カテゴリー: F1マシン

  • F1エンジン圧縮比問題が山場へ メーカーとFIAが2つの重要会合

    F1エンジン圧縮比問題が山場へ メーカーとFIAが2つの重要会合

    2026年F1レギュレーションを巡り浮上している「エンジン圧縮比の抜け穴」問題について、F1のパワーユニットメーカーとFIAが、決定的となり得る2つの会合を行うことが分かった。

    FIAと各メーカーは、圧縮比に関する解釈と測定方法を巡る対立を解消するため、週明けから段階的に議論を進める予定だ。関係者の間では、2026年シーズン開幕前に問題へ一定の線引きを行えるかどうかの正念場になると見られている。

    月曜は技術専門家会合、木曜はPUAC
    まず月曜日、FIAはエンジン技術の専門家を集めた2回目の技術会合を開催する。ここでは、エンジンが高温状態で稼働している際の圧縮比をどのように測定・評価するか、その枠組みについて合意形成を目指す。

    続いて木曜日には、F1パワーユニット諮問委員会(PUAC)の定例会合が予定されており、この圧縮比問題が正式な議題として取り上げられる見通しだ。PUACでは、今後どのような対応を取るのか、より踏み込んだ議論が行われる可能性がある。

    焦点は「高温時の圧縮比」
    今回の論争の中心にあるのは、新レギュレーションで定められた圧縮比16:1の上限が、実際の運用でどこまで厳密に守られているかという点だ。

    現行の検査は常温環境で行われているが、メルセデス、そして程度は小さいもののレッドブルが、パワーユニットが高温になった状態でより高い圧縮比を実現できる手法を見出しているのではないか、という疑念が一部陣営から示されている。

    FIAはこの問題を2026年開幕前に沈静化させたい意向だが、短期的にレギュレーションそのものを変更する考えはないとされている。代わりに、すべてのメーカーが納得できる「高温時における圧縮比測定方法」を確立できるかが最大の争点となっている。

    合意はまだ限定的
    すでにFIAと技術専門家による初回会合は行われ、一定の方向性は共有されたものの、すべての要素で一致には至っていない。関係筋によれば、意見が概ね一致しているのは4社のみで、どのメーカーかは明らかにされていない。

    一方で、フェラーリ、アウディ、ホンダはこの問題について協議を重ね、クリスマス前にはFIAに対して共同書簡を提出し、明確な説明を求めていたことが分かっている。

    FIAは初回会合後、圧縮比チェックに関する追加データが必要と判断し、さらなるテストの実施を要請。その結果を踏まえたうえで、月曜の技術ワークショップが招集されたとみられている。

    エンジン F1

    フェラーリも「建設的」と評価
    今月初め、フェラーリのエンジン部門責任者エンリコ・グアルティエリは、FIAとの協議について前向きな手応えを語っていた。

    「我々はFIAと引き続き議論を続けている。技術ワークショップを1度行い、今後数日のうちに追加の会合も予定されている。それは次回のPUAC会合まで続く流れだ」

    「規定に基づく手続きとガバナンスを通じて、FIAが適切にこの問題を管理してくれると信頼している。このプロセスは、今後数日から数週間のうちに結論へ近づいていくはずだ」

    PUACで初めて“実装”が議論か
    技術専門家レベルでは、新たな測定手法を実際に導入するかどうかは議論されておらず、その判断はPUACの場で初めて検討されるとされている。

    ただし、もし新たな手法がメルセデスやレッドブルの競争力を損なう可能性がある場合、両陣営がルール変更に賛成しないことは明らかだ。

    開幕後の抗議の可能性も
    現時点では、メルセデスやレッドブルの手法に不満を持つメーカーが、2026年シーズン開幕後に正式な抗議を提出し、合法性の判断を求めるかどうかは不透明なままだ。

    来週の2つの会合は、圧縮比論争が技術的合意によって収束するのか、それともシーズン中の抗議合戦へ発展するのか、その行方を左右する重要な局面となりそうだ。

  • フェラーリF1、SF-26は跳ね馬を救えるか 空力と冷却に託した賭け

    フェラーリF1、SF-26は跳ね馬を救えるか 空力と冷却に託した賭け

    2026年F1シーズンで結果を求められるなか、スクーデリア・フェラーリの新車SF-26の設計は、跳ね馬を“元気のない仔馬”から“駆ける名馬”へ変える可能性を秘める一方、逆に苦しみを深めるリスクもはらんでいる。

    2025年型SF-25は多くの弱点を抱えていた。高いライドハイトを必要とする設計、そして空力コンセプトの不整合によって作動ウインドウは極端に狭かった。

    特にシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンは、その不安定さと予測不能な挙動の影響を強く受け、コーナリング時の信頼感を失う場面が多かった。

