カテゴリー: ウィリアムズ・レーシング

  • ウィリアムズF1 3年で過去と決別したジェームス・ボウルズの改革

    ウィリアムズF1 3年で過去と決別したジェームス・ボウルズの改革

    ウィリアムズF1は、2022年末にはコンストラクターズ最下位に沈み、長年にわたる構造的停滞とリソース不足に苦しんでいた。しかし2025年シーズン、その姿は一変する。同じレギュレーションサイクルの中で5位に浮上し、表彰台争いに絡む存在へと変貌を遂げた。

    その変革の中心にいたのが、2023年1月にチーム代表へ就任したジェームス・ボウルズだ。

    彼は3年という時間をかけ、ウィリアムズが抱えてきた「過去」を断ち切り、施設、プロセス、人材に至るまで抜本的な改革を断行した。結果以上に重要なのは、チームが明確な方向性と現実的な再建ビジョンを取り戻したことにある。

    2022年末、ウィリアムズはF1の最下位に沈み、わずか8ポイントでシーズンを終えていた。中団グループの他チームとは大きな差があり、かつての名門はもはや自らの名に見合わない存在となっていた。長年積み重なった構造的な遅れ、限られた資金、競争力は例外的な好条件に左右されるのみという厳しい現実があった。

    それから3年後、同じレギュレーションサイクルの終盤となった2025年、ウィリアムズは137ポイントを獲得してコンストラクターズランキング5位でシーズンを終えた。カルロス・サインツJr.による2度の表彰台に加え、オースティンのスプリントでは3位も記録。直接のライバルに対して明確な差を築き、より大きな資金力や最新のインフラを備えるチームをも上回った。この上昇は偶然ではなく、計画的な再建の結果だった。

    その立役者がボウルズである。2023年1月13日、グローブのチームが彼の就任を発表した瞬間から、ウィリアムズは表面的な立て直しではなく、組織の根幹に踏み込む変革に着手した。

    ボウルズはメルセデスF1から加入し、トップチームの内部で培った知識を持ち込んだ。プロセス、責任分担、組織構造の重要性を熟知していた彼は、ウィリアムズに足りないものを即座に見抜いた。必要だったのは人事の入れ替えではなく、考え方と働き方そのものの刷新だった。

    象徴的なのが、部品管理システムの近代化だ。2024年までウィリアムズは、約2万点に及ぶコンポーネントを巨大なExcelシートで管理していた。素材、スペアパーツ、部品のライフサイクル、生産優先度を一元的に把握するには極めて非効率な体制だった。

    ボウルズはここに最初のメスを入れ、ERP、MRP、PLMといった現代的な管理システムを導入した。これにより、部品の所在、使用素材、製造状況、マシン全体のライフサイクルを常に可視化できる環境が整えられた。この改革は、後に彼が最重要テーマとして掲げるCapEx(設備投資予算)拡大の土台ともなった。

    CapExはコストキャップの枠外で、インフラ改善に充てることができる特別な予算だ。ボウルズは、これを拡大しなければ長年蓄積された設備面の遅れを埋めることはできないと訴え続けた。その結果、ウィリアムズは新たなシミュレーターを含む重要な設備投資を実現する。再建を目指すチームにとって、これは不可欠な一歩だった。

    FIAが導入した段階的な制度も追い風となった。インフラが遅れたチームほど多くの投資余地を与える仕組みの下で、ウィリアムズは最も恩恵を受ける立場にあった。ボウルズはこの制度を最大限に活用し、弱点を規則上のアドバンテージへと変えた。

    技術と並行して、彼が力を注いだのが人材だった。チーム規模を拡大し、リーダーシップや専門性が不足していた分野に経験豊富なエンジニアを配置。技術者が再び将来性のあるプロジェクトに関われるという確信を持てる環境を整えた。ウィリアムズはまだ道半ばではあるが、確かな選択肢として認識される存在へと変わっていった。

    ウィリアムズ・レーシング

    この認識の変化は、ドライバー市場にも影響を与えた。2024年の移籍市場で注目を集めたサインツが、将来の舞台としてウィリアムズを選んだことは、その象徴的な出来事だった。メルセデス製パワーユニットの存在は要因のひとつだが、それだけでは決断の理由を説明できない。短中期的に結果を出せる現実的なプロジェクトだと判断したからこその選択だった。

