カテゴリー: F1マシン

  • F1、ベルギーGPからF1エンジンの“予選モード”を禁止へ

    F1、ベルギーGPからF1エンジンの“予選モード”を禁止へ

    メルセデスF1によって開拓された予選でF1エンジンをハイパフォーマンスに設定する“予選モード”は、2020年のF1世界選手権 第7戦 ベルギーGPから禁止するとされている。

    FIA(国際自動車連盟)は、予選で使用される特別なエンジンモードに新しい制限を課すことを望んでいることをF1チームに通知した。

    メルセデスF1は、V6ハイブリッド時代に予選で“パーティーモード”と称するハイパフォーマンスモードを導入した最初のチームであり、他のエンジンメーカーに予選とレースの重要な瞬間にマシンからより多くのパフォーマンスを引き出すセッティングを開発するよう促した。

    だが、予選モードはパワーユニットに負荷を与えるため、信頼性という観点でレース距離全体で常に使用することはできない。

    「僕たちがずっとフルパワーで走らない唯一の理由は信頼性だ」とハースのF1ドライバーを務めるケビン・マグヌッセンはF1スペインGP前の記者会見で説明した。

    「僕たちにとって重要なのは、どれだけ競争力があるかだ。それだけのことだと思う」

    「パワーを上げたり下げたりしていると、様々なコーナーのブレーキングポイントやエントリーポイントが複雑になることがある。ドライバーとしては週末ずっと同じパワーの方がいいね」

    「重要なことは競争力を持つことであり、それがみんなが見ているものだ。エンジンからできるだけ多くのパワーを引き出そうとしている」

    ケビン・マグナッセンは、予選モードを制限することがプラクティスでの走行の減少につながるかもしれないと考えている。

    「週末全体で1つのエンジンマップのみを走らせることが許可された場合、プラクティスなどで走行を制限することになるだろう。それは僕の推測に過ぎないけど、どうなるか見てみよう」

    いくつかの報道によると、2021年シーズンの予選とレースの両方でチームが同じICEモードを走らせる意図を概説する手紙がFIAからチームに送信されたという。

    だが、その制限は今月末のF1ベルギーGPからすぐに課される可能性があると理解されている。その変更が有効になった場合、F1チームは現在の“予選モード”を使用できるのは今週末のF1スペインGPが最後となる。

    レッドブルF1のチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーとドライバーのマックス・フェルスタッペンは、現在のメルセデスに対する赤字は、チームが予選でエンジンを走らせる方法の違いに大きく起因していると考えている。

    ハースのF1ドライバーであるロマン・グロージャンは、先週末の70周年記念GPで、ウィリアムズのニコラス・ラティフィがチームメイトのケビン・マグナッセンでをオーバーテイクしたときのオンボードでメルセデスのハイパフォーマンス・エンジンモードの利点を目撃したと語る。

    「前回のレースのオンボードを見ていて、ニコラス・ラティフィがターン9とターン10でケビンをオーバーテイクしたのを目にした。明らかに彼らには非常に強力なボタンがあった。メルセデスエンジンを搭載しているのは彼らにとって良いことだ。あそこはオーバーテイクできる場所ではない」とロマン・グロージャンは語った。

    エンジンモードの影響について、ニコラス・ラフィティは「間違いなく注目に値するものだ。エンジンに少しパンチの効く感じだ」とコメント。

    「バッテリーのデプロイメントをフルに使うので最後は何も残らない。その部分を失うのは残念だ」」

    ウィリアムズのチームメイトであるジョージ・ラッセルは、F1から予選モードが失われるのは“残念”だと考えている。

    「すべてのエンジンメーカーがマシンに予選のためのブーストを備えていると思う」とジョージ・ラッセルは語る。

    「週末全体で最も少ない燃料を搭載し、最速のエンジンモードで走る。そのラップに向けて、最も気合を入れる。すべてが少し特別に感じられるし、マシンからより多くのものを引き出すことができる。それは週末の非常にエキサイティングな部分であり、それがなくなってしまうのは残念だね」

    アルファロメオのF1ドライバーであるキミ・ライコネンは、フェラーリが2020年シーズンに“パーティーモード”を提供していないことを確認しており、技術指令がフェラーリのF1エンジンを搭載したマシンに影響を与えることはほとんどないと考えられている。

  • F1:2021年から“予選モード”エンジンセッティングの禁止を計画

    F1:2021年から“予選モード”エンジンセッティングの禁止を計画

    FIA(国際自動車連盟)は、2021年のF1世界選手権でメルセデスや他のエンジンメーカーが開発するハイパフォーマンスな“予選モード”を禁止することを計画していると RaceFans が報じている。

    F1のエンジンメーカーは、必要に応じて短期的に強力なパワーブーストを実現するために最適化された“予選モード”の開発に多大な努力を費やしてきた。しかし、FIAは2021年シーズンに導入する新しいレギュレーションで予選モードの禁止を計画している。

    “予選モード”の追加の燃料消費とエンジンにかかる負担は、レースディスタンス全体で継続的に使用することには適さない。ただし、このセッティングによって、チームは予選セッション中にパフォーマンスを最大化することができ、予選でより高いグリッドを獲得することが可能になる。

    長年、メルセデスはこの分野のリーダーとして見なされてきた。レッドブル・ホンダのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、シルバーストンでの2連戦でW11がレーストリムよりも0.4秒速いと見積もっていたが、実際には予選で1秒の差があった。

    RaceFans によると、そのようなモードを非合法化する意図が、FIAの事務局長であるピーター・バイヤーからF1チームに送信された書簡で概説されたと伝えている。

