カテゴリー: マックス・フェルスタッペン

  • マックス・フェルスタッペン F1オランダGP初日「グリップとバランスが難しい」

    マックス・フェルスタッペン F1オランダGP初日「グリップとバランスが難しい」

    マックス・フェルスタッペンは、2026年F1オランダGPのスプリント予選を6番手で終え、レッドブル・レーシングがRB22のグリップとバランスに苦戦した原因を理解する必要があると語った。

    母国ザントフォールトで注目を集めるフェルスタッペンだが、土曜日の24周のスプリントは3列目からスタートする。

    スプリント予選ではポールポジションを獲得したジョージ・ラッセルから0.5秒以上の差をつけられ、上位争いに加わることができなかった。

    フェルスタッペン「グリップを見つけるのが難しかった」
    2026年シーズンは新レギュレーションへの対応に苦しんだレッドブル・レーシングだが、直近4戦ではフェルスタッペンが3度の表彰台を獲得するなど、パフォーマンスには改善の兆しが見えていた。

    しかし、夏休み明け最初の週末となるザントフォールトでは、金曜日からRB22のバランスに課題を抱えた。

    「まあ、1台(7番手のルイス・ハミルトンのフェラーリ)は上回れたと思う。でも、グリップとバランスを見つけるのが少し難しかった」

    フェルスタッペンはスプリント予選を振り返った。

    ザントフォールトではスプリントフォーマットが採用されているため、通常のグランプリ週末とは異なり、マシンをコース上で確認できるフリー走行はFP1の1時間だけだった。その限られた時間のなかでセットアップをまとめなければならず、レッドブルは最適なバランスを見つけ切れなかった。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    わずか1時間のFP1がセットアップを難しく
    スプリント週末ではFP1終了後にマシンがパルクフェルメ状態となるため、スプリント予選を前に大幅なセットアップ変更を行うことはできない。

    特にザントフォールトは高速コーナーとバンク角の大きなコーナーが連続し、マシンの前後バランスへの要求が高い。わずかなセットアップのずれでもドライバーの自信やタイヤから引き出せるグリップに影響しやすい。

    フェルスタッペンが指摘した「グリップ」と「バランス」の不足は、単純なストレートスピードではなく、RB22を狙ったウインドウに入れられていなかったことを示している。

    レッドブルに必要なのは原因の理解
    フェルスタッペンにとって重要なのは、6番手という結果そのものよりも、なぜ期待したバランスを得られなかったのかを把握することだ。

    2026年のレッドブルはシーズン序盤こそ新レギュレーションへの適応に苦戦したものの、直近では競争力を高めてきた。だからこそ、母国戦で再びトップとの差が0.5秒以上に広がったことは、チームにとって分析すべきポイントとなる。

    一方で、スプリントは24周と短く、スタートやタイヤの状態によって順位が動く可能性はある。フェルスタッペンは3列目6番グリッドから、まずは上位勢との差をどこまで縮められるかを探ることになる。

    ザントフォールトでは過去3勝を挙げているフェルスタッペンだが、2026年はまだグランプリでの勝利がない。母国ファンの前で流れを変えるためにも、スプリントで得られるデータを生かし、決勝に向けてRB22のバランス問題をどこまで改善できるかが重要になりそうだ。

  • マックス・フェルスタッペン レッドブルF1残留の舞台裏「移籍より引退に近かった」

    マックス・フェルスタッペン レッドブルF1残留の舞台裏「移籍より引退に近かった」

    マックス・フェルスタッペンは、レッドブル・レーシングとの契約を2030年末まで延長する以前、自身の将来について迷っていた最大の理由が他チームへの移籍ではなく、F1そのものを続けるかどうかだったことを明かした。

    2026年F1第12戦オランダGPを前に、レッドブルはフェルスタッペンとの新たな4年契約を発表。長く続いてきた将来を巡る憶測に終止符が打たれたが、ザントフォールトで行われたFIA木曜記者会見では、その決断に至るまでのフェルスタッペンの考えが語られた。

    将来への迷いは「F1を続けるかどうか」
    フェルスタッペンはまず、レッドブルと新たな契約を結ぶことが難しい決断だったのかと質問された。

    「いや、それほどストレスのあることではなかった。正しい決断だったと思っている」

    「チームのなかでは本当に居心地がいいし、今後数年で再びトップに戻れるという強い信念を僕たちは持っている」

    フェルスタッペンは2016年途中に当時のトロロッソからレッドブルへ昇格して以来、長年にわたって同チームの中心的存在として戦ってきた。今回の契約延長によって、その関係は少なくとも2030年末まで続くことになった。

    一方、今季序盤には自身の将来について迷いがあることも示唆していた。そこで「シーズン序盤には将来について確信が持てていなかった。何が変わったのか」と質問されると、フェルスタッペンは重要な事実を明かした。

    「主に、実際にF1を続けるかどうかということだった」

    つまり、フェルスタッペンが検討していたのは単純にレッドブルを離れて別のF1チームへ移籍することではなく、F1でのキャリアそのものを今後も続けるのかという、より根本的な問題だったということだ。

    F1のルール改善も継続決断の要因
    フェルスタッペンはこれまで、F1のレギュレーションやスポーツの方向性について率直な意見を口にしてきた。

    今回の会見でも、F1を続ける決断に至った背景として、ルールの方向性に変化が見えてきたことを挙げた。

    「でも、ルールは少しずつ良くなってきている。そういう意味では、僕もそれを受け入れてやっていこうと思えるようになった」

    F1で走ることそのものへの情熱を失ったわけではない。一方で、自身が望むレースのあり方とF1が進む方向との間にどの程度折り合いをつけられるかは、フェルスタッペンにとって重要な判断材料となっていたことがうかがえる。

    そして、その先にある大きな節目としてフェルスタッペンが挙げたのが2030年だ。

    「できれば2030年になったとき、V8エンジンが導入される可能性も含めて、もう一度考える機会が出てくると思う」

    今回の新契約が2030年末までとなったなか、フェルスタッペンはその先のF1について、将来のエンジン規則を含めたスポーツの方向性を見ながら判断する考えを示した。

    他チームからのオファーには「重要ではない」
    近年、フェルスタッペンを巡っては他チームへの移籍が繰り返し取り沙汰されてきた。

    しかし、今回の会見でフェルスタッペンが語った内容からは、本人にとって最大のテーマが「どのF1チームで走るか」ではなかったことが見えてくる。

    フロアからは、マネジメント側が他チームから具体的なオファーをフェルスタッペンに提示する段階まで話が進んでいたのかという質問も出た。

    これに対してフェルスタッペンは、レッドブル側との話し合いについて説明した。

    「とてもオープンで、透明性のある話し合いだった」

    「ローランやオリバー、株主のみんなとも非常にいい関係にある。僕にとっては大きなひとつの家族のように感じているし、その一員でいられることをとても幸せに思っている」

    ここでフェルスタッペンが挙げたのは、レッドブル・レーシングCEO兼チーム代表のローラン・メキースや、レッドブルの経営陣らとの関係だ。

    「もちろん、この数カ月はチームがこれからどう進んでいくのか、今後数年間の計画やアイデアについて話をしてきた。僕には常にとてもオープンな形で伝えられてきたし、僕はそういうところが好きなんだ」

