カテゴリー: F1マシン

  • ランド・ノリス、F1スーパライセンス料の最高額を更新…約1億6,380万円

    ランド・ノリス、F1スーパライセンス料の最高額を更新…約1億6,380万円

    2025年F1ドライバーズチャンピオンに輝いたランド・ノリスが、2026年シーズンに向けてFIAスーパライセンスで最も高額な請求を受けることになった。

    FIAスーパライセンスは、F1に参戦するすべてのドライバーに毎年義務付けられているもので、固定費と前年獲得ポイントに応じた変動費で構成されている。トップドライバーの場合、その総額は100万ユーロ超(約1億6,000万円超)に達する。

    固定費は全ドライバー共通で1万1,842ユーロ(約190万円)に設定されている。これに加え、2025年に獲得した1ポイントごとに2,392ユーロ(約38万円)が上乗せされる仕組みだ。

    2025年に423ポイントを獲得したランド・ノリスの場合、2026年のスーパライセンス料は1,023,658ユーロ(約1億6,380万円)となり、これはグリッド中で最高額となる。

    一方、オスカー・ピアストリも410ポイントを獲得しており、その金額は999,562ユーロ(約1億5,990万円)と、ほぼ100万ユーロ(約1億6,000万円)に迫る水準となっている。

    なお、これらのスーパライセンス料はすべて各チームが負担し、F1のコストキャップには含まれない。

    ■ 2026年FIAスーパライセンス料
    ランド・ノリス(423ポイント) 1,023,658ユーロ/約1億6,380万円
    マックス・フェルスタッペン(421ポイント) 1,018,874ユーロ/約1億6,300万円
    オスカー・ピアストリ(410ポイント) 999,562ユーロ/約1億5,990万円
    ジョージ・ラッセル(319ポイント) 774,890ユーロ/約1億2,400万円
    シャルル・ルクレール(242ポイント) 590,706ユーロ/約9,450万円
    ルイス・ハミルトン(156ポイント) 384,994ユーロ/約6,160万円
    アンドレア・キミ・アントネッリ(150ポイント) 370,642ユーロ/約5,930万円
    アレクサンダー・アルボン(73ポイント) 184,458ユーロ/約2,950万円
    カルロス・サインツJr.(64ポイント) 164,930ユーロ/約2,640万円
    フェルナンド・アロンソ(56ポイント) 145,794ユーロ/約2,330万円
    ニコ・ヒュルケンベルグ(51ポイント) 133,834ユーロ/約2,140万円
    アイザック・ハジャー(51ポイント) 133,834ユーロ/約2,140万円
    オリバー・ベアマン(41ポイント) 109,014ユーロ/約1,740万円
    リアム・ローソン(38ポイント) 102,738ユーロ/約1,640万円
    エステバン・オコン(38ポイント) 102,738ユーロ/約1,640万円
    ランス・ストロール(33ポイント) 90,778ユーロ/約1,450万円
    ピエール・ガスリー(22ポイント) 64,466ユーロ/約1,030万円
    ガブリエル・ボルトレト(19ポイント) 57,290ユーロ/約920万円
    フランコ・コラピント(0ポイント) 11,842ユーロ/約190万円

    アービッド・リンドブラッド(対象外) 11,842ユーロ/約190万円
    セルジオ・ペレス(対象外) 11,842ユーロ/約190万円
    バルテリ・ボッタス(対象外) 11,842ユーロ/約190万円

  • 2026年F1パワーユニット:メーカーが差をつけられる3つのポイント

    2026年F1パワーユニット:メーカーが差をつけられる3つのポイント

    2026年から導入されるF1パワーユニットはMGU-Hを失う一方で、完全に白紙から設計されるわけではない。V6エンジンとMGU-Kは、2014年に始まったハイブリッド時代のコンセプトを一定程度引き継ぐ。しかし、その中でも各メーカーが競争優位を築くために注力してきた分野が存在する。

    2026年仕様のパワーユニット開発にあたり、F1の各パワートレイン部門は、過去と比べてはるかに堅固な技術基盤からスタートすることができた。

    そのため、革新や差別化を図れる要素は限定的になるが、まさにその限られた領域こそが初期の性能差を生み出す鍵となる。

    「パワーユニットの構成要素そのものはすでに存在している。だからこそ、高性能なものを作るには信じられないほど野心的な目標を設定しなければならない。コスト制限の中で最善を尽くすため、我々は多くの問いを自らに投げかけてきた」と、メルセデスAMG・ハイパフォーマンス・パワートレインズの責任者であるハイウェル・トーマスは語っている。

    トーマスが挙げた「差別化のポイント」は、大きく3つに集約される。それは、内燃エンジン(V6)、電動システム、そして両者の相互作用だ。

    (1) 内燃エンジン(V6)の性能
    V6エンジンは、2026年以降も依然として重要な要素であり続ける。信頼性の面では、すでに各メーカーが極めて高い水準に到達しているが、純粋な性能では差が生じる可能性が高い。