    2025年シーズンは、その判断が正しかったことを示している。わずか3年前には想像もできなかった表彰台、そして中団での明確な優位性。ウィリアムズは好条件を待つチームではなく、自ら結果を引き寄せるチームへと変わった。

    3年を経たいま、ボウルズの最大の功績は単なる順位やポイントではない。ウィリアムズは、失われていたアイデンティティと明確な技術的方向性を取り戻した。約20年にわたり手付かずだった領域にまで踏み込んだこの改革は、進化ではなく再建だった。ここから先、その成果がどこまで結実するのか。ウィリアムズの次の章は、すでに始まっている。

  • カルロス・サインツJr. 2026年F1に心境「学んだことはすべてゴミ箱行き」

    カルロス・サインツJr. 2026年F1に心境「学んだことはすべてゴミ箱行き」

    カルロス・サインツJr.は、2026年F1で実施される大規模なレギュレーション変更がもたらす影響について、極めて率直な見解を示した。2025年にウィリアムズF1で充実した初年度を過ごしたものの、新世代マシンの登場により、それまで積み重ねてきた多くの学習が「ゴミ箱行きになる」と認めている。

    フェラーリから移籍したサインツは、新天地への適応に時間を費やしながらも、2025年シーズンには2度の表彰台を獲得。チームのコンストラクターズランキング5位という復活のシーズンに大きく貢献した。

    これは、これまで経験してきたマシンとは大きく異なる特性への、長期的な適応作業の成果だった。

    しかし、その学習プロセスも、2026年の技術的な大転換の前では重みを失いかねない。アクティブ・エアロダイナミクスの導入、そして電動エネルギーへの依存度を高めた新型パワーユニットによって、F1は再び全体の序列がリセットされることになる。

    RacingNews365の取材で、この変化に対するフラストレーションについて問われたサインツは、複雑な心境を明かした。

    「ある意味ではそうだ。2025年F1マシンに合わせて、自分のドライビングスタイルを適応させてきたからだ」

    「今なら、もし同じマシンで走るなら、どうすれば良い予選や良いレースができるか分かっている。だが突然、来季はまたチームを移籍するようなものになる。マシンは完全に新しく、完全に“生”の状態に感じられるだろう。ただし、それは全員に当てはまることだ」

    さらにサインツは、リセットの規模の大きさをこう強調した。

    「フェラーリから来て、自分のドライビングスタイルやツール面で行ってきたすべての変更は、ゴミ箱に捨てることになる」

    カルロス・サインツJr. ウィリアムズ・レーシング

    それでもサインツは、この状況が2025年よりも公平だと捉えている。

    「全員がゼロからのスタートだ。2025年は、ゼロからやり直していたのは僕くらいだった。今年は22人全員がゼロからになる。だから、見方はいろいろある」

    レギュレーションが安定していれば、ウィリアムズとともに段階的な前進を続けられたはずだとしつつも、サインツは大改革ならではの可能性にも言及した。

    「もしレギュレーションが安定していたなら、ウィリアムズと僕はもう一段階前進し、トップとの差をさらに縮められたと思う。ただ、それ以上の争いができたかというと、そうは思わない」

    「レギュレーション変更は、予想外の大きな前進を生む可能性を与えてくれる」

  • ウィリアムズF1代表、2026年の最低重量は「多くのチームが達成できない」

    ウィリアムズF1代表、2026年の最低重量は「多くのチームが達成できない」

    2026年F1マシンが1月末にバルセロナで初めて姿を現すとき、ピットレーンで最も注目されるのはストップウォッチではなく、体重計になるかもしれない。ウィリアムズF1のチーム代表ジェームス・ボウルズは、各チームがFIAの定める新たな最低重量に苦しむ可能性が高いと警告した。

    舞台裏ではすでに、多くのチーム代表が不都合な現実を覚悟しているという。最新鋭の2026年マシンの多くが、FIAの狙う重量、そして理想とされる重量を上回ってしまう可能性が高いというのだ。

