カテゴリー: F1マシン

  • 2021年のF1世界選手権:F1ドライバーのカーナンバー

    2021年のF1世界選手権:F1ドライバーのカーナンバー

    2021年のF1世界選手権ではグリッドの4名のF1ドライバーが入れ替わることになる。そして、過去にグリッドに並んでいた3つのカーナンバーが復活する。

    2014年に発表されたF1レギュレーションから、ドライバーはF1キャリアを通して固定ナンバーを着けることになっており、2~99の中から数字を選ぶことができる。

    唯一F1ワールドチャンピオンは固定ナンバーとは別にカーナンバー1を選択する権利があるが、ルイス・ハミルトンは近年それを選択しておらず、メルセデスとの契約が延長されれば、引き続きカーナンバー44でレースをすると考えられている。

    アルピーヌF1のフェルナンド・アロンソは、2018年にF1を離れていたが、当時と同じカーナンバー14でF1グリッドに戻ってくる。カーナンバーは、最後のF1レースから2年間しかプロテクトされないが、4名のうちで最も早くに2021年のF1復帰が決定していたアロンソは14を保持することができた。

    アルファタウリ・ホンダF1からF1デビューを果たす角田裕毅は、2017年までジェンソン・バトンが使用していたカーナンバー22を選択。その理由について角田裕毅は「カートレースのデビューの番号が11番、僕の誕生日の日にちが11日なので最初は11番を選択したかったんです。でも、11番は他のドライバー(セルジオ・ペレス)が使用しているので、使えないので、単純な話になってしまうんですけど、本当に1+1で2で、22をつけようということになりました」と説明している。

    ハースF1からF1デビューを果たすニキータ・マゼピンはカーナンバー9を選択。2018年までマーカス・エリクソンが使用していたが、2年間のプロテクトが切れ、2021年から使用可能となっている。9番を選んだ理由についてはまだ明らかにされていないが、選択したかった99番をアントニオ・ジョビナッツィがすでに使用しているため、1桁の9番に落ちついたと考えられている。

    同じくハースF1からF1デビューを果たすミック・シューマッハはカーナンバー47を選択。「4と7は僕が大好きな2つの数字だ。もちろん、7番を好むのは、父が獲得した7つのタイトルに由来している。家族の誕生日を合計すると47になった。それはとても良かったし、この番号が空いていることも確認できた」と語っている。

    また、以下の4つの番号はスターティンググリッドから消えるが、今後2年間は新しいドライバーが利用することはできない。8(ロマン・グロージャン)、20(ケビン・マグヌッセン)、23(アレクサンダー・アルボン)、26(ダニール・クビアト)。

    2021年F1ドライバー:カーナンバー
    3.ダニエル・リカルド(マクラーレン)
    4.ランドノリス(マクラーレン)
    5.セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)
    6.ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)
    7.キミ・ライコネン(アルファロメオ)
    9.ニキータ・マゼピン(ハースF)
    10.ピエール・ガスリー(アルファタウリ)
    11.セルジオ・ペレス(レッドブル)
    14.フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
    16.シャルル・ルクレール(フェラーリ)
    18.ランス・ストロール(アストンマーチン)
    22.角田裕毅(アルファタウリ)
    31.エステバン・オーコン(アルピーヌ)
    33.マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
    44.ルイス・ハミルトン(メルセデス) *未確定
    47.ミック・シューマッハ(ハース)
    55.カルロス・サインツ(フェラーリ)
    63.ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)
    77.バルテリ・ボッタス(メルセデス)
    99.アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)

  • 2021年のF1世界選手権:冬季テストの会場をバーレーンで実施へ

    2021年のF1世界選手権:冬季テストの会場をバーレーンで実施へ

    2021年のF1世界選手権の開幕戦として予定されていたF1オーストラリアGPが延期となる可能性を受け、F1チームは冬季テストを3月にバーレーンで実施することに合意したと報じられている。

    3月21日にメルボルンで予定されていたF1オーストラリアGPは、進行中の新型コロナウイルスによる制限の中で延期される予定であり、F1は3月28日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで2021年シーズンを開幕する準備を進めている。

    当初、F1チームは、2021年シーズンに向けてプレシーズンテストの会場をバーレーンに移すことを検討していたが、結局、スペインのバルセロナ・サーキットで3日間のテストをすることで合意していた。

    しかし、オーストラリアGPが延期になった場合、プレシーズンテストに関連するロジスティック計画を変更しなければならない可能性が高く、F1チームは会場をバーレーンに移すことが最善であることに合意したという。

    それにより、テストのために移動する貨物はすべて開幕戦のためにバーレーン・インターナショナル・サーキットに残ることになり、コストの削減とさらなる移動を可能にする。

    だが、3日間のテストをどの期間で実施するかについては、チーム間でまだ意見が統一されておらず、日程は未確認にままとなっている。できるだけレースに近い日程でテストを実施したいチームもいれば、テスト後にさらなる走行を実施することを望んでいるチームもいる。

    競技規則では、3日間のテストは“2月1日からチャンピオンシップの最初のイベントの開始の10日前まで”に行わなければならないと定められている。

    その場合、論理的にはF1バーレーンGPの1回目のプラクティスがスタートする10日前の3月16日までにテストを終了しなければならない。当初、テストは3月2日から4日にバルセロナで行われる予定であり、オーストラリアGPの17日前に終了することになっていた。

    F1チームがテストの日程を決定次第、バーレーン・インターナショナル・サーキットで最終計画が立てられる。現在、同サーキットでは3月9日から11日までFIA-F2のテストが予定されている。

    バーレーンでテストが開催されることになれば、V6ハイブリッド時代に2回の4日間のテストが行われた2014年以来となる。それ以降、バーレーンでは2017年と2019年にインシーズンが開催され、2020年の改訂されたスケジュールの一環としてシーズン後半に“アウター・トラック”を使用したF1サヒールGPを開催している。

