カテゴリー: フェルナンド・アロンソ

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1を「100%信頼」も猶予は最大3年

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1を「100%信頼」も猶予は最大3年

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1シーズンで苦戦が続くホンダに対して「100%信頼している」と強調した。一方で、過去のF1プロジェクトのように競争力を得るまで5年、6年と待つことはできず、「2年か3年が最大」と明確な期限も示している。

    アストンマーティンとホンダは2026年からワークスパートナーとして新たな時代をスタートさせたが、ここまでは信頼性とパフォーマンスの両面で期待した水準に届いていない。

    「ホンダを100%信頼している」
    「そう、100%だ。ホンダのコミットメントは非常に大きいと思っている」

    アロンソはF1イタリアGPを前にした木曜日、ホンダへの信頼についてそう語った。

    「日本にある施設は世界でも最高レベルのひとつだ」

    「パワーユニットの人員やマネジメントも、ホンダが言っているように強化されているし、以前のプロジェクトに携わっていた多くの人たちも今回のプロジェクトに戻ってきている」

    「だから僕には疑いはない。ホンダを100%信頼している。ただ、そのプロセスを何とか短縮する必要がある」

    ホンダは2015年にマクラーレンとのパートナーシップでF1に復帰した際、厳しいスタートを経験した。その後、レッドブルとの協力を通じて競争力を高め、最終的にはタイトルを争えるパワーユニットへと成長した。

    しかし、45歳となったアロンソにとって、今回も同じだけの時間を待つという選択肢はない。

    「残念ながら、僕たちは出だしでつまずいた。このレギュレーションが始まった時点で、望んでいたレベルにはいなかった。でも、ホンダが最終的にそこへ到達することに疑いはない」

    「ただ、これまで何度も言ってきたように、前回のように5年や6年も待ちたくはない」

    「2年、あるいは最大でも3年でそこまで行きたい」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ザントフォールトの新PU「大きな改善ではなかった」
    ホンダは前戦F1オランダGPで新スペックのパワーユニットを投入。アロンソは18番グリッドから9位まで順位を上げてポイントを獲得した。

    一方、アストンマーティンもハンガリーGPから大幅に改良したマシンを投入しており、特にコーナリング性能については前進が見られている。

    それでもアロンソは、9位という結果を成功として受け止めるつもりはない。

    「僕たちは9位だけで満足することはできないし、チームの誰も満足していないと思う」

    「ただ、少なくとも自分たちが進んでいる方向が正しいと分かったことは、全員にとっていい後押しになった」

    「ブダペスト以降、マシンでは多くのことを変更した。そしてコーナーでは、かなりいいところまで来ていることが分かっているし、そう感じている」

    「この哲学と戦略を維持して、この開発ペースで進んでいけば、最終的にはコーナーで最速のマシンのひとつになれるという希望を、シルバーストンにいる全員に与えてくれる」

    シャシー側について一定の手応えを感じる一方、ホンダがザントフォールトに投入した新しいパワーユニットについて、アロンソの評価はより厳しいものだった。

    「ひとつの項目にはチェックを入れられた。でもエンジン側について言えば、正直なところザントフォールトでは大きな改善ではなかった」

    「ドライバビリティに問題があったし、追加されたパワーもザントフォールトでは感じるのが難しかった」

    モンツァがホンダ新PUの「本当のテスト」
    アロンソは、高速サーキットのモンツァがホンダのアップデートをより正確に評価できる舞台になると考えている。

    「モンツァはエンジンにとって、より本当の意味でのテストになるかもしれない」

    長い全開区間を持つモンツァでは、ザントフォールト以上にパワーユニットの絶対的な性能やエネルギーマネジメントが重要になる。そのため、ホンダが新スペックで実現したパワー向上をどこまで実際のラップタイムにつなげられるかが焦点となる。

    ただし、アロンソは2027年に向けてホンダだけが改善すればいいとは考えていない。アストンマーティン側にもさらなる進歩が必要だと強調した。

    「まだ長い道のりがある。来年に向けてシャシーとエンジン、その両方を改善しなければならない。それは絶対に必要なことだ」

    「そこが一番重要だ」

    アロンソはホンダが最終的に競争力を取り戻すことについて「疑いはない」と繰り返している。その一方で、求めているのは長期的な可能性だけではない。アストンマーティンとホンダがF1で勝利を争うためには、その成長過程を大幅に短縮し、今後2〜3年以内に結果へ結びつける必要があるとの考えを明確にした。

  • フェルナンド・アロンソ F1イタリアGPで特別ヘルメット 恩師カンポスに敬意

    フェルナンド・アロンソ F1イタリアGPで特別ヘルメット 恩師カンポスに敬意

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1イタリアGPで自身のキャリアを支えた故エイドリアン・カンポスに敬意を表する特別仕様のヘルメットを着用する。普段のブルーとイエローを基調としたデザインから一変し、レッドとイエローが主役となる。

    アロンソにとってエイドリアン・カンポスは、単なる元F1ドライバーやチームオーナーではない。若き日の才能を見いだし、シングルシーターの世界へと導いた最初のマネージャーであり、その後のF1キャリアにつながる道筋を作った重要な存在だった。

    モンツァで蘇るエイドリアン・カンポスのヘルメット
    今回のヘルメットは、カンポスが現役時代に使用していたデザインへのオマージュとなっている。レッドとイエローを中心に、後部にはホワイトを配色。アロンソが現在契約するスポンサーのロゴを組み合わせながら、カンポスの特徴的なカラーリングを再現した。

    アストンマーティンF1チームは、この特別なヘルメットについて次のように説明した。

    「エイドリアンはフェルナンドの才能を最初に見いだした人物で、彼の最初のマネージャーとなり、シングルシーターの世界へ進む手助けをした」

    「そして今、彼を象徴するヘルメットがモンツァのコースに戻ってくる。彼の家族もこの瞬間を一緒に分かち合う」

    アロンソ自身も、カンポスへの思いを明かしている。

    「エイドリアンとカンポス家のみんなに捧げる、とても特別なヘルメットだ。エイドリアンは僕をカートのレースで見て、シングルシーターに乗るべきだと言ってくれた」

    「僕を信じて最初のチャンスを与えてくれて、数年後にはF1まで連れてきてくれた。僕のため、そして僕たちのモータースポーツのために彼がしてくれたすべてのことに、これからもずっと感謝している。カンポス・レーシングへと受け継がれている、比類のないレガシーだ」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム) イタリアグランプリ

    アロンソの才能を見いだした最初のマネージャー
    エイドリアン・カンポス自身は1987年と1988年にミナルディからF1に参戦。その後はチーム運営と若手育成に活動の軸を移し、多くのドライバーのキャリアを支えた。