    「彼らが達成しようとしていることも気に入っている。だから僕も、その将来の一部でいたいと思った」

    それでも「他チームについては?」と追及されると、フェルスタッペンは「それは重要ではない」と回答。「あなたにとっては重要ではない?」と重ねて聞かれても、「僕にとってはね」と答えた。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    「レッドブルで永遠に走る」が以前からの目標
    フェルスタッペンとレッドブルの関係は、単なる長期契約だけでは説明できないものになっている。

    2030年まで走れば、レッドブルのドライバープログラム時代も含めて非常に長い関係になることを指摘され、その「秘訣」を尋ねられたフェルスタッペンは、故ディートリッヒ・マテシッツとの過去の会話を明かした。

    「ディートリッヒがまだ生きていたころから、僕は彼に『僕の目標は、もちろんレッドブルで永遠にレースをすることだ』と言っていた」

    「だから、いい方向に進んでいると思う」

    フェルスタッペンにとって、ひとつのチームでF1キャリアを全うするという考えは、今回の契約交渉で突然生まれたものではない。レッドブル創業者のマテシッツが存命だった時代から抱いていた目標だったという。

    F1キャリア最後のチームもレッドブルか
    その言葉を裏付けるように、フェルスタッペンはレッドブルが自身にとって最後のF1チームになる可能性についても明確な答えを示している。

    2030年以降に期待するV8エンジンが実現しなかった場合でも、レッドブルがF1キャリアを終えるチームになるのかと質問されると、フェルスタッペンは答えた。

    「そうだね」

    ただし、2030年の契約満了時点で引退すると決めているわけではない。

    「2031年に何が起きるのかはまったく分からない。でも、そうだね。おそらく重要なのは、その時点でこのスポーツがどこへ向かっているかということだと思う」

    2030年以降について判断する際にも、別のF1チームへの移籍が中心的なテーマになるのではなく、F1自体が自分にとって走り続けたいカテゴリーであるかどうかが重要になるという姿勢を示している。

    F1以外のレースへの挑戦も継続
    一方で、フェルスタッペンはF1だけに活動を限定するつもりもない。

    新契約でもF1以外のカテゴリーに挑戦する自由を維持したかったのかと問われると、「そうだ。それは間違いなく、これからも続けたいことだった」と答えた。

    ただし、実際にどのレースへ出場できるかについてはF1カレンダー次第になると説明している。

    具体的に出場したいレースを尋ねられると、「大きな耐久レースは全部だね。24時間レース全般。そういうレースを走れたらクールだと思う」と語った。

    フェルスタッペンはF1を続けながら、耐久レースをはじめとする別カテゴリーへの挑戦にも強い意欲を持ち続けている。

    2030年までレッドブルと歩むことを決めたフェルスタッペンだが、その決断の裏側にあったのは他チームとの比較ではなく、「F1を続けるかどうか」という選択だった。レッドブルへの信頼とチームの将来計画、そしてF1の今後の方向性を見極めたうえで継続を選んだ一方、2030年以降については依然として白紙だ。少なくとも現時点で、別のF1チームへ移ることよりも、レッドブルで走り続けるか、F1そのものから離れるかという考えの方がフェルスタッペンの将来像に近いようだ。

  • フェルスタッペンのレッドブルF1契約延長で明暗 ドライバー市場の勝者と敗者

    フェルスタッペンのレッドブルF1契約延長で明暗 ドライバー市場の勝者と敗者

    マックス・フェルスタッペンがレッドブル・レーシングとの契約を2030年まで延長したことで、F1のドライバー市場をめぐる構図は大きく変化した。表面的には「残留」という現状維持だが、1年以上にわたって続いてきた移籍の可能性が事実上消えた影響は、ライバルチームや複数のドライバーにまで及ぶ。

    フェルスタッペンの去就は、メルセデスやアストンマーティンをはじめとするトップチームの将来計画と密接に結びついてきた。

    それだけに今回の長期契約は、レッドブルにとって最大の戦力を確保したというだけではなく、F1全体のドライバー市場を中期的に固定化させる可能性を持つ決定でもある。

    The Raceは、今回の大型契約によって恩恵を受ける「勝者」と、選択肢を失うことになった「敗者」を分析している。

    勝者:レッドブル・レーシング
    最大の勝者がレッドブル・レーシングであることに疑いの余地はない。

    契約の金銭的な条件は公表されていないものの、フェルスタッペンを2030年まで引き留めるためには巨額の報酬が必要になったとみられる。また、フェルスタッペンが強い関心を持つF1以外のレース活動についても、これまで以上に自由度が認められている可能性がある。

    それでも、レッドブルにとってその代償を支払う価値は十分にある。

    近年は主要スタッフの流出が続き、かつての圧倒的な強さにも陰りが見えている。しかし、チーム最大の資産であり、現在のF1で最も価値の高いドライバーのひとりであるフェルスタッペンを失うという最大のリスクを取り除くことに成功した。

    2027年型マシンの競争力が著しく低ければ再び将来をめぐる憶測が生まれる可能性はある。それでも今回の契約延長は、レッドブルが今後もF1のトップチームとして戦い続ける意思を示す大きな成果となった。

    敗者:カルロス・サインツJr.やオスカー・ピアストリら
    フェルスタッペンの残留によって選択肢を狭められたのが、将来的なトップチーム移籍を視野に入れるドライバーたちだ。

    カルロス・サインツJr.がウィリアムズとの新たな複数年契約を発表したのは、フェルスタッペンの契約延長発表の前日だった。

    仮にフェルスタッペンがレッドブルを離れたとしても、サインツJr.がその後任候補の筆頭だったとは限らない。しかし、トップチームでひとつシートが空けば、そこから連鎖的な移籍が発生する可能性がある。サインツJr.にとっては、その動きが再び上位チームへ戻るチャンスにつながる可能性があった。

    同じことはオスカー・ピアストリにも当てはまる。仮にマクラーレンでの立場に不満を抱き、自らを中心とするチームへの移籍を検討することになった場合、レッドブルは有力な選択肢になり得た。しかしフェルスタッペンが2030年まで残留することで、その可能性は大幅に低下した。

    さらに今後レッドブル入りを狙うドライバーは、移籍できたとしてもフェルスタッペンと直接対決しなければならない。

    勝者:ローラン・メキース
    チーム代表ローラン・メキースにとっても、今回の契約延長は大きな成果である。

    メキース体制となったレッドブルは2025年後半に好成績を残し、2026年も一定の競争力を維持している。一方で、チームを長年支えてきた重要人物の流出は続いている。

    レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼはマクラーレンへの移籍が決まり、チーフエンジニアのポール・モナハンについてもキャデラックへの移籍が報じられている。

