投稿者: dbcheck

  • FIAがF1エンジン交換規定を維持 2027年と2028年もペナルティ免除枠を継続

    FIAがF1エンジン交換規定を維持 2027年と2028年もペナルティ免除枠を継続

    2026年から導入されたF1の新パワーユニット規則に合わせて緩和されたエンジン交換規定が、2027年と2028年も継続されることが明らかになった。FIA(国際自動車連盟)は『RacingNews365』に対し、各パワーユニット(PU)コンポーネントのペナルティ免除枠を現行のまま維持する方針を認めた。

    当初は2026年限定の措置とされていたが、新世代PUの開発スケジュールが短縮されたことを受け、信頼性への懸念を考慮して継続が決定された形だ。

    2027年と2028年も追加コンポーネントを維持
    2026年からF1は新しいパワーユニット規則へ移行した。これに伴い、FIAスポーティングレギュレーションの第B8.2.3条が追加され、各ドライバーがシーズン中に使用できるPUコンポーネント数が1基ずつ増加した。

    当初の規定では2027年から元の配分へ戻す予定だったが、FIAは『RacingNews365』に対し、この追加配分を2027年と2028年も維持すると認めた。

    ■ 2026~2028年 F1パワーユニット使用可能数(ペナルティ免除)

    ICE(内燃エンジン):4基
    ターボチャージャー:4基
    MGU-K:3基
    エナジーストア:3基
    PU-CE(コントロールエレクトロニクス):3基
    PU-ANC(補機類):6基
    エキゾースト:4基

    開発期間短縮による信頼性リスクを考慮
    2027年と2028年には、パワーユニットの出力配分が現行の電動50%・内燃50%から、内燃機関60%・電動40%へ変更される予定となっている。

    この方針は2026年5月になって決定されたため、各メーカーの開発期間が当初想定より短くなったとみられている。

    『RacingNews365』によると、開発期間の短縮によって信頼性問題が発生するリスクが高まり、もしコンポーネント使用枠を元に戻せば、メーカーへの負担が大きくなる可能性があることが今回の判断につながったという。

    そのためFIAは、2027年と2028年も2026年と同じコンポーネント配分を維持することを確認した。

    規定数を超えた場合はグリッド降格
    規定数を超えて新たなコンポーネントを投入した場合は、最初の超過コンポーネントにつき10グリッド降格、以降は追加するごとに5グリッド降格が科されるルールに変更はない。

    今回の決定により、新世代パワーユニット導入初期の3シーズンは、各メーカーが信頼性向上に取り組みやすい環境が整えられることになった。

  • トランプ大統領 ホワイトハウスでインディカー首都開催をPR「歴史的なイベント」

    トランプ大統領 ホワイトハウスでインディカー首都開催をPR「歴史的なイベント」

    トランプ大統領がホワイトハウスで、8月にワシントンD.C.で開催されるインディカー「フリーダム250グランプリ」のPRイベントを開催した。

    アレックス・パロウやフェリックス・ローゼンクヴィストら現役ドライバーに加え、ロジャー・ペンスキーらシリーズ関係者も出席し、アメリカ建国250周年記念事業の目玉イベントとしてレースの成功をアピールした。

    トランプ大統領「世界で最も忘れられないレースになる」
    ホワイトハウスで行われた「Freedom 250 Grand Prix Showcase」は、大会開幕まで残り41日となるタイミングで実施された。

    トランプ大統領は、建国250周年記念事業の一環として開催される今回のレースについて、世界的なイベントになるとの期待を語った。

    「モータースポーツだけでなく、あらゆるスポーツ界でも最も素晴らしい人々とここに集まることができてうれしい」

    「フリーダム250グランプリへのカウントダウンが始まっている。このレースは今までにないものになる。世界で最も忘れられないレースイベントの一つになるだろう」

    さらに、市街地で時速190マイル(約306km)を超える速度で走行することにも触れた。

    「8月22日と23日、この首都で前例のないイベントが開催される。アメリカの愛国心、圧倒的なパワー、そして技術力を示す素晴らしい舞台になる」

    「ペンシルベニア通りでは190マイル以上、さらにそれ以上の速度でマシンが走ることになる。本来そのために造られた道路ではないが、本当に特別な光景になるだろう」

    「ナショナル・モールの周囲をあの速度で走る姿を見ることになる。普段なら逮捕されるような速度かもしれないが、今回は歴史的なイベントになる」

    トランプ大統領 インディカー

    パロウら現役ドライバーも出席
    イベントには、現インディカー王者で4度のシリーズチャンピオンであるアレックス・パロウ、2026年インディ500ウイナーのフェリックス・ローゼンクヴィスト、デビッド・マルーカスが出席した。

    また、インディカーシリーズおよびインディアナポリス・モーター・スピードウェイを所有するロジャー・ペンスキー、ペンスキー・コーポレーションのバド・デンカー社長、FOX Sportsのエリック・シャンクスCEO、ゼネラルモーターズのマーク・ロイス社長らも顔をそろえた。