    ボウルズは、新レギュレーション開始時から最低重量に到達できるという楽観論に冷や水を浴びせた最新の幹部の一人であり、その見立ては率直だ。大半のチームは達成できないだろうという。

    極めて野心的な目標
    FIAの2026年レギュレーションは、当初から厳しい内容になることが予想されていた。マシンの小型化、グラウンドエフェクト空力への依存低下、そしてハイブリッドパワーユニットにおける電動要素の大幅な比重増加により、F1史上でも屈指の複雑な技術課題が生まれている。

    その中心にある数値が、エンジニアたちの眠りを奪っている。最低重量768kgだ。

    これは現在の800kgから32kgの削減を意味するが、同時にバッテリーは内燃機関とMGU-Kによる約50対50の出力配分を支えるために大型化する。

    FIAは、最大ホイールベースを200mm短縮し、全幅を100mm縮小、さらにタイヤ幅を狭めることで重量を相殺できると主張してきた。

    理論上は筋が通っているが、現実にはその目標がいかに厳しいかをチームは思い知らされている。

    「他のチームがどこにいるのか知ることができればいいが、ほとんどはオーバーウェイトになると思う」

    ボウルズは昨年アブダビで、そう語った。

    「それが単純な事実だ。非常にアグレッシブな目標だが、達成可能ではある。レギュレーション発表から5〜10か月後には、妥当な位置に収まる数字になると見ているので、私は落ち着いている」

    その冷静な口調の裏には、シーズン序盤の勢力図を大きく揺るがしかねない現実がある。F1では重量が10kg増えるごとに、ラップタイムはおよそ0.3秒失われるとされる。この差は、新時代の序列どころか、選手権全体を左右しかねない。

    ウィリアムズ・レーシング フォーミュラ1カー

    過去の教訓と高くつく代償
    ボウルズの見解は、メルセデスを含む他チーム内部でも共有されている。メルセデスのエンジニアリング責任者アンドリュー・ショブリンも、2026年プロジェクトにおける重量管理の重要性を強調している。

    「重量は非常に大きな課題だ。限界値は部品を積み上げて決められたものではなく、単純に設定された数値だ。部品を作る前に重量を削る方が、マシン完成後や在庫が出回った後に削るより、はるかに安く済む」

    「過去のレギュレーションでも、最初は10〜20kgオーバーだったチームがあった。それはコストがかかり、開発の妨げになる。我々の目標は、できるだけ限界に近い状態でスタートすることだ」

    この歴史的な背景は重要だ。過去の大規模レギュレーション変更では、重量超過でスタートしたチームが、単に軽量化するためだけに数か月と莫大な資金を費やし、その結果、性能向上のための開発リソースを失ってきた。

    2026年はコストキャップの制約がこれまで以上に厳しい。そうしたトレードオフは、さらに痛みを伴うものになるだろう。

    FIAは長期的にはマシン重量をさらに削減したい考えを示しているが、新時代の初期段階では、理想よりも現実的な対応が優先されることになりそうだ。

  • F1:アレクサンダー・アルボン、ゴルフ界のスター ヘ・ムニとの婚約を発表

    F1:アレクサンダー・アルボン、ゴルフ界のスター ヘ・ムニとの婚約を発表

    ウィリアムズF1のアレクサンダー・アルボンが、LPGAツアーで活躍する中国出身のプロゴルファー、ヘ・ムニ(愛称リリー)との婚約を発表した。

    フェラーリF1のシャルル・ルクレールがパートナーとの婚約を明らかにした直後とあって、F1界に再び祝福のニュースが届いた形だ。29歳のアルボンと26歳のムニは2019年から交際を続けており、出会いのきっかけはNetflixのドキュメンタリーシリーズだった。

    ムニは当時、アルボンがF1で唯一のアジア系ドライバーだったことに関心を抱いたと明かしており、やがて実際に顔を合わせた2人は親しい友人関係を経て、パートナーとなった。

    SNSでの発表とF1仲間からの祝福
    婚約は金曜夜にSNSで公表され、アルボンは2人の笑顔とともに婚約指輪を披露しながら、「もうお互いに逃げられないね」と短いメッセージを添えた。

