アストンマーティンF1は、2026年F1イタリアGPでホンダ製パワーユニット(PU)の深刻なパワー不足を露呈した。モンツァではストレートだけでキャデラックに1秒以上を失っていたとされ、その出力差は約50馬力に達するとの推測まで浮上している。
ハンガリーGPとオランダGPで投入されたホンダPUのアップグレードによって一時は改善の兆しを見せていたものの、パワー感度の高いモンツァでは再び弱点が表面化。
フェルナンド・アロンソとランス・ストロールは予選で最後列に沈み、アストンマーティンにとって厳しい現実を突きつけられる週末となった。
キャデラックにストレートだけで1秒以上の遅れ
アストンマーティンは2026年シーズン序盤、完走することさえ難しい状況に苦しんだ。その後、ブダペストとザントフォールトでホンダPUのアップグレードを投入し、オランダGPではアロンソが9位に入り、チームの今季最高成績を記録した。
しかし、高速のモンツァでは状況が一変した。
イタリアGP予選でアロンソとストロールはともに最後列。ポールポジションを獲得したピエール・ガスリーからは約4秒もの差をつけられた。
さらに深刻だったのがキャデラックとの比較だ。アロンソはキャデラック勢最速だったバルテリ・ボッタスから0.8秒遅れ、ストロールは約1秒遅れだった。
スペイン人ジャーナリストのアントニオ・ロバトは、アストンマーティンがキャデラックに対し、ストレート区間だけで1秒以上を失っていたと指摘した。
「アストンマーティンについて言えば、少しトンネルの先に光が見えた2レースのあとでモンツァに来た。カレンダー上で最もパワー感度が高いサーキットで、完全な悪夢になった」
「アストンマーティンのストレートスピードはひどいものだった。予選ではフェルナンドがキャデラックに対してストレートだけで1秒以上、メルセデスに対しては3秒以上失っていた。信じられない状況だ」

ホンダPUは「約50馬力不足」との推測
さらにロバトは、パドックではホンダPUの出力不足について具体的な数字まで語られていると明かした。
「ここではパワー差が50馬力ほどあるのではないかと推測している人たちもいる。50馬力だ。そして何より悪いのは、これには解決策がないということだ。今年については解決策がない」
2026年からアストンマーティンのワークスパートナーとなったホンダは、ADUO(追加開発・アップグレード機会)の仕組みを利用してPUの性能向上を進めている。
しかしロバトは、アップグレードによって出力そのものは改善していても、根本的な問題は残されていると説明した。
「これは僕だけが言っていることではない。渡辺も言っている。確かにADUOによって改善している。つまりパワーユニットは改善されているが、以前と同じアーキテクチャを維持しているため、問題そのものはまだ存在している」
キャデラックはフェラーリ製PUを搭載しており、現状ではホンダPUより高いパフォーマンスを発揮している。それでも、F1参戦初年度のキャデラックに対してアストンマーティンがストレートでこれほど大きな差をつけられていることは深刻だ。
エイドリアン・ニューウェイが率いる車体開発陣が改善を進めても、PUそのものの出力不足を空力だけで補うことには限界がある。
アロンソとストロールはイタリアGPでホンダPUへの不満を表に出した。ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長はドライバーから公然と批判される状況を避けたい考えを示していたが、モンツァではパワー不足が改めて浮き彫りになった。
ホンダはADUOによる追加開発の機会を得ており、今後どこまで差を縮められるかが焦点となる。アストンマーティンにとって、モンツァでキャデラックにストレートだけで1秒以上を失ったという事実は、2026年型パッケージが抱える課題の大きさを象徴する結果となった。
