カテゴリー: F1マシン

  • FIA会長 「他のF1マシンをコピーすることは何十年も前からの慣習」

    FIA会長 「他のF1マシンをコピーすることは何十年も前からの慣習」

    FIA会長のジャン・トッドは、F1には“他チームのマシンをコピーする”という慣習は“何十年”も存在してきたことだと語る。

    ジャン・トッドの発言は、レーシング・ポイントのいわゆる“ピンクメルセデス”を取り巻く論争を指してのこと。ルノーF1は、レーシング・ポイントのF1マシンを正式に抗議しており、他のいくつかのチームは非公式にその抗議を支持している。

    F1の競技担当マネージングディレクターのロス・ブラウンは「パドックにまったくコピーをしていないチームなどいない」と語った。

    レーシング・ポイントの2020年F1マシンは、昨年タイトルを獲得したメルセデスW10に酷似しているが、チームは詳細な写真からマシンを設計したと主張。レギュレーションの限界を押し上げた。

    「他チームをコピーすることは何十年も前から存在していることだ」とFIA会長のジャン・トッド会長は L’Equipe に語った。

    「すべてのチームはデザインに関してそれを考慮に入れている。私はエイドリアン・ニューイがいつもグリッド上でフェラーリを見に来ていたのを覚えている」と元フェラーリのF1チーム代表だったジャン・トッドは語った。

    現在、ルノーF1は、第2戦シュタイアーマルクGPと第3戦ハンガリーGPの両方のレース後に、レーシング・ポイントのブレーキダクトの設計を抗議している。

    「チームが抗議を行うのはごく普通のことだ」とジャン・トッドは語る。

    「レッドブルもDASシステムの合法性を検証するためにメルボルンでも同じことをした。もちろん、レース後ではなく、週末の初めに抗議する方が常に良い。だが、疑いがある場合は常に抗議する必要がある。レギュレーションの解釈の問題だ」

    「うまく解釈したチームが最も利益を得るものだが、限界がどこにあるかを知ることは非常に重要だ」

    関連:ロス・ブラウン 「F1では他のマシンをコピーすることはスタンダード」

  • アルファタウリF1 「完全なマシンを購入した方がいいことが示された」

    アルファタウリF1 「完全なマシンを購入した方がいいことが示された」

    アルファタウリ・ホンダF1のチーム代表フランツ・トストは、レーシング・ポイントの“ピンクメルセデス”は完全なマシンを購入することが優れた選択肢であることを示したと語る。

    2019年のメルセデスに酷似したレーシング・ポイントの新車RP20はプレシーズンテストから物議を醸しており、ルノーF1は満を持して第2戦F1シュタイアーマルクGPでその合法性について正式に抗議。評決はまだ出されていない。

    長年にわたってミッドフィールドを戦ってきたレーシング・ポイントは、今シーズンで最も大きな飛躍を遂げており、表彰台争いに食い込むパフォーマンスを発揮している。

    アルファタウリ・ホンダF1のチーム代表を務めるフランツ・トストは、レーシング・ポイントが正しい選択をしたと主張する。

    「レーシング・ポイントのようなチームは完全なマシンを購入した方が良いかもしれないことを示している」とフランツ・トストは Servus TV に語り、ファクトリーで優れたマテリアルを開発する場合と比較して、時間、労力、お金、エネルギーを大幅に節約できると説明する。

    今年のレーシング・ポイントではイノベーションを実際に見ることができないが、その一方で実際には革新的なプラットフォームだ。F1では、トップに到達できないことが事前にわかっている場合、そこに時間、労力、およびお金を投資することはほとんど意味をなさない。そのため、現時点ではマシンを購入する方が興味深い。

    「それは開発を見たい純粋主義者向けではない。だが、すべてのチームが独自の研究開発部門を持つことはもはや適切ではない」

    レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、レーシング・ポイントF1の“ピンクメルセデス”がFIAから合法だと宣言された場合、姉妹チームであるアルファタウリで同じことをするつもりだと語っている。

    「FIAの決定後、ようやく明確になることを期待している」とヘルムート・マルコは Sport1 に語った。

    「レーシングポイントが合法であれば、アルファタウリでも同じことを行う。そうなれば、来年グリッドには少なくとも4台のメルセデス、4位だのレッドブルにならぶだろうし、フェラーリはおそらく6台に増えるだろう」

