カテゴリー: F1マシン

  • 2026年F1マシンのスタート論争 ベテラン勢が危険論を一蹴

    2026年F1マシンのスタート論争 ベテラン勢が危険論を一蹴

    2026年F1レギュレーションのもとで導入された新世代ハイブリッドパワーユニットにより、スタート手順の変化が安全面に影響を及ぼすのではないかとの懸念が浮上している。しかし、バーレーンでのプレシーズンテスト後、ベテランドライバーたちはその見方を否定した。

    模擬スタート練習では、一部のドライバーが十分な発進を行えず、グリッド上でのばらつきが確認された。

    新エンジンではパワー配分が50対50となり、発進時にもバッテリー残量の確保とエンジン回転の管理が求められるためだ。これによりスタートのばらつきが危険につながるのではないかという議論が起きていた。

    バーレーンテスト第2週初日の午前走行後に行われた記者会見で、バルテリ・ボッタスは懸念を一蹴した。

    「正直なところ、以前より危険だとは思わない」とボッタスは語った。

    「主な違いは、今はホールド回転をより長く維持していることだ。それについては何か解決策を見つける必要があると思う」

    「唯一の懸念は、例えば決勝でグリッド後方にいる場合だ。ホールド回転を上げ始めた時点で、すでにスタートライトのシーケンスが始まっているかもしれない。ライトが消える前にターボを十分に回す時間が足りない可能性がある。それは後方のドライバーにとっての問題だ」

    「それ以外については、僕たちは解決策を見つけるだろう。ホールド回転が長くなること自体に危険な要素は見ていない」

    フォーミュラ1カー

    現在の2026年型マシンでは、発進時であってもエンジン回転とエネルギー回生の完璧なバランスが求められている。

    ルイス・ハミルトンもボッタスの見解に同調した。

    「間違いなく危険ではない」とハミルトンは語った。

    「その“危険”という言い方は外した方がいい。ただ手順が違うだけだ。以前より長い手順になったということだ」

    「今のやり方では、5つのライトが点灯しても、消えるまで僕たちは少し長くそこに立っていることになるだろう。でもターボが回っていなくても発進はできる」

    「アンチストールが何度か作動する可能性はあるだろう。そこが一部のドライバーにとっては問題になるかもしれない」

    「でも危険だとは思わない」

    一方、マックス・フェルスタッペンは真面目な見解は示さなかったものの、冗談交じりにこう述べた。

    「いつでもピットレーンからスタートすればいい」とフェルスタッペンは笑った。

    「後方集団に追いつけばいいんだ。それで問題ない」

  • フェラーリF1が大胆策 バーレーンで“疑似ビームウイング”投入

    フェラーリF1が大胆策 バーレーンで“疑似ビームウイング”投入

    スクーデリア・フェラーリは2026年F1第2回バーレーンテストの初日午前、SF-26に新たな空力パーツを投入し、パドックの注目を集めた。これまで“スペックA”仕様を中心に走行を重ねてきたが、今回は開幕戦オーストラリアGPに向けたアップデートの一部とみられる改良が姿を現した。

    その中でも最も目を引いたのが、エキゾースト直後に配置された新しいフリックアップ形状のウイングだ。

    外観は小型かつ簡素なビームウイングのように見える。ビームウイングは前世代マシンで広く用いられたが、2026年レギュレーションではリアのビームウイングは原則として禁止されている。

    今回のパーツは、理論上ボディワークの制約が厳しいリアテール周辺に設置されているが、リアウイングのパイロンに関するレギュレーションの許容範囲を巧みに活用し、規則に適合させている可能性が高い。