    いくつかの情報源によって確認された書簡の中で、FIAは予選でチームが使用するパフォーマンス設定はレースで使用されるものと同じでなければならないことを規定することにより、2021年のF1世界選手権でそれらのモードの使用を明確にする意図があることを説明した。この要件では、予選と決勝の間のセットアップの変更を制限する既存のパルクフェルメ規制を使用して適用される。

    マックス・フェルスタッペンは、予選におけるメルセデスに対するレッドブル・ホンダの現在のパフォーマンスの赤字の一部は、エンジンモードの違いによるものであると考えている。

    「予選モードによるものだと思っている。彼らは間違いなくそれをもう少し使えているようだ」とマックス・フェルスタッペンはコメント。

    「僕たちにとっては、レースでのエンジンモードは、もう少し接近していると思う」

  • F1:2021年に“ピンクメルセデス”型の模倣デザインの禁止に動く

    F1:2021年に“ピンクメルセデス”型の模倣デザインの禁止に動く

    F1は、レーシング・ポイントが採用した“ピンクメルセデス”のアプローチに他チームが従うことを阻止するべく、2021年にむけてレギュレーションを変更して模倣デザインを禁止にしたいと考えている。

    今年、レーシング・ポイントが昨年のメルセデス W10の事実上のクローンとして設計したことを受け、ライバルチームは“コピーキャット(模倣品)のアプローチが禁止されなければ、F1が“スペック・シリーズ”になってしまうリスクがあるとの懸念を表明している。

    8月7日(金)の朝、ルノーF1が抗議していたレーシング・ポイントRP20のブレーキダクトが違法として分類された。その結果、レーシング・ポイントは15ポイントを剥奪されるとともに、40万ユーロ(約5000万円)の罰金が科せられた。

    だが、これは競技規約に違反しただけであり、技術規約では合法のため、レーシング・ポイントは引き続き該当するブレーキダクトを使用することができる。

    FIAのシングルシーター担当責任者であるニコラス・トンバジスは、2021年のレギュレーションを変更してマシンを複製できないようにする計画があることを明らかにした。

    「我々はこれが標準になることを防ぐために非常に短い通知で2021年の競技規則にいくつかの修正を導入する計画を立てている」とニコラス・トンバジスは語った。

    「これにより、レーシングポイントが行った方法で、チームが写真の大部分を使用して他のマシンの全体をコピーすることはできなくなる」

    「個々のコンポーネントをローカルエリアにコピーすることは引き続き許可するが、基本的にはマシン全体を別のマシンのコピーすることは望んでいない」

    「今後数週間でそれについて統治および表現自体とともに、ガイダンスを提供する」

    「我々は来年のマシンのために今後そのようなことを始めるべきではないという非常に強力なメッセージをチームに与えたいと思っている。シンプルにそれは許されない」

    「もちろん、チームが現在2の019/2020年のマシンにあるものは受け入れられる。それを削除したり、最初からやり直したりすることは想定されていない」

    ニコラス・トンバジスは、他のマシンをコピーすることはF1の新しい側面ではないと認めるが、来年のF1グリッドに“8~10台のメルセデス”のマシンを見ることを望まないと強調した。

    「コピーは長い間F1で行われている。人々は写真を撮り、時にはそれらをリバースエンジニアリングで同様のコンセプトを作成する」

    「一部の領域では、他チームと同じか、もしくはほぼ同じこともある。そこが将来完全に止まるとは考えていない」

    「しかし、我々はレーシング・ポイントがこれを別のレベルに引き上げたと考えている。彼らはこの哲学をマシン全体に適用することを明確に決定した」

    「私はそれをパラダイムシフトと呼んでいるが、彼らは実際に過去40年間にF1カーを設計する際の標準であったプロセスの混乱を利用している」

    「元々あったことなので、彼らがこのアプローチに従うことを決定したことで彼らを罰するべきではない。しかし、これは我々はF1がそうなるべきだとはっていない」

    「このプロセスがメインのスキルになり、来年のグリッドに8~10台のメルセデスまたはメルセデスのコピーが並ぶことは望んでいない。我々はこれが通常のF1になることを望んでいない」

  • レーシング・ポイントF1:競技規則には違反も技術規則では合法

    レーシング・ポイントF1:競技規則には違反も技術規則では合法

    レーシング・ポイントF1のチーム代表オトマー・サフナウアーは、スチュワードがルノーF1のブレーキダクトに対する抗議に対して下した最適に“戸惑っている”と認める。

    8月7日(金)、スチュワードは、レーシング・ポイントRP20のブレーキダクトが違法だとする抗議を指示し、チームに対して15ポイント剥奪と40万ユーロ(約5000万円)の罰金を科した。

    レーシングポイントは、設計プロセスの“リステッド・パーツ”要素に関連する競技規制に違反と判断されたが、決定的に重要なのは、技術規制に違反していないことだ。残りのシーズンは、同じブレーキダクトでも懲戒処分を受けるだけとなる。

    「裁定からの朗報は、マシンが技術的な観点からは完全に合法であるため、ブレークダクトを引き続き使用できることだ」とオトマー・サフナウアーはSky Sports F1 に語った。

    「それは競技規制の範囲内にあるプロセスの方法にすぎない。我々は競技規則を読んだが、我々がしたことをやってはいけないと具体的に言っている部分は何もない」

    「他のチームもまったく同じように、おそらく我々が行った方法よりもさらに多くのことを行っているので少し困惑している」

    「これから我々が受けた罰を上訴するべきかどうかを決定する必要があるが、良い知らせは、我々がこのマシンを現状のまま、今後も継続して走らせることができ、合法であることだ」

