投稿者: dbcheck

  • アストンマーティンF1がニューウェイを信頼 MP4-20をモンスターに変えた開発秘話

    アストンマーティンF1がニューウェイを信頼 MP4-20をモンスターに変えた開発秘話

    2026年シーズンのアストンマーティンF1は、ここまでわずか1ポイントと苦戦が続いている。それでもチーム内部では悲観論よりも、エイドリアン・ニューウェイが主導する開発計画への信頼が揺らぐことはない。

    その理由を語ったのが、チーム広報で元F1ドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサだ。かつてマクラーレンでニューウェイと仕事をした経験を持つ彼は、2005年の名車「MP4-20」が最速マシンへと進化した舞台裏を明かし、アストンマーティンも必ず復活できると確信している理由を説明した。

    「アップデートなし」でも揺るがなかったチーム
    アストンマーティンはAMR26の根本的な改善を優先するため、小規模なアップデートを繰り返すのではなく、大型パッケージをハンガリーGPまで温存してきた。

    その結果、シーズン前半は最後尾付近で苦戦を強いられたが、デ・ラ・ロサによれば、チーム内では当初からその計画が共有されていたという。

    「雰囲気が変わったとは思わない。シーズン開幕からずっと同じだ」

    「僕たちは目標から大きく離れていることを理解していた。そしてチーム全体で計画を立て、その計画に向かって取り組んできた」

    「アップデートを投入しない期間は苦しかった。でもチームの雰囲気は変わらなかった」

    「僕たちは団結し、良い仕事を続けてきた。そして何を、いつ行うのかを全員が理解していた。それが非常に重要だった」

    「簡単な状況ではなかった。こういう時こそ組織は崩れやすい。でも僕たちはまとまり続け、必ず立て直せるという自信を持ち続けてきた」

    ニューウェイは20年前と何も変わっていない
    デ・ラ・ロサは2000年代前半、マクラーレンでテストドライバーを務め、ニューウェイとともにMP4-17D、幻に終わったMP4-18、MP4-19、そしてMP4-20の開発に携わった。

    その経験から、現在のニューウェイも当時と全く変わっていないという。

    「彼は本当に優秀だ。それがエイドリアンなんだ」

    「工場でもそうだし、チーム全員やランス(ストロール)、フェルナンド(アロンソ)と話す時も、何も飾らず率直に話す」

    「だからこそ優れたリーダーなんだ。今のような状況で最も重要なのは、全員が計画を理解していることだからだ」

    「世間は彼のインタビューを見て驚くかもしれない。でも僕たちは驚いていない。チーム全員が同じ情報を共有していたからだ」

    「だからランスもフェルナンドも落ち着いて仕事を続けられている」

    MP4-20を変えた「6度」の発見
    デ・ラ・ロサは、ニューウェイの能力を象徴するエピソードとして、2005年開幕戦オーストラリアGPでの出来事を紹介した。

    当時、金曜フリー走行でMP4-20を走らせていたデ・ラ・ロサに対し、ニューウェイは最も難しいコーナーを尋ねた。

    「彼は『一番ひどいコーナーはどこだ?』と聞いてきた。僕は『ターン1だ。これ以上速く走れない』と答えた」

    「すると彼は『なぜ速く走れない?』と聞いた。僕は『もっと攻めるとアンダーステアが強くなるからだ』と説明した」

    さらにニューウェイは、ステアリングをもっと切れないのかと質問した。

    「僕は『もちろん切れる。でもある角度を超えると急にステアリングが軽くなり、フロントグリップがなくなる』と答えた」

    ニューウェイは、そのステアリング角を実際に再現するよう求めたという。

    「僕がその角度を見せると、彼はメモを取りながらこう言った」

    「『6度以上のステアリング角については風洞データがない。クルマは6度までしか設計されていない。だから君の話は完全に理にかなっている。その領域は未開拓だから改善しよう』」

    マクラーレン MP4-20

    数戦後には最速マシンへ
    ニューウェイは、その問題を解決するため数戦後にフロントウイングを改良した。

    その結果、MP4-20は2005年シーズン最速クラスのマシンへと生まれ変わった。

    「数戦後、彼はフロントウイングを改良した。それがMP4-20の物語だ」

    「僕たちは2005年最速のマシンになった」

    「チャンピオンを獲れなかったのは主に信頼性の問題だった。でも速さは間違いなく一番だった。本当にモンスターだった」

    データだけでは速くならない
    デ・ラ・ロサは、ニューウェイ最大の強みはデータだけに頼らないことだと説明する。

    「彼はドライバーと話し、質問し、フィードバックを書き留め、必ず解決策を持って帰ってくる」

    「彼はデータだけではなく、人間の感覚も信頼している」

    「当たり前に聞こえるかもしれない。でも今のF1はデータ主導の世界だ。ドライバーの話を聞くエンジニアは多いが、エイドリアンほど細部まで掘り下げる人はいない」

    「結局、ドライバーが『なぜこれ以上速く走れないのか』という理由は、センサーやデータだけでは分からないこともある。それを理解できるのが彼なんだ」

    「彼なら必ず立て直せる」
    ハンガリーGPではAMR26の大型アップデートに加え、ADUO制度によるホンダ製パワーユニットの性能向上も投入される見込みとなっている。

