カテゴリー: キャデラックF1チーム

  • セルジオ・ペレス F1は「あと3年くらい」キャデラックの成長に懸ける

    セルジオ・ペレス F1は「あと3年くらい」キャデラックの成長に懸ける

    セルジオ・ペレスは、自身のF1キャリアについて「あと3年くらい」との見通しを示した。36歳のペレスにとって、キャデラックを競争力のあるチームへと成長させることが、F1で取り組む最後の大きなプロジェクトになる可能性が高いという。

    2024年末にレッドブル・レーシングのシートを失ったペレスは、1年間の休養を経て2026年にF1へ復帰。新規参戦したキャデラックでバルテリ・ボッタスとコンビを組んでいる。

    経験豊富な2人には、単にマシンを走らせるだけでなく、新チームの技術面や組織づくりを前進させる役割も求められている。

    キャデラック育成がF1最後の大きな挑戦
    ペレスが現在のプロジェクトに魅力を感じている理由のひとつが、完成されたチームに加入するのとは異なり、自らチームの方向性に影響を与えられることだ。

    キャデラックのF1プロジェクトを成長させることは、ペレスにとってキャリア終盤の重要な目標となっている。一方で、いつまでF1を続けるのかについても考え始めているという。

    ペレスはF1公式ポッドキャスト『Beyond The Grid』で、ドライバーが引退を考える基準について、年齢そのものよりも競争に対する意欲が重要だと説明した。

    「ある年齢になると衰え始める部分はあると思う。でも、僕が重要だと思うのは自分の内側にある原動力だ。意欲のことだよ。マシンに乗っていないときに、エンジニアやマシンのことをどれだけ考えているかということだ」

    サーキットを離れてからレースについて考える時間が減り始めることが、ひとつの兆候になるという。

    「サーキットを離れて、そのことをだんだん考えなくなってきたら、それが最初の警告だと思う。何かが失われ始めているということだからね」

    「若いころは、次に何があるのか、どうすればもっと速く走れるのか、どんな違うテクニックを使えるのか、そういうことばかり考えている」

    「フェルナンドは60歳まで走るかもしれない」
    ただし、そうした変化が訪れる時期はドライバーによって大きく異なるとペレスは考えている。その象徴として挙げたのが、40代になってもF1で戦い続けるフェルナンド・アロンソだった。

    「ドライバーによって違う。20代後半でそうなる人もいれば、30代半ば、40代半ばの人もいる。それに、フェルナンドは60歳まで走っているかもしれないね! 彼は今でも非常に高いレベルで走っている。でも、フェルナンドは特別だと思う」

    「彼には今でも内側にその原動力がある。チャンスがあるとき、何かを利用できる状況になったときには、必ずそれをつかもうとする。それが見ていて分かる。でも、人それぞれなんだ」

    ペレスはアロンソのモチベーションを高く評価する一方、自分自身が同じ年齢までF1を続けることは考えていない。

    「フェルナンドがこのスポーツで成し遂げてきたことと、彼が持っているモチベーションを僕は本当に尊敬している。でも、僕の場合はそこまで長くはならない。F1以外にもやりたいことがあるからね」

    引退を決めるのは年齢ではなく自分自身
    ペレスは、F1ドライバーに一律の「引退年齢」が存在するとの考えには否定的だ。

    「何歳という数字があるとは思わない。F1はとてもフィジカルで要求の厳しいスポーツだけど、サッカーやテニスのような他のスポーツと違って、トレーニングそのものが限界になるわけではない。F1では、むしろ脳や視覚の部分の方が大きいと思う」

    それ以上に難しいのは、自分自身の競争力が十分ではなくなったことを認めることだという。

    「同時に、ドライバーにとって『もう十分だ』『自分が望むほど競争力がなくなった』『もうやめるべきだ』と自分で気づくのは本当に難しいと思う。ドライバーとしてその決断を下すのは簡単ではない」

    「でも最後には、自分自身に対してすごく正直にならなければならない。そして、すべてを始めた子どものころの自分に感謝して、『今が別のことをする時だ』と言えるようにならなければならない」

    セルジオ・ペレス キャデラックF1チーム

    「あと3年くらい」キャデラックの成長を見届けたい
    もっとも、ペレス自身はまだその段階には達していないと感じている。具体的な引退時期を決めているわけではないが、現在の感覚ではF1で戦う時間は残り数年になると見ている。

    「数字を言うのは難しい。もちろん、それほど多くの時間が残っているわけではない。そうだね、あと3年くらいかな。このプロジェクトが成長していくところを見たいんだ。それにはもう少し時間が必要だと思う」

    この発言からは、単にあと3年間ドライバーを続けたいというより、キャデラックがF1チームとして成長するまでの時間を自身の残されたキャリアと重ね合わせていることがうかがえる。

    新規参戦チームが上位勢との差を縮め、組織やマシン開発の基盤を確立するには時間が必要になる。ペレスにとって、そのプロセスに深く関与すること自体が現在のF1参戦の大きな意味となっている。

    2027年に向け他チームから接触も「何も変わっていない」
    一方、ペレスをめぐっては2027年に向けて他チームとの接触も取り沙汰されている。本人も、複数のチームと何らかのやり取りがあったことは認めた。

    「もちろん、他のチームと多少の話はあったし、いくつかのチームから連絡もあった。でも、僕の側では何も変わっていない。このプロジェクトを自分のプロジェクトだと思っているし、キャデラックの冒険の一員でいたい。本当にこのプロジェクトを信じている」

    そして、キャデラックとの関係を1年限りのものとして考えていないことを強調した。

    「これは1年だけのプロジェクトだとは考えていない。僕が関わっていたい長期的なプロジェクトなんだ。もちろん話し合いはあるだろうけど、僕がいたいのはここだし、僕の側では何も変わっていない」

    レッドブル離脱と1年間のF1不在を経て、ペレスが選んだのは既存のトップチームで結果を追う道ではなく、新たなチームを一から育てる仕事だった。残されたF1キャリアを「あと3年くらい」と見積もる36歳のペレスにとって、キャデラックをどこまで成長させられるかが、グランプリでの勝敗と並ぶ最後の大きな挑戦になりそうだ。

  • バルテリ・ボッタス キャデラックF1残留を断言「2027年のチケットは持っている」

    バルテリ・ボッタス キャデラックF1残留を断言「2027年のチケットは持っている」

    バルテリ・ボッタスは、2027年もキャデラックF1に残留するとの認識を示し、自身のシートをめぐる憶測を一蹴した。F2でスーパーライセンスポイント獲得を目指しているコルトン・ハータが後任候補として取り沙汰されているが、ボッタスは「来季のチケットは持っている」と明言している。

