マクラーレンは、2026年F1第14戦スペインGPでMCL40に小規模なアップデートを投入する。一方、前戦イタリアGPのモンツァで導入した「Hウイング」は、マドリンクの特性に適さないことから使用しない方針だ。
F1がマドリードで開催されるのは1981年以来45年ぶり。今回の舞台となるマドリンクは完全な新設サーキットであり、各チームには過去のレースデータが存在しない。マクラーレンにとっても、金曜日のフリー走行で路面のグリップレベルやタイヤの挙動をいかに早く把握できるかが重要になる。
過去データのないマドリンク シミュレーターを軸に準備
マドリンクはF1にとってまったく新しい市街地サーキットだ。既存の開催地とは異なり、マクラーレンには過去のレースから得られたデータがなく、セットアップを比較するための基準も存在しない。そのため、走行するすべてのラップが学習の機会となり、最初のフリー走行から重要な意味を持つ。
マクラーレンは主にシミュレーターを使ってスペインGPへの準備を進めてきた。シミュレーションによってMCL40のセットアップの出発点を定めるとともに、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリもマドリンクのレイアウトへの習熟を進めている。
ただし、実際にMCL40をコースへ送り出さなければ分からない要素も多い。実際のグリップレベル、タイヤの挙動、エネルギーデプロイメント、オーバーテイクの可能性、そして週末を通じた路面の進化などは、実走データによって確認する必要がある。
過去のデータがないからこそ、マクラーレンには素早く学習し、それに応じてマシンを適応させる能力が求められる。シミュレーターで得た情報とサーキットで収集したデータを早い段階で照合し、セットアップを煮詰めながら実際の勢力図を把握していくことになる。
また、走行プログラムを効率的に消化すると同時に、セッションごとに明らかになる新たな情報にも対応しなければならない。未知のサーキットでは、マシンそのものの速さだけでなく、チームの適応速度も結果を左右する要素となりそうだ。
MCL40に小規模アップデート モンツァのHウイングは使用せず
マクラーレンはスペインGPで、MCL40に小規模な空力アップデートを投入する予定だ。
その一方で、イタリアGPで登場したHウイングは使用しない。モンツァの高速・低ドラッグ特性に合わせて採用されたエアロパーツであり、マドリンクのコース特性には適していないと判断された。
マクラーレンでパフォーマンス担当テクニカルディレクターを務めるマーク・テンプルは、完全な新設サーキットで戦うことには大きなチャンスがある一方で、相応のリスクも伴うと説明する。
「マドリードの完全に新しいサーキットに挑むことは、大きなチャンスであると同時に、大きなリスクでもある。レイアウト、エネルギーデプロイメント、空力面での要求についてはシミュレーションから確かなデータを得ているが、最大の不確定要素は、この新しいアスファルトでタイヤがどのように機能するかだ」
「金曜日のフリー走行でコースのグリップレベルと路面コンディションを理解することが、その後の週末を組み立てるうえで非常に重要になる」

「狭くブレーキング安定性が必要」マドリンクの特徴
未知数なのは新しいアスファルトだけではない。テンプルによれば、マドリンクそのものもドライバーにとって難しいレイアウトになるという。
低速区間では縁石を正確に使うことが求められる一方、いくつかの高速コーナーも存在し、そこでドライバーやマシンの差が表れる可能性がある。
「サーキット自体は狭く、特にコーナーへ進入する際には非常に高いブレーキング時の安定性が求められる。また、低速セクションでは縁石に対する高い精度が必要で、それに加えていくつかの重要な高速コーナーもある」
こうした組み合わせにより、最初のフリー走行では限界を探る作業も難しくなりそうだ。ノリスとピアストリはMCL40の挙動を確認すると同時に、グリップの限界を探りながら、新しいコースそのものを学習していかなければならない。
空力とメカニカルの改良を継続「一歩ずつ前進」
マクラーレンはマドリードでも、ここ数戦で進めてきたMCL40の継続的な開発を続ける。
空力面とメカニカル面の双方で段階的な改良を進めており、今回の小規模アップデートもその一環となる。トップチーム間の差が依然として小さい状況では、わずかな改善でも結果を左右する可能性がある。
「MCL40に対する継続的な空力面とメカニカル面の改良によって、我々は一歩ずつ前進している。ただ、トップチーム間の差は依然として非常に小さい」
「新しいサーキットでは、最も素早く適応したチームが報われる。我々の目標は、各セッションを重ねるごとに自信とパフォーマンスを高め、日曜日の重要な場面で可能な限り最高の結果を手にすることだ」
過去の実走データが存在しないマドリンクでは、金曜日からどれだけ早くシミュレーションとの相関を取り、MCL40を最適な状態へ近づけられるかが鍵になる。小規模なアップデートも投入するマクラーレンにとって、F1スペインGPはマシン性能だけでなく、チームの対応力も試される週末となる。