    デ・ラ・ロサは、現在の苦境は過去にも経験してきたものであり、ニューウェイなら再び状況を変えられると確信している。

    「彼は何が悪いのか、どの部分に問題があるのか、そしてその理由を正確に見極められる」

    「その能力があるからこそ、チーム全体が『必ず立て直せる』と信じられるんだ」

    「2003年にマクラーレンで一緒に仕事をしていた時も同じだった。エイドリアンと話をすると、『僕たちは正しい方向へ進んでいる』と誰もが確信できた」

    「彼は何をすべきかを理解し、それを実現できる人なんだ。だから僕たちは前へ進み続けるだけだ。特別な秘密なんてないよ」

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  • MotoGPドイツGP マルク・マルケスがザクセンリンク10勝目 小椋藍2位表彰台

    MotoGPドイツGP マルク・マルケスがザクセンリンク10勝目 小椋藍2位表彰台

    2026年MotoGP第11戦ドイツGP決勝が7月12日にザクセンリンクで開催され、ドゥカティ・レノボのマルク・マルケスが優勝を飾った。スプリントに続く週末完全制覇を達成するとともに、最高峰クラスで同一サーキット10勝目を記録し、ジャコモ・アゴスチーニが保持していた最多記録に並んだ。

    小椋藍(トラックハウス・アプリリア)は力強いレース運びで2位表彰台を獲得。タイトルリーダーのホルヘ・マルティンが5位に終わったことで、小椋はサマーブレイクを前に選手権2位へ浮上した。

    マルク・マルケスが歴史的な10勝目
    マルク・マルケスはポールポジションからスタートすると、終始レースをコントロール。ライバル勢が相次いで脱落する中でも安定したペースを維持し、2位の小椋に1.996秒差をつけてチェッカーフラッグを受けた。

    これにより、ザクセンリンクでの最高峰クラス通算10勝目を達成。ジャコモ・アゴスチーニが持つ同一サーキット最多勝記録に肩を並べる歴史的な勝利となった。

    小椋藍が2位でランキング2番手へ
    小椋は序盤から安定した走りを披露し、終盤まで2位を堅持。トラックハウス・アプリリアに今季を代表する好結果をもたらした。

    チームメートのラウル・フェルナンデスも3位に入り、トラックハウス・アプリリアはダブル表彰台を獲得。4位にはレッドブルKTMのペドロ・アコスタが続いた。

    ランキング首位のホルヘ・マルティンは5位でフィニッシュ。終盤はフランチェスコ・バニャイアの追撃を受けながらもポジションを守り切った。

    アレックス・マルケスら有力勢が転倒
    スプリント2位だったアレックス・マルケスは、兄マルクに続く2番手を走行していた10周目、最終コーナーで転倒してリタイア。2003年ドイツGPを制したセテ・ジベルナウ仕様の特別カラーリングで臨んだレースだったが、惜しくも表彰台を逃した。

    ファビオ・ディ・ジャンアントニオもウォームアップでのクラッシュから最新仕様のドゥカティ製エアロパッケージを装着して決勝に臨んだものの、5番手走行中だった4周目に再び転倒した。

    このほかジョアン・ミル、カル・クラッチローも転倒リタイア。マーベリック・ビニャーレスは終盤にマシントラブルでリタイアとなった。

    約10万人が見守る中でサマーブレイクへ
    決勝は全ライダーがフロントにハード、リアにミディアムタイヤを選択し、約10万人の観客が詰めかけたザクセンリンクで30周にわたって争われた。

