ランド・ノリス フェルスタッペンに反論「F1ではドライバーがまだ差をつけられる」

ランド・ノリス フェルスタッペンに反論「F1ではドライバーがまだ差をつけられる」

ランド・ノリスは、2026年のF1で導入された新しいパワーユニット(PU)のエネルギーマネジメントによって「ドライバーが違いを生み出せなくなった」とするマックス・フェルスタッペンの見解に異論を唱えた。

フェルスタッペンは、新世代PUでは電気エネルギーの展開がアルゴリズムによって強く管理されるため、ドライバーが自らの判断やテクニックによってラップタイムを稼げる余地が狭まっていると指摘している。

一方、ノリスは一部のコーナーで差が縮まったことは認めながらも、「より優れたドライバー」であれば依然としてアドバンテージを生み出せると主張した。

フェルスタッペンが問題視する新PUのエネルギー制御
2026年のF1では、電動出力の比重が大幅に高まった新世代PUが導入され、バッテリーに蓄えられたエネルギーをどこで、どのように使用するかがパフォーマンスを左右する重要な要素となっている。

そのエネルギー展開を支えているのが高度なアルゴリズムだ。システムはドライバーの走行をもとにラップ全体で効率的にエネルギーを使用しようとするため、ドライバーにはクリーンで一貫性のある走りが求められる。

フェルスタッペンは、この仕組みがドライバーの自由度を奪っていると考えている。

「違いを生み出すことが許されていない。そうすると次のストレートでペナルティを受けることになる」

例えば、あるコーナーで通常より強く攻めてタイムを稼いだとしても、それによってエネルギーの使用パターンが変化し、その後のストレートで十分な電力を使えなくなる可能性がある。フェルスタッペンが問題視しているのは、こうしたドライバーの入力とエネルギーマネジメントの関係だ。

ノリス「優れたドライバーならまだ差をつけられる」
しかし、ノリスはフェルスタッペンの見方には全面的には同意していない。

RacingNews365を含むメディアに対し、ノリスはスパ・フランコルシャンの高速コーナー、プーオンを例に挙げた。

「確かに、いくつかのコーナーでは差が小さくなっている。例えばプーオンでは、去年なら全開で行けるドライバーと行けないドライバーがいて、それによって0.05秒くらい稼げたかもしれない」

「そういう意味では、一部のコーナーで差が縮まっていることはある。でも、より優れたドライバーなら、他のみんなに対してアドバンテージを得られるコーナーはまだある。だから、彼の言っていることすべてに同意するわけではない」

ノリスは、シルバーストンやスパのような高速サーキットでは、そもそもラップタイムを生み出せるコーナーの数が少ないため、ドライバー間の差が表れにくくなる側面もあると説明する。

「より良いドライビングをしていれば、シルバーストンやスパのような非常に高速なサーキットでも前にいられると思う。ただ、そういうコースでは、そもそもラップタイムを稼げるコーナーが少ない」

ハンガロリンクでは「まったく当てはまらない」
一方、低速から中速コーナーが連続するハンガロリンクでは事情が異なるという。

「ハンガロリンクのようなコースでは、彼の言っていることはまったく当てはまらないと思う」

ノリスによれば、問題は単純にドライバーの走りによってアルゴリズムが「混乱する」ことだけではない。

「アルゴリズムを混乱させるというだけじゃない。単純に、ときどきランダムなことをするんだ」

つまり、2026年のF1ではドライバーがエネルギー展開を完全に予測できるわけではなく、システム側の挙動に合わせながら走り方を調整する必要があるということだ。

バッテリーに合わせてドライビングも変化
ノリスは、新世代PUへの対応によってドライビングスタイルそのものにも変化が生じていると説明した。

「バッテリーを助けるために、特定の場面でやらなければならないことがある。以前よりうまく機能するドライビングスタイルもあるし、去年まで以上に意識してやらなければならないこともある」

ただし、変化しているのはPUだけではない。

「それはクルマそのものというより、明らかにバッテリーのための部分が大きい。でも、タイヤも少し変わっているし、その特性によって、以前のようにクルマをアグレッシブに攻められない部分もある。少なくとも僕たちのクルマではそうだ」

2026年のレギュレーション変更ではPUだけでなくシャシーとタイヤも変化している。そのため、前年までのドライビングスタイルをそのまま持ち込めるわけではなく、それぞれのマシンに合わせた適応が必要になる。

「ただ、クルマによって大きく違うから、他のみんなを代表して話すことはできない。僕たちも去年とはかなり違う方法でこのクルマを走らせなければならない。でも、それが僕たちの仕事だ」

「ドライバーの差」は消えたのか
フェルスタッペンとノリスの主張は、必ずしも完全に対立しているわけではない。

フェルスタッペンが問題視しているのは、ドライバーがコーナーで積極的にタイムを稼ごうとした結果、その入力が後のエネルギー展開に影響し、従来とは異なる形で帳尻を合わせられてしまう点だ。

一方のノリスも、新しいエネルギーマネジメントによって一部のコーナーでドライバー間の差が縮まったこと自体は認めている。そのうえで、コーナリング、タイヤマネジメント、そして新しいPUに適応したドライビングなど、ドライバーが違いを生み出せる領域は依然として残されていると考えている。

2026年のF1では「速く走る」ことだけでなく、バッテリーとアルゴリズムが求める走行パターンを理解し、それを最大限に利用する能力もドライバーの技量の一部になった。フェルスタッペンがその変化をドライバーの自由度低下と捉えるのに対し、ノリスは新しい条件への適応もまた、優れたドライバーが差を生み出す要素だと捉えている。