カテゴリー: F1マシン

  • 2026年F1マシン始動の難題 1万3000回転スタートは危険水域か

    2026年F1マシン始動の難題 1万3000回転スタートは危険水域か

    バーレーンで行われた2026年F1プレシーズンテストでは、新世代パワーユニットがもたらす予想外の課題が浮き彫りとなった。焦点となっているのはレーススタートだ。

    MGU-Hが廃止されたことで、ターボを最適な作動領域に到達させるための負担が完全に内燃エンジン側へと移った。その結果、スタート準備段階でエンジン回転数が1万3000回転近くまで引き上げられるケースが確認されている。

    MGU-H消滅でターボ制御は内燃機関任せに
    従来はMGU-Hがターボの回転を電気的に補助し、短時間で必要なブースト圧へ到達させていた。これにより内燃エンジンへの負担を抑えながら安定したスタートが可能だった。

    しかし2026年レギュレーションではMGU-Hが廃止され、その役割は完全に内燃機関が担うことになった。ターボを適正ウインドウへ導くには、より高い回転数をより長時間維持する必要がある。

    バーレーンでは、回転を上げ始めてから実際の発進動作まで約10秒を要する例も見られた。各チームは最適な回転数とクラッチリリースのバランスを探っており、同一ドライバーでも試行ごとに挙動が大きく異なっていた。

    信頼性面も懸念材料だ。高回転域を長時間維持することは内燃機関にとって理想的とは言えない。こうした背景から、次回F1コミッションではグリッド整列完了からスタート手順開始までのインターバルを明確に設ける案が議論される見通しだ。

    平均1万2000回転 超える負荷
    サヒールで記録されたデータでは、アンドレア・キミ・アントネッリの最終日のスタート練習で1万3000回転を超えるピークが観測された。極端な例ではあるが、平均でも1万2000回転をやや上回る水準で推移している。

    これは従来のパワーユニットが最大負荷時にのみ到達していた回転域であり、過去にはスタート準備段階で9000〜1万回転程度が一般的だったことを考えると大きな変化だ。

    さらに現行規則では、グリッド停止中にMGU-Kからエネルギーを放出することは禁止されている(信頼性目的のダンピング戦略を除く)。加えて時速50km未満では電動モーターが介入できない制限もあり、発進直後の加速にも影響を及ぼしている。

    フォーミュラ1カー

    「序盤数戦は災難のレシピ」
    オスカー・ピアストリは次のように語った。

    「昨年は良いスタートと悪いスタートの差は、ホイールスピンや反応時間のわずかな違いだった。でも今年はF2のように、ほとんどアンチストール寸前になる可能性がある。そうなると5メートル失うだけでは済まない。何かがうまくいかなければ、6〜7ポジション失うこともあり得る」

    ジョージ・ラッセルも現状をこう説明している。

    「今は決められたウインドウに従って手順を進めているだけだ。僕は特定のウインドウに入った時にだけスタートしている。でもレースでは、ターボが理想的な状態にある時だけスタートできるわけではないことは分かっている」

    ギア比とターボ径の違いも影響
    今年はギア比の使い方にも変化がある。コーナーでより短いギアを用いてバッテリーを充電し、同時にターボラグを抑えるアプローチが主流となりつつある。

    レッドブルは積極的に低いギアを活用する一方、フェラーリはより穏やかな哲学を採用しているように見える。ラッセルは、フェラーリがより小径ターボを使用している可能性に言及し、低回転域での立ち上がりが有利であればスタート面でも優位に立てるかもしれないと示唆した。

    「他のエンジンメーカーがどうなのかは分からない。フェラーリは他より高いギアを使えているように見える。それはおそらく小さいターボを意味しているのだろう。だからスタートでは少し楽な立場にあるかもしれない。安全上の問題がない限り、バルセロナ以降は大きく前進したと思う」

    2026年F1マシンのスタートは、単なるクラッチ操作の巧拙ではなく、パワーユニット設計哲学そのものが問われる新たな局面へと突入している。開幕戦メルボルンで、この“1万3000回転スタート”がどのような混乱を生むのか、各陣営は慎重に見極めようとしている。

  • レッドブルF1、2026年F1エンジンでインタークーラー上部移設の革新

    レッドブルF1、2026年F1エンジンでインタークーラー上部移設の革新

    2026年F1レギュレーションで可変トランペット(可変インテーク)の廃止が決まり、内燃機関上部に大きな空間が生まれた。これにより各チームはパワーユニットのパッケージを再構築する余地を得た。

    レッドブルはそのスペースを活用し、これまでサイドポンツーン下部に配置していた空冷式インタークーラーを、自社製V6エンジンの上部へ移設した。

    補機類ラジエーターの下に搭載するという異例の構成で、エアボックスに見られる“2つの耳”のような開口部は、このレイアウトに由来する。

    この配置によりコンプレッサーまでのダクト長を大幅に短縮でき、補機重量の削減や空力開発の自由度向上にもつながる可能性がある。

    ピエール・ワシェは現時点で、上部が滑り落ちるようにリアへ向かう形状のサイドポンツーンを採用し、大きな“コカ・コーラ形状”の絞り込みを形成している。一方でラジエーター下部のアンダーカットは過激ではなく、バーレーンでの2回目テストに向けてさらなる形状の縮小が進む可能性がある。インタークーラー移設によって空いた空間は、今後の進化余地となる。

    ミルトンキーンズでは冷却系をリスクなく機能させることを優先したとみられる。近年の弱点でもあった冷却性能を確実に確認するため、サクヒールの高温環境でRBPTフォードDM01の実効性を見極める意図があった。

    ベン・ホジキンソンが率いる新エンジンは、今季序盤最大のサプライズのひとつとなっている。信頼性は高く、かつ競争力も備えている。ここまでのチーム別走行距離では2,609kmを記録し、2,858kmのフェラーリ067/6に次ぐ数字で、2,476kmのメルセデスを上回った。

    レッドブル・レーシング

    トト・ヴォルフは、1周あたりでより多くのエネルギーを回収できる点でレッドブルのPUが基準だと指摘した。マックス・フェルスタッペンとアイザック・ハジャーは、必要より1段低いギアで走行し、内燃機関の回転数を高めて燃料を使いながら電力を生成し、バッテリーに蓄える走行方法を学んでいる。