    イベント終盤にはマルーカスがインディカーを運転して登場し、タイヤスモークを披露した後、ライブピットストップデモンストレーションも実施された。

    ロジャー・ペンスキー「インディ500に並ぶ存在になる」
    ロジャー・ペンスキーは、イベントへの反響の大きさを明かした。

    「世界で最も重要なオフィスからグリーンフラッグ、そしてチェッカーフラッグをいただき、このイベントを開催できることを光栄に思う」

    「すでに25万人以上が来場登録しており、両日とも各10万人を受け入れる予定だ。しかも入場は無料だ。本当に名誉なことだ」

    さらに、この大会はインディ500に匹敵する存在へ成長するとの見通しを示した。

    「このイベントは、技術力、スピード、パートナーシップ、そしてドライバーたちを世界に示す絶好の機会だ」

    「インディ500は象徴的なレースだが、この大会も我々にとってはそれに肩を並べる存在になると考えている」

    わずか数日で計画が動き出した舞台裏
    大会実行委員長も務めるバド・デンカーは、このプロジェクトが驚くほど短期間で進んだことを明かした。

    「この構想が市街地レースへと変わってから24時間以内に、大統領令の草案が私のもとへ届いた。そして4日後には、このホワイトハウスで署名することになった」

    さらにFOX Sportsのエリック・シャンクスCEOとともにこの構想を立ち上げた経緯も説明した。

    「このビジョンを首都で実現しようというアイデアは、エリック・シャンクスと私が考えたものだ。41日後には、世界最高のドライバーたちが、この場所でしか手に入らない特別なトロフィーを懸けて戦うことになる。それはアメリカという国を祝うトロフィーだ」

    今回のホワイトハウスでのイベントは、単なるレースのPRにとどまらず、建国250周年記念事業とモータースポーツを結びつける国家的プロジェクトとして位置付けられている。トランプ大統領自らが全面的な支援姿勢を示したことで、ワシントンD.C.初開催となるインディカーは、スポーツイベントの枠を超えた歴史的な祭典として世界的な注目を集めそうだ。

  • バルテリ・ボッタス キャデラックF1改善認めるも「まだノーマンズランドにいる」

    バルテリ・ボッタス キャデラックF1改善認めるも「まだノーマンズランドにいる」

    キャデラックF1はオーストリアGPで投入した大型アップグレードの効果を徐々に示し始めている。しかし、ドライバーのバルテリ・ボッタスは、依然として中団勢との差は残っており、チームは「ノーマンズランド」にいるとの見方を示した。

    2026年にF1へ新規参戦したキャデラックは、新興チームとしては健闘を続けているものの、さらなるパフォーマンス向上へ向けてベルギーGPでも追加アップグレードを投入する予定だ。

    アップグレードで前進も中団との差は残る
    キャデラックはデビューイヤーながら、中団グループと一定の戦いを演じている。2010年に参戦したヒスパニア、ヴァージン・レーシング、ロータスのように最後尾に沈むことはなく、予想以上の競争力を示してきた。

    オーストリアGPでは大規模なアップグレードを投入したものの、ブレーキ火災によってボッタスとセルジオ・ペレスがともに序盤リタイア。期待された成果を確認することはできなかった。

    しかし、続くイギリスGPでは両マシンが完走を果たし、ペレスも今季自己最高タイの成績を記録。チームにとっては前向きな週末となった。

    ボッタスは完走できたことを喜びつつも、現在の立ち位置を冷静に分析した。

    「完走できたのは本当に良かった。ここ3戦はフィニッシュできていなかったから、ようやく最後まで走れた」

    「たくさんの有益なデータを得ることができた。でも、僕たちはまだノーマンズランドにいるのは明らかだ。それでも時間によってはハースやウィリアムズに少し近づけていたと思う」

    16番手まで浮上も本来の位置へ
    レース序盤には16番手まで順位を上げたボッタスだったが、その順位を維持するだけのレースペースはなかったという。

    「そうでもなかった」と率直に答えたボッタスは、「自然と僕たちは本来いるべき位置まで下がっていった」と振り返った。

    レース終盤にはセーフティカー導入後の再スタートが期待されたが、最終的にはセーフティカー先導のままチェッカーとなった。

    「だからこそ最後に再スタートになってほしかった。あれが実現していたら面白かったと思う。でも、あの形でレースが終わってしまったのは残念だった」

    バルテリ・ボッタス(キャデラック)

    ベルギーGPでも新パーツ投入を予定
    キャデラックは開発の手を緩めるつもりはない。アストンマーティンがハンガリーGPまで大型アップグレードを温存する一方で、キャデラックは次戦ベルギーGPで新パーツを投入する予定となっている。

    ボッタスは、開発を積み重ねることが重要だと語った。

    「次の2週間でクルマをもっと速くするために取り組む時間がある」

    「スパでは何か新しいパーツを投入できるはずだ。少しずつでも改善を積み重ねていくしかない」

    キャデラックは依然として中団グループとの間に差を残しているものの、アップグレードによって着実な進歩を見せ始めている。ベルギーGPで投入される新パーツが、その差をさらに縮めるきっかけとなるか注目される。

