タグ: F1

  • ジョージ・ラッセル F1王座争いで59点差も「信念と自信」を失わない理由

    ジョージ・ラッセル F1王座争いで59点差も「信念と自信」を失わない理由

    メルセデスのジョージ・ラッセルは、2026年F1世界選手権のタイトル争いで首位から59ポイント差まで後退した。それでも逆転への「信念と自信」を保つうえで、長年取り組んできたスポーツ心理学が大きな助けになっていると語った。

    開幕前には、メルセデスのラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリによる一騎打ちになるとの見方も多かった。しかし、メルセデスは信頼性トラブルに何度も見舞われ、ラッセル自身も一部の週末で苦戦。

    さらにフェラーリ、マクラーレン、レッドブル・レーシングが開発競争で差を縮め、ルイス・ハミルトンもタイトル争いに加わっている。

    アントネッリ6勝に対してラッセルは2勝
    2026年シーズンは11戦を終え、ラッセルはドライバーズランキング3位。2位ハミルトンとの差は9ポイントだが、首位アントネッリには59ポイント差をつけられている。

    今季ここまでアントネッリが6勝を挙げているのに対し、ラッセルは2勝。メルセデスがシーズン序盤に持っていたパフォーマンス面での優位も縮小しており、タイトル獲得への道のりは開幕当初に想定されていたものより厳しくなった。

    それでもラッセルは、精神面で状況に飲み込まれないための準備を以前から続けている。スポーツ心理学者と仕事を始めたのは2020年であり、今回のタイトル争いをきっかけに新たに取り組み始めたものではない。

    「これは助けになっている。でも、自分に何ができるのかを思い出すことも助けになる」

    ラッセルは自身のキャリアを振り返ることが、自信を維持する方法のひとつだと説明する。

    「自分のキャリアについて考えるとき、成功したことを考える。自分に何ができるのかを思い出すんだ」

    「それが僕に信念と自信を与えてくれる」

    心理学者との取り組みは「苦しい時」のためだけではない
    スポーツ心理学というと、不振やプレッシャーを乗り越えるためのものという印象もある。しかしラッセルにとって、その役割はもっと広い。

    自身の能力を最大限に引き出すだけでなく、一緒に働く人々との関係、F1のレース週末で受けるプレッシャーへの対処、長いシーズンを通じたエネルギー管理にも役立てているという。

    「これは、自分自身から最大限を引き出すためのものだった。それだけじゃなく、一緒に仕事をしている人たちからどう最大限を引き出すか、レース週末のプレッシャーにどう対処するのがベストなのか、あるいはシーズンを通して自分のエネルギーをどう管理するのがベストなのかということにも役立っている」

    「必ずしも、本当に苦しい時期を乗り越えるためだけのものではない。もちろん、そういう時にも大きな助けになるけどね」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    婚約者カルメンやヴォルフら周囲の支え
    ラッセルは心理学者だけでなく、自身を取り巻く人々の存在も精神的な支えになっていると強調した。

    そのひとりが、最近婚約したカルメン・モンテロ・ムントだ。また、メルセデスの若手育成プログラムを率いてきたグウェン・ラグルー、そしてメルセデスF1チーム代表兼CEOのトト・ヴォルフの名前も挙げている。

    「僕は本当に恵まれている。近くに素晴らしい人たちがいるからね」

    「僕のガールフレンド、今は婚約者だけど、カルメン、それからグウェン、トト。こういう人たちが僕を支えてくれている」

    59ポイント差でもタイトルを諦めないラッセル
    11戦終了時点での59ポイント差は小さくない。さらに今季のF1はマシン開発による勢力図の変化が激しく、メルセデスが序盤の優位を取り戻せる保証もない。

    一方で、シーズンはまだ後半戦を残しており、タイトル争いを決定づけるには早い段階でもある。ラッセルにとって重要なのは、現在のポイント差だけを見るのではなく、過去に自分が発揮してきた能力を思い出しながら、自身のパフォーマンスを最大化することだ。

    アントネッリが6勝を挙げてランキング首位を走り、ハミルトンにも先行を許しているラッセル。それでも、2020年から続けてきたメンタル面での取り組みと周囲の支えを武器に、2026年F1タイトルへの「信念と自信」を失わず後半戦に臨む。

  • ジャック・ヴィルヌーヴ ウィリアムズF1時代の“小技”を告白「僕だけ1枚パドル」

    ジャック・ヴィルヌーヴ ウィリアムズF1時代の“小技”を告白「僕だけ1枚パドル」

    1997年のF1ワールドチャンピオン、ジャック・ヴィルヌーヴが、ウィリアムズ時代に自身の要望でマシンへ取り入れられた数々の“小技”を明かした。

    インディカーからF1へ転向したヴィルヌーヴは、アメリカで培ったアイデアをウィリアムズへ持ち込み、極端に短いストロークのアクセルペダルや独自の1枚式シフトパドル、さらにはレースエンジニアをスタート時の“スポッター”として活用するなど、当時のF1では珍しい工夫を実践していた。

    アクセルのストロークはわずか18~20mm
    1995年にインディカーのタイトルを獲得したヴィルヌーヴは、翌1996年にウィリアムズからF1デビュー。ルーキーイヤーからタイトル争いを演じ、1997年にはワールドチャンピオンに輝いた。