    これは自然なドライビングとは言えず、フェルスタッペンはすでに強い不満を示している。それでもレッドブルの現行セットアップは成果を上げている。追加のダウンシフトは、ブレーキ・バイ・ワイヤを通じた精密なエンジンブレーキ管理を必要とする。

    MGU-Kと内燃機関をつなぐトランスミッション系統には大きな負荷がかかり、破損すれば重大なトラブルを招く可能性がある。ギアボックス内部の歯車も、これまでスタート時にしか使われなかった1速などを頻繁に使用することで酷使されている。

    RB22は依然として開発途上段階にある。まだ本当の姿は見せていない。サクヒール最終日の最後に明らかになるのか、それともメルボルンまで伏せられるのかは分からない。

  • F1をフォーミュラEが超える?ディ・グラッシ「2026年F1マシンは設計が悪い」

    F1をフォーミュラEが超える?ディ・グラッシ「2026年F1マシンは設計が悪い」

    フォーミュラEドライバーのルーカス・ディ・グラッシは、2026年F1レギュレーションに対して厳しい見解を示し、現在の設計思想は「極めて設計が悪い」と批判した。

    マックス・フェルスタッペンが2026年F1マシンを「ステロイドを打ったフォーミュラE」と表現したことを受け、ディ・グラッシはその議論に応じる形で自身の見解を語っている。

    2026年F1では新たなパワーユニット規則が導入され、MGU-Kの出力が強化されることで、電動パートが総出力のほぼ半分を占める構成となった。このエネルギーマネジメント重視の方向性は一部から批判も受けている。

    「F1のハイブリッド規則は極めて設計が悪い」とディ・グラッシは語った。

    「問題はハイブリッドシステムそのものではない。FIAが決めた規則、そしてその規則を決定したFIA内部の一部の人々に責任がある」

    「その規則のロジックは理解できないが、非常に奇妙な規則が存在する。それによってF1マシンは非常に遅くなり、時には効率的でもなく、レースに適した状態でもなくなっている。だからドライバーたちが不満を口にしている」

    フォーミュラ1カー

    ディ・グラッシはさらに、フォーミュラEの技術ロードマップ次第では、将来的にF1を性能面で上回る可能性があると主張した。

    完全電動シリーズは来季、800馬力のGen4マシンを導入予定であり、その後も進化が計画されている。バッテリー技術の継続的な発展により、フォーミュラEが世界最速カテゴリーになる可能性があるという。

    「僕の見解では、フォーミュラEは数年以内に世界最速のマシンになる」と2016/17年王者は語った。

    「Gen4.5やGen5に向けて適切な進化を実現できるかどうかにかかっている。我々にはそのポテンシャルがある」

    「フォーミュラEがF1よりはるかに速くなったら何が起きるのか? 世界最高のドライバーはフォーミュラEで走るのか?」

    「マシンがより速いという理由で、フォーミュラEのドライバーが最終的にF1ドライバーより優れていると見なされるのか? それともF1ドライバーがこちらに来て両方を戦うのかもしれない。フォーミュラEがウインターシリーズ、F1がサマーシリーズになる可能性もある。両方に参戦できるかもしれない。分からない」

    「政治的な力が後押しするかどうかは分からないが、自然な進化としてフォーミュラEのマシンはF1よりはるかに速くなるだろう」

    モナコについて問われると、ディ・グラッシは次のように続けた。

    「今年ではないかもしれないし、Gen4でもないだろう。しかしGen4の1〜2年後、次のサイクルでは、F1より2秒、3秒、4秒、あるいは5秒速くなる可能性がある。四輪駆動やトラクションコントロールも導入される。非常に良いものになる」

    2026年パッケージをテストしたF1ドライバーと話したかと問われると、ディ・グラッシは「何人かと話した」と答えた。

    「シミュレーターで走っている人たちと話したが、規則は非常に奇妙だ。いくつかのサーキットでは多くの問題を生み出している」

  • 2026年F1マシンのリバリーを格付け デザイナーが斬る11台

    2026年F1マシンのリバリーを格付け デザイナーが斬る11台

    2026年F1シーズンに向けた全11チームのリバリーが、バルセロナとバーレーンで実車として披露された。

    それを受けて『The Race』のクリエイティブ・リード、オリバー・カードが改めて各車のデザインを精査し、ワーストからベストまで独自の視点で順位付けを行った。

    もっとも「ワースト」という表現は相対的なものであり、今年は全体として完成度が高く、優劣をつけること自体が難しいシーズンだとされる。背景には、2026年からのリバリー規則変更によって塗装面積が増え、デザインの自由度と表現幅が広がったこともある。

    ■11.マクラーレン:オレンジセグメントの復活
    マクラーレン フォーミュラ1カー

    コンストラクターズ王者は大枠のコンセプトを維持し、細部をアップデートする方針を取った。サイドビューではラインの連続性が読みやすく美しく見える一方、角度によっては要素が分断されて見え、オレンジのパネルが細切れに映る点が課題とされた。

    一方で、コクピット周辺を包み込むパパイヤの面積が増え、フロントから見た際の印象は強化。中央に黒い“タイガーストライプ”がより明確に出るなど、正面の見え方は改善したとされる。

    スポンサー面では、マスターカードのブランドカラーが好相性であるにもかかわらずロゴの存在感が控えめで、代わってグーグルのジェミニがホイール上で強く見える点が意外だと評された。2025年のスペシャルリバリーが印象的だっただけに、2026年の特別仕様への期待も示されている。

    ■10.アルピーヌ:労力は別の場所へ
    アルピーヌF1チーム フォーミュラ1カー

    2025年の高評価デザインを、2026年はほぼ踏襲。視覚的連続性そのものは問題ではないが、新時代に入るタイミングで“発展”が見られないことが順位に影響した。

    ただし昨年のコンセプトは2026年型の車体形状にもよく馴染み、バブルガムピンクの映え方と光沢のあるアルピーヌブルーのダイナミックさは健在。細部の調整余地はあるが、完成度としては十分に機能しているとされる。

    一方で、昨季の成績を踏まえるとイメージ刷新を狙ってもよかったはずで、現状維持は「リバリー以外に注力している」というメッセージにも見える、と解釈されている。

    ■9.アストンマーティン:急進的ではないが前進
    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチームアストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    急進性は抑えつつ、ブランドDNAの取り込みを着実に進めた進化型と位置付けられた。デュアルトーンのグリーンを軸に、ネオンアクセントがストライプに留まらずサイドポッド上面へ拡張され、ドットグラデーションが後方へ流れる形で視覚的な“質感”が増した。