    ヘルムート・マルコは、アルファタウリの以前のアイデンティティであるトロロッソは、以前のカスタマーカー時代のおかげで2008年にセバスチャン・ベッテルがF1イタリアGPで勝利を収めることができたと語った。

    F1はその後すぐにカスタマーカーを禁止としたが、ヘルムート・マルコはレーシング・ポイントの抗議の結果次第では「競争力を高めながら2つ目のチームのお金を節約できる」と語る。

    「レーシングポイントモデルでね。あらゆる角度からマシンの写真を撮り、パーツを再現する。許可されるものと許可されないものを定義するだけで、その努力を省くことができると考えている」

    その一方でフランツ・トストは、新しいレギュレーションが2022年に変化をもたらすことを期待していると語る。

    「メルセデス、フェラーリ、さらにはレッドブル。レーシングに対抗するチャンスはない。それらのチームは非常に優れた構造を持っているので、他は常に後ろにいる。新しい規制が2022年以降にギャップを縮めてくれることを願っている」

    フランツ・トストによれば、ルイス・ハミルトンがF1ハンガリーGPでファステストラップを狙って追加のピットストップを行ったことはF1にとって最も面白みのないことだと語る。

    「F1はエンターテインメントであり、人々は決闘を見たい。人々はハミルトンが終了直前に追加のピットストップを行うことなど望んでいない。彼はすでにはるかに先にいたのだからね」

    アルファタウリAT01=レッドブルRB15
    不思議なことに、ピンクメルセデスが議論されるとき、今年のアルファタウリのマシンが昨年のレッドブルRB15であるという事実についてはなぜか触れられることはない。そもそも“ホワイト・レッドブル”ではないのか?

  • F1:2021年にBチームが“トークンフリー”でアップデートできる抜け穴

    F1:2021年にBチームが“トークンフリー”でアップデートできる抜け穴

    新型コロナウイルス危機への対策として、F1は2021年も今季型のシャシーが使用され、2つのトークンを使用する以外のマシン開発が凍結されるが、“Bチーム”にはトークンを使用せずにマシンをアップデートすることが可能となる。

    本質的にトークンシステムの導入は、現行マシンで抱えている特定の問題に対処することが目的とされており、そうでなければ、2021年も現在のマシンがそのまま使用されることになる。

    F1チームは、トークンをどのように使用するかを今週水曜日にFIA(国際自動車連盟)に通知する必要があり、その後、アップグレード計画の詳細を提出しなければならない。

    カスタマーは、供給元チームがトークンを展開してアップグレードしたパーツを使用する場合にはトークンを1つ破棄する必要がある。

    ただし、現在、2019年仕様のパーツを使用しているカスタマーチームは、トークンを使用しなくても、パートナーチームが使用していた2020年仕様にアップグレードすることができる。

    最近改訂された2021年のFIA技術規制では、2019年のパーツを現在使用しているチームは「2021年に2020年仕様にアップグレードすることを望む場合、この変更はトークンを使用せずに許容できる」と記されている。

    現在、レーシング・ポイントは2019年仕様のメルセデス製ギアボックスを使用しており、2021年のアストンマーティンのF1マシンには、トークンを使用せずに当初の計画通り、メルセデスの2020年仕様のギアボックスを使用することができる。

    同様にサスペンション、油圧、ステアリング、ブレーキシステムなどの他の重要なコンポーネントも2020年仕様にアップグレードしつつ、2021F1マシンの別のエリアで2つのトークンを使用できる。

    2020年のメルセデスですでに使用されているテクノロジーをレーシング・ポイントが取得することになるが、この変更は、2021年にアストンマーティンF1がパフォーマンス面でステップアップする可能性がある。

    アルファタウリも同様の立場にあり、2019年のレッドブル製ギアボックスやその他のコンポーネントを、現在レッドブルが使用している2020年仕様ものにトークンを使用せずに交換することができる。

    ただし、フェラーリのカスタマーであるハースとアルファロメオは、本質的に2020年のパーツ、もしくはフェラーリが提供する設計をすでに使用しているため、レーシング・ポイントやアルファタウリのような大幅な“フリー”アップグレードを行う機会はない。