    F1公式ポッドキャスト『Beyond The Grid』に出演したヴィルヌーヴは、当時のマシンに施していた独自の工夫について振り返った。

    そのひとつが、極端に短いアクセルペダルのストロークだった。

    「シーズンによって違ったけど、つま先のところで20mmか18mmだった」

    ヴィルヌーヴは、その感覚をコンピューターのマウスに例えて説明する。

    「小さな動きなら、狙ったところへすごく速く、正確に到達できる。それはペダルでも同じなんだ」

    「ストロークが短いと、どれだけ動かすかというより、どれだけ圧力をかけるかになる。それに脚全体を動かす必要もない。足を少し動かすだけだから、よりコントロールしやすかった」

    F1で「誰も」真似しなかった1枚式シフトパドル
    さらに特徴的だったのが、ステアリング裏側のシフトパドルだった。

    「もうひとつ他と違っていたのは、2枚ではなく1枚のシフトパドルしか使っていなかったことだ。アップシフトもダウンシフトも同じパドルだった」

    「押せばアップシフト、引けばダウンシフトだった」

    現在では左右のパドルを使い分ける方式が一般的だが、ヴィルヌーヴのシステムでは1枚のパドルを前後に操作して変速していた。

    「それならパドルをつかむためにステアリングから手を離す必要がない。高いGがかかっているコーナリング中でもシフトできるし、ホイールスピンしたときにも素早く反応できた」

    ヴィルヌーヴによれば、当時のF1グリッドでこの1枚パドル方式を採用したドライバーは「誰もいなかった」という。

    脚を支える“羽根”もヴィルヌーヴの要求
    独自のアイデアはそれだけではなかった。

    「そういう小さな工夫をたくさん考えていた。例えばペダルのところに付けたフラップだ。脚が動かないように支えるもので、僕たちが最初にやった」

    導入を求めた理由は、コーナリング中に脚を支えるため余計な体力を使っていたからだった。

    「僕は『聞いてくれ。ドライビングする代わりに、脚を支えるためにエネルギーの半分を使っている』と言った。それで取り付けてもらった。効果があったよ。それにクラッシュしたときに足を骨折するのを防ぐことにもつながった」

    さらに、ステアリングのグリップや調整可能なフロントウイングなども導入したという。

    「本当にいろいろな小さなものがあった。ステアリングのグリップ、調整可能なフロントウイング。こういうものはインディカーから持ち込んだアイデアだった」

    レースエンジニアを“スポッター”として活用
    インディカーでの経験が生かされたのは、マシンの装備だけではなかった。無線の使い方もそのひとつだった。

    ヴィルヌーヴを担当していたレースエンジニアのジョック・クリアは、スタート直後にインディカーの“スポッター”に近い役割を担っていたという。

    「無線でのコミュニケーションもそうだった。スタートではジョックがよくターン1までスポッターのような役割をしていた」

    「テレビを見ながら、どこにトラフィックがいるのかをリアルタイムで僕に教えてくれたんだ」

    「これは全部、僕がアメリカから持ってきたものだった」

    インディカーなどのアメリカンモータースポーツでは、コース上の状況をドライバーへ伝えるスポッターの存在が一般的だ。ヴィルヌーヴは、その考え方をF1のスタートにも持ち込んでいた。

    ウィリアムズの素早い対応を称賛
    こうした装備のすべてが1996年のF1デビュー戦、オーストラリアGPまでに完成していたわけではない。

    「シフトパドルは後からだった」

    「徐々に進めていった。でも快適性に関するものやペダルのフラップなんかは、9000kmも走れば考える時間は十分にある」

    ヴィルヌーヴは、要望をマシンへ反映する当時のウィリアムズの対応力を高く評価している。

    「ウィリアムズは反応がすごく速かった。それは素晴らしかったよ」

    ヴィルヌーヴはウィリアムズで3シーズンを戦った後、1999年にBARへ移籍。その後はルノー、ザウバー、BMWザウバーでF1を戦い、2006年ドイツGPが最後のグランプリ出走となった。

    インディカーからF1へ持ち込んだのはドライビング経験だけではなかった。ペダルからシフトパドル、無線の使い方に至るまで、ヴィルヌーヴの発想を素早く形にできた当時のウィリアムズの柔軟性も、デビュー直後から彼がトップ争いを演じることができた背景のひとつだった。

  • フェラーリF1 モンツァでADUO第2弾投入へ 15馬力向上で0.2秒短縮か

    フェラーリF1 モンツァでADUO第2弾投入へ 15馬力向上で0.2秒短縮か

    フェラーリは、2026年F1シーズン後半戦に向けてSF-26の開発攻勢をさらに強める。イタリアGPが行われるモンツァでは、パワーユニット(PU)にADUOを活用した2度目のアップデートを投入し、約15馬力の向上を狙うと報じられている。

    高速区間の比率が極めて高いモンツァでは、その効果はラップタイムにして約0.2秒に相当すると試算されている。

    フェラーリはその前戦オランダGPでも大型の空力アップデートを予定しており、夏休み明けからマシンとPUの両面で性能を引き上げる構えだ。

    モンツァでADUO第2弾 約15馬力の向上を狙う
    イタリアメディア『AutoRacer.it』によると、フェラーリはモンツァでADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities=追加開発・アップグレード機会)を利用した2度目のPUアップデートを導入する予定だという。