    シャークフィンには疑似フィッシュスケールのような繊細な表現が入り、明るいグリーンから暗いトーンへのグラデーションが“クラフトマンシップ”を強調。高級ブランドとしての文脈に合うディテールだと評された。

    一方、スポンサー統合では色アクセントを小面積に“にじませる”手法(いわゆるブランドフラップ)が散見され、水平ラインの優雅さを損ねる側面も指摘。ホンダのワードマークは控えめで、伝統的なロゴほどのパンチはないとも触れられている。

    ■8.ウィリアムズ:企業的だが自信あるブルー
    ウィリアムズ・レーシング フォーミュラ1カー

    2019年以降の迷走を経て、近年の“企業向けに強い”方向性が定着し、スポンサーが増えた状況をポジティブに捉えている。2021〜23年のスポンサーが少ない時期と比べ、現在の大胆な露出はチームにとって好材料だとされた。

    配色はタイトルパートナーのアトラシアンのコバルトが主役で、近年のグラデーションよりも単色ブロックに寄せた表現。コマツは白背景に反転して衝突を抑え、ボディからリアウイングへ“切り抜く”白の区画が新規パートナー枠としても機能している。

    新たにバークレイズが加わり、別の青が増えたことで、複数の青の同居が課題に。黒で分断することでさらに要素が増え、整理感を損なっているという評価が付いた。

    ただし実走では見え方が良く、青の存在感は強い。デュラセルのエアインテークは引き続き象徴的で、極細の白と赤のストライプが上品な締めとして効いている。

    ■7.キャデラック:目を引く非対称だがアクセント不足
    キャデラック フォーミュラ1カー

    タイムズスクエアとスーパーボウルの同時公開で強い話題性を作り、非対称のダイナミックな構成は、90年代後半〜2000年代初頭のマクラーレンを想起させる“ノスタルジー”も伴ったと評された。

    ただし、モノクロ主体のコンセプトがクロームというより磁器のような白に読める場面があり、決定的な差し色が不足している点が弱点とされた。キャデラックには黄色・青・赤というブランドカラーがある中で、とりわけ黄色を前面に出せば、ルノー不在の今、グリッドで埋もれない個性になり得たという見立てが示されている。

    スポンサー獲得途上の今だからこそ、ブランド要素の再解釈は魅力的で、エンジンカバー後部に大きく展開された意匠は見事。キャデラックの筆記体ロゴの美しさなど、歴史の厚みを感じさせつつF1時代へ再定義する姿勢は高く評価された。

    ■6.レッドブル・レーシング:実環境で損なわれた秀逸デザイン
    レッドブル・レーシング フォーミュラ1カー

    約10年ぶりの大刷新として、2016年から続いたダークなマット基調を終え、フォードと結び付く“新章”を示す光沢のレーシングブルーと白アクセントへ。ブルとワードマークの白アウトラインは、レトロ感を出しつつ過去の焼き直しにはならず、フォードのブランド性とも噛み合うとされた。

    さらに、ピクセル・グリッチ風のパターンでワードマークをゴースト状に散りばめ、近年不足していたテクスチャーを補強。ブランドの“アクティブさ”とも整合し、デザイン自体は強い評価を得ている。

    一方で、照明条件が悪いとブルーが黒に近く見え、ローンチで示した象徴性が実車で伝わりにくい点が欠点として挙げられた。曇天のバルセロナでは特に暗く読め、実環境での再現性が順位を下げた。

    ■5.アウディ:控えめな脅威、使命のために
    アウディ フォーミュラ1カー

    歴史あるブランドとして注目されたが、2026年は“商業ミッション”に即したミニマル寄りの三色構成に落ち着いた。2022年のストライプ調コンセプトは鮮烈だった一方でスポンサーに不向きであり、今回は高級消費者ブランドとしての表現に重心を置いた整理された設計だと位置付けられる。

    幾何学的なカラーブロッキングは、横方向のラインが多い他チームとは異なる方向性で、識別性と販売可能な“余白”を両立。ただし今後スポンサーが増えると清潔感が損なわれるリスクもあるとされた。

    アクセントのラヴァレッドは強烈で、光の当たり方でオレンジ寄りにも深紅にも振れるため、実写での見え方に幅が出る可能性が示唆されている。黒との対比でリングは非常に強い存在感を放つとも評された。

    ■4.フェラーリ:HPの違和感が緩和
    スクーデリア・フェラーリ フォーミュラ1カー

    2025年よりパンチの効いた光沢レッドに戻し、上面の白を大きく拡張。ピンストライプで縁取りながらエアボックス〜エンジンカバーを抱き、後方へ抜ける構成で、テール側に赤い面積を残した。シャークフィンを活かした大きく読みやすいドライバーナンバーは高評価とされた。

    白が増えたことで、支配的なHPロゴがようやく“落ち着いて見える”ようになり、2025年からの改善点として扱われる。モンツァのラウダ風リバリーが、完全レトロに振り切らない“中間解”の参考になった可能性にも触れられている。

    一方で、後方のIBMロゴ付きの青いリアウイングは依然として課題。青はアクセントなら成立するが、パネル全面色としては主張が強すぎるという評価だ。ウイングは黒より白の方が、HPの青・白ロゴとも噛み合い、統一感が増す可能性があるとも述べられている。

    ■3.レーシングブルズ:兄を脅かす存在
    ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム フォーミュラ1カー

    2025年の人気要素を継承しつつ、2026年も白基調を維持。ボディ形状に沿うスリムなディテールで、引き締まった“リーン”な印象を作り、ハース同様に白ベースを活かした造形の見せ方が評価された。

    多色スポンサーの統合という難題を抱えながらも、全体として要素の総和以上の完成度に到達。ミニブルを外して整理し、フォードとも親和性のある面構成に改めた点もプラスに捉えられている。

    トロロッソ時代が依然としてブランドの到達点という前提は残り、独自キャラクターの完全確立という意味では“まだレッドブルの特別仕様にも見える”という含みもある。

    ただ、それでも今年屈指のハンサムさで、兄チームの注目を奪い得る存在とされ、エンジンカバー上の太い赤いドライバーナンバーは特に高く評価された。

    ■2.メルセデス:衝撃波を送る
    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ フォーミュラ1カー

