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  • F1次世代PUはV8エンジン回帰か ドメニカリ「今年中に決断必要」

    F1次世代PUはV8エンジン回帰か ドメニカリ「今年中に決断必要」

    F1のCEOであるステファノ・ドメニカリは、次世代パワーユニット規則について、2026年レギュレーション導入を受けて「今年中に方向性を決める必要がある」との認識を示した。

    長期的な開発リードタイムを踏まえ、議論の先送りは許されないとの立場であり、将来のF1はより軽量でシンプルなエンジンへと移行すべきだと支持している。

    決断の先送りは許されない 次世代PU議論を加速へ
    ドメニカリは、次世代パワーユニット規則について「時間は非常に速く過ぎている」と強調し、早期決断の必要性を訴えた。

    「我々はあまり時間を無駄にするわけにはいかない。時間は非常に速く過ぎているからだ。我々は追い詰められないように十分に強固である必要があり、できるだけ早く決断する必要がある」

    「もちろん、その議論はFIAとともに進めていく。しかし今年中に、次に何を目指すのかを決める必要がある」

    現在のパワーユニット規則は2021年から議論が始まり、2026年に導入されたばかりだが、すでに次のサイクルに向けた検討が求められている。

    メーカー投資を尊重しつつ 2030年前倒しも議論
    2030年から新規則を前倒し導入する案も浮上しているが、ドメニカリはまず現行メーカーの投資を尊重すべきと強調した。

    「現時点でF1に投資しているメーカーがいるという事実は驚くべきことであり、我々はそれに最大限の敬意を払う必要がある」

    「それを当然のことと考えるべきではない。そしてFIAがどのような規則が適切かを調整し、メーカーやチームに提案していく必要がある」

    現行のガバナンス規則は2030年末で期限を迎えるため、その後はFIAが新たな規則を策定することになるが、前倒しの可否は今後の協議事項となる。

    F1 エンジン ステファノ・ドメニカリ

    V8回帰の現実味 持続可能燃料が鍵に
    パドックでは、2014年以前に近い多気筒エンジンへの回帰、すなわちV8または類似フォーマットへの移行が有力視されている。

    その背景には、各メーカーや各国政府、特に欧州連合が電動化一辺倒の方針を見直しつつあることがある。また、2026年から導入された持続可能燃料の存在も、この流れを後押ししている。

    軽量化とシンプル化で“純粋なレース”へ
    ドメニカリは、将来のF1について「より軽く、よりシンプルであるべき」との見解を示し、内燃機関の比重を高める方向性を支持した。

    「将来の中心には間違いなく持続可能燃料がある。そして電動化とのバランスは変わり、より強力な内燃機関が必要になる」

    「それこそがモータースポーツだ。車両を大幅に軽量化でき、より純粋なレースが可能になる。より小さく軽いマシンで、限界まで攻めることができるようになる」

    一方で現行マシンについては、重量の増加と複雑化が課題であると指摘した。

    「レース自体は調整を加えれば素晴らしいものだ。しかしマシンは依然として非常に重い。バッテリーは設計上考慮すべき多くの要素をもたらしている」

    F1は2026年レギュレーションへの完全移行を進める一方で、その次の時代に向けた議論もすでに本格化している。今回の発言は、シリーズ全体として“次の方向性”を急ぐ必要性を強く示すものとなった。

    GrandPrix.com

  • リアム・ローソン 2026年F1は「セットアップよりエネルギー管理が重要」

    リアム・ローソン 2026年F1は「セットアップよりエネルギー管理が重要」

    レーシングブルズのリアム・ローソンは、2026年F1レギュレーション下では週末の準備において「マシンセットアップよりもエネルギー管理が重要になっている」と明かした。

    内燃機関と電動出力の比率が大きく変化した新世代パワーユニットにより、ドライバーのアプローチそのものが変わりつつある。ラップタイムの多くがエネルギーの使い方に左右される現在、従来の“限界まで攻める走り”は必ずしも最適解ではなくなっている。