  • ホンダF1撤退の真実 ブラウンGP共同創設者が明かす「涙の会議」と奇跡の2009年

    ホンダF1撤退の真実 ブラウンGP共同創設者が明かす「涙の会議」と奇跡の2009年

    2009年、ホンダのF1撤退を受けて誕生したブラウンGPは、ジェンソン・バトンとともにドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを獲得し、モータースポーツ史に残る”奇跡”を成し遂げた。

    しかし、「1ポンドでチームを買収し世界王者になった」という有名な逸話の裏側には、700人の雇用を守るための決断や、ホンダ撤退を涙ながらに告げた日本人幹部との会談など、これまであまり語られてこなかった壮絶なドラマがあった。ブラウンGP共同創設者のニック・フライが、その舞台裏を振り返った。

    「予算削減」だと思っていた会議で告げられたF1撤退
    2008年11月28日、ロンドン・ヒースロー空港近くのホテルで、フライとロス・ブラウンはホンダ幹部との会談に臨んだ。

    当時、世界金融危機の影響で自動車業界は大きな打撃を受けており、フライたちは40~50%規模の予算削減を覚悟して会議へ向かった。

    しかし、そこで告げられたのは想像をはるかに超える決断だった。

    「ホンダはF1を続けることができない」

    小さな会議室で対面した日本人幹部は涙をこらえながら説明したという。

    フライは当時を振り返り、「ホンダにはF1で素晴らしい歴史があり、その決断がどれほど苦しいものだったかは痛いほど伝わってきた」と語る。

    しかし、その直後に待っていた次の会議では、約20人のホンダ関係者を前に「700人の従業員に工場の電気を消して帰宅するよう伝えてほしい」という趣旨の説明を受けた。

    フライは、その提案を受け入れることはできなかった。

    「そんなことはできない。時間をくれ。別の方法を探させてほしい」

    そう強く訴えたことが、ブラウンGP誕生への第一歩となった。

    ホンダ F1 撤退

    700人の雇用を守るために始まった買収交渉
    ホンダ撤退後、フライとブラウンはチーム存続へ向けて動き始める。

    最大の課題は、ホンダが巨額を投じて築いたF1チームを、なぜ譲渡する必要があるのかを納得してもらうことだった。

    そこで提示したのが「チームを閉鎖する方が高くつく」という試算だった。

    風洞設備や工作機械など、F1専用施設は他業種では価値が低く、700人規模の退職金や設備処分費用まで含めると、チームを解散させる方がはるかに多くの費用が必要になる。

    ホンダは外部コンサルタントを起用して試算を検証。その結果、フライらの見積もり以上に閉鎖コストが高額になることが判明した。

    こうして、チーム譲渡という道が現実味を帯びていった。

    一方で、フライ自身も大きなリスクを背負うことになる。

    妻のケイトとは、後に象徴的な会話を交わしたという。

    「もし全財産を失って、一生ツナ缶だけで暮らすことになっても大丈夫か?」

    夫婦で出した答えは、「それでもやってみよう」だった。

    「挑戦だと思った。信じることが何より大切だった」とフライは振り返る。

    エンジンもスポンサーもない開幕前
    チーム存続が決まっても、問題は山積みだった。

    ホンダ製エンジンの継続使用を打診したものの断られ、新たなパワーユニットを探さなければならなかった。

    最終的にフェラーリとメルセデスの双方がエンジン供給を申し出る中、メルセデス製エンジンを搭載することが決定した。

    一方でスポンサーも不足し、バージンとの契約がまとまったのはオーストラリアへ向かう飛行機に乗る直前だったという。

    資金不足から約400人を削減し、残されたスタッフは24時間3交代制で開幕戦へ向けてマシンを完成させた。

    日本人若手エンジニアが生み出したダブルディフューザー
    ブラウンGP成功の象徴として知られるダブルディフューザー。

    しかしフライは、その発想が「若い日本人空力エンジニア」から生まれたことを明かしている。

    会議で最も若い立場だったそのエンジニアは、規則を文字通り読み込み、新しい解釈を提示した。

    当初は周囲も「そんなことはできない」と考えたが、議論を重ねる中で画期的なアイデアであることが判明する。

    英語を第二言語として読んだからこそ、先入観にとらわれず条文をそのまま解釈できた可能性もあったという。

    ただしフライは、「世界王者になれた理由はダブルディフューザーだけではない」と強調する。

    「ウィリアムズもトヨタも同じコンセプトを持っていた。」

    「違いはチームだった。」

    互いを支え合い、自分の仕事だけでなく仲間の仕事も助ける文化こそが最大の強みだったと語っている。

    ブラウンGP

    開幕戦メルボルンで起きた”奇跡”
    2009年開幕戦オーストラリアGP。

    ブラウンGPはほとんどテストを行えないまま現地入りした。

    クラッシュすれば交換部品がない。

    給油担当者は実戦で給油した経験すらなかった。

    それでも予選から圧倒的な速さを見せ、ジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロが開幕戦で1-2フィニッシュを達成する。