    フロントは2025年の延長線上に見えるが、車体後方に向けてシルバーのラインが崩れ、ショックウェーブのグラフィックへ移行し、黒い基盤の上で星のパターンが展開される。複数コンセプトが同居して“忙しい”が、それでも成立して強い印象を残すと評された。

    星モチーフは近年の定番で、量産EVの意匠ともつながるブランド連動として肯定的に捉えられている。俯瞰ビューではシルバー面積が大きく、ショックウェーブの意図が最も伝わるとも述べられている。

    スポンサー統合では、マイクロソフトがエアインテーク側面やフロントウイングで目立つ配置となり、視認性のため黒が増えた。ただしフルカラーの窓アイコンを含め、下手な統合例より整理されているという評価だ。

    総じて、ピットでも走行中でも“他と違う”存在感があり、静止していても動いて見えるような視覚効果が2026年屈指とされた。

    ■1.ハース:最高だ
    ハースF1チーム フォーミュラ1カー

    従来は目立ちにくかったが、近年は鼻先からテールまで一貫したバランスの良い設計を継続しており、2026年はそれをさらに押し上げた年と位置付けられた。

    新しいボディシェイプを活かし、ミニマルだが薄味ではなく、ダイナミックだが過剰でもない。“モダンクラシック”として成立し、ミッド2000年代のBARホンダを想起させる完成度と評された。

    最重要のブランド配置は、トヨタのモータースポーツ部門であるガズーレーシングのGR。シャークフィンに沿って流れと調和し、タイトルスポンサーがデザインと衝突してしまう例とは対照的だとされた。

    GRの文字は重なり気味でも判別可能で、ブランド側がリバリーを引き立てるために柔軟に表現を調整できる強さを示している。

    赤の要素に“ほつれた”縁取りを与える案が小さな改善案として挙げられたが、全体評価を揺るがすものではない。契約上の貼り付けではなく、真のパートナーシップに見える点が大きな美点として強調されている。

  • 2026年F1マシンのスタートに安全懸念 開幕前に手順見直し論が浮上

    2026年F1マシンのスタートに安全懸念 開幕前に手順見直し論が浮上

    2026年F1レギュレーション下で初めて行われたバーレーン公式テストにおいて、レーススタート時の安全性を巡る懸念が急浮上している。新世代ハイブリッドパワーユニットの特性により、各車の発進挙動が従来よりも不安定かつ難解になっているためだ。

    FIA(国際自動車連盟)はすでに状況を把握しており、来週開催予定のF1コミッションでスタート手順の変更が議題に上がる見通しとなっている。

    なぜ2026年F1はスタートが難しくなったのか
    2026年から導入された新型パワーユニットでは、従来の1.6リッターV6ハイブリッドからMGU-Hが撤廃された。これによりターボラグを電動で補完する仕組みが消失し、スタート時に十分な過給圧を作るまでに時間を要するようになった。

    従来はMGU-Hがターボを即座にスプールさせ、低回転域のラグを補っていた。しかし現在は内燃機関とターボのみで初期加速を担い、MGU-Kが本格的に機能するまでの間に回転数を適正域へ維持しなければならない。

    ピットレーン出口での練習スタートでは、ドライバーが10〜15秒間も空ぶかしを続けてブーストを作る光景が見られた。ターボサイズの違いも影響しており、各メーカーごとに最適ウインドウが異なる状況だ。

    ハースF1チームのオリバー・ベアマンは、そのタイミングが「ミリ秒単位」であると明かし、わずかなズレでスタートが失敗する可能性があると示唆している。

    現行スタート手順とのミスマッチ
    現在のスポーティングレギュレーション(B5.7条)では、最後のマシンがグリッドに停止してから約10秒以内にスタートが切られる。5灯式のレッドライトは1秒間隔で点灯し、その後2〜3秒以内に消灯するのが通常だ。

    しかし後方グリッドのドライバーにとって、この短い時間ではターボを理想状態に持っていく余裕がない。前方のマシンが正常発進する一方で、後方では加速できない車両が混在する危険な状況が想定される。

    アルピーヌのピエール・ガスリーは次のように語った。

    「オーストラリアではテレビの前に座っていたほうがいい。みんなの記憶に残るスタートになるかもしれない」

    「どうなるかは分からない。正直、自分でも分からないよ。間違いなく以前より難しくなる」

    FIAと各チームの対応
    FIAはバーレーンテスト中に複数のシミュレーションと技術評価を実施し、問題点を把握している。F1コミッションでは、オーストラリアGPまでにスタート手順を調整する可能性が検討される予定だ。

    2025年の議論段階ではフェラーリが反対意見を示していたとされる。小型ターボを採用していると見られ、他メーカーより有利な可能性があるためだ。

    もっとも、安全性が理由であればFIAは全会一致を待たずに規則変更を進めることができる。

    フォーミュラ1カー F1

    過去に起きたスタート事故の教訓
    スタート直後の速度差は極めて危険である。1982年カナダGPではリカルド・パレッティがスタート直後の事故で命を落とした。1994年ブラジルGPではベネトンのJJレートがストールし、ペドロ・ラミーが追突して観客にも破片が飛散した。

    2001年ドイツGPではミハエル・シューマッハが4番グリッドからギアボックストラブルで停止し、ルチアーノ・ブルティが空中に舞い上がる事故も発生している。同年ブラジルではミカ・ハッキネンがストールし、後続車を避けるために手を振って警告する場面もあった。

    スタートラインでの停止車両は視界が遮られる中で極めて危険な障害物となる。

    マクラーレンとメルセデスの見解
    マクラーレン代表のアンドレア・ステラは次のように述べた。

    「スタート手順は、すべての車がパワーユニットを適切に準備できるものでなければならない」

    「グリッドは発進が遅れる場所であってはならない」

    「これは競争上の問題ではなく、より大きな利益の問題だ。すべてのチームとFIAが責任ある姿勢で臨むべきだ」

    マクラーレンのオスカー・ピアストリも「競争以前に安全なスタートを切ること自体が難しい」と認めている。

    一方、メルセデスのジョージ・ラッセルは改善傾向を示した。

    「僕は自分のウインドウに入った時にしかローンチを行わない」

    「レースではライトが消えたら行かなければならない。ターボが理想状態かどうかは関係ない」

    「バルセロナでは確かに安全上の懸念があったが、その点では大きく改善している」

    オーストラリアGPまでに決断は下されるか
    2026年F1開幕戦オーストラリアGPを目前に控え、スタート手順の見直しは急務となっている。グリッド上でのわずかなタイミング差が重大事故に直結する可能性がある以上、競争優位よりも安全性が優先される可能性は高い。