    フェラーリのF1チーム代表であるマッティア・ビノットは、トークンシステムでは開発が非常に限られているなかで、いくつかのチームはそれらを使用せずにアップグレードできることに不満を抱いていることを認めた。

    「トークンシステムは、全体の凍結に先んじて導入された」とマッティア・ビノットは語る。

    「少なくとも2つのトークンを持つことが重要だったと思う。システムが全体的なものであることは明らかだ。つまり、新型コロナウイルス後の現在の状況全体の妥協だ」

    「だが、完全に満足することはできない。なぜなら、我々がフェラーリとしてどの位置にいるかを見れば、我々の意図は完全な開発をすることだったからね。しかし、我々はそのポイントを理解している。そして、我々がよく言っているように、それはこの時期に行われたシーズンの妥協の一部だと思っている」

    「私は、フェラーリとして現状を知った上で、F1全体と他チームに対する責任の行為としてそれを評価してきたと思う。それが我々が手に入れたものだ。我々はトークンを選びました。

    「だが、来年にむけて唯一まだ議論の余地があるポイントがあると思っている。最終的にはパッケージ全体を2019年から2020年のパッケージにアップグレードできるチームがいることを完全に不満に思っている」

    「2つのトークンを使用するシーズンは誰にとっても同様であるため、不公平だと思う。トークンは2つしかなく、誰もがそのトークンに限定する必要がある」

    ルノーのエグゼクティブディレクターであるマルチン・ブコウスキーは、原則としてトークンシステムをサポートしているが、抜け穴についてはマッティア・ビノットに同意する。

    「このような状況で継続できるようにすることは必要悪であり、それが来年の凍結という決定の一部となった」とマルチン・ブコウスキーは語る。

    「なので、我々はシステムに満足している。それらをどこで使うのが最善かをまだ検討している。まだ数日あるし、いくつかの機会を選択する必要がある」

    「しかし、残念ながら、システムにはいくつかの欠陥があるというマティアの見解もサポートする。いくつかのチームがシステムから利益を得ることができる抜け穴があり、これはFIAや他チームと話し合っていることだが、対処されることを願っている」

  • ピンク・メルセデス論争:FIA 「メルセデスF1に“共犯”の兆候はない」

    ピンク・メルセデス論争:FIA 「メルセデスF1に“共犯”の兆候はない」

    FIA(国際自動車連盟)は、メルセデス1チームが“リステッドパーツ”に関する情報をレーシン・グポイントに違法に提供した場合は“共犯”として有罪になるが、今のところそのような兆候はないと語る。

    ルノーF1は、レーシング・ポイントの2020年F1マシン『RP20』の合法性を抗議。2019年にはリストに掲載がなかったが、2020年から掲載されているブレーキダクトに焦点を当てて抗議している。

    つまり、2019年にメルセデスがブレーキダクトの設計に関するデータを提供し、レーシング・ポイントがそれを受け取っていたとしても違法とはならない。

    事実上、この件はレーシング・ポイントの2020年マシンに搭載されているブレーキダクトに使用されている情報が規約に違反しているかどうかが焦点となる。

    「この特定のケースでは、何が起こったのかについて大きな議論があるとは思わない」とFIAのシングルシーター技術問題の責任者を務めるニコラス・トンバジスは語った。

    「起こったことが規制違反であるかどうかについての議論になると思っている。我々は探偵になる必要はないと思っている。探偵ではなく、哲学者や弁護士になる必要があると思う」

    メルセデスの有罪の可能性に関して、ニコラス・トンバジスは、メルセデスがどのタイミングでリステッドパーツに関する情報を移転したかだけが問題となると語る。

    「私はそれを少し差別化する必要があると思う。IPの移転が昨年も掲載されていたリステッドコンポーネントで行われた場合、例えば、メルセデスがレーシング・ポイントに掲載されていたフロントウィングのデザインを与えたとしたら、規制で容認できると主張することはできない」

    「その場合、メルセデスはその特定の例では共犯として非常に強く関与していることになる。明確にしておくと、そのような兆候はない。渡されたとしても、その情報は2019年にリストに掲載されていないコンポーネントとして渡されたとう」

    「私はメルセデスがそのことに関与しているとは思わない。現時点での議論は、2019年にレーシング・ポイントにそのようなコンポーネントが実際にあったかどうかではなく、これらのコンポーネントがカテゴリステータスを“リステッドパーツ”に変更したときに発生する。