  • 2002年の佐藤琢磨のジョーダン EJ12を試乗できるサービスが英国で開始

    2002年の佐藤琢磨のジョーダン EJ12を試乗できるサービスが英国で開始

    佐藤琢磨が2002年にドライブしたジョーダン EJ12を英国ハートフォードシャーのボヴィンドン飛行場での走行できるサービスが開始した。

    マシンは一般の人々が運転するために元々搭載されていたホンダのV10エンジンがジャッド製の3リッターエンジンに交換され、最高出力は835bphから600bphにカットされる。そのためエンジンカバーに目に見える変更が加えられている。

    しかし、マシンはクラシックなイエローのジョーダンカラーがそのまま残されている。オペレーターのTrackDays.co.ukによると、これは運転可能な状態の唯一のジョーダン EJ12だという。

    TrackDays.co.ukのオペレーションマネージャーであるダン・ジョーンズは「世界で最も重要なモータースポーツチャンピオンシップで駆られた本物のF1レースカーを運転する機会を持つことは非常に稀だ」とコメント。

    「だが、気弱な人には向いていいない。600bhpを誇り、3.0リッターのジャッドエンジンのおかげで驚異的な10,500 rpmまで回転し、5秒以内に時速60マイルに達する」

    「当然のことながら、ジョーダンF1のドライビングエクスペリエンンスは、我々が提供する最もプレミアムなパッケージの一部だ。ただし、本物のモデルを所有するのに最大25万ポンド(約3500万円)の費用がかかり、さらに天文学的なランニングコストがかかる可能性があることを考えると、これらのドライビングエクスペリエンンスは、一生に一度のスリルを楽しむには本当にお買い得だ」

    最も安いパッケージは5時間のトレーニングとF1マシンによる10周のドライビングセッションで999ポンド(約14万円)となっている。

    ジョーダン EJ12

  • F1特集:メディカルカードライバーに求められるドライビング能力

    F1特集:メディカルカードライバーに求められるドライビング能力

    F1のメディカルカードライバーをドライブするアラン・ファン・デル・メルヴェが、メディカルカードライバーに求められるドライビング能力について語った。

    セーフティカー(2台存在する)が木曜日に行うプラクティスランには、メディカルカーも参加している。メディカルカーの現ドライバーはアラン・ファン・デル・メルヴェで、ホンダエンジンを積んだBAR007 V10でのランドスピードレコード(地上最速記録 / 陸上スピード記録)挑戦時に時速413.205kmを記録した “F1マシン最速ドライバー”として知られている。

    2001年のフォーミュラ・フォード・フェスティバルで優勝して注目されたファン・デル・メルヴェは、2003シーズンに英国F3王者になると、2005シーズンにBARホンダのテストドライバーを担当した。南アフリカ代表としてA1グランプリに出場した経験も持つファン・デル・メルヴェは、2009シーズンからメディカルカードライバーを担当している。

    突き詰めて言えば “FIA救急医療コーディネーターのイアン・ロバーツ医師と医療機器、そしておそらくは現地医師を後部座席に乗せて事故現場へ急行する救急車両” であるメディカルカーの運転席に救急医療隊員ではなくレーシングドライバーが座っているのはなぜなのか、という質問がしばしば出るが、答えは、状況判断能力よりも高速ドライビング能力が重視されているからだ。アラン・ファン・デル・メルヴェは次のように説明している。

    「自動車を速く運転できることだけが重要ではないのです。人命を救える時間内に事故現場へ到着できるだけのスピードで自動車をドライブできる人は世の中に沢山います。しかし、置かれている状況を考慮する必要があります。メディカルカードライバーは、巨大で重量のあるステーションワゴンをドライブしなければなりませんし、超高速で走行するレーシングカー、おそらくは世界最速のレーシングカーと同じレーストラックを走らなければなりません。この2つは非常に難しい組み合わせなのです。限界近くでドライブできるだけでは不十分なのです。周囲について常に考える必要もあります」

    「限界近くでドライブしながら、前後に何があるのかを瞬時に判断できるだけの余裕が必要になります。コース上の他のドライバーがミスをする可能性やマーシャルがいきなりバリアを越えて飛び出してくる可能性なども考慮しておく必要があります。現場へ急行しながら、前方を走るF1マシンに注意し、想定外の出来事に瞬時に対応できるだけの余裕、キャパシティを持っていなければメディカルカーのドライバーは務まらないのです」

    「メディカルカーのような自動車の限界値に近づくためには、プッシュできるコンディションになっておく必要があります。ですので、木曜日にその週末最速のスピードでドライブしておきます。木曜日に98%のスピードで快適にドライブできるようになっておくことで、自分のリズムを掴んでおきます。こうやってリズムを掴めば、あとはレースコントロールと無線で連絡を取ったり、バックミラーを覗き込んだりしながらでも95%でドライブできるようになります。自分とメディカルカーに余裕を持たせておく必要があります。想定外のアクシデントが起きた時の選択肢がなくなってしまうので、100%のドライブは避けなければいけません」

    アラン・ファン・デル・メルヴェは「もしも」という言葉を使わない。なぜなら、アクシデントは必ず起きるからだ。F1マシンは必ずクラッシュし、誰もが予想していなかったことが必ず起き、シミュレーションされていなかったことが発生する。F1をより安全なスポーツにする試みは漸次的なチャレンジだ。確実な部分はひとつもないが、マインドをオープンに保ち、ディテールを見逃さないようにしていくことで、シーズンを重ねる毎に少しずつ安全になっていくことが期待されている。