    そうした状況でも、メキースはフェルスタッペンをチームに残すことに成功した。

    The Raceは、クリスチャン・ホーナー体制が続いていた場合に今回の契約延長が実現していたかについて疑問を呈しており、フェルスタッペンの長期残留はメキース体制への信任を示す材料にもなると評価している。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    敗者:アストンマーティン
    アストンマーティンにとって、フェルスタッペン獲得は現時点で最優先事項ではない。2026年はマシンとホンダ製パワーユニットの競争力向上という、より差し迫った課題を抱えている。

    それでもフェルスタッペンが市場から消えたことは、長期的なドライバー戦略に影響する。

    エイドリアン・ニューウェイの下でシャシーが大幅に改善し、ホンダF1パワーユニットもトップレベルに近づいたとしても、アストンマーティンがトップクラスのドライバーを簡単に獲得できる状況ではなくなった。

    フェルスタッペン本人を獲得できなかったとしても、彼の移籍によって他チームから押し出されたトップドライバーを狙うという選択肢は存在した。

    しかし主要ドライバーの多くが長期契約を結んでいる現在、その連鎖も期待しにくい。将来的にフェルナンド・アロンソが引退した際、アストンマーティンはトップクラスではなく、中団勢から後任を探さなければならない可能性がある。

    もちろん、それが大きな問題になるのはアストンマーティンが実際にタイトルを争えるマシンを作れるようになった場合だ。

    勝者:ジョージ・ラッセル
    ジョージ・ラッセルにとっても、フェルスタッペンのレッドブル残留は朗報と言える。

    これまでメルセデスにはフェルスタッペン獲得の可能性がたびたび取り沙汰されてきた。もし実現する場合、2026年に好調なアンドレア・キミ・アントネッリではなく、ラッセルのシートが対象になる可能性が高いとみられていた。

    その脅威が今回の契約によって消えた。

    2026年のラッセルは必ずしも順調なシーズンを送っているわけではないが、中期的に見ればメルセデスは依然として最適な環境のひとつだ。

    自身初のF1ワールドチャンピオンを目指すのであれば、アントネッリとのチーム内争いで主導権を取り戻しながら、メルセデスの競争力が維持されることに期待するのが最も現実的な道となる。

    2026年中の逆転は難しいとしても、2027年には再びチャンスが訪れる可能性がある。そしてメルセデスがラッセルに代えて獲得する合理的な理由を持つ最大の候補だったフェルスタッペンは、少なくとも当面市場から姿を消した。

    敗者:レッドブル系ドライバー
    フェルスタッペンの残留は、レッドブルの育成システムに所属するドライバーたちにも大きな意味を持つ。

    現在レッドブル・レーシングで走るアイザック・ハジャーをはじめ、アービッド・リンドブラッド、リアム・ローソン、F2で戦うニコラ・ツォロフらにとって、将来的に狙えるレッドブルのシートがひとつ減ったことになる。

    もちろんフェルスタッペンが離脱していた場合、レッドブルが外部からトップドライバーを獲得した可能性も高い。それでも、少なくとも昇格の可能性が広がる余地はあった。

    もうひとつの問題は、彼らがレッドブル・レーシングへ昇格した場合、フェルスタッペンと同じチームで戦わなければならないことだ。

    過去の例が示してきたように、フェルスタッペンとの直接比較は若手ドライバーにとって極めて厳しい試練となる。トップチームへの昇格がキャリア最大のチャンスである一方、それがキャリアを大きく左右するリスクにもなり得る。

    勝者:F1
    F1そのものにとっても、フェルスタッペンの残留には大きな意味がある。

    フェルスタッペンは2026年シーズンを通じて、現在のF1レギュレーションやレースのあり方に対する不満を繰り返し口にしてきた。そのため、現行レギュレーションのサイクルが終了する前にF1から離れる可能性も現実味を持って語られていた。

    しかし今回、2030年までレッドブルと契約した。

    今後もF1の方向性について厳しい発言を続ける可能性はあるものの、現役最強クラスのドライバーが競技そのものへの不満を理由に離脱するという、F1にとって大きなダメージになり得る事態はひとまず回避された。

    その意味でフェルスタッペンの長期残留は、現在のF1に対する一定の信任票とも解釈できる。

    敗者:それでもF1
    一方で、同じF1が「敗者」でもあるという皮肉な側面もある。

    かつてF1のドライバー市場では、トップドライバーの移籍によって大きな連鎖が起きることが珍しくなかった。しかし近年は、ドライバーが長期契約による経済的・競技的な安定を優先し、チーム側もそれを提供する傾向が強まっている。

    ルイス・ハミルトンのフェラーリ移籍は市場を大きく動かしたが、むしろ近年では例外的なケースになりつつある。

    特にトップチームでは、年齢的に将来が注目されるハミルトンのシートと、頻繁に交代が起きてきたレッドブルのセカンドシートを除けば、中期的にラインアップがほぼ固定されている。

    新しいチームへの適応の難しさや長期契約がもたらすメリットもあり、現在のF1ドライバー市場は、かつてのような「椅子取りゲーム」から遠ざかりつつある。

    フェルスタッペンの2030年までの契約延長は、レッドブルにとって絶対的エースを確保する大きな勝利となった。その一方で、彼の移籍を起点として起こり得たトップチーム間の大規模な人材移動も封じることになった。

    ひとりのドライバーが同じチームに残るという一見シンプルな決断だが、その影響はレッドブルだけにとどまらない。フェルスタッペンの長期残留によって、F1のドライバー市場は今後数年間、これまで以上に動きにくい状況へと向かうことになりそうだ。

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  • マックス・フェルスタッペン レッドブルF1と2030年まで契約延長 移籍説に終止符

    マックス・フェルスタッペン レッドブルF1と2030年まで契約延長 移籍説に終止符

    マックス・フェルスタッペンがレッドブル・レーシングとの契約を2030年末まで延長した。チームが8月20日に正式発表し、これまで取り沙汰されてきた他チームへの移籍説に事実上の終止符が打たれた。

    従来の契約は2028年末までだったが、今回の新契約によってフェルスタッペンはさらに2年間レッドブル・レーシングに残留する。2026年の新レギュレーション下でチームが苦戦するなかでも長期的な将来を託す決断を下し、ローラン・メキース率いる新体制への信頼を明確に示した形だ。

    フェルスタッペンとレッドブルの成功物語は2030年まで継続
    フェルスタッペンは2014年にレッドブル・ジュニアチームに加入し、2016年シーズン途中に当時のトロロッソからレッドブル・レーシングへ昇格。チームでの初戦となったスペインGPでいきなり優勝を飾った。