    「それが問題の核心だと思う。レーシング・ポイントがその情報をどのように処理したかを精査中だ。それらの情報がもともと2019年に受信されたかどうかではない」

    「調査でメルセデスが2020年にエアダクトに関する情報を渡したことが判明した場合にはメルセデスが関係していることになるが、そのような兆候はない」

    ニコラス・トンバジスは、F1シュタイアーマルクGP後、FIAがレーシング・ポイントのフロントとリアのブレーキダクトをそれぞれ1つずつ保持していることを確認した。

    「このプロセスでは、前回のグランプリのレーシング・ポイントから8つのコンポーネントを押収した」

    「我々はそれらを検査し、それらがすべて互いに同一、すべてのフロントが互いに同一、すべてのリアが同一であることを確認した」

    「したがって、スチュワードとルノーの承認を得て、そのうち6つをレーシングポイントに戻し、フロントとリアの1つを保持している」

    「我々は、メルセデスに、ルノーがレーシング・ポイントが使用しているものと同様であると言っていた昨年に使用していたコンポーネントを提供するように依頼した」

    「また、詳細な比較を行い、それらが類似している点と類似していない点を確認できるようにレーシング・ポイントとメルセデスの両方にそれらのコンポーネントのCADデータの提出を依頼した」

  • F1比較:メルセデスW10とレーシング・ポイントRP20のブレーキダクト

    F1比較:メルセデスW10とレーシング・ポイントRP20のブレーキダクト

    メルセデスの2019年F1マシン『W10』とレーシング・ポイントの2020年F1マシン『RP20』の他、“Aチーム”と“Bチーム”の各マシンのブレーキダクトの画像を比較してみる。

    レーシング・ポイントF1は、新車RR20の開発において、昨年タイトルを獲得したメルセデス W10の写真を参考に空力コンセプトを“コピー”したことを認めており、“ピンクメルセデス”の合法性には当初から疑惑の目が向けられた。

    ブレーキダクトは、そもそもはブレーキの冷却のためのパーツだが、現代のF1マシンではフロントウイングやバージボードなどと同じように重要な空力パーツのひとつとして考えられている。

    レーシング・ポイントは、RP20の空力コンセプトを変更した理由として、メルセデスからエンジンやギアボックスを購入している都合上、これまでのハイレーキ型のコンセプトには限界があり、メルセデスと同じコンセプトを採用した方が効率的にパフォーマンスを上げられることを挙げている。

    だが、特に“Bチーム”を持たないルノーF1は、レーシング・ポイントのこのメソッドに不満を抱いており、第2戦F1シュタイアーマルクGPのレース後に正式に抗議。第3戦F1ハンガリーGP後に改めて同じ抗議を申請している。

    だが、ルノーF1が抗議したのは、マシン全体ではなく、前後のブレーキダクトだった。前後のブレーキダクトは競技規則のいわゆる“リステッドパーツ”であり、独自に設計が必要な空力コンポーネントに指定されている。

    仮にレーシング・ポイント RP20のブレーキダクトがメルセデスF1から購入、もしくは設計図を受け取っていたとしたら、競技規則の付則16に違反する。

    競技規則の付則6の第2条では
    a) コンストラクターが、フォーミュラ1にて競技参加する限り、フォーミュラ1においてその掲載部品を使用する専有権を保持している。
    c) 設計について外部調達する場合、前述の第三者は競技参加者でないこと、あるいは掲載部品を直接的にも間接的にも一切の競技参加者に対して設計担当をしている関係者でないこと。

    と記されている。

    かつてFIAの職員でパーツの合法性を管理する立場にあったルノーF1のエグゼクティブディレクターを務めるマルチン・ブコウスキーは、ブレーキダクトについて「レーシング・ポイントのブレーキダクトの内部までは設計図がなければ設計できない」と指摘する。

    だが、そこにはひとつの問題がある。ブレーキダクトは2019年には“リステッドパーツ”には該当していなかった。したがって、レーシング・ポイントは、2019年にはメルセデスからブレーキダクトを購入することを許可されていた。そのため、今季マシンの設計はルールに則って設計された可能性がある。