  • F1:ロマン・グロージャン 「事故で気絶しなかった理由を理解したい」

    F1:ロマン・グロージャン 「事故で気絶しなかった理由を理解したい」

    ロマン・グロージャンは、モータースポーツの安全性をさらに高めるために、F1バーレーンGPでの事故について自分がどのように意識を保つことができたのかなど、もっと理解したいと思っていると語った。

    ロマン・グロージャンは、時速221kmでArmcoバリアに激突。53Gがかかり、ハース VF-20は真っ二つとなり、マシンの残骸は炎上した。

    ロマン・グロージャンは、なんとかマシンから脱出することができたが、手に火傷を負い、足首を捻挫したことから3日間入院することになった。

    ロマン・グロージャンは、残りのシーズンを欠場することになったが、スイスに帰国することができ、そこで手の治療を続けている。

    ロマン・グロージャンの個人的なパートナーの1つである神経科学会社MindMazeのクライアントにはハースF1チームとマクラーンも含まれており、事故で脳に何が起こるかをよりよく理解するためにバラクラバを開発している。

    ロマン・グロージャンは、製品を宣伝するためのインタビューで「僕にとって次の大きなステップは、ヘルメットの中で脳に何が起こっているかを理解することだ」と語った。

    「火傷を負いはしたけど、身体的に僕は無傷で出ることができた。グローブの安全性を向上させることができるのは確かだし、そこは第一歩だ。でも、ドライバーの脳内で何が起こっているかもステップだ」

    「MindDriveがあれば、僕の事故で、脳、ヘルメット、ヘッドレストの間のどのような相互作用が起こっていたか、なぜ意識を失わなかったのかを理解できたと思う」

    「60Gの衝撃では、数秒であっても意識を失うはずだけど、僕のように意識を保っていることはできないはずだ。それが僕の命を救った」

    「脳にセンサーが付いているので、事故が発生したときに、ヘルメット、ヘッドレスト、安全性(一般的)を改善して、大きな衝撃を受けたドライバーでも意識を維持できることを理解してもらいたいと思っている。彼もやらなければならないことを認識している」

    ロマン・グロージャンは、F1で行われてきた安全性の開発を称賛し続けた。

    「今年のオーバーオールは耐火性が変更され、10秒増加した。レギュレーションは20秒と言われているけど、僕は28秒炎上した」とロマン・グロージャンは語った。

    「シャシーの強度が上がり、モノコックが僕を守ってくれたし、それでも僕は脱出して炎から抜け出すことができた」

    「もしシャシーが壊れていたら、足がなくなったり、壊れたりしていただろう。僕は立ち上がって出て行くことができなかっただろう」

    「僕たちが事故から学べることはたくさんある。僕の場合、僕が生きているのはラッキーなことだ。僕は話すことができるし、すべてを覚えている」

  • F1特集:F1の安全性…ドライバーを守る安全装備とマシン構造

    F1特集:F1の安全性…ドライバーを守る安全装備とマシン構造

    現代のF1は極めて高い安全性を実現していると言われるが、ドライバーはどのような装備やマシン構造に守られているのだろう?

    “Motorsport is dangerous(モータースポーツは危険です)” — この言葉はガレージに出入りする全員が携帯するパドックパスやファンたちが手にするチケットにも記されている。

    この危険を少しでも取り除いていくことが毎年変わることのないF1の課題だ。極めて高度とされる現代F1の安全性は、重層的で多世代に渡る取り組みの上に成り立っている。

    時速300kmでクラッシュに巻き込まれた直後のドライバーが観客へ手を振り、メディアの取材に応じる姿に我々は慣れきっている。あまりにも日常的な光景と化しているがゆえに、深刻なアクシデントが起きればいっそうショッキングに受け止められる。現状の安全対策に甘んじるなと言わんばかりに、そのような重大事故は今も十分な頻度で起きている。

    F1は世界最高峰のモータースポーツという地位を活かし、安全性への総合的な取り組みを促進している。F1は安全装備を手掛けるメーカーやF1開催サーキットへ安全性のさらなる向上を働きかけながら、定期的にルール改訂を実施してマシンとレース運営の安全性をさらに高めている。その目的は、マシン / 装備 / レース運営 / サーキットなどのあらゆる分野が連携して機能する重層的セーフティネットの実現だが、各分野にはクリアしなければならない独自の項目がある。

    F1における安全性向上のためのリサーチの大半には日が当たらない。安全対策が問題なく機能している間は注目されないからだ。そこで今回は、F1の高度な安全性を支える装備やマシン構造にスポットを当てていく。

    【ドライバーの安全装備】
    ヘルメット
    ヘルメットはF1初の安全装備だが、長い年月をかけて数多くの進歩を果たしてきた。FIAが定める最新ヘルメット規格【8860-2018】は2019シーズンから準拠が義務付けられている。この規格で重点が置かれているのは使用素材よりも、デザインが認可されるために必要な一連の試験で、衝突保護 / 圧搾保護 / 耐貫通 / 浸漬 / アタッチメント類の機械的強度 / 難燃性など様々な分野が含まれている。

    2009シーズンのハンガリーGPで起きたフェリペ・マッサの事故 — この事故では間違いなくヘルメットが彼の命を救った — を受けて安全基準が引き上げられ、バイザー上部にザイロン製パネルの装着することが義務づけられたが、現行の【8860-2018】規格ではバイザー上部にあった保護構造がヘルメット内側へ移動し、バイザー開口部が狭められている。

    さらに、【8860-2018】規格は状況ごとの耐衝撃性の向上も求めている。近年は衝突試験の速度が高まり続けているが、新規格は低速度での衝突試験も規定している。ヘルメット帽体に用いられる素材は低速度の衝撃が加わると異なる反応を示すからだ。また、側面からの衝撃が加わった場合にヘルメットがコックピット周囲の安全装備と連携して機能するように、現在は側方衝突試験も新たに実施されている。