    それ以降、フェルスタッペンとレッドブル・レーシングはF1を代表するパートナーシップを築いてきた。これまでにフェルスタッペンは4度のドライバーズタイトルを獲得し、チームとともに2度のコンストラクターズタイトルを達成。レッドブルでの通算勝利数は71勝に達している。

    2024年に4年連続となるドライバーズタイトルを獲得したフェルスタッペンだが、2025年は終盤に猛追したものの、ランド・ノリスにわずか2ポイント届かず、5連覇を逃した。

    さらに2026年は新たなF1レギュレーションの導入に伴い、レッドブル・レーシングが序列を落としたことで、フェルスタッペンの将来を巡る憶測が再燃。2028年まで契約を残していたものの、他チームへの移籍の可能性が繰り返し報じられてきた。

    今回の2030年までの契約延長によって、そうした移籍説には明確な回答が示されたことになる。

    フェルスタッペン「再びトップに戻ることが究極の目標」
    フェルスタッペンは契約延長について、レッドブル・レーシングにはトップへ返り咲くために必要な人材がそろっていると強調した。

    「契約を延長できて本当にうれしい。僕たちには最高の人材がいるし、再びトップに戻るために、みんなと一緒に仕事を続けていくことを楽しみにしている。それが僕たち全員が取り組んできた究極の目標だし、これからも追い続けていく」

    「僕を信頼してくれたレッドブル、ローラン、そしてレッドブル・レーシングのみんなに感謝したい」

    フェルスタッペンにとって、レッドブル・レーシングは単なる所属チーム以上の存在になっている。

    「僕はいつも言ってきたけど、このチームは僕にとって第二の家族のような存在だし、本当に居心地がいい」

    「僕はレースで勝てるようになりたいと思ってこのチームに加入した。その後、一緒に成し遂げてきたことは本当に素晴らしいものだった。たくさんの信じられないような瞬間を共有し、4度のワールドチャンピオンを獲得することができた」

    そして、自身のF1キャリアをともに歩んできたレッドブル・レーシングで今後も戦い続けることに特別な意味を感じていると語った。

    「僕のキャリアをずっと一緒に歩んできた同じチームで、この旅を続けられることは本当に特別だ。ずっとそうしたいと思っていた」

    メキース体制への信頼「明確なビジョンが見える」
    今回の契約延長では、2025年にチーム代表兼CEOに就任したローラン・メキースへの信頼も重要な要素となった。

    フェルスタッペンはメキースと1年以上仕事をしてきたなかで、チームの将来に向けた方向性が明確になっていると説明した。

    「ローランと1年以上一緒に仕事をしてきたけど、それも素晴らしいものだった。彼がチームに対して明確なビジョンを持っていることが分かる」

    「ミルトンキーンズのみんなが、僕たちが築こうとしているものを信じている。これからチームの未来を形作っていくなかで、さらに多くの勝利を目指し、チャンピオンシップを争う次の章を楽しみにしている」

    2026年からレッドブルはレッドブル・フォード・パワートレインズとして独自のF1パワーユニットプロジェクトを本格始動させた。チームは技術インフラや施設への投資も継続しており、フェルスタッペンを中心に次の成功時代を築くことを目指している。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    ローラン・メキース「まだ終わってはいない」
    ローラン・メキースは、フェルスタッペンとの長期契約をチームにとって極めて重要なニュースだと位置づけた。

    「マックスが我々とともに歩み続け、グリッドで最高のドライバーをチームに残せることは、レッドブル、レッドブル・レーシング、そしてF1とモータースポーツ全体にとって素晴らしいニュースだ」

    メキースは、フェルスタッペンとレッドブル・レーシングが築いてきた関係はスポーツ界でも特別なものだと強調する。

    「スポーツの世界で、マックスとこのチームほどの成果を達成するパートナーシップはほとんどない」

    「最初からマックスは、妥協のない競争心、絶え間ない決意、そして常識に挑戦する勇気という、レッドブル・レーシングを特別な存在にしているすべてを体現してきた。彼がチームとレッドブルのモータースポーツの歴史に与えた影響は非常に大きく、我々が成し遂げてきたすべてにおいて中心的な存在だった」

    契約延長の背景には、長年にわたって築かれた双方の信頼関係と、フェルスタッペンがチームの将来像を信じていることがあるとメキースは説明した。

    「ともに歩み続けるという決断の根底にあるのは、マックスとチームが長年かけて築いてきた信頼、そして我々の人材、文化、将来へのビジョンに対するマックスの信頼だ」

    「だが、我々はまだ終わってはいない。まだ勝つべきレースがあり、達成すべき節目があり、書き加えるべき歴史がある」

    「これから多くのことが変化していくだろうが、我々の野心は変わらない。同じ方向、同じビジョン、ひとつのチームとして進んでいく」

    最後のF1オランダGPで長期残留を発表
    今回の発表は、フェルスタッペンの母国レースである2026年F1オランダGPを前に行われた。ザントフォールトでのオランダGPは2026年を最後にF1カレンダーから姿を消すことが決まっており、フェルスタッペンにとって特別な週末での大型発表となった。

    「ザントフォールトで行われる最後のグランプリで、この発表ができることも僕にとって素晴らしい瞬間だ。最後のレースでファンのみんなに特別な締めくくりを届けられたらと思っている」

    2028年までだった契約を2030年まで延長したことで、フェルスタッペンはレッドブル・レーシングの次なる時代にも中心人物として残ることになった。

    新レギュレーション導入後の苦戦によって浮上していた移籍の可能性ではなく、フェルスタッペンが選んだのはレッドブル・レーシングとともに再びF1の頂点を目指す道だった。長年にわたって続いてきた両者のパートナーシップは、少なくとも2030年末まで継続する。

  • ランド・ノリス フェルスタッペンに反論「F1ではドライバーがまだ差をつけられる」

    ランド・ノリス フェルスタッペンに反論「F1ではドライバーがまだ差をつけられる」

    ランド・ノリスは、2026年のF1で導入された新しいパワーユニット(PU)のエネルギーマネジメントによって「ドライバーが違いを生み出せなくなった」とするマックス・フェルスタッペンの見解に異論を唱えた。

    フェルスタッペンは、新世代PUでは電気エネルギーの展開がアルゴリズムによって強く管理されるため、ドライバーが自らの判断やテクニックによってラップタイムを稼げる余地が狭まっていると指摘している。

    一方、ノリスは一部のコーナーで差が縮まったことは認めながらも、「より優れたドライバー」であれば依然としてアドバンテージを生み出せると主張した。

    フェルスタッペンが問題視する新PUのエネルギー制御
    2026年のF1では、電動出力の比重が大幅に高まった新世代PUが導入され、バッテリーに蓄えられたエネルギーをどこで、どのように使用するかがパフォーマンスを左右する重要な要素となっている。