    しかし2026年は完全なリセットの年だ。大幅な技術レギュレーション変更によりマシンは小型化され、フェラーリが2025年の失敗を正し、巻き返すための余地が生まれている。

    バルセロナで見えたSF-26の設計思想
    バルセロナで披露されたSF-26のディテールは、フェラーリが2026年にどこで最も大きな前進を狙っているかを示している。

    とりわけ目を引くのが冷却思想だ。フェラーリはSF-26で、独自色の強いアプローチを採用している。

    エアボックスに見るフェラーリの工夫
    2025年、フェラーリにとって最大の弱点のひとつがエアフローだった。導かれた空気が狙い通りに機能せず、エアボックスはその象徴的な問題箇所だった。

    それでもフェラーリは、伝統的とも言えるナローなエアボックス哲学を継続した。ライバルがパワーユニットへ大量の空気を送り込むため大型化を進めるなか、真逆の選択だ。

    ただしSF-26のエアボックスは単なる踏襲ではない。三角形の断面に加え、両脇に“ホーン”のような形状を持たせることで、空気を車体上部から後方へ積極的に押し流す設計となっている。これにより、改良されたサイドポッドへより多くの空気が導かれる。

    進化したサイドポッドとリアへの空気供給
    サイドポッドは吸気アウトレットを備え、逆L字型にも見える攻めた構成だ。インテークはシャシー全幅にわたって広がり、空気の取り込み方そのものが刷新されている。

    この三角形エアボックスと新サイドポッドの組み合わせにより、リアウイングとリアアクスル周辺へ届く空気量は増加する。2025年はリアへの空気供給不足により、十分なライドハイトを確保できなかったが、SF-26ではエアボックスから小型化されたリアウイングまでの流れを前提にした思想へ転換が図られている。

    スクーデリア・フェラーリ

    見えにくいが重要な新要素
    さらに重要なのが、エアボックス直下に設けられた小さな追加インテークだ。一見目立たないが、改良されたサイドポッドと組み合わさることで、冷却性能に大きなメリットをもたらす。

    冷却効率は2026年レギュレーション下で極めて重要な要素であり、この隠れた工夫はSF-26の鍵のひとつとなる。

    なぜ同じ道を選び続けるのか
    SF-26の設計思想は、完全な方向転換ではなく“進化した継続”だ。F1では適応力が重要だが、必要とあらば大胆に方向を変える勇気も求められる。

    それでもフェラーリは、空気の導き方とエンジン冷却において、実績ある手法への忠誠を保った。ライバルが大型化を進めるなかでの逆張りだが、2026年は冷却管理そのものが根本的に変わる年でもある。

    MGU-Hの廃止により、パワーユニット内部で発生する熱の扱い方は大きく変化した。その条件下では、フェラーリが信頼してきたエアボックス構成と、より強固なクラッシュ構造を求められる現実が重なる。

    跳ね馬は再び駆け出せるか
    地面効果時代の冷却思想を、小型化された2026年マシン向けに適応させたSF-26。この“変わらないための進化”が正解なら、フェラーリは2026年に“弱った歩み”から“力強いギャロップ”へと変貌する可能性がある。

    逆に、この選択が時代遅れであれば、跳ね馬は再び苦しむことになる。SF-26は、フェラーリの哲学そのものが試されるマシンだ。

  • 2026年F1レギュレーション、雨天視認性を高めるミラー内LEDを導入

    2026年F1レギュレーション、雨天視認性を高めるミラー内LEDを導入

    2026年のF1レギュレーションは、モノコックが生み出すダウンフォースや新世代ハイブリッド・パワーユニットの活用方法だけを変えるものではない。FIAは技術面の刷新と並行して、安全性の分野でも大規模な見直しを進め、車両をより強固にし、危険な状況下での視認性を高めるための構造的・運用的アップデートを導入した。

    運用面では、雨天時の手順にも継続的な改良が加えられている。現在のF1マシンは、スプレーの中での視認性を確保するため、点滅するリアライトを使用している。

    これに加え、2019年からはリアウイング両端に2基のLEDが装着され、追加の視覚的目印として機能してきた。

    そして2026年から、このシステムはさらに拡張される。新型マシンには、バックミラーの最外側にもLEDが設置されるようになった。狙いは二つある。

    ひとつは、並走時にドライバーへ横方向の発光ポイントを提供することだ。雨天では視界がほぼ失われる場面も多く、横並びの状況で相手車両の位置を把握する助けとなる。

    もうひとつは、スピンを喫したり、ウォータースプレーの中で横向きや斜めに止まった車両を、即座に認識できるようにすることだ。後方からだけでなく、正面や側面からでも車両の存在を示すことで、二次的な接触事故のリスク低減を図る。ミラー内LEDは、他のドライバーが一瞬早くその存在に気づくための明確な光のシグナルとなる。