    この新要素は主に2つの効果を狙っているとみられる。

    ひとつは、排気ガスの流れを活用し、リアウイング周辺の気流との相互作用を最適化すること。

    もうひとつは、ディフューザーの気流を拡張する役割を担い、ダウンフォース増大を狙うことだ。

    今年の設計思想において重要だったのは、前世代で一般化していたビームウイングの禁止である。フェラーリのこのアプローチが、その“代替解”となるのかが焦点となる。

    スクーデリア・フェラーリ

    ディフューザー中央部の改良と気流の接続
    今回のテストでは、いわゆる“小さな”開発項目が各チームで目立ち始めている。

    フェラーリの場合、ディフューザー中央部のトレーリングエッジ高さを増す小型ベーンのサイズを拡大した。

    先週仕様との違いはわずかな増加にとどまるが、これによりビームウイング相当の気流と接続し、リアクラッシュ構造周辺の気流を改善。その結果、ディフューザー中央の“ボート”エリアの流れを最適化する狙いがある。

    一方で、このパーツがエキゾースト流に与える影響については未知数だ。

    レギュレーションでは、排気口の位置はリアアクスル中心線を基準に390mmから400mmの範囲(許容幅10mm)に定義されており、最低高さは350mmと規定されている。これは排気流を利用して空力パーツ上に過度な高流速気流を発生させることを防ぐための措置である。

    それでも、この解決策が“ブローン・ビームウイング”と“ディフューザー”を組み合わせた新解釈の始まりだと見る向きもある。

    最終的な判断はFIAの見解次第だが、2026年F1の空力戦争は、すでに水面下で激しさを増している。

  • 2026年F1バーレーンテスト第2週開幕 各陣営が最終仕上げへ

    2026年F1バーレーンテスト第2週開幕 各陣営が最終仕上げへ

    2026年F1シーズン開幕を前に、バーレーンで行われる第2回プレシーズンテストがスタートした。各チームは今週3日間の走行機会を与えられ、新世代マシンの最終確認に臨む。

    初日からアップグレードを投入するチームもあり、開幕戦に向けた実戦的なパフォーマンスランが本格化していく見通しだ。

    ■ 砂嵐の朝から好条件へ
    F1公式レポーターのマイク・シーモアは、サーキットへ向かう道中で砂嵐に見舞われたと報告したが、コースに近づくにつれて天候は改善。現在は青空が広がり、気温も穏やかでテストには理想的なコンディションとなっている。

    初日から多くの周回が重ねられており、週後半にはさらにパフォーマンス重視の走行が増えるとみられる。

    ■ ルクレールがトップタイム
    計測10時50分時点で、シャルル・ルクレールが1分33秒739でトップ。2番手のアンドレア・キミ・アントネッリに0.7秒差をつけている。

    もっとも、テスト中のタイムは燃料搭載量やエンジンモードが不明なため、単純比較はできない。依然として各陣営の真の実力はベールに包まれている。

    ■ ノリスがロックアップ 追走テストも実施
    ランド・ノリスはC2タイヤでロックアップを喫し、フラットスポットによる振動を抱えながら走行を続けている。すでに16周を消化しており、バーレーンの決勝距離57周に対して着実に周回を重ねている。

    さらにノリスはアウディのマシン直後につけ、ダーティエア下での挙動を確認。その後いったん距離を取り、再び接近するなど追走テストを繰り返した。

    2026年は従来のDRSが廃止され、代わりにストレートで前後ウイングをフラットにする「アクティブエアロ」が導入される。また、前走車の1秒以内に入ると追加のバッテリー出力が可能となる「オーバーテイクモード」も採用されている。

    ■ キャデラックはまだ走行せず
    この時点で唯一ガレージから出ていないのがキャデラック。マシンは現在分解状態にあり、セルジオ・ペレスの走行はしばらく見られそうにない。

    ■ 空力測定が本格化
    レッドブルは大型エアロレーキを装着し、フェラーリはリアウイングにフロービズ塗料を塗布。いずれも空気の流れを可視化・計測するためのデータ収集手法だ。

    レーキは各種センサーで空力挙動を数値化し、フロービズは塗料の流れで気流方向を視覚的に確認する。新レギュレーション下では、こうした基礎データの積み重ねが極めて重要になる。

    ■ リンドブラッドがスライド
    アービッド・リンドブラッドはやや不安定な挙動を見せ、ロックアップも記録。フラットスポットを抱えた状態で周回を続けている。新世代マシンへの適応は依然として繊細な作業だ。