    ADUOは2026年から導入された制度で、基準となるパワーユニットに対して内燃エンジン(ICE)の性能が一定以上劣っているメーカーに追加の開発機会を認める仕組みだ。フェラーリは今季、この制度を利用してPUの性能差を縮める開発を進めている。

    最初のADUOによるアップデートはオーストリアGPで投入された。今回のモンツァで予定される第2弾では、さらに約15馬力の性能向上が見込まれているという。

    モンツァは長い全開区間を持ち、PU性能がラップタイムに大きく影響するサーキットだ。そのため15馬力の上積みは大きな意味を持ち、約0.2秒のラップタイム短縮につながると試算されている。

    ザントフォールトではSF-26に大型空力アップデート
    フェラーリの後半戦に向けた攻勢はPUだけではない。

    夏休み明け最初のオランダGPでは、SF-26に重要な空力アップデートを投入する予定とされる。狙いは単純なダウンフォース増加ではなく、空力効率の改善とマシンの作動領域を広げることにある。

    2026年のフェラーリはシーズンを通じて継続的に新パーツを投入してきた。SF-26の基本性能を生かしながら弱点を段階的に修正する開発を続けており、夏休み明けもその方針を維持する。

    ザントフォールトでシャシー側を進化させ、その翌戦モンツァではPU側を強化するという流れになる。

    スクーデリア・フェラーリ

    最終アップデートはオースティンを予定
    さらにフェラーリは、アメリカGPが開催されるオースティンで今季最後となるアップデートパッケージを投入する計画だという。

    これによってSF-26の2026年シーズン中の主要な開発プログラムは完了する見通しだ。

    SF-26はすでに今季2勝を記録している。序盤に優位を築いたメルセデスとの差が縮まるなか、フェラーリにとって夏休み明けの一連のアップデートは、シーズン終盤の勢力図を左右する重要なものになる。

    フェラーリが狙う2008年以来のコンストラクターズ王座
    チーム代表のフレデリック・バスールはハンガリーGP後、現状ではドライバーズタイトル以上にコンストラクターズタイトルが現実的な目標であることを示唆している。

    フェラーリが最後にF1コンストラクターズ選手権を制したのは2008年。以来、タイトルから遠ざかっている。

    2026年はメルセデスが序盤戦でリードを築いた一方、フェラーリ、マクラーレン、レッドブル・レーシングが開発によって差を縮めてきた。特に後半戦ではアップデートの効果がタイトル争いを大きく左右する可能性がある。

    ザントフォールトで空力性能を引き上げ、ホームレースのモンツァではADUO第2弾によってPUを約15馬力強化する。そしてオースティンでSF-26の最終アップデートを投入する――。フェラーリは明確な開発ロードマップを組み、2008年以来となるコンストラクターズ王座獲得へ勝負をかける。

  • マクラーレンF1 2027年マシンへの開発移行に自信「昨年よりはるかにスムーズ」

    マクラーレンF1 2027年マシンへの開発移行に自信「昨年よりはるかにスムーズ」

    マクラーレンF1のチーム代表アンドレア・ステラは、2026年型マシン「MCL40」の開発と2027年型マシンへの移行について、昨年よりも適切なバランスを取りやすい状況にあると語った。

    2025年はドライバーズタイトルを争いながら、シャシーとパワーユニットの両面で大幅な規則変更が導入される2026年に向けて、ほぼゼロから新車を開発する必要があった。その結果、マクラーレンは2026年シーズン序盤で後れを取り、MCL40の競争力向上を迫られることになった。

    2025年は「2つの極端」の間で難しい判断
    マクラーレンは2025年、ランド・ノリスが2008年のルイス・ハミルトン以来となるチームのドライバーズタイトルを獲得。コンストラクターズ選手権でも連覇を達成した。

    しかし、そのタイトル争いに最後までリソースを投入したことは、全面的な技術規則変更を伴う2026年への準備との両立を難しくした。

    ステラは、当時の状況を「2つの極端」の間でバランスを取らなければならなかったと振り返る。

    「ある意味、今年は2つの要求の間で中間点を見つけることがより簡単だ」

    「2025年には、世界選手権を勝ち取るために限界までプッシュすることと、事実上ゼロから新しいマシンを設計しなければならないことという、2つの極端な状況の間でバランスを取る必要があった」

    「今年は規則変更が比較的小さいため、2つのプロジェクト間の移行ははるかにスムーズだ」

    2026年はF1のシャシーとパワーユニット規則が同時に刷新される大きな転換点だった。一方、2027年に予定されている変更はそれほど大規模ではない。

    そのため、MCL40で進めている開発や得られたデータの多くを、2027年型マシンにも生かすことができる。

    MCL40で得る知見は2027年にも生かせる
    マクラーレンにとって重要なのは、2026年型マシンの開発をいつ打ち切るかという単純な二者択一ではない。MCL40から得られる知見そのものが、次世代マシンの開発につながるからだ。