    グローブ
    FIAメディカルカーのドライバーを務めるアラン・ファン・デル・メルヴェとFIA救急医療コーディネーターを務めるイアン・ロバーツ医師が、現在F1ドライバー全員が装着している生体計測グローブを開発したあと商用化のためにSignal Biometricsを共同設立した。

    この生体計測グローブが開発される契機となったのは、2015シーズンのロシアGPで起きたカルロス・サインツのクラッシュだった。サインツのマシンはTecPro製バリアに埋まる形でクラッシュしたため、デブリを排除するまで救急医療クルーたちはドライバーの状況を確認できなかった。現在は、グラベルでマシンが転覆する、マシンがタイヤバリアに埋まる、複数のマシンがアクシデントに巻き込まれるなど、ドライバーの元へすぐに向かえない状況では、グローブから送信されるデータが緊急医療クルーにドライバーの容態を伝える。

    血中酸素濃度を計測する光学センサーが生体計測グローブの核となるテクノロジーで、産業用グレードのBluetooth(汎用Bluetoothより通信距離が長く、より堅牢な構造となっている)経由でデータを送信する。この生体計測グローブの登場により、救急医療クルーはドライバーの呼吸を非接触モニタリングして救出作業を策定できるようになっている。

    レーシングスーツ
    ドライバーが身を包むレーシングスーツは難解な課題だ。レーシングスーツに求められる第一の機能は当然ながら耐火性能だが、同時にドライバーは軽量で通気性を備えたレーシングスーツを必要としている。しかし、着心地だけがその理由ではない。

    ドライバーはレーシングスーツに身を包んでコックピットで長時間を過ごすが、コックピット内の気温や外気温が非常に高くなる場合も少なくないため、疲労や脱水症状に見舞われるリスクが高いからだ。そして、このような症状に陥ればドライバーのメンタルが低下してしまう。混沌としたサーキットでコンマ数秒の決断を下さなければならない状況でこれは命取りになる。

    2020シーズンに義務付けられたFIAの最新衣料用規格【8856-2018】は、レーシングスーツだけでなくブーツやグローブ、バラクラーバ、アンダーウェアを含むあらゆる装備品が準拠しなければならない。【8856-2018】規格は、従来の高密度素材から僅かな軽量化が実現できるより軽量でタイトなフィッティングの素材への移行を明確に示しており、伸張時での試験を含む厳格な熱伝導指数(HTI)試験をクリアできる軽量な人工繊維(Nomexなど)を素材に指定している。

    HANSデバイス
    20世紀末までのレーシングドライバーの死因の多くを占めていたのが、正面衝突で頭蓋底部の複数の骨が損傷してしまう頭蓋骨骨折だった。HANS(Head and Neck Support)デバイスの登場は、このような損傷の発生をほとんど一夜にしてゼロにした。2001年にFIAの認可を受けたHANSデバイスは2002シーズンからF1に採用され、2003シーズンに装着が義務付けられた。

    1994シーズンのイモラでローランド・ラッツェンバーガーを襲った類いの頭蓋骨骨折はシートベルト装着の望ましくない弊害と言える。正面衝突では、ショルダーベルトがドライバーの胴体を押さえつける一方、押さえつけられていない頭部は前方へ突き出されてしまう。シートベルトが肩を後方・下方へ押さえているのに頸部だけ伸ばされてしまうので、頸部が繋がっている頭蓋骨と肩に負荷がかかる。何らかの対策が必要なエリアであり、頭蓋底部はウィークポイントだ。

    頭部の重量を増やし、頭部と肩への負荷を高めるヘルメットは、このような状況でのダメージをより深刻なものにしてしまうが、HANSデバイスという画期的なソリューションを生み出す基盤となった。現在はヘルメットにアンカーポイントが設けられており、HANSデバイスの上部が強固なテザーでそこに締結されるようになっている。HANSデバイスの下部はショルダーベルトの下に装着され、胴体にかかる負荷を分散させる。

    正面衝突が起きると、HANSデバイスが固定された胴体に連動する形で頭部が前に動くのを抑え、頸部にかかる負荷を軽減する。このような機構を備えているHANSデバイスは頭蓋骨骨折による死亡事故のゼロ化に成功しており、レースに関わる医療関係者を含めた様々な方面から「シートベルト以来最高の安全装備」と称賛されている。

    【マシンの安全装備】
    サバイバルセル(モノコック)
    F1マシンの安全性の重要な要素となっているのが、ドライバーが着座するサバイバルセルだが、これは “モノコック(あるいはタブ)” としてより広く知られている。F1マシンは、アクシデントが起きると他のパーツが衝突エネルギーを分散してモノコックを守るように設計されている。フロントとリアのクラッシャブルストラクチャー(衝撃吸収構造体)が潰れてエネルギーを吸収し、エンジンとギアボックスは衝撃が加わる方向を逸らすため、ドライバーはより的確に減速する余裕が得られる。

    カーボンコンポジットで作られたモノコックは非常に薄いが硬く、極めて軽量だ。しかし現在はヘイローの装着で重量が増しており、ノーズコーンやサスペンション、トラックサイドの物体からの衝撃がコックピットまで貫通するのを防ぐザイロン製貫通防止パネルも追加されているため、最近のモノコックはかつてほど軽量ではない。

    また、モノコックにはドライバーやマーシャルが作動させる消火システムも備わっている他、メディカルウォーニングランプがモノコックに深刻な衝撃が加わったことをマーシャルに知らせるようになっている。このランプが点灯している場合、ドライバーの脱出には専用プロセスが用意される。