    オトマー・サフナウアーは、ブレーキダクトが、“ノン・リステッド・パーツ”から2020年に“リステッド・パーツ””に移動された唯一のコンポーネントであることを考えると、ルノーF1はマシンの他のエリアに抗議することができないと確信していると語る。

    「マシンでノン・リステッド・パーツからリストテッド・パーツに移動された唯一のパーツはがブレーキダクトだ」とオトマー・サフナウアーは説明した。

    「私がこれに投票したとき、戦略グループ会議に出席していたし、ノン・リステッド・パーツからリステッド・パーツへの移動をサポートした。これを望まれないチームもあれば、望んだチームもいた。浮動票だったと思っている」

    「私はこの件についてシリル(アビテブール/ルノーF1代表)を心からサポートした。ブレーキダクトがノン・リステッド・パーツからノン・リステッド・パーツ移動すること考えられる前からこのプロセスを開始した」

    「したがって、規制が明確でない場合、プロセスが規制の範囲外であると見なされていることに私は苦痛を感じ、驚いている」

    “ピンクメルセデス”のアプローチは、将来的にF1を“スペック(仕様)シリーズ”にする可能性があるという懸念が提起されている、オトマー・サフナウアーは、2022年の技術規制の見直しにより、この問題は“完全になくなる”と考えている。

    「このようなことはすべて2022年の新しいルールによって扱われるはずだと思っている」とオトマー・サフナウアーは述べた。

    「そこにはさまざまなカテゴリがあり、それだけに対処する必要がある。2022年にはさらに明確になり、ウイルスの状況により規制が1年延期されたが、この問題は完全に解消されるだろう」

    関連:ピンクメルセデスのブレーキダクトは違法!15ポイントの剥奪と罰金

  • ピンクメルセデスのブレーキダクトは違法!15ポイントの剥奪と罰金

    ピンクメルセデスのブレーキダクトは違法!15ポイントの剥奪と罰金

    FIAスチュワードは、レーシング・ポイント RP20のデザインの合法性に関するルノーF1の抗議を支持。レーシング・ポイントF1は15ポイントを剥奪されるとともに、40万ユーロ(約5000万円)の罰金を科された。

    レーシング・ポイントF1がプレシーズンテストでメルセデスの昨年マシンに酷似した“ピンクメルセデス”を登場させて以来、ライバルチームはその合法性に疑いの目をむけてきた。

    レーシング・ポイントF1は、他チームと同様にエンジンとサスペンションを含むいくつかのパーツをメルセデスから規約に従って購入しており、メルセデスF1からインスピレーションを得てことを認めていたが、一貫して規則の範囲内であると主張していた。

    ルノーF1は、F1シュタイアーマルクGP、F1ハンガリーGP、F1イギリスGPのレース後にレーシング・ポイント RP20のブレーキダクトの合法性に抗議。チームで独自に開発しなければならないブレーキダクトがメルセデスのコピーだと主張していた。

    8月7日(金)にシルバーストンで、スチュワードはルノーF1の抗議を支持し、レーシング・ポイントには、F1シュタイアーマルクGPでの出場に対して、1台当たり20万ユーロ、7.5ポイントの剥奪という処分が下された。

    F1ハンガリーGPとF1イギリスGPへの抗議も支持され、レーシングポイントは両方のイベントでマシンを使用したことに対して懲戒処分を受けた。

    レーシング・ポイントは24時以内にこの裁定について上訴できる。

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    レーシング・ポイントF1:競技規則には違反も技術規則では合法…今後も該当ブレーキダクトは使用可能

  • F1基礎知識:フリープラクティスとは? 重要セッション“FP”を知る

    F1基礎知識:フリープラクティスとは? 重要セッション“FP”を知る

    F1の “練習時間” では様々な作業が進んでいる。金曜・土曜計3回の FPでは何が行われているのだろうか?

    決勝レースで優勝してシャンパンでびしょ濡れになったドライバーが、トロフィーを握りしめながらレースの内容ではなくレースウィークエンド全体について言及する場面は少なくない。

    勝利とは日曜日の午後に突然降って湧くようなものではなく、その週末を通じて築き上げられていく。どれほどマシンが優れていて、どれほどドライバーのスキルが卓越していても、正しい準備ができていなければ決勝レースでの成功はほぼありえない。

    チームにはレースウィークエンド全体を通じて取り組んでいる作業が存在し、パフォーマンスの大半がフリープラクティス(FP)セッションで見出されていく。「practice makes perfect(練習が完璧を生む)」という諺通りなのだ。

    FPはいつ行われる?
    通常のGPでは、レースウィークエンドで合計4時間のプラクティスが設けられている。各90分のFP1とFP2が金曜日に行われ(モナコGPでは木曜日)、60分のFP3が土曜日に行われる。

    各セッションの時間帯は変動するが、すべてが連動している。通常、FP1終了からFP2開始までは2時間半の間隔が設けられており、FP3終了から予選開始までは2時間の間隔が設けられている。また、これも通常の場合だが、FP2開始時間は予選セッションおよび決勝レースと同時間帯に設定されている(詳しくは後述する)。

    FPでの走行量は?
    簡潔に回答するなら「ファンが期待しているほどの走行量ではない」だ。これはF1が長年抱える問題のひとつで、FPでは、サーキットが不気味な静けさに包まれ、クルー全員がガレージの中で座ったままという時間帯がよくある。