    F1コミッションの判断が、2026年シーズン最初の大きな政治的決定となるかもしれない。

  • アルピーヌF1 2026年F1マシン独自リアウイングは賭け「正しいか分からない」

    アルピーヌF1 2026年F1マシン独自リアウイングは賭け「正しいか分からない」

    2026年F1レギュレーションで大きく姿を変えた新世代マシン。そのなかでアルピーヌは、グリッド上で唯一とも言えるアプローチをリアウイングに採用している。

    だが、その“独自性”が武器になるのか、それともリスクとなるのか。チーム内部でも慎重な視線が向けられている。

    2026年F1マシンA526には、いくつかの目を引く設計が盛り込まれている。フロントにはプルロッド式サスペンションを採用。これは複数の競合チームが手放したレイアウトだ。

    しかし、最も際立つのはリアウイングの作動方式である。

    多くのチームがアクティブエアロ作動時にフラップ前端を持ち上げて開放するのに対し、アルピーヌは逆の方式を採用。フラップ後端を押し下げる構造とした。

    フィールド内で根本的に異なるアプローチであり、明確な差別化ポイントとなっている。

    マネージングディレクターのスティーブ・ニールセンは、その選択に伴う心理的側面を率直に認めた。

    「もちろん不安にはなる。これが正しい解決策かどうかは、今の時点では分からない。シーズンが進んで初めて明らかになる」

    一方で、独自であることが誤りを意味するわけではないとも強調する。

    「珍しいからといって間違いとは限らない。我々には我々の理由があって選択した。ただし、他と同じではないという自覚はある」

    アルピーヌF1チーム フォーミュラ1カー

    アクティブエアロの実装は、想定以上に複雑だという。複数のトップエンジニアが、タイヤ挙動や車高変化、気流の再付着を含むシミュレーションが極めて難しいと指摘している。

    特にウイングが再び閉じる瞬間の空力挙動はモデル化が難しく、マシンバランスやタイヤ摩耗、モード切り替え時の安定性に直接影響を与える。

    そのため、バルセロナでのシェイクダウンやバーレーンでの最初のテストでは、フロービズ塗料やピトー管を用いた実走データ収集に重点が置かれた。

    テスト走行が進むにつれ、各チームは互いのコンセプトを観察し始めている。何を見落としたのか、自分たちの理解は正しいのかを検証する段階に入った。

    「我々は今、すべてを評価している。文字通り、すべてだ。他車から見えるものは分析し、モデル化し、その効果を理解しようとしている。そのうえで初めて、自分たちの選択が正しかったかどうかが分かる」

    2026年F1の新レギュレーション下では、“違い”は武器にもなり得る。しかし同時に、それは未知との対峙でもある。アルピーヌの挑戦は、シーズン序盤の実戦で真価を問われることになる。

  • 2026年F1バーレーンテスト第1回の3日間から学んだ10のポイント

    2026年F1バーレーンテスト第1回の3日間から学んだ10のポイント

    勢力図に関する大きな手がかりから政治的な駆け引き、2026年レギュレーションの問題点、そして明らかに苦境に立たされているチームまで、サヒールのバーレーン・グランプリ開催地で行われたF1最初の公式テスト週間は、大きなストーリーという点で確かな成果をもたらした。

    ここでは10つの主要なポイントを挙げる。

    ■ チームは“本命”扱いを必死に避けている
    メルセデスはバルセロナをプレシーズンの王者として後にした。レッドブルはバーレーン水曜日にその座を引き継いだ。木曜日はフェラーリが注目を集めた。そして金曜日には再びメルセデスだった。

    その間ずっと、トップチームは皆、スポットライトを他者に向けようとし続けた。なぜなら、最速とラベルを貼られることを誰も望んでいないからだ。

    フェラーリは、メルセデスが意図的にペースを隠していると考えている。その暗黙の意味は、エンジン面での優位性と見なされているものを過小評価させ、圧縮比に関するレイトなルール変更の可能性を減らすためだということだ。マックス・フェルスタッペンはより明確で、メルボルンではメルセデスがストレートで突然かなり速くなるだろうとほのめかした。

    一方でメルセデスとそのカスタマーチームは、レッドブルについて今週ずっと熱弁を振るってきた。準備の良さ、そして新しい自社製エンジンのパフォーマンスを称賛している。

    レッドブルはそれを断固として否定している。同様にメルセデスにはまだ隠し玉があると信じており、自分たちは4番手に過ぎないと考えている。

    しかしメルセデスのカスタマーチームであるマクラーレンも、その4番手を自分たちのものだと主張したがっているようだ。現在のレギュレーションは、エネルギー需要が極めて大きく、マシンとエンジンを完全に一体設計でき、重要なエンジン情報に最も早くアクセスできるワークスチームに有利だと主張している。

    ■ ラップタイムが示すもの
    タイミングシステムの継続的なクラッシュと、レッドブルが最終日にレースシミュレーションを実施しなかったことにより、レースシミュレーションの全体像は不完全だ。だが少なくとも「像」はある。

    金曜午後、マクラーレンのオスカー・ピアストリ、フェラーリのルイス・ハミルトン、メルセデスのキミ・アントネッリがレースシミュレーションを行った。アントネッリは他の2人より約30分遅れて開始した。

    メルセデスとフェラーリの間に決定的な差があるとは言えない。少なくとも結論づけられるほどではない。両車がC3ソフトで走った第1スティントでは、ハミルトンが序盤に速かったが、アントネッリの方がペースをより維持した。C1ハードでの第2スティントでは、メルセデスが決定的なアドバンテージを持っているように見えた。ただし12周後のデータは欠落している。

    レースシミュレーション(より詳細な分析はこちら)

    第1スティント
    アントネッリ – ソフト、16周(平均1分40秒128)
    ハミルトン – ソフト、17周(平均1分40秒280)
    ピアストリ – ソフト、11周(平均1分40秒947)