    フライは「あらゆる場面で失敗する可能性があった。それでもチーム全員が期待以上の仕事をした」と振り返る。

    「喜びではなく安堵だった」世界王者獲得
    シーズン後半になると資金不足から開発競争で苦戦し、レッドブルが急速に迫ってきた。

    バトンには世界王者獲得への重圧がのしかかり、ブラジルGPまでタイトル争いは続いた。

    そして世界王者が決まった瞬間、フライが感じたのは歓喜ではなかった。

    「まず感じたのは、とてつもない安堵だった。」

    「ああ、終わった。やり遂げることができた。」

    そう振り返る彼にとって、2009年は単なるチャンピオン獲得のシーズンではなく、700人の雇用を守り、チーム全員で不可能を可能にした一年だった。だからこそ今でも、「ブラウンGP最大の武器はダブルディフューザーではなく、互いを信頼し、挑戦を許容するチーム文化だった」と言い切るのである。

  • レッドブルF1昇格候補ツォロフをカンポス代表が絶賛「F1にふさわしい」

    レッドブルF1昇格候補ツォロフをカンポス代表が絶賛「F1にふさわしい」

    2026年のFIA F2選手権でランキング首位を走るニコラ・ツォロフが、2027年のF1昇格候補として注目を集めている。所属するカンポス・レーシングのエイドリアン・カンポス代表は、ツォロフの才能を高く評価し、「F1にふさわしい」と太鼓判を押した。

    一方で、2027年にレーシングブルズのシートを巡る争いは激しさを増している。レッドブル育成ドライバーであるツォロフの昇格説が浮上するなか、現レギュラードライバーのリアム・ローソンも安定した成績を残しており、来季以降のラインアップに注目が集まっている。

    ツォロフのF1昇格説が加速
    シルバーストン大会でF2史上初となる3連勝を達成した18歳のツォロフは、その勢いでタイトル争いをリード。パドックでは、レッドブルが2027年からツォロフをレーシングブルズでデビューさせる方針を固めたとの噂も広がっている。

    現時点でチームから正式な発表はないものの、カンポス代表はツォロフの実力を高く評価した。

    「彼こそが違いを生み出している」

    「私たちは良いマシンを提供しているが、違いを作っているのは彼だ。あらゆることをとても簡単にこなしてしまう。それが皆を驚かせている」

    「正直なところ、彼にはぜひF1でチャンスを与えてほしい。本当にその資格がある」

    ニコラ・ツォロフ

    ローソンも高評価を維持
    ツォロフの昇格説が話題となる一方で、レーシングブルズのリアム・ローソンも評価を大きく高めている。

    昨季は苦戦を強いられたものの、2026年は9戦中7戦でポイントを獲得するなど安定したパフォーマンスを披露。元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、その働きを称賛した。

    「彼は今回も素晴らしい仕事をした」

    「ここまで9戦を終えて7回ポイントを獲得している。本当に見事だし、チーム内の雰囲気の良さも表している」

    「チームはローソンを本来の姿へと戻し、再び自信を持たせた。それはチーム文化の素晴らしさを物語っている」

    ローソンは2027年を意識せず
    2027年のシート争いが取り沙汰されるなかでも、ローソン本人は将来について考えていないと語った。

    「2027年もここにいるかって? 正直なところ、まだそんなことは考えていない」

    「今は僕たちが続けていることに集中するだけだ。最近は本当にうまくいっているからね」

    レッドブル育成プログラムではツォロフが急速に評価を高める一方、ローソンも結果で存在感を示し続けている。2027年のレーシングブルズのシート争いは、今後のF2後半戦とF1シーズン後半の結果次第でさらに注目を集めることになりそうだ。

  • デイモン・ヒル F1王座30周年 名車ウィリアムズFW18と感動の再会

    デイモン・ヒル F1王座30周年 名車ウィリアムズFW18と感動の再会

    1996年のF1ワールドチャンピオンであるデイモン・ヒルが、2026年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、自身を世界王者へ導いたウィリアムズFW18と30年ぶりに再会した。

    FW18は、エイドリアン・ニューウェイとパトリック・ヘッドが設計したF1史上屈指の名車として知られ、1996年シーズンに圧倒的な強さを発揮。ヒルの悲願だったワールドチャンピオン獲得を支えたマシンとして、現在も高い評価を受けている。

    なぜウィリアムズFW18は「史上最高傑作」と呼ばれるのか
    FW18は、エイドリアン・ニューウェイとパトリック・ヘッドの黄金コンビによって開発された、ウィリアムズF1の集大成ともいえるマシンだ。

    搭載されたのは、自然吸気3.0リッターV10エンジン「ルノーRS8」。最高出力710PS(522kW)を1万6000rpmで発生し、ウィリアムズ製6速セミオートマチック・シーケンシャルトランスミッションと組み合わせることで、当時最高峰のパフォーマンスを実現した。

    電子制御デバイスが現在ほど発達していない時代において、マシン本来の完成度だけでライバルを圧倒したFW18は、F1デザイン史に残る傑作として語り継がれている。

    1996年シーズンを支配した圧倒的な戦績
    FW18はデイモン・ヒルとジャック・ビルヌーブのコンビによって、1996年シーズン16戦中12勝という圧倒的な成績を残した。内訳はヒルが8勝、ビルヌーブが4勝。コンストラクターズランキングでは175ポイントを獲得し、1990年代を代表するマシンとして歴史に名を刻んだ。