    モノコックは強大な衝撃によるダメージを受け止められるが、ほとんどの場合、クラッシュ後のファクトリーでの徹底的な非破壊検査と補修を終えれば再利用できるようになる。ダメージを受けていない時もチームは使用可能なモノコックをローテーションしており、実戦から外れたモノコックはファクトリーに戻され、ペイントを剥がされたあとリペイントされている。とはいえ、全損しない限り別のモノコックへの交換を断固拒否する “ゲン担ぎ系” ドライバーも存在する。

    ノーズコーン
    フロントとリアのクラッシャブルストラクチャーはオフシーズンの大きな話題になる。なぜなら、サーキット走行より先にクラッシュテストを通過しなければならないからだ。他の業界では、安全性テストは製品が大幅にクリアすることが望まれる “最低基準” として扱われている。ところが、F1のクラッシャブルストラクチャーは事情が異なる。FIAのクラッシュテストは極めて厳格で、通過するのは困難だ。また、基準を大幅にクリアすることを望んでいるチームもいない。なぜなら、それは、厳密に規定されている重量を超過していて、オーバースペックなことを意味するからだ。

    マシンのノーズ部分は近年特に興味深いエリアとなっている。安全関連のレギュレーションが規定するノーズ形状が各チームの空力技術者が理想とする形状と一致していないからだ。

    1990シーズンに投入されたティレル019はハイノーズコンセプトを導入し、F1エアロダイナミクスにおける重要な転換点となった。ノーズを高い位置にマウントし、パイロン経由でフロントウイングを装着すれば、マシン底面へ取り込める空気量が増す。しかし、ハイノーズは側面からの衝突への危険性が明らかに高まることが問題だった。また、他のマシンのリアタイヤに乗り上げて “発射台” のようにマシンが宙に浮いてしまう危険性も高かった。2007シーズンのカナダGPでロバート・クビサが引き起こしたクラッシュと2010シーズンのヨーロッパGPでのマーク・ウェバーの大クラッシュは典型的な例だ。

    これを受けて、現在のF1では低いノーズコーンがレギュレーションで規定されているのだが、空力技術者はシャシー前部を高くしたいと考えている。この結果として登場したのが、美観的には褒められない段差付きノーズだった。そして驚くようなロングノーズ化を経てレギュレーションが改訂されると比較的落ち着いたデザインにまとまり、全員が胸を撫で下ろすことになった。

    シートベルト
    F1マシンのシートベルトは複雑で、どことなくハイクオリティに見える。FIAはシートベルトについて厳格な数値を定めているが、その数値内に収まっている限り、ドライバーはシートベルトのサプライヤー(Sabeltとレッドブル・レーシングのパートナーシップは16年目を迎えた)と組んで自分専用ハーネスを製作できる。

    サプライヤーと長期的なパートナーシップを結ぶメリットのひとつは、改良履歴をフォローできる点だ。ハーネスはF1マシンの中では大型コンポーネントのひとつで、他のパーツと同様に軽量化への欲求が常にある。Sabeltは2005シーズン当時1kgもあったハーネスを地道に再設計し続け、厳格化の一途を辿る規定をクリアしながら現在では480gという世界最軽量レベルのハーネスを実現している。この6点式シートベルトは2階建バスを吊るせるほど頑丈だ。

    Sabeltがこのような素晴らしい結果を残せている理由は、彼らが自社製品の強度と機能を検証するためにFIAの安全試験を再現できる動的試験施設を社内に備えている業界唯一の企業だからだ。このFIAとの密接な関係は安全基準の設定には不可欠だ。この関係のおかげで、F1ドライバーからアマチュアレーサーまでの全員に同一の厳格な試験と品質設定値を適用できている。

    6点式シートベルトは非常にタイトなので、所定のポジションに固定されてコックピットの一部と化したドライバーが自分でバックルを締められる余地はほとんどない。多くのドライバーがシートベルトを締める作業で “ゾーン” に入ると語っている。ドライバーには自分でベルトを締められる可動域が残されていないので、この作業はメカニックが担当している。マックスの場合は、グリッド上でシートベルトを締めるのはオーレ・シャック(フロントエンド担当メカニック)の仕事だ。

    「レースやコンディションによって異なりますが、マックスの準備が整い次第シートベルトを締めています。通常ならスタートの8〜10分前ですね」とオーレは語る。
    「作業はひとつの流れになっていて、どのレースでも同じです。マックスのシートベルトを締め、彼を快適な状態にして、ドリンクボトルや無線を繋げ、すべてが正常な状態か確認します」

    「ドライバーから話しかけられない限り、私から話しかけることは絶対にありません。ちょっとしたアイコンタクトがあったり、ドライバーから話しかけてきたりする時もありますが、基本的にはドライバーの時間で、彼らは “ゾーン” に入る必要があります。優勝を決めるパットに臨もうとしているゴルファーに話しかけるキャディなどいないでしょう。それと同じですよ」

    コックピット
    コックピットにはシートベルト以外にもプロテクションが存在する。ドライバーは衝撃発生時の打撲を防ぐためにニーパッドを装着しており、シートベルトを締めたあとにヘッドレストも装着される。

    ヘッドレストの外殻は薄いカーボン複合素材で、内部にはウレタンフォームが詰められている。ウレタンフォームには特定の気温帯ごとに優れた衝撃吸収機能を発揮する素材が使用されている。そのため、FIAがセッション開始前に気温を公式発表し、チームがその気温に最適なヘッドレストを装着している。外気温が30°Cを上回る日はブルーのウレタンフォームが用いられ、30°Cを下回る日はピンクのウレタンフォームが用いられる(冬季テストなどの寒冷時に用いられる薄いブルーのウレタンフォームも存在する。2020シーズンのアイフェルGPでも使用された)。

    ヘイロー
    マシンのフロントとリアに加えられた他のどの変更部分よりも大きな議論を呼んだのがヘイローの導入だろう。ヘイローは様々なオープンホイール・レースで発生した数多の死亡事故やニアミスが契機となって生まれた。