    「セットアップ中心」から「エネルギー中心」への転換
    ローソンは日本GPで、現在のF1がこれまでとまったく異なる性質を持っていると説明した。

    「今のマシンはドライブの仕方がまったく違うし、各サーキットごとに適応するのも難しい」

    「以前は週末に入ると、ほとんどの時間をマシンのセットアップやバランスの最適化に費やしていた」

    「でも今は完全にエネルギー管理だ。そこにラップタイムが大きく隠れているから、どう管理して最大限引き出すかに多くの時間を使っている」

    この変化は、2026年のF1における最大のパラダイムシフトのひとつと言える。マシンの物理的なグリップや空力バランスよりも、「どこで使い、どこで回収するか」という戦略的要素が支配的になっている。

    “攻めすぎ”がタイムロスにつながる新時代
    従来のF1では、特に予選において限界まで攻めることがラップタイム向上の鍵だった。しかしローソンは、その常識が崩れていると語る。

    「オーバードライブするのはかなり簡単だと思う」

    「去年のマシンなら予選で大きく攻めて、ダウンフォースでグリップを稼ぎながら限界を突いていくのが普通だった」

    「でも今年はそれをやりすぎるとエネルギーを使いすぎてしまい、結果的にミスになる」

    実際にローソンはメルボルン予選で、攻めすぎによるミスを繰り返し、最終的に“抑えたラップ”でようやくまとめることができたと振り返っている。

    「すべてのラップで攻めすぎてミスしていた。だから少し抑えて走ることで、ようやくラップをまとめられた」

    この証言は、「速く走る=攻める」という従来の価値観が、現在のF1では必ずしも成立しないことを示している。

    リアム・ローソン ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム

    エネルギー切れがそのまま敗北に直結
    さらにローソンは、エネルギー管理のミスがレース結果に直結する点も強調する。

    「間違えると影響は大きい。エネルギーを使いすぎると非常に厳しい結果になる」

    「ドライビング中は以前よりもずっと多くのことを考えなければならない」

    エネルギーを使い切った状態ではストレートでの最高速が大きく低下し、防御もオーバーテイクも困難になる。特に接近戦では、この差がそのままポジション喪失につながる。

    結果として、ドライバーは単なる操作技術だけでなく、「ラップ全体のエネルギー配分」という戦略的思考を常に求められることになった。

    2026年のF1は、従来の“グリップと攻め”の競技から、“管理と最適化”の競技へと性質を変えつつある。ローソンの言葉は、その変化が単なる技術的アップデートではなく、ドライビング哲学そのものの転換であることを示している。

  • ヨス・フェルスタッペン シューマッハのレッドブルF1巡る“持論”を痛烈批判

    ヨス・フェルスタッペン シューマッハのレッドブルF1巡る“持論”を痛烈批判

    レッドブルF1を巡る議論が、元F1ドライバー同士の“舌戦”に発展している。チームの不振を受け、ラルフ・シューマッハがヘルムート・マルコ不在の影響を指摘したのに対し、マックス・フェルスタッペンの父ヨス・フェルスタッペンがこれを強く否定した。

    2026年の新レギュレーションとパワーユニット開発の転換期にあるレッドブルは、技術面・組織面の両面で試練に直面している。その評価を巡り、関係者の見解は大きく割れている。

    苦戦するレッドブルF1 技術と体制の両面で課題
    レッドブルにとって、2026年は大きな転換点となっている。自社パワーユニットでの本格参戦に加え、エイドリアン・ニューウェイ不在で迎える初の本格的なレギュレーション変更は、極めて難易度の高い挑戦となった。

    現時点での問題はパワーユニットではなく、むしろシャシー側にあるとされる。RB22はコーナリング性能に課題を抱え、さらに重量面でも不利な状況にあると報じられている。