    ステラは、現行世代のF1マシンはシャシー、パワーユニットともにまだ開発初期の段階にあると指摘する。

    「この世代のマシンは、シャシーとパワーユニットの両方において、まだ非常に初期の段階にあるということを考慮しなければならない」

    「したがって、2026年に学び続けるほぼすべてのことが、来年にも役立つことになる」

    これは、2025年から2026年への移行との大きな違いだ。前年は規則が根本から変わるため、旧型マシンへの開発投資が新車に直接つながらない部分も多かった。

    一方、2026年から2027年では技術的な連続性が高く、今季の開発を継続すること自体が2027年への準備にもなる。

    予算上限と風洞時間の配分が焦点
    ただし、リソースを無制限に投入できるわけではない。F1ではコストキャップに加え、風洞やCFD(数値流体力学)による空力開発時間も制限されている。

    さらに、設計部門だけでなく、実際にパーツを製造するための人的・設備的なリソースも、2026年型と2027年型の間で振り分ける必要がある。

    「もちろん、予算上限、風洞でのテスト時間、コンピューターシミュレーション、そして設計と製造におけるリソース配分について、適切なバランスを見つけなければならない」

    「だが、すべての面で我々は良いポジションにいると思っている」

    マクラーレンは2025年、タイトル獲得を優先したことで2026年型MCL40への準備に一定の代償を払った。だが、規則の連続性が高まる2027年に向けては事情が異なる。今季のマシンを改善しながら、その成果を次期マシンへつなげられることが、ステラのいう「中間点」を見つけやすくしている。

  • シャルル・ルクレール夫妻に第1子妊娠説 サルデーニャ島での休暇写真が話題

    シャルル・ルクレール夫妻に第1子妊娠説 サルデーニャ島での休暇写真が話題

    フェラーリF1ドライバーのシャルル・ルクレールと妻アレクサンドラ・ルクレールが、サルデーニャ島で休暇を過ごしている。2人は今年初め、モナコでプライベートな結婚式を挙げた。

    豪華ヨットで休暇を楽しむ2人の最近の写真をきっかけに、夫妻が第1子を授かったのではないかとの噂が広がっている。

    写真ではアレクサンドラのお腹がふっくらしているように見え、妊娠を示す「ベビーバンプ」ではないかと注目を集めている。

    現時点で夫妻から正式な発表はない。しかし、ルクレールの弟アーサーも、お腹に手を添えるアレクサンドラの写真を公開。さらにシャルル・ルクレール自身も最近のInstagram投稿のひとつで「New Dad(新米パパ)」というタイトルの楽曲を使用しており、妊娠説をさらに加速させている。


    2026年F1開幕前にモナコで結婚
    シャルル・ルクレールとアレクサンドラは約3年間の交際を経て、2026年F1シーズン開幕前に結婚した。モナコで行われた式は家族だけを招いたプライベートなもので、親しい友人や親族を招いた、より大規模な祝賀会は来年に予定されている。

    当時、ルクレールはF1.comに結婚式について「一生忘れることのない日のひとつだと思う。アレックスにとっても、僕たちの家族にとっても同じだ」と語っていた。

    「家族だけだった。本当に小規模で、ある意味では秘密の結婚式だったけど、僕たちはそれをすごく楽しんだ」

    「親しい友人全員を招いて、もう一度やる予定だけど、それは実際にはかなり先になる。きちんと準備するには時間がかかるからね」

    結婚式を終えたルクレールは、そのままF1オーストラリアGPが開催されるメルボルンへ向かった。

    「すごくよかった。当然ながら素晴らしい一日だったし、そのポジティブな気持ちをたくさん抱えたまま飛行機に乗った。結婚式が終わって、そのままここメルボルンに飛んできたからね」

    「今もすごく幸せだし、結婚したことに興奮している。そして明日のレースが始まることにもワクワクしている」

    ルクレールはF1ランキング4位
    一方、ルクレールにとって2026年のF1シーズンは、ここまで浮き沈みのある展開となっている。

    現在、ルクレールは138ポイントでドライバーズランキング4位。フェラーリのチームメイトであるルイス・ハミルトンは169ポイントで2位につけており、ランキング首位のアンドレア・キミ・アントネッリとは50ポイント差となっている。

    フェラーリはコンストラクターズランキングで307ポイントを獲得して2位。首位メルセデスを72ポイント差で追っている。

    サルデーニャ島での休暇写真やルクレールのSNS投稿によって注目が高まっているものの、夫妻は第1子について正式には発表していない。現段階ではあくまで妊娠説にとどまっており、2人からの発表があるかが注目される。

  • ランス・ストロール モナコで5億円超の希少アストンマーティンをドライブ

    ランス・ストロール モナコで5億円超の希少アストンマーティンをドライブ

    アストンマーティンF1のランス・ストロールが、夏休み中のモナコで極めて希少な「アストンマーティン DBR22」を運転する姿が目撃された。

    世界でわずか22台しか生産されなかったオープンコックピットのV12スピードスターで、現在の市場価値は最大300万ポンド(約5億9000万円)とも推定されている。F1で苦しいシーズンを送るストロールだが、束の間の休暇を特別な1台とともに過ごしているようだ。

    世界22台限定のアストンマーティン DBR22
    ストロールがモナコの公道で運転していたのは、アストンマーティン DBR22。2022年、同社のビスポーク部門「Q by Aston Martin」の設立10周年を記念して発表されたモデルだ。

    デザインの着想源となったのは、1959年のル・マン24時間レースで総合優勝を飾った名車DBR1。フロントウインドスクリーンを最小限に抑えたオープンコックピットを採用し、アストンマーティンのレーシングヘリテージを現代的に再解釈している。