    その代表的な存在がアロンソだった。カンポスはカート時代のアロンソの才能に目を留め、シングルシーターへの転向を後押し。1999年には自身のチームからユーロ・オープン・バイ・ニッサンに参戦させ、アロンソはタイトルを獲得した。その後、ミナルディでのテストなどを経てF1への道を切り開いていった。

    カンポスが築いたチームは現在もカンポス・レーシングとして活動し、若手ドライバーの育成を続けている。アレックス・パロウらもその道を歩み、スペインのモータースポーツ界に大きな足跡を残してきた。

    カンポスは2021年1月に死去したが、その功績と若手育成への情熱は現在のチームにも受け継がれている。

    アロンソ自身もミナルディからF1デビュー
    カンポスとアロンソには、F1でのキャリアにも興味深いつながりがある。カンポスが1987年にF1デビューを果たしたミナルディは、アロンソが2001年にF1デビューしたチームでもある。

    さらにモンツァは、アロンソがF1に到達する以前から走ってきたサーキットでもある。1999年のユーロ・オープン・バイ・ニッサン時代にも、カンポスのチームのドライバーとしてこの地を訪れていた。

    普段は故郷アストゥリアスを象徴するブルーとイエローをヘルメットに取り入れているアロンソだが、2026年F1イタリアGPではレッド、イエロー、ホワイトを基調としたカンポスのカラーリングで走る。

    自身のF1キャリアの原点を作った人物への感謝を込め、アロンソはモンツァでエイドリアン・カンポスの象徴的なヘルメットを再びサーキットに蘇らせる。

  • フェルナンド・アロンソ 角田裕毅のF1復帰を絶賛「来年も走ってほしい」

    フェルナンド・アロンソ 角田裕毅のF1復帰を絶賛「来年も走ってほしい」

    フェルナンド・アロンソが、2026年F1オランダGPでレーシングブルズから復帰した角田裕毅のパフォーマンスを絶賛した。限られた走行時間で決勝11位まで追い上げた角田裕毅について「驚異的な走りだった」と称え、2027年もF1グリッドで走る姿を見たいと語った。

    角田裕毅は、負傷したアイザック・ハジャーに代わってレッドブル・レーシングに昇格したリアム・ローソンの代役として、オランダGPでレーシングブルズからF1に復帰。

    フリー走行は1セッションしか経験できない状況から予選に臨み、決勝ではポイント獲得まであと一歩となる11位でフィニッシュした。

    アロンソはF1公式SNSのインタビューで、角田裕毅の復帰戦について高く評価した。

    「裕毅は本当に素晴らしかった」とアロンソはコメント。

    「彼にとって信じられないほど素晴らしい週末だったと思う。フリー走行は1回しか走っていないのに、そこからすぐ予選に臨んで、決勝ではあと少しでポイントというところまでいった」

    「だから、裕毅は本当に驚異的な走りをしたと思う。ある意味、僕たちはグリッドに彼がいないことを寂しく感じているし、彼のキャラクターも恋しい」

    さらにアロンソは、今回のスポット参戦だけにとどまらず、角田裕毅が今後もF1でレースを続けることを期待していると語った。

    「今回の2戦だけではなく、もっと多くのレースに出てほしいし、来年も走ってくれることを願っているよ」

    角田裕毅はオランダGPに続き、今週末のイタリアGPでもレーシングブルズから出場する。2027年のF1シートを巡る状況が注目されるなか、2度のF1ワールドチャンピオンであるアロンソから寄せられた高い評価は、角田裕毅にとって大きな後押しとなりそうだ。

  • ジェンソン・バトン アロンソにF1続行を希望「まだ多くのものを与えられる」

    ジェンソン・バトン アロンソにF1続行を希望「まだ多くのものを与えられる」

    ジェンソン・バトンが、かつてマクラーレンでチームメイトだったフェルナンド・アロンソにF1での現役続行を呼びかけた。アストンマーティンのアンバサダーを務めるバトンは、自身の引退経験も振り返りながら、45歳となったアロンソには「まだ多くのものをF1に与えられる」と語った。

    アロンソの将来を巡っては、2026年限りで現役を退く可能性も含めてさまざまな憶測が続いている。一方、ホンダ側もアロンソにアストンマーティンのプロジェクトに残ってほしいとの意向を示しており、その決断に注目が集まっている。

    バトン「個人的にはもう少し長く続けてほしい」
    バトンはアストンマーティンの公式サイトで、アロンソの将来について自身の考えを明かした。

    「フェルナンドの将来は今、大きな話題になっている。彼がもう1年F1を続ける決断をするのかどうか、私にはまったく分からない。ただ、いつ引退を決断したとしても、F1史上最高のドライバーのひとりとして正当に評価されることは分かっている」

    「ただ、個人的にはもう少し長く続けてほしいと思っている」

    2009年F1ワールドチャンピオンのバトンは、自身が36歳でF1から退いたときには、すでに引退すべき時期が来たことを自覚していたという。

    「私は自分がF1を引退すべき時が来たことを分かっていた。36歳で引退したから、フェルナンドより9歳若かったけれど、私は準備ができていた」

    「その前の2年ほどは、レースをすることに苦しんでいた。本当の意味ではそこにいたいと思えていなかったからだ。自分にはもう新しく成し遂げるものがないように感じていた。そこまで来れば、去る時だと分かる」

    「フェルナンドにはまだエキサイティングな挑戦がある」
    しかし、現在のアロンソは当時の自分とは違うとバトンは考えている。その最大の理由が、アストンマーティンで進められているプロジェクトだ。

    「フェルナンドにとって違うのは、まだ目の前にエキサイティングな挑戦があることだと思う」

    「もちろん今年は厳しい。でも、アストンマーティンにいて、エイドリアン・ニューウェイのような人と仕事をするという意味では、今もエキサイティングな時期だ」

    「どんなF1ドライバーだって、彼が設計したマシンでレースをしたいと思うだろうし、彼がこのチームを前進させていくところを間近で経験したいと思うはずだ」

    バトンはさらに、アロンソが2018年限りで一度F1を離れながら、2021年に復帰した経験も、今回の決断に大きく影響するとみている。

    「将来を決めることがどれだけ難しいかは私にも分かる。そして彼は以前にも一度それを経験している」

    「彼はF1を離れて、その後戻ってきた。つまり、明らかにあのときは早く離れすぎたということだ。だから今度は、自分がもうF1にいたくないと100%確信するまで、去ることはないと思う」

    「アストンマーティンで勝利を争う姿を見たい」
    バトンは、年齢にかかわらずアロンソの才能と勝利への意欲は失われていないと強調する。

    「フェルナンドには、まだF1に与えられるものがたくさんある。私は彼がアストンマーティンで勝利を争う姿を見たい。それこそ彼がいるべき場所だし、このチームが目指している場所でもある」