    第2スティント
    アントネッリ – ハード、12周*(平均1分38秒547)
    ハミルトン – ハード、17周(平均1分38秒929)
    ピアストリ – ミディアム、20周(平均1分39秒604)

    第3スティント
    ハミルトン – ミディアム、6周*(平均1分37秒461)
    ピアストリ – ハード、18周*(平均1分38秒472)

    *アントネッリが第2スティント、ハミルトンとピアストリが第3スティント中にタイミングがカットオフ

    はっきりしているのは、マクラーレンが全スティントを通して一段劣っていたことだ。最大で0.5秒ほど遅れていた可能性がある。

    ■ レッドブルエンジンは“現実直視”
    バルセロナテスト以降、レッドブルは初のF1エンジン開発で賞賛を浴びてきたが、それは主に予想以上に早く信頼性を示したからだった。

    バーレーンでは、その驚きと敬意は低レベルの恐怖へと変わった。メルセデスは、レッドブルがストレートで1秒速いと主張している。比類なき充電能力があり、ラップ中により多くの電力を展開しているからだという。

    ギアボックスの改良も、ドライバーにとって非常に扱いやすい1速を実現するという点で、明らかに優れたパッケージを可能にしている。これは現代モータースポーツでは珍しいことだ。これにより、レッドブルは積極的なダウンシフトで最大限のバッテリー充電を行いながらも、マシンを過度に不安定にせずに済んでいる。

    ジョージ・ラッセルは、このテストを「我々にとって少し現実直視だ」と表現した。冬の間、自分たちが最も良い位置にいるという憶測があったが、ラッセル自身の言葉で言えば、レッドブルは今や「それを公園の外へ打ち出した」。

    ラッセルは、最終日にメルセデスがタイムシート最上位に立ったにもかかわらず、「彼らは間違いなく倒すべきチームだ」と断言している。同じサーキットでのテスト中の改善は比較的容易だが、レッドブルがテスト開始時点から見せたペースが目を引いたという。

    オーストラリアに向けて、ラッセルはすでにレッドブルが前にいると確信している。

    ■ スタートは“災害のレシピ”
    初期テストで浮上した、2026年F1のレーススタートが高回転特性を持つという話題は、本格的な安全問題へと発展した。

    良いスタートには、ターボをスプールさせるため約10秒間エンジンを高回転に保ちつつ、同時にバッテリーを過充電させないことが求められる。一貫性を見つけるのは非常に難しい。

    そしてピットレーン出口の練習スタートのような低ストレス環境でも繰り返しミスが起きているなら、実際のグランプリでの本番スタートではさらに悪化するだろう。

    ドライバー、そして今や複数のチーム代表が懸念しているのは、スタートが失敗した場合、その失敗は非常に深刻な形で起きるということだ。ドライバーがその場で立ち往生するリスクがある。

    さらに、冷えたタイヤでストレートモード、つまり最小ダウンフォース状態にあるマシンが混在することを考えれば、ピアストリがそれを「災害のレシピ」と表現したのも無理はない。

    スタート手順の変更を求める声は非常に大きくなっており、来週のF1コミッション会議でFIAはこの問題で圧力を受ける見通しだ。

    バーレングランプリ

    ■ ウィリアムズの回復にはペースの疑問符
    バルセロナテストに参加できなかったウィリアムズは、バーレーンで最多周回を達成するという主要目標を達成した。

    走行距離(km)
    1 ウィリアムズ 2245
    2 マクラーレン 2240
    3 フェラーリ 2213
    4 ハース 2072
    5 アウディ 1867
    6 レッドブル 1823
    7 レーシングブルズ 1769
    8 キャデラック 1704
    9 アルピーヌ 1683
    10 メルセデス 1461
    11 アストンマーティン 1098

    これに加え、テスト開始前に2日間のフィルミングデーを完了していたことから、ウィリアムズの信頼性は証明され、真剣な作業が可能となった。

    しかしマシンのパフォーマンスには大きな疑問がある。確かにミッドフィールドでは快適な位置に見えるが、その先頭ではない。5位を新たな基準とするチームにとって、すべてが順調とは言えない。

    マシンはハースやアルピーヌほどトラック上で快適に見えない。理想よりやや硬めに走らせている兆候があり、その結果グリップが損なわれている可能性がある。金曜午後のレースシミュレーションも前述のチームより明確に遅かった。

    しかしウィリアムズは走行不足だったため、次のバーレーンテストの鍵はデータ理解、セットアップ改善、そしてミッドフィールド先頭に立てるパフォーマンスの解放だ。

    ■ 最も苦境にあるチーム
    新しいマシンとエンジン規則により、今年のテストで“危機チーム”が出る可能性は高かった。

    アストンマーティンはそこまで言わないかもしれないが、最も苦境に立たされているチームだ。スペインでAMR26が登場した際は注目を集めたが、ここではネガティブな見出しばかりだ。

    テスト序盤の信頼性問題、週を通じてトラック上で不安定な挙動、そして明らかに数秒遅れという状況は、大きな期待を背負うパートナーシップにとって悪夢のスタートだ。

    エイドリアン・ニューウェイ率いるチーム、ローレンス・ストロールの資金力、ホンダのワークスエンジン、フェルナンド・アロンソというドライバー体制に期待される基準からは大きくかけ離れている。

    良いニュースは、進歩のためのもう一度のテストが残っていることだ。しかしマイク・クラック代表が言うように、今週の最大の教訓は「やるべきことが多い」ということだ。

    ■ “デフォルトで”最良のミッドフィールド
    グリッド最小規模のチームは、バーレーン初テスト後に多くの満足材料を持っている。部分的には他チームが目立って苦戦しているからだ。

    2025年終盤のトップ4は他より抜きん出ているように見えるが、ハースは少なくとも最初の週の内容とバルセロナでの堅実な走行距離から、次のグループの上位にいるようだ。

    オリバー・ベアマンはテスト8番手タイム、エステバン・オコンは9番手。だがより印象的なのは、総計約400周に迫る走行で、走行距離ランキング4位につけたことだ。

    チーム代表の小松礼雄は2026年のスタートに歓喜している。それも当然だ。バーレーンでは大きなトラブルがなく、バルセロナでも1度だけだった。

    目立たない? かもしれない。しかし今のところ他チームと比較して、ハースがいかに堅実に見えるかは特筆に値する。

    ■ キャデラックは最高のスタート
    キャデラックはバーレーンで1700km以上を走行。アルピーヌ、メルセデス、アストンマーティンを上回った。

    ヘッドラインタイムでは3.7秒差、全11チーム中10番手で、アストンマーティンの前に位置した。

    その結果、まだ本格的なパフォーマンスランを行っていないにもかかわらず、マシンの潜在力を引き出す段階に注目が移っている。これはチームが確固たる基盤を築いたことを意味する。

