F1と『カーズ』が交差した20年 ライトニング・マックィーンがモンツァに登場

F1と『カーズ』が交差した20年 ライトニング・マックィーンがモンツァに登場

執筆者:

カテゴリ:

,

ディズニー&ピクサーの人気アニメーション映画『カーズ』が、2026年で公開20周年を迎えた。これを記念し、F1イタリアGPが開催されたモンツァには、主人公ライトニング・マックィーンをモチーフにした特別車両が登場。F1パドックを彩った。

2006年に公開された『カーズ』とF1のつながりは今回が初めてではない。ミハエル・シューマッハやフェルナンド・アロンソ、ルイス・ハミルトン、セバスチャン・ベッテルらF1王者がシリーズに参加してきたほか、現在のF1ドライバーにも同作品のファンは多い。

F1公式サイトは公開20周年に合わせ、両者が交差してきた歴史を振り返った。

ライトニング・マックィーンがF1イタリアGPに登場
『カーズ』公開20周年を記念し、ライトニング・マックィーンは2026年F1イタリアGPで「名誉トラックオフィシャル」としてモンツァに姿を見せた。

登場した車両には、ライトニング・マックィーンをイメージしたワンオフの特別リバリーが施され、トラックオフィシャルとしての役割を表現するセーフティライトも装着された。さらにFIA F1公式セーフティカーのメルセデスにも『カーズ』をテーマにした特別な装いが施された。

パドックではカルロス・サインツJr.がライトニング・マックィーンとセルフィーを撮影し、メルセデスのキミ・アントネッリも対面。映画の世界と現代のF1がモンツァで交わる形となった。

2006年公開の第1作では、若きレーサーのライトニング・マックィーンが成功だけを追い求めるルーキーから、仲間との絆を知るレーサーへと成長していく姿が描かれた。その後2本の続編が製作され、世界的な人気シリーズへ成長した。

その影響を受けた世代は現在F1にも到達している。アントネッリやアイザック・ハジャー、リアム・ローソンらが『カーズ』に親しんで育ち、とりわけローソンはライトニング・マックィーンを子供時代のヒーローとして公言するほどのファンとして知られている。

ミハエル・シューマッハがフェラーリF430として出演
『カーズ』とF1の結びつきは、第1作が公開された2006年から存在していた。

作品にはオーウェン・ウィルソン、ポール・ニューマン、リチャード・ペティといった著名人が声優として参加したが、モータースポーツ界からも世界王者たちが登場している。

そのひとりが、F1とアメリカのトップカテゴリーの双方でタイトルを獲得したマリオ・アンドレッティだ。劇中では1967年型フォード・フェアレーンをモデルとした自身の自動車版キャラクターとして登場する。

さらに、F1で7度のワールドチャンピオンに輝いたミハエル・シューマッハも出演。2005年型フェラーリF430の姿となり、映画終盤にルイジのタイヤショップ「Casa Della Tires」を訪れる。

フェラーリを愛するルイジにとって、シューマッハの登場は作品を象徴する場面のひとつとなった。


アロンソやハッキネン ラウダも各国版に参加
『カーズ』では各国向けの吹き替えにもモータースポーツ界のスターが起用された。

スペイン語版ではフェルナンド・アロンソがマリオ・アンドレッティのキャラクターを担当。ドイツ語版ではアンドレッティに代わってミカ・ハッキネンのキャラクターが登場した。

ハッキネンはフィンランド語版で「キング」の声も担当し、ドイツ語版ではF1で3度のワールドチャンピオンとなったニキ・ラウダが同じ役を務めている。また、イタリア語版ではジャンカルロ・フィジケラがブーストの声を担当した。

単にF1を題材として取り入れるだけではなく、各地域で知名度の高いレーシングドライバーを作品世界に組み込んだことが、『カーズ』シリーズと実際のモータースポーツとの距離をさらに縮めることになった。

『カーズ2』にはハミルトンとベッテルも登場
2011年公開の『カーズ2』では、F1との関係がさらに深まった。

アロンソは再び作品に参加したが、今度はスペイン語版で自身をモデルとしたアニメーションキャラクターを担当。劇中のワールド・グランプリに出場し、ライトニング・マックィーンと交流する。

セバスチャン・ベッテルはドイツ語版でレーシングカー「セバスチャン・シュネル」を担当。他地域では「マックス・シュネル」と呼ばれているキャラクターが、ドイツ語圏ではベッテルを反映した存在となった。

そしてルイス・ハミルトンも「ルイス・ハミルトン」という自身と同名のキャラクターとして登場し、ワールド・グランプリに参戦する。F1公式サイトによると、ハミルトンは自身のキャラクターデザインにも直接関わった唯一の声優だったという。

さらに1997年F1ワールドチャンピオンのジャック・ヴィルヌーヴは、フランスおよびフランス系カナダ向けの吹き替えで解説者デビッド・ホブスキャップ役として参加。ファン・パブロ・モントーヤもラテンアメリカ版でレーシングカー、ジェフ・ゴルベットの声を担当した。

『カーズ3』でもF1王者3人が再登場
シリーズ第3作『カーズ/クロスロード』でもF1とのつながりは続いた。

ハミルトン、ベッテル、アロンソがそれぞれの地域版で再び声優を担当。レーシングドライバーのクルーズ・ラミレスをサポートする音声アシスタントの声を務めた。

第1作でシューマッハやアンドレッティが登場したところから始まり、第2作以降は当時の現役F1スターたちが作品世界へ参加。シリーズの展開とともにF1との関係も広がっていった。

リアム・ローソンとライトニング・マックィーン

リアム・ローソンは筋金入りのマックィーンファン
一方、2006年の第1作公開から20年が経った現在では、『カーズ』を見て育った世代が実際にF1グリッドを形成するようになっている。

その代表格がリアム・ローソンだ。ローソンはライトニング・マックィーンの大ファンであることをたびたび公言しており、ディズニーランドを訪れた際だけでなく、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでもマックィーンとの写真を撮影している。

かつてF1王者たちが『カーズ』の世界に登場し、それを見て育った子供たちが今度はF1ドライバーになる。公開20周年を迎えた2026年、ライトニング・マックィーンがモンツァのF1パドックに登場したことは、映画と現実のモータースポーツが20年にわたって影響し合ってきた歴史を象徴する出来事となった。