    ライバルだったベネトンB196やフェラーリF310を常にリードし、シーズンを通して他チームを寄せ付けない速さを見せた。

    低重心設計が生んだ抜群のハンドリング性能
    FW18は前作FW17をベースに進化したマシンだったが、その最大の特徴はドライバーの着座位置だった。

    FIAによる安全規則の改定を受け、ニューウェイとヘッドはコクピット構造を見直し、ドライバーがより低い位置に座れる設計を採用した。これによってマシンの重心が大幅に下がり、優れた旋回性能と高い安定性を実現。ヒルは予測しやすい挙動と鋭いレスポンスを武器に、シーズンを通じて高い競争力を維持した。

    さらにニューウェイ独自の空力設計と組み合わさることで、FW18は当時のライバル勢を一歩も二歩も上回る完成度を誇っていた。

    9000km以上のテストが王者への土台となった
    マシンの完成度だけではなく、ヒル自身の努力もFW18成功の大きな要因だった。

    開幕前のプレシーズンテストでは9000km以上を走破。バランス調整やセットアップを徹底的に煮詰めたことで、FW18は細かなセッティング変更にも素直に反応し、決勝距離を通してドライバーが安心して攻め続けられるマシンへと仕上がった。設計陣とドライバーが一体となって作り上げた完成度の高さこそが、1996年シーズンの圧倒的な強さにつながったのである。


    30年後に蘇った世界王者の記憶
    グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでは、フリートウッド・マックの『The Chain』が流れる中、ヒルは1996年当時のロスマンズ・ウィリアムズのレーシングスーツ姿でFW18をドライブ。その後、リッチモンド公爵に迎えられてグッドウッド・ハウスのバルコニーへ姿を現した。

    1996年のタイトル獲得から30年を迎えた心境を問われると、ヒルは笑顔で「30年が経ったという感じはしない。まるで『こだま』のようだ。リッチモンド公爵のおかげで、この思い出は消えることがない」と語った。

    FW18についても「すべてが完璧だった。メカニックたちが素晴らしい仕事をしてくれた」と話し、マシンをレース仕様まで仕上げたスタッフへ感謝を送っている。

    また、1996年シーズンについては「人生には計画できないことがある。幸運にも、あの年はすべてがうまく噛み合った」と振り返り、この日がちょうど30年前に1996年イギリスGPを戦っていた日と重なっていたことにも触れ、運命的な巡り合わせだったと語った。

    家族との再会とボウルズ代表の称賛
    バルコニーでは妻と3人の子どもたちを観客へ紹介し、「子どもたちも、父親が仕事で何をしていたのか分かっただろう」と冗談を交えながら笑顔を見せた。その後は、2度のF1世界王者だった父グラハム・ヒルへの思いも静かに語り、会場は温かい拍手に包まれた。

    式典にはウィリアムズF1代表のジェームズ・ボウルズも登壇。「私はデイモン・ヒルを見てウィリアムズのファンになった。あれは本当に素晴らしいチャンピオンシップだった」と1996年シーズンを振り返った。

    さらにFW18については「30年前のチャンピオンマシンとは思えないほどシャープで、操作への反応も素晴らしい」と絶賛。これを受けてヒルは「僕が乗っていた頃より良くなっているよ!」と笑いを誘い、会場を沸かせた。

    デイモン・ヒル

    鈴鹿のトロフィーとグッドウッドの魅力
    イベント終盤には、ヒルの子どもたちが1996年日本GP優勝トロフィーをサプライズで持ち込んだ。このレースはヒルがワールドチャンピオンを決めた一戦でもある。

    トロフィーを見つめたヒルは「シャンパンを入れてくれないか?」と冗談を飛ばし、観客を笑顔にした。

    さらにヒルはイベントの舞台裏にも触れ、「さっきまでバレンティーノ・ロッシ、マリオ・アンドレッティ、ランド・ノリスと一緒に飲み物を片手に話をしていた」と明かした。

    異なるカテゴリーや世代のドライバーが自然に交流できることこそ、グッドウッドならではの魅力だという。30年の時を経ても、FW18とともに歩んだ栄光の日々は色あせることなく、多くのファンにF1黄金時代の記憶をよみがえらせた。

  • アストンマーティンF1苦戦は想定内?バトン「ニューウェイ加入もホンダも遅かった」

    アストンマーティンF1苦戦は想定内?バトン「ニューウェイ加入もホンダも遅かった」

    アストンマーティンF1のアンバサダーを務めるジェンソン・バトンは、2026年シーズンの苦戦は「ある程度予想できたことだった」との見解を示した。エイドリアン・ニューウェイの加入時期が遅れたことに加え、2026年からパワーユニット(PU)供給を開始したホンダも開発面で不利なスタートを切らざるを得なかったことが背景にあると分析している。