    「彼は本来ならもっと多く勝っているべきだった。何度か不運な状況に置かれてきたし、そのひとつは私と一緒だったときでもある。でも、才能とハングリーさは今も残っている。それこそがF1に残り、競争力を維持するうえで重要なことだ」

    ジェンソン・バトンとフェルナンド・アロンソ

    シューマッハとのバトルに匹敵するアロンソ
    マクラーレン時代にアロンソと同じチームで戦ったバトンは、その実力をミハエル・シューマッハと並べて評価している。

    「フェルナンドに対してできる最大の賛辞は、彼と戦うことがミハエル・シューマッハと戦うことにとても似ていたということだ」

    「私の経験では、彼らとのバトルはハードだけれどフェアだった。毎回限界ギリギリで、それが大好きだった。それも挑戦の一部だった」

    「私がハンガリーで初めてグランプリに勝ったときも、彼らと戦っていた。ドライバーとして望むのはそういうことだ。最高のドライバー、偉大なドライバーたちと戦って、自分がどれだけ通用するのかを確かめたい」

    バトンは自身のF1キャリアを通じて、アロンソとシューマッハだけでなく、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネン、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペンとも戦ってきた。

    「私は本当に幸運だった。フェルナンドやミハエルだけでなく、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネン、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペンといった、このスポーツの本当のレジェンドたちと戦うことができた」

    「走っているのを見ればすぐフェルナンドだと分かる」
    その歴代の名手たちのなかでも、アロンソには一目で分かる独特のドライビングスタイルがあるとバトンは語る。

    「フェルナンドを際立たせているのは、そのドライビングスタイルだ。すべてのマシンを同じ色に塗って、全ドライバーをコースに出したとしたら、その違いを見分けるのは難しいと思う」

    「でも、フェルナンドが目の前を走り過ぎれば、すぐに彼だと分かる。それは彼がステアリングの向こう側でやっていることによるものだ」

    「フェルナンドのドライビングは誰とも違う。アグレッシブで、素晴らしい適応力がある。それは彼のキャリアを通じてずっと変わっていない」

    アロンソは2026年にアストンマーティン・ホンダとして新たな時代を迎えたものの、ここまでは期待されたほどの結果を残せていない。それでもバトンは、アロンソには依然としてトップレベルで戦う才能と意欲があり、ニューウェイとともにアストンマーティンを勝利へ導くという「エキサイティングな挑戦」が残されていると考えている。

    一度F1を離れながら復帰した経験があるだけに、バトンの見立てでは、アロンソが次に引退を決断するのは、自らが「100%」納得したときになる。

  • フェラーリF1 アロンソに伏せてベッテル獲得交渉「不公平な交渉だった」

    フェラーリF1 アロンソに伏せてベッテル獲得交渉「不公平な交渉だった」

    フェルナンド・アロンソが2014年限りでフェラーリを離れた舞台裏には、当時本人が知らされていなかった重要な動きがあったという。アロンソが自身の将来についてフェラーリと交渉を続けていた一方で、マラネロではすでにセバスチャン・ベッテル獲得に向けた動きが進んでいたと、F1ジャーナリストのマーク・ヒューズが明かした。

    2010年から2014年までフェラーリのエースを務めたアロンソは、2010年と2012年に最終戦までF1ワールドチャンピオン争いを繰り広げた。

    しかし、タイトルには届かず、両者の関係は次第に悪化。最終的にアロンソは2014年末にチームを離れ、翌2015年からマクラーレン・ホンダへ移籍した。

    アロンソが知らなかったベッテルとの交渉
    ヒューズがポッドキャスト『F1 Rewind』で語ったところによれば、2014年のアロンソとフェラーリの交渉は、双方が同じ情報を持った状態で行われていたわけではなかった。

    当時、アロンソには2016年までフェラーリとの契約が残っていた。一方で、自身の将来を見据えてメルセデスやマクラーレン・ホンダとも交渉を進めていたという。

    アロンソ自身はフェラーリとの交渉において有利な立場にいると考えていた。

    「アロンソは、自分が非常に有利な立場にいると思っていた。自分こそがフェラーリの中心人物だと考えていた」とヒューズは説明する。

    しかし、その裏側では別の動きが進んでいた。

    当時レッドブルで4年連続F1ワールドチャンピオンとなっていたベッテルには、一定の条件を満たせば契約を解除できる条項が存在していた。2014年、レッドブルは新たなパワーユニット規則への対応で苦戦し、ベッテル自身も新加入のダニエル・リカルドに後れを取っていた。

    ベッテルがレッドブルを離れる可能性が生まれると、フェラーリは獲得へ向けて動き始めた。

    だが、ヒューズによれば、アロンソはベッテルの契約解除条項についても、フェラーリがベッテルと交渉していることについても知らされていなかった。

    「状況は常に変化していた。フェラーリは何が起きているのかを知っていたが、アロンソは知らなかった。だから、本当に不公平な交渉だった」

    「フェルナンドは自分がすべての情報を持っていると思っていた。でも、実際にはそうではなかった」

    フェラーリにはアロンソへ知らせる義務があった?
    さらにヒューズは、フェラーリとアロンソの契約には、チームが他のドライバーと交渉する場合、それをアロンソ側へ知らせることを求める条項が存在していたと主張している。

    これが事実であれば、フェラーリがベッテルとの交渉をアロンソに伏せていたことには、契約上の問題があった可能性も出てくる。

    ただし、ヒューズによれば、フェラーリ側にもアロンソを完全に手放すと決断できない事情があった。

    ベッテルがレッドブルとの契約解除条項を実際に行使できるかどうかが、まだ確定していなかったからだ。

    「起こり得たのは、セバスチャンが契約解除条項を発動しない、あるいは発動できる状況にならないことだった。その場合、フェラーリにはアロンソに残ってもらう必要があった」

    つまりフェラーリは、ベッテル獲得の可能性を探りながら、もし交渉が成立しなかった場合に備えてアロンソを残す選択肢も維持していたというのがヒューズの説明だ。

    アロンソから見ればフェラーリとの将来を巡る交渉だったが、フェラーリ側から見れば、ベッテル獲得の成否を見極めながら進める二重の交渉だったことになる。

    ミハエル・シューマッハがベッテル獲得を推薦
    ベッテルのフェラーリ加入には、ミハエル・シューマッハも間接的に関わっていたという。

    シューマッハとベッテルは親しい関係にあり、ヒューズによれば、シューマッハは当時フェラーリ会長だったルカ・ディ・モンテゼーモロにベッテル獲得を推薦していた。

    「ルカをその気にさせるのに、それほど説得は必要なかった」とヒューズは振り返る。

    重要なのは、その動きが2014年になって突然始まったものではなかったとされている点だ。

    ヒューズの説明では、シューマッハからモンテゼーモロへの推薦を含め、ベッテルを将来のフェラーリドライバーとして迎える構想は2013年の段階ですでに存在していたという。

