セルジオ・ペレスは、F1参戦初年度を戦うキャデラックについて、マシン開発のペースが十分ではないと率直に指摘し、チームに「すべてのプロセスを見直す必要がある」と訴えた。
新規参戦チームとして一定の戦闘力を示してきたキャデラックだが、シーズンが進むにつれてライバルとの差を縮め切れない状況が続いている。
レッドブル・レーシング時代にトップチームの開発競争を経験してきたペレスは、問題はマシンの潜在能力そのものではなく、それを素早くラップタイムへ結びつける開発体制にあるとみている。
ペレス「すべてのプロセスを見直す必要がある」
F1ではシーズン中の開発速度が勢力図を大きく左右する。開幕時点で一定の競争力があったとしても、アップデートの投入と改善を続けなければ、短期間でライバルに取り残される可能性がある。
ペレスは、そこが現在のキャデラックに不足している部分だと語った。
「僕たちにとって、開発はかなり難しくなっている。基本的に、十分な開発ができていないと思う」
「だから、もっと力強く開発を進められるように、すべてのプロセスを見直す必要があるのは明らかだ。F1では開発がすべてだからね」
「そこが僕たちに少し欠けているところだと思う。当然、新しいチームだから、おそらく自分たちが望んでいたほど開発を進められていない」
ペレスの発言からは、単に新しいパーツが不足しているというより、設計、製造、評価、実戦投入までを含めた開発サイクル全体の効率を高める必要があるという認識がうかがえる。
期待したほど縮まらなかったライバルとの差
今季投入されたアップデートについて、もっと大きな前進を期待していたかと問われると、ペレスは率直に認めた。
「もちろんだ。もっと差を縮めたかった」
「僕たちは少し離されすぎている。ただ、良いことは、解決できればすぐにかなりのパフォーマンスを得られる部分が非常にはっきりしていることだ。そこはポジティブな点だね」
つまり、キャデラックが抱えている問題について、チーム内では一定の原因特定が進んでいるということになる。
これは重要なポイントだ。F1の開発では、単純に新しいパーツを投入するだけではなく、風洞やCFD、シミュレーターで得られた予測と実車の挙動を一致させ、その結果を次の開発へ正確に反映させることが求められる。
ペレスの言葉を踏まえれば、キャデラックには改善余地の大きい領域が見えており、今後はそれをどれだけ迅速に実際のパフォーマンスへ変換できるかが焦点になる。

ブコウスキー新代表が開発体制を変えられるか
こうしたペレスの指摘が出たタイミングで、キャデラックはチーム運営の大きな転換期を迎えている。
グレアム・ロードンに代わってチーム代表に就任したのが、元アルピーヌのエグゼクティブディレクターであるマルチン・ブコウスキーだ。
ブコウスキーはF1チーム運営だけでなく、エンジニアリング面にも精通している。キャデラックにとって、その経験は単なる組織管理以上の意味を持つ可能性がある。
新代表は就任にあたり、チーム内に勝つためのメンタリティを築いていく意向を示している。ただし、キャデラックが順位を上げるためには精神面だけでなく、ペレスが問題視した開発プロセスそのものに手を入れる必要がある。
特に新規参戦チームでは、既存のF1チームと比べて部門間の連携や意思決定、パーツ製造からサーキット投入までの流れを成熟させるのに時間を要する。設備や人材を揃えるだけではなく、それらをひとつの開発組織として効率的に機能させることが次の段階となる。
参戦できるチームから上位を争えるチームへ
キャデラックはF1参戦初年度ながら、グリッドに加わるだけの基盤を築いている。一方で、ペレスが求めているのはその次の段階だ。
シーズン中に問題を特定し、解決策を設計し、それを短期間でマシンへ反映してタイムを縮める。この開発サイクルを安定して回せるかどうかが、今後のキャデラックの競争力を決める。
レッドブル・レーシングでタイトル争いを経験したペレスだからこそ、トップレベルのF1チームに求められる開発速度との差は明確に見えているはずだ。
ブコウスキー体制で開発の進め方そのものを改善し、現在見えている課題を実際のラップタイムへと変換できるか。キャデラックにとって今後の焦点は、参戦初年度に築いた土台を、継続的に順位を上げられる開発力へと進化させることになる。