    マイアミGPではアップデートパッケージの投入が予定されており、その成否が今後の開発方針だけでなく、技術責任者ピエール・ワシェの立場にも影響を与える可能性がある。

    また、開幕3戦でわずか16ポイントという結果は、チームとしても想定外の低迷と言える。こうした状況が続けば、マックス・フェルスタッペンの契約条項に関する議論が再燃する可能性も指摘されている。

    マルコ不在説を巡る対立 ヨスが強く否定
    こうした中、ラルフ・シューマッハはレッドブルの苦戦の要因として、ヘルムート・マルコのような“精神的支柱”の不在を挙げた。困難な局面でチームをまとめるカリスマ的存在の欠如が影響しているという見方だ。

    しかし、この指摘に対してヨス・フェルスタッペンは真っ向から反論した。

    「ラルフ・シューマッハはあまりにも多くの馬鹿げたことを言っている」

    この発言は自身のSNSを通じて発信されたものであり、レッドブル内部の問題を“人物不在”に帰結させる見方を明確に否定した形となる。

    問われるのは構造か人か
    今回の対立は、レッドブルの不振を「組織構造の問題」と見るか、「象徴的リーダーの不在」と見るかという根本的な視点の違いを浮き彫りにしている。

    現実として、2026年のレッドブルはシャシー性能、開発の方向性、そして結果としてのポイント不足といった複数の課題を抱えている。単一の要因で説明できる状況ではなく、技術・体制の両面での再構築が求められている段階にある。

    今後、マイアミでのアップデートがどのような効果を示すかによって、この議論の方向性も大きく変わる可能性がある。チームの競争力回復が最優先であることは、両者の見解に関わらず明らかだ。

  • アストンマーティンF1親会社 商標訴訟で敗訴 ウイングロゴは独占できず

    アストンマーティンF1親会社 商標訴訟で敗訴 ウイングロゴは独占できず

    アストンマーティンF1チームの親会社であるアストンマーティン・ラゴンダは、中国の自動車大手ジーリー(浙江吉利控股集団)との商標紛争を巡り、ロンドン高等法院に控訴した。

    この訴訟は2022年に始まり、ジーリーが英国で出願した“ウイング形状ロゴ”に対し、アストンマーティン側が異議を申し立てたことが発端となっている。しかし2026年3月、英知的財産当局はアストンマーティンの主張を退け、同社に対して2,200ポンドの費用負担を命じていた。

    争点は“ウイングロゴ”の類似性
    今回の争点は、ジーリーが出願したロゴがアストンマーティンの象徴である“ウイングバッジ”の権利を侵害するかどうかにあった。

    アストンマーティン側は、自社の商標が持つ識別力とブランド価値を根拠に「混同の可能性」や「ブランド価値の毀損」を主張したが、審理では自動車業界において“翼モチーフ”が広く使われている点が重視された。

    実際、審決ではベントレーやミニなど複数ブランドが同様のウイングロゴを採用していることが指摘され、市場全体として「ウイングデザインは一般的」と判断されている

    高価格帯でも“混同なし”と判断
    さらに重要なのは、対象商品が自動車という高額商品である点だ。

    判決では、消費者は購入時に「高い注意力」を払うと認定されており、ロゴの違い(中央の文字や図柄の差異)は十分に認識されるとされた。その結果、たとえ商品が同一カテゴリーであっても「直接的・間接的な混同は生じない」と結論付けられている

    また、アストンマーティンのブランド自体は強い識別力と評判を持つと認められたものの、その中核は「ASTON MARTIN」という文字要素にあるとされ、翼形状単体の保護範囲は限定的と判断された。

    訴訟の帰結と控訴の意味
    最終的に審決は、商標法第5条(混同)および第5条3項(評判利用)いずれの主張も退け、ジーリー側の商標登録を認める判断となった。

    これによりアストンマーティンは敗訴し、費用負担も命じられたが、英国法の手続きに基づき控訴が可能であり、今回その権利を行使した形となる。

    同社はコメントを控えつつも、「ブランドと知的財産の保護は最優先事項であり、適切な措置を取り続ける」との声明を出している。

    F1チームへの影響は限定的だがブランド戦略の象徴的争い
    今回の訴訟は直接的にF1の競技活動へ影響するものではないが、ブランド価値を巡る戦いとしては重要な意味を持つ。