    一方、F1参戦初年度を戦うキャデラックの現状については厳しい評価を示した。

    信頼性の問題を解決したとしても、現時点ではポイント争いに加われるだけの競争力はなく、実力としては18~20番手付近だと認めている。

    37歳を迎えても衰えを感じないボッタス
    ザントフォールトでのF1オランダGPとモンツァでのイタリアGPの間に37歳を迎えるボッタスだが、年齢が自身のパフォーマンスに影響しているとは考えていない。

    フィンランド紙『Ilta-Sanomat』に対し、元メルセデスのボッタスは「キャリアを続けるにはいい年齢だ」と語った。

    「何かが悪くなったと感じたことは一度もない。フィジカルは良好だし、毎年経験も増えている。反応速度も走り始めたころと変わっていない」

    「何も悪くなっていない」

    2027年の去就について質問されると、ボッタスはさらに明確な言葉を口にした。

    「僕は来シーズンのチケットをここで持っている。ここで続けることだけに集中する」

    キャデラックの支援を受けるハータは現在F2に参戦し、F1参戦に必要なスーパーライセンスポイントの獲得を目指している。そのため2027年にキャデラックへ昇格し、ボッタスに代わる可能性が繰り返し報じられてきた。

    しかし、少なくともボッタス自身は2027年の契約について不安を抱いておらず、キャデラックで2年目のシーズンを迎えることを前提にしている。

    キャデラックの実力は「18~20番手」
    その一方で、ボッタスはキャデラックの現在地について楽観的な見方を示していない。

    参戦初年度のキャデラックは依然としてノーポイントが続いており、マシンが正常に機能し、信頼性の問題がなくなればどこまで戦えるのかと問われたボッタスは、ポイント獲得にはまだ届かないと認めた。

    「まだポイント圏には入れないと思う。他のチームとの差が存在しているからだ」

    「通常のレースなら、現時点では18~20位あたりだと思う。それが僕たちの現在地だ」

    「まず信頼性をしっかりさせて、すべてのレースを完走できるようにする必要がある」

    単にトラブルをなくせばポイント争いが可能になるという段階ではなく、純粋なパフォーマンスそのものにも改善が必要だという認識だ。新規参入チームとして基盤を築きながら、まずは確実に走行距離を積み重ねることが優先課題となっている。

    ロウドン更迭は「アメリカ的なやり方」
    ボッタスは、シーズン途中に行われたチーム代表交代についても言及した。

    キャデラックはグレアム・ロードンをチーム代表から外し、後任としてマルチン・ブコウスキーを起用。ボッタスも、この突然の変更には驚いたという。

    「もちろん、シーズン途中だったので驚いた」

    「こういう変更は、ある意味でアメリカ的なやり方なのだと思う。何かを変える必要があると判断したら、すぐに実行する」

    「新しい人がどのように仕事をするのかは、時間が経てば分かるだろう」

    2027年のシートについては「チケットを持っている」と断言したボッタスだが、キャデラックそのものはまだF1で結果を残すための土台を構築している段階にある。37歳を迎えても自身の能力に衰えはないと強調するボッタスにとって、まず求められるのは新体制のもとでマシンの信頼性と競争力を引き上げ、キャデラックをポイント争いへ近づけることになる。

  • キャデラックF1 チーム売却報道を否定 TWG調査も「計画はない」

    キャデラックF1 チーム売却報道を否定 TWG調査も「計画はない」

    キャデラックF1は、チームの過半数株式を保有するTWGモータースポーツの親会社TWGグローバルを巡る動きを受けて浮上したチーム売却説を明確に否定した。TWG側は「キャデラックのチーム、あるいはTWGモータースポーツのその他の事業を売却することは検討していない」と声明を出している。

    TWGグローバルでは、創業者マーク・ウォルターの金融取引を巡って米連邦当局による調査が開始されたと報じられており、これがF1プロジェクトの将来にも影響するのではないかとの憶測につながった。

    しかし、キャデラックは新ファクトリーへの投資や人材補強を継続しており、新チーム代表のマルチン・ブコウスキーもプロジェクトへのコミットメントに疑問はないと強調している。

    TWGグローバルを巡る動きで売却説が浮上
    キャデラックのF1プロジェクトは、ゼネラルモーターズ(GM)が「キャデラック」のブランドと技術面での支援を提供し、チームの株式も保有する一方、TWGモータースポーツが支配株主となる形で運営されている。

    そのため、TWGグローバルを巡る動きは、F1チームの所有体制にも関心を集めることになった。

    TWGグローバルの創業者であるマーク・ウォルターは、金融取引を巡って米連邦当局の調査対象となっているとされる。さらにウォルターは、NBAのロサンゼルス・レイカーズを100億ドルで取得してからわずか約1年後に125億ドルで売却したことで注目を集めた。

    こうした背景から、ウォルターが保有する他の資産についても整理を進めるのではないかとの見方が広がり、その対象にキャデラックのF1チームが含まれる可能性も取り沙汰された。

    キャデラックF1「売却は検討していない」
    しかし、キャデラック側はオランダGPの舞台となるザントフォールトで、この売却説を明確に否定した。

    GMのグローバル・モータースポーツ・コミュニケーションズ担当エグゼクティブディレクターを務めるエイドリアン・アトキンソンは、チームの活動について説明する前にTWGグローバルの声明を紹介した。

    「始める前に、現在TWGについていくつかニュースが出ているので触れておきたい。TWGグローバルから声明が出ている」

    「TWGはキャデラックのチーム、あるいはTWGモータースポーツのその他の事業を売却することを検討していない」

    また、TWGモータースポーツのCEOを務めるダン・トウリスについても説明した。

    「参考までに、ダン・トウリスは今週末のインディカーのレースのためワシントンD.C.にいる。そのため、ここには来ていない」

    TWGモータースポーツはF1だけでなく、インディカーを含む複数のモータースポーツカテゴリーに関与している。今回の声明は、親会社を巡る不透明感がキャデラックF1の所有体制に波及するとの見方を打ち消すものとなった。

    キャデラック F1

    ブコウスキー「コミットメントと投資を示している」
    キャデラックは現在、F1プロジェクトの体制を大きく変化させている時期にある。

    チーム代表を務めていたグレアム・ロードンが退任し、その後任としてマルチン・ブコウスキーがF1に復帰。新たなチーム代表として組織づくりを進めている。

    ブコウスキーは、TWGグローバルを巡る状況について、キャデラック加入を決める際の懸念材料にはならなかったと説明した。就任前にチームの将来について保証を求めたのかと質問されると、そうした話題そのものが議論されなかったと明かした。

    「それについての話し合いはまったくなかった。僕にとって疑いはないし、そこから何か影響を受けているということもない」

    さらにブコウスキーは、現在進められている具体的な投資をその根拠として挙げた。

    「新しいファクトリー、僕の就任、それに近いうちに発表できることを期待している重要な人材もいる。これらは、このプロジェクトに対するコミットメントと投資を示していると思う」