    搭載されるのは5.2リッターV12ツインターボエンジンで、最高出力705馬力、最大トルク752Nmを発生する。0-60mph(約96km/h)加速は3.5秒、最高速度は198mph(約319km/h)に達する。

    生産台数はわずか22台。新車時の価格はカスタマイズ費用を除いて約150万ポンドだったが、その希少性から現在では250万~300万ポンドの価値があると推定されている。

    ストロールが所有する高級車コレクション
    27歳のストロールは、DBR22以外にも複数の高性能車を所有しているとされる。

    VIP Fortunesによれば、そのコレクションにはアストンマーティン・ヴァンテージ、メルセデスAMG GT R、フェラーリ・カリフォルニア、ランボルギーニ・ウラカンなどが含まれている。

    その中でもDBR22は、生産台数とブランドの歴史的背景を考えれば別格の存在だ。単純な高級車というだけではなく、アストンマーティンのレーシング史を象徴するモデルをモチーフとしたコレクターズカーでもある。


    F1では苦戦が続くストロールとアストンマーティン
    一方、ストロールが所属するアストンマーティンは、2026年のF1世界選手権で厳しい前半戦を強いられている。

    今季からホンダとのワークス体制がスタートし、エイドリアン・ニューウェイの指揮下で初めて開発されたマシンとしてAMR26には大きな期待が寄せられていた。

    しかし、開幕後はマシンとパワーユニットの双方で問題に直面。フェルナンド・アロンソとストロールを合わせ、シーズン前半だけでグランプリにおけるリタイアまたは完走扱いとならなかったケースが11回に達した。

    状況を改善するため、アストンマーティンはハンガリーGPで大幅に改良されたBスペックのマシンを投入。ハンガロリンクではストロールが13位、アロンソが14位でフィニッシュし、一定のパフォーマンス向上を示した。

    それでも、アストンマーティンはコンストラクターズ選手権で1ポイントにとどまり10位。新規参戦のキャデラックを上回っているだけという厳しい位置にいる。

    夏休み明けにはさらなる巻き返しが求められるストロールだが、その前にモナコでは、F1マシンとはまったく異なる希少なV12マシンのステアリングを握り、ひとときのオフを楽しんでいる。

  • マックス・フェルスタッペン 45歳アロンソのF1去就「辞める決断は僕より簡単」

    マックス・フェルスタッペン 45歳アロンソのF1去就「辞める決断は僕より簡単」

    マックス・フェルスタッペンは、フェルナンド・アロンソのF1での将来について、自身とは置かれている状況が異なると語った。45歳のアロンソにとって、F1を続けるかどうかの決断は、28歳の自分よりも「おそらく簡単」だという。

    2026年に導入された新レギュレーションに対しては、フェルスタッペンとアロンソの双方がこれまで率直に不満を示してきた。ともに来季以降の去就には不透明な部分があり、その判断にはマシンを運転する楽しさが大きく影響している。

    アロンソ「順位ではなく楽しめるか」で将来を判断
    アロンソは先月、自身のF1での将来について、アストンマーティンが競争力を取り戻せるかどうかだけで判断するつもりはないと説明していた。

    重要なのは、自分がマシンを楽しんでドライブできるかどうかだという。

    2026年のF1では新たな技術レギュレーションが導入されたが、アロンソはその方向性に必ずしも満足していない。フェルスタッペンも同様で、新世代マシンへの不満を公然と口にしてきた。

    アロンソの考えについて尋ねられたフェルスタッペンは、その気持ちはよく理解できると語った。

    「彼には完全に同意するよ。これは自分たちが望んでいるものではない」

    その一方で、キャリアの段階という意味では、自分とアロンソには大きな違いがあると指摘する。

    「もちろん、フェルナンドは45歳だから、『もう辞める』と言うのは、おそらく彼の方が簡単だと思う。基本的には、もうキャリアを十分にやり遂げているからね」

    「僕としては、フェルナンドには60歳までレースをしていてほしいけど、それがF1で現実的だとは思わない」

    「アロンソが21番手にいるべきではない」
    フェルスタッペンは、アロンソが現在置かれている状況そのものにも同情を示した。

    長年F1で戦ってきた純粋なレーサーにとって、レギュレーションを楽しめず、さらに競争力のないマシンで戦うことは簡単ではないという。

    「本物のレーサーにとっては厳しいよ。特に今のレギュレーションを楽しめていなくて、しかも競争力がない状況なら、本当に難しい」

    そして、アロンソの実力と現在の順位は釣り合っていないとの考えを強調した。

    「だって、フェルナンドが21番手にいるなんてふさわしくない。フェルナンドなら最低でもトップ5にいるべきだよ」

    この発言には、単なる同情以上の意味がある。フェルスタッペン自身、アロンソを現役F1ドライバーの中でも高く評価してきた。現在の成績だけを見て、アロンソ自身の能力が衰えたと判断しているわけではない。

    マックス・フェルスタッペンとフェルナンド・アロンソ

    フェルスタッペン自身にもF1離脱の可能性
    一方、フェルスタッペン自身の将来も完全に確定しているわけではない。

    契約上は2028年末までレッドブル・レーシングに所属することになっているが、来季について明確なコミットメントを示しておらず、これまでもF1をいつまで続けるかについて慎重な姿勢を見せてきた。