    F1 レギュレーション フォーミュラ1カー

    バルセロナで行われたテストは、この新しい安全装置が実際に機能する様子を初めて確認できる機会となった。配置を見ると、チームによってLEDの位置には違いがあり、ミラーの最外側に置くケースもあれば、ミラー本体の取り付け位置に合わせて、やや内側、コクピット寄りに設置している例も見られた。

    レギュレーションでは、これらの新しいライトを取り付けるための幾何学的な「ボックス」が定義されており、その範囲内で各チームに一定の解釈の余地が残されている。あわせて、リアのクラッシュストラクチャー内に組み込まれる中央リアライトも見直され、標準部品ながら新しい構成が採用された。2026年仕様では、このリアライト内部に新たなカメラも内蔵されることになる。

  • 2026年F1クラッシュテスト強化でシャシーとノーズ設計が根本から変わる理由

    2026年F1クラッシュテスト強化でシャシーとノーズ設計が根本から変わる理由

    2026年F1レギュレーションでは、シャシー、空力、パワーユニットという大規模な技術変更に加え、クラッシュテストの強化とドライバー保護要件の引き上げが同時に導入される。これにより各チームは、パフォーマンスを追求しながらも、より重く、より強固な構造を成立させなければならないという難題に直面している。

    新たな安全規定は、マシン設計の根幹を揺さぶっている。

    特にフロントインパクト構造とロールフープの要件が引き上げられ、サバイバルセルに対する荷重試験も大幅に厳格化された。マシンをコースに出す前に、最低でも1基のシャシーがこれら必須テストをすべて通過しなければならず、この工程が開発スケジュールを圧迫するケースも出ている。

    実際、ウィリアムズがバルセロナでのシェイクダウンを欠場した背景には、こうしたテストの遅れがあったと見られている。チームは公式には認めていないが、安全試験が車両製作のボトルネックになったと考えられている。

    しかし、この影響は一部のチームに限らない。すべてのチームが、安全性による重量増と空力効率の低下をどう最小化するかというバランスに苦しんでいる。規則を満たしつつ、いかに効率的な解決策を見出すかが、2026年開発の核心となっている。

    この安全性強化の背景には、過去の重大事故に基づく検証がある。中でも2022年のシルバーストンで発生した周冠宇のクラッシュでは、ロールフープが車体から外れるという深刻な事態が起きた。こうした事例から得られた教訓が、新たな荷重試験基準の導入につながっている。

    通常であれば、より厳しい試験に対応するため車両重量は増加する。しかし2026年は事情が異なる。新レギュレーションでは最低重量が800kgから768kgへと引き下げられたため、安全構造をこれまで以上に軽量に仕上げる必要がある。わずかな重量増でもラップタイムに直結するため、設計の難易度は飛躍的に高まっている。

    ロール構造の静的試験はその象徴だ。従来は75%荷重で105kN、最大で140kNだったが、2026年以降は75%で129kN、最大で172kNへと大幅に引き上げられる。

    フォーミュラ1カー F1 自動車競技

    サバイバルセルに対する試験も同様に強化された。燃料タンク側面試験では横方向110kN(従来50kN)、ホイール接触側面試験では100kN(従来40kN)が要求され、変形量は15mm以内に抑えなければならない。コクピットフロア試験でも、上向き75kN(従来30kN)の荷重後、永久変形が1.0mm未満であることが求められる。

    ノーズに関しても条件は厳しい。プッシュオフ試験では横方向92kN(従来66.7kN)を30秒間加えても、サバイバルセルや接合部に破損がないことが必要だ。さらに110kN荷重時でも破損が生じないことを示す計算提出も義務付けられた。

    フロントインパクト構造、すなわちノーズアセンブリにも新たな試験が追加された。横方向92kNに耐えるだけでなく、破壊に至るまで荷重を増やす試験も導入され、破壊は52.5kN以上で、かつフロントアクスルラインから650mm前方より後方で起きなければならない。これは一次衝突後に起こり得る二次衝突を想定したものだ。

    こうした変更の規模を考えれば、チームが対応に苦しんでいるのは当然だ。安全要件は車重だけでなく、採用できる設計解にも直接影響を及ぼす。その結果、多くのチームでロールフープやエアボックスが前年より大型化しており、ノーズ形状についてもアプローチの違いが顕著になっている。

    実際、レーシングブルズはすでに2種類の異なるノーズ仕様を投入している。ノーズ先端やフロントウイング支柱の形状が変更され、かつての“エレファントイヤー”風ウイングレットを前方に追加するなど、試行錯誤の跡が見て取れる。

    安全性強化、軽量化、空力効率という三つ巴の制約の中で、ノーズとシャシーは2026年初期の技術競争の主戦場となる。この分野では、シーズンを通じて設計が頻繁に更新され、限界を押し広げる試みが続くことになりそうだ。

  • レッドブルF1、2026年型『RB22』はゼロポット+ブロウンディフューザー?