    レーシング・ポイントF1のチーム代表を務めるオトマー・サフナウアーは「ご存知のように、ブレーキダクトは設計と製造に長い時間がかかる。非常に複雑で、ブレーキダクトの図面は886枚ある」と独自の設計を主張し、合法性に自信をみせている。

    以下は“Aチーム”と“Bチーム”のブレーキダクトの画像。基本的にBチームはAチームの1年落ちのパーツを購入している。

    確かに2019年のメルセデスと2020年のレーシング・ポイントの形状は内部の仕切りなど非常に似ているが、逆にシンプルな2019年のフェラーリと2020年のハースの方が同一性が高いように見える。一方、興味深いのがレッドブルとアルファタウリだ。形状自体は異なるものの、内部の構造はかなり異なって見える。

    メルセデス W10 (2019年)
    メルセデス W10 (2019年)

    レーシング・ポイント RP20 (2020年)
    レーシング・ポイント RP20 (2020年)

    フェラーリ SF70H (2019年)
    フェラーリ SF70H (2019年)

    ハース VF-20 (2020年)
    ハース VF-20 (2020年)

    レッドブル RB15 (2019年)
    レッドブル RB15 (2019年)

    アルファタウリ・ホンダ AT01 (2020年)
    アルファタウリ・ホンダ AT01 (2020年)

  • F1、レッドブル・ホンダのリアウイングの巧妙な設計の阻止に動く

    F1、レッドブル・ホンダのリアウイングの巧妙な設計の阻止に動く

    FIA(国際自動車連盟)は、レギュレーションを回避するためにますます巧妙な設計を採用しているF1チーム – おそらくレッドブル・ホンダ – の動きを阻止するためにリアウイングの柔軟性テストの変更を評価している。

    過去数年にわたり、FIAは、F1チームが高速走行中にリアウイングを下げてドラッグを低下させることを防ぐために、リアウイングの静的プルバックテスト(負荷テスト)を実施している。

    現在、FIAは垂直と水平の2つのテストを実施しており、リアウイングが大きく曲がらないことを確認している。

    1つ目のテストでは500Nの荷重が水平方向に加えられ、リアウイングのたわみが水平方向に7mm以下である必要がある。2つ目のテストでは、200Nの荷重が垂直方向に加えられ、リアウイングのたわみが垂直方向に2mm以下であることが条件となっている。

    ただし、F1チームの設計は非常に洗練されており、リアウイングがこれらの両方のテストに合格するのに十分な強度を確保しつつ、フルレーススピードのときにそのスピードによって後方に回転することを可能にしている。

    F1シュタイアーマルクGPのオンボード映像では、一部のマシンのリアウイングが限界を超えて動いているように見えた。明確な例のひとつがレッドブル・ホンダF1のマックス・フェルスタッペンでのリアウイングだった。レース後半のバルテリ・ボッタスのバトル中にリアウイングが動いていることが確認されている。

    だが、これがレッドブル・ホンダF1の意図によるものなのか、もしくはリアウイングが脆弱に作られていたのかは明らかになっていない。レッドブル・ホンダF1は、マックス・フェルスタッペンのマシンのフロントウイングのエンドプレートが損傷し、その破片によってリアウイングがダメージを負っていたことを後に説明している。

    意図が何であれ、リアウイングの屈曲はFIAの監視下にあり、FIAはコース上でのリアウイングの動き方によりうまく適合できるようなテスト形式に変更する方法を見つけたいと語った。

    レッドブル・ホンダF1のリアウイングに疑惑の目が向けられるなかで、テストを変更する動きが出てきたのかと質問されたFIAのシングルシーター責任者のニコラス・トンバジスは「レッドブルや他の競争相手について具体的に話しているわけではないが、我々はリアウィングの柔軟性を調査している」とコメント。

    「遠くない将来に、レギュレーションとたわみテストを強化したいと考えている。だが、我々はそれを合理的かつ慎重に実施したい。焦って間違った判断をしないようにしたいと思っている」

    ニコラス・トンバジスは、F1チームは、ピットでテストした際にリアウイングの設計が完全に合法であることが保証されても、コース上で屈曲させるように巧妙な設計をすることは可能だと語る。