    「エンジンのパワーは間違いなく非常に重要な要素だ。我々はパワーユニットを設計・製造するエンジニアであり、エンジン出力を愛している。これは主要な焦点のひとつになる」とトーマスは強調する。

    (2) 電動システム(MGU-K)の効率
    2026年の電動システムではMGU-Kが中心となり、1周あたりに使用できるエネルギー量は従来より制限される。そのため、チームとドライバーの連携はこれまで以上に重要となり、いかに効率よくエネルギーを使い切らずに走るかが問われる。

    「2つ目のポイントは電動システムの効率性だ。この分野で効率が高ければ高いほど、システムをより長く作動させることができ、その分だけ速く走れる。これも非常に大きな役割を果たすだろう」とトーマスは述べている。

    (2) 内燃機関と電動系の統合・運用
    多くの場合、マシンは個々の要素が単独で優れているだけでは十分ではなく、全体としてどれだけうまく機能するかが重要となる。トーマスは、この「統合こそが3つ目の決定的要素」だと指摘する。

    「すべてのコンポーネントをうまく連携させることが不可欠だ。利用可能なエネルギーやパワーを過渡的な状況でどう使うのか。まったく新しいマシンと、ドライバーとをどう結びつけるのかが問われる」

    さらに彼は、エネルギーマネジメントがドライビングそのものを制約する可能性についても触れている。

    「ドライバーは望めばストレートでは非常に速く走れるかもしれない。しかし、そうすればラップの残りの部分で大きな困難に直面することになる。だから、たとえ望んでもそれはできない。その戦略的な要素、つまりどこでパワーを使うのかを理解することが、全体の中で大きな違いを生むと思う」

    F1 フォーミュラ1エンジン

    ADUOによる性能差是正の仕組み
    2026年シーズン序盤には、性能面で一歩抜きん出たパワーユニットが現れる可能性が高い。ただし、新規則では遅れているメーカーを救済するための仕組みも用意されている。それがADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)だ。

    この制度について、FIAシングルシーター部門の技術責任者であるニコラス・トンバジスは次のように説明している。

    「パワーユニットメーカー間にはコスト面での格差がある。そのため、これらの規則の初日からADUOという概念が存在していた。ここ数か月で、その運用方法を明確にするための詳細が追加された」

    「5〜6戦ごとに、各パワーユニットメーカーの平均的なパフォーマンスが測定される。定められた基準を下回ったメーカーは、その下回り具合に応じて、年間を通じて蓄積される形で恩恵を受けることになる」

    その恩恵は、具体的に3つの形で与えられる。

    「1つは追加の開発資金、2つ目はベンチテストの追加時間、そして3つ目が新たなエンジンの再ホモロゲーションを行う権利だ。つまり、後れを取ったメーカーにも挽回し、追いつく機会が与えられる」

    2026年のF1パワーユニットは、単なる技術革新だけでなく、効率、統合、そして運用戦略を含めた総合力が問われる時代へと突入することになる。

  • 2026年F1はクリッピングが消える? FIAが導入する「バーン・フォー・チャージ」

    2026年F1はクリッピングが消える? FIAが導入する「バーン・フォー・チャージ」

    2026年F1レギュレーションに向けて、FIA(国際自動車連盟)はエネルギーマネジメント面での大きな課題となる「クリッピング」への対策を進めている。

    その中核をなすのが、内燃エンジンを積極的に活用して電力回生を行う新たな運用概念「バーン・フォー・チャージ(burn for charge)」だ。これはMGU-Kで回収・使用されるエネルギーを安定的に管理し、急激な出力低下を防ぐために設計された仕組みである。

    電動比率拡大が招く“慢性的クリッピング”の懸念
    2026年F1では、バッテリー容量(デルタ・ステート・オブ・チャージ)が最大4MJに制限される一方、電動出力は最大350kWに達する。これはパワーユニット全体に占める電動要素の比重が大きくなることを意味する。

    理論上、ストレートでMGU-Kの出力をフルに使い続けると、約11秒でバッテリーが枯渇する計算になる。この状況が続けば、ストレート終盤で電動出力が途切れる「慢性的クリッピング」が発生し、推進力が大きく低下する。これはチームにとって許容できないシナリオだ。

    フェルスタッペンが示した危機感
    この問題については、以前からドライバー側からも懸念が示されてきた。2025年シーズン中、マックス・フェルスタッペンは次のように語っている。

    「モンツァのストレートを全開で走って、ブレーキングの400〜500メートル手前でエネルギーが切れてしまい、シフトダウンを強いられるような状況は、正しい方向だとは思えない。」

    この発言が指していたのは、電動出力が突然失われることで起きる極端なクリッピングだ。過去にはスパ・フランコルシャンでも、似た現象が見られていた。

    2026年はソフトウェア管理が決定的要素に
    FIAは、2026年以降はエネルギーマネジメントを担うソフトウェアの重要性が飛躍的に高まると見ている。各チームのピットウォールには、エネルギー回生と配分を専門に担当する技術者が配置される予定だ。