    つまり、フェラーリが2014年の新F1パワーユニット規則への対応に苦戦したことだけが、アロンソからベッテルへの交代を決定づけたわけではない可能性がある。

    フェルナンド・アロンソ(スクーデリア・フェラーリ)

    関係悪化の始まりは2010年アブダビGP
    アロンソとフェラーリの関係が決定的に悪化するまでには、数年間にわたる積み重ねがあった。

    ヒューズが大きな転換点として挙げたのが、2010年F1最終戦アブダビGPだ。

    アロンソはフェラーリ加入初年度からタイトル争いを展開し、ポイントリーダーとして最終戦を迎えた。しかし、決勝ではフェラーリの戦略が裏目に出て、ルノーのヴィタリー・ペトロフを抜けないまま7位でフィニッシュ。ベッテルに逆転され、3度目のF1ワールドチャンピオン獲得を逃した。

    ヒューズによれば、この敗戦を境にフェラーリとアロンソの関係性は変わり始めたという。

    「ほとんどすべてが、その瞬間から壊れていった。それ以降、うまくいかなければチームの責任で、うまくいけばフェルナンドのおかげ、という構図になった」

    ヒューズは当時、モンテゼーモロ本人からも同様の不満を聞いていたと明かしている。

    「彼は基本的にこう言っていた。アロンソは素晴らしいドライバーだが、うまくいったときは『アロンソだから』で、うまくいかなかったときは『チームのせい』になると感じていた」

    2010年のタイトル逸失だけで両者の関係が破綻したわけではない。しかし、その後もフェラーリはアロンソが望むだけの競争力を持つマシンを用意できず、不満が蓄積していった。

    2014年に決着 アロンソ離脱とベッテル加入
    2014年にはF1がV6ターボ・ハイブリッド時代へ移行したが、フェラーリはメルセデスに大きく後れを取った。

    一方のレッドブルも、それまでの圧倒的な優位を失い、4連覇王者だったベッテルはチームメイトのリカルドに苦戦した。

    その状況下でベッテルはレッドブル離脱を決断。フェラーリはアロンソとの契約を予定より早く終了させ、ベッテルをキミ・ライコネンのチームメイトとして2015年から迎え入れた。

    アロンソはマクラーレンへ移籍し、ホンダがF1にパワーユニットサプライヤーとして復帰する新プロジェクトに参加した。

    結果だけを見れば、アロンソがフェラーリに見切りをつけ、ベッテルがその後任として加入したというドライバー交代だった。

    しかしヒューズの証言を踏まえると、その過程はより複雑だったことになる。

    フェラーリはベッテルという次の選択肢を水面下で確保しようとしながら、その交渉が成立しなかった場合に備えてアロンソ残留の可能性も維持していた。一方のアロンソは、その重要な情報を知らないまま自身の将来を巡る交渉を進めていたとされる。

    2014年末の離別は一つのシーズンの不振によって突然決まったものではなく、2010年アブダビGPを起点とする関係悪化と、2013年頃から進んでいたとされるベッテル獲得構想が重なった末の結末だったというのが、今回ヒューズが明かした内幕である。

  • アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    フェルナンド・アロンソがF1オランダGPで18番グリッドから9位まで追い上げた走りについて、元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、アストンマーティンのAMR26Bそのものよりも「アロンソの力」が結果を大きく左右したとの見方を示した。

    アストンマーティンはザントフォールトで金曜から土曜にかけて苦戦し、スプリント予選と決勝の予選で期待された結果を残せなかった。

    それでもアロンソは日曜の決勝で力強いレースペースを発揮。18番手から9位まで順位を上げ、チームにポイントをもたらした。

    シュタイナー「アロンソの特別なレースが救った」
    シュタイナーは、ハンガリーGP後にはアストンマーティンの進歩を高く評価していた。しかし、ザントフォールトで金曜日からマシンのパフォーマンスを見たことで、その評価を一度見直したという。

    ポッドキャスト『The Red Flags』でシュタイナーは「金曜日、そして予選とスプリントを見た後、私は『彼らの復活について少し過剰に反応していたのではないか』と思った」と語った。

    「そして土曜日の決勝に向けた予選を見て、『これは良い方向には進んでいないな』と思った」

    アストンマーティンは予選でアロンソが18番手、ランス・ストロールが19番手に終わり、2台ともQ1で敗退。前戦までに高まっていたAMR26Bへの期待とは対照的な結果となった。

    しかし、決勝では状況が一変した。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを走り、レースペースを生かして順位を上げていった。

    シュタイナーは、その結果を単純にAMR26Bの競争力によるものとは捉えていない。

    「フェルナンドにとって特別なレースだった。それが彼らを救った」

    「彼は良いペースを維持することができた。それに今の彼らにとって助けになっているのは、グリッド後方に他から大きく離れた3チームがいることだ」

    つまりシュタイナーは、アストンマーティンが中団上位の競争力を完全に取り戻したというより、アロンソがマシンから結果を引き出した側面が大きかったとみている。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    AMR26Bのレースペースには明確な改善
    ただし、アロンソの9位をドライバーの力だけで説明するのも適切ではない。

    AMR26BはハンガリーGPですでにタイヤデグラデーションの少なさを示しており、ザントフォールトでもその特徴が表れた。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを成立させ、戦略の自由度を広げている。

    さらに、スプリントでもアロンソとストロールはクリアエアでは比較的良好なペースを示していた。前方を走るアレクサンダー・アルボンを抜けずにタイムを失ったことで結果には結びつかなかったものの、決勝で突然速さが生まれたわけではない。

    ストロールとの直接比較については、決勝序盤にマシンへダメージを負い、最終的にリタイアしたため判断材料にはしにくい。

    それでも、予選では最後尾付近に沈んだAMR26Bが、決勝ではポイント争いのできるペースを示したことは、現在のアストンマーティンが一発の速さよりもロングランで競争力を発揮しやすいことを改めて示す結果となった。

    「アロンソ効果」とマシン改善の両方
    シュタイナーの指摘通り、アロンソが結果を大きく押し上げたことは間違いない。18番グリッドからポイント圏まで戻り、タイヤを管理しながらレースペースを維持した走りは、44歳となった現在もアロンソがF1で違いを生み出せるドライバーであることを示した。

    一方、AMR26Bにもその走りを可能にするだけのレースペースとタイヤマネジメント性能があった。予選での18、19番手という結果だけを見れば失望の週末だったが、決勝ではマシンが持つ別の側面が表れている。