    一方でバトンは、ニューウェイの手腕とホンダとのパートナーシップには揺るぎない信頼を寄せており、現在の苦戦は一時的なものだと強調。

    さらにフェルナンド・アロンソについても、チーム復活のために今後も欠かせない存在だと語った。

    苦戦は「ある意味では予想できた」
    アストンマーティンは2026年からホンダ製PUを採用し、新レギュレーション時代に向けた大型プロジェクトを始動させた。しかし、シーズン前半は期待を大きく下回るパフォーマンスに苦しみ、ハンガリーGPで投入予定の「AMR26B」に巻き返しを託している。

    こうした現状についてバトンは、驚くべき結果ではないと語る。

    「厳しい状況なのは確かだ。でも、ある意味では予想できたことでもあった。エイドリアン・ニューウェイはチームへの加入が非常に遅かったし、ホンダとの契約もかなり遅い段階で決まった。ホンダにとっては完全に新しいプロジェクトだったし、他メーカーはずっと以前からこのパワーユニットの開発を進めていた」

    ホンダは2021年末にF1ワークス活動を終了した後、2023年に復帰を決断した。そのため開発体制を再構築する必要があり、2026年PUの開発では他メーカーより準備期間が短かったとみられている。

    ニューウェイ加入の遅れも影響
    バトンは、現在の苦戦は一つの要因だけで説明できるものではないと指摘する。

    ニューウェイが本格的にチームへ加わった時期が遅れたことで、マシン開発スケジュールにも影響が生じたほか、新PUへの対応や組織体制の整備など、多くの課題を同時に抱えていたという。

    さらにアストンマーティンについても、設備投資は進んでいるものの、トップチームと互角に戦える組織としてはまだ成熟の途上にあるとの見方を示した。

    「時間はかかるし、競争力がない状況は誰にとってもフラストレーションがたまる。でも、エイドリアンとローレンス・ストロールのリーダーシップのもとで、このチームにはエキサイティングなことが待っている。良いチームになるのは時間の問題だ」

    ニューウェイは最高のエンジニア
    AMR26の苦戦を受け、一部ではニューウェイの責任を指摘する声もある。しかし、バトンはそうした見方を否定し、その能力を高く評価した。

    「彼は革新的な発想をする人物だ。本当に特別な存在だ。思いつくアイデアは驚くべきものだし、複数のチームで世界選手権を制してきた実績がすべてを物語っている。ニューウェイは最高のエンジニアだ」

    さらに、「彼は常識にとらわれず考え、限界を押し広げる。本物の天才だ。アストンマーティンは最適な人物を迎え入れたと思う。これからも彼の仕事を見続けたい」と賛辞を惜しまなかった。

    また、チーム全体についても将来性に自信を示した。

    「必要なものはすべて揃っている。ホンダという素晴らしいパートナーがいて、エイドリアンが空力開発を率い、多くの優秀な人材もいる。ただ、それは一夜にして実現するものではない。ファンがもどかしさを感じるのは理解できるけれど、F1は非常に高度な技術競争なんだ。忍耐強く待つ必要がある」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソには残ってほしい
    バトンは、アストンマーティン復活のためにはフェルナンド・アロンソの存在も重要だと考えている。

    「フェルナンドには残ってほしい。彼には大きな敬意を抱いているし、レーシングカーで何ができるのかを証明できるドライバーだからだ。アストンマーティンでその力を示してほしい」

    契約延長の可能性については、「チームが進歩し、マシンが正しい方向へ向かっていると感じられれば、その可能性は十分あると思う」と語った。

    さらに、マクラーレン・ホンダ時代にチームメイトだったアロンソとの思い出も振り返った。

    「フェルナンドとは2年間チームメイトだった。本当に素晴らしい経験だった。彼が仕事をする姿を見るのは楽しかったし、あの頃は僕たちにとって厳しい時期でもあった。だからこそ、彼にはこれからも続けてほしい」

    最後にバトンは、アロンソが引退を選んだとしても、その決断は尊重するとしながらも、ファンとしては現役続行を望んでいると語った。

    「もちろん引退を決断したとしても、その判断は尊重する。レーシングドライバーは自分にとって最善の決断をしなければならない。でも、一人のファンとしては、これからも何年もレースを続ける姿を見たい」

    アストンマーティンはハンガリーGPでAMR26Bを投入する予定となっており、2026年後半戦の巻き返しを目指している。バトンは現在の苦戦を一時的なものと捉えており、ニューウェイ、ホンダ、そしてアロンソという強力な布陣が揃うことで、将来的にはトップ争いに加わるチームになるとの期待を示した。

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  • ジャックダニエル「マクラーレン2026ラベル」数量限定発売 F1参戦1000戦を記念

    ジャックダニエル「マクラーレン2026ラベル」数量限定発売 F1参戦1000戦を記念

    テネシーウイスキー「ジャックダニエル」を展開するブラウンフォーマンジャパンは7月13日、「ジャックダニエル マクラーレン2026ラベル」を7月27日から数量限定で出荷・発売すると発表した。

    マクラーレンF1チームとのパートナーシップシリーズ第4弾となる今回の限定ボトルは、ジャックダニエル蒸溜所の創業160周年と、マクラーレンのF1グランプリ参戦1000回という2つの節目を記念した特別仕様となっている。