    ヘイローはマシン同士の衝突、マシンと周辺環境の衝突、そしておそらく最も重要な、飛散物 — 特にタイヤ(これに限らないが)やアクシデント時に飛散する大型破片 — との衝突からドライバーを保護するために設計されている。ヘイローは第2のロールストラクチャーで、セーフティセルの肩部に取り付けられるフープと、コックピットの開口テンプレートの前部中央に取り付けられるピラーで形成されている。

    中空のチタン製構造物は重さ20kgのホイールが時速225kmでぶつかる衝撃にも耐えられるが、衝撃だけでなく圧搾にも対応できる。ヘイローが導入された2018シーズン当時、マシンデザイナーに与えられた最大の課題はヘイローの装着によるコックピット周辺のボリューム増加だった。ヘイローのホモロゲーション試験は厳格で、前述の2階建バスをビルの2階からヘイローに向かって落下させてもドライバーは無傷でなければならない。

    ブラックボックス
    F1が長い時間をかけて実現してきた安全性の進化の多くは悲劇がきっかけだというのは逃れようのない事実だ。悲劇が起きる頻度こそ減っているが、依然として失敗からの学び(近年そのような失敗はほぼ無傷に終わっているが)が研究の大部分を占めている。つまり、現代のF1マシンにおける安全性の一部は「現在確認されているクラッシュ」のためではなく、「これから起きるクラッシュ」を防ぐために存在している。

    ヘイローの機能のひとつに、ドライバーの頭部に向けられているハイスピードカメラがある。このハイスピードカメラはアクシデントデータレコーダー、つまり “ブラックボックス” にデータを記録する。また、このブラックボックスにはドライバーが両耳に装着している小型加速度計をはじめとする主要センサー群からのデータも記録される。

    当然ながら、ドライバーの安全装備やクラッシュの衝撃を軽減するためのマシンデザインはサッカーで言うところの「ディフェンスライン」に他ならない。F1はクラッシュの負荷軽減よりもアクシデント自体の発生を抑えることを目的とした組織とサーキットの安全対策に大きな力を割いている。

  • アルファタウリ・ホンダF1、レッドブルRB16のリアエンド採用を見送り

    アルファタウリ・ホンダF1、レッドブルRB16のリアエンド採用を見送り

    アルファタウリ・ホンダF1は、F1レギュレーションで開発トークンを使用せずにアップグレードすることが許可されているにも関わらず、2021年F1マシンのリアエンドをレッドブル・レーシングの昨年マシン『RB16』のものにアップグレードしないことを決定した。

    2021年は基本的に昨年と同じシャシーがそのまま持ち越され、2つのトークンを使用した開発に制限されている。

    だが、2020年にテクニカルパートナーから提供された1年前(2019年版)のノン・リステッドパーツを使用していたアルファタウリとレーシング・ポイントは、トークンを使用せずに2020年仕様にアップグレードすることが許可され、物議を醸していた。

    ハースF1チームは、フェラーリが提供するノン・リステッドパーツを使用しているが、2020年にフェラーリと同じ最新のパーツを使用していたため、これを利用することはできない。

    だが、F1イタリアGPでピエール・ガスリーが優勝し、定期的にミッドフィールドでポイントを争ったアルファタウリ・ホンダは、AT01のリアエンドをそのまま使用し、リソースをフロントエンドに集中させることを計画している。

    「このリアエンドを引き継ぐつもりだ」とアルファタウリ・ホンダF1のテクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントンは The Race に語った。

    「我々はそれについて長い間懸命に考えてきた。スウィートショップに行って好きなものを選ぶことができるのはとてもいいことだが、我々が開発したいエリアはマシンの反対側にある」

    「来シーズンは、2022年のクルマに多大な労力を費やさなければならないため、リソースと予算を賢く使う必要がある。基本パッケージに違和感はないので、我々は自分たちが開発するエリアに非常に重点を置いている」

    2020年仕様のレッドブルRB16のリアエンドを採用しても、アップグレードトークンは消費されないが、マシンの他のエリアに変更を加える必要が出てくる。また、レッドブルRB16はシーズン序盤にフロントエンドの開発に失敗してリアエンドが不安定だった。そのリアエンドに合わせてフロントエンドを設計し直すのは大きなリスクとなる。

    アルファタウリ・ホンダF1が、パッケージのその側面で安定性を保つという決定は、特にタイヤの能力を超えて成長するダウンフォースレベルを削減するように設計された2021年の空力ルール変更の追加の課題を考えると論理的なものとなる。

    「トークンを使わなくて済むものもあれば、トークンを使う必要のあるものもあります」とジョディ・エギントンは語る。

    「我々はデューデリジェンスを行い、リソースをどこに費やすかを決定した。新しいリアエンドをパッケージ化するために多くの作業を行うこともできれば、そのリソースをマシンのフロントに配置して、次の何かを行うこともできる」

    「大規模なアップグレードが必ずしも正しいとは限らない。スウィートショップに行くが、それをすべてをパッケージに統合する必要がある。『なぜ悩むことはある?』と考えているかもしないが、我々にとってはそうではない。ミスをしたり、マシンの他のパーツのリドースが不足する可能性だってある」

    「我々は上級の設計およびエンジニアリングチームがおり、しっくり検討し、どのエリアを攻撃するのかを尋ねることができる。最大の利益はどこにあるのか? 予算とリソースをどこに展開したいのか? 我々はそれらの決定をかなりうまく管理できたと思う」

    レッドブルのコンポーネントを使用しているにもかかわらず、アルファタウリは独自の空力コンセプトに従い、特にインボードフロントウィングコンセプトに完全にコミットしている。これはレッドブルのコンポーネントがすべてメリットを提供するというのは当然の結論ではないことを意味している。