    投稿は数時間で60万件を超える「いいね」を集め、F1ドライバーたちからも祝福が相次いだ。シャルル・ルクレールは祝辞を送り、ピエール・ガスリーやエステバン・オコンも続いて祝福の言葉を寄せている。

    今回の発表は、ルクレールの婚約発表から約2か月後、そしてウィリアムズF1が2026年F1マシンを公開する約2週間前というタイミングでの出来事となった。

    アルボンはかつてレーシングブルズ(旧アルファタウリ)やレッドブル・レーシングで走り、その後ウィリアムズF1に移籍。2026年F1シーズンは、3月8日にメルボルンで開催されるオーストラリアGPで幕を開ける予定だ。

  • ルーク・ブラウニング、ウィリアムズF1リザーブ就任&スーパーフォーミュラ参戦

    ルーク・ブラウニング、ウィリアムズF1リザーブ就任&スーパーフォーミュラ参戦

    ウィリアムズF1チームは、ルーク・ブラウニングが2026年シーズンのF1リザーブドライバーに就任することを発表した。同時に、チームは2026年シーズンに向けたウィリアムズF1チーム・ドライバー・アカデミーの全ラインアップを明らかにしている。

    ブラウニングは2025年のFIA F2選手権で好成績を残し、ハイテックGPから参戦した初のフル参戦シーズンでランキング4位を獲得した。

    9回の表彰台と1勝を挙げ、とくにイタリアではポールポジションからフィーチャーレースを制する圧巻のパフォーマンスを見せた。

    リザーブドライバーとして、ブラウニングはレース週末の待機業務に加え、データ分析やシミュレーター作業を通じてマシン開発を支援する役割を担う。F1が新たなレギュレーション時代に入る中、チームを再びグリッド前方へ押し戻すための重要な存在となる。

    ブラウニングは2023年からウィリアムズの一員であり、これまでに複数回のFP1走行やTPC(Testing of Previous Cars/旧型車テスト)に参加してきた。TPCではFW45をドライブし、最新F1マシンの特性理解を深めている。

    2026年にはリザーブ就任と並行し、日本のトップフォーミュラカテゴリーであるスーパーフォーミュラに、KONDO Racing Teamから参戦する。スーパーフォーミュラはF1に次ぐ速さを誇るシリーズとされており、ブラウニングにとって新たな挑戦となる。

    この昇格は、ウィリアムズF1ドライバー・アカデミーの一員として歩んできたキャリアの延長線上にある。2023年にアカデミー入りしたブラウニングは、同年にマカオGPを制覇し、2024年にはF3選手権でランキング3位を獲得。その後F2へ昇格した。ウィリアムズ加入前には、2020年のF4イギリス選手権、2022年のGB3選手権でチャンピオンに輝いている。

    ウィリアムズ・レーシング

    2026年 ウィリアムズF1ドライバー・アカデミー ラインアップ
    ルーク・ブラウニングに加え、2026年シーズンのアカデミー所属ドライバーは以下のとおり。

    アレッサンドロ・ジウスティ(フランス)は、MPモータースポーツからFIA F3選手権2年目に挑み、タイトル獲得を目指す。デビューシーズンでは13回のポイントフィニッシュと2度の表彰台を記録した。

    ジャド・ジャケ(フランス)は、ARTグランプリからF1アカデミーに参戦し、アトラシアン・ウィリアムズF1チームの代表ドライバーを務める。国際カート経験わずか1年でシングルシーターに転向し、フランスF4で好成績を収め、ディジョン=プレノワでは女性トロフィーを獲得した。

    中村紀庵ベルタ(日本/スロバキア)は新加入ドライバーで、2026年はフォーミュラ・リージョナル中東およびヨーロッパ選手権に参戦する。イタリアF4王者であり、2022年にはCIK-FIA OKヨーロッパ王者に輝いている。

    オレクサンドル・ボンダレフ(ウクライナ)は、プレマ・レーシングからイタリアF4に2年目として参戦する。2025年にはイモラで優勝、ミサノで表彰台を獲得しており、2026年はタイトル獲得を目標に掲げている。

