーマンスの鍵となる。また、シャシー規定はドラッグ削減のために設計されており、ストレートでは前後ウイングをオフに、コーナーではハイダウンフォースに切り替える可変エアロを採用する。

    「1〜2秒遅くなるだけ」──トンバジスが示す実測値
    これらの変化にもかかわらず、トンバジスはラップタイムの低下幅は当初の段階で「わずか1〜2秒」にとどまると説明した。

    「F2並みというコメントは完全に見当違いだ」とトンバジスはThe Raceの取材に答えた。

    「我々が見ているのは、コースや条件によるが現在より1〜2秒遅い程度のラップタイムだ。サイクルの始まりで前サイクルより速くするのは馬鹿げている。レギュレーション的には簡単に速くできるが、自然な開発で取り戻すべき余地が必要であり、最初から前より速くしてはいけない。20年後に何が起こるかを想像してほしい」

    「少し遅くなるのは自然だが、『もはやF1ではない』という議論になるような水準ではまったくない」

    比較として、F1とF2の差は2022年バーレーン予選で約11秒、2017年のハイダウンフォース導入時で10.2秒、2014年のV6ターボ初年度で5.7秒だった。今年はその差が15秒まで拡大しており、仮に1〜2秒遅くなっても依然として13秒前後の差が残る計算となる。

    フォーミュラ1カー (国際自動車連盟)

    レッドブルのモナハンも同調──ただし「サーキット依存」
    レッドブルのチーフエンジニア、ポール・モナハンもトンバジスの見解を支持しつつ、実際の差はサーキット特性に左右されると強調した。ブレーキングでのエネルギー回収量が少ないコースでは電力のデプロイ量が減るため、タイム差が大きくなる可能性があるという。

    さらに、シミュレーションに依存している現段階では実際の空力グリップやピレリの最終タイヤ仕様が不確定であり、ラップタイムに大きな影響を及ぼし得ると指摘した。

    モナハンは次のように述べた。

    「サーキットによって状況は少し変わる。エネルギーを多く回収できる“エネルギーリッチ”なサーキットではラップタイムの落ち幅は小さく、逆に回収が難しい場所では今のところもう少し遅い」

    「最も難しいのは、どれだけのグリップを実際に得られるのかを確定させることだ。エアロマップでは『このダウンフォースが得られる』となっていても、それが現実かどうかは分からない。ピレリの最終タイヤが少し良いか悪いかでも、全体のラップタイムに大きく影響する」

    「だから確かに少し遅くなる。しかしF2のペースにはならないと思うし、そうならないことを願っている」

  • 2026年F1マシンは“史上最も複雑” ハース技術責任者が明かす「怖さと課題」

    2026年F1マシンは“史上最も複雑” ハース技術責任者が明かす「怖さと課題」

    F1で2026年に導入される大規模なレギュレーション変更は、ファンにとってはワクワクさせる要素であふれている一方、マシンを設計する側にとっては不安要素の塊だ。

    新シャシーと新パワーユニットを併せ持つ“完全なクリーンシート”規則は、勢力図を覆すチャンスであると同時に、判断を一つ誤れば深刻な後れを取るリスクも孕んでいる。

    各チームが深くルールに取り組み始めるにつれ、複雑さがより明らかになり、「自分たちの判断は正しいのか」という不安が現実味を帯びてきていると、ハースF1チームのテクニカルディレクター、アンドレア・デ・ゾルドは語る。

    可変ウイングとPU特性の同期が最大の悩み
    2026年の最大の難所のひとつは、可変ウイングのダウンフォースとドラッグを新PUの出力特性にどう合わせるかという点だ。

    ストレートでドラッグが多すぎればバッテリーのエネルギーを使い切ってしまう可能性がある。一方でダウンフォース不足はコーナーで大きなロスとなる。

    しかも、その“最適解”は他チームのアプローチを見て初めて浮かび上がる可能性が高く、チームは“手探り状態”を強いられている。

    「おそらく、我々や他のみんなを怖がらせている部分だ」とデ・ゾルドは認める。

    「実際に走らせるまでに学ぶことは多いし、この段階で何かを見落とすのは本当に簡単なんだ。PUメーカーもまだ理解を深めている最中で、とても大きなチャレンジだよ」

    初期フェーズは“総学習モード” アップデート計画も固められず
    2026年序盤は全チームが急激な学習フェーズに入り、どの程度のアップデートをどのタイミングで投入すべきかすらまだ見えていないという。

    「来年に向けて多くを準備してきたが、現時点で明確な計画を立てることは不可能だ」とデ・ゾルド。

    そのため、レース1に向けたパッケージは「できるだけ遅くまで生産を引き延ばす」という攻めの姿勢を取っている。初テスト後に作り直す時間はなく、事前に出したものをベースに戦うしかないからだ。

    「すべてはテストで見えてくる。まだ未知の世界なんだ」

    フォーミュラ1カー F1 自動車競技

    “予想外の罠”は必ずある──メルセデスが語る過去の教訓
    2022年にグラウンドエフェクト規則が導入された際、多くのチームがポーポイズ現象に苦しんだ。特にメルセデスは深刻だったが、彼ら自身も「準備したつもりだった」と振り返る。

    同チームのトラックサイドエンジニアリングディレクター、アンドリュー・ショヴリンはこう語る。

    「予測できなかったものに足をすくわれたんだ。新しいレギュレーションには常に“罠”があるし、失望するチームも必ず出てくる」

    シミュレーターでどれだけ準備しても、実際に走らせて初めて見える挙動は多い──2026年も同じだという。

    2026年マシンは“過去最も複雑” ハースが直面する設計の難しさ
    デ・ゾルドによれば、2026年マシンは近年のどの規則よりも複雑で、特にシャシーのホモロゲーション作業が非常に難しかった。

    「シャシーは我々が手掛けた中で最も複雑なプロジェクトだった。そこに多くの労力を割いたあと、ようやく性能面の作業に移っているところだ」

    可変フロントウイングの機構設計も時間を要し、コンパクトさと信頼性の両立に苦労したという。

    さらに、ハースはフェラーリから受け取るパーツに依存しているため、アップデートが突然届くことで設計方針を変更せざるを得ないケースもある。

    「考えていた方向性があっても、フェラーリから新しいアップデートが届くと“さて、どうする?”となる。作業量は減るが、反応する時間も減るんだ」