    「空力弾性のためのベストのたわみ規制は、コンポーネントがコース上で見ることができる実際の荷重ケースを最も厳密に模倣するものことだ。言い換えれば、ウイングにかかる力は、通常、下向きと後ろ向きのおよそ40度程度だ」

    「現在、私たちがかけている荷重には、水平方向の引き戻しと垂直方向の荷重があり、トレーリングエッジなどのいくつかより小さな荷重もある」

    「だが、我々はそれがおそらく少し時代遅れになっていると感じており、F1チームは、負荷テストとコース上でかかる荷重が少し異なるという事実を利用し、FIAが荷重をかける場所では最も抵抗力があるが、リアの空力負荷がかかる場所では抵抗を弱めるように設計している可能性がある」

    「我々はその問題に取り組みたいと思っている。5分で済むような仕事ではありませんが、我々の仕事リストに載っている」

  • ルノーF1 「図面がなければブレーキダクト内部までコピーはできない」

    ルノーF1 「図面がなければブレーキダクト内部までコピーはできない」

    ルノーF1は、レーシング・ポイント物議を醸している“ピンクメルセデス”の設計のために絶対にメルセデスから設計図を受け取っているはずだと考えており、あえて内部までコピーできないブレーキダクトを選定したと語る。

    前戦F1シュタイアーマルクGPのレース後、ルノーF1はレーシング・ポイントの『RP20』を正式に抗議。だが、マシン全体ではなく、フロントとリアのブレーキダクトが昨年のメルセデス W10のものだと主張した。

    F1レギュレーションでは、ブレーキダクトはF1チームが独自に設計する必要のある空力パーツとしてリストに掲載されており、他チームのブレーキダクトを購入したり、図面などの技術情報を収受することは禁止されている。

    オーストリアのスチュワードは、ルノーF1の抗議を正当なものと判断し、RP20のブレーキダクトを押収し、メルセデスにはW10の該当パーツを提出するよう求めた。

    現在、この問題はFIA(国際自動車連盟)に委ねられている。

    レーシング・ポイントF1側は、マシンは100%合法だと自信を持っており、メルセデスW10を写真からコピーしたことは認めつつも、設計自体は独自のものだとしており、その根拠もあると主張している。

    しかし、ルノーF1は、レーシング・ポイントのブレーキダクトの内部は設計図がなければ設計できないと確信していると語る。

    「今年、レーシング・ポイントは、図面と部品を受け取り、マシンの製造に使用したと信じている」と元FIAの職員だったルノーF1のエグゼクティブディレクターを務めるマルチン・ブコウスキーは Sky F1 に語った。

    マルチン・ブコウスキーは、FIAでF1チームから問い合わせがあった先進的な研究開発物の合法性など管理する立場にあり、多くの機密情報にアクセスできる権限があった。

    「我々はこれは正しいことではないと信じている。そうでない場合は・・・。FIAが調査するには数週間かかると思っている」

    もちろん大きな問題は、ルノーF1が勝訴し、レーシングポイントが敗北した場合にどうなるかだ。

    レーシング・ポイントF1は、ピンクメルセデスを変更することを余儀なくされるのだろうか?

    マルチン・ブコウスキーは「我々はブレーキダクトに抗議した。それらのブレーキダクトがレギュレーションに違反していると判断された場合、異なるブレーキダクトで競争する必要があるのは確かだ」と語る。

    「彼らはおそらく独自に設計する必要さえあるだろう」

    ただし、FIAがブレーキダクトが違法であると判断した場合は、RP20全体を調査して、レーシング・ポイントを大幅な変更に追い込む可能性がある。

    「FIAがそれらのブレーキダクトが別のチームによって設計されていることを発見した場合、彼らはマシンの残りの部分も調査することになると思っている」とマルチン・ブコウスキーは続ける。

    「ブレーキダクトは、マシンの重要なパフォーマンス差別化要因です。人々は、ブレーキを冷却するための小さなダクトであると考えるかもしれないが、今日、それらは重要な空力パフォーマンス要素だ」