    ディーン・ホーヘンドールン(オランダ)は、2025年にFIAカーティング・ヨーロッパ・ジュニア王者、WSKスーパーマスターシリーズOKJ王者の2冠を達成し、OKクラスへ昇格する。

    ウィル・グリーン(イギリス)は、2025年に3勝を挙げた勢いを維持し、OKJクラス2年目でタイトル争いに挑む。

    ルーカス・パラシオ(アメリカ)は、11歳でWSKスーパーマスターシリーズOKNJ王者となり、2026年にOKJクラスへステップアップする。

    ルーク・ブラウニングのコメント
    「今年、アトラシアン・ウィリアムズF1チームのリザーブドライバーに昇格できることを本当にうれしく思っている。アカデミーはF3とF2を通じて僕の成長を支えてくれただけでなく、テストやFP1を通して現代のF1マシンに慣れる機会も与えてくれた。アレクサンダー・アルボンやカルロス・サインツJr.と共に、この新しいF1の時代でチームを前進させていきたい」

    「2026年がスーパーフォーミュラでのルーキーシーズンになることも確認できてうれしい。まったく新しい挑戦になるが、全力で取り組むつもりだ。フルタイムF1シートへの次のステップとして、新しい環境と文化の中で自分の成長を示し、さらにスキルを磨いていきたい」

    ジェームス・ボウルズのコメント
    ウィリアムズF1チーム代表のジェームス・ボウルズは次のように述べた。

    「2026年からルークがリザーブドライバーに就任するのは誇らしい瞬間だ。彼は2023年にアカデミーへ加入して以来、大きな進歩を遂げてきた。シミュレーターやFP1での貢献は、新しいレギュレーション時代を迎える我々にとって非常に価値のあるものだった。スーパーフォーミュラ参戦によって、さらに実戦経験を積み、成長を続けてくれるだろう」

    スヴェン・スミーツのコメント
    スポーティングディレクターのスヴェン・スミーツは、次のように語った。

    「2026年のウィリアムズF1チーム・ドライバー・アカデミーのラインアップを発表できることをうれしく思う。最年少のルーカスから、リザーブドライバーとしての役割を担うルークまで、このプログラムには非常に厚みのある才能がそろっている。ドライバー・アカデミーは、若い才能を支え導くための中核であり、今年それぞれのドライバーがどのような活躍を見せてくれるのかを楽しみにしている」

  • ウィリアムズF1代表ジェームス・ボウルズ「2026年はメルセデスが本命」

    ウィリアムズF1代表ジェームス・ボウルズ「2026年はメルセデスが本命」

    2025年シーズンをコンストラクターズランキング5位で終えたウィリアムズF1チームは、2026年F1レギュレーションという大きな転換期を前に、さらなる前進を目指している。グローブのファンが思い描く理想像は、メルセデス製パワーユニットの大きな後押しを受け、2014年にランキング3位を獲得し、その翌年も同順位を維持したあの成功体験だ。

    しかし、チーム代表のジェームス・ボウルズは、期待を過度に高めることには慎重だ。

    仮に新しいメルセデスのパワーユニットが非常に競争力のあるものになったとしても(最近取り沙汰されている規則上の論争は別として)、ウィリアムズが2014年や2015年の再現を果たせるとは考えていない。

    なぜウィリアムズF1はメルセデスに勝てないのか
    「もしメルセデスが際立って優れている点があるとすれば、それはレギュレーションが変わる時だ」と、かつてブラックリーで長年戦略部門を率い、トト・ヴォルフの右腕として働いてきたボウルズは語った。これは『Motorsport Week』の取材に対するものだ。

    「それは100%明らかだ。我々は将来ワールドチャンピオンを狙えるチームになるため、できる限りのことをしてきたが、現時点ではまだメルセデスほどの施設も能力も持っていない。事実はそうで、話は単純だ」

    まだサーキットでの実測データはなく、各チームはシミュレーターを用いて勢力図を推測している段階に過ぎない。それでもボウルズは、2026年に向けて倒すべき相手はメルセデスになる可能性が高いと見ている。

