キャデラックF1の最高経営責任者(CEO)ダン・タウリスと、新たにチーム代表へ就任したマルチン・ブコウスキーが、セルジオ・ペレスの2027年ウィリアムズ移籍説について言及した。タウリスは「ペレスがキャデラックに残ると強く確信している」と述べ、現時点でドライバー変更を計画していないことを強調した。
キャデラックは2026年F1サマーブレイク中に首脳陣を刷新し、グレアム・ロードンに代わってブコウスキーをチーム代表に起用した。
F1参戦初年度は11戦を終えてコンストラクターズ選手権最下位に沈んでいるが、チームは経験豊富なペレスとバルテリ・ボッタスを今後の成長に不可欠な存在と位置づけている。
ペレスのウィリアムズ移籍説 キャデラックは「まったく気にしていない」
キャデラックはデビューシーズンを通じて信頼性トラブルにも苦しんできた。ペレスはモナコGPで10位フィニッシュを果たし、チーム初ポイントに迫ったものの、レース後のタイムペナルティによって15位へ降格した。
そうしたなか、ペレスのマネジメント陣が2027年に向けてウィリアムズと交渉しているとの報道が浮上している。カルロス・サインツJr.が契約満了を機にチームを離れる可能性があり、その後任候補としてペレスの名前が挙がっているというものだ。
しかし、新代表のブコウスキーは、キャデラックのような若いF1チームにとって、ペレスほど経験豊富なドライバーを擁することには大きな意味があると強調した。
「僕が仕事を始める前なので、少し難しい質問ではある。ただ、チェコはチームにとって大きな戦力になっている。正直に言えば、2人のドライバーともそうだ」
「キャデラックが非常に経験豊富な2人のドライバーを選んだことについてはいろいろと言われてきた。しかし、このような若いチームにとって、その経験と安定性は極めて重要だと思っている」
「ドライバーも学んでいて、同時にチーム全体も学んでいるという状況になれば、変数が多すぎる」
そのため、ブコウスキーはペレスの存在がチーム構築のうえで重要だと考えている。
「だから、チェコのようなドライバーがいることは重要だ。ダンとの会話やチームのほかの人たちから聞いている限り、彼は非常に素晴らしい走りをしているだけではなく、舞台裏でもチームをものすごく強くプッシュしている」
「それはレッドブルで何年も過ごし、最高レベルを知っているドライバーなら当然期待されることでもある」
「そして、それこそ僕たちが求めているマインドセットだと思う。僕自身も同じような姿勢を持ち込むつもりだ。だから、その考え方や前進しようとする意欲について、僕たちは完全に一致すると思っている」
キャデラックF1のCEOを務めるタウリスも、ブコウスキーの評価に同意。ペレスを2027年もチームに残せると「非常に確信している」と語った。
「マルチンが言ったことはすべて強調しておきたい。チェコはチームにとって素晴らしい戦力になっている。非常にいい走りをしているし、間違いなくチームをかなり強くプッシュしている」
「チェコがキャデラックに残ることを私は非常に確信している。ウィリアムズに関する噂に気を取られていることは一瞬たりともない」
「われわれはこの関係に非常に自信を持っているし、これからも彼がキャデラックF1マシンをドライブする姿を見ることになると確信している」
ラファエル・カマラ加入説も「根拠のある話ではない」
ペレスのウィリアムズ移籍説と並行して浮上しているのが、フェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属するラファエル・カマラのキャデラック加入説だ。
2026年のFIA F2選手権でタイトルを争っているブラジル人のカマラについて、フェラーリが2027年のF1シートを確保するため、キャデラックとローン移籍に関する交渉を始めたとの報道も出ている。
ペレスが離脱した場合、若手ドライバーを起用する可能性があるかと問われたタウリスは、将来的な選択肢として検討する価値は認めながらも、現在具体的に動いている話ではないと否定した。
「若いドライバーを入れることでチームをさらにプッシュできるのかというのは、とてもいい質問だ。もちろん、われわれも考えていることではある」
「われわれには現在、非常に満足している経験豊富な2人のドライバーがいる。2人ともチームをプッシュしてくれているし、われわれも彼らをプッシュし続けていく」
「ただし、ひとつ付け加えておかなければならないのは、ここがF1だということだ。物事はいつでも変わる可能性がある。現時点で2027年に向けた変更は何も計画していない」
「もちろん状況が変わる可能性はあるが、われわれが変更を求めているわけではない。若手ドライバーについていくつか噂が出ていることは知っているが、それらには根拠がない」
「だから、そこに注目する必要はないと思う。現時点でわれわれがそこに焦点を当てているわけではない」

ブコウスキーが重視するフェラーリPUの「使い切る力」
カマラ獲得説の背景には、キャデラックとフェラーリの関係もある。キャデラックはF1参戦初期にフェラーリ製パワーユニットを使用しており、フェラーリの若手を起用することで両者の関係を強化する可能性も取り沙汰されている。
だが、ブコウスキーが現時点で重視しているのはドライバーを介した関係強化ではなく、フェラーリから供給されるパワーユニットの性能をキャデラック側が最大限に引き出すことだ。
「フェラーリとの関係について言えば、もちろん僕たちはフェラーリのカスタマーだ。レギュレーションに従って、同じハードウェア、同じエンジンを供給してもらっている」
「ただ、今年はフェラーリに限った話ではないが、特にメルセデスのエンジンを見ても、主にエネルギーマネジメントの細かな部分を理解することで、まだ多くのパフォーマンスを引き出せることが分かっている。それが性能差を生む要素になっている」
ブコウスキーは、キャデラック自身が「供給されたハードウェアを本当に最大限活用できているのか」を検証する必要があると指摘する。
「チームとして見なければならないのは、『僕たちは供給されているハードウェアを最大限に生かせているのか?』ということだ」
「エンジンには競争力がある。アップグレードによって、さらに競争力を増していくだろう。しかし、僕たちは本当にそのポテンシャルを100%使えているのか。そこを確認しなければならない」
一方で、PUメーカーがすべてのノウハウをカスタマーチームへ開示するわけではないことも、F1では当然の競争の一部だとブコウスキーは捉えている。
「もちろん、その関係は重要だ。しかし、最大限のパフォーマンスを引き出すためのあらゆるノウハウを、サプライヤーが必ずしも共有してくれるわけではない。それはフェアなゲームだし、そこから先はチーム側の仕事になる」
「フェラーリを責めているわけでも、グリッド上の誰かを責めているわけでもない。可能な限り最高のエンジンを供給するという部分があり、それを可能な限りうまく使うという部分がある」
「僕がチームに加わったら、そこは間違いなく確認していくことになる」
キャデラックにとって、2027年のドライバー市場を巡る噂以上に重要なのは、参戦初年度に浮き彫りとなった課題をひとつずつ解消し、チームとしての競争力を高めることになる。新代表ブコウスキーは、経験豊富なペレスとボッタスを軸にチームを成長させながら、フェラーリ製パワーユニットを含め、現在手にしているパッケージから最大限の性能を引き出すことを最初の課題のひとつとしている。