    キャデラックは新ファクトリーの整備を進めるとともに、ブコウスキーを中心とした新たなマネジメント体制を構築している。さらに、今後も主要スタッフの加入を発表する予定だという。

    TWGグローバルを巡る調査やウォルターの資産売却を背景にチーム売却説が浮上したものの、現時点でキャデラックF1側が示している動きはむしろ逆だ。新施設への投資、人材補強、経営体制の再構築を進めており、TWGと新チーム代表の双方がF1プロジェクトへの長期的なコミットメントを強調している。

  • キャデラックF1新代表ブコウスキー 英米4拠点の連携強化「最優先は聞くこと」

    キャデラックF1新代表ブコウスキー 英米4拠点の連携強化「最優先は聞くこと」

    キャデラックF1の新チーム代表に就任したマルチン・ブコウスキーが、チーム改革に向けた最初のテーマとして英国と米国にまたがる組織の連携状況を把握する考えを明らかにした。

    キャデラックはシルバーストンをF1活動の主要拠点とする一方、米国ではインディアナ州フィッシャーズをはじめ、ノースカロライナ州とミシガン州にも拠点を構えている。

    ブコウスキーは、この4拠点に存在する人材と技術力を最大限に生かすことが重要だと考えている。

    キャデラックF1新代表ブコウスキー まずは「聞いて観察する」
    キャデラックは先週、グレアム・ロードンの後任としてブコウスキーを新チーム代表に起用すると発表した。突然の交代はF1パドックでも驚きをもって受け止められた。

    ブコウスキーはマクラーレンやフェラーリなどで経験を積んだ空力エンジニアであり、FIAのF1技術部門責任者やアルピーヌのエグゼクティブディレクターも務めた。今週末のF1オランダGPでは、キャデラックのチーム代表として初めてピットウォールに加わる。

    就任発表時点では、まだ英国シルバーストンのファクトリーを訪れていなかった。キャデラックをめぐっては、将来的に米国フィッシャーズの拠点へ活動の比重を移す可能性も取り沙汰されているだけに、ブコウスキーがどのような組織体制を構築するのかにも注目が集まっている。

    ブコウスキーは、チーム代表として最初に行うべきことは組織を理解することだと説明した。

    「僕の最優先事項は、まず話を聞くことだ。率直に言えば、ファクトリーで話を聞き、観察する。人々に会う必要があるし、彼らがどう働いているのか、さまざまな個人や部門がどう連携しているのかを理解する必要がある」

    特に重視しているのが、ファクトリーとサーキットで活動するチームの連携だ。

    「これまでのF1での経験から、チームが信頼性の問題に苦しんでいるときには、サーキット側のオペレーションとファクトリーとの間に分断が生まれる大きなリスクがあることを知っている。キャデラックはシーズン前半にそうした問題を抱えていた」

    「どんなF1チームでも、そのつながりは非常に強固でなければならない。だから最初の週はファクトリーとザントフォールトのサーキットの両方で過ごす。それぞれの側からチームを見て、どう連携しているのかを確認したい」

    キャデラックF1チーム

    米国の技術力も活用「人材を見ないのは愚かなこと」
    キャデラックの特徴のひとつが、大西洋を挟んだ複数拠点によるF1プロジェクトである。

    現在はシルバーストンがF1活動を主導しているが、米国ではフィッシャーズに大規模な拠点を構え、さらにノースカロライナ州とミシガン州にもリソースを持っている。

    ブコウスキーは、英国だけでなく米国側に存在するエンジニアリング能力をさらに活用できる余地があるとみている。

    「米国には非常に多くの技術的な専門知識がある。彼らは将来、火星に宇宙船を送ろうとしているくらいだからね!」

    「米国側には、もっと活用できるものがたくさんあると思う。すぐにできることではないし、時間はかかる。ただ、大西洋の向こう側にいる人材や技術的な専門知識に目を向けないのは愚かなことだと思う」

    キャデラックにとって、複数拠点の存在は豊富な人材を確保できる強みである一方、距離や時差を越えて各部門を一体化させる必要があるという組織上の課題にもなる。

    特にブコウスキーが指摘したように、マシンの信頼性問題を解決するには、サーキットで発生した問題をファクトリーへ迅速かつ正確にフィードバックし、設計や製造、品質管理へ反映する仕組みが欠かせない。

    その意味でも、新代表にとって最初のオランダGPは単なるレース週末ではない。シルバーストンのファクトリーとザントフォールトの現場を行き来しながら、キャデラックという組織が実際にどのように機能しているのかを確認する最初の機会となる。

    夏休み明けから本格的に指揮を執るブコウスキー。英国と米国に広がる4拠点をひとつのF1チームとしてどこまで効率的に機能させられるかが、新体制での最初の重要課題となりそうだ。

  • キャデラックF1 ボッタスにマシン格差? ペレスのスポンサー力が影響か

    キャデラックF1 ボッタスにマシン格差? ペレスのスポンサー力が影響か

    キャデラックF1でバルテリ・ボッタスがセルジオ・ペレスと同等のマシンを与えられていない可能性があるという。

    ジャーナリストのジュリアン・セラソーリは、チームが2台を完全に同じ仕様、同じ品質に仕上げることに苦戦しており、商業面でより大きな価値をもたらすペレスが優先されるケースがあると伝えている。

    2026年にF1へ新規参戦したキャデラックは、ここまでポイントを獲得できていない。新チーム特有の課題に加え、サスペンションのトラブルやブレーキの火災など信頼性と品質管理を巡る問題も発生しており、その影響をより強く受けているのがボッタスだという。

    ボッタスとペレスで「まったく同じ2台」を用意できず
    経験豊富なボッタスとペレスを起用してF1参戦を開始したキャデラックだが、両者の置かれている状況には違いがあるとされる。

    ドライバーズランキングではボッタスがペレスを上回っているものの、実際のレースではペレスの方がマシンへの適応度が高く、中団勢により近い位置で戦う場面が目立っている。モナコGPではポイント獲得に迫ったが、ピットレーンでの速度違反によるペナルティによってトップ10入りを逃した。

    こうした差について、ブラジルのジャーナリストであるジュリアン・セラソーリは、単純なドライバーのパフォーマンスだけで説明できるものではないと指摘する。

    「キャデラックについて重要なのは、ペレスがボッタスを大きく上回ることが時々あって、それに驚いている人もいるということだ」

    「私が調べたところでは、キャデラックは両ドライバーにまったく同じ2台を用意することにかなり苦労している。だから多くの場合、持ち込む資金が少ないボッタスの方が苦しい立場になる」

    セラソーリによれば、キャデラックが意図的にボッタスを不利な状況に置いているわけではない。新規参戦チームとして組織を構築している段階であり、2台のマシンを常に同じ水準に仕上げること自体が難しいという。