    F1チームがトラック走行時間の価値を重視していることを踏まえると、マシンを走らせるチャンスを最大限活用していないこのような時間帯は奇妙に思えるかもしれない。しかし、実は様々な条件が複雑に絡み合っており、チームは供給されるタイヤセット数、エンジンの消耗、さらには走行時のコンディションなどによって制限されている。

    まず、エンジンについては簡潔に説明できる。各マシンが1シーズンで使用可能なコンポーネントは、エンジン3基 / ターボチャージャー3基 / MGU-H 3基 / バッテリーパック2基 / ECU 2基 / MGU-K 2基に制限されている。

    そして当然ながら、各ユニットのマイレージ(使用距離)が蓄積するほど、トラブルやグリッド降格ペナルティ、あるいは最悪の場合レースでのリタイアの確率が高まっていく。正確な数値はともかく、各コンポーネントには想定耐用寿命があり、それを越えればトラブル発生率が飛躍的に跳ね上がる。すべてのGPのFPセッションで全力アタックしてマイレージを300kmカウントしていけば、想定耐用寿命をすぐに越えてしまう。

    FPのチームを制限している2番目の問題がタイヤだ。各レースウィークエンドでマシン1台が使用できるドライタイヤは合計13セット。内訳は、決勝レースでの使用が義務付けられている2セット、Q3以前は使用できないコンパウンドが最も柔らかいタイヤ1セット、自由選択の10セットとなっている。

    チームはピレリにタイヤセットを “返却”(実際はFPセッション中に配分データ表から消去するだけで、物理的に戻すわけではない)しなければならないため、FPが進むにつれてタイヤセット数は減少していく。天候やその他のトラブルを念頭に置き、チームはFP1開始40分で1セットを返却し、FP1終了時に別の1セットを返却するように定められている。また、FP2終了時とFP3終了時にも2セットずつ返却する。

    FPでドライバーが全13セットを使用することはできないと定めるルールは存在しないが、3回のFPで消化するタイヤは返却が義務づけられている6セットに留め、残り7セットを新品状態のまま予選と決勝レース用にキープするのが定石となっている。この結果、チームがFPでタイヤを有効活用できる周回数は限られることになる。

    チームがFPの開始から終了まで走行を続けない3番目の理由には、FP1開始40分後に返却が義務付けられているタイヤ1セット(チーム間では “FP140タイヤ” と呼ばれている)が関係している。

    GP開催頻度が少ないサーキットや市街地サーキットなどでは特にそうだが、サーキットの路面状態はレースウィークエンドに入った直後が最も悪い。そのため、どこかのドライバーが先にコースインして掃除役を担ってくれることを全ドライバーが期待している。

    レースウィークエンドが進むにつれ、サーキットの路面状態は徐々に “進化” していく。F1やサポートレースのマシンが走行することでレーシングライン上の埃が掃き出され、ブレーキングゾーンやコーナーの立ち上がり部分はラバーが重ねられてグリップが高くなっていく。マシンが周回を重ねていくだけで日曜日のラップタイムが金曜日午前より2秒も短縮するのは珍しくない。ちなみに、2秒はポールポジションとグリッド最後尾のタイム差に相当する。

    このため、FP1開始直後の汚れていてグリップがないサーキットにいち早くコースインしたがるドライバーはいない。FP1開始直後の路面はコースアウトやマシンにダメージを与えるリスクが大きいばかりか、セッション後半のタイムの参考にもならない。

    そして、FP1開始40分後に返却するFP140タイヤが存在する理由がここにある。このタイヤ(およびルール)は「タイヤセットを消化するか、無駄にするか」と各チームにコース走行を促し、観客にマシンの走行シーンを見せるために設存在する。

    FP1
    FPでの作業内容はチームによって異なるが、大半のチームが似通ったパターンで進めており、タイムの参考度が最も低いFP1を通常空力テストや新型パーツの確認、マシンの全体的なバランス調整などに充てている。

    すべてのセッションが重要だと先述したばかりだが、計3回のFPセッションのうちFP1が最も重要度が低いと言って問題ないだろう。各チームがFP1でレギュラードライバーを下げ、若手ドライバーに走行機会を与えるケースが時折見られるのはこれが理由だ。

    チームは冬季のテストプログラム(2020シーズンは6日間)のあとに現行マシンでインシーズンテストを行うことを認められていない。そのため、必要のあるテストはいずれもレースウィークエンドのFPセッション内で行われることになる。

    FP1では、空気流をテストするために格子状の圧力タップを不恰好な角度であちこちに取り付けたマシンをよく見かける。また、“フロービズ” ペイントも頻繁に見られる。フロービズとはボディワークにスプレーされる薄い蛍光オイルを指し、マシンがガレージに戻ってきたあとに写真を撮影して空気流の状態をすぐに確認するためのものだ。これは現行ボディワークの研究目的で活用されているが、FP1で現行パーツと試作パーツを交互に装着して比較データを収集するケースもよく見られる。

    これが、FP1のマシンが長時間ガレージで過ごしているもうひとつの理由と言える。フロントウイングは5秒もあれば交換できるが、異なるスペックのアンダーフロアやリアウイングなどの複雑な部分の交換には30分かかる場合もあるのだ。

    ここまで紹介した作業の大半は、レースウィークエンドでの必要性よりも長期的な必要性から行われている。しかし、空力テストと並行して、各チームはマシンセットアップの最適化のためにもFP1を活用している。