    今回の結果により、小椋は世界選手権でホルヘ・マルティンに次ぐランキング2位へ浮上。タイトル争いは新たな局面を迎えてサマーブレイクに入る。

    次戦となるイギリスGPは8月7~9日にシルバーストンで開催される予定で、予選中のクラッシュで鎖骨を骨折したマルコ・ベッツェッキの復帰が期待されている。

    MotoGP ドイツGP

    2026 MotoGP第11戦 ドイツGP 決勝結果
    1位 マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ)30周
    2位 小椋藍(トラックハウス・アプリリア)+1.996秒
    3位 ラウル・フェルナンデス(トラックハウス・アプリリア)+5.104秒
    4位 ペドロ・アコスタ(レッドブルKTM)+7.684秒
    5位 ホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)+11.372秒
    6位 フランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ)+11.495秒
    7位 ファビオ・クアルタラロ(モンスター・ヤマハ)+17.560秒
    8位 ルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)+18.683秒
    9位 エネア・バスティアニーニ(レッドブルKTMテック3)+19.140秒
    10位 ブラッド・ビンダー(レッドブルKTM)+22.137秒
    11位 ディオゴ・モレイラ(LCRホンダ/ルーキー)+22.280秒
    12位 ジャック・ミラー(プラマック・ヤマハ)+26.154秒
    13位 フランコ・モルビデリ(VR46ドゥカティ)+30.910秒
    14位 アレックス・リンス(モンスター・ヤマハ)+31.511秒
    15位 トプラク・ラズガットリオグル(プラマック・ヤマハ/ルーキー)+38.122秒
    リタイア マーベリック・ビニャーレス(レッドブルKTMテック3)
    リタイア カル・クラッチロー(LCRホンダ)
    リタイア アレックス・マルケス(グレシーニ・ドゥカティ)
    リタイア ジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)
    リタイア ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46ドゥカティ)

    マルク・マルケスはザクセンリンクで史上最多タイとなる10勝目を挙げ、改めてこのコースでの圧倒的な強さを示した。一方、小椋藍は今季最高レベルの走りで2位表彰台を獲得し、世界選手権ランキングでも2位へ浮上。サマーブレイク後のタイトル争いで存在感をさらに高める結果となった。

  • ウィリアムズF1 カルロス・サインツJr.がBスペックに懐疑「なぜ急に速くなる?」

    ウィリアムズF1 カルロス・サインツJr.がBスペックに懐疑「なぜ急に速くなる?」

    ウィリアムズF1は2026年シーズン後半に大規模アップグレードを投入する計画だが、カルロス・サインツJr.はその効果に懐疑的な見方を示した。

    チーム代表ジェームズ・ボウルズは、アゼルバイジャンGPで投入予定のマシンを実質的な「Bスペック」と表現し、大幅な性能向上に期待を寄せている。しかし、サインツJr.はこれまでの開発成果を踏まえ、「まずは現在のアップグレードが機能しない理由を理解する必要がある」と冷静な姿勢を崩さなかった。

    ウィリアムズF1はバクーで“Bスペック”投入へ
    シルバーストンでジェームズ・ボウルズ代表は、アゼルバイジャンGPで投入するアップグレードについて、実質的に新型マシンと呼べるレベルになると説明した。

    「一番分かりやすく言えば、Bスペックカーだ」

    「新しいシャシーと、それに伴う新しいパーツが投入される」

    さらに、スパ・フランコルシャンとハンガリーでは小規模な改良を行い、その後ザントフォールトで軽量化を含むアップデートを導入すると説明した。

    「そして実際には、バクーではほぼ完全に新しいクルマになる」

    「間違いなく大きな改善になる」

    サインツJr.「今まで良くならなかったのになぜバクーだけ?」
    しかし、カルロス・サインツJr.はその見通しに疑問を呈した。

    サインツJr.は今季を通じてウィリアムズの開発停滞に懸念を示しており、自身の将来を巡る憶測も続いている。

    「バクーでは最低重量に到達できるはずだけど、シーズン開幕からすでにかなり軽量化は進めてきた」

    「アップグレードも投入してきた。でも残念ながら、これまで持ち込んだものが前進になっていない以上、なぜバクーのパッケージだけが大きな前進になるのか、それを示すものは今のところ何もない」

    カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ・レーシング)

    課題は空力開発の方向性
    サインツJr.は、まず現在のアップグレードが期待通りの性能を発揮していない原因を突き止めることが先決だと指摘した。

    「まずは、これまで持ち込んできたアップグレードがなぜ機能していないのかを理解し、その上でバクーへ持ち込む必要がある」

    「重量面では大きな前進になるだろう。でも最終的に重要なのは空力性能だ。その部分については、引き続き答えを探していかなければならない」

    今季のウィリアムズは軽量化では着実な成果を上げている一方、空力アップデートが期待した効果を発揮できていない状況が続いている。チームはバクーで投入するBスペックマシンを巻き返しの切り札と位置付けるが、サインツJr.は原因究明なくして大幅な性能向上は望めないとの考えを示しており、シーズン後半の開発がチームの将来を占う重要な試金石となりそうだ。