    ジャックダニエルとマクラーレンの節目を祝う限定ボトル
    ジャックダニエルは2023年からマクラーレンF1チームのオフィシャルパートナーを務めており、今回発売される「マクラーレン2026ラベル」は両ブランドの歴史を祝う記念モデルだ。

    ジャックダニエルのシニア・バイス・プレジデント(SVP)兼グローバル・マネージング・ディレクターのマーク・ベーコンは次のようにコメントした。

    「ジャックダニエルとマクラーレンは共に、伝統、革新、そして『可能性の追求』へのひたむきな情熱を抱いています。今年の限定ボトルは、その共通のレガシーを大胆なデザインで表現したものであり、ファンの皆様が両ブランドのスピリット(精神)を特別な形で味わうための、プレミアムな体験を提供します」

    また、マクラーレン・レーシング共同最高商業責任者(Co-CCO)のニック・マーティンも次のように語っている。

    「マイアミでの通算1000回目のグランプリを迎え、今年はマクラーレンにとってまさに節目の年となります。ジャックダニエルとの長年にわたるパートナーシップは、互いに共有する高い志の上に築かれており、この限定ボトルは、ファンの皆様が私たちのこれまでの歩みにおける重要な一章を共に称えるための、特別な記念となるでしょう」

    43%仕様でより力強い味わいを実現
    「ジャックダニエル マクラーレン2026ラベル」は、通常の「ジャックダニエル Old No.7」と同じく、コーン80%、ライ麦8%、大麦麦芽12%という伝統的なレシピを採用している。

    米テネシー州リンチバーグで蒸溜され、アメリカンホワイトオークの新樽で熟成される前に、約3メートルの深さまで敷き詰めたサトウカエデの炭で一滴一滴ろ過する「チャコール・メローイング」を施すことで、ジャックダニエルならではのまろやかな味わいを生み出している。

    一方でアルコール度数は通常のOld No.7の40%ではなく43%に設定。これによりキャラメルやバニラ、トーストしたオークの香りがより引き立ち、力強さとスムースでクリーミーな余韻を楽しめる味わいに仕上げられている。

    1000戦記念マシンをイメージしたデザイン
    ボトルデザインは、マクラーレンがF1通算1000戦を迎えた際に採用した特別リバリーをモチーフとしている。

    マシンに描かれた「Jack Daniel’s」のストレートロゴに加え、レースカーにも使用されるカーボンファイバーブラックと、マクラーレンの特別なカモフラージュデザインを融合した限定仕様となっている。

    ジャックダニエル マクラーレン2026ラベル

    商品概要
    商品名:ジャックダニエル マクラーレン2026ラベル

    ブランド:ジャックダニエル

    カテゴリー:ウイスキー

    容量:700mL

    アルコール度数:43%

    POSコード:5099873035511

    ITFコード:15099873135515

    希望小売価格(税抜):3,100円

    発売日:2026年7月27日(数量限定)

    なお、7月13日からAmazonやリカーマウンテンなどで先行予約も開始される。

    ジャックダニエルとマクラーレンのパートナーシップシリーズ第4弾となる今回の限定ボトルは、両ブランドの節目を祝う記念モデルであると同時に、F1参戦1000戦という歴史的な瞬間を形にしたコレクターズアイテムとしても注目を集めそうだ。

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  • アルピーヌF1 2031年V8導入案でもルノー製PU復活を否定 CEOが方針明言

    アルピーヌF1 2031年V8導入案でもルノー製PU復活を否定 CEOが方針明言

    アルピーヌF1を擁するルノーは、2031年からF1がV8エンジンへ移行する構想が進むなかでも、自社製パワーユニット(PU)開発を再開する考えはないと明言した。

    FIAは2031年からハイブリッドシステムを簡素化したV8エンジン導入に向けた検討を進めており、一部メーカーのPU供給復帰も取り沙汰されている。しかしルノーは、昨年決定したF1エンジン開発撤退の方針を維持する姿勢を示している。

    ルノーCEOがエンジン復帰を明確に否定
    ルノーのフランソワ・プロボCEOはロイター通信の取材に対し、F1エンジン開発を再開する考えはないと断言した。

    「不確実性によってチームや関係者を混乱させたくない」

    「現時点での方針は明確だ。私はF1用エンジンを開発しない」

    ルノーは2025年にワークスPU開発から撤退を決断。2026年からアルピーヌはメルセデス製PUを搭載するカスタマーチームへ移行している。

    アルピーヌ F1 ルノー V型8気筒

    メルセデスPUが復調のきっかけと評価
    プロボCEOは、自社製PUを手放したことがアルピーヌ復調の重要な要因になったとの認識も示した。

    「私たちはメルセデスのエンジンを使っている。それは優れたエンジンだ」

    「それが今年のチーム復活の明確なきっかけになっている」

    2026年のアルピーヌは、メルセデス製PUへの切り替えによって信頼性やパフォーマンス面で改善を見せており、チームは中団争いで競争力を高めている。

    2031年以降はV8エンジンへの移行案が議論されているものの、少なくとも現時点ではルノーがF1エンジンサプライヤーとして復帰する可能性は低く、アルピーヌはメルセデスとのパートナーシップを軸に戦いを続ける方針だ。