    各チームは過去のデータや直近のシミュレーター作業から導き出した “ベースライン” セットをサーキットへ持ち込んでいるが、これらには毎回最低限の微調整を加える必要がある。シミュレーターは特定の気温や風向きには対応できず、新たに舗装された路面やその沈下も読みきれないからだ。

    どのようなアプローチで周回するのがベストなのかを見出すのはドライバーやそのレースエンジニア / パフォーマンスエンジニアたちの仕事であり、彼らは車高やロールバーの硬さを調整したり、マシンのメカニカルバランスを変更したりしている。

    このようなセットアップ最適化作業が空力テストと同時進行するケースもあるため、決勝レースに向けたプロセスはFP1から始まっていると言える。

    FP2
    FP1の大半がマシン開発に充てられる一方、FP2では決勝レースに向けた準備により重点が置かれる。金曜日のFP1とFP2の間は “ランチブレイク” と喩えられているが、実際にはサンドイッチを流し込めればましな方だ。

    FP1とFP2の合間では、エンジニアたちがデブリーフィングを行いながら、メカニックたちがマシンチェックや大掛かりなセットアップ変更作業に没頭していく。そしてFP2が始まれば、各チームは予選と決勝へ向けたマシンの最適化作業に集中する。

    予選や決勝と同時間帯に用意されているFP2の価値は、予選や決勝に似た環境で走れるところにある。タイヤの挙動はコースの路面温度に応じて変化するため、予選・決勝と時間帯が同じFP2は当日のコンディションを想定するベストチャンスになる。

    予選と決勝を見据えたFP2の重要性は、ナイトレース / トワイライトレースで最も顕著になる。バーレーンGPやアブダビGPでは日没後のマシンの挙動は完全に異なるものになるため、昼下がりの高温の中で行われるFP1とFP3はほとんど参考にならない。

    FP2の典型的な作業パターンは、決勝での使用を予定している2種類のタイヤコンパウンドのテストだ。チームはまず硬いコンパウンドでの短めのランから始め、次に最も柔らかいコンパウンドに履き替えて短いランを行うことで予選ラップをシミュレーションする。通常、これらの予選シミュレーションランはセッション開始40分後を目安に実施される。ここではタイムが目まぐるしく更新され、全ドライバーがようやく予選ペースを見せ始める。

    FP2の後半は、主に満タンに近い燃料を搭載した状態での走行に充てられる。FP2前半はタンクが軽い状態のマシンを走らせているため、ここでタンクに燃料を追加して100kg重くなったマシンのパフォーマンスを確認していく。

    重いマシンのランは決勝前半のシミュレートになる。FP2の前半で記録した予選シミュレーションよりもタイムは最大で約6秒落ちるが、燃料が消費されていくにつれてラップタイムが縮まっていくため、FP2終了のチェッカーが振られるまで走行を続けるマシンも少なくない。このランではセッション前半で使用したタイヤを再利用することになる。それまでの数周はロングランでのパフォーマンスに大きく影響しないからだ。

    ここで、マシン2台のメリットが発揮される。各チームは少なくとも2種類(時には3種類すべて)のタイヤコンパウンドを2台に振り分けたロングランができるからだ。FP2では、マシン1台がハードタイヤで15周走り、同じチームのもう1台がミディアムで15周走ったあと、両マシンがソフトに履き替えて10周走る様子が見られる時もある(コンパウンドの組み合わせはレースによって変動する)。

    また、このようなロングランのスタートでフォーメーションラップをシミュレートするチームも少なくない。決勝レーススタート直前と同じように比較的スローペースで1周走ったあと、ピットレーンを通過して出口で一旦停止しからスタートを練習する。

    ピットストップ練習と並んでスタート練習もFPを通じて重点的に行われているが、一部のサーキットではピットレーンの形状が不適切という理由からスタート練習が禁止されている。

    FIAは、このようなサーキットでは各FPセッションの最後にグリッドでのスタート練習が行えるように規定しているので、各チームは1台をグリッドの左列からスタートさせ、もう1台を右列からスタートさせて、サーキットのクリーンサイドとダーティサイド(レーシングラインから外れているサイド)のグリップを確認している。

    FP3
    FP2とFP3の間には大きな動きがある。サーキットとファクトリーの両方で大量のデータが分析される一方、ガレージではマシンの分解とリビルトが進み、レース用ギアボックスが装着される。

    各チームはギアボックス1基で6レースを戦わなければならないが、FPセッションでは使用が義務付けられていないため、レース用ギアボックスの消耗を避けるために金曜日はスペア用ギアボックスが使用されている。

    また、クルーは、金曜日に使用したテスト用装備をすべて取り外さなければならない。金曜日は追加のセンサー類やカメラなどがマシンに装着されているが、これらはすべて土曜日に向けて取り外す必要がある。同時に、ワイヤリングルームも交換される。追加センサーをすべて搭載するためにマシンには合計5kg分のケーブルやコネクター類が収納されるが、マシンをレース仕様の重量にするためには邪魔になる。

    FP3は、主に金曜日に下した判断の最終確認に費やされている。この時点のチームは予選と決勝に向けたマシンの方向性を決めているので、FP3はその方向性や判断が間違っていないことを確かめる時間になる。

    FP3では、決勝のメインになるコンパウンドのタイヤを装着した状態でのセットアップを確認するショートランを数回行ったあと、予選シミュレーションを再度行うパターンが多い。これらが完了すると、マシンはチェックのためにガレージへ戻り、ドライバーとエンジニアたちは予選前のデブリーフィングセッションへ進む。

    次にマシンがガレージから発進するのは、決勝のスタートポジションを決める予選セッションになる。

  • レッドブル F1特集:エイドリアン・ニューウェイの時代は終わったのか?