    「彼らはこの問題に懸命に取り組んでいる。そうしたくてやっているわけではない。F1で2台をまったく同じレベルに仕上げることが難しいからだ」

    「レッドブルでさえ、それを実現するのに苦労することがある。当然、多くの新しいスタッフを抱えているキャデラックにも、この種の問題は起きる」

    ペレスの強力なスポンサー基盤が優先順位に影響か
    そこで注目されているのが、ペレスが持つ商業的な価値だ。

    ペレスは長年にわたりメキシコを中心とした強力なスポンサー基盤を持ち、キャデラックにとっても重要な商業的存在となっている。セラソーリの説明では、限られたリソースのなかで2台を同じ状態にできない場合、そのスポンサー力が結果的にパーツやマシンの優先順位へ影響している可能性がある。

    ただし、これはキャデラックが公式に「ペレスを優先している」と認めたものではない。あくまでセラソーリが取材で得た情報に基づく説明であり、チーム側の公式見解とは区別する必要がある。

    また、マシンの個体差は必ずしもアップデートの有無だけを意味するものではない。製造品質、スペアパーツ、部品の状態、セットアップの自由度など、新チームが直面する複数の要因によって2台のコンディションに差が生じる可能性がある。

    バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレス(キャデラックF1チーム)

    2027年の契約状況にも違い
    両ドライバーを巡っては、2027年の契約条件にも違いがあるという。

    セラソーリによれば、ペレスには本人が望めばキャデラックを離れられる余地がある一方、ボッタスとの契約を2027年まで継続しない場合には、キャデラック側が契約を買い取る必要があるとされる。

    「実際、ペレスは望めば離れることができる。そういう状況に近い」

    「ボッタスについて私が聞いているのは、2年目の契約を履行しなくていいようにするには、キャデラックが契約を買い取らなければならないということだ」

    「2人ともキャデラックとの契約を持っている。結局のところ、商業面も含め、あらゆる意味でより良い解決策を提示できるかどうかという問題になる」

    ペレスについては2027年に向けてウィリアムズとの関連も取り沙汰されており、ドライバー市場の動き次第ではキャデラックのラインアップにも変化が生じる可能性がある。

    ブコウスキー新体制で品質管理も課題
    キャデラックは参戦初年度から組織面でも大きな変化を迎えている。グレアム・ロウドンの退任後、新たにチーム代表となったマルチン・ブコウスキーには、競争力向上だけでなく組織と開発プロセスを整える役割も求められている。

    新規F1チームにとって、速いマシンを開発することと同時に重要なのが、2台分の部品を安定した品質で製造し、レースごとに同じ仕様を揃える能力だ。キャデラックで発生しているとされる問題は、単なるボッタス対ペレスというドライバー間の比較だけではなく、チームがF1の製造・運用体制を確立していく過程で直面している課題ともいえる。

    ペレスのスポンサー力が実際にどこまでマシンの優先順位へ影響しているのかは、現時点ではチームによって確認された事実ではない。それでも、2台を同じ水準に揃えられていないとの情報が事実なら、ボッタスの成績を評価するうえで無視できない要素となる。ブコウスキー新体制のキャデラックにとって、速さだけでなく2台を平等な競争環境に置ける品質と供給体制を構築することも、今後の重要な課題となりそうだ。

  • セルジオ・ペレス キャデラックF1に開発プロセス再考を要求「十分に進歩してない」

    セルジオ・ペレス キャデラックF1に開発プロセス再考を要求「十分に進歩してない」

    セルジオ・ペレスは、F1参戦初年度を戦うキャデラックについて、マシン開発のペースが十分ではないと率直に指摘し、チームに「すべてのプロセスを見直す必要がある」と訴えた。

    新規参戦チームとして一定の戦闘力を示してきたキャデラックだが、シーズンが進むにつれてライバルとの差を縮め切れない状況が続いている。

    レッドブル・レーシング時代にトップチームの開発競争を経験してきたペレスは、問題はマシンの潜在能力そのものではなく、それを素早くラップタイムへ結びつける開発体制にあるとみている。

    ペレス「すべてのプロセスを見直す必要がある」
    F1ではシーズン中の開発速度が勢力図を大きく左右する。開幕時点で一定の競争力があったとしても、アップデートの投入と改善を続けなければ、短期間でライバルに取り残される可能性がある。

    ペレスは、そこが現在のキャデラックに不足している部分だと語った。

    「僕たちにとって、開発はかなり難しくなっている。基本的に、十分な開発ができていないと思う」

    「だから、もっと力強く開発を進められるように、すべてのプロセスを見直す必要があるのは明らかだ。F1では開発がすべてだからね」

    「そこが僕たちに少し欠けているところだと思う。当然、新しいチームだから、おそらく自分たちが望んでいたほど開発を進められていない」

    ペレスの発言からは、単に新しいパーツが不足しているというより、設計、製造、評価、実戦投入までを含めた開発サイクル全体の効率を高める必要があるという認識がうかがえる。

    期待したほど縮まらなかったライバルとの差
    今季投入されたアップデートについて、もっと大きな前進を期待していたかと問われると、ペレスは率直に認めた。

    「もちろんだ。もっと差を縮めたかった」

    「僕たちは少し離されすぎている。ただ、良いことは、解決できればすぐにかなりのパフォーマンスを得られる部分が非常にはっきりしていることだ。そこはポジティブな点だね」

    つまり、キャデラックが抱えている問題について、チーム内では一定の原因特定が進んでいるということになる。

    これは重要なポイントだ。F1の開発では、単純に新しいパーツを投入するだけではなく、風洞やCFD、シミュレーターで得られた予測と実車の挙動を一致させ、その結果を次の開発へ正確に反映させることが求められる。

    ペレスの言葉を踏まえれば、キャデラックには改善余地の大きい領域が見えており、今後はそれをどれだけ迅速に実際のパフォーマンスへ変換できるかが焦点になる。

    セルジオ・ペレス(キャデラックF1チーム)

    ブコウスキー新代表が開発体制を変えられるか
    こうしたペレスの指摘が出たタイミングで、キャデラックはチーム運営の大きな転換期を迎えている。

    グレアム・ロードンに代わってチーム代表に就任したのが、元アルピーヌのエグゼクティブディレクターであるマルチン・ブコウスキーだ。

    ブコウスキーはF1チーム運営だけでなく、エンジニアリング面にも精通している。キャデラックにとって、その経験は単なる組織管理以上の意味を持つ可能性がある。

    新代表は就任にあたり、チーム内に勝つためのメンタリティを築いていく意向を示している。ただし、キャデラックが順位を上げるためには精神面だけでなく、ペレスが問題視した開発プロセスそのものに手を入れる必要がある。