    これにより、フェルスタッペンが懸念したような極端な状況は緩和される見込みである。さらにFIAは「ランプダウン」と呼ばれる制御も導入し、電動出力が瞬間的にゼロになることを防ぐ。これは中央制御ユニットによって管理され、急激な性能低下で特定のマシンが不利になる事態を避ける狙いがある。

    国際自動車連盟 F1 2026年のF1世界選手権

    段階的な出力低下と回生の現実
    新レギュレーションでは、電動出力は時速290kmを超えると徐々に低下し、355km/hで完全にゼロになる。この仕組みによって、ドライバーが感じる加速低下はより穏やかなものになる。

    一方で、理論計算では約11〜12秒のフルブレーキングがあればバッテリーを満充電できるとされる。しかし2026年マシンは制動効率が非常に高く、多くのサーキットではそこまで長い減速時間を確保できない。そのため、ブレーキングだけに頼った回生では不十分となる。

    「バーン・フォー・チャージ」という解決策
    そこで導入されるのが「バーン・フォー・チャージ」だ。これは内燃エンジンに通常以上の負荷をかけることで、コーナリング中などでもエネルギー回生を可能にする仕組みである。

    当然ながら燃料消費は増加するため、エネルギー回生量と燃費のバランスをどう取るかが技術陣の腕の見せ所となる。この妥協点を見極める上で、パワーユニット全体の効率が極めて重要になる。

    有利と見られるメーカー、そして拮抗の構図
    エネルギー回生と蓄電効率に優れるパワーユニットを持つメーカーは、自然と有利な立場に立つ。現時点ではメルセデスがこの分野で優位と見る声が多い。

    ただし、フェラーリも自社パワーユニットに強い自信を示している。パワーユニット部門を率いるエンリコ・グアルティエリは、効率面で競争力のある特性を備えていると強調している。

    FIAの技術責任者であるニコラス・トンバジスの主導のもと進められるこれらの対策が、2026年F1でどこまで均衡した戦いを生み出すのか。その答えは、実戦が始まるまで待つしかない。

  • FIAが予測する2026年F1マシンの性能差 最重要ファクターは内燃エンジン

    FIAが予測する2026年F1マシンの性能差 最重要ファクターは内燃エンジン

    大幅なレギュレーション変更は、常にF1の勢力図に大きな差を生み出してきた。チーム、そしてFIAの双方は、2026年F1シーズン開幕当初、2025年よりもフィールドのばらつきが大きくなると見ている。ただし、FIAは2014年のような長期的な一強支配を防ぐため、複数の“セーフティネット”を規則に組み込んだ。

    2014年に始まったハイブリッド時代では、メルセデスが圧倒的に優れたパワーユニットを投入し、その優位性が何年にもわたって固定化された。

    2026年のリセットでも理論上は同様の事態が起こり得るが、FIAは過去の教訓を踏まえて対策を講じている。

    ICEが初期の主役になる理由
    パワーユニット面で最大の対策となるのがADUOシステムだ。6戦ごと(第1~6戦、第7~12戦、第13~18戦)にFIAが内燃エンジン(ICE)の出力を評価し、最強のICEから2〜4%遅れているメーカーには追加アップグレード1回、4%以上遅れているメーカーには2回の追加アップグレードが認められる。

    今回のリセットが特別なのは、パワーユニットだけでなく、シャシー規則も含めた全面刷新である点だ。新エンジン規則、アクティブエアロを含む新シャシー規則、そして完全持続可能燃料への移行が同時に行われる。

    こうした中で、2026年の最大の性能差要因は何になるのか。FIAシングルシーター部門責任者のニコラス・トンバジスは、次のように語っている。

    「最初はエンジン、特にICEが主な要因になると予想している。新規参入メーカーもいて、ICE規則も新しいため、初期には差が出るだろう」

    「ただし、段階的に追いつける仕組みも用意している。性能差は一時的なものになると考えている」

    さらにトンバジスは、空力面でも完全に新しい規則が導入される点を強調する。

    「空力規則も全面的に新しくなる。当然、良い解決策も悪い解決策も出てくる。最初の半年から1年で、ある程度の収束が起きるだろう」

    2022年規則が示した“収束”の前例
    この流れは2022年レギュレーションでも見られた。当初は、レッドブルのダウンウォッシュ、フェラーリのインウォッシュ、メルセデスのゼロポッドという、3つの異なるサイドポッド概念が存在した。しかし時間の経過とともに、多くのチームがレッドブル型へと近づきつつ、独自の解釈を加えていった。

    国際自動車連盟 フォーミュラ1カー フォーミュラ1エンジン

    2026年のギャップは本当に拡大するのか
    チーム間の差について、FIAの見方は二段構えだ。開幕当初は2025年より差が大きくなるが、規則が意図通り機能すれば、長期的には前サイクルよりもむしろ接近したグリッドになるという。