    バーレーングランプリ 2026年のF1世界選手権

    ■ ピレリ全5種が使用可能に
    今週はC1からC5までの全コンパウンドが選択可能。前週はC1〜C3のみだった。

    ピレリによれば、C2とC3は11チーム中10チームが選択。メルセデスのみが最も硬い3種類に限定した。

    マクラーレン、フェラーリ、レーシングブルズ、アウディ、ハースF1チームはC4を追加。レッドブル、アルピーヌ、ウィリアムズ、アストンマーティンはよりソフト寄りの選択を行った。

    レーシングブルズはC2・C3・C4に限定。アルピーヌとウィリアムズはC5も投入。アストンマーティンはC3・C4・C5の3種、最もソフト側のみを選択した唯一のチームとなっている。

    ■ ドライバーにとって過酷なプレシーズン
    元F1ドライバーのジョリオン・パーマーは「これほど集中的なプレシーズンはかつてなかった」と語る。

    1日2セッション制で各4時間、走行できるのは1台のみ。チームによっては午前・午後でドライバーを交代し、他は1日フル走行を任せる形だ。

    エステバン・オコンはハースF1チームで早々にコースイン。前週は190周を走破しており、引き続きデータ収集を進める。

    ■ 最終調整の3日間へ
    各チームは先週のデータ解析を経て、改良を加えた状態で第2テストに臨む。

    開幕戦を目前に控えたこの3日間は、信頼性確認とパフォーマンス最適化の両立が求められる重要局面となる。

    2026年F1シーズンの勢力図は、ここバーレーンで静かに形を整えつつある。

  • フェラーリF1 SF-26 可動式フロントウイングの油圧制御をシャシー内に配置

    フェラーリF1 SF-26 可動式フロントウイングの油圧制御をシャシー内に配置

    フェラーリは2026年F1マシン「SF-26」において、可動式フロントウイングを作動させる油圧システムをノーズ内部ではなく、シャシー前端部にオーバーハング配置するという解決策を採用したことが明らかになった。

    新レギュレーション下で導入された可動式フロントウイングは、事故や接触時にピットレーンで素早くノーズ交換が可能でなければならない。そのため、油圧アクチュエーターの配置方法が技術的な焦点となっていた。

    ロイック・セラ率いる技術陣は、ステアリングコラムをフロントサスペンションのロワアーム後方へ移設することで生まれたスペースを活用。従来ステアリングボックスが占めていた領域に、フラップを作動させるオン・オフ式油圧アクチュエーターを搭載した。

    この設計には二つの明確な利点がある。

    まず安全面だ。衝突時にノーズが損傷しても、油圧系統からの漏れリスクを低減できる。

    さらに重量配分の面でも有利となる。より重心寄りに質量を配置できるため、マシンが最低重量に到達した段階でフロントウイング側に有効なバラストを追加し、理想的なバランスを追求する余地が生まれる。

    現時点で詳細が確認できていないのは、航空機由来のクイックリリース式油圧コネクターの具体的な形状だ。ノーズとシャシーを固定する機械的アンカーと同様に、油圧接続部も迅速かつ確実な脱着が可能な位置に設計されているとみられる。

    スクーデリア・フェラーリ

    今回確認されたアクチュエーターはオン・オフ方式で、フロントウイングは「開」か「閉」かの二択動作となる。ギアボックスやクラッチ制御のような比例バルブは必要としない構造だ。

    ノーズ内部には高圧配管2本のみが通され、シャシー側から供給される作動圧を左右の可動フラップへ伝達するレイアウトとなっている。

    フェラーリは2025年、SF-25のミュールカーを用いたピレリの開発テストにおいて、いち早く可動式フロントウイングを実戦投入していた。ピレリは前荷重変化に関する重要なデータを収集し、異なる空力設定下でのタイヤ挙動を把握。一方フェラーリも油圧制御システムの実用経験を積み重ね、今回のSF-26の完成形へとつなげた形だ。