    ザントフォールトでアストンマーティンを救ったのは「アロンソ効果」だったのか、それともAMR26Bの進歩だったのか。実際にはその両方が重なった結果と見るのが妥当だが、シュタイナーは、その中でもアロンソ自身の貢献をより大きく評価している。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの性能は2027年去就に「重要ではない」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの性能は2027年去就に「重要ではない」

    フェルナンド・アロンソは、2027年以降もF1参戦を続けるかどうかについて、ホンダが投入したアップグレード版パワーユニット(PU)の絶対的な性能は判断材料として「重要ではない」と語った。

    アストンマーティンとホンダは2026年F1シーズン前半に苦戦したが、アロンソが重視しているのは今回のアップデートで何秒縮められるかではない。

    開発現場で狙った改善が実際のマシンでも再現されるか、つまり開発の方向性と相関性が正しいことを確認できるかが、将来を見極めるうえで重要だと説明した。

    ホンダ新PUの性能と2027年の去就は「関係ない」
    ホンダは前戦オランダGPで今季初となるPUアップデートを投入した。シーズン前半は期待された競争力を発揮できず、アストンマーティンもシャシー側で苦戦したことから、両者のパートナーシップの立ち上がりは厳しいものとなった。

    そうした状況を受け、2026年限りで現在の契約を終えるアロンソが2027年もF1に残るかどうかは、ホンダの改良型PUがどれだけ進歩するかに左右されるのではないかとの見方も出ている。

    しかし、アロンソはその考えを否定した。ホンダの新PUのパフォーマンスが自身の決断にどれほど重要なのかと尋ねられると、明確に答えた。

    「重要ではない」

    「もちろん、パワーやドライバビリティ、それに僕たちに欠けていた部分で何らかの恩恵が見られることを期待している」

    「でも僕にとってもっと重要なのは、ブダペストでのシャシー側と同じように、何が必要なのかを理解したうえで開発の考え方があり、それによって前進できていることを確認することだ」

    「0.1秒でも1秒でも数字は重要ではない」
    アストンマーティンは7月のハンガリーGPでシャシーのアップデートを投入した。アロンソによれば、その際も目的は一気にトップ争いへ加わることではなく、ファクトリーで進めてきた開発の方向性が実車でも正しく機能するかを確認することだった。

    「ブダペストでは、トップのポジションを争えるとは思っていなかった。でも、シャシー側で進んでいる方向が正しいのかを確認したかった。そして、それは確認できたと思う」

    「だから将来に向けて励みになる。相関性が良くて、僕たちが期待していたものが実際に得られたからだ」

    アロンソは、今回のホンダのPUアップデートについても同じ視点で評価しているという。

    「今度はエンジンでも同じだ。彼らはエンジンにいくつか変更を加えた。だから、すべてが期待どおりに機能していることを確認できればいい」

    「それが0.1秒なのか1秒なのか、その数字自体は本当に重要ではない」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アロンソが重視する「相関性」
    アロンソの発言から浮かび上がるのは、現時点のラップタイムそのものよりも、アストンマーティンとホンダが開発を正しい方向へ進められているかを重視しているという点だ。

    F1マシンの開発では、シミュレーションやダイナモ、風洞などで予測された改善がサーキットでも再現される「相関性」が重要になる。期待した効果が実車で確認できれば、その開発手法を基盤として次のアップデートへつなげることができる。

    ハンガリーGPのシャシーアップデートについて、アロンソはすでにその相関性を肯定的に評価している。ホンダのPUについても、今回の変更によって得られる絶対的なタイム短縮量ではなく、開発段階で予測した改善が実際に現れるかを確認したいということになる。

    「僕たちはかなり後ろにいるから、数字そのものを気にしている場合ではない」

    「僕たちが期待したものが、実際に届けられていることを確認したいだけだ」

    2027年のF1継続はまだ決断せず
    アロンソは現時点で、2027年もF1参戦を続けるかどうかを正式には決断していない。

    今回の発言は、ホンダの新PUが速ければ残留し、期待外れならF1を去るという単純な判断ではないことを示している。むしろアロンソが見ているのは、アストンマーティンとホンダが問題を正しく把握し、ファクトリーで想定した改善をサーキットへ確実に持ち込める組織になっているかどうかだ。

    2026年後半戦で求められているのは、一度のアップデートによる劇的な順位上昇ではない。シャシーとPUの双方で開発の相関性を確立し、継続的に前進できることを示せるか。そのプロセスこそが、アロンソにとってアストンマーティン・ホンダの将来性を判断する重要な材料になりそうだ。

  • アストンマーティンF1 フェルナンド・アロンソ年俸の一部負担をホンダに要求か

    アストンマーティンF1 フェルナンド・アロンソ年俸の一部負担をホンダに要求か

    アストンマーティンF1が、フェルナンド・アロンソとの契約延長に向けて、ホンダに年俸の一部負担を求めているとスペインのスポーツメディア『ElDesmarque』が報じた。ローレンス・ストロールは2027年以降、ホンダからチームへの資金拠出を増やし、その一部をアロンソの残留に充てたい考えだという。

    アロンソの現行契約は2026年末で満了する。2027年と2028年については年俸4000万ユーロ(約74億円)を要求しているとされ、2年間では総額8000万ユーロ(約148億円)に達する。

    この高額な契約を成立させるため、アストンマーティン側はワークスパートナーであるホンダにも協力を求めているようだ。

    ストロールがホンダにアロンソの年俸負担を要請か
    『ElDesmarque』は、F1のビジネス事情に詳しいジャーナリスト、マルク・リマシェの情報として、ローレンス・ストロールがホンダにフェルナンド・アロンソの将来の給与の一部を負担してもらうことを望んでいると伝えている。

    アストンマーティンは2027年以降、ホンダからチームへの資金拠出を増やすことを求めており、その追加資金の一部をアロンソとの契約延長に充てる考えだという。

    アロンソの要求額については、リマシェが今月初め、2027年と2028年の契約延長に向けて1シーズンあたり4000万ユーロ(約74億円)を求めていると報告。この情報はイタリアの『La Gazzetta dello Sport』も取り上げ、「2年間で8000万ユーロ」と報じている。

    アロンソは現在45歳だが、F1で依然として高い評価を受けており、アストンマーティンにとってはマシン開発においても重要な存在となっている。チームはエイドリアン・ニューウェイを中心にタイトルを争える体制の構築を進めており、そのプロジェクトに2度のF1ワールドチャンピオンを残すことを望んでいる。

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    アロンソ残留にはホンダの競争力も重要
    一方で、アロンソが2027年以降もF1参戦を続けるかどうかは、契約条件だけで決まるわけではない。

    アロンソは自身の将来について、ローレンス・ストロールやエイドリアン・ニューウェイらと話し合ったうえで判断する考えを示している。その決断を左右する重要な要素のひとつが、アストンマーティンとホンダの競争力だ。