    特に新規参戦チームでは、既存のF1チームと比べて部門間の連携や意思決定、パーツ製造からサーキット投入までの流れを成熟させるのに時間を要する。設備や人材を揃えるだけではなく、それらをひとつの開発組織として効率的に機能させることが次の段階となる。

    参戦できるチームから上位を争えるチームへ
    キャデラックはF1参戦初年度ながら、グリッドに加わるだけの基盤を築いている。一方で、ペレスが求めているのはその次の段階だ。

    シーズン中に問題を特定し、解決策を設計し、それを短期間でマシンへ反映してタイムを縮める。この開発サイクルを安定して回せるかどうかが、今後のキャデラックの競争力を決める。

    レッドブル・レーシングでタイトル争いを経験したペレスだからこそ、トップレベルのF1チームに求められる開発速度との差は明確に見えているはずだ。

    ブコウスキー体制で開発の進め方そのものを改善し、現在見えている課題を実際のラップタイムへと変換できるか。キャデラックにとって今後の焦点は、参戦初年度に築いた土台を、継続的に順位を上げられる開発力へと進化させることになる。

  • キャデラックF1新代表 フェラーリPUの「隠されたノウハウ」に注目

    キャデラックF1新代表 フェラーリPUの「隠されたノウハウ」に注目

    キャデラックF1の新チーム代表に就任するマルチン・ブコウスキーは、チームがフェラーリ製パワーユニット(PU)の性能を最大限に引き出せているのかを精査する考えを示した。

    2026年のF1では、新世代PUのエネルギーマネジメントが大きなパフォーマンス要因となっている。ブコウスキーは、ワークスとカスタマーに同一のハードウェアが供給されていても、その使い方に関するすべてのノウハウが共有されるとは限らないと指摘。

    フェラーリを非難する意図はないと強調したうえで、キャデラック側にも改善できる余地があるとの認識を示した。

    新代表ブコウスキーがフェラーリPUの活用法を精査
    キャデラックは将来的にゼネラルモーターズ(GM)製PUを投入してワークスチームとなる計画だが、F1参戦初年度となる2026年はフェラーリからPUの供給を受けている。

    チームはサマーブレイク中に首脳陣を刷新。グレアム・ロードンをチーム代表から解任し、アルピーヌF1でエグゼクティブディレクターを務めたブコウスキーを後任に起用した。

    ブコウスキーが着任後に確認したいポイントのひとつが、フェラーリPUの使い方だ。

    2026年シーズン前半には、ワークスとカスタマーチームの間で新世代PUに関する知識の差が話題となった。特にマクラーレンは序盤戦で、メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズから提供される情報が十分ではないとの問題意識を示していた。

    新規則では電気エネルギーの管理がこれまで以上に重要となっており、同じPUを搭載していても、その制御や運用方法によって実際に引き出せるパフォーマンスには差が生じる。

    「もちろん、我々はフェラーリのカスタマーだ。レギュレーションに従って、同じハードウェア、同じエンジンを供給してもらっている」とブコウスキーは語った。

    「ただ、今年はフェラーリに限った話ではなく、特にメルセデスのエンジンを見ても分かるように、主にエネルギーマネジメントの細かな部分を理解することで、まだ多くのパフォーマンスを引き出せることが分かっている。それがパフォーマンスを左右する要素になっている」

    「これは我々のチームでも確認しなければならないことだと思う。供給されているハードウェアを本当に最大限に活用できているのか、ということだ」

    「すべての秘訣を共有するとは限らない」
    ブコウスキーは、フェラーリPUそのものの競争力には疑問を持っていない。むしろ重要なのは、キャデラックがその能力をどこまで引き出せているかだと考えている。

    「エンジンには競争力がある。ADUOによるアップグレードで、さらに競争力を増していくだろう。ただ、我々が本当にそのポテンシャルを最大限に使えているのかという問題がある」

    2026年から導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)は、PUメーカー間の性能差に応じて追加開発の機会を認める仕組みだ。シーズン中の性能評価に基づいて開発機会が与えられるため、フェラーリPUにも今後さらなる性能向上の余地がある。

    一方で、ブコウスキーはPUメーカーとカスタマーチームの関係には、単純なハードウェア供給だけでは説明できない部分が存在すると指摘する。

    「もちろん、サプライヤーとの関係は重要だ。ただ、最大限のパフォーマンスを引き出すための『商売上の秘訣』を、サプライヤーが必ずしもすべて共有するわけではないという部分は常にある」

    「それはフェアなゲームだし、チーム側が取り組むべきことだ。フェラーリや、グリッド上の誰かを責めているわけではない」

    つまり、フェラーリには規則で定められた同等のPUを供給する責任がある一方、そのPUをどう使いこなし、エネルギーマネジメントを最適化するかはキャデラック自身の技術力に委ねられるという考えだ。

    「可能な限り最高のエンジンを供給するという部分があり、もうひとつには、それを可能な限りうまく使うという部分がある」

    「これは間違いなく、僕がチームに加わったときに確認していくことのひとつだ」

    同じPUでも差を生む2026年F1のエネルギーマネジメント
    2026年のF1では、PUに占める電動システムの重要性が大幅に高まったことで、エネルギーの回収、蓄積、放出をどのように管理するかがラップタイムを左右する重要な要素となった。

    そのため、同じメーカーのPUを搭載するチームであっても、ハードウェアが同じだからといって必ずしも同じ性能を発揮できるわけではない。PUの制御方法だけでなく、車体側との統合、ドライバーの操作、レース中のエネルギー配分などを含めた総合的な最適化が必要になる。

    ブコウスキーが例に挙げたメルセデスとマクラーレンの関係は、その難しさを象徴している。2026年序盤には、マクラーレンが新PUの運用に必要な情報についてメルセデス側との間に課題があることを認めており、カスタマーチームが同一ハードウェアから最大性能を引き出す難しさが浮き彫りとなった。

    キャデラックも同じ課題に直面している可能性がある。11戦を終えた段階でチームはまだ今季初ポイントを獲得できておらず、バルテリ・ボッタスが中国GPで記録した13位がここまでの最高成績となっている。

    ブコウスキーにとって、フェラーリとの関係を強化することだけが解決策ではない。供給されたPUについてキャデラック自身が理解を深め、フェラーリが持つすべての運用ノウハウを知らなくても最大限の性能を引き出せる体制を構築することが重要になる。

    将来的にGM製PUを自社で扱うワークス体制への移行を目指すキャデラックにとっても、PUのハードウェアだけでなく、その性能を引き出すための知識と技術をチーム内部に蓄積することは欠かせない。ブコウスキーの着任後、その作業がどこまでキャデラックの競争力向上につながるかが注目される。