    特に2026年以降、電動化や新興メーカーの参入が進む中で、ロゴやブランドアイデンティティの差別化はこれまで以上に重要になっている。そうした状況において、“ウイングロゴは独占できない”という今回の判断は、自動車業界全体にとっても示唆的な結論と言える。

  • ミハエル・シューマッハの行為は故意 トッドが明かす2006年F1モナコGP予選

    ミハエル・シューマッハの行為は故意 トッドが明かす2006年F1モナコGP予選

    2006年F1を象徴する論争のひとつだったモナコGP予選での一件について、当時フェラーリを率いていたジャン・トッドが、ミハエル・シューマッハの行為は「故意だった」と認めた。

    長年にわたって議論の対象となってきたラ・ラスカスでのストップが、当事者に最も近い立場にいた人物の言葉によって、あらためて注目を集めている。

    この発言が持つ重みは大きい。なぜなら、あの一件は単なる予選妨害疑惑ではなく、フェルナンド・アロンソとミハエル・シューマッハが激しくタイトルを争った2006年シーズンの空気そのものを映し出す出来事だったからだ。

    若きアロンソが絶対王者の時代を揺さぶり、フェラーリとシューマッハが限界の中で応戦していた構図が、トッドの証言によって改めて浮かび上がった。

    トッドが明かしたモナコGP予選の真相
    ジャン・トッドは「ハイ・パフォーマンス・ポッドキャスト」で、2006年モナコGP予選でのシューマッハの行為について言及した。

    トッドは、シューマッハについて「素晴らしい人間だった」としながらも、感情を制御できなくなったときに大きな代償を払ったと説明。その例として、フェルナンド・アロンソとの争いの中で「モンテカルロでわざと止まった」件を挙げた。

    当時、シューマッハは予選終盤にラ・ラスカスでマシンを止め、アロンソの最後のアタックに影響を与えたとして審議対象となった。結果として、シューマッハはグリッド最後尾降格のペナルティを受け、ポールポジションを失った。決勝ではアロンソが優勝し、タイトル争いの流れにも影響を与える場面となった。

    “2度だけ知っている”と語ったシューマッハの逸脱
    トッドはさらに、シューマッハがルールの境界を越えた例は多くなかったとしつつも、少なくとも自身が知る限りでは2度あったと明かした。

    そのうえで、「彼は不正のやり方がうまくなかった」と振り返り、「もっと簡単に何度もできたはずだが、やろうとすると失敗していた」と語った。トッドのこの証言は、シューマッハが常習的にそうした行為をしていたというより、極限状態の中で自らを見失った局面があったことを示す内容となっている。

    モナコでの一件は、まさにその象徴として語られた形だ。

    ミハエル・シューマッハ F1 モナコグランプリ

    アロンソが壊した王朝と2006年の緊張感
    2005年にフェルナンド・アロンソがタイトルを獲得したことで、ミハエル・シューマッハとフェラーリが2000年から2004年まで築いてきた支配体制は崩れた。さらに2006年は、その対立がより直接的で、より感情を帯びたタイトル争いへと発展したシーズンだった。

    記事では、すでに2005年のイモラや鈴鹿130Rでの攻防が両者の関係を際立たせていたと振り返っている。そして2006年には、ついに王座をめぐる本格的なライバル関係となり、その過程でモナコの騒動が生まれた。

    結果的に、その年のタイトル争いは終盤まで続いたが、日本GPでのフェラーリのエンジントラブルが決定打となり、アロンソが再び王者となった。トッドも、モナコの件をタイトル争いの重要な分岐点のひとつとして位置づけている。

