カルロス・サインツJr.が、2021年にフェラーリへ加入する際に行われた選考の舞台裏を振り返った。フェラーリはサインツJr.の過去6年間にわたるパフォーマンスを詳細に分析し、ダニエル・リカルドを含む候補者と比較。そのデータの細かさに本人も驚いたという。
セバスチャン・ベッテルが2020年限りでフェラーリを離れることが決まると、その後任をめぐってドライバー市場は大きく動いた。
当時マクラーレンに所属していたサインツJr.が最終的にそのシートを獲得し、2021年からシャルル・ルクレールのチームメイトを務めることになった。
ドライバー契約に至るまでのチーム内部の選考過程が公になることは少ない。しかしサインツJr.は、フェラーリがなぜリカルドを含む他の候補者ではなく自分を選んだのか、その背景にあった徹底的なデータ分析について明かした。
フェラーリが用意した「過去6年間」の詳細データ
サインツJr.によれば、契約前の段階で当時フェラーリのチーム代表だったマッティア・ビノットと、スポーティングディレクターを務めていたローラン・メキースから、自身のパフォーマンスを分析した資料を見せられたという。ビノットは現在アウディ、メキースはレッドブルのチーム代表を務めている。
「フェラーリに行ったときのことを覚えている。当時、マッティア(ビノット)とローラン(メキース)が、過去6年間の僕のパフォーマンスをチームメイトと比較した資料を見せてくれたんだ」
その内容はサインツJr.の想像をはるかに超えるものだった。
「彼らが僕についてどれだけ多くのことを把握していたのか、本当に驚いた。マクラーレン、ルノー、トロロッソにいた頃のことまで、彼らが知っているとは思っていなかった」
「ウエット、ドライからウエットへの変化、ドライ、予選といった細かいデータまで持っていた。彼らは僕を徹底的に分析していて、それが理由で僕を選んだんだ」
フェラーリは単純なレース結果や獲得ポイントだけではなく、コンディションやセッションごとのパフォーマンスまで細分化してサインツJr.を評価していた。
さらに、フェラーリ側が分析によって導き出した弱点も、サインツJr.自身の認識と一致していたという。
「その後、彼らが僕に改善できると考えている統計上のポイントも見せてくれた。それを見て、『それは僕自身も改善しなければならないと思っていた部分だ』と感じたよ」
リカルドらとの比較を経てサインツJr.を選択
当時、フェラーリの候補にはサインツJr.だけでなく、ダニエル・リカルドをはじめ複数のドライバーが含まれていた。
ベッテルの離脱が決まったことで注目を集めたフェラーリのシート争いだったが、最終的にチームは詳細な分析をもとにサインツJr.を選択した。
「チームが実際にここまで細かいレベルで見ているということに、僕はまったく心の準備ができていなかった」
「フェラーリのようなチームが僕を分析して、ダニエル・リカルドや他のフェラーリのシート候補よりも僕を選んだ。そのことには驚いたよ」
「トップチーム、あるいはそれだけのツールを持っているチームが、ここまで細かい部分を見ることができるんだと知って、いい意味ですごく驚いた」
サインツJr.は2015年にトロロッソからF1デビューし、その後ルノー、マクラーレンを経て2021年にフェラーリへ加入。マラネロでは4シーズンを過ごし、グランプリ4勝を挙げた。
フェラーリのドライバー選考では、知名度や単純な成績だけではなく、複数チームで積み重ねた6年間の膨大なパフォーマンスデータが判断材料となっていた。サインツJr.がリカルドらとの競争を制して名門のシートを手にした背景には、本人さえ想像していなかったほど詳細な分析が存在していた。