  • キャデラックF1 ハータとカマラの2027年起用説を否定「根拠がない」

    キャデラックF1 ハータとカマラの2027年起用説を否定「根拠がない」

    キャデラックF1のCEOを務めるダン・トウリスが、2027年のドライバーラインナップを巡って浮上しているコルトン・ハータやラファエル・カマラの起用説について言及した。現時点ではセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスのコンビを変更する計画はないと強調している。

    一方でトウリスは「F1では状況は常に変わり得る」とも語り、将来的な若手起用の可能性を完全には否定しなかった。

    特にキャデラックのテストドライバーを務めるハータはF1昇格を目指してインディカーからFIA F2へ転向しており、その動向が注目されている。

    ハータはF1昇格を目指してインディカーからF2へ
    キャデラックはF1参戦初年度となる2026年、ペレスとボッタスという経験豊富な2人をレギュラードライバーに起用した。

    しかし、2027年に向けたドライバー市場を巡ってはさまざまな憶測が広がっている。ペレスにはウィリアムズ移籍説が浮上しており、その背景にはカルロス・サインツJr.の去就を巡る動きがある。アレクサンダー・アルボンについても将来が確定しているわけではないとされている。

    一方、ボッタスは自身が今回のドライバー市場に加わることはないと明言しているものの、そのシートをハータが引き継ぐ可能性も取り沙汰されてきた。

    ハータはキャデラックの将来的なF1ドライバー候補として以前から期待されている。F1参戦という目標を追うためにインディカーでのキャリアに区切りをつけ、2026年はハイテックからFIA F2に参戦するとともに、キャデラックF1のテストドライバーを務めている。

    ただし、F2ではここまで期待された成績を残せていない。さらに2026年にはキャデラックから4回のF1フリー走行1回目(FP1)への出走が予定されているものの、現在のF2ランキングのまま追加のスーパーライセンスポイントを獲得できなければ、2027年のF1参戦に必要な基準に1ポイント届かない可能性がある。

    ラファエル・カラム

    カマラ獲得説も浮上 キャデラックCEOは「根拠がない」
    ハータがF2で苦戦するなか、新たな候補として名前が挙がったのがフェラーリ・ドライバー・アカデミー所属のラファエル・カマラだ。

    前年のFIA F3王者であるカマラは、2026年のF2でレッドブル育成のニコラ・ツォロフ、アルピーヌ育成のガブリエレ・ミニとタイトルを争っている。ペレスの移籍説と重なったことで、キャデラックが2027年にカマラを起用する可能性が取り沙汰されるようになった。

    しかし、トウリスは若手ドライバーへの交代が現時点で具体的に検討されているとの見方を否定した。

    「若いドライバーが加入してチームをさらにプッシュすることになるのか? もちろん、それは我々が考えることのひとつではある」

    「ただ、我々には経験豊富な2人のドライバーがいて、彼らには非常に満足している。2人はチームをプッシュしてくれているし、これからもそうしてくれるだろう」

    そのうえでトウリスは、現在のラインナップを維持する方針を示しながらも、F1のドライバー市場では状況が急変する可能性があることを認めた。

    「ただし、ひとつ但し書きを付けておく。ここはF1だ。状況は常に変わり得る。現時点で2027年に向けた変更の予定はないが、物事はいつでも変わる可能性がある」

    「若いドライバーについていくつか噂が出ていることは知っている。ただ、それらには根拠がない。だから我々がそこに焦点を当てることはない。現時点では、そのことに注力していない」

    経験を優先するキャデラック ただし2027年への扉は閉じず
    キャデラックにとって、ペレスとボッタスの経験は新規F1チームを構築するうえで大きな意味を持つ。参戦初年度の2026年はまだポイントを獲得できておらず、中国GPでボッタスが記録した13位がここまでの最高成績となっている。

    さらにチームは夏休み中に体制を変更し、チーム代表のグレアム・ロードンを退任させ、元アルピーヌF1エグゼクティブディレクターのマルチン・ブコウスキーを後任に据えた。組織そのものが発展途上にある段階だけに、経験豊富なペレスとボッタスを維持することには一定の合理性がある。

    その一方、キャデラックは将来を見据えたドライバー育成も必要になる。ハータはすでにチームのテストドライバーとしてF1プログラムに組み込まれており、カマラをはじめとする若手の名前も今後さらに浮上する可能性がある。

    トウリスの発言から読み取れるのは、2027年の基本方針はペレスとボッタスの継続であり、ハータやカマラの起用が具体化している事実はないということだ。ただし「状況は常に変わり得る」とあえて付け加えたことで、キャデラックが将来的なドライバー変更の選択肢まで閉ざしているわけではないことも明確になった。

  • キャデラックF1 グレアム・ロードン電撃解任「双方合意ではない」当日朝に通告

    キャデラックF1 グレアム・ロードン電撃解任「双方合意ではない」当日朝に通告

    キャデラックF1のチーム代表交代は、F1界でも異例の突然の人事となった。プロジェクトの立ち上げから約4年間にわたって中心的な役割を担ってきたグレアム・ロードンが、F1参戦からわずか11戦でチーム代表を退任。後任には元アルピーヌF1エグゼクティブディレクターのマルチン・ブドコウスキーが即時就任した。

    キャデラックF1のCEOを務めるダン・トーリスは、この交代について「双方合意ではない」と明言。さらにロードン本人に決定を伝えたのは発表当日の朝だったことを明かした。

    一方で、代表交代そのものは数カ月前から検討されており、キャデラックF1が次の成長段階へ進むための組織改革だったと説明している。

    「私の決定だった」ロードンに当日朝に通告
    F1がサマーブレイクに入っているなか、キャデラックF1は水曜日午後、ロードンの退任とブドコウスキーのチーム代表就任を発表した。

    61歳のロードンは、トーリスやアンドレッティ家とともに約4年間にわたってF1参戦プロジェクトを構築してきた中心人物のひとりだった。それだけに、参戦初年度のシーズン前半を終えたばかりのタイミングでの交代は大きな驚きをもって受け止められた。

    トーリスはメディアとのインタビューで、今回の決定がロードンとの合意によるものではなかったことを認めた。

    「これは私の決定だった。双方合意ではない。お互いが合意して決めたことではない」

    ただし、代表交代という考え自体が突然浮上したわけではないという。

    「このプロセスが本当の意味で始まったのは数カ月前だったと思う。キャデラックのF1における次のフェーズがどうあるべきなのか、いつが適切なタイミングなのか、どのような形にすべきなのか、そして候補となるさまざまな人々がどのような能力を持っているのかを考え始めた」