    バックマーカーとしての尊敬に値する位置。新規参戦チームにとっては、それは勝利同然だ。

    大きな問題はなく、見た目も内外ともに整っている。まだ膨大な作業が残っているが、バーレーンでのパフォーマンスは、チーム構築プロセスがいかに厳密に実行されたかを証明している。

    2026 F1 バーレーンテスト

    ■ 本当のアウディは驚異的ではないが悪くもない
    2026年マシンを非常に早い段階で走らせたアウディは、オーストラリアまでに最も変化する可能性が高かったが、今週これほど異なっていたことは驚きだった。

    空力面ではBスペックに近い。ボディワークは全面的に改訂され、縦型サイドポッドインレットはメルセデスのゼロポッドに似ている。キールフロアのスロットなど細部の追加もあり、フロントウイングも全く異なるアクティベーションシステムに変更された。

    本当のアウディが、設計と機能の両面で姿を現した。驚異的に良いわけではないが、そもそも期待されていなかった。より従順な挙動にし、エンジンをより良く調整する必要がある。新規参戦のレッドブル・パワートレインズほど進んではいないのは明らかだ。

    だが信頼性は向上し、ミッドフィールドで妥当な位置に見え、スペインで築き始めた基盤よりも強固な土台を得た。

    ■ 予選準備戦術は奇妙
    2026年マシンとタイヤでのデグラデーションがどうなるかをピレリが把握するにはまだ早い。誰も限界近くでは走っていないからだ。

    だがすでにいくつかの特性が見え始めている。そのひとつが予選への潜在的影響だ。

    タイヤを適正作動温度に保ちつつ、フルバッテリー状態も確保する必要があるが、これを単独1周で両立するのは非常に難しい。タイヤを維持するための速度を出せば、エネルギーを消費し過ぎてしまう。

    初期の兆候では、今年は予選アタック前にダブル準備ラップを好むチームが出てくる可能性が示されている。それにより必要な準備時間を確保できる。

    今年は2台増えたため、全員が追加ラップを行えば、予選で「トラフィックパラダイス」の瞬間が増える可能性がある。

  • 2026年F1マシンに賛否 ブランドル「セナやシューマッハは気に入ったはず」

    2026年F1マシンに賛否 ブランドル「セナやシューマッハは気に入ったはず」

    2026年F1プレシーズンテストがバーレーンで行われる中、新レギュレーション下のマシンに対する評価はドライバーの間でも分かれている。

    特にアクティブエアロダイナミクスと、内燃機関と電動出力の50/50分配という新しいパワーユニット哲学は、これまで以上にエネルギーマネジメントを重視する方向へと競技を導いている。

    こうした変化に対し、マックス・フェルスタッペンは「ステロイドを打ったフォーミュラE」と表現するなど否定的な見解を示しているが、元F1ドライバーで現在は解説者を務めるマーティン・ブランドルは異なる視点を示した。

    「長時間にわたって全開で走りたいなら、何かをマネジメントしなければならない」とブランドルはマクラーレンのイベントで語った。

    「それは常にそうだった。スターリング・モスやファンジオの時代もそうだし、ジャッキー・スチュワート、グラハム・ヒル、ジム・クラークの時代も同じだ。我々は常に何かを守りながら走っていた。ドライブシャフトやクラッチ、ギアボックス、エンジン、サスペンションをいたわっていた。80年代のターボ時代には燃料は220リットルしかなく、完走するために一周ごとにリフト・アンド・コーストをしていた」

    フォーミュラ1カー

    ブランドルは自身の経験も引き合いに出す。

    「私はアデレードで3位を走っていながら、燃料切れで止まってしまい、表彰台を失ったことがある。十分に慎重ではなかったからだ。レースでは常に何かを管理する必要がある。今ならタイヤがその代表例だ」

    1992年にベネトンでミハエル・シューマッハのチームメイトだったブランドルは、今回の新レギュレーションがむしろ歴代の偉大なドライバーに適していると考えている。

    「正直に言って、アイルトン・セナやミハエル・シューマッハはこのクルマを気に入ったと思う。あらゆるツールを使えるからだ。どう使うかを最もよく理解し、クルマから最大限を引き出せるドライバーが成功する」

    「かつてはクラッチやブレーキ、サスペンションを守る必要があったが、今はそれがバッテリーに置き換わった。マシンは他の多くの面でほとんど壊れなくなっている。具体的な課題は変わったが、本質的な挑戦は何も変わっていない」

  • 2026年F1バーレーンテスト3日目スタート キャデラック停止で再び赤旗

    2026年F1バーレーンテスト3日目スタート キャデラック停止で再び赤旗

    2026年F1バーレーンテストは最終日を迎えた。前日はシャルル・ルクレールが最速タイムを記録し、フェラーリが存在感を示した一方で、メルセデスはわずか57周に留まり全チーム最少周回数という厳しい一日となった。

    アルピーヌとキャデラックも信頼性トラブルに見舞われるなど、各陣営が課題と向き合うなかで迎える最終日。来週の第2回プレシーズンテスト、そして開幕戦オーストラリアGPを前に、限られた走行機会でどこまで完成度を高められるかが焦点となる。

    ■ ボルトレトが限界域へ プッシュの兆し
    午前11時13分、ガブリエル・ボルトレトが最終コーナーでワイドに膨らみ、リアが大きくスライド。さらに立ち上がりでもマシン後部が再び乱れ、必死にコントロールを取り戻す場面があった。リプレイでは次のラップでも中速コーナーで挙動が不安定になる様子が確認され、セットアップが限界域に近づいている可能性もうかがえる。早い時間帯ながら、ザウバーはすでに積極的なプログラムに移行しているようだ。

    ■ ハジャー前向き「予想以上に順調」
    前日は午前中に多くの走行時間を失ったアイザック・ハジャーだが、午後には86周を記録し挽回。本人は「まだ改善すべき点はあるが、マシンには快適に乗れている」と前向きな姿勢を示した。さらに「新しいパワーユニットを投入していることを考えれば、チームの進捗は予想より良い」と語り、初年度体制への手応えをにじませた。