    レッドブル F1特集:エイドリアン・ニューウェイの時代は終わったのか?

    レッドブル・ホンダの近年の苦境を受けて、エイドリアン・ニューウェイの限界説が議論され始めている。

    “空力の奇才”と称され、過去に何台ものチャンピオンマシンを生み出してきたことでF1史上最高のデザイナーのひとりに数えられているエイドリアン・ニューウェイ。だが、近年では第一線から退きつつあり、レギュレーションの変化にもかつてのような斬新なアイデアを生み出すことはなくなっている。

    かつては“ゼロキール”“ホーンウイング”といったトレンドを生み出し、レッドブルがタイトルを4連覇した時代にはブロウンディフューザーという武器を開拓したエイドリアン・ニューウェイ。特にマシンに極端な前傾姿勢をとらせてマシン全体をディフューザーに変身させた“ハイレーキ”コンセプトは多くのチームがコピーし、レッドブルが“最強のシャシー”として評価される一因となっていた。

    だが、近年ではメルセデスがシャシー面で大きな飛躍を遂げた。レッドブルとは異なり低重心コンセプトを熟成させてきたメルセデスは、今ではシャシー面でもオールマイティな特性を手に入れ、他のチームもそれに追随する傾向にある。逆にレッドブルのハイレーキはピーキーな特性があり、特にリアが予測不可能な挙動の乱れを見せる今季マシンRB16の原因のひとつはハイレーキ・コンセプトにあるとの見方が多い。

    今年はメルセデスをコピーしたレーシング・ポイントが速さを見せたことで、メルセデスのコンセプトがハイレーキを上回ったと考える者が多い。

    元レッドブルのドライバーであるダニエル・リカルドは、すでにレッドブルのシャシーは最強ではないとの見方に同意する。

    「僕がレッドブルにいた時もそうだったし、僕たちはそれを求めてきた。でも、メルセデスはそうではないアプローチでより成功を収めている。もちろん、僕は部外者なので100%確信が持てないけど、それについて嘘をつくつもりはない。でも、外側からは確かにそのように見える。すでに高いレーキはピークに達しており、もう人々はより速く進むための他の方法を見つけている」」とダニエル・リカルドはコメント。

    「もちろん、僕はその分野の専門家ではないけど、その提案は正しいかもしれない」

    元F1ドライバーのクリスチャン・アルバースは、エイドリアン・ニューウェイの時代は終わったかもしれないと考えている。今年のレッドブルの苦境はエンジンではなくシャシー側にあるとアルバースは指摘する。

    「悪化したのはエンジンだとは思わない」とクリスチャン・アルバースは語る。

    「メルセデスがここまで支配的なのは残念だ。エイドリアン・ニューウェイはどこにいってしまった? 何年も彼は世界で最高のデザイナーだと聞かされてきたけど、世界は絶えず変化している。もう彼の時代は過去のものになったのかもしれない」

    だが、ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、エンジン側も努力の必要があると認める。

    「予選では、メルセデスとの間に1秒の差がありました。でも、レースでもまだ差は大きいとはいえ、それなりの速さでは走ることができていたと思います」と田辺豊治はコメント。

    「1週間でジャンプアップするのは簡単ではありません。ですが、できる限りのことをして、メルセデスとの差を詰めるべく準備を進めていきたいと思います」

    2022年には完全に新しいレギュレーションの下で設計されたマシンが登場する。そこで再び答えが得られることになるだろう。

  • レッドブルF1の“ハイレーキ・コンセプト”最強神話が崩壊?

    レッドブルF1の“ハイレーキ・コンセプト”最強神話が崩壊?

    レッドブル・ホンダF1は、昨年よりもメルセデスに遅れをとっていることが明らかになり、新たなライバルとしてレーシング・ポイントが浮上。“ハイレーキ・コンセプト最強神話”が崩壊しようとしている。

    レッドブル・レーシングは、エイドリアン・ニューウェイが生み出した“ハイレーキ・コンセプト”を極限まで突き詰めてきた。マシンが大きく前傾姿勢をとることで理論的にマシン全体がディフューザーの役割を果たし、ダウンフォースを高める。

    しかし、マシン下部の空気が漏れると、ドライバーがリアのグリップを突然失うリスクが大きくなる。RB16が“予測不可能”な挙動がこれに当てはまるかどうは推測するしかできないが、これまでレッドブルのコンセプイトをコピーしてきたライバルもそのリスクには気付いている。

    レッドブル・レーシングは“シャシーは最強だが、エンジンが駄目”というのが例年の言い訳だった。逆にメルセデスは“シャシーは駄目だが、エンジンは最強”と言われてきた。

    しかし、フェラーリのF1エンジンがメルセデスを追い越し、ルノーとホンダが追いついた。そして、メルセデスが非常に良いクルマを作っていることを多くの人々が知ることになった。

    レッドブルを唯一コピーしなかったメルセデスは、タイトルを6連覇する過程でシャシーに磨きをかけ、今やコーナーでも抜群の安定性をみせるようになっている。

    今やグリッドの多くのマシンが極端なレーキ角をつけることを避け、メルセデスの低重心コンセプトに移行している。

    昨年のメルセデスW10をもとに設計されたレーシング・ポイントが速さを見せていることについて「異なるコンセプトでの彼らのパフォーマンスを見れば、そこに開発の余地はあるかもしれない」とF1イギリスGPに先立った会見で語った。

    レーシング・ポイントのテクニカルディレクターを務めるアンディ・グリーンは、現在のF1レギュレーションではハイレーキ時代を過ぎ去ったと考えている。それが2019年のメルセデスのコンセプトをコピーした理由のひとつでもある。

    ハイレーキ・コンセプトについてアンディ・グリーンは「単純にタイヤはダウンフォースに追いつくことができない。ピレリはダウンフォースに応じてタイヤを膨らませている」とコメント。

    「これにより、後方を高くしたときにタイヤの接触圧を一定に保つのがますます難しくなっている。ダウンフォースをわずかに少なくした方が、バランスの取れたマシンにできる」

  • F1:ヘイローからエアロスクリーンに切り替えるべき?