    特に2026年の新レギュレーションについては、シーズンを通して批判的な発言を続けている。

    過去には、F1の方向性次第では早期に競技を離れる可能性も示唆してきた。ただし、28歳のフェルスタッペンは、自分と45歳のアロンソを単純に比較することはできないと考えている。

    「僕はもちろん28歳だから、少し状況が違う」

    「辞めようと思えば簡単に辞められる。それ自体は問題じゃない。でも、僕はレースが大好きなんだ」

    「だから今あるもので何とかやろうとしている。たとえ今のものが、僕の好きなものではなかったとしてもね」

    異なるキャリア段階でも共通する新世代F1への違和感
    アロンソとフェルスタッペンでは年齢もキャリアの段階も大きく異なる。アロンソはすでに2度のF1ワールドチャンピオンを獲得し、45歳までトップカテゴリーで戦い続けてきた。一方のフェルスタッペンは28歳で、まだ長いキャリアを続けることも可能だ。

    それでも両者に共通しているのは、F1に残ること自体を目的としていない点だ。

    アロンソはマシンをドライブする喜びを重視し、フェルスタッペンも「レースが大好き」だからこそ現在のF1と向き合っている。

    フェルスタッペンの発言は、アロンソの引退が近いと断定したものではない。むしろ、45歳までF1で戦ってきたアロンソには、自分自身が楽しめないと感じたときにキャリアを終えるという選択をしやすい立場にある、という見方だ。

    そして28歳のフェルスタッペンもまた、今のF1を好んでいないことを隠してはいない。世代もキャリアも異なる2人のワールドチャンピオンが、同じ2026年レギュレーションに違和感を抱いていることは、今後のF1にとって無視できないテーマになりそうだ。

  • 元F1解説者ダニカ・パトリック 体型批判に反論「もっと食べろと言われたから…」

    元F1解説者ダニカ・パトリック 体型批判に反論「もっと食べろと言われたから…」

    元レーシングドライバーでF1解説者としても活動してきたダニカ・パトリックが、SNSに投稿した休暇中の写真をめぐって寄せられた体型への批判に反論した。

    44歳のパトリックは現在、ヨーロッパ各地のビーチリゾートを巡る休暇を楽しんでいる。そのなかで黄色のビキニ姿でビーチに立つ写真をSNSに投稿したところ、「ハンバーガーを食べた方がいい」といった体型を揶揄するコメントや、痩せすぎではないかと心配する声が相次いだ。

    「もっと食べろ」の声に食事内容を公開
    パトリックはこうした反応を受け、24時間で消えるストーリーズ機能を使って自身の食事を公開。批判に対して皮肉を交えながら反論した。

    「前回の投稿を見て、たくさんの人からもっと食べろと言われたから、私が食べているものをもっと見せてあげる」

    「これはランチ。朝食は卵3個と卵白2個、それに自家製サワードウの大きなスライスをバターとブルーベリージャムで食べた」

    さらに、パドルボードを漕ぐ姿を投稿し、自身の身体づくりについて説明した。

    「本気でウエイトトレーニングをして、しっかりタンパク質を摂らなければ――卵2個だけとかじゃなくて――筋肉はつかない」

    「そして筋肉が増えれば増えるほど、もっと食べられる!!!!! 以上」

    パトリックは、細身に見える自身の体型が食事を制限した結果ではなく、ウエイトトレーニングと十分なタンパク質摂取によって維持しているものだと強調した形だ。

    批判だけでなく擁護のコメントも
    一方、パトリックの投稿に寄せられた反応は否定的なものばかりではなかった。

    あるフォロワーは「その年齢でスリムで健康的な身体を維持している人を、どうして批判できるのか分からない」とコメント。身体を鍛え、健康を維持しようとする姿勢を支持する声も寄せられた。

    パトリックは現役引退後、F1中継を含むモータースポーツの解説者として活動してきた。Sky Sports F1にも出演していたが、2025年シーズン限りで同局を離れ、2026年F1オーストラリアGPを前にSNSを通じて退任を明らかにしている。


    インディカーで女性唯一の勝者
    近年はF1のテレビ解説者として知られるパトリックだが、現役時代にはインディカーとNASCARで活躍した。

    特にインディカーでは2008年のインディ・ジャパン300で優勝。インディカー・シリーズでレースに勝利した史上初、そして現在も唯一の女性ドライバーという記録を持つ。

    インディカーで6年間戦った後はNASCARへ活動の場を移し、2012年から2018年まで参戦。デイトナ500では女性ドライバーとして初めてポールポジションを獲得するなど、米国モータースポーツ界を代表する女性ドライバーのひとりとなった。

    現役を退いてからもモータースポーツ界で高い知名度を保つパトリック。今回のSNSでの反論では、外見だけを見て食生活を決めつける声に対し、自身がトレーニングと食事の両面から身体づくりに取り組んでいることを示した。

  • ギュンター・シュタイナー F1復帰に前向き「やりたいプロジェクトがあれば戻る」

    ギュンター・シュタイナー F1復帰に前向き「やりたいプロジェクトがあれば戻る」

    ハースF1でチーム代表を務めたギュンター・シュタイナーは、条件が整えばF1パドックに復帰する可能性があると明かした。ただし、単に役職を得るために戻るつもりはなく、自ら形を作れる「プロジェクト」であることが条件だという。