    20年後になお残るふたりの因縁
    フェルナンド・アロンソは、ミハエル・シューマッハについて「とても冷静で、いつも相手を威圧しようとしていた」と最近語っている。記事は、そうした印象も含めて、両者の関係が単なる世代交代ではなく、心理戦と技術戦、そしてタイトルを懸けた真っ向勝負だったことを伝えている。

    アロンソはその後も長くF1でキャリアを続けてきたが、シューマッハとの対決は今なお特別な意味を持つ出来事として語られている。今回のトッドの告白は、2006年の激闘が単なる名勝負ではなく、時に規則の境界線すら揺るがすほど熾烈な戦いだったことを、あらためて示すものとなった。

    Source: MARCA

  • F2とF3出身者はなぜF1で通用するのか 若手が即戦力になる理由

    F2とF3出身者はなぜF1で通用するのか 若手が即戦力になる理由

    FIAの下位カテゴリーであるF2とF3が、単なる登竜門ではなく、F1で通用するための実戦的な準備の場として機能していることが、近年あらためて注目されている。

    インディカーからF2に転向したコルトン・ハータの挑戦も、スーパーライセンスポイントの問題だけではなく、F1に必要な環境へ適応する意味合いを持つ動きとして位置づけられる。

    実際、2025年にF2からF1へ昇格したルーキーたちは高い適応力を示した。キミ・アントネッリ、オリー・ベアマン、アイザック・ハジャー、ガブリエル・ボルトレトらの好走は、F2とF3がドライバーに対して、単に速さを競わせるだけでなく、F1に必要な操作、判断、対応力を段階的に身につけさせる場になっていることを裏付けている。

    F2とF3はF1のシステムに慣れるための土台
    F2のテクニカルディレクターを務めるピエール=アラン・ミショは、F2とF3の役割について、F1に上がる前の段階で必要な道具を与えることにあると説明した。

    「我々にとって重要なのは、彼らをしっかり準備させ、フィーダーシリーズの段階でシステムやあらゆるものに慣れるためのツールを与えることだ」とミショはRACERに語った。

    「だからこそ、F3やF2でもバーチャル・セーフティカーを使用するすべてのマーシャリングシステムを導入している。昨年末まではDRSも使っていて、そうしたシステムに慣れるようにしていた」

    「つまり、F1で経験することを学べるようにするため、舞台裏では多くのことが行われている」

    F3ではすでにソフト、ミディアム、ハードという異なるタイヤコンパウンドが用意されている一方で、1大会で使うのは1種類のみとなる。これに対してF2では週末を通じて2種類のコンパウンドが用意され、フィーチャーレースではピットストップを行ってタイヤを交換しなければならない。

    「F3ではすでに異なるコンパウンドがある。我々にはソフト、ミディアム、ハードがあるが、週末ごとに使うのは1種類だけだ。そしてF2では週末の間に2種類のコンパウンドを使い、フィーチャーレースではコンパウンドを変えるためにピットストップを行わなければならない」

    「だから彼らは、すべてを管理しなければならないし、あらゆる変化やクルマに備わる機能に素早く適応しなければならない」

    「それは彼らにとって段階的に良い学習曲線になる。そしてF1に到達する頃には、かなり良い準備が整っている。昨年そこに進んだルーキーたちがどういうパフォーマンスを見せたかを見ると、我々としても彼らがそこで戦っているのを見て非常に満足している」

    公平なワンメイクを成り立たせるための細かな配慮
    フィーダーシリーズの役割は、ドライバーを育てるだけではない。同時に、できる限り平等な条件のもとで才能を示せる舞台を提供することにもある。ただし、全員にまったく同じマシンを与えるだけでは、身長や体格の差がそのまま不利として現れてしまう。

    その例のひとつとして挙げられるのが、F3でタイトル争いに挑むウーゴ・ウゴチュクだ。若いアメリカ人ドライバーであるウゴチュクについては、昨季にマシンから塗装を落とした時期と成績向上が重なったことで、体格面の不利が話題になった。ただ、状況はそれほど単純ではない。実際にウゴチュクは、今季はフル塗装のカンポス車でメルボルンを制し、シーズン序盤のランキング首位にも立っている。