    「それらはタイヤの温度を制御するのを助けることもできるので、現在、フロントウイングやディフューザーがと同じくらい本当にF1の本質的な部分となっている」

    「内部のジオメトリであるブレーキダクトの一部には写真では写せない。したがって、画像の定義でコピーすることは困難だ」

  • ピンクメルセデス問題、F1ハンガリーGPでは裁定は下されず

    ピンクメルセデス問題、F1ハンガリーGPでは裁定は下されず

    レーシング・ポイントのF1マシン“ピンクメルセデス”のブレーキダクトを巡る合法性の問題が今週末のF1ハンガリーGP開催中に解決することはないようだ。

    先週末のF1シュタイアーマルクGPのレース後、ルノーF1はレーシング・ポイントの2020年マシン『RP20』のフロントとリアのブレーキダクトはメルセデスの昨年マシン『W10』のものであり、競技規約に違反しているとして正式に抗議を提出した。

    しかし、スペイン人ジャーナリストのアルベルト・ファブレガによると、8月初旬の次戦F1イギリスGPまで裁定は下されないと報告している。

    Sky Deutschlandは、F1を統括するFIA(国際自動車連盟)が該当するパーツを比較するためにメルセデスからの文書を待っているためだと説明した。

    FIAは、レーシング・ポイントのブレーキダクトを押収し、メルセデスにもW10の情報提供を求めている。

    レーシング・ポイントのドライバーを務めるランス・ストロールは、チームは何も悪いことをしていないと主張している。

    「僕たちのマシンが合法であることを証明するすべての要素を持っている」とランス・ストロールは Le Journal de Montreal に語った。

    「シーズンの早い段階でこのようなことに対応しなければならないのは少し残念なことだけど、アンディ・グリーンとチーム全体がこのマシンの設計と製造に莫大な仕事をしており、誰も僕たちからそれを奪うことはできない」

    今回のブレーキダクトの論点は、ブレーキダクトはリストに掲載されている独自に開発が必要な空力パーツであり、競技参加者から購入もしくは技術情報を入手することはできないとする競技規則の付則6が論点となっている。

    ただし、F1マシンの写真から同様のパーツをコピーすることは全F1チーム間でまかり通っていることであり、違反だと断定するのは困難との見方が強い。

  • レッドブル・ホンダF1、RB16の不安定さは新サスペンションが原因?

    レッドブル・ホンダF1、RB16の不安定さは新サスペンションが原因?

    レッドブル・ホンダF1のマックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンは、先週末のF1オーストリアGPでコース上に留まることに苦戦を強いられた。特に金曜日のフリー走行では、低速コーナーでバランス問題が発生。それはバルセロナでのプレシーズンテストでも指摘されていた問題だが、F1ジャーナリストのマーク・ヒューズは、RB16の“ハイレーキ”コンセプトと革新的なフロントサスペンションの組み合わせに問題がある可能性があると指摘する。

    F1オーストリアGPでは、2つのバージョンのマシンが使用され、マックス・フェルスタッペンがアップデート版、アレックス・アルボンが標準版に乗った。だが、2台ともマシンバランスに苦戦を強いられていた。

    レッドブル・リンクの難題のひとつは、要求の多いコーナーの組み合わせ。低速/高ステアリングロックのコーナーと、ミドルセクターの高速/低ステアリングロックがほぼ同じ数ある。両タイプのコーナーで良好なバランスを達成するには、例えば、低速・高速の両方で操縦特性を一定にするといったマシンの空力マッピングを必要となる

    金曜日のフリー走行で、レッドブル・ホンダ RB16は、低速コーナーでオーバーステアリング問題に苦しみ、両ドライバーともスピンを喫した。土曜日にむけてセットアップを変更し、マシンバランスは改善されたように見えたが、現在の開発状況におけるマシンの基本的限界が低速コーナーでの挙動に表れているようだった。

    F1マシンは、高速コーナーでマシンを安定化させるためにフロントとリアの空力バランスが必要となり、低速コーナーではアンダーステア特性が出やすい。

    レッドブル・ホンダF1は、高速コーナーでは好調だったが、低速コーナーではオーバーステアのように見えた。レッドブルのような“ハイレーキ”コンセプトのマシンは、低速コーナーではボディ下の気流がリアに付着したままになるので車高が高くなってしまう。

    低速では、空力負荷がリアを押し下げて空気が押し出され、突然ディフューザーと地面との隙間が大きくなりすぎて、強力な空気圧を維持できずにリアの車高が高くなる。リアの車高が高くなった場合、フロントの車高が低くなるよりも車高自体が高くなる。