    レッドブルF1、2026年型『RB22』はゼロポット+ブロウンディフューザー?

    レッドブル・レーシングの2026年F1マシン『RB22』がバルセロナで初走行を行い、アイザック・ハジャーが最速タイムを記録した。ただし、昨年のF1マシンのペースからは大きく離れている。だが、すべてはここから始まる。マシンに関しては、非常に限られた枚数の、しかも画質の高くない画像しか確認できていないが、現時点で見えた範囲について整理していく。

    レッドブルが最初に公開した「コンセプト」レンダーと、スタジオ撮影の画像を比較すると、サイドポッドのサイズや上面形状に明確な違いが見て取れる。

    サイドポッドは“ゼロポッド”なのか
    初期コンセプトレンダリングとスタジオ撮影画像を比較すると、サイドポッドのサイズと上面形状に明確な違いが見て取れる。

    これを「ゼロサイドポッド」と呼べるかと言えば、確かに多くのマシンより小さいが、完全なゼロというわけではない。

    ラジエーターインテークのサイズや考え方自体は、他チームのマシンと大きくは変わらない。

    レッドブル・レーシング

    フロントサスペンションの構成
    RB22のフロントサスペンションは、ほぼ標準となりつつあるプッシュロッド式(赤で示されている部分)に変更された。上側ウィッシュボーンは、前側の脚が紫、後側の脚が水色で示されている。後側の脚はかろうじて確認できる程度だが、レッドブルは依然としてアンチダイブを持たせているものの、その量は減っているように見える。

    下側ウィッシュボーン(前側の脚は緑)とトラックロッド(黄色)は分離されており、他チームの一部が両者を近接させているのとは対照的だ。

    場合によっては、わずかな分離がかえって流れの干渉を生み出すこともあるが、十分な距離を取って分離することで、それぞれの周囲の流れが互いに悪影響を与えにくくなり、結果的に有利になることもある。

    サイドポッド周辺の気流処理
    サイドポッドの画像を見ると、レッドブルはメルセデスやフェラーリと同様に、バージボード周辺にかなり力を入れていることが分かる。これらのスロット状の隙間(黄色の矢印)を通る気流は、上方かつ後方へと向きを変え、フロア前方コーナー下部(オレンジの矢印)から流れを引き抜く役割を果たす。

    この部分には比較的大きなフットプレートがあり、その下面を流れる空気の速度を高めることでグラウンドエフェクトが発生し、ダウンフォースが生み出される。

    小型化されたサイドポッドに加えて、サイドポッド上部コーナーから「耳」のような突起(白で示されている部分)が見える。これは2022年のメルセデスと同様、サイドインパクト構造の位置と幅に関するレギュレーションを満たすための、法規上の要件だ。

    レッドブル・レーシング 2026年のF1世界選手権

    リアサスペンションとフロア後端
    リアサスペンションは昨年と同様にプッシュロッド式(赤)で、上側ウィッシュボーンは前側の脚が濃い青、後側の脚が水色で示されている。アンチリフト量も、昨年とほぼ同程度に見える。

    下側ウィッシュボーン(前側の脚は緑)とドライブシャフトのシュラウド(マゼンタで示されている部分)は、下側ウィッシュボーン構造の一部である可能性もあるが、それ以上の詳細は確認できない。

    リアタイヤ前方のフロア(オレンジの楕円で示されている部分)には、いくつかのルーバーが設けられているように見えるが、他車で見られるものよりは小さい。

    より興味深いのは、その少し内側の領域だ。メルセデスのシルバーストンでのシェイクダウン写真の一部で、ディフューザー側面に切り欠きのようなものが見えていたが、すべての写真に写っていたわけではなかったため、当時は銀色のテープか何かだろうと深く考えなかった。

    しかし、このレッドブルの同じエリア(オレンジのラインで示されている部分)を見ると、ここには明確な切り欠きが存在しているように見える。

    タイヤスクワートを利用した“新しいブロウンディフューザー”
    このことから、レッドブルはその領域でディフューザーの側壁を後方に向かって持たず、代わりに外側に配置されたターニングベーン(薄い青のライン)を使って、ディフューザー内の流れを引き出そうとしている可能性がある。