    こうした背景もあり、F2とF3では、さまざまな体格のドライバーができる限り快適な着座姿勢を得られるよう、FIAと連携しながらコクピット設計が進められている。

    「これは、あらゆるドライバーをクルマに適合させるために何が必要かを定義するべく、FIAと緊密に進めてきた作業だ」とミショは説明する。

    「FIAは“3種類のマネキン”と呼ぶものを定義した。1.55メートルから1.95メートルまでの3サイズのマネキンを我々に示し、それをもとにクルマの設計を始めた」

    「それに沿って作業し、異なるペダル位置や異なるシートシェルフを用いることで、どのドライバーでもきちんと収まり、期待どおりのパフォーマンスを発揮できるコクピットを実現するようにしている」

    40センチもの身長差に対応するのは簡単ではなかったが、細部に至るまで調整が加えられてきたという。エンジン始動やブレーキバランス変更に必要なスイッチ類、さらにはステアリングホイールの扱いやすさに至るまで、標準部品でありながら幅広い体格に対応する工夫が施されている。

    「これはかなり大きな挑戦だった。想像できるように、2人のドライバーの間に40センチの差があるというのは非常に大きい。それでも我々はそれを実現し、多くの作業を重ねてきた」

    「さらに、クルマの中のあらゆるコンポーネントの位置、たとえば始動やブレーキバランス変更のためのスイッチ、そしてステアリングホイールについても、ドライバーが道具の扱いに苦労しすぎないようにしている。ステアリングホイールは全員共通の標準品だから、それにすべてのドライバーを合わせなければならない」

    「小さな手の者にも、大きな手の者にも対応しなければならない。結局のところ、手が小さすぎてステアリングホイールを握れないようでは困る。まだ若く成長途中のドライバーもいるから、最初にクルマへ座った時点では大人の手の大きさに達していないこともある」

    そのため2年前には、より小さなハンドル形状も導入された。手の大きいドライバーはテープで太くして対応できるようにし、小さな手のドライバーでも無理なく扱えることを優先したという。

    「だからこそ、2年前にいくつか変更を行い、より小さなハンドルを用意した。そうすることで誰でも扱えるようにし、手が大きいドライバーはテープを巻いて太くして自分の手に合わせることができる。そうやって、誰もが満足してクルマに座れるようにしたいんだ」

    F1 フォーミュラ2/フォーミュラ3

    男女差を含む体格差にもほぼ対応
    ミショによれば、フィーダーシリーズは身長だけでなく、男女による体格差も含めて、着座姿勢やコクピット設定に対応できるよう取り組んでいる。そのうえで、特別な変更なしで対応できる割合は99.5%に達するという。

    これは、ドライバーがマシンに合わせるのではなく、可能な限りマシン側がドライバーに合わせることで、純粋な才能がより表れやすい環境を目指していることを意味する。ワンメイクの公平性を保ちながら、個々のフィジカル差を極力パフォーマンス差へ直結させないという考え方だ。

    F3からF2への移行を容易にした共通コクピット
    近年は、F3王者が翌年にF2へ上がり、そのままルーキーイヤーでタイトルを獲得する流れも目立っている。これまでのF2王者9人のうち5人が、前年にF3を制したルーキーだった。こうした流れは、両シリーズが移行しやすい設計を整える前から見られていたものだ。

    そして現在では、その流れをさらに後押しするため、F3とF2のコクピット内寸が共通化されている。

    「この2年間で我々が行った良いことのひとつは、F3とF2のコクピットを同じにしたことだ」とミショは語る。

    「モノコックそのものは、エンジンや燃料タンクなどの関係で外側は異なる。だから外殻には違いがあるが、ドライバーが乗る内側、つまりコクピット部分は2台でまったく同じだ」