  • ミカ・ハッキネン F1引退決意の過去「もう終わりだ」から2連覇

    ミカ・ハッキネン F1引退決意の過去「もう終わりだ」から2連覇

    F1で2度のワールドチャンピオンに輝いたミカ・ハッキネンは、初優勝を挙げる前に現役引退を真剣に考えていたことを明かした。長く続いた未勝利期間とイギリスGPでの痛恨のリタイアが、精神的に限界まで追い込んでいたという。

    しかし、その危機を乗り越えたことが1997年の初優勝、そして1998年、1999年の2年連続ワールドチャンピオン獲得につながった。ハッキネンは、その転機となった出来事を振り返っている。

    7年間勝てず「もう終わりだ」と引退を決意
    ミカ・ハッキネンは1991年にロータスからF1デビューし、その後マクラーレンへ移籍。しかし、初優勝まで実に7シーズンを要した。

    『OFFTRK』ポッドキャストで当時を振り返り、1997年イギリスGPで首位を走行中にエンジントラブルで勝利を逃したことが、引退を考える決定打になったと明かした。

    「1991年にF1へ参戦し、2001年に引退した。初優勝まで7年かかった。それは本当に長かった」

    「毎年が苦しかった。自分ではすべて正しいことをしていると思っているのに勝てないからだ。7年目、シルバーストンでレースをリードしていたが、エンジンが壊れた。そのときマネージャーに『もう終わりだ』と言った」

    「家へ帰る途中、『もう続けられない。僕は終わりだ』と思った。でも彼は『悪かったのは君ではない。壊れたのはエンジンだ』と言って僕を説得してくれた」

    精神面を見直したことが王者への転機
    マネージャーの励ましだけでは気持ちは晴れず、ハッキネンは知人を通じて医師の診察を受けたという。その医師は技術やフィジカルではなく、精神面に原因があると見抜いた。

    「それでも十分ではなかった。そこで友人に『いい医者を知らないか』と聞いた」

    「その医師は僕の話を聞いてくれた。レースに勝てないことだけでなく、遠征中も母や妹、恋人のことを心配していることに気づいてくれた」

    「彼は『どれくらい一緒に取り組みたい?』と聞いたので、『一生だ』と答えた」

    「その年に初優勝し、翌年はワールドチャンピオンになり、その次の年も再びワールドチャンピオンになった」

    挫折が2連覇への原動力になった
    ハッキネンは1997年ヨーロッパGPで悲願のF1初優勝を達成すると、その勢いのまま1998年にはミハエル・シューマッハを破って初のワールドチャンピオンを獲得。翌1999年もタイトルを防衛し、F1史に名を刻む名ドライバーとなった。

    本人が明かしたように、キャリア最大の転機はマシン性能ではなく精神面の変化だった。あと一歩でF1を去るところまで追い込まれた経験が、その後の2年連続タイトル獲得へとつながる大きな分岐点となった。

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  • メルセデスF1の予選新テクニック 0.05秒と失格リスクは紙一重

    メルセデスF1の予選新テクニック 0.05秒と失格リスクは紙一重

    F1イギリスGPでメルセデスが披露した予選での新たなエネルギーマネジメント手法が、ライバルたちの注目を集めている。

    ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリが実践したこのテクニックは、計測ライン直前で一瞬アクセルを戻すという異例の操作によって約0.05秒のタイム短縮を実現するものだ。しかし、その効果の裏には、操作を誤れば予選失格につながりかねない大きなリスクも潜んでいる。

    メルセデスが見つけた新たな抜け道
    この手法の鍵となるのは、2026年から導入された複雑なエネルギーマネジメント規則だ。

    現在のF1では、ストレートでバッテリーを使い切る際に「ランプダウンレート」と呼ばれる制限が設けられている。これは、350kWから突然0kWへ出力を落とすことを防ぐための規定で、出力は1秒あたり最大50kWずつしか減らせない。

    この規則が設けられた理由は、ストレート終盤で前方のマシンが急激に減速することを防ぎ、安全性を確保するためだ。

    しかし、本来であれば計測ラインまで350kWを維持できる区間でも、ラインまでの距離が十分でない場合は途中から300kW、250kW、200kWと段階的に出力を落とさなければならず、最高速の伸びが制限される。

    メルセデスはここに着目し、ドライバーが完全にアクセルを戻した場合はランプダウンレートの適用対象外となる規定を利用。計測ライン直前まで350kWを維持し、アクセルオフと同時に電力供給を終了させることで、通常より早く高い最高速へ到達できるようにした。