    「2026年に、昨年と同じレベルでグリッドが接近するとは思っていない。ただし、収束後のグリッドは、2025年よりも近くなると予想している」

    タイヤサプライヤーのピレリは、各チームの初期ダウンフォースシミュレーションに大きな差があったことを示唆している。一方で、12月に提出された2026年末を想定した最新シミュレーションでは、その差はかなり縮まっていたという。

    これについてトンバジスは慎重だ。

    「ある程度の自信にはなるが、詳細なデータを持っているわけではない。各チームが現在どれほどのダウンフォースや馬力を持っているかは分からない。初期には差が出るかもしれないが、最終的に収束した性能は、よりコンパクトなグリッドを生むと確信している」

    “面白さ”を決めるのは何か
    最後にトンバジスは、ファンにとってのエンターテインメント性は、必ずしも最速と最遅の差で決まるものではないと強調した。

    「グリッドの近さを決めるのは、必ずしも1位と最下位の差ではない。1、2チームが序盤で苦しんだからといって、それが選手権の面白さを左右するわけではない」

    「多くの場合、重要なのは上位半分、つまりポイントや勝利を争うチーム同士がどれだけ接近しているかだ。その点では、十分に接戦になると考えている」

    ICEが主役となる2026年F1の幕開けは、短期的な差と長期的な収束、その両方を内包したシーズンになりそうだ。

  • 2026年F1レギュレーションは内燃エンジンの常識も書き換える

    2026年F1レギュレーションは内燃エンジンの常識も書き換える

    2026年F1レギュレーションを見ると、シリンダー数は同じ、寸法も同じ、バンク角も同じで、過去12年間と同じV6内燃エンジンが使われ続けるように思えるかもしれない。そのため、開発における重要性は低いと錯覚しがちだ。しかし実際はまったく逆である。

    新規エンジンメーカーの参入を促すため、FIAは燃焼そのものを根底から変える数多くの変更を加えた。電動部分が強化される一方で、メーカー間の競争は今後も、古くからのガソリンエンジンを巡って繰り広げられる。

    隠された革命
    2026年レギュレーション策定の過程で、新規参入メーカーは既存メーカーの優位性を最小限に抑えるため、従来のV6に対する一連の変更を強く求めた。内燃エンジンの基本的なジオメトリーは同じだが、燃焼プロセスは白紙から再設計されている。

    最初の変更点は、シリンダーに送り込まれる空気条件だ。ターボ圧は最大4.8バールに制限され、従来のパワーユニットで見られた6バール近いピークは許されない。さらに、ターボを電動で加速していたMGU-Hは廃止され、低回転域での過給圧や燃焼制御は格段に難しくなった。加えて、圧力波の共鳴周波数を利用して吸気量を最適化していた可変吸気ファンネルも禁止されている。

    燃焼に不可欠なもう一つの要素である燃料にも、大きな変更が加えられた。燃料は初めて、生物由来および/または合成由来成分の混合を義務付けられ、最大燃料流量は約30%削減される。圧縮比も18から16へと引き下げられ、点火直前の圧力と温度は低下する。さらに、スパークプラグによる点火回数は従来の最大5回から1回に制限され、燃焼を開始することはできても、その過程を最初から最後まで制御することはできなくなった。外見上の器は同じでも、その内部で起きていることは完全に別物なのである。

    パワーがすべてではない
    MGU-Hと可変吸気ファンネルの廃止により、エンジンメーカーは回転数に応じて燃焼を制御する二つの重要な手段を失った。その結果、内燃エンジンをどの作動点に最適化するか、すなわち有効な作動ウインドウをどこに設定するかという問題が生じる。

    この点について、アストンマーティンのチーム代表であり、2014年以降の支配的な時代にメルセデスのエンジン部門を率いていたアンディ・コーウェルは次のように語っている。

    「MGU-Hには素晴らしい点が二つある。一つは本来捨てられるはずのエネルギーを回収できること、もう一つはターボの回転数を制御できることだ。だからアンチラグは不要だった。2026年には必要になるのか。もし必要なら、どうやって実現するのか。それとも、常に高回転でエンジンを回し続けるのか。各社がどうするのかは興味深い」

    低回転域でのトルク、すなわちコーナー立ち上がりの加速を優先するのか、それとも最高出力と最高速を重視するのかという選択が迫られる。小型で軽量なターボはターボラグを抑えられる一方、高回転域での出力は犠牲になる。

    このジレンマはさらに広がり、エンジン性能とマシン全体の空力効率との妥協点を見つける必要がある。例えば、エンジン温度を低く保てば熱効率は最大化されるが、そのためには大型の冷却系が必要となり、空力や重量に悪影響を及ぼす。内燃V6のコンセプトとシャシーの設計は密接に結び付いており、エンジンのデューティサイクルが空力性能に影響し、その逆もまた然りである。