    これは、タイヤが路面に接触しながら回転することで生じる、いわゆる「タイヤスクワート」と呼ばれる気流と接続する形になる。

    この流れはエネルギーが高く、うまく制御して閉じ込めることができれば、ディフューザー性能を大きく向上させる可能性がある。

    これは、かつて「ブロウンディフューザー」と呼ばれていたものの新しいバージョンなのか。そう言えるかもしれない。高エネルギーの流れを使って、ダウンフォースを生み出す低エネルギー領域の流れを最適化するという点では、まさにブロウンディフューザーが行っていたことと同じだからだ。

    限界を突いたレッドブル、答えは時間が示す
    現時点で、レッドブルについて言えることはこれくらいだ。興味深いマシンであり、さまざまな領域で限界に挑んでいるように見える。

    ただし、2026年F1テクニカルレギュレーション全246ページを枕元に置き、他チーム以上にそれを読み解き、極めて重要なグレーゾーンを見つけ出したのが誰なのかは、時間が経てば明らかになるだろう。

  • アストンマーティンF1の革命 リアサスアームがピラーに接続されたAMR26

    アストンマーティンF1の革命 リアサスアームがピラーに接続されたAMR26

    アストンマーティンF1の2026年型マシンAMR26は、バルセロナで行われているシェイクダウンの終盤、日没直前にようやくコースに姿を現した。走行はわずか3周にとどまったが、ランス・ストロールが刻んだ短い周回の中で、エイドリアン・ニューウェイが持ち込んだ数々の技術的アイデアがはっきりと確認できた。その内容は、パドック内にとどまらず、今後大きな議論を呼ぶ可能性が高い。

    AMR26は、シルバーストンのチームにとってニューウェイが初めて手がけたF1マシンである。カラーリングはまだおなじみのグリーンではなく、カーボンむき出しのブラック。水曜夜にガレージへ運び込まれた後、細かなトラブルを解消しながら最終組み立てが行われ、出走は大きく遅れた。まるで主役級の登場を演出するかのようなタイミングだったが、その期待は裏切られなかった。

    強烈なスライド形状と極端に絞られたサイドポッド
    AMR26が最初に目を引いたのは、ニューウェイらしさ全開のエクストリームな外形だった。サイドポッド上面はマクラーレンに近い思想で、大きくスライドしながら後方へ下がっていくが、フロアまでは落とし切らず、コークボトル領域を強く意識した構成となっている。

    一方で、レッドブル時代のニューウェイの代名詞とも言えた深いアンダーカットは姿を消し、サブ構造にはウイング形状を思わせる処理が与えられている。ラジエーターインレット下部には大きなトレー状の構造が残され、正面から見ると開口部は極端に狭い。

    このタイトなパッケージングは、アストンマーティンがホンダから独占供給を受けるRA626Hの冷却戦略と直結している。レギュレーションで再び許可されたプロファイルド・ラジエーターを用いることで、サイドポッド形状を極限まで引き締めていると考えられる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    三角形エアボックスと中央ラジエーター
    空力効率への執念は上部構造にも表れている。エアボックスはフェラーリほど小型ではないが、基本形状は三角断面を維持している。その内部には、エンジン上に配置された中央ラジエーターへ空気を送るための吸気が組み込まれている。

    2025年型では6気筒エンジン上に比較的大型の放熱体が載っていたが、AMR26では大幅にスリム化された。その結果、エンジンカバーは非常にタイトなラインを描き、長く伸びた縦フィンが、リアウイング周辺の気流効率を最大化しようとする意図を物語っている。

    “角”を生やしたAMR26と大胆な排熱処理
    マシンを後方から見ると、SF-26を思わせる“角”状の2枚のプロファイルが確認できる。さらにHalo両脇には、前年型フェラーリの「コブラ」位置に相当する縦フィンも配置された。

    サイドからの熱気は、短く強烈なバズーカ形状のアウトレットから排出される。メガホンのように開いたこの出口は、見た目にも非常に強い主張を放っている。

    フロントはマルチリンク、ステアリングはトライアングル後方
    サスペンションは、空力と機械の融合というニューウェイ哲学を最も端的に示す部分だ。前後ともにプッシュロッドを採用し、軽量性とフロー適合性を優先している。

    フロントでは、マルチリンクの上側アームとプッシュロッドの取り付け点がシャシー上部の最も高い位置に集約されている。三角形アームの後端は大きく開かれ、下向きに傾けられたアンチダイブ志向のレイアウトだ。マクラーレンやレッドブルがステアリングをシャシー前方に移したのに対し、AMR26では後方配置を維持しており、風洞で得られた成果がこの選択を後押ししたと見られる。

    アストンマーティン ホンダF1

    リアウイングのピラーがサスペンションを支える
    リアでは、プッシュロッド自体は比較的オーソドックスだが、決定的に異なる点がある。上側トライアングルの後方アームが、リアウイング支持用ピラーに接続されているのだ。これは2026年F1マシンの中でも極めて大胆な発想であり、構造と空力を一体化しようとする試みがはっきりと表れている。