    その結果、約0.05秒のラップタイム短縮効果が得られるという。

    一度封じられたアイデアを別の方法で復活
    実はシーズン序盤にも、メルセデスとレッドブル・レーシングは似た発想のテクニックを使用していた。

    当時はMGU-Kを「緊急停止」させることでランプダウンレートを回避していたが、日本GPではその影響でコース上で減速・停止するマシンが現れた。

    これを受けてFIAは、MGU-Kの緊急停止機能は本当の緊急時以外には使用できないと各チームへ通達。この手法は事実上使用できなくなった。

    そこでメルセデスは、MGU-K停止ではなく「アクセルオフ」という別の例外規定を活用し、同様の効果を得る方法を開発した。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    最大の難関はドライバーの操作精度
    一見すると単純なアクセル操作に見えるが、実際には非常に高度なテクニックが要求される。

    重要なのは、バッテリー残量が0%になる前にアクセルを戻すことだ。

    もしバッテリーを完全に使い切った瞬間にMGU-Kが停止すると、出力が一気にゼロとなり、ランプダウンレート違反になる可能性がある。

    その場合は技術規則違反と判断され、予選結果の抹消や最後尾スタートにつながる恐れもある。

    しかも、ドライバーは毎周同じ場所でアクセルを戻せばよいわけではない。

    バッテリー消費量は周回ごとに変化するため、その時点の残量に応じてアクセルを戻す位置も毎回変わる。距離看板や広告看板などを目印にできるものではなく、常にバッテリー残量を把握しながら操作する必要がある。

    シミュレーターと音声システムで成功率を高める
    『The Race』によると、メルセデスはイギリスGP前にラッセルとアントネッリへシミュレーターで繰り返し練習を行わせ、この操作を体に覚え込ませていた。

    さらに、バッテリー残量が設定値まで減少すると、ドライバーのイヤホンへ音声信号を送るシステムも導入。この合図を受けてアクセルを戻すことで、毎周ほぼ最適なタイミングで操作できるようにしていたという。

    ライバルチームもこの手法の存在を把握しており、今後はハンガロリンクなどエネルギーマネジメントの重要性が高いサーキットを中心に導入を検討するとみられる。

    ただし、約0.05秒というメリットを得られる一方で、タイミングがわずかに遅れるだけで技術規則違反となる危険もある。メルセデスが編み出したこのテクニックは、2026年F1におけるエネルギーマネジメント競争の新たな武器となる一方、極めて高いリスクと隣り合わせの戦略でもある。

  • リアム・ローソン F2首位ツォロフ昇格説を一蹴 「噂は気にしていない」

    リアム・ローソン F2首位ツォロフ昇格説を一蹴 「噂は気にしていない」

    リアム・ローソンは、自身のレーシングブルズのシートを巡り、レッドブル育成ドライバーでF2ランキング首位のニコラ・ツォロフへの交代説が浮上していることについて、「まったく考えていない」と一蹴した。

    今季好調を維持するローソンは、ここまで9戦を終えてドライバーズランキング10位、39ポイントを獲得。直近5戦連続入賞を記録し、レーシングブルズのコンストラクターズランキング5位争いにも大きく貢献している。

    一方で、F2ではツォロフが3連勝を達成してランキング首位に立っており、2027年のF1昇格候補として注目を集めている。

    ローソンのシートを巡る憶測が浮上
    ブルガリア出身のニコラ・ツォロフは、シルバーストンでスプリントとフィーチャーレースを制し、F2で3連勝を達成。2012年のダビデ・バルセッキ以来となる快挙を成し遂げたことで、一気にF1昇格候補として名前が挙がるようになった。

    その結果、一部ではツォロフが2027年からレーシングブルズのシートを獲得するとの報道も流れている。しかし、それらはいずれも裏付けのない憶測の域を出ていない。

    「噂は気にしていない」と冷静な姿勢
    こうした報道について質問されたローソンは、冷静な姿勢を示した。

    「正直なところ、そういうことはまったく考えていない」

    「もちろん、夏休みはチームがいろいろなことを検討する時期だし、その前にまだ数レースある」

    「だから今は、これまでやってきたことを続けることだけに集中している」

    重要なのは結果を出し続けること
    ローソンは現在の流れに手応えを感じており、夏休み前の数戦でも好結果を残したいと語った。

    「最近は本当にうまくいっている。夏休みに入る前に、あと数戦をいい形で終えられたらうれしい」

    さらにF1では噂が一人歩きすることは珍しくないとした上で、そうした話題に振り回されるつもりはないと強調した。

    「F1では、それほど長くいるわけではないけれど、噂がどれだけ大きく膨らんでいくのかを見るには十分な時間を過ごしてきた。だから、そういうことは本当に気にしていない」

