2026年F1オランダGPでレッドブル・レーシングから代役参戦したリアム・ローソンは、RB22が抱えるグリップとトラクション不足をレース中に繰り返し訴えた。
マックス・フェルスタッペンがシーズンを通じて指摘してきたマシンバランスの問題を、ローソンも72周の決勝を通じて実感することになった。無線では低速域を中心にフロントとリアの双方でグリップを失う症状を詳細に報告しており、単なるセットアップではなく、RB22が抱える根本的な弱点が浮き彫りになった。
ローソンが訴え続けたRB22のグリップ不足
オランダGPでは、手首を負傷したアイザック・ハジャーに代わってローソンがレッドブル・レーシングのRB22をドライブした。
フェルスタッペンは以前から2026年型マシンについて、コーナーの進入から出口までバランスが一定せず、ドライバーが自信を持って攻められないことを問題視していた。
オランダGPのスプリント後にもフェルスタッペンは「マシンバランスが最大の問題だ」と説明している。
「コーナー全体を通じて一貫性がない。でも、それは今シーズンずっとそうだった」
さらに、問題は単に扱いにくいというだけではないと語った。
「今はマシンが抱えている根本的な問題によって、単純に制限されていると思う。それを解決する必要がある」
「全般的に、いいバランスがなければコーナーを本当に攻めることができない。それにトラクションもなければ、コーナーからきちんと立ち上がれない。そうしたすべてがタイムを失う原因になる」
その言葉を裏付けるように、ローソンも決勝の比較的早い段階からRB22の挙動に苦しんだ。
10周目には「低速でまったくグリップがない」と報告。翌11周目には問題の内訳について「主にフロントだけど、コーナー出口ではリアのグリップもすでにかなり悪い」と伝えている。
16周目には、より具体的にトラクション不足を訴えた。
「低速でのトラクションが本当に悪い」
18周目には「とにかくスロットルを踏めない」と報告した。
これはフェルスタッペンが指摘していた、コーナー出口でトラクションを得られず加速に移れないというRB22の問題と重なる。
タイヤが劣化すると前後ともにグリップを失う
ローソンの無線からは、RB22の問題がリアだけに限定されたものではなかったことも分かる。
19周目には高速域について「このスティントの終盤では高速が少し不安定になっている」と報告。ただし、この時点ではタイヤの状態が極端に悪化していることも原因として挙げていた。
さらに43周目には、マシン全体のグリップ不足を訴えている。
「とにかくものすごく滑っている。正直、フロントもリアもだ」
54周目にも「低速だけなんだ。そこで本当に多くのグリップを失っている」と伝えた。
そして56周目には、タイヤ交換直後とスティントが進んだ後でマシンの状態が大きく変化することを説明した。
「僕の場合、タイヤを履いて最初の数周はグリップがある。でも、その後は特に低速でまったくグリップがなくなる」
「4輪すべてのグリップだ。一番ひどいのはトラクションだけど、スティントが進むにつれてフロントも失っている」
ローソンの説明を整理すると、RB22は新品タイヤでは一定のグリップを発揮するものの、タイヤの状態が変化すると低速域を中心に前後双方のグリップが急速に不足し、特にコーナー出口のトラクションが大きな制約になっていたことになる。
フェルスタッペンが「一貫性がない」と表現してきたマシン特性を、ローソンもレースディスタンスの中で確認する形となった。

フェルスタッペンと直接バトル「Really nice」
ローソンは決勝スタート直後、チームメイトとなったフェルスタッペンを相手に積極的なバトルを展開した。
オープニングラップの数コーナーではフェルスタッペンに仕掛け、進路を閉じられた際には無線で「Really nice(実にいいね)」と皮肉とも受け取れる言葉を発している。
そのフェルスタッペンは1周目終盤にクラッシュしてリタイア。ローソンはレッドブル・レーシングにとって唯一の生き残りとなった。
また、ローソンはフォーメーションラップの段階で最終コーナーについて「完全に濡れている」とチームに報告していた。結果的に、この難しいコンディションがフェルスタッペンのクラッシュにつながることになった。
レース中には別の意味でローソンの代役参戦を象徴するやり取りもあった。
普段はレーシングブルズをドライブしているため、チームはピットインの際に間違えて元のチームのピットへ向かわないよう、繰り返し「レッドブルのボックス」に止まることを確認していた。
フェルスタッペン離脱後に7位フィニッシュ
ローソンは最終的に7位でフィニッシュし、レッドブル・レーシングにポイントを持ち帰った。
黄旗違反による10秒ペナルティを受けたことで、最終的には前を走ったシャルル・ルクレールから47秒差でのフィニッシュとなったものの、フェルスタッペンが序盤でリタイアした状況でRB22から現実的に引き出せる結果を残した。
一方、オランダGPでローソンが残した無線は、レッドブルの現在地を示す重要な材料にもなった。
低速域でのフロントグリップ不足、コーナー出口でのリアグリップとトラクション不足、タイヤのスティントが進むにつれて悪化する4輪全体のグリップ、そして高速域での不安定さ。ローソンが訴えた症状の多くは、フェルスタッペンが2026年シーズンを通じて問題視してきたRB22の特性と一致している。
異なるドライバーが同じマシンで同様の問題を指摘したことは、レッドブルが抱える課題がドライビングスタイルだけでは説明できないことを示す材料となる。
ローソンが次戦イタリアGPでもレッドブル・レーシングをドライブするかはまだ決まっていない。手首を骨折したハジャーはモンツァでの復帰を目指しており、その回復状況次第でローソンの起用が判断されることになる。