    61歳のシュタイナーはハースF1チームの立ち上げにおける中心人物のひとりで、参戦初年度の2016年から2023年までチーム代表を務めた。

    しかし、2023年のコンストラクターズ選手権で最下位に終わった後、オーナーのジーン・ハースが契約を更新せず、2024年1月にチームを離れた。

    MotoGPチームのオーナー兼CEOとなったシュタイナー
    F1を離れたシュタイナーはその後、新たな舞台としてMotoGPに進出した。投資家コンソーシアムを通じてエルベ・ポンシャラルからテック3を買収し、レッドブルKTMテック3のオーナー兼CEOを務めている。

    それでも、F1への扉を完全に閉ざしたわけではない。

    『Up to Speed Podcast』でF1復帰を検討する可能性について尋ねられたシュタイナーは、気に入ったプロジェクトがあれば戻る意思があると語った。

    「そうだね。私が気に入るプロジェクトがあれば戻るよ。ただ、いつも言っているように、単に戻って仕事をするだけなら、それはないね」

    「私にはほかにもやりたいことがたくさんあるからね。この10年、15年、いや20年くらいを振り返ってみても、私がやってきたのはいつもプロジェクトだった。仕事をするためだけに何かをやったわけじゃない」

    「ただ仕事をするだけというのは……退屈とまでは言わないけど、私にはちょっと刺激が足りないんだよ」

    「本当に自分を試されるようなものでないとね」

    シュタイナーはモータースポーツ界で幅広いキャリアを築いてきた。F1だけでなくMotoGP、ラリー、DTMにも関わり、F1ではジャガー、レッドブル、そして最もよく知られるハースで経験を積んできた。

    「肩書きなんてどうでもいい」F1復帰に求める条件
    では、シュタイナーが求める「刺激的なプロジェクト」とは何なのか。本人によれば、重要なのは自分の手で方向性を作り上げられることだという。

    「プロジェクトというのは、自分で何をするのかを形にしていけるものだ。ただどこかに入って仕事をするということじゃない」

    「私は肩書きで生きているわけじゃないからね。肩書きなんて、正直どうでもいいんだ」

    「私にとって大事なのは、自分がやりたいと思えることをやることなんだよ」

    その一例として、シュタイナーはハースを離れた後にテレビの仕事へ挑戦したことを挙げた。未知の分野だったからこそ、むしろ挑戦してみようと思ったという。

    「ハースを離れたとき、テレビの仕事を始めた。そんな業界があることすら知らなかったんだけどね。でもオファーをもらったから、『まあ、やってみるか』と思ったんだ」

    そして、テレビの世界で目標にした人物として、元F1ドライバーで現在は解説者として活躍するデビッド・クルサードの名前を挙げた。

    「デビッドくらいうまくなりたかったんだけど、まだそこまでは行ってないね! 先は長いよ。まあ、不可能かもしれないけどね」

    ギュンター・シュタイナー

    「F1チームを作る方が簡単だった」クルサードを引き合いにジョーク
    シュタイナーにとって、新しいことへの挑戦は今に始まったことではない。ハースのF1参戦を実現させた際にも、周囲からは新規チームの立ち上げなど不可能だと言われていたという。

    「F1チームを立ち上げたときも、『そんなことは絶対にできない。新しいF1チームなんて誰にも作れない』と言われたんだ」

    「それで私は、『そうか。じゃあ、やってみせようじゃないか』と思った。それだけだよ」

    そして最後は、クルサードを再び引き合いに出し、自らのテレビでの仕事をネタにした。

    「だから考えてみると、F1チームを立ち上げる方が、テレビでデビッドくらいうまくなるより簡単だったんじゃないかな」

    現在はMotoGPでテック3の運営という新たなプロジェクトに取り組んでいるシュタイナーだが、F1復帰の可能性そのものは否定していない。ただ既存チームのポストに収まるだけでは、シュタイナーを動かすには刺激が足りないようだ。自ら方向性を形作る余地があり、新たな挑戦に値するプロジェクトが現れれば、再びF1パドックでその姿を見ることになるかもしれない。

  • ニューウェイが狙う「300mm」の規則変更 アストンマーティンF1反撃の鍵

    ニューウェイが狙う「300mm」の規則変更 アストンマーティンF1反撃の鍵

    2027年のF1技術レギュレーションに盛り込まれる変更について、アストンマーティンのチーム代表兼マネージング・テクニカル・パートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイが、最大の注目点としてフロア前方の見直しを挙げた。

    2026年に導入された新世代マシンは本来、2027年に向けて大きな基本思想を維持しながら発展していくと考えられていた。

    しかしFIAは、エネルギーマネジメントや空力面で明らかになった課題への対応として複数の規則変更を決定。なかでもフロア前方の構造変更はマシンの車高設定と空力特性に直接影響するため、ニューウェイは各チームに新たな開発競争をもたらす可能性があるとみている。

    アストンマーティンにとっては、2026年型マシンで得た経験をいったんリセットし、ニューウェイの空力設計能力をより生かせる機会にもなり得る。フェルナンド・アロンソが2027年もF1で戦う場合、その競争力を左右する重要な規則変更となりそうだ。