    そのエネルギー展開を支えているのが高度なアルゴリズムだ。システムはドライバーの走行をもとにラップ全体で効率的にエネルギーを使用しようとするため、ドライバーにはクリーンで一貫性のある走りが求められる。

    フェルスタッペンは、この仕組みがドライバーの自由度を奪っていると考えている。

    「違いを生み出すことが許されていない。そうすると次のストレートでペナルティを受けることになる」

    例えば、あるコーナーで通常より強く攻めてタイムを稼いだとしても、それによってエネルギーの使用パターンが変化し、その後のストレートで十分な電力を使えなくなる可能性がある。フェルスタッペンが問題視しているのは、こうしたドライバーの入力とエネルギーマネジメントの関係だ。

    ノリス「優れたドライバーならまだ差をつけられる」
    しかし、ノリスはフェルスタッペンの見方には全面的には同意していない。

    RacingNews365を含むメディアに対し、ノリスはスパ・フランコルシャンの高速コーナー、プーオンを例に挙げた。

    「確かに、いくつかのコーナーでは差が小さくなっている。例えばプーオンでは、去年なら全開で行けるドライバーと行けないドライバーがいて、それによって0.05秒くらい稼げたかもしれない」

    「そういう意味では、一部のコーナーで差が縮まっていることはある。でも、より優れたドライバーなら、他のみんなに対してアドバンテージを得られるコーナーはまだある。だから、彼の言っていることすべてに同意するわけではない」

    ノリスは、シルバーストンやスパのような高速サーキットでは、そもそもラップタイムを生み出せるコーナーの数が少ないため、ドライバー間の差が表れにくくなる側面もあると説明する。

    「より良いドライビングをしていれば、シルバーストンやスパのような非常に高速なサーキットでも前にいられると思う。ただ、そういうコースでは、そもそもラップタイムを稼げるコーナーが少ない」

    ハンガロリンクでは「まったく当てはまらない」
    一方、低速から中速コーナーが連続するハンガロリンクでは事情が異なるという。

    「ハンガロリンクのようなコースでは、彼の言っていることはまったく当てはまらないと思う」

    ノリスによれば、問題は単純にドライバーの走りによってアルゴリズムが「混乱する」ことだけではない。

    「アルゴリズムを混乱させるというだけじゃない。単純に、ときどきランダムなことをするんだ」

    つまり、2026年のF1ではドライバーがエネルギー展開を完全に予測できるわけではなく、システム側の挙動に合わせながら走り方を調整する必要があるということだ。

    バッテリーに合わせてドライビングも変化
    ノリスは、新世代PUへの対応によってドライビングスタイルそのものにも変化が生じていると説明した。

    「バッテリーを助けるために、特定の場面でやらなければならないことがある。以前よりうまく機能するドライビングスタイルもあるし、去年まで以上に意識してやらなければならないこともある」

    ただし、変化しているのはPUだけではない。

    「それはクルマそのものというより、明らかにバッテリーのための部分が大きい。でも、タイヤも少し変わっているし、その特性によって、以前のようにクルマをアグレッシブに攻められない部分もある。少なくとも僕たちのクルマではそうだ」

    2026年のレギュレーション変更ではPUだけでなくシャシーとタイヤも変化している。そのため、前年までのドライビングスタイルをそのまま持ち込めるわけではなく、それぞれのマシンに合わせた適応が必要になる。

    「ただ、クルマによって大きく違うから、他のみんなを代表して話すことはできない。僕たちも去年とはかなり違う方法でこのクルマを走らせなければならない。でも、それが僕たちの仕事だ」

    「ドライバーの差」は消えたのか
    フェルスタッペンとノリスの主張は、必ずしも完全に対立しているわけではない。

    フェルスタッペンが問題視しているのは、ドライバーがコーナーで積極的にタイムを稼ごうとした結果、その入力が後のエネルギー展開に影響し、従来とは異なる形で帳尻を合わせられてしまう点だ。

    一方のノリスも、新しいエネルギーマネジメントによって一部のコーナーでドライバー間の差が縮まったこと自体は認めている。そのうえで、コーナリング、タイヤマネジメント、そして新しいPUに適応したドライビングなど、ドライバーが違いを生み出せる領域は依然として残されていると考えている。

    2026年のF1では「速く走る」ことだけでなく、バッテリーとアルゴリズムが求める走行パターンを理解し、それを最大限に利用する能力もドライバーの技量の一部になった。フェルスタッペンがその変化をドライバーの自由度低下と捉えるのに対し、ノリスは新しい条件への適応もまた、優れたドライバーが差を生み出す要素だと捉えている。

  • ジョニー・ハーバート「熱狂的なフェルスタッペンファンは最悪」殺害予告も告白

    ジョニー・ハーバート「熱狂的なフェルスタッペンファンは最悪」殺害予告も告白

    元F1ドライバーで、FIAスチュワードやテレビ解説者を務めたジョニー・ハーバートが、マックス・フェルスタッペンを批判したことで受けた誹謗中傷について振り返った。

    ハーバートは、フェルスタッペンの熱狂的なファンから「ハーバートに死を」といったメッセージまで送られたと明かし、スチュワードや解説者として活動してきたなかで「彼らが最悪だった」と語った。

    フェルスタッペン批判をきっかけに激しい反発
    ジョニー・ハーバートとフェルスタッペン陣営の対立が表面化したのは、2024年F1メキシコシティGPだった。

    このレースでフェルスタッペンはランド・ノリスとのバトル中、同一周回で発生した2つのインシデントについて、それぞれ10秒のタイムペナルティを科された。

    当時FIAスチュワードも務めていたハーバートは、レース後にベッティング関連サイトの取材に応じ、フェルスタッペンのドライビングについて「やりすぎだ」と批判。さらに、ライバルをコース外へ押し出すことでアドバンテージを得ようとする「ひどい考え方」に陥っているとの見解を示した。

    この発言は大きな反響を呼び、フェルスタッペン本人だけでなく、父ヨス・フェルスタッペンも反発した。

    ヨス・フェルスタッペンは当時、「FIAはスチュワードの人選をしっかり見直すべきだ。誰を配置しているのか、利益相反と受け取られる可能性がないのかも含めてだ」と語り、ハーバートがスチュワードを務めながらメディアで意見を発信している状況に疑問を呈した。

    「『ハーバートに死を』とまで言われた」
    その翌年1月、ハーバートは2025年F1シーズン開幕を前にFIAのスチュワード職を離れることになった。

    今回、別のベッティング関連サイトのインタビューで、スチュワードや解説者として活動してきたなかで、どのファンから最も激しい攻撃を受けたかと問われると、ハーバートは迷わずフェルスタッペンのファンを挙げた。

    「それは簡単だ! 僕がマックス・フェルスタッペンに疑問を呈したことに腹を立てたオランダのファンだ」

    「実際にはオランダ人だけじゃなかった。他の国の人たちもいた。『ハーバートに死を』とまで言われた。彼らが最悪だった。僕が偏っていると非難するんだ。今でもマーティン・ブランドルに対して同じことを言っている」

