メルセデスF1 ジョージ・ラッセルの復調が課題 ヴォルフ「ポテンシャルを解放する」

メルセデスF1 ジョージ・ラッセルの復調が課題 ヴォルフ「ポテンシャルを解放する」

メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフは、F1スペインGPで5位に終わったジョージ・ラッセルについて、本来の能力を再び引き出すことがチームの課題だと語った。

ラッセルはマドリンクでタイヤデグラデーションへの対応に苦しみ、優勝したチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリに対して週末を通じて後手に回った。

決勝では2ストップ戦略を採用したものの、最終的には5位。アントネッリとの差はドライバーズランキングで81ポイントまで広がった。

ラッセルが疑問を呈した2ストップ戦略
ラッセルは決勝でまずバーチャル・セーフティカー(VSC)中に新品ミディアムへ交換し、その後さらにハードへ履き替えた。一方、アントネッリを含む多くのドライバーは1ストップで走り切った。

レース中、ラッセルはレースエンジニアのマーカス・ダドリーに対し、なぜ2度目のピットストップを行ったのか無線で疑問を呈した。当時は後方のランド・ノリスを抑えることができたと考えていたためだ。

しかし、ヴォルフはメルセデスの判断を擁護した。

「ジョージはミディアムの状態があまり良くないと言っていた。我々としても、あのタイヤで最後まで行けるとは考えていなかった」

「そこでピットに入る機会があった。赤旗が出るのを期待してそのまま待つのではなく、タイヤを交換してレースを続けるという判断だった」

レース後、ラッセル自身も戦略を振り返り、結果的には別の選択をしても順位は変わらなかったとの見方を示した。

「その瞬間は疑問に思っていたけど、ハードが優れたタイヤだった」

「ルクレールと一緒にステイアウトすることもできたかもしれない。でも、それでも彼の後ろでフィニッシュしていたと思う」

「最後にもう一度ハードへ交換しないという選択肢もあったかもしれない。でも、何をやっても結局は同じ順位に戻っていた。単純に、このコースではオーバーテイクができないからだ。それは残念だね」

「最速だった時間帯もある」ヴォルフは速さを強調
ラッセルはマドリンクでタイヤのデグラデーションをうまく管理できなかったことを認めており、週末の一部ではアントネッリから1周あたり数十分の1秒遅れる状況に陥った。

それでもヴォルフは、決勝終盤にシャルル・ルクレールを追い上げた際のペースを例に挙げ、ラッセル本来の速さそのものが失われたわけではないと強調した。

「終盤にルクレールを追いかけていたときのペースを見れば分かる。彼はコース上で最速だった」

「だが、タイヤ交換の後にはそのペースがなかった。正直なところ、それがどこへ行ってしまったのか分からない」

「我々はそこを分析しなければならない。彼の中に速さがあることは明らかだし、マシンにもそれはある。我々はただ、それを解放する必要がある」

ヴォルフ「我々が話しているのはすべてを勝ってきたドライバー」
今季はアントネッリがタイトル争いをリードする一方、ラッセルにとって思い通りにならないレースが続いている。ヴォルフは技術的な問題だけでなく、心理的な側面も含めてラッセルを支える必要があると考えている。

「良いレースもあれば悪いレースもある。良い年もあれば悪い年もある。だが、我々が話しているのは、それまで勝てるものをすべて勝ってきたドライバーだ」

「カートの選手権、ルーキーイヤーのF3、そしてルーキーイヤーのF2。その後、彼はウィリアムズへ行った。つまり、我々が話しているのはトップドライバーだ」

「彼がそのポテンシャルを発揮するために何が欠けているのかを突き止めなければならない。当然、そこには心理的な側面もある」

「今年のような流れが続けば、精神的に打撃を受けるものだ。だが、偉大なドライバーはそこから立ち上がる。ジョージにはチャンピオンシップを争うために必要なものがすべて備わっていると思っている」

ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

81ポイント差でもタイトルを諦めないメルセデス
スペインGPを終え、アントネッリはラッセルに81ポイント差をつけてランキング首位。ラッセルは3番手ルイス・ハミルトンを20ポイント上回っている。

ラッセル自身はレース後、今季のドライバーズタイトル争いについて現実的には厳しいとの認識を示したが、ヴォルフは残り6戦で状況が大きく変化する可能性を指摘した。

「これはモータースポーツだ。リタイアすることもあれば、クラッシュすることもある。それが2戦続くことだってある」

「そうなれば、突然、それまで十分に見えていたポイントリードがそうではなくなる。まだ6レース残っているからだ」

「だから私としては、数学的にタイトル獲得が現実的ではなくなるまではポイントを無視すべきだと思っている。それまでは各週末に集中し、ベストを尽くすだけだ」

メルセデスはすでに2027年型マシンの開発へリソースを振り向けているが、ヴォルフは現在の選手権状況に左右されるものではなく、計画通りに進めていると説明している。

「2027年に向けた開発はかなり前、夏よりも前から始まっている。我々は来年へリソースを振り向けており、それは選手権での順位に関係なく、計画通りに進んでいる」

アントネッリが勝利を重ねる一方で、ラッセルにも速さそのものは残っている。その力を安定して引き出せない原因を突き止め、「ポテンシャルを解放する」ことが、シーズン終盤に向けたメルセデスの重要なテーマとなる。