    「だからF3でシーズンを終えたドライバーは、自分のシートやペダル、ステアリングホイールの寸法をそのままF2チームへ持ち込み、すぐに作業を始められる。シートを作り直す必要もない」

    「もちろん成長して体格が変われば別だが、そうでなければすぐに移行できるし、これはとても良いことだ。この冬、初めてF2チームでそれを実際にやってみたが、彼らはとても満足していたし、メカニックたちも非常に喜んでいた」

    ハータにとっては険しい挑戦 だが後続には希望もある
    F2がF1での成功に直結する有力な準備の場になっているのだとすれば、F3もまた、将来のF2王者を育てる舞台として同じ役割を果たしていることになる。そう考えると、インディカーからF2へ飛び込んだコルトン・ハータに待ち受ける課題の大きさは明らかだ。

    一方で、それは若い世代にとって希望でもある。ウーゴ・ウゴチュクのようなドライバーにとって、F3とF2は単に速さを示す場所ではなく、F1に必要な技術、適応力、レース運営への理解を積み上げるための現実的なステップとして機能している。

    近年のF1ルーキーたちの適応ぶりは、その仕組みが確かに成果を生み始めていることを示している。F2とF3は、もはや下位カテゴリーというだけではない。F1で戦うための“準備された環境”として、その価値を強めている。

  • アストンマーティンF1 AMR26“Bスペック”開発遅延 イギリスGP投入見送りか

    アストンマーティンF1 AMR26“Bスペック”開発遅延 イギリスGP投入見送りか

    アストンマーティンとホンダが開発を進める2026年型マシン「AMR26」の改良版、いわゆる“Bスペック”の投入計画に遅れが生じている可能性が浮上した。当初はチームの本拠地シルバーストンで開催されるイギリスGPでの投入が見込まれていたが、現実的には後ろ倒しとなる見方が強まっている。

    開幕から苦戦が続くなかで、チームの巻き返しを担うはずだったアップデート計画にもズレが生じている形だ。単なるスケジュール変更にとどまらず、開発全体が想定通り進んでいない可能性を示唆している。

    Bスペック投入はスパへ後ろ倒しの見通し
    スカイスポーツF1のデビッド・クロフトは、チームが準備を進めている“AMR26 B”について、投入時期の変更に言及した。

    「私はシルバーストンでAMR26 Bが投入されると言っていたが、おそらくスパになるだろう」

    当初の計画から約2週間の遅れとなる可能性があり、開発の進行が予定通りではない実態が浮かび上がる。

    「これは長期的なプロジェクトであり、見落とされていた問題を修正する必要がある。プロジェクト全体で少し油断があったと思う」

    クロフトはそう述べ、問題が一時的なものではなく、構造的な課題に起因している可能性を示した。

    遅延の背景にあるPUと車体の統合問題
    開発の遅れの背景には、パワーユニットとシャシーの統合に関する深刻な課題があるとみられる。

    現状のAMR26は振動問題を抱えており、パワーユニットの特性に車体側が十分に対応できていない。さらに重量過多や中高速コーナーでのパフォーマンス不足も重なり、単純なアップデートでは解決が難しい状態にある。

    こうした複合的な問題が、Bスペックの開発進行そのものにも影響を与えていると考えられる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    ブランドルが示す“遅れの深刻さ”
    この状況について、元F1ドライバーでスカイスポーツF1のマーティン・ブランドルも厳しい見方を示している。