    アルファタウリ・ホンダ AT01は、2020年に比較的ドライバーに優しいマシンであることが証明された。目標はそれに基づいて構築することであり、基本的に優れているマシンに不注意に弱点を設計するではない。そのため、レッドブルからアップグレードを受け取るのではなく、アルファタウリの目的と開発機能に最適なものに基づいて決定された。

    アルファタウリは、成功したパッケージに基づいて構築し、チームの運営方法をさらに改善することで、パフォーマンスが向上し、マシンがよく理解されるようになることを期待している。

    「それのいくつかは、我々がマシンで進めたい方法と実際には一致していない」とジョディ・エギントンは語った。

    「パフォーマンスでターゲットにしているエリアは、昨年ターゲットにしたものと同じだ。ひどい弱点はない。すべてのエリアでバーを高く移動する必要がある」

    「我々はチームとして改善するためにいくつかのステップを踏み出したが、次のステップを踏む必要がある。結果を出せなかったレースをなくし、本来の結果を出す必要がある。我々は本当に良くなる方法を学ぶ必要がある」

    「トラックサイドエンジニアリングチームは素晴らしい仕事をした。結果が出なかったイベントもあれば、素晴らしい戦略判断によって実力以上の結果を出すことができたイベントもあった」

    「エンジニアは必要なときにセットアップに関して勇気を持っており、ドライバーと本当にうまく機能してきました。それがチームの強みのひとつだと思っている」

    「政治もスーパースターもない。しかし、我々にあh取り組まなければならないことがある。チームは新しいチームではないが、それでもかなり若いチームだ。だから、我々は自分の過ちから学ぶ必要がある」

  • レッドブル・ホンダF1、2021年のフロア規定の変更は不利との下馬評

    レッドブル・ホンダF1、2021年のフロア規定の変更は不利との下馬評

    レッドブル・ホンダF1は、フロア面積を減少するレギュレーション変更によって2021年に向けてすでに不利な状況にあると予想されている。

    新型コロナウイルスの影響を鑑みて、2021年は基本的には今年使用したシャシーがそのまま使用されることになっているが、FIA(国際自動車連盟)はマシンのパフォーマンスに重要な影響を与える可能性のあるいくつかの変更を加えた。

    この変更は全く異なるタイプのマシンコンセプトを採用するメルセデスとレッドブル・ホンダとの戦いに影響を及ぼすと考えられている。

    2021年の最大の変更はフロアにあり、ダウンフォースは約10%削減されるとされている。FIAはピレリタイヤへの負荷が増加することを考慮した安全のためにこの変更を決定した。

    今シーズンまで、フロアは、シャシーの最も広いポイント(コックピット端)からリアタイヤまで直線に走っていた。近年、マシンのリアが細くなるにつれて、フロアの端は構造的に“役に立たない”ものになっていた。

    しかし、それらがまだそこにあるという事実は、フロアが生成する可能性のある大量の下向きの圧力と関係している。フロアの傾斜角(レーキ)は、ディフューザーと連動して、マシンの下に負圧を発生させ、いわば地面を吸い込む。

    だが、来シーズンからF1チームはコックピットから後輪まで床のこの部分を斜めにカットする必要がある。その場合、フロアは後輪でさらに10センチ内側になる。下の写真の緑色の三角形は、フロアのどの部分が消えるかを示している。

    レッドブル・ホンダF1、2021年のフロア規定の変更は不利との下馬評

    フロアを部分的に取り除くことに加えて、フロアの残りの部分のすべてのスロットと穴も禁止されている。それらも可能な限り多くの下向きの圧力を生成するためにそこに配置されていた。全体として、この変更によってマシンは1周あたり約0.5秒遅くなると推定されている。

    これらの規定は全F1チームで同じだが、効果は決して同じではない。ほとんどのF1チームは異なるホイールベースを採用しており、フロアのサイズも異なる。またチーム間で“レーキ角”にも違いがある。

    レッドブル・レーシングとメルセデスはその点で反対のコンセプトを採用している。メルセデスのホイールベースは長く、地面に対して比較的フラットだが、レッドブルは比較的ホイールベースが短く、過度に前傾している。言うまでもなく、フロアの一部を切り取っても、両方のチームに比例した影響はない。

    現時点で、その効果が正確に何であるかは両チームの風洞のみでわかる。確かなことは、メルセデスはフロアのより大きな部分が消えることだ。彼らは主にフロア面積の増加に依存してダウンフォースを生成しているので、一見すると、このルールの変更によってより大きな打撃を受けると考えられる

    しかし、レッドブル・レーシングは、ホイールベースが短いため、フロアのより大きな割合を失うことになる。さらに重要なことに“ハイレーキ”のコンセプトによって、レッドブルは1平方センチメートルあたりより多くの負圧を生成しているため、1平方センチメートルが消えるごとに、メルセデスよりも比較的多くの下向きの圧力が失われることになる。

    もちろん、これらは単なる仮定であり、実際にそれがどれくらいの損失になるかを正確に知っているのはミルトンキーンズの風洞の空力スペシャリストだけだが、これらの仮設に基づけば、レッドブルの方が2021年に向けてすでに不利な立場にあると考えられている。

  • F1ドライバーのクラッシュによる損害は30億円:2020年のF1世界選手権

    F1ドライバーのクラッシュによる損害は30億円:2020年のF1世界選手権

    2020年のF1世界選手権でクラッシュした全F1ドライバーの損害を合計すると2840万ドル(約30億円)に相当するという興味深い数値を Formula 1 subreddit が算出した。