    ハーバートによれば、自身がイギリス人ドライバーをひいきしているという批判も繰り返し浴びたという。

    「『ルイス・ハミルトンに偏っている』と言われる。でも僕たちはイギリス人で、ルイスもイギリス人だ。あなたたちはオランダ人でマックスを応援している。それなのに僕たちを偏っていると言いながら、僕たちにもマックスを応援してほしいと言うんだ」

    ジョニー・ハーバート

    「もちろんイギリス人ドライバーを応援する」
    一方でハーバートは、イギリス人としてハミルトンら母国のドライバーを応援することと、F1を評価する際の客観性は別のものだと主張した。

    「もちろん僕たちはイギリス人ドライバーを応援する。でも、それでも客観的に見ている。僕たちだって“フライング・ダッチマン”には驚かされている」

    「もしサッカーでイングランドとオランダが対戦するなら、もちろん僕はイングランドを応援する」

    ハーバートはフェルスタッペンの能力そのものを否定しているわけではなく、あくまで特定のドライビングやインシデントについて批判的な意見を示してきたという立場だ。

    F1で問題となるファンによる誹謗中傷
    F1ではSNSの普及とともにドライバーへの支持が世界規模で拡大する一方、ライバルや評論家、関係者に対する攻撃が過激化するケースも問題となっている。

    フェルスタッペンやハミルトンのように巨大なファンベースを持つドライバーの場合、コース上の接触やタイトル争いをきっかけに、ドライバー本人だけでなくチーム関係者、ジャーナリスト、解説者、スチュワードにまで批判が向かうことがある。

    今回ハーバートが「最悪だった」と表現したのは、フェルスタッペンを支持するすべてのファンではなく、自身に誹謗中傷を浴びせた熱狂的なファンについてだ。実際、ハーバート自身も「オランダ人だけではなかった」と説明しており、国籍ではなくフェルスタッペンへの批判に反発した人々を指している。

    「死」を持ち出すようなメッセージは、ドライバーへの支持やスポーツに対する意見の範囲を明らかに逸脱している。ハーバートの告白は、2024年メキシコシティGPをめぐるフェルスタッペン陣営との対立を改めて浮かび上がらせるとともに、F1の巨大なファンコミュニティが抱える誹謗中傷の問題を示すものとなっている。

  • レッドブルF1 オランダGPで特別スーツ フェルスタッペンとハジャーで異なる配色

    レッドブルF1 オランダGPで特別スーツ フェルスタッペンとハジャーで異なる配色

    レッドブル・レーシングは、2026年F1オランダGPに向けてマックス・フェルスタッペンとアイザック・ハジャーが着用する特別仕様のレーシングスーツを公開した。

    ザントフォールトで開催されるオランダGPは、少なくとも当面の間は今回が最後の開催となる。地元オランダ出身のフェルスタッペンにとってはもちろん、ハジャーにとっても特別な思い出を持つグランプリだ。

    フェルスタッペンはオレンジ ハジャーはシルバーの特別仕様
    レッドブル・レーシングが公開したオランダGP仕様のレーシングスーツでは、フェルスタッペンとハジャーで異なるカラーリングが採用された。

    フェルスタッペンはオレンジをアクセントとして取り入れ、ホームグランプリを意識したデザインとなっている。一方、ハジャーはシルバー系をアクセントに使用。基本となるネイビーのレッドブルカラーを共有しながら、肩やサイドなどの配色によって2人で異なる印象に仕上げられている。

    2021年にF1カレンダーへ復帰して以降、ザントフォールトでは5回のオランダGPが開催されている。フェルスタッペンはそのうち3勝を挙げ、残る2戦でも2位に入っており、すべてのレースで表彰台を獲得している。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング) オランダグランプリアイザック・ハジャー(レッドブル・レーシング) オランダグランプリ

    フェルスタッペンにとって特別なホームGP
    今回のオランダGPには、これまでとは異なる意味も加わる。ザントフォールトでのF1開催は2026年大会を最後に終了することが決まっており、現時点で将来の復活予定はない。

    フェルスタッペンにとっては、少なくとも当面の間、ザントフォールトで迎える最後のホームグランプリとなる。

    2021年の復活初年度から圧倒的な人気を集め、サーキットを埋め尽くす「オレンジ・アーミー」とともにオランダGPを象徴する存在となったフェルスタッペン。レッドブルにとっても、今回の週末はひとつの節目となる。

    ハジャーにとってもF1初表彰台の思い出の地
    一方、ハジャーにとってザントフォールトはF1キャリアの転機となった場所だ。

    レーシングブルズから参戦していた2025年のオランダGPで、ハジャーは見事な走りを披露してF1初表彰台を獲得。この結果はルーキーシーズンにおける大きなハイライトとなり、2026年にレッドブル・レーシングへ昇格する評価につながった出来事のひとつでもあった。

    その1年後、ハジャーはフェルスタッペンのチームメイトとしてザントフォールトに戻ってくる。

    フェルスタッペンにとっては母国で築いてきた歴史の一区切り、ハジャーにとってはF1キャリアを大きく前進させたサーキットへの凱旋となる。異なるカラーリングの特別なレーシングスーツをまとった2人が、節目となるオランダGPに臨む。

  • マックス・フェルスタッペン F1オランダGP惜別の特別ヘルメット「一生残る思い出」

    マックス・フェルスタッペン F1オランダGP惜別の特別ヘルメット「一生残る思い出」

    マックス・フェルスタッペンが、2026年を最後にF1カレンダーから姿を消すオランダGPに向け、母国とザントフォールトへのオマージュを込めたスペシャルヘルメットを公開した。

    2021年に36年ぶりの復活を果たしたオランダGPは、8月30日に決勝が行われる2026年大会をもって開催を終了する。母国の英雄フェルスタッペンと「オレンジ・アーミー」が作り上げてきたザントフォールトの熱狂も、ひとまず最後の週末を迎える。

    最後の母国F1に捧げるスペシャルヘルメット
    フェルスタッペンはSNSを通じ、最後のF1オランダGPで使用するワンオフのヘルメットデザインを披露した。

    「象徴的なグランプリ。一生残る忘れられない思い出。最後のホームレース、特別なヘルメット。オランダとザントフォールトへのオマージュだ」

    今回のデザインには、単なるホームレース仕様以上の意味が込められている。2026年大会を最後にオランダGPがF1カレンダーから外れるため、フェルスタッペンにとってF1ドライバーとしてザントフォールトを走る最後の機会となるからだ。

    オランダGPは1985年を最後に長く開催されていなかったが、2021年にF1カレンダーへ復帰。復活初年度からフェルスタッペンが勝利し、2022年、2023年も制して3連勝を達成した。