    2026年からアストンマーティンはホンダのワークスパートナーとなり、新しいF1パワーユニット規則のもとでホンダ製PUを搭載している。『ElDesmarque』は『The Race』の報道も引用し、ホンダの今後の進歩がアロンソの将来を左右する可能性があると指摘している。

    ホンダ製PUがシーズン後半に十分な進歩を示し、アストンマーティンが勝利やタイトル争いを現実的に狙える状況になれば、アロンソがF1参戦を続ける大きな理由になる。一方で期待するレベルに届かなければ、45歳という年齢も含めて引退を選択する可能性も残されている。

    HRCの渡辺康治社長も、アロンソが2027年もアストンマーティン・ホンダのプロジェクトに残ることを強く望んでいる。渡辺社長はアロンソと仕事をすることはホンダにとって「極めて重要」と語り、その経験と開発能力を高く評価している。

    今回の報道が事実なら、ホンダには競争力のあるF1パワーユニットを提供するだけでなく、アロンソをチームに残すための経済的な協力まで求められていることになる。

    アロンソが求めているとされる年俸4000万ユーロ、アストンマーティンのマシン開発、そしてホンダF1パワーユニットの競争力。2027年以降もアロンソがF1で戦い続けるかどうかをめぐり、今後はホンダも重要な鍵を握ることになりそうだ。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの課題を説明「エンジンブレーキがランダム」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの課題を説明「エンジンブレーキがランダム」

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1オランダGPで投入されたホンダの新スペック・パワーユニットについて、ドライバビリティ面で残されている具体的な課題を明かした。ダウンシフトに加え、エンジンブレーキの効き方が「コーナーごとに少しランダム」だという。

    さらにアロンソは、ストレートでは依然として大きなタイムを失っていると指摘した。ただし、ホンダに改善のための時間が必要であることも理解しており、「シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」とアストンマーティンとホンダへの信頼を強調した。

    「望んでいるところには達していない」
    オランダGP後、Sky Sportsのインタビューで、新PUのドライバビリティについて具体的に何が不足しているのかを問われたアロンソは、ひとつの問題に限定できるものではないと説明した。

    「何かひとつ具体的なことがあるわけではないと思う。全体的に、ドライバビリティという点ではまだ僕たちが望んでいるところには達していない」

    そして、ドライバーが感じている問題としてダウンシフトとエンジンブレーキを挙げた。

    「ダウンシフトだったり、エンジンブレーキの効き方がコーナーごとに少しランダムに感じられたりする。そういったところは、まだ細かく調整していく必要がある」

    ブレーキングからコーナー進入にかけてマシンの姿勢をコントロールするうえで、エンジンブレーキの一貫性は重要になる。現状では、その挙動をさらに安定させることが新PUの最適化における課題のひとつとなっている。

    ストレートでは「まだかなり失っている」
    課題はドライバビリティだけではない。アロンソは絶対的なパワーについても改善が必要だと指摘した。

    「それにパワー不足もあって、ストレートではまだかなり失っている」

    アストンマーティンはシャシー側の進歩によって、コーナーでは以前より競争力を発揮できるようになった。それだけに、次に改善すべき領域がよりはっきりと見えるようになったという。

    「今はコーナーではある程度競争力を持てるようになったから、そこを改善する必要がある」

    オランダGP週末には、新PUのドライバビリティに関する問題がすでに表面化していた。スプリント予選ではアロンソがブレーキング時の意図しないパワーデリバリーについて訴えており、新スペックを車体側と最適化する作業が課題となっている。

    「ホンダにも時間を与える必要がある」
    もっとも、アロンソは問題点を列挙するだけではなく、ホンダとともに解決していく姿勢を強調している。

    「でも、僕たちはすべてを一緒に進めようとしている。ホンダにも、何が問題なのか、どこを直すべきなのかを突き止めるための時間を与える必要がある」

    新スペックの投入によって新たに現れた問題を分析し、どこを修正すればドライバビリティとパフォーマンスを改善できるのか。アロンソは、ホンダ側にもそれを見極める時間が必要だとの認識を示した。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    「シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」
    そして、ホンダの新PUに残された課題を率直に指摘したアロンソは、最後にプロジェクトへの信頼を明確にした。

    「僕は満足しているし、落ち着いている。シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」

    シルバーストンはアストンマーティンのF1ファクトリー、さくらはホンダ/HRCのF1パワーユニット開発拠点を指す。Sky Sportsでのアロンソの発言として、エンジンブレーキの不安定さとともに、この両拠点への信頼も伝えられている。

    アロンソの発言は、新PUへの単純な批判ではない。ダウンシフト、エンジンブレーキ、ストレートでのパワーという改善すべき領域を明確にしながら、その解決に取り組むシルバーストンとさくらの双方を信頼している。

    シャシーがコーナーで競争力を取り戻しつつあるからこそ、PU側の課題を解消できればアストンマーティンのパッケージ全体をさらに前進させられる。ホンダが新スペックをどこまで早く最適化できるかが、今後の競争力を左右する重要なポイントとなる。

  • HRC渡辺康治社長 アロンソの2027年F1継続を熱望「ホンダにとって極めて重要」

    HRC渡辺康治社長 アロンソの2027年F1継続を熱望「ホンダにとって極めて重要」

    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、フェルナンド・アロンソが2027年もF1参戦を続け、アストンマーティン・ホンダのプロジェクトに残ることを強く望んでいる。「アロンソと一緒に仕事ができることは、私たちにとって極めて重要です」と語り、開発面でもその存在が大きな力になっていることを強調した。

    2026年F1オランダGPの週末、渡辺康治社長はスペイン紙『Mundo Deportivo』の独占インタビューに応じた。

    そこで語られたのはアロンソの将来だけではない。ホンダが直面しているPU開発の遅れ、スペック2投入の意味、ADUOを活用した挽回、人材不足の解消、レッドブルとのプロジェクトを経験した重要なエンジニアの復帰、エイドリアン・ニューウェイとの協力、2027年への見通し、さらには2031年以降のF1エンジン規則まで、現在と将来のホンダF1プロジェクトについて幅広く明かした。

    セナとフェルスタッペンに続く新たな挑戦
    ホンダはF1の歴史のなかで、アイルトン・セナ、そしてマックス・フェルスタッペンとともに困難な挑戦を乗り越え、大きな成功を収めてきた。現在はアストンマーティン、そしてアロンソとともに新たな挑戦に臨んでいる。