    ステアリング配置変更と油圧制御の統合というパッケージング戦略は、2026年F1マシン設計における一つの解答を示している。

  • 2026年F1マシンで1速多用 ドライバーが違和感を抱く新PUの代償

    2026年F1マシンで1速多用 ドライバーが違和感を抱く新PUの代償

    2026年F1レギュレーションのもとで導入された新世代パワーユニットは、ドライビングスタイルそのものに変化を強いている。エネルギー回生とターボラグ対策を優先する設計思想が、これまでの常識とは異なるギア選択を求めているからだ。

    特に顕著なのが、従来なら2速や3速で進入していたコーナーで1速を使うケースが増えている点である。

    効率的な回生と、1周あたり最大8.5MJという使用可能エネルギー上限に到達するための“必要な犠牲”だが、ドライバーにとっては決して歓迎できるものではない。

    なぜ1速が必要になるのか
    2026年型パワーユニットは、350kWのMGU-Kを搭載しながらもバッテリー容量はほぼ据え置きとなっている。このため、回生とエネルギーマネジメントはこれまで以上に重要な要素となった。

    バーレーン・インターナショナル・サーキットのように強いブレーキングポイントが多いコースでは回生機会はあるものの、4本の長いストレートが存在するため、ストレートでの電力消費を補うためにコーナー進入や旋回中の回生効率を最大化する必要がある。

    その結果、一部チームは従来よりも低いギアを選択。エンジン回転数を高く保つことでターボを回し続け、MGU-H廃止によって再び顕在化したターボラグを抑制しようとしている。

    ジョージ・ラッセルはこう語った。

    「今バーレーンでは、通常ならターン1は3速で進入する。でも今は1速を使わなければならない。エンジン回転を高く保ち、ターボを回し続けるためだ。おそらくこれが最も厄介で、直感に反する部分だ」

    “サイドブレーキ”のような違和感
    なぜこれほど違和感があるのか。理由は減速時の挙動にある。

    低いギアに落とすほど、いわゆるエンジンブレーキ効果が強くなり、ドライバーには“サイドブレーキが引かれた”ような感覚が生じる。そこに強化された電動回生が加わるため、リア側の挙動は極めて繊細になる。

    ブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)はすでに10年以上使用されてきたが、今回は電動成分の比率がさらに増大。リアブレーキディスクも小型化され、より多くの減速エネルギーが電動回生へと振り分けられている。

    その結果、ブレーキングは一定ではなく、ピークから徐々にリリースしていく多段階的な挙動になる。エンジンブレーキ、回生量、ブレーキバランスを総合的に制御しなければならず、マシンバランスは極めてデリケートだ。

    バルセロナ、サクヒールの両テストでロックアップが多発したのも、この調整がまだ最適化途上にあるためである。

    フォーミュラ1カー

    コーナー出口での“副作用”
    1速で進入するということは、出口で強大なトルクを抱えることも意味する。エンジンは高回転域を維持し、そこに電動パワーが重なるため、特に低グリップ時にはリアタイヤへの負担が大きい。

    そのため、ドライバーは従来とは異なるライン取りやアクセルワークを強いられる。特にタイヤが摩耗した状態では、リアが動きやすく、過熱リスクも増大する。

    ラッセルは日常の例えで説明した。

    「スーパーに向かう途中、ロータリーを3速で入ろうとする。でも隣の人が突然“1速に入れて”と言うようなものだ。突然エンジン回転が跳ね上がる。普通の速度で走っていて、ロータリーを1速で入ることはない」

    「理論上は3速のほうがコーナーは速い。でもそうするとストレートで大きく失う。今はその全体バランスを学んでいる段階だ」

    “必要だが不快な犠牲”
    2026年F1は、単純なラップタイム最適化ではなく、周回全体でのエネルギー収支最適化が勝負を分ける時代に入った。

    1速多用は直感に反する。コーナリング単体では非効率であり、ドライバーの感覚にも合わない。しかしストレートでの失速を防ぐためには不可欠である。

    それはまさに“飲み込みづらい犠牲”だが、現在のレギュレーション下では避けて通れない選択なのである。

  • 2026年F1燃料問題 フェラーリ陣営とアウディのみホモロゲーション取得

    2026年F1燃料問題 フェラーリ陣営とアウディのみホモロゲーション取得

    2026年F1開幕戦メルボルンが目前に迫るなか、パワーユニットを巡る議論と並行してもうひとつの重要テーマが浮上している。それが新レギュレーション下で義務化された「非化石燃料」のホモロゲーション問題だ。