    エンジン F1レギュレーション 2026年のF1世界選手権

    エネルギーフローの導入
    2014年の大きな革新の一つは、10500回転以上で燃料流量を100kg/hに制限した点にあったが、2026年にはこの考え方が進化する。燃料の化学組成には一定の自由度が認められ、供給元によってエネルギー密度が異なる可能性があるため、制限は燃料質量ではなく、エンジンに投入される化学エネルギーの流量そのものに課される。上限は3000MJ/hで、燃料の質量流量とエネルギー密度から算出される。

    この値は従来のパワーユニットと比べて低く、当初は1レースあたり70kgの燃料で走り切ることを目標としていたが、この数値は規則には明記されなかった。

    規則では走行状況に応じて異なる制限も設けられている。ブレーキング時や部分スロットル時には燃料流量が低く抑えられ、減速区間やコーナー中にエンジンを全開で回してバッテリーを充電する、といった不自然な使い方を防ぐ。FIAは従来通りフローメーターで監視するが、今回は1基のみとされ、非測定区間で瞬間的に流量を増やすことを防ぐアンチエイリアシング技術が導入される。さらに、排気ガス中の混合気の濃さを検知するラムダセンサーも追加され、リッチかリーンかを把握できるようになる。

    新たな開発ルール
    構造面での変更も大きい。2026年から内燃エンジンの最低重量は130kgに設定され、ピストンとコンロッドの重量もそれぞれ50g、20g引き上げられる。これはピストンに特定の鋼合金のみを使用することが義務付けられ、軽量なアルミ合金が使えなくなったためである。

    スプリットターボ構造も禁止され、タービンとコンプレッサーはエンジン後方で一体化しなければならない。インジェクターは全メーカー共通の標準品となり、スパークプラグも指定された設計に従う必要がある。

    エンジンメーカーは、旧世代V6から流用できる部品は一つもないと口を揃える。特に新規参入メーカーが大きく出遅れ、挽回できなくなるのではないかという懸念も生まれている。今回はパワーユニット開発にもコストキャップが適用され、アップデートも厳密なスケジュール管理下に置かれる。例えば、新しい燃焼室をホモロゲーションできるのは2027年と2029年のみである。

    そこでFIAは、ADUO(追加アップデートおよび開発機会)と呼ばれる救済制度を導入した。これはコストキャップの引き上げ、内燃エンジンのベンチテスト時間を30%増やす措置、そして追加アップデートのホモロゲーションを可能にするものである。

    この制度は、最も競争力のあるパワーユニットに対して2%以上出力が劣るメーカーを対象とし、パフォーマンスはドライブシャフトに取り付けられたトルクセンサーで監視される。信頼性に深刻な問題がある場合には、複数のパワーユニット製造にかかる費用を補填する形で、予算上限の引き上げも認められる。

    これらの支援策は、外見とは裏腹に、2026年のV6内燃エンジンがいかに徹底的に変革されているかを示す、何よりの証拠である。

  • 2026年F1レギュレーション:すべての主要変更点を解説

    2026年F1レギュレーション:すべての主要変更点を解説

    F1は2026年に向けて、シリーズ史上でも最大級といえるレギュレーション刷新を迎える。パワートレイン、シャシー、エアロダイナミクス、燃料規定に至るまで、マシンの根幹を成す要素が一斉に見直されるこの年は、単なる技術変更ではなく、F1という競技の方向性そのものを大きく変える転換点となる。

    電動化の大幅な加速、完全持続可能燃料の導入、アクティブエアロダイナミクスの本格採用など、2026年レギュレーションは「速さ」と「持続可能性」を両立させることを明確な目的としている。

    ここでは、パワートレインの構成変更から車体寸法の見直し、そして新たなオーバーテイクの仕組みに至るまで、2026年F1を形作る主要な変更点を順を追って解説する。

    パワートレインの大転換
    最大の変更点はパワートレインだ。電動コンポーネントがこれまで以上に重要な役割を担うことになる。現在は出力の約80%を内燃エンジンが、20%をバッテリーが担っているが、2026年からは50対50の比率となる。

    内燃エンジン自体の出力は、現行の550〜560キロワットから400キロワットへと低下する。ただし、その減少分はバッテリー出力の大幅な向上によって補われる。バッテリーは現在の120キロワットから、最大で350キロワットまで引き上げられる。さらに重要な点として、使用される燃料はすべて再生可能燃料となる。

    最も注目すべき変更点は、排気ガスからエネルギーを回収するMGU-Hの廃止だ。この複雑かつ高コストな技術は、パワートレインを簡素化する目的で削除される。

    エネルギー回収はMGU-Kのみとなり、その性能は大幅に強化される。1周あたりに回収可能なエネルギー量は、現行の4メガジュールから8.5メガジュールへと増加し、主にブレーキング時に回収される。これにより、ドライバーは1スティント中により多くの電力を使用できるようになる。