    F1:ヘイローからエアロスクリーンに切り替えるべき?

    元F1ドライバーで、現在はインディカーに参戦するマーカス・エリクソンは、エアロスクリーンはヘイローよりも優れた保護を実現しており、将来的にはF1もヘイローからエアロスクリーンに切り替えることになると予想する。

    マーカス・エリクソンは、F1でヘイローを搭載したマシンでレースをし、インディカーで今年から導入されたエアロスクリーンを払いらせており、両方のデバイスを経験した数少ないドライバーのひとりとなっている。

    レッドブルは、ヘイローが導入される前にF1で他の選択肢としてエアロスクリーンを設計およびテストしており、多くのドライバーも優れた保護性能と視認性を支持していた。

    しかし、F1は最終的にヘイローを選択した。エアロスクリーンの主な懸念は、事故時にドライバーが頭をぶつける可能性があるとのことだった。

    しかし、マーカス・エリクソンは、特に小さなデブリの処理に関してはエアロスクリーンの方が優れていると語る。

    「エアロスクリーンは、ヘイローの構造にスクリーンが追加されたようなものだ。ヘイローからのまた新たなステップだと思う」とマーカス・エリクソンは the-race.com に語った。

    「将来的には、F1やヨーロッパのカテゴリーが導入することを見ることになると思う」

    「ヘイローは大きな破片には適しているけど、小さな破片の場合、エアロスクリーンに比べて明らかに保護が脆弱だ」

    エオロスクリーンのクオリティは、過去数週間のインディカーのレース中にさまざまな場面で示された。先週末のアイオワでのダブルヘッダーでは外れたホイールがウィル・パワーにぶつかることを防いだ。

    その徳碁に起こった衝突によって、今度は破片がマーカス・エリクソンに向かって飛んできたが、その両方で、エアロスクリーンはその役割を果たした。

    「それが起こったとき、事故に巻き込まれず、2台のマシンのうちの1台に当たらないことに集中していた」とマーカス・エリクソンは語る。

    「チームからいくつかの破片が当たっていると言われたけど、深刻なことではなし、すべて問題ないはずだと思った」

    「でも、レース後にリプレイを見て、彼のウイングか何かの非常に大きなピースがエアロスクリーン領域にぶつかっていたのがわかった」

    「エアロスクリーンを見たときは、見た目は良くないと思ったけど、エアロスクリーンがそこにあっても視界は良好だった。インディカーは本当に正しい判断をしたことを示していると思う」

  • F1特集:ラルフ・シューマッハ 歴代F1マシン

    F1特集:ラルフ・シューマッハ 歴代F1マシン

    ラルフ・シューマッハのF1キャリアを歴代F1マシンとともに振り返る。

    7回のF1ワールドチャンピオンであるミハエル・シューマッハの実弟であるラルフ・シューマッハは、1997年にジョーダンでF1デビュー。その後、ウィリアムズ、トヨタでF1を戦い、182戦で6勝、27回の表彰台を獲得。2004年のF1日本GPでは兄弟での1-2フィニッシュを達成している。

    ジョーダン 197(1997年)
    ジョーダン 197Jorda 197
    ミハエル・シューマッハと同じく、ジョーダンからF1デビュー。第3戦アルゼンチンGPで3位フィニッシュし、F1参戦からわずか3戦目で表彰台に上ったが、速さを見せつけた、チームメイトのジャンカルロ・フィジケラと絡んでリタイアに追いやるなど荒っぽいドライブも目立ち、17戦中10戦でリタイアを喫した。13ポイントを挙げ、ランキング11位でデビューシーズンを終えた。

    ジョーダン 198(1998年)
    ジョーダン 198Jorda 198
    速さを見せる一方で、荒さは相変わらずであったが濡れた路面に対しての高い対応力を見せた。第13戦ベルギーGPでは、スパ・フランコルシャン特有の雨により荒れたレース展開となる中2位でフィニッシュした。チームメイトのデイモン・ヒルがジョーダンにF1初優勝をもたらした記念すべきレースに1-2フィニッシュという形で華を添えた。続く第14戦イタリアGPでも連続表彰台となる3位を獲得した。このレース後に、1999年からウィリアムズと2年契約を結んだことを発表。最終的に14ポイントを挙げ、ランキング10位でシーズンを終えた。
    関連:F1デバイス列伝:ティレルが導入した“Xウイング”

    ウィリアムズ FW21(1999年)
    ウィリアムズ FW21Williams FW21
    ウィリアムズに移籍。チームメイトは2年連続のCARTチャンピオンのアレックス・ザナルディ。だが、ウィリアムズ FW21は戦闘力に欠け、ザナルディは0ポイントでシーズンを終了。一方、ラルフ・シューマッハは3度表彰台に上り、第13戦イタリアGPでは自身初となるファステストラップも記録した。波乱の多いレースとなったヨーロッパGPでは非力なスーパーテックエンジン搭載車であったが、マクラーレン・メルセデスを抜くなど一時はトップを走る奮闘を見せたが、右リアタイヤのパンクにより4位入賞。35ポイントを挙げ、ランキング6位。