    渡辺康治社長は、そうした困難そのものがホンダを強くしてきたと説明する。

    「基本的に、一つひとつの挑戦が私たちをより強くしてきました。そして、あらゆる成功の裏には数え切れないほどの挑戦があります」

    「セナのときもそうでしたし、マックスのときもそうでした。成功は一つひとつの挑戦を乗り越えた先にやってきます。そのことを私たちの誰も疑っていません」

    現在は日本のHRC Sakura、英国のHRC UK、そしてシルバーストンに本拠を置くアストンマーティンが一体となり、競争力向上へ向けて作業を続けている。

    「HRC Sakura、HRC UK、そしてシルバーストンのアストンマーティンのメンバーが一緒になって、困難を乗り越えるために取り組んでいます」

    「私たちはまさに挑戦の真っただ中にいます。そして、成功へ向かっているところです」

    ホンダ新PU「何をすべきなのかは分かっています」
    アロンソはホンダが現在抱えている問題を解決し、トップレベルのPUを作り上げることについて「時間の問題」だとして、その技術力への信頼を公に示してきた。

    ホンダはその期待に応えるため、開発のペースを上げている。渡辺康治社長によれば、少なくとも改善すべき方向性について迷いはない。

    「私たちは今、そこへ到達するまでの時間を短くする、そのプロセスの真っただ中にいます」

    「パワーユニット、つまりエンジンと電気系について、開発で何をしなければならないのかは分かっています。ですから今は、それを実現するために取り組んでいます」

    ただし、どれほどの時間が必要なのかについては慎重だった。

    「正確にいつとは言えません(笑)」

    「では、ホンダが最高のエンジンのひとつを作れるようになるのはいつだと思うか」と改めて問われても、答えは変わらなかった。

    「これは誰に聞かれても同じ答えになります。いつになるのかは言えません」

    スペック2は「状況改善への最初の一歩」
    その一方で、オランダGPで投入した新仕様PU、いわゆるスペック2は、ホンダにとって重要な転換点になる。

    2026年序盤から苦戦してきたホンダにとって、このアップデートは単純な性能向上だけを意味するものではない。今後トップレベルへ近づいていくための開発の出発点でもある。

    「もちろんです。今回のスペック2は、状況を改善するための最初の一歩です」

    「そして、毎年少しずつ近づいていきます。私たちの目標は勝つことです」

    ホンダはザントフォールト投入の新PUで、燃焼室やプレチャンバー、潤滑システムなどICE内部を中心に手を入れ、性能だけでなく信頼性の改善にも取り組んでいる。

    開発開始の遅れ「追いつくのは簡単ではありません」
    渡辺康治社長は、2026年シーズン序盤にホンダが厳しい状況に陥った背景についても率直に認めた。

    大きな要因のひとつは、新しいF1パワーユニットの開発開始がライバルより遅かったことだ。

    「私たちは開発を始めたのが非常に遅かったので、その遅れを取り戻す必要があります」

    しかし、現在のF1では単純に資金や人員を大量投入すれば追いつけるわけではない。

    「遅れを取り戻すのは簡単ではありません。予算制限がありますし、それ以外にもさまざまな制約があります」

    そこで重要になるのが、メーカー間の性能差に応じて追加開発機会を認めるADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)だ。

    「もちろん、ADUOのレギュレーションを活用しながら開発を加速させて、近づいていかなければなりません」

    人材不足は解消「今はもう問題ありません」
    ホンダのF1復帰プロジェクトでは、PUそのものだけでなく、開発を担う人材の確保も大きな課題だった。

    だが、渡辺康治社長によれば、その問題については状況が変わったという。

    「はい、以前は問題がありました。しかし、今はもう問題ではありません」

    「人数という意味でも、能力という意味でも、十分なエンジニアを採用することができました。ですから、今は大丈夫です」

    HRCのF1プロジェクトでは新たな人材を増強すると同時に、過去にレッドブルとのプロジェクトに携わった経験者も戻ってきている。

    レッドブル時代の重要エンジニアがF1プロジェクトに復帰
    レッドブルとのパートナーシップ時代にホンダはF1タイトルを獲得し、そのプロジェクトには多くの経験豊富な技術者が携わっていた。

    渡辺康治社長は、当時の人材が現在のアストンマーティンとのF1プロジェクトに戻ってきていることを認めた。

    「はい、そうです」

    ただし、当時のスタッフ全員が戻ったわけではない。

    「全員ではありません。ただ、当時そこで仕事をしていた重要な人たちはF1プロジェクトに戻ってきています」

    HRCの新太郎・折原エンジニアも、レッドブルとのプロジェクト経験者が復帰し、新たに加わった人材も2026年のテストや実戦を通して経験を積んでいると説明しており、ホンダは2027年から2028年に向けた開発体制に自信を深めている。

    「私たちは完全に準備できています」
    人材面の立て直しを終えたことで、ホンダは成功へ向けて必要な体制が整ったと考えている。

    「もちろんです。私たちは完全に準備できています」

    ただし、準備が整ったことと、すぐにライバルへ追いつけることは別問題だ。

    「すべてのチームが毎日進化しています」

    「追いつくということは、相手よりも速いペースで進化しなければならないということです。それは簡単なことではありません」

    トップメーカーも開発を止めることはない。現在あるギャップを縮めるには、ホンダ自身がライバルを上回る開発速度を維持する必要があるという認識だ。

    2027年「今よりはるかに上にいるはずです」
    アストンマーティンではニューウェイ主導によるシャシー開発も進み、2026年シーズン途中からマシンの競争力に改善が見え始めている。

    では、PU側のホンダは2027年をどのように見ているのか。

    渡辺康治社長はまず、インタビューが行われたオランダGPで投入した新PUを確実に機能させることが先決だとした。

    「まずは今日、そしてこの日曜日に集中するべきだと思っています。このザントフォールトでのレースはかなり重要ですから」

    そのうえで、今後については明確な期待を示した。

    「その後、一歩ずつトップチームに近づいていきます」

    「ですから来年は、もちろん現在の状況と比べれば、はるかに、はるかに上のところにいるはずです」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アロンソによるホンダ擁護「私たちにとって非常に重要でした」
    ホンダが苦しい状況に置かれてきたなか、アロンソはメディアに対して繰り返しホンダへの信頼を表明してきた。

    渡辺康治社長は、その姿勢がホンダにとって非常に大きな意味を持っていたと明かした。

    「ホンダにとって、それは非常に重要でした」

    「アロンソは素晴らしいドライバーです。そして、彼と一緒に仕事ができることは、私たちにとって極めて重要です」

    ホンダが高く評価しているのはアロンソの速さや経験だけではない。PUを含めたマシンの挙動を分析し、それを技術陣へ正確に伝える能力も重要視している。

    「彼のクルマについてのコメントは非常に正確です」

    「そして、そのコメントが本当に私たちの開発を前に進める助けになっています」

    実際、アロンソはシーズン前半からPUのドライバビリティやエネルギー供給、シフト操作などについて細かなフィードバックを行い、ホンダ側もそのデータを新仕様PUの最適化につなげてきた。