    F1レギュレーション 2026年のF1世界選手権

    シャシーへの変更
    シャシーも大きく変更される。マシン重量は30キログラム軽量化され、最低重量は768キログラムとなる。また、全体的にコンパクト化される。

    ホイールベースは最大3,400ミリメートルへと200ミリメートル短縮され、全幅も100ミリメートル縮小されて1,900ミリメートルとなる。

    最も革新的な要素は、アクティブエアロダイナミクスの導入だ。特定の高速セクションにおいて、フロントおよびリアウイングの角度を動的に調整できるようになり、コーナーモードとストレートモードが設定される。これにより戦略的な柔軟性が生まれ、路面でのグリップを高めることでマシンのパワーを最大限に活用できるようになる。

    これらのアクティブエレメントは、現行のDRSに代わる「オーバーテイクモード」として機能する。前方1秒以内に他車がいるドライバーが使用可能で、追い抜きを仕掛けるための追加パワーを展開できる。このモードは一度に使い切ることも、1周に分散して使用することも可能だ。

    気候中立を目指すF1
    新レギュレーションは、2030年までに気候中立を達成するというF1の目標を強く後押しする。すべてのマシンは完全に持続可能な燃料を使用し、燃料使用量は1グランプリあたり70キログラムにまで削減される。これは2020年以降の100キログラムから大幅な減少となる。

    これらの変更が組み合わさることで、F1はカーボンフットプリントを大幅に削減しつつ、よりエキサイティングでオーバーテイクの多いレースを実現することが期待されている。

  • 2026年F1 サステナブル燃料:3000MJ制限を最大限に活かす“トリック”

    2026年F1 サステナブル燃料:3000MJ制限を最大限に活かす“トリック”

    2026年F1では、新型パワーユニットと並び、サステナブル燃料の導入がもう一つの大きな技術革命となる。FIA(国際自動車連盟)は次期レギュレーションにおいて、燃料面でも大きな方向転換を選択した。この分野では石油化学業界の巨大企業同士が、パドック内で激しい主導権争いを繰り広げている。

    次のレギュレーションサイクルでは、「e-fuel戦争」は3000MJというエネルギー上限を、いかに効率よく燃焼させられるかを制した者が勝者となる。

    2026年F1 サステナブル燃料:守るべき方程式とパフォーマンスの見つけ方
    国際自動車連盟は、2026年F1で使用されるサステナブル燃料について、2つの道筋を示している。ひとつは廃棄物由来の第2世代サステナブル燃料、もうひとつはCO2とグリーン水素を結合させて生成されるe-fuelだ。

    後者は理論上コストが高くなるが、その一方でより大きな技術的メリットをもたらす可能性がある。燃料は内燃機関の効率向上において決定的な役割を果たす存在になると見られている。

    合成燃料、すなわちe-fuelは、これまでマシンが使用してきた精製ガソリンほど「完璧」なものではない。分子鎖の構造上、着火しにくかったり、火炎伝播速度が異なったりする可能性があるからだ。

    さらに、2026年シーズンを対象とする技術規則では、極めて重要な変更点が明確に示されている。

    重量制限からエネルギー制限へ:3000MJの意味
    これまでFIAは燃料流量を100kg/時に制限していた。しかし新レギュレーションでは、重量ではなくエネルギー量が制限対象となる。1時間あたり最大3000MJが使用可能な上限となり、エネルギー総量が固定される。

    この3000MJという値は、2つの要素の合計で構成される。ひとつは実際に車輪へと伝達される有効な出力、もうひとつは摩擦や熱として失われるロスだ。

    総量が固定されている以上、ロスが大きければ大きいほど、利用可能な有効出力は小さくなる。そのためエンジンメーカーにとって、損失をいかに極限まで抑えるかが重要な課題となる。

    同時に、各チームは燃料そのもののエネルギー密度(MJ/kg)を最適化することを狙う。比エネルギーが高い燃料を使えれば、搭載燃料量を減らすことができ、車重を軽くした分をバラストとして再配分できるからだ。

    国際自動車連盟 F1

    フローメーターの役割と「簡単に増やせない燃料」
    一見すると、単純に燃料を多く使えばよいようにも思える。しかしこれはFIAによって明確に禁止されている。エネルギーの「流れ」はフローメーターによって管理されており、この点で差別化を図るのは極めて困難だ。

    加えて、燃料の密度もFIAによって比較的狭い範囲に規定されているため、単純な物理量の操作では優位性を築けない。

    潜熱を制する者が違いを生む
    最後に、もうひとつ重要な要素がある。それが燃料の潜熱だ。潜熱が高い燃料であれば、蒸発時により多くの熱を奪い、燃焼室内の温度を効果的に下げることができる。

    この考え方は、メルセデスが用い、理論上はレッドブルも追随したとされる戦略と直結している。すなわち、ジオメトリ上の圧縮比を引き上げるというアプローチだ。

    燃焼時の熱をうまく逃がすことができれば、18:1という非常に高い圧縮比(規定値は16:1)でも、信頼性を確保しやすくなる。しかし冷却が過剰になると、吸気混合気の温度が下がりすぎ、燃焼そのものに悪影響を及ぼすリスクもある。