    「そしてもちろん、マルチンとの話し合いや、彼との関係がどのように発展していったかについて、我々は非常に満足していた」

    数カ月前から検討も最終通告は発表当日
    水面下では数カ月にわたって検討されていた一方、ロードン本人との最終的な話し合いが行われたのは発表当日の朝だった。

    「そうだ。グレアムと私は今朝話をした。その意味では、本当に直近の話し合いだった。F1でこうした移行を簡単に進める方法はない」

    トーリスによれば、早い段階から後任候補をチーム内部に出入りさせれば、現体制を不安定にする危険性があった。

    「もしマルチンがファクトリーを歩き回って見学していたり、我々がこうした話し合いをしていたりしたら、メディアがどう反応するか想像できるだろう。それでは、その時点で組織が不安定になってしまう」

    「だから、その時点で責任を負っている経営陣の職務範囲を尊重することが重要だった。それによって必然的に、決断を下すまでの時間やスケジュール、すべてを実行に移す方法は限られてくる」

    「そのため、通常とは違って非常に唐突に物事が進んだように見える。しかし、それがF1という世界の性質であり、こうする必要があった」

    つまりキャデラックF1は、交代を検討しながらもロードンが指揮を執っている間の混乱を避けるため、最終段階まで情報を厳重に管理していたことになる。

    ロードンは最初から「暫定代表」だったわけではない
    キャデラックF1が発表した声明では、ロードン退任の具体的な理由は示されなかった。ロードンについて触れられたのもわずかで、経営体制の進化は以前から計画されていたとの説明にとどまった。

    トーリスはロードンとの個人的な話し合いの詳細について明言を避けたものの、将来的な代表交代について両者が以前から話していたことは認めた。

    「グレアムと私は、いつか移行する時が来るということについて常に話をしていた。この決定は私が下したものだ」

    ただし、ロードンがF1参戦を実現させるまでの「暫定的なチーム代表」として起用されていたとの見方は否定した。

    「彼が暫定的な役割としてここにいたと言うのは正しくないと思う。実際にはパフォーマンスと、物事がどのように進展していくかに基づいていた」

    トーリスは今回の交代について、参戦初年度の結果に対する処分というより、キャデラックF1の将来像をめぐる判断だったことを強調している。

    「どの部分でグレアムと私の考えが一致し、どの部分で一致していなかったのか。それについての話し合いは、間違いなくグレアムと私の間だけにとどめる」

    「ただ、達成してきたことについては話せる。私はグレアムを心から尊敬しているし、我々は一緒に本当に多くのことを経験してきた」

    「繰り返すが、私にとってもグレアムにとっても、これは暫定的な期間ではなかった。計画し、組織を築き、必要なすべてのステップを実現するために、ほぼ4年間を費やしてきた」

    キャデラックF1が求める「次のフェーズ」
    今回の人事の背景としてトーリスが繰り返したのが、キャデラックF1の「次のフェーズ」という言葉だ。

    新規参入チームだからこそ、既存のF1チームを単純に模倣するのではなく、新しい組織をゼロから構築できる期間は限られているという。

    「我々が今築いているものを考えれば、新しく革新的なものを構築できる非常に限られた機会が存在している」

    「私が望まなかったのは、すでに誰かが作ったもの、古いものをもう一度作って、それを少し改善しようとすることだった」

    「そして、この変更を行うタイミングが、予想していたよりも早く訪れたのだと思う」

    一方で、参戦初年度にキャデラックF1が経験している苦戦や、ここ数戦で表面化した問題がロードン退任の直接的な原因だったとの見方は否定した。

    「最近数週間のパフォーマンスや初期トラブルが原因だとは言わない」

    「これは本当に、我々が将来に向けて何を構築しているのか、その明確なビジョンを持つこと、どのようなペースで前進しているのか、そしてそれをオーナーたちの野心と一致させることについての判断だ」

    なぜ情報は一切漏れなかったのか
    F1では、ドライバー移籍だけでなく、チーム代表や技術責任者の交代も正式発表より前に情報が漏れることが珍しくない。

    しかし今回、ロードン退任とブドコウスキー就任を示唆する情報はほとんど表に出なかった。ロードン自身も直近のメディア対応で退任を示唆していなかった。

    トーリスは、秘密を維持すること自体が難しかったと認めている。

    「F1でこうした移行を行うときは、知ってのとおり非常に難しい。本当に秘密を守るのが難しい世界だが、今回はこの件についてリークがなかった」

    結果として発表が「電撃的」に映ったのは偶然ではない。現体制の指揮系統を維持し、チーム内部への影響を最小限に抑えるため、キャデラックF1側が意図的に最後まで情報を限定していたというのがトーリスの説明だ。

    ブドコウスキー起用で組織構築を加速
    後任となるマルチン・ブドコウスキーは、F1の技術部門と統括組織、そしてチーム経営の双方を経験してきた人物だ。

    マクラーレンやフェラーリなどで技術職を経験した後、FIAでF1技術部門の責任者を務め、その後ルノー/アルピーヌに加入。アルピーヌではエグゼクティブディレクターとしてチーム運営にも携わった。

    キャデラックF1がブドコウスキーに期待するのは、単なる現場指揮だけではなく、新規参入チームを次の段階へ移行させるための組織構築だとみられる。

    トーリスは、現在のチームとF1を取り巻く状況を考えれば、今が交代のタイミングだったと説明した。

    「スポーツとチームの双方に存在する状況を考えれば、今が適切なタイミングだった。だから、このステップを踏むには今が正しい時期であり、正しい場所だった」

    「グレアムがチームにもたらしてくれたすべてのものに、改めて心から感謝している。そしてマルチンのリーダーシップと、キャデラックの未来がどうなっていくのかを非常に楽しみにしている」

    約4年間をかけてキャデラックF1参戦の基礎を築いたロードン。その役割を評価しながらも、トーリスは参戦わずか11戦でトップ交代を決断した。

    今回の説明から浮かび上がるのは、単純な成績不振による更迭ではなく、オーナー側が求める成長速度や将来の組織像をめぐって、ロウドン体制からブドコウスキー体制へ早期に切り替える必要があると判断したという構図だ。もっとも、トーリスが「一致していた部分と、そうでなかった部分」に言及した以上、両者の間に今後のチーム運営をめぐる考え方の違いが存在していたこともうかがえる。キャデラックF1は、参戦初年度の折り返し地点で早くも次の組織づくりへと舵を切った。

  • キャデラックF1 ペレスのウィリアムズ移籍説を否定「2027年も残留すると確信」

    キャデラックF1 ペレスのウィリアムズ移籍説を否定「2027年も残留すると確信」

    キャデラックF1の最高経営責任者(CEO)ダン・タウリスと、新たにチーム代表へ就任したマルチン・ブコウスキーが、セルジオ・ペレスの2027年ウィリアムズ移籍説について言及した。タウリスは「ペレスがキャデラックに残ると強く確信している」と述べ、現時点でドライバー変更を計画していないことを強調した。