    2027年F1規則は「小変更」では済まない
    F1は2026年にシャシーとパワーユニットの双方で大規模な技術規則変更を実施した。当初、翌2027年はそのコンセプトを成熟させるシーズンになるとみられていた。

    しかし、実際にはFIAがフロア、リアウイング、パワーユニットなど複数の領域に修正を加えることになった。

    ニューウェイは、2027年に向けた変更について「燃料量の増加、エネルギーの貯蔵と配分に関するいくつかの変更、それにもう少し細かな調整がある」と説明している。

    背景にあるのが、2026年型パワーユニットで大きなテーマとなったエネルギーマネジメントだ。電動出力への依存度が高まったことで、コーナーでエネルギーを大量に使用した後、ストレート終盤で電力を使い切るケースが発生した。

    FIAは2027年に向けて内燃エンジン側の比率を再び高める方向で規則を修正し、ドライバーがバッテリー残量を過度に意識しなければならない状況を緩和しようとしている。

    一方、ニューウェイがより大きな技術的可能性を感じているのはパワーユニットではなくシャシー側だ。

    ニューウェイが「重要」と考えるフロア前方の変更
    2027年規則では、フロア前方に設けられているプランクの構造が見直される。前方部分が短縮されることで、その先端位置は現在より約300mm後方へ移動することになる。

    一見すると限定的な寸法変更だが、マシンのセットアップと空力に与える影響は小さくない。

    現在の構造では、フロントの車高を極端に低くするとプランクの摩耗が問題となる。前方部分が短くなれば、チームはこれまでよりフロントを低く走らせることが可能になり、マシン全体の空力マップを再構築する余地が生まれる。

    ニューウェイは、この部分こそ2027年規則の重要なポイントだと指摘する。

    「これによって、異なる空力特性が生まれることになる」

    「僕たちにとって重要な変更はフロア前方だ。これは全チームにとって、これまでとは違った空力上の課題になる」

    単純にダウンフォース量を増減させる変更ではない。マシンの前後車高、フロア下の気流、空力バランスなどを含め、基本的な設計思想そのものに影響する可能性がある。

    ニューウェイがこの変更を重視している理由もそこにある。

    300mmの変更がマシン設計を変える可能性
    グラウンドエフェクトを利用する現在のF1マシンでは、フロアと路面の距離が空力性能を大きく左右する。

    特にフロント側の車高をどこまで下げられるかは、フロアへ流れ込む空気やマシン後方までの気流構造に影響する。したがって、プランク前端が約300mm後退することは、数字以上に大きな意味を持つ。

    各チームは2026年型マシンで蓄積した空力データをそのまま発展させるだけではなく、2027年仕様に合わせて最適な車高とフロア形状を探り直す必要が出てくる。

    これはアストンマーティンにとってチャンスにもなる。

    2026年の序列を決定づけた既存コンセプトの成熟度だけでなく、2027年の変更を誰が最も早く理解し、新しい空力パッケージへ落とし込めるかが競争力を左右するためだ。

    ニューウェイはレッドブル時代を含め、規則変更時に新しい空力コンセプトを構築してきた経験を持つ。アストンマーティンが2026年にライバルへ後れを取っていたとしても、2027年の変更は差を縮めるための新たな開発ポイントになり得る。

    エイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    リア周辺ではFIAが空力の「抜け道」を整理
    2027年にはマシン後方にも変更が加えられる。

    リアウイングはダウンフォースを抑制する方向で寸法や構造が変更される一方、新しい補強部材が認められることで、各チームがその周辺で新たな空力処理を模索する可能性もある。

    さらにFIAは、2026年に各チームが開発を進めたエキゾースト周辺の空力デバイスやリアウイング周辺の一部ソリューションを規制する。

    ニューウェイはこれについて、「FIAは、各チームがエキゾーストやリアウイング周辺で使ってきたいくつかのトリックを排除した」と説明する。

    フロア前端のデバイスについても数が削減されるため、2027年型マシンでは2026年に開発された細かな空力処理の一部が使えなくなる。

    つまりFIAは、既存の開発競争を単純に継続させるのではなく、一部を整理したうえで新たな設計条件を与えようとしている。

    アストンマーティンにとって2027年は巻き返しの機会
    ニューウェイが指摘しているのは、規則の文言を利用した単純な「抜け穴」というより、規則変更によって生まれる新たな設計自由度だ。

    特にフロア前方の変更によってフロントの車高設定に新しい可能性が生まれれば、そこからフロア全体、ディフューザー、リアウイングまで含めた空力コンセプトを組み直すことができる。

    これは既存マシンを完成させているチームだけが有利になる状況を崩す可能性がある。

    アストンマーティンはニューウェイを技術部門の中心に据え、ホンダ製パワーユニットとの組み合わせで新時代のF1に挑んでいる。2026年に直面した問題を解決するだけでなく、規則が再び動く2027年を次の大きな機会として捉えていることは明らかだ。

    わずか300mmの変更でも、F1の空力設計ではマシン全体の考え方を変えるきっかけになり得る。ニューウェイがそこからどのような解答を導き出すのか。そして、そのマシンをフェルナンド・アロンソがドライブすることになるのか。2027年に向けたアストンマーティンの開発で、フロアは最大の注目点のひとつとなりそうだ。