    スタンドを埋め尽くすオレンジ色のファンと、会場を包む独特の熱気は復活後のオランダGPを象徴する光景となった。フェルスタッペンの台頭とともに実現した母国GPは、わずか数年でF1屈指の人気イベントへ成長した。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング) オランダGPヘルメット

    「ファンと一緒に楽しみたい」
    夏休み前、フェルスタッペンは最後のオランダGPについて、結果だけではなく母国ファンとの時間そのものを楽しみたいと語っていた。

    「僕のホームグランプリだから、もちろんすごく楽しむつもりだ。ドライビングの面でも楽しめればいいね! 少なくとも、この週末(ハンガリー)よりは楽しめることを願っているよ」

    2026年のレッドブル・レーシングはRB22の扱いに苦しむ場面もあり、フェルスタッペンにとって母国戦だからといって勝利を約束された状況ではない。それでも、ザントフォールトそのものがなくなるわけではないとして、F1撤退後については前向きに受け止めている。

    「ファンに会えるのは素晴らしいことだ。確かにF1グランプリはなくなるけど、ほかにもたくさんのカテゴリーがそこでレースをするし、トラックデーで走りたければサーキットがなくなるわけでもない」

    「だから僕はこれからもそこで走って楽しめる。ただ、それがF1ではなくなるというだけだ。それはそれでいいと思っている」

    「僕はただ、ファンと一緒に楽しみたいんだ」

    ザントフォールト復活がF1に残したもの
    フェルスタッペンは、オランダGPを復活させた関係者の仕事についても高く評価している。

    「彼らがこのグランプリを復活させるためにやってきたことは、本当に信じられないほど素晴らしい」

    「最初のレースを開催したとき、グランプリをどう開催して、どう観客を楽しませるべきなのかという意味で、ほかの多くのグランプリにとっても素晴らしいお手本になったと思う」

    ザントフォールトでのオランダGPは、1985年にニキ・ラウダがマクラーレンで勝利したのを最後にF1カレンダーから姿を消した。その後、フェルスタッペンの活躍によって国内でF1人気が急速に高まり、2021年に待望の復活を果たした。

    復活後はオレンジ色に染まった大観衆がフェルスタッペンを後押しし、ザントフォールトならではの雰囲気を作り上げた。フェルスタッペン自身も3勝を挙げており、母国ファンの前で数々の印象的な瞬間を残してきた。

    2026年8月30日、その歴史はいったん区切りを迎える。フェルスタッペンにとって最後のF1オランダGPは、勝敗だけではなく、自身のキャリアとともに歩んできたザントフォールト、そして母国ファンへの感謝を示す特別な週末となる。

  • マックス・フェルスタッペン 45歳アロンソのF1去就「辞める決断は僕より簡単」

    マックス・フェルスタッペン 45歳アロンソのF1去就「辞める決断は僕より簡単」

    マックス・フェルスタッペンは、フェルナンド・アロンソのF1での将来について、自身とは置かれている状況が異なると語った。45歳のアロンソにとって、F1を続けるかどうかの決断は、28歳の自分よりも「おそらく簡単」だという。

    2026年に導入された新レギュレーションに対しては、フェルスタッペンとアロンソの双方がこれまで率直に不満を示してきた。ともに来季以降の去就には不透明な部分があり、その判断にはマシンを運転する楽しさが大きく影響している。

    アロンソ「順位ではなく楽しめるか」で将来を判断
    アロンソは先月、自身のF1での将来について、アストンマーティンが競争力を取り戻せるかどうかだけで判断するつもりはないと説明していた。

    重要なのは、自分がマシンを楽しんでドライブできるかどうかだという。

    2026年のF1では新たな技術レギュレーションが導入されたが、アロンソはその方向性に必ずしも満足していない。フェルスタッペンも同様で、新世代マシンへの不満を公然と口にしてきた。

    アロンソの考えについて尋ねられたフェルスタッペンは、その気持ちはよく理解できると語った。

    「彼には完全に同意するよ。これは自分たちが望んでいるものではない」

    その一方で、キャリアの段階という意味では、自分とアロンソには大きな違いがあると指摘する。

    「もちろん、フェルナンドは45歳だから、『もう辞める』と言うのは、おそらく彼の方が簡単だと思う。基本的には、もうキャリアを十分にやり遂げているからね」

    「僕としては、フェルナンドには60歳までレースをしていてほしいけど、それがF1で現実的だとは思わない」

    「アロンソが21番手にいるべきではない」
    フェルスタッペンは、アロンソが現在置かれている状況そのものにも同情を示した。

    長年F1で戦ってきた純粋なレーサーにとって、レギュレーションを楽しめず、さらに競争力のないマシンで戦うことは簡単ではないという。

    「本物のレーサーにとっては厳しいよ。特に今のレギュレーションを楽しめていなくて、しかも競争力がない状況なら、本当に難しい」

    そして、アロンソの実力と現在の順位は釣り合っていないとの考えを強調した。

    「だって、フェルナンドが21番手にいるなんてふさわしくない。フェルナンドなら最低でもトップ5にいるべきだよ」

    この発言には、単なる同情以上の意味がある。フェルスタッペン自身、アロンソを現役F1ドライバーの中でも高く評価してきた。現在の成績だけを見て、アロンソ自身の能力が衰えたと判断しているわけではない。

    マックス・フェルスタッペンとフェルナンド・アロンソ

    フェルスタッペン自身にもF1離脱の可能性
    一方、フェルスタッペン自身の将来も完全に確定しているわけではない。

    契約上は2028年末までレッドブル・レーシングに所属することになっているが、来季について明確なコミットメントを示しておらず、これまでもF1をいつまで続けるかについて慎重な姿勢を見せてきた。

    特に2026年の新レギュレーションについては、シーズンを通して批判的な発言を続けている。

    過去には、F1の方向性次第では早期に競技を離れる可能性も示唆してきた。ただし、28歳のフェルスタッペンは、自分と45歳のアロンソを単純に比較することはできないと考えている。

    「僕はもちろん28歳だから、少し状況が違う」

    「辞めようと思えば簡単に辞められる。それ自体は問題じゃない。でも、僕はレースが大好きなんだ」

    「だから今あるもので何とかやろうとしている。たとえ今のものが、僕の好きなものではなかったとしてもね」

    異なるキャリア段階でも共通する新世代F1への違和感
    アロンソとフェルスタッペンでは年齢もキャリアの段階も大きく異なる。アロンソはすでに2度のF1ワールドチャンピオンを獲得し、45歳までトップカテゴリーで戦い続けてきた。一方のフェルスタッペンは28歳で、まだ長いキャリアを続けることも可能だ。

    それでも両者に共通しているのは、F1に残ること自体を目的としていない点だ。

    アロンソはマシンをドライブする喜びを重視し、フェルスタッペンも「レースが大好き」だからこそ現在のF1と向き合っている。

    フェルスタッペンの発言は、アロンソの引退が近いと断定したものではない。むしろ、45歳までF1で戦ってきたアロンソには、自分自身が楽しめないと感じたときにキャリアを終えるという選択をしやすい立場にある、という見方だ。