    混合気が冷えすぎれば、火炎伝播が遅れ、ピストンの下降も緩慢になってしまう。

    2026年F1が示す複雑な最適解
    2026年F1で求められる目標は明確だ。燃料の潜熱を適切にバランスさせつつ、エネルギー密度を最大化すること。その一方で、密度規制と使用可能なエネルギー総量という厳しい制約が立ちはだかる。

    これらを総合すると、2026年のF1が、表面的な技術変更以上に、極めて複雑で高度な最適化の世界になることが見えてくる。燃料という見えにくい領域こそが、次世代F1の勝敗を分ける重要な戦場になる。

  • 2026年F1レギュレーション:雨天時の視認性向上へミラーにLEDライト導入

    2026年F1レギュレーション:雨天時の視認性向上へミラーにLEDライト導入

    2026年F1シーズンに向け、FIA(国際自動車連盟)は安全性をさらに高めるための新たな対策を導入する。改良されたノーズ構造による二次衝突への耐性強化に加え、雨天時の視認性を向上させる目的で、マシンのドアミラー外側にLEDライトが追加されることになった。

    2026年のレギュレーション刷新では、新パワーユニットと可動ウイングを前提とした全面的な空力見直しが注目を集めている。一方でFIAは、衝突試験の厳格化など、安全面での進化も同時に進めてきた。

    雨天時の視認性対策は段階的に強化されてきた
    雨天時には、マシン後方の視認性確保のため、リアに点滅するLEDライトの点灯が義務付けられている。もともとはリアクラッシュストラクチャーに内蔵された1灯のみだったが、2019年以降はリアウイングのエンドプレート端部にも2灯が追加され、前走車を水煙の中でも認識しやすくなっていた。

    2026年はミラー外側にもLEDを追加
    2026年からはさらに一歩進み、ドアミラーの最外側部分にもLEDライトが装着される。これにより、並走時やサイド・バイ・サイドの局面でもマシンの存在を視覚的に捉えやすくなり、特に横方向からの接触リスク低減が期待されている。水煙の中で確認できる「光の基準点」を増やすことが狙いだ。

    国際自動車連盟 F1レギュレーション

    スプレー低減と運用面での対応
    FIAはまた、2026年レギュレーションによってディフューザーが生み出すスプレー量自体の低減も期待している。現行のグラウンドエフェクトカーは水を強く巻き上げ、大きな水煙が後続車の視界を大きく妨げてきた。過去数年に発生した複数の事故は、その深刻さを示している。

    こうした背景から、FIAは運用面でも対応を強化。2026年以降、コンディションが特に厳しい場合には、レースディレクションの判断で車間距離を従来の10台分から20台分へ拡大できる規則変更が導入される。ディフューザーの影響は引き続き大きいものの、挙動は現行車とは異なる形で管理される見込みで、総合的に水煙の発生を抑えることが期待されている。

    2026年F1では、技術革新と同時に、こうした細かな安全対策の積み重ねが、雨天レースの在り方を大きく変えていくことになりそうだ。

  • 2026年F1エンジン論争が激化 FIAは1年限定の妥協案を検討

    2026年F1エンジン論争が激化 FIAは1年限定の妥協案を検討

    2026年F1のパワーユニットを巡る論争は、依然として決着を見ていない。先日行われたFIA(国際自動車連盟)と2026年の全エンジンメーカー(メルセデス、レッドブル・フォード、ホンダ、フェラーリ、アウディ)による緊急会合の後も、事態を収束させる「白い煙」は上がっていない。

    明確になったのは、メルセデスが唯一この潜在的な抜け穴を利用しているわけではないと指摘された一方で、最大の受益者になり得るという点だ。

    レッドブル・フォードもこの抜け穴に入り込み、規則上の圧縮比上限16:1にもかかわらず、実走行条件で有効圧縮比を18:1近くまで高めることを可能にする、メルセデスのシステムを再現しようとしている。

    現在では、なぜ2社のエンジンメーカーが他の競合を驚かせた同一のグレーゾーンに足を踏み入れているのか、その背景がより明らかになっている。7か月前、レッドブル・パワートレインズ(現在のレッドブル・フォード)に移籍した元メルセデスのエンジニアが、この仕組みを共有したという。それ以降、レッドブルはこのシステムの再現に取り組んできた。

    しかし、その作業は容易ではない。メルセデスはこのコンセプトに1年以上取り組んできたとされ、大きな先行を築いている一方、レッドブルは実際の走行条件下で同等の結果をまだ得られていない。

    レッドブルは、作動状態で圧縮比18:1に近づける段階には至っていない。対照的に、メルセデスはすでにそれを達成している。

    この解釈が認められれば、恩恵を受けるのはメルセデスF1だけにとどまらない。2026年にドイツメーカーのエンジンを使用する全てのカスタマーチーム、具体的にはマクラーレン、ウィリアムズ、そして新たな顧客であるアルピーヌにも優位性が及ぶことになる。