    ■ ラッセルが暫定トップ 1分33秒918
    午前11時04分時点でジョージ・ラッセルが1分33秒918を記録し、テスト全体で最速タイムを更新した。テストでは燃料搭載量やプログラムが各チームで異なるため単純比較はできないが、前日に信頼性で苦しんだメルセデスにとっては好材料と言える。

    ■ 再び赤旗 キャデラックに信頼性懸念
    セッションは一時赤旗中断。原因はキャデラックのバルテリ・ボッタスがコース上でストップしたためだった。前日はセルジオ・ペレスがマシンを止めており、2日連続のトラブル発生。F1参入初年度のキャデラックにとって、信頼性の確立が急務となっている。

    ■ アルピーヌは復旧 コラピントが周回重ねる
    前日はピエール・ガスリーが午後セッション中盤でストップし、その後は走行できなかったが、チームは問題を修復した模様だ。この日はフランコ・コラピントが終日担当。セッション再開直後から周回を重ね、夜間コンディションを含む重要なデータ収集に臨んでいる。

    ■ 空力データ収集が本格化 フロー・ビズとエアロレーキ
    午前中は各チームが空力データ収集に重点を置く。フロー・ビズ塗料やエアロレーキが各車に装着され、気流の可視化と数値データの照合が進められている。ルイス・ハミルトンはリアウイング下部にエアロレーキを装着。オスカー・ピアストリも同様に計測装置を装着し周回を重ねた。なお、今季のピレリタイヤはフロントが25mm、リアが30mm細くなり、供給コンパウンドはC1、C2、C3。各チームは割り当て内で自由に持ち込み本数を選択している。

    ■ 最終日へ 各陣営が仕上げ段階へ
    金曜午前のグリーンライトと同時に多数のマシンがコースイン。ハミルトンはC3タイヤで走行を開始した。レッドブルは午前にマックス・フェルスタッペン、午後にアイザック・ハジャーが担当。マクラーレンはランド・ノリスに代わりオスカー・ピアストリが終日走行する。来週水曜からは第2回プレシーズンテストが控える。データ解析の時間は限られており、各チームにとってこの最終日は極めて重要な一日となる。

    バーレーングランプリ

  • マックス・フェルスタッペン 2026年F1マシンに辛辣「フォーミュラEの強化版」

    マックス・フェルスタッペン 2026年F1マシンに辛辣「フォーミュラEの強化版」

    2026年F1バーレーンテストで新型RB22を走らせたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が、F1の新世代マシンに対して強烈な批判を展開した。

    レッドブルの新パワーユニットは高いデプロイメント性能で注目を集め、テストではベンチマークとの評価も出ているが、フェルスタッペン本人は「ドライバーとしての楽しさ」という観点から現行レギュレーションに強い違和感を示している。

    「正直に言って、運転していてあまり楽しくない。適切な言葉は“マネジメント”だと思う」とフェルスタッペンは語った。

    「ドライバーとしてのフィーリングは、あまりF1らしくない。少し“ステロイドを打ったフォーミュラE”のように感じる」

    2026年レギュレーションでは、内燃機関とバッテリー出力をほぼ50対50とする新パワーユニットが導入され、エネルギーマネジメントがこれまで以上に重要な要素となっている。ブレーキングやコーナリングでの回生、ストレートでの戦略的なエネルギー放出がラップタイムを大きく左右する構造だ。

    「純粋なドライバーとしては、僕は全開で走るのが好きなんだ。でも今はそういう走り方ができない。やることが多すぎる」

    「ブレーキを少し長く踏むか、短くするか、ギアをひとつ上げるか下げるか。そういった入力がエネルギー面に大きな影響を与える。ストレートでのパフォーマンスにも直結する。それは僕にとってF1ではない」

    「エネルギーが足りない。僕は普通のドライビングがしたいだけだ」

    さらにフェルスタッペンは、現在の低グリップ傾向にも言及した。

    「今のタイヤとマシン構成ではグリップもかなり低い。以前と比べると大きな後退だ」

    そのうえで、現行マシンを「アンチレーシング」と表現する。

    「正直、マシンのプロポーションは良いと思う。見た目もいい。リバリーも素晴らしい。それは問題じゃない」

    「問題はそれ以外のすべてだ。僕にとってはアンチレーシングだ」

    率直な発言が物議を醸す可能性について問われると、フェルスタッペンは自身の立場を明確にした。

    「今このタイミングでこんなことを言えば、喜ばない人もいるだろう。でも僕は率直だ。自分のレースカーについて思っていることを言ってはいけない理由はない」

    「僕がレギュレーションを書いたわけじゃない。もし政治的ではない観点だけでレギュレーションが作られていたなら、クルマもエンジンもまったく違うものになっていたと思う」

    マックス・フェルスタッペン レッドブル・レーシング フォーミュラ1カー

    一方で、チームやレッドブル・パワートレインズの努力に対する敬意も示した。

    「裏でどれだけの仕事が行われてきたかは分かっている。エンジン部門の人たちも含めてね。だからこういうことを言うのは気持ちの良いものではない」

    「でもドライバーとしては現実的でありたい。フィーリングについては正直に言う必要がある」

    「クルマに乗れば常にベストを尽くす。それはチームも分かっている。ただ、運転すること自体へのワクワク感はそれほど高くない」

    フェルスタッペンは以前から2026年レギュレーションへの懸念を公言しており、現在の契約が切れる2028年以前にF1を離れる可能性も示唆してきた。

    「僕にとっては勝てるクルマかどうかは問題ではない。楽しく運転できることが重要なんだ」

    「キャリアのこの段階では、F1以外でも楽しめることを模索している。しばらくこのレギュレーションと付き合うことになるのは分かっている。だから様子を見るしかない」

    ニュルブルクリンク24時間レースへの参戦可能性について問われると、こう冗談を交えた。

    「少なくともあそこではバッテリーを気にせず全開で走れるよね」

    「出場したい。実現できるよう動いているが、まだ確定はしていない」

    レッドブルは現時点でテストの“ベンチマーク”と目されているが、フェルスタッペンにとって重要なのはタイトルの数ではなく、ステアリングを握る純粋な歓びだ。2026年F1の方向性は、現役最強ドライバーの心を完全には掴めていない。