    「彼らはほぼ規則の理解と最適化に集中して準備を進めてきた。一方で、私がやってきたことは、将来に向けた基盤作りが中心で、同時に2026年マシンにも少しずつ焦点を当ててきたというものだ」

    「つまり、来年メルセデスがどの位置にいるのかは分かっているし、彼らが非常に強くなることは確信している。我々はウィリアムズF1チームを、一歩ずつ、毎年成長させていかなければならない。そして、それができる力はあると思っている」

  • アレクサンダー・アルボン、サインツに続くウィリアムズF1での初表彰台を狙う

    アレクサンダー・アルボン、サインツに続くウィリアムズF1での初表彰台を狙う

    アレクサンダー・アルボンは、ウィリアムズで迎えた4年目の2025年F1シーズンを成功裏に終えた。カルロス・サインツJr.が昨季に2度トップ3入りを果たしたことを受け、アルボンは自身もウィリアムズで初となる表彰台獲得を目標に掲げている。

    サインツは昨季、グローブ拠点のチームでアルボンのチームメイトとして加入したが、序盤は新環境への適応に苦しんだ。

    一方で、シーズン序盤はアルボンが多くのポイントを稼ぎ、サインツがチームに馴染むにつれて大きく前進。アゼルバイジャンとカタールで予想外の2度の表彰台を獲得した。

    アルボンはウィリアムズで4シーズンを戦っているが、いまだ表彰台には届いていない。

    低迷期を経て前進を続けるかつての名門チームの中で、アルボンは自身にもトップ3に入るチャンスが巡ってくると見ている。

    「チームをとても誇りに思っている。毎年少しずつ前進してきたと感じているが、今は本当に歯車が噛み合い始めている。チームとして、一つのユニットとして、かなり煮詰まってきている感じがある」とアルボンはRacingNews365を含むメディアに語った。

    「10位から5位までの差よりも、5位から4位までの差のほうが大きい。だから、まだ長い道のりが残っていることは分かっている」

    「でも、表彰台のチャンスは、できれば思ったより早く巡ってきてほしい」

    アレクサンダー・アルボン F1 ウィリアムズ・レーシング

    2025年はアルボンにとって“最高のシーズン”
    アルボンはドライバーズランキング8位でシーズンを終え、これはウィリアムズにとって約10年ぶりとなる最高位だった。

    獲得ポイントは73点。過去3年間の合計を上回り、シーズン中には4度のトップ5フィニッシュを記録した。

    この結果を受け、アルボンは2025年を自身にとって最高のシーズンだったと振り返っている。

    「いろいろな意味で、これまでで一番いいシーズンだったと思う」

    「もちろん、功績の大部分はマシンにある。何度も言っているけど、今年に向けて自分の取り組み方が大きく変わったわけではない。でも、ファクトリーで働くみんなが成し遂げたクルマの進歩が本当に大きかった」

    「このチームに来て4年になるけど、年ごとの進歩としては間違いなくこの4年間で最大だった」

    「いくつかのサーキットではトップチームと戦えるのも楽しかったし、レースをしていて本当に楽しめた」

    「シーズン終盤は理想的とは言えなかったけど、全体的にはペースは強かった」

    「ラスベガスとバクーでは自分のミスもあった。でも、それ以外は流れが悪かっただけで、シーズン序盤のカルロスと似たような状況だったと思う」

  • ウィリアムズF1、ビクター・マルタンスを2026年テスト兼開発ドライバーに起用

    ウィリアムズF1、ビクター・マルタンスを2026年テスト兼開発ドライバーに起用

    ウィリアムズF1チームは、ドライバー・アカデミー出身のビクター・マルタンスを、2026年シーズンのテスト兼開発ドライバーに昇格させることを正式に発表した。F1が世代交代とも言える大規模なレギュレーション変更を迎える中で、マルタンスはチーム開発の中枢により深く関わる立場となる。

    グローブを本拠地とするウィリアムズにとって、この決定は、パフォーマンス、的確なフィードバック、そして技術的理解を積み重ねてきたマルタンスへの明確な信頼の表れだ。

    同時にマルタンスは、アルピーヌからFIA世界耐久選手権(WEC)にも参戦し、レース勘を維持する予定となっている。

    アカデミーの有望株から開発の中核へ
    ビクター・マルタンスは2025年初頭にウィリアムズ・ドライバー・アカデミーに加入したが、その時点ですでに華々しい実績を誇っていた。フォーミュラ・ルノー・ユーロカップ王者、FIAフォーミュラ3チャンピオン、そしてフォーミュラ2ではルーキーとして際立った存在感を示していた。