    ローソンは将来の憶測に目を向けるのではなく、現在のパフォーマンスに集中する姿勢を明確にした。一方で、ツォロフの快進撃が続く限り、レッドブル陣営の2027年に向けたドライバー人事を巡る議論は今後も続きそうだ。

  • ランド・ノリス マクラーレンWECマシン「MCL-HY」をグッドウッドで初走行

    ランド・ノリス マクラーレンWECマシン「MCL-HY」をグッドウッドで初走行

    マクラーレンは2026年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで数々の注目イベントを披露したが、その中でも大きな話題となったのがランド・ノリスによる特別なデモランだった。

    2026年のF1でタイトル防衛に挑むノリスは、新たな技術レギュレーションの下でメルセデスやフェラーリに後れを取る苦しいシーズンを過ごしている。しかし、グッドウッドでは大勢のファンから温かい声援を受けながらヒルクライムに挑んだ。

    ただし、ノリスがドライブしたのはF1マシンではなかった。

    マクラーレンが2027年からFIA世界耐久選手権(WEC)のハイパーカークラス参戦に向けて開発を進める新型マシン「MCL-HY」のステアリングを握り、初めて一般公開の場で走行を披露した。

    ジェームズ・バークレー代表のもとで進められているマクラーレンのWECプロジェクトは着実に準備が進められており、来季の参戦に向けた実力派ドライバーラインアップもすでに発表されている。

    その一方で、今回のグッドウッドではWECドライバーではなく、F1世界王者のノリスがMCL-HYをドライブする役目を担った。

    パパイヤカラーをまとった新型ハイパーカーは、多くの観客が見守る中で名物ヒルクライムを駆け上がり、マクラーレンの新たな挑戦を印象づける走行となった。

    今回のデモランは、F1で苦戦を強いられる一方で、マクラーレンが2027年のWEC参戦に向けた新プロジェクトを着実に前進させていることをファンに示す機会となった。


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  • マックス・フェルスタッペン 2026年F1規則を嘆く「スパもモンツァも同じ」

    マックス・フェルスタッペン 2026年F1規則を嘆く「スパもモンツァも同じ」

    2026年F1レギュレーションへの批判が、イギリスGPでも一段と強まっている。元F1ドライバーのハインツ=ハラルド・フレンツェンは予選後に「F1よ、目を覚ませ」と訴え、現役ドライバーたちも現在のマシンがレースの魅力を損ねていると不満を口にした。

    シルバーストンでは、高速コーナーで限界まで攻める走りや大胆なオーバーテイクが難しくなったとの声が相次ぎ、マックス・フェルスタッペンは「スパやモンツァでも同じ状況になる」と警鐘を鳴らした。

    フレンツェン「F1よ目を覚ませ」
    元F1ドライバーのハインツ=ハラルド・フレンツェンは、イギリスGP予選後に自身のSNSへ「F1よ、目を覚ませ」と投稿し、現行レギュレーションへの危機感をあらわにした。

    シルバーストンでは複数のドライバーが、高速コーナーで限界まで攻める楽しさや、思い切ったオーバーテイクが失われたと指摘。現在のマシンではサーキット本来の魅力を十分に引き出せないとの見方を示した。

    アロンソ「ドライバーの要素が消えた」
    以前から現行レギュレーションに批判的だったフェルナンド・アロンソは、問題は開幕当初から予想していたものだと語った。

    「シーズンの最初から、このレギュレーションではこういうレースになると言っていた」

    「コーナーで限界まで攻めたり、アウト側から思い切って仕掛けたり、最後に飛び込んで遅くブレーキをかけたり、そういうドライバーの要素はほとんどなくなってしまった」

    現在のオーバーテイクについても次のように説明した。

    「前のマシンより多くバッテリーを使って、ボタンを押して追い抜くだけ。それが今のF1だ」

    「好き嫌いはあるだろう。ドライバーの重要性は以前より小さくなったかもしれない。でも文句を言っても仕方がない」

    「チームとFIAがこれを最善だと考えた。だから今はこのマシンで勝つ方法を見つけ、次のレギュレーションを待つしかない」

    「これが今のF1であり、その中でベストを尽くすだけだ」

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    フェルスタッペン「スパもモンツァも同じ」
    フェルスタッペンも今季を通じてF1とFIAにレギュレーション変更を求めており、一部の改善策は2027年に導入されることが決まっている。