    ウィリアムズ FW22(2000年)
    ウィリアムズ FW22Williams FW22
    ウィリアムズはBMWエンジンを獲得。ジェンソン・バトンをチームメイトに迎えた。開幕戦オーストラリアGPで3位表彰台と上々の滑り出しをみせるが、結局未勝利に終わった。第3戦サンマリノGPでは燃料システムのトラブルに見舞われ、第6戦ヨーロッパGPではエディ・アーバイン、ヨス・フェルスタッペンと接触しリタイアした。特に第7戦モナコGPではクラッシュによりふくらはぎに裂傷を負った。さらに第8戦カナダGPではジャック・ヴィルヌーブに衝突されるなど、マシントラブルとアクシデントにより7回のリタイアを喫した。24ポイントの獲得にとどまるも、ランキング5位。

    ウィリアムズ FW23(2001年)
    ウィリアムズ FW23Williams FW23
    CART史上最年少チャンピオンであるファン・パブロ・モントーヤをチームメイトに迎える。第4戦サンマリノGPでは、予選3位からスタートして参戦5年目でF1初勝利を挙げた。母国ドイツGPでも勝利し、この年は最終的に3勝を挙げ49ポイントを獲得し、ランキング4位でシーズンを終えた。

    ウィリアムズ FW24(2002年)
    ウィリアムズ FW24Williams FW24
    開幕からフェラーリが圧倒的な戦力を見せつけシーズンを席巻。ウィリアムズ勢は大苦戦の一年となった。序盤の第2戦マレーシアGPで同年チーム唯一となる勝利を挙げたが、50ポイントを獲得したチームメイトのモントーヤに獲得ポイントで上回られ、ポイントは42ポイント、ランキング4位でシーズンを終えた。

    ウィリアムズ FW25(2003年)
    ウィリアムズ FW25Williams FW25
    2勝を挙げ、チームもコンストラクターズタイトルに手が届きそうであったが、僅差でフェラーリに敗れた。自身は自己最多の58ポイントを獲得したもののランキングでは5位に終わった。モントーヤは9度の表彰台で82ポイントと、チームメイトに対し大きく遅れをとった。ームメイトのモントーヤを過剰に意識するあまり、レース中に同士討ちすることがあった。

    ウィリアムズ FW26(2004年)
    ウィリアムズ FW26Williams FW26
    “セイウチノーズ”が特徴的なウィリアムズFW26は、フェラーリだけでなくB・A・Rやルノー勢に対しても苦戦を強いられた。第8戦カナダGPではポールポジションを獲得し、2位フィニッシュしたが、マシンのブレーキダクトの規定違反により失格となった。ラルフ・シューマッハは第9戦アメリカGP決勝で、高速の最終コーナーでクラッシュし背骨を負傷、6戦欠場を余儀なくされ、結局未勝利に終わった。日本GPでは兄・ミハエルが優勝で、弟・ラルフは2位となり、結果的に最後となるシューマッハ兄弟での1-2フィニッシュとなった。シーズン中に翌年からのトヨタ移籍が発表され、6年間在籍したウィリアムズからの離脱が決まった。
    関連:F1マシン列伝:ウィリアムズ FW26 没落を招いた“セイウチノーズ”

    トヨタ TF105(2005年)
    トヨタ TF105Toyota TF105
    第2戦マレーシアGPで5位フィニッシュし、トヨタ移籍後の初入賞。第9戦アメリカGPでは、フリー走行2回目でミシュランタイヤの問題から前年と同じ最終コーナーでスピンを喫し、予選と決勝を欠場した。コンスタントに入賞を記録し、ハンガリーGPで移籍後初となる3位表彰台を獲得。また日本GPでポールポジション、中国GPで3位表彰台を獲得するなど終盤戦でも活躍した。45ポイントを獲得し、43ポイントを獲得したチームメイトのヤルノ・トゥルーリをドライバーズランキングで上回った。

    トヨタ TF106(2006年)
    トヨタ TF106Toyota TF106
    トヨタは前年までのミシュランタイヤからブリヂストンタイヤに変更し、序盤は対応に苦労した。第3戦オーストラリアGPではミハエルのクラッシュ、後続から迫っていたモントーヤのトラブルにも助けられ、チームにとっても自身にとってもシーズン唯一の3位表彰台を獲得。中盤~終盤にかけて、マシンパフォーマンスは向上するが信頼性が伴わず、シーズン全体では18戦中7度のリタイアを喫した。この年は20ポイントを獲得しランキング10位となった。

    トヨタ TF107(2007年)
    トヨタ TF107Toyota TF107
    マクラーレンとフェラーリが他チームを圧倒し、その後にBMWザウバーがつけるという構図がシーズンを通して一貫していた。その中でトヨタは、入賞枠をルノー、ウィリアムズ、レッドブルらと奪い合う年となった。チームメイトのトゥルーリは、予選では常にその集団から抜けだしQ3に進出する一方で、シューマッハはシーズンを通して予選で中団から後方に沈むことが多かった。ハンガリーGPではこの年最高の6位入賞を果たし復調の兆しを見せたが、結局入賞はこれを含めて3回のみに留まり、日本GP終了後の10月1日、2007年シーズン限りでのトヨタチーム離脱を発表した。