    F2では3シーズンを戦い、複数の勝利を記録。直近では2025年カタール・フィーチャーレースで、ポール・トゥ・ウィンの完勝を飾っている。そうした履歴が評価され、マルタンスはアカデミーを卒業し、オリバー・ターベイ、ハリソン・スコットと並ぶテスト兼開発ドライバー陣の一員となった。

    彼の役割は明確だ。アレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツJr.を技術面で支え、F1史上でも屈指の大改革となる2026年レギュレーション時代に向けたマシン開発を下支えすることである。

    シミュレーター開発の要に
    マルタンスの新たな職務の中心となるのが、シミュレーター作業だ。ウィリアムズF1は2025年末に最新鋭のドライバー・イン・ループ(DIL)シミュレーターを稼働させており、マルタンスはその運用に深く関与する。

    さらに、ドライバー・アカデミー専用のDILプログラム構築にも携わる予定で、チームが彼を単なるサポート役ではなく、将来の人材育成における基準点として位置付けていることがうかがえる。

    ウィリアムズ・レーシング

    スヴェン・スミーツが語る評価と期待
    ウィリアムズF1のスポーティングディレクター、スヴェン・スミーツは、マルタンスの昇格が感情論ではなく、実力に基づく判断であることを強調した。

    「2026年に向けて、ビクターをテスト兼開発ドライバーとして迎えられることをうれしく思う。彼は非常に才能あるドライバーであり、これまで一貫してチームにとって非常に価値のあるガイダンスとフィードバックを提供してきた。2025年シーズンを通して、アレクサンダーとカルロスを支え、我々のトラック上でのパフォーマンス向上に貢献してくれた」とスミーツはコメント。

    「バルセロナでのFP1でFW47をドライブした経験や、TPC(Testing of Previous Car/旧型車テスト)プログラムへの関与によって、彼は現実的な視点を身につけている。それがFW48、そして将来のマシン開発において、実質的な影響をもたらすだろう」

    このコメントは、マルタンスが今後のウィリアムズF1の競争力を左右する存在になることを示している。

    マルタンス自身が語る決意
    マルタンスにとって、この昇格は誇りであると同時に、明確な使命を伴うものだ。

    「ウィリアムズは素晴らしい歴史を持つ象徴的なチームだ。そのチームを再びグリッドの前方へ戻すプロジェクトに関われることをうれしく思っている」とマルタンスはコメント。

    「すでにレースウイークエンドでアレクサンダーやカルロスと一緒に仕事をしてきたし、2026年もその取り組みを続けられることを楽しみにしている。ジェームス・ボウルズ、スヴェン、そしてウィリアムズの全員に、この機会を与えてくれたことに感謝したい」

    F1が大きな変革期を迎える中、ウィリアムズF1は静かに基盤強化を進めている。その中心にビクター・マルタンスを据えた今回の判断は、チームが「今日信頼できるドライバーこそが、明日の進歩を生む」という賭けに出たことを意味している。

  • アレクサンダー・アルボン、2026年F1を警戒「ドライバーにとって不自然な感覚」

    アレクサンダー・アルボン、2026年F1を警戒「ドライバーにとって不自然な感覚」

    アレクサンダー・アルボンは、2026年F1シーズンから導入される大幅なレギュレーション変更により、ドライバーにとってマシンの感覚がこれまで以上に「不自然」なものになると見ている。

    2026年F1マシンは、空力とパワーユニットの両面で大きな変革を受ける。特にパワーユニットでは電動出力が大幅に増加し、内燃機関と電動システムが50/50の比率になる。

    この変更により、ドライバーはエネルギーマネジメントとデプロイメントへの意識をより強める必要があり、ホイール・トゥ・ホイールのバトルでは、どこでエネルギーを使うかという戦略的判断が重要になる。