    規則の適用には大きな問題がある。圧縮比のチェックは周囲温度で行われると規定されており、エンジンが作動温度に達した際にグレーゾーンが生じる点だ。

    国際自動車連盟 F1

    FIAに明確化を求めるメーカーは、マシンは常に規則に適合していなければならないと主張している。しかし、FIAのシステムでは高温状態での圧縮比を測定できないため、抗議後であってもそれを証明することは困難だ。

    メルセデス側の防御線は、規則自体が「周囲温度」という文言を用いることで、この手法に道を開いているという点にある。この立場は強く主張されている。

    最近のエンジンメーカー間のやり取りでも、規則が明確に「周囲温度での検査」を規定していることが改めて指摘された。これは、旧規則では存在しなかった幅広い解釈の余地を間接的に生んでいる。

    最大8台のメルセデスエンジン搭載車がパワー面で優位に立つ可能性があることから、競合メーカーの不安は高まっている。チームは10月以降、週次会合でこの問題の解決を試みてきたが、ここ数日でようやくメディアへの情報流出が起きた。

    FIAは今、重大なジレンマに直面している。このシステムを禁止すれば、2026年のパワーユニットをこのコンセプト中心に設計してきたメルセデスに大きな打撃を与える。一方で、容認すれば、シーズン開幕直後から抗議や政治的反発を招く恐れがある。

    では、どうするべきか。メルセデスがオーストラリアGPまでに新たなエンジンを作り直すことは不可能だ。レッドブル・フォードにとっても、温度によって圧縮比が変化する仕組みを部分的にでも再現できているなら、同様に困難だろう。

    そこで検討されている妥協案は、メルセデスが2026年に限りこのシステムを使用することを認め、その代わりに2027年には正式に放棄することを約束させるというものだ。

    この解決策は、メルセデスエンジン搭載チームが1シーズン恩恵を受けることを可能にする一方で、何らかのハンディキャップ(数値化が必要)を伴わない限り、競合から強い反発を招くことは避けられない見通しだ。

  • 2026年F1エンジン技術規則が再修正 FIAが燃料流量計の抜け穴を封鎖

    2026年F1エンジン技術規則が再修正 FIAが燃料流量計の抜け穴を封鎖

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1エンジン規則において、潜在的な“抜け穴”のひとつを遮断した。各メーカーがグレーゾーンを探っていることを示す、さらなる証拠と言える。

    近年、圧縮比制限の悪用疑惑を巡る大きな論争が噴出しているが、最近の技術規則の変更は、不透明さが存在するのがその一点に限られないことを浮き彫りにした。

    燃料流量計を巡る新たな焦点
    今回のもうひとつの論点は燃料流量計に関するもので、2026年からF1が完全持続可能燃料へ移行することに伴い、制限の課し方が根本的に変わることが背景にある。

    従来の最大質量流量100kg/hという上限は、燃料エネルギー流量3000MJ/hという新たな制限に置き換えられる。

    この大きな変更により、コンプライアンス確認の方法も刷新される。これまで使用されてきた2基の燃料流量計(チーム用とFIA管理用)は廃され、Allengra社製の単一の標準ユニットが採用される。

    このコンパクトで堅牢な超音波式流量計は、全車に搭載され、チームとFIAの双方が同じデータにアクセスできる仕組みとなる。

    一見すれば単純な標準化に思えるが、ここ数週間で規則文言に小さな修正が重ねられてきたことから、FIAがこの分野でのトリック使用の余地を完全に排除しようとしている様子がうかがえる。

    国際自動車連盟 F1レギュレーション

    温度操作を巡る文言変更
    問題の核心は、チームが燃料流量計の温度を操作する可能性にあるようだ。

    温度を変化させることで、測定される燃料の性質そのものを変えたり、装置が取得する数値に影響を与えたりする利益が生じ得る。

    10月には、マシンに燃料流量計を装着しなければならないとする条項に、次の一文が追加された。

    「燃料流量計を意図的に加熱または冷却することは禁止される。」

    しかしこの文言は後に削除され、直近のFIA世界モータースポーツ評議会の会合後、次の表現に置き換えられた。

    「燃料流量計の温度を変化させることを目的とした、いかなる装置、システム、または手順も禁止される。」

    この表現変更は、より包括的なものとなっており、「意図的」でない形であっても燃料流量計の温度を操作し得る余地を塞ぐ狙いが明確だ。

    必ずしも“実行”を意味しない
    より厳格な文言が導入されたからといって、必ずしもどこかのチームが実際にこの分野を悪用しようとしていたことを意味するわけではない。

    多くの場合、競合チームは潜在的なグレーゾーンについてFIAに懸念を伝え、他者がそこに飛びつく前に、すべての抜け穴を塞ぐことを目的としている。

    一方で、燃料圧縮に関する別の問題、すなわち2026年に導入される16:1の圧縮比制限を巡り、メルセデスとレッドブルが回避策を見出したのではないかという疑念は、依然として続いている。

    この件はシーズン開幕を前に、今後も大きな話題となりそうだ。