F1スペインGPの新たな舞台として初開催を迎えたマドリンクについて、コース設計を手掛けた企業のCEO、ヤルノ・ザッフェリが、オーバーテイクの少なさをめぐる批判に反論した。今後レイアウトを変更することは可能だとしながらも、都市計画や環境上の制約から「最小限」にとどまると説明している。
マドリンクでは先週末、初のF1スペインGPが開催された。
しかし、決勝ではオーバーテイクがほとんど見られず、サポートカテゴリーでも同様の傾向が続いたことから、ファンを中心にレイアウト改善を求める声が上がっている。
「変更は可能だが最小限」
マドリンクの設計を担当した企業を率いるザッフェリは、motorsport.comに対し、コースを大幅に作り替えることは難しいと説明した。
「いくつか変更できる部分はあるが、それは最小限だ」
「公に語られている内容を見る限り、議論されている選択肢の一部は、もともと我々の当初案に盛り込まれていたものに近いように思う。当初のプロジェクトには、ターン5でオーバーテイクの機会を作ることも含まれていた」
ザッフェリによれば、現在のターン5からターン6にかけての区間は、当初の設計とは異なる形になったという。
「ターン5はもっとタイトで、コーナリング区間を短くする予定だった」
「そして我々の設計では、ターン6の内側はアスファルトのランオフではなく、グラベルにする予定だった。ドライバーにより遅いラインを通らせ、直線的に走ることがラップタイム上の不利益になるようにするためだ」
「この一連の区間の狙いは、バンクを利用してタイムを稼ぐことではなく、それぞれ異なるメリットを持つ2つのラインを作り出すことだった」

「白紙から自由に設計できたわけではない」
マドリードはF1と10年間の長期契約を結んでいるだけに、初開催後には将来に向けたコース変更の可能性も注目されている。
一方、ザッフェリは、マドリンクが何もない土地にゼロから自由に設計されたサーキットだったとの見方を否定。実際には高度に都市化された地域であり、利用できる土地には数多くの制約が存在していたと説明した。
「『白紙の状態から設計した』と表現されているが、実際にはF1に適したサーキットを設計するうえで明確な制約が存在する、高度に都市化された地域だ」
「詳細な地図を見れば、レイアウトが多くの場所で非常に厳しい制約を受けていたことが分かる。新しい展示ホールはすでに設計され、都市計画当局から承認を受けていたし、道路網についても、あらかじめ定められたルートに沿って計画されていた」
制約のなかで「独自性を持つサーキット」を追求
ザッフェリは、こうした制約があったからこそ、マドリンクの設計には多くの創造性が必要だったと主張する。
「だからこそ、多くの創造性が必要だった。制約によって設計の自由度は限られていたが、だからといって答えがひとつに決められていたわけではない」
「構造上の制限とFIAの安全規則による制約のなかで、独自のアイデンティティを持つサーキットを生み出すため、ジオメトリーやコーナーの連続性、走行ラインを考え出さなければならなかった」
初開催のF1スペインGPでは追い抜きの難しさが大きな課題として浮き彫りになったマドリンク。設計者側は当初案にオーバーテイクを促す仕掛けが存在していたことを明かした一方、都市部という立地上、大幅なレイアウト変更には限界があるとの認識を示している。