    ディフューザー直後には、フロアに切り欠きが設けられており、抽出部の流量を増やす狙いも確認できる。

    プロファイル化されたノーズとアクティブエアロ
    ノーズは上面がシャープに整形され、下面は深くえぐられているが、可動フロントウイング用アクチュエーターを収めるための突起が残されている。メルセデスと同様に、第2フラップに2本のピラーを固定し、第3要素のみを可動させるアクティブエアロ構成を選択した。

    メインプレーンにはサイドウォール手前で小さなカールが入り、エンドプレート内側には簡素ながら縁取りが確認できる。現時点ではフットプレーンやバージボードは非常にベーシックで、真に創造的な空力パーツはバーレーンでの第2テストに温存されていると見られる。

    AMR26は、長い待ち時間の末にようやくコースインしたものの、低速での3周のみで走行を終えた。デビューを担ったランス・ストロールのマシンは、初期トラブルに悩まされている可能性が高く、ニューウェイ渾身の革命的コンセプトが本領を発揮するまでには、まだ時間が必要になりそうだ。

  • 2026年F1燃料:バルセロナテストでは暫定仕様で走行

    2026年F1燃料:バルセロナテストでは暫定仕様で走行

    コストと生産上の問題により、新しい持続可能燃料の導入は当初の想定より遅れている。バルセロナでは多くのチームが、バーレーンでのテストを前に移行用の燃料を使用している。

    燃料に関する情報提供の要請に対して各方面が慎重な姿勢を見せていること自体が、このテーマがいかにセンシティブであるかを物語っている。

    持続可能燃料は2026年レギュレーションで導入される最大の技術的トピックのひとつであり、3年前に始まったメーカーにとっての大きな挑戦は、いままさに正念場を迎えている。

    昨年は特にコスト面が話題となり、一部チームからは年間1,000万ユーロを超えるとの試算も出ていた。

    バルセロナでのテストは、新燃料にとっても最初の本格的な試金石になると見られていた。しかし、ここ数日で明らかになった情報によれば、各チームのタンクに入っているのは、メルボルンでの開幕戦で使用されるものとは異なる燃料のようだ。すべてのチームが同じ選択をしているかは不明だが、少なくとも複数のパワーユニットメーカーでは、昨季まで使われていた燃料と、2026年に義務化される燃料の中間的な性格を持つ燃料が使用されていることが確認されている。

    これらはISO 2025プロセスに基づいて製造された化石由来燃料で、2026年から導入される燃料の特性を可能な限り再現することを目的としたものだ。この選択には複数の理由がある。第一にコスト面で、大幅に安価である点が挙げられる。持続可能燃料と比べると、価格は約85%も低いとされており、可能な部分でコスト削減を図りたいチームにとっては大きな魅力となっている。

    燃料 F1

    さらに、新燃料そのものの生産にも課題がある。各燃料サプライヤーは同じ問題に直面しているわけではないが、関係者の話を総合すると、製造プロセスの複雑さや、市場で特定の分子を確保する難しさなどから、各チームへの安定供給は決して簡単ではない状況にあるという。

    各チームは、バーレーンで予定されているテストで2026年仕様の燃料を試す予定だが、多くの場合は2回目のセッションからの投入となる見込みだ。また、サクヒールでのテスト前までに、燃料のホモロゲーション手続きも完了する予定とされている。ただし、官僚的な手続きや認証プロセスの完了に時間を要しており、スケジュールは当初の想定よりも延びているのが実情だ。

  • アストンマーティン・ホンダF1、2026年F1マシン『AMR26』が初走行

    アストンマーティン・ホンダF1、2026年F1マシン『AMR26』が初走行

    エイドリアン・ニューウェイが初めて設計を手がけたアストンマーティン・ホンダの2026年F1マシンAMR26が、バルセロナで行われているシェイクダウンテスト4日目の木曜午後、残り1時間というタイミングでようやくコースに姿を現した。

    水曜夜にスペイン入りしたマシンを走らせるため、アストンマーティンのメカニックたちは深夜まで、さらに木曜の大半の時間を費やして準備を進め、テスト終盤日の走行にこぎ着けた。

    最終1時間のみの走行とブラックカーボン仕様
    AMR26が実際に走行できたのは、木曜のセッション最終1時間のみだった。マシンは全面ブラックのカーボンカラーで、ステアリングを握ったのはランス・ストロールだった。

    サーキット外から撮影された画像では、アグレッシブなアンダーカット形状のサイドポッド、興味深いエンジンカバーの処理、エアボックス下に大きな空間を持つ構成が確認された。スポンサーのロゴは一切なく、ノーズ側面にアストンマーティンのロゴがあるのみだった。