    クラッシュはモータースポーツの一部だが、2020年のF1世界選手権でも、芝生、グラベル、ウオールで定期的にF1マシンがクラッシュした。

    Formula 1 subreddit の調査によると、20人のレギュラーF1ドライバーの損害を合計すると2840万ドルを被ったという。これはドライバー1人あたり約140万ドル(約1億4500万円)、レース週末あたり約167万ドル(1億7300万円)に相当する。

    2020年のF1世界選手権では5名のドライバーが200万ドル以上の損害をもたらした。F1バーレーンGPでのクラッシュでマシンのほぼすべてが燃えたロマン・グロージャン(ハース)は唯一300万ドルを超えた。

    ランス・ストロール(レーシング・ポイント)、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)、カルロス・サインツ(マクラーレン)が200万ドルを超えたドライバー。ちなみに責任の所在は計算には考慮されていない。例えば、ムジェロでタイヤがパンクしてクラッシュしたストロールの損害も彼の費用に含まれている。

    ビッグネームの中でチームに最も大きなダメージを与えたのはシャルル・ルクレール(フェラーリ)で190万ドル。マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)でさえ150万ドルの損害をもたらした。実際に彼の責任でのクラッシュはハンガリーGPでグリッドに向かう途中のクラッシュだった(30万ドルの損害)。

    一方、メルセデスのドライバーは、バルテリ・ボッタスが50万ドル、ルイス・ハミルトンが17万ドルと混乱をほとんど回避することができた。

    ロマン・グロージャンのクラッシュによってチーム別ではハースが約500万ドルと最多の損害となる。これにはエンジンへの被害は含まれていない。2位にはレッドブル・ホンダが約420万ドル、3位にはレーシング・ポイントが約340万ドルで続く。

    “最も高価”なグランプリは、ムジェッロで開催されたF1トスカーナGPだった。このレースでは、リスタートの1つで数台のマシンがクラッシュした。“最も安い”グランプリはアブダビGPで、1ドルのダメージもなかった。

    F1ドライバーのクラッシュによる損害
    1.ロマン・グロージャン(ハース) – 300万ドル
    2.ランス・ストロール(レーシング・ポイント) – 290万ドル
    3.アレクサンダー・アルボン(レッドブル) – 270万ドル
    4.アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ) – 260万ドル
    5.カルロス・サインツ(マクラーレン) – 230万ドル
    6.ケビン・マグヌッセン(ハース) – 190万ドル
    7.シャルル・ルクレール(フェラーリ) – 190万ドル
    8.ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ) – 170万ドル
    9.マックス・フェルスタッペン(レッドブル) – 150万ドル
    10.ダニエル・リカルド(ルノー) – 140万ドル
    11.ダニール・クビアト(アルファタウリ) – 130万ドル
    12.ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ) – 100万ドル
    13.セバスチャン・ベッテル(フェラーリ) – 80万ドル
    14.キミ・ライコネン(アルファロメオ) – 80万ドル
    15.ランド・ノリス(マクラーレン) – 50万ドル
    16.バルテリ・ボッタス(メルセデス) – 50万ドル
    17.エステバン・オコン(ルノー) – 40万ドル
    18.セルジオ・ペレス(レーシング・ポイント) – 40万ドル
    19.ピエール・ガスリー(アルファタウリ) – 40万ドル
    20.ルイス・ハミルトン(メルセデス) – 20万ドル

  • レッドブルF1、2022年のバイオ燃料E10の導入延期を望む

    レッドブルF1、2022年のバイオ燃料E10の導入延期を望む

    レッドブルF1のチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、F1に新しいパワーユニットが導入されるまでガソリン内のバイオエタノールの混合率を増やすことが延期されることを望んでいる。

    2022年まで延期された新しいF1レギュレーションでは、パワーユニットに使用されるバイオ燃料のエタノール混合率を現在の7.5%から10%に増やしたいわゆる『E10』を使用することが記されている。また、2026年(おそらく2025年に前倒し)に導入される新世代のF1パワーユニットでは100%のバイオ燃料を使用することが計画されている。

    しかし、2021年末にF1から撤退するホンダからF1エンジンを引き継ぐことができるように2022年からF1エンジンの開発を凍結することを推進しているレッドブルは、バイオ燃料の使用量の増加への対応には消極的だ。

    バイオ燃料E10が導入されれば、事実上エンジン開発の凍結は無効となり、2022年に使用される新しいシャシーの開発と並行して、エンジン側に作業が必要となる。

    バイオ燃料E10の導入について質問されたクリスチャン・ホーナーは「私としてはE10燃料を使わないことを好む」と語った。

    「2022年の開発の直接的な要件であり、現在の燃料にさらに5%を増やしてE10で使用する代わりに、新しいエンジンで完全に持続可能なコア燃料を導入する方が好ましい」

    「2026年(2025年になる可能性がある)に完全に持続可能な燃料を使うことが大きなメッセージであるかどうかは私にはわからない」

    「その燃料を導入することには結果があり、その結果には必然的に費用がかかるのは明らかだ」

    メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、メルセデスとしては「E10にするかどうかには実際にはかなり中立だ」と述べている。

    F1のパワーユニットメーカーは、テストを開始するために完全に持続可能なバイオ燃料の最初のバレルを受け取った。FIAのテクニカルディレクターを務めるジル・サイモンは、実際の目的は、2025年または2026年に登場する次世代のパワーユニットではなく、2023年までにこれらの新しい燃料を使用できるようにすることであると述べている。

    「私たちはまだ完全な計画を完了していないが、私が言えることは、我々の目標は2023年に100%持続可能な燃料を導入することに取り組んでいるということだ」とジル・サイモンは FIAの情報誌 AUTO に語った。

    「我々は進歩しているが、現時点ではそうなるとは言えない。2023年に100%持続可能な燃料を使用すると言うのは時期尚早だ。しかし、それが私たちが試み、達成しようとしているだ」