    圧縮比(メルセデスPU)やスタート時の安全性を巡る議題がF1コミッションで議論される一方で、燃料供給の認証状況にも注目が集まっている。

    2026年から各サプライヤーは、天然由来成分によるバイオ燃料、もしくは合成由来のeフューエルのみを使用しなければならない。単に成分を変更するだけでなく、生産工程や流通管理の全体プロセスが刷新され、汚染を防ぐため新しいドラム缶の使用も求められている。

    この新燃料の認証プロセスを担当しているのは英国企業ゼモであり、FIAの委託を受けて製造工程全体を監視し、規定基準への適合を証明する役割を担っている。初年度の認証作業ということもあり、時間を要しているのが実情で、一部サプライヤーでは最終製品のホモロゲーションに遅れが生じている。

    ただし、メルボルンのグリッドに並べないチームが出る可能性は想定されていない。規則上、認証が間に合わない場合には「暫定燃料」での出走が認められている。

    その詳細は明らかにされておらず、性能面での不利がどの程度かは不透明だ。ホモロゲーションは部分承認という形も可能で、特定成分の最終確認を待ちながら、100%完全ではない合成燃料で参戦するケースもあり得る。理想的な状況ではないが、最終承認までにはまだ7~10日の猶予が残されている。

    燃料 F1

    承認済みはフェラーリ陣営とアウディ陣営のみ
    現時点で正式なホモロゲーションを取得しているのは、シェルとBPの2社のみだ。

    シェルはフェラーリの燃料パートナーであり、フェラーリ、ハースF1チーム、キャデラックF1チームが同社の供給を受ける。フェラーリSF-26はバーレーン初週テストの木曜・金曜に、すでに新しいシェル製バイオ燃料で走行を行っている。

    注目すべきは、フェラーリ陣営だけがバイオ燃料を選択している点だ。他のパワーユニットメーカーおよび燃料サプライヤーは、すべて合成燃料(eフューエル)を選択している。

    一方、BPはアウディ陣営の燃料パートナーであり、こちらも認証取得済みとされる。

    開幕直前のタイミングで浮上した燃料ホモロゲーション問題は、2026年F1の新時代が単なる技術刷新にとどまらず、エネルギー供給の根幹にまで及んでいることを示している。残るサプライヤーが開幕までに最終承認を得られるかどうかも、見逃せない焦点となりそうだ。

  • フェルナンド・アロンソ 2026年F1マシンを語る「高速コーナーは50km/h遅い」

    フェルナンド・アロンソ 2026年F1マシンを語る「高速コーナーは50km/h遅い」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、2026年F1プレシーズンテストが行われているバーレーンで、新レギュレーション下のマシン特性について言及した。シャシーおよびパワーユニットの大幅変更により電動比率が高まり、ドライビングはこれまで以上にエネルギー管理が支配的になっていると説明した。

    とりわけ高速コーナーでは、かつてのように限界まで攻めるのではなく、次のストレートに向けてエネルギーを温存する走りが求められているという。

    アロンソはバーレーン・インターナショナル・サーキットのターン12を例に挙げ、その変化を具体的に語った。

    「ここバーレーンのターン12は歴史的にとても要求の厳しいコーナーだった。だからターン12を全開で通過できるようにダウンフォースレベルを選んでいた。新品タイヤで全開にできるところまでダウンフォースを削り、レースでも同じことを狙った。1周を速く走るうえで決定的だったのはドライバーのスキルだった」

    「今はターン12を約50km/h遅く走っている。そこでエネルギーを無駄にしたくないし、すべてをストレートに残しておきたいからだ。以前は260km/hだったのが、今は200km/hで走る。あの速度なら誰でも運転できる。チームのシェフだってターン12をあのスピードで走れる。でもエネルギーを浪費したくない。次のストレートのために温存する必要がある」