    3日間欠場とニューウェイ主導の開発
    アストンマーティンは、今週のバルセロナ・シェイクダウンの最初の3日間を欠場していた。各チームは最大3日間しか走行できないため、実質的に1日分の機会を失った形となる。

    その背景には、新車AMR26の製作を最終段階まで詰めていた事情がある。このマシンは、ニューウェイがチームに加入して以降、初めて設計を主導したF1マシンとなる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム 本田技研工業

    遅れの理由とニューウェイの権限
    テスト初日を欠場した公式な理由は明かされていないが、ニューウェイがホンダ製パワーユニットを搭載する新車の設計において、極限までスケジュールを攻めた結果だとの見方も出ている。

    ニューウェイは今季、アストンマーティンのマネージング・テクニカル・パートナーに加え、チーム代表も兼任している。これにより、前チーム代表兼CEOのアンディ・コーウェルが一時的に別の役割へ移行した後、ニューウェイがチーム運営全体を掌握する体制となった。

    ホンダPUへのスイッチと厳しいスタートの覚悟
    アストンマーティンは2026年の新レギュレーション時代に向け、パワーユニットをホンダへ切り替えている。ただし、新エンジンパートナーであるホンダ側も、シーズン序盤が容易なものにならないことを認めている。

    今月初めに行われたホンダのエンジンローンチイベントで、ホンダ・レーシング・コーポレーションの渡辺康治社長は次のように語っている。

    「難しい。チャレンジングだ。だからこそ我々は取り組みたい。現在、さくらの施設でも信頼性テストとベンチテストを懸命に進めており、実車テストにつなげたいと考えている。非常にタイトなスケジュールだが、万全の準備を整えたい」

  • マクラーレンF1、常識を覆すフロントサスペンションでMCL40が衝撃デビュー

    マクラーレンF1、常識を覆すフロントサスペンションでMCL40が衝撃デビュー

    マクラーレンMCL40がついに実走行を開始し、初日からパドックの視線を集めた。ピーター・プロドロモウ、ロブ・マーシャル、ニール・ホルディというテクニカル・トリオが手がけた新車は、とりわけフロントサスペンションで従来の常識を覆す設計を採用している。かつてマクラーレン自身が築き、他チーム、フェラーリまでもが追随してきた流れを、自ら陳腐化させるような一手だ。

    バルセロナでのシェイクダウンに姿を現したMCL40は、革新性とリスクを併せ持つプロジェクトであり、その成否を測る最初のステップに踏み出した段階と言える。

    フロントサスペンションの大胆な再設計
    新型MCL40で最も目を引くのがフロントサスペンションだ。ここ数年採用してきたプルロッドを捨て、2026年レギュレーションとフロントウイング思想に適すると判断したプッシュロッドへと回帰している。

    しかし、真に革新的なのはロッド方式そのものではない。上側ウィッシュボーンは従来同様に強く傾けられ、後方側を低く配置することで、フロアやラジエター開口部へと気流を導く役割を担う。その一方で、MCL40ではさらに後方かつ低い位置でシャシーに接続される要素が追加された。

    それが、極端に後方へと延ばされた下側後部アームだ。このアームはプッシュロッドの取り付け位置付近でハブと結ばれ、前側の2本のアームと比べて高さ・長さともに大きくずれた配置となっている。結果として、下側のリンクがほぼフロア前縁に届くほど後方へ伸びる、マルチリンク的な構成が成立している。

    短縮ホイールベースを最大限に活かす発想
    2026年レギュレーションではホイールベース上限が3600mmから3400mmへ短縮され、前後輪の距離が20cm縮まった。これによりフロントタイヤが車体中心に近づき、タイヤ乱流の処理は難しくなる一方で、サスペンションアームを使った気流制御の重要性は増している。

    マクラーレンはこの点を最大限に突き詰めた。後方へ引き延ばされた下側アームは、フロントウイングから流れてくる空気を積極的に整流し、フロアへと導く役割を担う。その代償として、サスペンションの運動学的自由度や設計難易度は大きく跳ね上がるが、それでも踏み込んだところにMCL40の性格が表れている。

    特にシャシー設計の観点では、この特殊なフロントサスペンションを成立させつつ、厳格化されたクラッシュテストをクリアする必要があり、開発難度は相当高かったはずだ。

    マクラーレン F1

    ドライバーの感触が成否を左右する
    技術的に見れば、MCL40のフロント周りは極めて攻めた構成だが、最終的な評価はドライバーのフィードバックに委ねられる。特に重要なのは、フロントタイヤの接地感だ。

    2025年、ランド・ノリスはフロントの挙動をつかみにくい場面があったとされており、今回の設計変更がその点を改善するのか、それとも別の難しさを生むのかは注目点となる。