    しかし、2026年シーズン中は状況が変わらないと考えており、今後の名門サーキットでも同じ問題が起きると予想した。

    「今のF1はこういうものだ。どうすることもできない」

    「スパもモンツァも、また同じようなレースになるだろう。それは残念だ。スパは本当に美しいサーキットだからね」

    「でも、このマシンではそうならない」

    さらに、現行レギュレーションでは苦しい週末になると「家に帰ることばかり考えてしまう」と率直な心境も明かした。

    アロンソ「状況を変えるため努力している」
    一方、苦戦が続くアストンマーティンに所属するアロンソは、将来が不透明な状況でもモチベーションは変わらないと強調した。

    「メディア対応以外では、自分のやりたいこと、自分の好きなことをやっている」

    「毎週チームと一緒にマシンの弱点を理解し、改善する方法を探している。そしてチームが一丸となって次のステップへ進めるよう努力している」

    「厳しいスタートだったことは何度も言っているし、同じ話の繰り返しなのは分かっている。でも僕たちは状況を変えることに集中しているし、そのために懸命に取り組んでいる」

    2026年レギュレーションへの批判はシーズン中盤を迎えても収まる気配はない。フェルスタッペンはスパ・フランコルシャンやモンツァでも同様の問題が続くと予想し、アロンソもドライバーの技量が以前ほど結果を左右しない現状を受け入れつつ、与えられた条件の中で最善を尽くす姿勢を示した。

  • マドリンクがF1開催へ始動 FIA F3が実戦テストで最終検証

    マドリンクがF1開催へ始動 FIA F3が実戦テストで最終検証

    2026年にF1スペインGPの新たな開催地となる市街地サーキット「マドリンク」が、本格的なデビューへ向けて最終準備に入る。FIAフォーミュラ3(F3)は8月に同サーキットで2日間の公式インシーズンテストを実施し、施設や運営体制を実戦形式で検証することが決まった。

    さらに9月のF3最終戦では通常の2レース制ではなく3レース制を採用。中止となったバーレーン大会の代替措置として追加レースを実施するとともに、F1開催を前にマドリンクの完成度を確認する重要なイベントとなる。

    F1初開催へ向けマドリンクを実戦検証
    F3は8月24日から25日にかけて、マドリンクで2日間のインシーズンテストを実施する。

    ドライバーにとっては新設コースの特性を把握する貴重な機会となる一方、主催者側にとってはF1初開催を前に、安全設備や運営体制、競技運営が計画どおり機能するかを実際のレース環境で確認する重要なリハーサルとなる。

    F3 CEOのブルーノ・ミシェルは次のように語った。

    「マドリンクでF3テストを実施できることを非常にうれしく思う」

    「新しい会場で開催される2026年シーズン最終戦を前に、チームとドライバーにとって、この新たな挑戦を評価する非常に価値ある2日間になる」

    最終戦は異例の3レース制へ
    F3は2026年第2戦としてバーレーン大会を予定していたが、中東情勢の悪化を受けて開催中止となった。F1、F2、F1アカデミーも同時期にサウジアラビア大会をカレンダーから外している。

    F2はマイアミとモントリオールを追加して走行機会を補い、F1アカデミーもフォーマット変更で対応した一方、F3だけは代替イベントが設けられていなかった。

    その不足分を補うため、マドリンクで開催されるシーズン最終戦では通常の2レース制から3レース制へ変更される。

    金曜日は45分間のフリー走行後に20分間の予選を2回実施。最初の予選でスプリントレースと土曜日のフィーチャーレースのグリッドを決定し、日曜日午前には2回目の予選結果を反映した追加フィーチャーレースが行われる。

    追加レースには通常どおり選手権ポイントが与えられ、タイトル争いの決着を左右する一戦となる可能性もある。

    F1開催前の重要なチェック
    スペインGPディレクターのルイス・ガルシア・アバドは、今回のテストの目的について次のように説明した。

    「私たちは当初から、グランプリ開催時にはサーキットが完全に検証され、実証済みの状態で臨みたいと考えていた」

    「マドリンクのような完全な新設プロジェクトでは、安全性、運営体制、競技運営に関わるすべての要素が計画どおり機能するかを、実際のレース環境で確認することが不可欠だった」

    さらに、F3の協力に感謝を示した。

    「ブルーノ・ミシェルとの最初の話し合いから、F3はこのテスト実施に全面的に協力してくれた。その協力のおかげで、F1デビュー前に必要な検証をすべて実施できるだけでなく、選手権に追加レースを組み込み、その結果がマドリードで決まるというスポーツ面での魅力も加えることができた」