    キャデラックは2026年F1サマーブレイク中に首脳陣を刷新し、グレアム・ロードンに代わってブコウスキーをチーム代表に起用した。

    F1参戦初年度は11戦を終えてコンストラクターズ選手権最下位に沈んでいるが、チームは経験豊富なペレスとバルテリ・ボッタスを今後の成長に不可欠な存在と位置づけている。

    ペレスのウィリアムズ移籍説 キャデラックは「まったく気にしていない」
    キャデラックはデビューシーズンを通じて信頼性トラブルにも苦しんできた。ペレスはモナコGPで10位フィニッシュを果たし、チーム初ポイントに迫ったものの、レース後のタイムペナルティによって15位へ降格した。

    そうしたなか、ペレスのマネジメント陣が2027年に向けてウィリアムズと交渉しているとの報道が浮上している。カルロス・サインツJr.が契約満了を機にチームを離れる可能性があり、その後任候補としてペレスの名前が挙がっているというものだ。

    しかし、新代表のブコウスキーは、キャデラックのような若いF1チームにとって、ペレスほど経験豊富なドライバーを擁することには大きな意味があると強調した。

    「僕が仕事を始める前なので、少し難しい質問ではある。ただ、チェコはチームにとって大きな戦力になっている。正直に言えば、2人のドライバーともそうだ」

    「キャデラックが非常に経験豊富な2人のドライバーを選んだことについてはいろいろと言われてきた。しかし、このような若いチームにとって、その経験と安定性は極めて重要だと思っている」

    「ドライバーも学んでいて、同時にチーム全体も学んでいるという状況になれば、変数が多すぎる」

    そのため、ブコウスキーはペレスの存在がチーム構築のうえで重要だと考えている。

    「だから、チェコのようなドライバーがいることは重要だ。ダンとの会話やチームのほかの人たちから聞いている限り、彼は非常に素晴らしい走りをしているだけではなく、舞台裏でもチームをものすごく強くプッシュしている」

    「それはレッドブルで何年も過ごし、最高レベルを知っているドライバーなら当然期待されることでもある」

    「そして、それこそ僕たちが求めているマインドセットだと思う。僕自身も同じような姿勢を持ち込むつもりだ。だから、その考え方や前進しようとする意欲について、僕たちは完全に一致すると思っている」

    キャデラックF1のCEOを務めるタウリスも、ブコウスキーの評価に同意。ペレスを2027年もチームに残せると「非常に確信している」と語った。

    「マルチンが言ったことはすべて強調しておきたい。チェコはチームにとって素晴らしい戦力になっている。非常にいい走りをしているし、間違いなくチームをかなり強くプッシュしている」

    「チェコがキャデラックに残ることを私は非常に確信している。ウィリアムズに関する噂に気を取られていることは一瞬たりともない」

    「われわれはこの関係に非常に自信を持っているし、これからも彼がキャデラックF1マシンをドライブする姿を見ることになると確信している」

    ラファエル・カマラ加入説も「根拠のある話ではない」
    ペレスのウィリアムズ移籍説と並行して浮上しているのが、フェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属するラファエル・カマラのキャデラック加入説だ。

    2026年のFIA F2選手権でタイトルを争っているブラジル人のカマラについて、フェラーリが2027年のF1シートを確保するため、キャデラックとローン移籍に関する交渉を始めたとの報道も出ている。

    ペレスが離脱した場合、若手ドライバーを起用する可能性があるかと問われたタウリスは、将来的な選択肢として検討する価値は認めながらも、現在具体的に動いている話ではないと否定した。

    「若いドライバーを入れることでチームをさらにプッシュできるのかというのは、とてもいい質問だ。もちろん、われわれも考えていることではある」

    「われわれには現在、非常に満足している経験豊富な2人のドライバーがいる。2人ともチームをプッシュしてくれているし、われわれも彼らをプッシュし続けていく」

    「ただし、ひとつ付け加えておかなければならないのは、ここがF1だということだ。物事はいつでも変わる可能性がある。現時点で2027年に向けた変更は何も計画していない」

    「もちろん状況が変わる可能性はあるが、われわれが変更を求めているわけではない。若手ドライバーについていくつか噂が出ていることは知っているが、それらには根拠がない」

    「だから、そこに注目する必要はないと思う。現時点でわれわれがそこに焦点を当てているわけではない」

    ラファエル・カマラ

    ブコウスキーが重視するフェラーリPUの「使い切る力」
    カマラ獲得説の背景には、キャデラックとフェラーリの関係もある。キャデラックはF1参戦初期にフェラーリ製パワーユニットを使用しており、フェラーリの若手を起用することで両者の関係を強化する可能性も取り沙汰されている。

    だが、ブコウスキーが現時点で重視しているのはドライバーを介した関係強化ではなく、フェラーリから供給されるパワーユニットの性能をキャデラック側が最大限に引き出すことだ。

    「フェラーリとの関係について言えば、もちろん僕たちはフェラーリのカスタマーだ。レギュレーションに従って、同じハードウェア、同じエンジンを供給してもらっている」

    「ただ、今年はフェラーリに限った話ではないが、特にメルセデスのエンジンを見ても、主にエネルギーマネジメントの細かな部分を理解することで、まだ多くのパフォーマンスを引き出せることが分かっている。それが性能差を生む要素になっている」

    ブコウスキーは、キャデラック自身が「供給されたハードウェアを本当に最大限活用できているのか」を検証する必要があると指摘する。

    「チームとして見なければならないのは、『僕たちは供給されているハードウェアを最大限に生かせているのか?』ということだ」

    「エンジンには競争力がある。アップグレードによって、さらに競争力を増していくだろう。しかし、僕たちは本当にそのポテンシャルを100%使えているのか。そこを確認しなければならない」

    一方で、PUメーカーがすべてのノウハウをカスタマーチームへ開示するわけではないことも、F1では当然の競争の一部だとブコウスキーは捉えている。

    「もちろん、その関係は重要だ。しかし、最大限のパフォーマンスを引き出すためのあらゆるノウハウを、サプライヤーが必ずしも共有してくれるわけではない。それはフェアなゲームだし、そこから先はチーム側の仕事になる」

    「フェラーリを責めているわけでも、グリッド上の誰かを責めているわけでもない。可能な限り最高のエンジンを供給するという部分があり、それを可能な限りうまく使うという部分がある」

    「僕がチームに加わったら、そこは間違いなく確認していくことになる」

    キャデラックにとって、2027年のドライバー市場を巡る噂以上に重要なのは、参戦初年度に浮き彫りとなった課題をひとつずつ解消し、チームとしての競争力を高めることになる。新代表ブコウスキーは、経験豊富なペレスとボッタスを軸にチームを成長させながら、フェラーリ製パワーユニットを含め、現在手にしているパッケージから最大限の性能を引き出すことを最初の課題のひとつとしている。