    高速ではリアはフロントよりも下に押し下げられ、傾斜角が小さくなるので、リアエンドのグリップが高って安定性が高まる。一方、低速でリアグリップの低下が大きいことも、通常は改善につながってそこそこのバランスになる。

    これまでレッドブルF1は、グリップ不足を非常に段階的に吸収してきた。しかし、今季マシン『RB16』は突然グリップを失っているように思える。マーク・ヒューズは、それがユニークな形状のフロントサスペンションによって引き起こされている可能性があると語る。

    F1マシンのフロントサスペンションは、フルステアリングアングルでわずかにマシンを押し下げるように設計されている。これにより、低速コーナーでフロントにより多くの下向きの圧力を精選できる。

    だが、レッドブル・ホンダ RB16が採用したユニークなフロントサスペンションは、それが効果的すぎるため、フロントのグリップが突然大きくなり、リアのグリップが小さくなっているとマーク・ヒューズは分析した。
    レッドブル・ホンダ RB16 新型ノーズ
    開幕戦でマックス・フェルスタッペンが使用した開発ノーズは、翼状支柱がアルボンが使用したオリジナル仕様のようにノーズ側面ではなく、ノーズ下に取りつけられるような形になっていた。支柱自体は新ノーズと一直線に並んでいるが、オリジナル仕様では内側を向いているので、気流をアンダーボディに導く経路が調整されている。

    両者を比較しても結論は出ず、両マシンとも基本的な低速コーナーでのバランスが悪かった。クリスチャン・ホーナーは「直接的なパフォーマンスよりも仕様の違いの方が特徴がある。だから、両ドライバーとも来週末は同じ仕様になる。現時点では、アレックスの仕様とマックスの仕様のどちらを使うかわからない。それに関するデータを集中的に調べる必要がある」と述べた。

    チームのために、そしてより競争の激しいレースのために、シーズン開幕が遅れたために、トラック上ではなくシミュレーションによってアップグレードの効果を判断したために起きた単なる初期問題であることが願うしかない。

  • F1マシン:2019年 vs 2020年 予選タイム比較 / F1オーストリアGP

    F1マシン:2019年 vs 2020年 予選タイム比較 / F1オーストリアGP

    2020年のF1世界選手権の初戦となるF1オーストリアGPの予選が終了。各チームが昨年マシンからどれくらいの進歩を果たしているかが垣間見えてきた。

    昨年、フロントウイング周りを始めとするレギュレーション変更が導入され、パッケージ全体の空力の考え方が変化した。ほぼ同じレギュレーションでの2年目となる今季はF1チームの理解度が増したことで、さらなるタイムアップが期待された。

    しかし、予選タイムを見ると、全チームがタイムアップを果たせたわけではない。レッドブル・ホンダF1に関しては昨年と比較して0.038秒遅いタイムとなっている。だが、レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコによると、セットアップを機能させることができなかったとし、本来ならばあと0.2~0.3秒アップは果たせていたと語っている。

    また、フェラーリF1エンジン勢は全チームがタイムダウン。アルファロメオに関しては1.119秒も遅くなっている。昨年はQ3まで進出したのに対し、今年はQ1敗退とセグメントの違いはあるものの、総じて遅くなっているのは昨年不正行為が疑われたフェラーリのF1エンジンに問題があることが示唆される。

    一方、急激にスピードを上げているのがレーシング・ポイントF1だ。昨年のタイトル獲得マシンであるメルセデス W10の空力コンセプトをコピーし、“ピンクメルセデス”と称されているRP20は0.921秒のタイムアップを達成。セルジオ・ペレスはレッドブル・ホンダF1のアレクサンダー・アルボンと同タイムをマークした。

    また、テールエンダーだったウィリアムズも0.737秒のタイムアップを達成。ジョージ・ラッセルがアルファロメオの2台を上回り、ハースF1にも肉薄してQ2進出まで0.073秒差に迫った。

    ルノー、マクラーレン、アルファタウリ、そして、王者メルセデスは0.3~0.5秒のタイムアップを実現している。

    今年はレッドブル・リンクで2週連続での開催となっており、第1週のデータを踏まえて、第2週でこのタイムがどれくらい変わるかも注目だ。

    F1マシン レッドブル・リンク 予選タイム比較