    この発言は、マックス・フェルスタッペンが2026年型マシンを「ステロイドを打ったフォーミュラE」と表現したことを受けてのものだった。アロンソはその見解を完全には否定しなかった。

    「マックスのコメントは理解できる。ドライバーの視点からすれば、コーナーで5km/h速く走って違いを作りたい。しかし今は次のストレートでどれだけエネルギーを持っているかに左右される」

    「それでもこれはF1だ。常にそうだった。今はエネルギーがテーマだが、2年前に彼がすべてのレースに勝っていたときはダウンフォースだった。彼はコーナーを280km/hで走れたが、僕たちは250km/hしか出せなかった。ダウンフォースがなかったからだ」

    フェルナンド・アロンソ F1

    さらにアロンソは、ドライビングそのものの純粋な感覚という点では、1990年代後半から2000年代初頭の時代が忘れられないと語った。

    「純粋なドライビングという意味では、90年代後半から2000年代初頭は超えられないと思う。コーナーを速く走り、マシンの限界を見つけることがすべてだった」

    一方で、どのレギュレーションであっても競争の本質は変わらないとも強調する。

    「結局のところ、これはF1だ。バイザーを下ろしてコースに出れば、同じモータースポーツだ。ここバーレーンのレンタルカートでも十分に楽しめる。我々は今もモータースポーツを愛しているし、競争を愛している。レギュレーションによってドライビングスキルの影響が少し減っているのは理解しているが、3、4戦すればより明確な答えが出るだろう」

    2026年F1はアクティブエアロと高い電動比率を特徴とし、コーナリング速度そのものよりも、エネルギー配分と展開タイミングがラップタイムを左右する時代へと移行している。高速コーナーを“あえて遅く走る”という現象は、その象徴と言える。

  • 2026年F1マシンではギアボックスが再び重要化 新PUで変わるギア比戦略

    2026年F1マシンではギアボックスが再び重要化 新PUで変わるギア比戦略

    2026年F1レギュレーションのもとでは、これまで差別化要素ではないと見なされてきたギアボックスが、再びパフォーマンスの核心に浮上している。新世代パワーユニットの特性が、トランスミッション設計に新たな役割を与えたからだ。

    昨年まではコストが高い一方で性能差を生みにくいコンポーネントとされ、共通ギアの導入案まで議論された。しかしその案は採用されなかった。結果として、その判断は正しかったと言える状況になりつつある。

    バーレーンテストでは、パドック内で再びギアボックスが話題となった。初回テストをトップタイムで終えたメルセデスは、構造補強の必要性に直面しているとの情報もある。新PUの特性が、トランスミッションにこれまで以上の負荷を与えているためだ。

    アンドレア・キミ・アントネッリは、その変化を率直に語っている。

    「ダウンシフトにとても集中した。ターボの押し出し方が違うから、全チームがギア比を変更していると思う。重要なのは、ターボを何とか回し続けてレスポンス遅れを減らすことだ。ショートギアを使うのは大きな助けになるが、最適化が必要だ。でも、今は良い方向にあると思う」

    ターボを回し続けるためのギア比選択が、新たなテーマになっている。ただし、それだけが焦点ではない。

    マックス・フェルスタッペンはレッドブルRB22で、通常はスタート時以外ほとんど使われない1速を積極的に活用した。より高回転を維持し、燃料を使いながらバッテリー充電を促進する戦略だ。

    2026年F1ではバッテリー容量が1周フル電動走行を賄うには不足している。回生ブレーキだけでは十分な電力を確保できず、長いストレートでリフト・アンド・コーストを強いられるリスクがある。そこで一部区間を低いギアで走行し、エンジン回転数を高めてエネルギー回収を補うアプローチが取られている。

    フォーミュラ1カー

    ギア比選択が戦略そのものを左右する時代へ
    特定状況で1段低いギアを使う運用は、従来とは異なるギア比配列を求める。ターボを効率よく機能させることと、低速域での充電効率向上という二つの課題を同時に満たさなければならないからだ。