    「(2026年は)より不自然なものになると思う」とアルボンは、RacingNews365を含むメディアに語った。

    「自分の中では、そこまで悪くはないとも思っている」

    アルボンはまた、2022年から2025年にかけての世代のマシンを恋しく思うことになるだろうとも示唆している。この世代のマシンは、多くのドライバーやチームにとって頭痛の種となった一方で、独特の特性を持っていた。

    「これらのマシンの良い点は、100%までプッシュできるところだと思う」とアルボンは語った。

    「確かに、前の世代のマシンよりもオーバードライブしやすい要素はいくつかある」

    「全体として見れば、悪いレギュレーションセットではなかった。マシンがどんどん良くなるにつれて、追従性やオーバーテイクはどんどん悪くなっていったけれど、それはそもそもこの規則変更の目的だったはずだ」

    「残念ながら、F1ではテクノロジーと直感が、いくつかのレギュレーションのアイデアを上回ってしまった。僕自身は、特に気にしていなかった」

    さらにアルボンは、2022年当時の自身の立場が、このレギュレーションへの向き合い方に影響していたと振り返る。

    「たぶん、僕は違うアプローチを取っていたんだと思う。2022年にF1へ戻るチャンスだと捉えていたからね。その時は『与えられたクルマで走るしかない』と思っていただけだった」

  • 中村紀庵ベルタ、ウィリアムズF1と育成ドライバー契約

    中村紀庵ベルタ、ウィリアムズF1と育成ドライバー契約

    ウィリアムズF1チームは、2025年イタリアF4選手権チャンピオンである中村紀庵ベルタを、ウィリアムズF1チーム・ドライバー・アカデミーに迎え入れることを発表した。

    日本とスロバキアにルーツを持つ中村紀庵ベルタは、若手時代から安定感とスピードを兼ね備えた才能を示してきた。7歳でカートを始めると、すぐに国際カートレースへとステップアップし、2021年にはCIK-FIA OKJ世界選手権、2022年にはCIK-FIA OKヨーロッパ選手権を制覇している。

    2023年末にシングルシーターへ転向し、F4南アジア選手権でデビュー。初年度からポールポジション2回と表彰台1回を獲得するなど印象的な走りを見せた。続く2024年のフォーミュラUAE選手権では、2勝と6度の表彰台を重ね、着実に実績を積み上げた。

    そして2025年は大きな飛躍の年となった。中村紀庵ベルタはイタリアF4選手権で9勝を挙げ、シーズンを通して複数回の表彰台を獲得し、チャンピオンの座に輝いた。2026年にはフォーミュラ・リージョナル・ミドルイースト選手権とフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ選手権に挑戦する予定となっている。

    ウィリアムズF1チーム・ドライバー・アカデミーの一員として、中村紀庵ベルタはジュニアカテゴリーでの成長を支えるため、チームから包括的なサポートと指導を受けることになる。アカデミーはサーキット内外でドライバーを支援し、トップレベルで戦うために必要なスキルの習得を目指す。近年では、アカデミー出身のフランコ・コラピントがF1レースシートへと昇格しており、育成実績も豊富だ。

    中村紀庵ベルタは次のようにコメントしている。

    「今年、ウィリアムズF1チーム・ドライバー・アカデミーに加入できることをとても嬉しく思っています。ウィリアムズは多くの成功を収め、長い歴史を持つチームで、その一員になれたことを誇りに感じています。フォーミュラ・リージョナルでのレースは新たな挑戦になりますが、特に楽しみにしています。僕を信じてくれたウィリアムズの皆さんに感謝していますし、この新しい章をスタートさせるのが待ちきれません。」

    また、アトラシアン・ウィリアムズF1チームのスポーティングディレクターであるスヴェン・スメーツは、次のように語っている。

    「この重要なキャリアの節目に、紀庵がウィリアムズF1チーム・ドライバー・アカデミーに加わってくれたことを非常に嬉しく思っている。彼は学習力、適応力、そして最終的に選手権を勝ち取る力を持っていることを示してきた。我々は今季ともに仕事をすることを楽しみにしており、彼がトラックで走る姿を注視していく。」

    ウィリアムズ・レーシング