    マドリンク スペイングランプリ

    F3最終戦の開催地も正式決定
    今回の発表により、マドリンクが予定どおり2026年F3シーズン最終戦の舞台となることも改めて確認された。

    一部では、F1が10月初旬にバーレーンGPをカレンダーへ復帰させた場合、F3もシーズン延長する可能性が取り沙汰されていた。しかし主催者は、マドリンクでシーズンを締めくくる計画に変更はなかったと説明している。

    声明では、「2026年F3シーズンをマドリードで終えることは、カレンダー発表時から決まっていた。メルボルン大会終了後、F3がサヒールでレースを行わないことが明らかになった時点で、マドリンク最終戦を強化する作業を開始した」としている。

    マドリンクはF3による公式テストと3レース制の最終戦を通じて、本番さながらの環境で施設や運営体制を検証することになる。F1初開催を成功させるための重要な準備段階として、サーキットにとっても大きな節目となるイベントになりそうだ。

  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1で「なぜ君の話を聞く?」から信頼獲得

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1で「なぜ君の話を聞く?」から信頼獲得

    ルイス・ハミルトンが、2026年シーズンにフェラーリで復活を遂げた最大の理由として、チームとの「協力体制」と「信頼関係」の構築を挙げた。2025年には自身の提案が十分に受け入れられず苦戦したものの、現在は開発面でも重要な役割を担えるようになり、それがタイトル争いにつながっているという。

    ハミルトンは、フェラーリ首脳陣との関係を見直し、「敵ではなく味方」として同じ方向を向けるようになったことが、現在の好調の土台になったと語った。

    「信頼」を築くまでの長い道のり
    ハミルトンは、2026年型マシンには自身の要望が数多く反映されていると説明した。

    「一番大きいのは、自分が開発に深く関わったマシンになったことだ」

    「例えばフロントサスペンションは昨年から要望していたもので、シミュレーター用に製作してテストも行っていた。今年になってようやく望んでいたブレーキも導入された。これはかなり強く求めていた部分だった」

    さらに、自身のレースエンジニアを含むパーソナルチームの体制変更や、フェラーリ本部との連携強化も大きな転機だったという。

    「自分のチーム体制を見直し、チーム全体との連携も改善した」

    「さらに組織の上層部とも関係を築き直した。同じ方向を向き、敵同士ではなく味方として仕事ができるようになった」

    「今ではその関係が非常に良い状態になっている。そのおかげでチーム全体が同じ方向へ進めるようになった」

    「なぜ君の話を聞く必要がある?」
    ハミルトンは、結果が伴わなかった2025年には、自身の意見が受け入れられにくい状況だったことも率直に明かした。

    「昨年は毎週末が本当に苦しかった。当然、そういう状況では周囲も耳を傾けなくなる」

    「『そんな結果しか出せていないのに、なぜ君の話を聞く必要があるんだ?』という空気になるものだ」

    だからこそ、現在の信頼関係を築くまでには時間が必要だったという。

    「その信頼を築くには長い時間がかかった。でも今ではその信頼がある。僕が求めたことは実際に形になっている」

    「もちろん一方通行ではない。お互いに刺激し合いながら前へ進んでいる。ようやく本当の意味で協力体制が築けた。それが一番重要なことだと思う」

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    フェラーリは再び革新者へ
    ハミルトンは、2025年に未勝利に終わったフェラーリが、わずか1年でタイトル争いを演じるまでに復活したことを「驚くべき変貌」と評価した。

    「昨年の状況から再びトップ争いができるようになったのは、本当に素晴らしい変化だ」

    「チームのみんなを誇りに思っている。毎週末、新しいパーツを投入し続け、常に進化している」

    昨年はフェラーリの開発姿勢にも疑問を感じていたという。

    「昨年、僕が何度も投げかけていたのは『イノベーションはどこにあるんだ?』ということだった」

    「フェラーリはF1で最も偉大で成功してきたチームだ。誰もがフェラーリを追いかける存在であるべきなんだ」

    その変化はすでにライバルにも影響を与えているとハミルトンは説明する。

    「例えばリアウイングを見てもそうだし、排気系のアイデアも今では他チームが採用している。そういう姿を見るのは本当にうれしい」

    「素晴らしい人たちが懸命に働き、僕たちを前進させてくれている。僕が望むのは、その小さな積み重ねを続けることだけだ」

    2025年には結果不足から発言力を得られず、「なぜ君の話を聞く必要があるのか」と見られる状況だったと明かしたハミルトン。しかし2026年は、開発への貢献とチームとの信頼関係を築いたことで、フェラーリは再びタイトル争いを演じる強豪へと返り咲いた。ハミルトンは、その最大の要因はマシン性能以上に「協力」と「信頼」の確立だったと強調している。