    さらに、振動や負荷増大によりギア自体の強度向上が不可欠となる。冷却性能の最適化も信頼性確保の鍵になる。8速ギアボックス全体の設計思想が再定義されつつある。

    チームごとの選択も分かれている。レッドブルは長めの1速を採用。一方フェラーリとマクラーレンは短めの1速を選択している。スタート性能を重視するフェラーリは、初速加速を優先し、2速以降でMGU-Kを活用しながらトルクを解放する構えだ。

    第2回バーレーンテストは、シーズン前半を通じて固定されるギア比配列を最終承認する重要な場となる。コスト削減のために設けられた制約が、2026年F1ではパフォーマンスに直結する可能性がある。

    新時代のF1では、もはやギアボックスは裏方ではない。エネルギーマネジメントとターボ特性が支配するレギュレーションの中で、トランスミッションは再び勝敗を左右する存在へと回帰している。

  • 2026年F1タイヤ新課題 アクティブエアロが生む急激ダウンフォースの衝撃

    2026年F1タイヤ新課題 アクティブエアロが生む急激ダウンフォースの衝撃

    2026年F1シーズンに導入されたアクティブエアロダイナミクスは、マシンの空力哲学だけでなく、タイヤ設計にも大きな影響を及ぼしている。

    バーレーンでのプレシーズンテストでは、ストレートエンドでウイングがストレートモードからコーナーモードへ切り替わる瞬間、フロントおよびリアアクスルに急激な荷重スパイクが発生している様子が確認された。ピレリは、この“動的かつピーキーな荷重変化”に対応する構造を事前に設計する必要があった。

    ストレートモードがもたらした新たなタイヤ荷重
    2026年F1では、ストレート走行時にフロントウイングとリアウイングをフラット化する「ストレートモード」が導入された。これによりドラッグとダウンフォースが減少し、最高速が向上する。一方でコーナー進入時にはウイングが立ち上がり「コーナーモード」に復帰、瞬時にダウンフォースが回復する。

    この切り替えにより、タイヤへかかる荷重はもはや直線的ではなく、急激なピークを伴う動的負荷へと変化した。

    2026年型タイヤは18インチ径を維持しつつ、フロントで25mm、リアで30mm幅が縮小され、軽量化されている。だが内部構造は、新パワーユニットの電動出力増加による高トルクや、アクティブエアロによる縦方向荷重変動を織り込んだ設計となっている。

    2025年12月15日にホモロゲーションされたこれらのタイヤは、実車完成前のシミュレーションおよびミュールカーでの試験に基づいて開発された。実走行データが揃い始めた現在、その設計思想が初めて検証段階に入っている。

    マリオ・イゾラが語る荷重ピークの実態
    マリオ・イゾラはバーレーンで次のように述べた。

    「現時点では我々はかなり想定通りだ。ただし、チームはまだ限界までプッシュしていないと思う。次のセッションではさらに荷重が増えると予想している」

    「昨年はストレート終端が最大荷重ポイントだった。我々はそこで荷重やキャンバー、最大ストレスを多く監視していた」

    「今はストレートでタイヤを強く地面に押し付けるわけではない。速度は高いが、荷重は少ない」

    しかし問題は、ストレートモードを閉じた瞬間の急激な荷重増加だ。

    「ストレートモードを閉じると、マシンの荷重ははるかに高くなる。その瞬間にピークがあり、その追加荷重がコーナーにかかる」

    この“縦方向ショック”は、ドライバーがブレーキを踏む瞬間やスロットルオフのタイミングと重なれば、ロックアップやピッチング挙動に影響を及ぼす可能性もある。

    タイヤ F1

    アクティブエアロ故障時のリスク
    さらなる未知数は、アクティブエアロのシステムトラブルである。

    仮にマシンがコーナーモードのまま固定された場合、常時最大ダウンフォース状態でストレートを走行することになる。サウジアラビア、バクー、ラスベガスのようなロングストレートでは、想定以上の時間と速度でタイヤに高荷重が加わる。