  • セルジオ・ペレス レッドブルF1時代を告白「2台走らせるのは義務だからと言われた」

    セルジオ・ペレス レッドブルF1時代を告白「2台走らせるのは義務だからと言われた」

    セルジオ・ペレスがポッドキャスト『High Performance』に出演し、2021年から2024年まで在籍したレッドブル・レーシングでの経験を赤裸々に語った。

    チーム加入時からマックス・フェルスタッペンを中心とした体制であることを理解していたと明かす一方、「レッドブルでフェルスタッペンのチームメイトを務めることはF1で最も難しい仕事」と語り、歴代チームメイトが苦戦する理由や、自身が経験した精神的な苦しさについても率直に振り返った。

    2026年からキャデラックF1で新たな挑戦を始めたペレスは、レッドブル時代を「素晴らしい4年間だった」と評価しながらも、その舞台裏には想像以上に厳しい現実があったことを明かしている。

    「すべてはフェルスタッペンのため」と説明された
    ペレスは、レッドブル加入前にクリスチャン・ホーナー代表からチームの方針を率直に伝えられたという。

    「クリスチャンと初めて会ったとき、『我々が2台でレースをしているのは義務だからだ。そうでなければ1台だけで走れれば十分なんだ』と言われた。そして『すべてはマックスの周りに築かれている。我々はチャンピオンを獲るために戦っている』と説明された」

    しかし、ペレスはそれを不満には思わなかった。

    「僕は『文句を言うこともできる。でも与えられた環境で最大限の仕事をしよう』と考えた。それが僕にできることだった」

    その結果、自身は十分に役割を果たしたという自負も口にしている。

    「僕はあらゆる面で期待以上の仕事をしたと思っている。そして僕が去ってから、チームは4年間で僕がしてきた仕事を理解したと思う」

    「フェルスタッペンのチームメイトはF1で最も難しい仕事」
    ペレスは、フェルスタッペンと同じチームで戦うことの難しさについても詳しく語った。

    「マックスと戦うだけでも難しい。でもレッドブルで彼のチームメイトになることはF1で最も難しい仕事だ」

    「彼には彼のチーム、彼のエンジニア、彼の環境がある。シニアエンジニアや経験豊富な人材など、最高のリソースはすべてマックスに向かう。それは加入前から理解していたことだった」

    それでもチームは、自身が勝利すれば喜んでくれたという。

    「僕が勝てばチームは喜んでくれた。でもプロジェクト全体はマックスを中心に進められていた」

    「システムがドライバーを壊してしまう」
    ペレスは、自身だけでなく歴代のチームメイトも同じ状況に置かれてきたと指摘した。

    「リアム・ローソンは2レースで終わった。角田裕毅についてもそうだ。彼らは、その仕事がどれほど難しいかを忘れていた」

    さらにピエール・ガスリーやアレクサンダー・アルボンの名前も挙げたうえで、こう続けた。

    「彼らはみんな非常に速く、才能あるドライバーだ。でも、そのシステムが彼らを壊してしまうんだ」

    一方で、それはフェルスタッペンの能力を否定するものではないとも強調した。

    「マックスは純粋なリーダーだ。チームをどの方向へ進めるべきかを理解していて、何が必要なのかも正確に伝えられる。4年間隣で見て、多くを学んだ」

    マックス・フェルスタッペンと角田裕毅(レッドブル・レーシング)

    「最後の数か月は有害だった」
    ペレスは、レッドブル最後のシーズンについて「精神的に非常につらかった」と振り返った。

    「僕は精神的にはかなり強い方だと思っている。それでも最後の数か月は本当に厳しかった。『有害(toxic)』と言っていい環境だった」

    そのため、2025年にF1を離れてサバティカルを取ったことは必要な時間だったという。

    「本当に休養が必要だった。あのタイミングで離れられたことは良かった」

    アップグレードで状況はさらに厳しくなった
    ペレスは、マシン開発によってフェルスタッペンとの差が広がっていったとも明かした。

    「シーズン序盤は勝負できると思った年もあった。でもアップグレードが入るたびに差がどんどん広がっていった」

    「マシンを自然に走らせることができなくなり、限界まで攻めるのではなく、リアが出ないように運転することばかり考えるようになっていた」

    それでも、この経験が自分を成長させたと振り返る。

    「マックスの隣で4年間過ごしたことで、僕は間違いなく以前より速いドライバーになった」

    キャデラックで再び自分を証明したい
    ペレスは、キャデラックF1への加入を決めた理由についても語った。

    フェラーリでのテストを経て、自身の速さが失われていないことを確認できたことが大きかったという。

    「普通のマシンなら、まだ自分は十分に速いことを確認できた」

    「僕は今でも自分がグリッドでも最高レベルのドライバーの一人だと信じている。そして、それをもう一度証明したい」

    ペレスはレッドブル時代を「素晴らしい4年間」と評価しながらも、その裏側ではフェルスタッペンを中心とした体制、歴代チームメイトが直面した難しさ、そして精神的な苦闘があったことを明かした。新天地キャデラックでは、その経験を糧に再び自身の実力を証明することを目指している。