    フロント空力とアクティブエアロの考え方
    マクラーレン首脳陣によれば、MCL40の空力仕様は開幕戦オーストラリアGPに近い形であり、フェラーリのように大幅な初期アップデートを前提とした構成ではない。

    フロントウイングは外側で強く荷重を稼ぐデザインとなっており、サスペンションと連動して狙った気流を作り出す思想がうかがえる。エンドプレート外側には、タイヤ乱流を抑制するための追加フラップも確認できる。

    アクティブエアロの使い方についても、トップチーム間で解釈の違いが見え始めている。マクラーレンのフロントウイングは強いスプーン形状を描くのに対し、レッドブルはより直線的なプロファイルを選択しており、各チームがフロント空力を車全体の流れの起点としてどう位置づけているかが浮き彫りになっている。

    冷却とパッケージングの継承と進化
    冷却系に目を向けると、2025年に高く評価された基本思想は踏襲されている。エアスクープは楕円形を維持し、パワーユニット前方に一部ラジエターを配置するレイアウトを示唆する。

    一方でサイドポッド開口部はより扁平化され、従来のP字型から変更された。フロアやサイドポッドの詳細は今後の公開を待つ必要があるが、レンダリングからは、上部の流れを後方へ強く導く“絞り込まれた”コンセプトが引き継がれているように見える。

    革新は保証ではないが、姿勢は明確
    現時点で確認できるのは主にフロント周りに限られるが、それだけでもMCL40が極めて意欲的なマシンであることは明らかだ。革新性は成功を約束するものではなく、ライバルもまた興味深い解決策を示している。

    それでも、失敗のリスクを承知の上で踏み込む姿勢こそが、マクラーレンが世界王者に返り咲いた理由を物語っている。仮にメルセデス製パワーユニットの優位性が事実だったとしても、タイトルを奪う側にとって、マクラーレンは依然として最も手強い存在であり続けることになりそうだ。

  • アルピーヌF1、A526は可動式リアウイングの操作機構で革新を示すのか?

    アルピーヌF1、A526は可動式リアウイングの操作機構で革新を示すのか?

    アウピーヌF1チームは、コンストラクターズ選手権最下位からの巻き返しを明確な目標に掲げ、新レギュレーションを好奇心と独創性で活用しようとしている。バルセロナで実験が進められているいくつかのソリューションを見ていく。

    アルピーヌは、自らの歴史に転機をもたらす必要がある。フラビオ・ブリアトーレはメルセデス製パワーユニットの搭載を強く求め、ミルトンキーンズの技術陣はもはや言い訳の余地なく、明確なレベルアップを果たさなければならない状況に置かれた。

    デイビッド・サンチェスが手がけたA526は、極めて困難だった2025年シーズンをコンストラクターズ最下位で終えた後、ワークスチームとして本来あるべき位置へフランスのブランドを押し戻すという野心を抱いている。

    このマシンは主流となっているラインを追従せず、独自のソリューションを選択した。議論を呼ぶことが予想されるのは、フロントサスペンションがプルロッド方式である点だ。この道を選んだのはデビューを迎えたキャデラックのみであり、マクラーレン、レッドブル、フェラーリといったトップチームが放棄した方向性でもある。

    だが、このブルーのマシンは分析に値する興味深い要素をいくつも備えている。サンチェス率いる空力担当者たちは、可動式リアウイングを作動させるための、巧妙かつ他とは異なるシステムも試している。

    そのアクチュエーターは、2枚の可動フラップの前縁を持ち上げるのではなく、後縁を下げる構造となっており、競合他チームとは逆の動きを採用している。

    アルピーヌF1チーム

    リアセクションでは、サイドエンドプレートの上部がわずかに外側へ湾曲している点も注目される。これは、非常に小さなレギュレーションボックス内で設計しなければならないリアウイングという要素に、より多くの流量を供給する狙いがある。技術陣は、フロントとの適切なバランスを見つけることがいかに難しいかをすでに理解している。

    ラジエーター開口部は、サイドのアンチイントルージョンコーンよりもかなり前方に配置されている。このコーンはサイドポッドからわずかに突き出し、外板とは切り離されたフェアリング形状で覆われている。テスト3日目にはすでに最初の変更が確認されており、今後もさらなる開発が見られるだろう。

    A526は、サイドポッド上部をえぐり込んだ形状を維持している一方、バルセロナテスト3日目には、ブラックリー製パワーユニットから発生する熱気を逃がすため、エンジンカウルが開放された。

    フロントホイール後方に配置されたバージボードには、テスト初日には存在しなかった2本目の支持ロッドが追加された。一方で、フロントウイング下部のフローディフレクターは維持されており、これはレギュレーションによってかつて禁止されていたが、時間的にそれほど遠くない過去のコンセプトを想起させるものとなっている。