    ホンダはアロンソの2027年F1継続を熱望
    そのアロンソは、2027年もF1ドライバーとして参戦を続けるかどうかをまだ決めていない。

    アストンマーティン側もアロンソの判断を待っている状況だが、ホンダの希望は明確だ。

    「はい、もちろんです。私たちはアロンソと一緒に仕事を続けたいと思っています」

    渡辺康治社長は、アロンソが持つ並外れた情熱についても強調した。

    「これほど素晴らしい情熱を持ったドライバーと一緒に挑戦できることは、ホンダにとって非常に、非常に重要です」

    そして、現在の競争力がホンダの求める水準ではないことも認めながら、その状況をアロンソとともに変えていきたいと語った。

    「今はまだ私たちが望んでいるポジションにはいません」

    「しかし、アロンソと一緒に、F1のトップチームのひとつになることが私たちの目標です」

    「2027年も続けてくれることを期待しています」
    さらに「アロンソは2027年も続けると思うか」と問われると、渡辺康治社長は率直に希望を口にした。

    「はい、そう願っています。彼が続けてくれることを期待しています」

    アロンソとホンダがともに勝利を手にした場合、それがどのような意味を持つのかという質問への答えも明快だった。

    「私たちは歴史を作ることになります」

    「アロンソにとっての歴史ですし、ホンダにとっての歴史にもなります」

    アロンソは2027年の去就について、自身がF1マシンを運転していて競争力や楽しさを感じられるかなどを判断材料にするとしており、ドライバーを続けるかどうかは本人の決断に委ねられている。

    ニューウェイとの連携「非常に緊密に仕事をしています」
    アストンマーティン・ホンダのもうひとつの重要な存在がニューウェイだ。

    ニューウェイとの協力によってチームはさらに強くなるのかと問われた渡辺康治社長は、これまで語ってきた「挑戦によって強くなる」というホンダの考え方を改めて示した。

    「チームをもっと強くできると思います」

    「先ほども申し上げたように、一つひとつの挑戦が私たちをより強くしてきました。そして間違いなく、エイドリアンとチームと一緒に、私たちはさらに強くなっています」

    ニューウェイとの実際の仕事についても、良好な関係を築けているという。

    「私たちは非常に緊密に、そして非常にうまく一緒に仕事をしています」

    新規則 新パートナー 新燃料「最初からひとつのチームになるのは簡単ではない」
    ただし、アストンマーティンとホンダが最初から完全にひとつの組織として機能できたわけではない。

    2026年にはF1の技術規則が大きく変わり、ホンダにとってアストンマーティンは新たなパートナーとなった。さらに新しい燃料への対応も必要だった。

    「もちろん、現在の新しいレギュレーション、新しいパートナー、そして新しい燃料があります」

    「そういう状況ですから、最初からひとつのチームになるのは簡単ではありません」

    実際、シーズン序盤は両者にとって非常に厳しいスタートとなった。しかし、その困難が逆にコミュニケーションを深めるきっかけにもなったという。

    「非常に難しいスタートになりましたので、そうした状況を乗り越えるために、私たちは非常に緊密で、深い話し合いを続けてきました」

    「その結果、私たちのコミュニケーションはずっと良くなりました」

    アロンソとF1王座獲得「そのためにこのプロジェクトにいるのです」
    渡辺康治社長は、現在の厳しい状況だけを見ているわけではない。

    その先には、アストンマーティン、ホンダ、そしてアロンソによるF1ワールドチャンピオン獲得という大きな目標がある。

    「もちろん夢見ています」

    「そのために私たちはこのプロジェクトを開発していますし、アストンマーティン、そしてアロンソとのパートナーシップを築いたのです」

    「なぜそう思わないのでしょうか?」

    では、アストンマーティンとアロンソとともに勝てると100%確信しているのか。

    渡辺康治社長は、結果そのものを保証することはできないとしながらも、目標については一切の曖昧さを残さなかった。

    「100%保証できる人は誰もいません」

    「ただ、私たちの目標が勝つことであることは100%確かです」

    ホンダ・レーシング

    2031年V8案「F1の技術は最先端で持続可能であるべき」
    インタビューでは、2031年以降のF1パワーユニット規則についても質問が及んだ。

    議論されているV8エンジン復活の可能性について、渡辺康治社長はまず正式な提案が届いていないことを強調した。

    「あなたはどう思いますか?(笑)」

    「非常にシンプルです。まず、私はまだFIAから正式な提案を何も受け取っていません」

    「もちろんニュースは読んでいます。ただ、その段階ですので、今は明確な回答をすることはできません」

    一方で、将来のPU規則を考えるうえでホンダが重視する基本的な考え方については説明した。

    「F1は世界最高峰のモータースポーツカテゴリーです」

    「ですから、私たちはF1の技術は最先端であるべきだと考えていますし、持続可能でなければならないとも考えています。それは重要なことです」

    ただし、V8を含めた将来のPUコンセプトそのものを拒絶しているわけではない。

    「ただ、そのようなパワーユニットをどのように実現していくのかについて議論することには、私たちは完全にオープンです」

    「まず競争力を取り戻し その先のさらに大きなものを目指します」
    最後に渡辺康治社長は、現在の厳しい状況でもホンダ、アストンマーティン、アロンソを応援するファンに向けてメッセージを送った。

    「これはとても重要なことです」

    「皆さんの応援が私たちに力を与えてくれています。ですから、スペインのファンの皆さんのサポートと声援に感謝しています」

    そして、現在地を率直に認めたうえで、ホンダが進もうとしている道筋を示した。

    「今は明らかに、私たちが望んでいるポジションにはいません」

    「しかし、まずはもう一度戦えるところまで戻り、競争力のある状態を取り戻します」

    「そしてその後も、さらに大きなものを目指して取り組み続けます」

    ホンダは2026年の苦戦を一時的な失敗として片づけるのではなく、開発開始の遅れや人材面の問題を認めたうえで立て直しを進めている。スペック2はその「最初の一歩」であり、ADUOによる追加開発、人員増強、レッドブル時代の経験者の復帰、アストンマーティンやニューウェイとの連携強化を通じて、2027年には「はるかに上」の位置を目指す。

    そして、その挑戦の中心にホンダが残ってほしいと願っているのがアロンソだ。正確なフィードバックと豊富な経験、そして渡辺康治社長が繰り返し強調する「並外れた情熱」を持つアロンソとともにトップへ戻り、勝利し、最終的にはF1タイトルを獲得する。それが現在のアストンマーティン・ホンダが描く将来像であり、渡辺康治社長はその実現によって「アロンソにとっても、ホンダにとっても歴史を作る」ことを目指している。