    イゾラはこう説明する。

    「システムが閉じたまま、あるいは部分的に開いたままという状況も考慮しなければならない」

    「我々はシステムが正常に作動する場合と、作動しない場合の両方を前提に設計している」

    「もしシステムが機能しない場合、追加荷重を考慮しなければならない」

    現行規定では、スリックタイヤ使用時でもストレートモードの使用は義務ではない。しかし実際には使用しなければ床を路面に接触させるリスクがあるため、常時閉鎖走行は現実的ではない。

    ブラック&オレンジフラッグ(メカニカルトラブル警告)の対象になるかとの問いには、イゾラは慎重な姿勢を示した。

    「その議論はこれまでしていない。正直なところ分からない」

    「システムは99%の時間は正常に機能すると考えている。ただ、もし開幕数戦で問題が多発すれば、議論が必要になるだろう」

    2026年F1は“空力だけでなくタイヤも未知数”
    アクティブエアロはラップタイム向上の鍵である一方、タイヤにはこれまでにない急激な荷重変動をもたらす。

    チームがシーズンを通じてダウンフォースを増加させていけば、ピーク荷重はさらに高まる可能性がある。ピレリはパフォーマンスとデグラデーションのバランスを維持しつつ、戦略の多様性を保つための“適正な処方”を模索している段階だ。

    2026年F1は、空力レギュレーションの転換だけでなく、タイヤの耐荷重設計という側面でも新たな実験場となっている。バーレーンで見えた激しい荷重スパイクは、その序章に過ぎない。

  • フェルスタッペン 2026年F1マシンに皮肉「直線の途中でブレーキが必要かも」

    フェルスタッペン 2026年F1マシンに皮肉「直線の途中でブレーキが必要かも」

    2026年F1シーズンから導入された新パワーユニットにより、エネルギーマネジメントがこれまで以上に重要なテーマとなっている。電動出力の比率が拡大したことで、予選であっても全開走行が最速とは限らない状況が生まれている。

    こうした状況を受け、レッドブルのマックス・フェルスタッペンはバーレーンで、2026年型マシンの特性について強い懸念を示した。

    「直線ではエネルギー効率がとても悪い」とフェルスタッペンは木曜日に語った。

    「このサーキットではまだ対処可能だ。でも、いくつかのサーキットでは本当に大惨事になるだろう」

    「メルボルンやモンツァだ。メキシコは違う。空気が薄くて強いブレーキングがあるからだ。でもあそこにも長い直線がある。スパも厳しい。かなり多い」

    さらにフェルスタッペンは、ラスベガスのストリップ区間にも言及した。かつてはほぼ2キロにわたり全開で駆け抜けていた区間だ。

    「ラスベガスもそうかもしれない。あの長い直線だ」と述べた。

    「エネルギーがなくなって、直線の途中でブレーキを踏まないといけなくなるかもしれない。今は笑っているけど、本当に意味がない」

    マックス・フェルスタッペン

    2026年型マシンでは、エネルギーを回収するためにブレーキング前にアクセルを抜く“リフト・アンド・コースト”が必要となる場面が増えている。ルイス・ハミルトンはバルセロナで約600メートルものリフト・アンド・コーストが必要だったと指摘している。また、直線中にギアを落として回生を行う戦術も検討されている。

    フェルスタッペンは、この問題についてF1やFIAと議論したか問われると、次のように答えた。

    「彼らは、これがどれほど深刻になるかを完全には理解していなかったのかもしれない。でも、様子を見よう」

    「言ったように、このサーキットではまだ対処できる。メルボルンに行けば、直線でどれだけアクセルを戻さなければならないか、本当に分かるはずだ」

    多くのドライバーが新レギュレーション下でのエネルギーマネジメントに懸念を示している。セルジオ・ペレスは「理想的ではない」と評し、リアム・ローソンは新車がどれほど楽しいかと問われ言葉を失った。一方でランド・ノリスは「良くて楽しいチャレンジだ」と前向きに受け止めている。

    2026年F1は、技術革新と引き換えに新たな議論を呼び起こしている。直線でブレーキを踏むという極端な状況が現実となるのか、それとも各チームが最適解を見出すのか。開幕戦オーストラリアGPで、その実態が明らかになる。