    そして28歳のフェルスタッペンもまた、今のF1を好んでいないことを隠してはいない。世代もキャリアも異なる2人のワールドチャンピオンが、同じ2026年レギュレーションに違和感を抱いていることは、今後のF1にとって無視できないテーマになりそうだ。

  • マックス・フェルスタッペン レッドブルF1加入を決めたマルコの「20分」交渉

    マックス・フェルスタッペン レッドブルF1加入を決めたマルコの「20分」交渉

    マックス・フェルスタッペンがレッドブルと歩むことになった決定的な瞬間は、ヘルムート・マルコとのわずか「20分」の話し合いだった。父ヨス・フェルスタッペンが、当時メルセデスのトト・ヴォルフとも交渉していた息子のF1進出を振り返った。

    2014年、FIA F3ヨーロッパ選手権を戦っていたフェルスタッペンを巡り、レッドブルとメルセデスが獲得に動いていた。

    しかし、すでにルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグという強力なラインアップを抱えていたメルセデスに対し、レッドブルは翌2015年からのF1参戦という具体的なプランを提示。その決断の速さが、後に4度のF1ワールドチャンピオンとなるフェルスタッペンの進路を決めた。

    メルセデスとレッドブルがフェルスタッペン獲得を争う
    当時フェルスタッペンは16歳。カートから四輪へ転向したばかりで、FIA F3ヨーロッパ選手権を戦っていた。

    父ヨスと、現在もフェルスタッペンのマネージャーを務めるレイモンド・フェルミューレンは、息子の将来について複数の選択肢を検討していた。その中心にいたのがレッドブルとメルセデスだった。

    54歳のヨスは『AutoHebdo』に当時の状況を振り返った。

    「当時から、今と同じチームが我々の周りにいた。マネージャーのレイモンド・フェルミューレンは、私の親しい友人でもある」

    「レイモンドとマックス、そして私だ。その体制は今でも変わっていない。だから、我々は非常にしっかりと準備できていた」

    「トト・ヴォルフとヘルムート・マルコの両方が我々と話をしていた。どちらもマックスとの契約を望んでいた。そして我々がやるべきことは、マックスにとって最も良い環境を見つけることだった」

    メルセデス側もフェルスタッペンの才能を高く評価していた。しかし当時のワークスチームにはハミルトンとロズベルグがおり、若いフェルスタッペンにすぐF1のレースシートを用意することは難しかった。

    一方、レッドブルにはジュニアチームを通じてF1デビューさせるという選択肢があった。その違いが交渉を大きく動かした。

    マルコの第一声「来年マックスをF1に乗せたい」
    決定的な話し合いはホッケンハイムで行われた。ヨスによれば、マルコとの交渉はわずか20分だったという。

    「よく覚えている。私はホッケンハイムにいて、いかにもヘルムートらしい話し合いだった」

    「彼が我々のテーブルにやって来て、『20分しかない』と言った。私は、それだけあれば話をするには十分だと答えた」

    そしてマルコは、ほとんど前置きなしに核心を切り出した。

    「彼の最初の言葉は『来年、マックスを我々と一緒にF1で走らせたい』だった」

    「それを聞いたときは、とても驚いた。それで私は『分かった、ヘルムート。それならやろう。ただし1年ではなく2年にしよう』と答えた」

    当時まだ10代だった息子をF1に送り込む以上、ヨスは適応期間が必要だと考えていた。

    「マックスは非常に若かったから、最初の1年は環境に慣れるために必要だと考えていた。そして2年目になれば、彼がどれだけの力を持っているのかを示せると思っていた」

    「だが、彼は非常にうまく適応した。2015年の最初のシーズンが素晴らしかったので、2年目には早くもレッドブルへ昇格することになった。それは良い判断だったと思う」

    17歳でF1デビュー 2年目にはレッドブルで初勝利
    フェルスタッペンは2015年、レッドブルのジュニアチームであるトロロッソからF1デビュー。開幕戦オーストラリアGPでは17歳166日でスタートし、F1史上最年少出走記録を樹立した。

    翌2016年にはシーズン第5戦スペインGPを前にダニール・クビアトと入れ替わる形でレッドブル・レーシングへ昇格。そして、その初戦でいきなり優勝した。

    フェラーリのキミ・ライコネンを0.616秒差で抑えてチェッカーを受け、18歳227日でF1史上最年少優勝記録も更新。マルコが2014年に下した大胆な決断は、わずか2年足らずで結果につながった。

    その後フェルスタッペンはレッドブルの絶対的エースへ成長し、2021年から4年連続でF1ワールドチャンピオンを獲得。現在までに71勝、131回の表彰台を記録している。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    ヴォルフもフェルスタッペンを逃したことを「後悔」
    一方、フェルスタッペン獲得の可能性がありながら契約に至らなかったヴォルフは、後にその判断を振り返っている。

    ヴォルフによれば、ヨスとマックスはブラクリーにあるメルセデスのオフィスを訪れ、その後にはウィーンにあるヴォルフの自宅でも数時間にわたって将来について話し合ったという。

    「彼らはブラクリーにある私のオフィスに来た。マックスがまだカートをやっていたころか、カート時代の最後、つまりF3に進む直前の2013年だったと思う」

    「その後、マックスとヨスがウィーンにある私の自宅を訪れたときにも話をした。彼の将来について数時間話し合った」

    フェルスタッペンを獲得できなかったことを後悔しているかと問われ、ヴォルフは認めている。

    「もちろんだ。ただ、当時は選択肢にならなかった」

    「私にはニコとルイスという、非常に満足していた2人のドライバーがいた。そしてニコが2016年末に去ったときには、バルテリ(・ボッタス)が選択肢となり、その時点でマックスはもう獲得可能ではなかった」

    「将来のF1シート」を提示できたレッドブルの決断力
    フェルスタッペン争奪戦を振り返ると、レッドブルとメルセデスの差は才能への評価そのものではなく、その才能に対して即座に何を提示できたかにあった。

    メルセデスも早い段階からフェルスタッペン側と接触していたが、当時はハミルトンとロズベルグの体制を崩してまで16歳の若手を起用する現実的な理由がなかった。

    対してマルコは、F3を戦っていたフェルスタッペンに翌年のF1シートを提示した。カートから四輪に転向してわずか1年でF1へ進ませるという異例のプランだったが、その大胆さがフェルスタッペン陣営の求めていた「最高の環境」と一致した。

    「20分しかない」というマルコの一言から始まったホッケンハイムでの交渉は、フェルスタッペンとレッドブルの長い関係を決定づけることになった。そして、その決断を逃したヴォルフ自身が後に「もちろん後悔している」と認めたことが、当時の選択がその後のF1の勢力図に与えた影響の大きさを物語っている。