    「それは本当に痛々しい。まるで傷口に塩を塗るようなものだ」

    「ホンダに適切な人材を配置し、正しい方向性を与える必要がある。状況は2027年まで改善しないだろう」

    「もちろん、ある程度の改善はあるだろう。しかし時には1周あたり3〜4秒遅れている。つまり、トップとはまったく別のカテゴリーにいるということだ」

    ブランドルの指摘は、単なるパフォーマンス不足にとどまらず、開発全体の遅れが長期化する可能性を示唆している。

    Bスペック投入でも即時解決は困難か
    仮に“Bスペック”が投入されたとしても、問題が即座に解決する保証はない。

    クロフトは、パワーユニット自体の完成度にも時間が必要であると指摘している。

    「このパワーユニットは多くの作業と調整が必要であり、おそらくクリスマス休暇後に改良されて戻ってくるだろう」

    さらに、現実的な戦力評価として次のように語る。

    「ポイントを獲得できるか? 現時点では難しい。他に12台がリタイアしない限りは無理だろう」

    開発の遅延、構造的な技術課題、そして戦力不足。これらが重なる現状において、アストンマーティンの2026年シーズンは依然として厳しい戦いが続く見通しだ。

  • セバスチャン・ベッテル F1昇格の裏側 スピード「トストに暴言で即交代」

    セバスチャン・ベッテル F1昇格の裏側 スピード「トストに暴言で即交代」

    2007年F1シーズン、セバスチャン・ベッテルがトロロッソでデビューを果たした背景には、当時のレギュラードライバーだったスコット・スピードの行動が大きく影響していたことが明らかになった。

    スピード本人が振り返った証言により、レッドブル育成ドライバーとしてキャリアを歩んでいたベッテルの昇格は、単なる実力評価だけでなく、チーム内での人間関係や振る舞いも大きく関係していた実態が浮かび上がっている。

    ベッテル昇格の裏で起きていた出来事
    2007年、ベッテルはBMWザウバーから代役出場したアメリカGPで8位入賞を果たし、F1初ポイントを獲得した。その後、約2か月後のハンガリーGPでトロロッソから正式に参戦することになる。

    そのシートを失ったのがスコット・スピードだった。スピードはポッドキャスト出演の中で、自身のキャリアを振り返りながら当時の状況を明かしている。

    「いろいろ違うやり方ができたと思う。コミュニケーション能力がなかったし、ちゃんとした教育も受けていなかった。この世界がどういうものか全く理解していなかった」

    「ドライバーとして自分にどんな影響力があるのかも分かっていなかった。ただマシンに乗って速く走るだけだと思っていた。でも、なぜ速いのかも分かっていなかった」

    決定打となったトストとの衝突
    転機となったのは、ニュルブルクリンクで開催された2007年ヨーロッパGP後だった。豪雨により多くのマシンが1コーナーでコースアウトする混乱のレースとなり、スピードもその一人だった。

    レース後、トロロッソのチーム代表フランツ・トストとのやり取りが決定的な亀裂を生む。

    「エンジニアと話していたらトストが来て、1コーナーで何が起きたのかと聞いてきた」

    「正直、何を言っているのかと思った。あそこでは8台くらいがコースアウトしていたし、ハミルトンやバトンも同じだった。だから『みんなと同じだ。アクアプレーニングだ』と答えた」

    「すると彼は『全員じゃない。バカだけだ』と言った」

    「だから僕は『ふざけるな』と言ってその場を去った。そして次のレースでは、セバスチャン・ベッテルが僕のマシンに乗っていた」

    「傲慢だった」スピードの自己分析
    スピードは当時の自分を厳しく振り返り、トップカテゴリーで成功するために必要な要素を理解していなかったと認めている。

    「ただの傲慢な若者だった。チーム代表にあんなことを言っても問題ないと思っていた。でも実際は違った」

    「そのレベルで成功するために何が必要か、僕は理解していなかっただけだ」

    ベッテルのキャリアはこの交代劇をきっかけに大きく動き出し、その後の成功へとつながっていく。一方でスピードにとっては、F1でのチャンスを失う決定的な出来事となった。

  • F1タイヤテストで再燃 ニュルブルクリンク復帰をドライバーが要望

    F1タイヤテストで再燃 ニュルブルクリンク復帰をドライバーが要望

    ドイツのニュルブルクリンクで実施されているピレリのタイヤテストを背景に、現役F1ドライバーが同サーキットのカレンダー復帰を望む声を上げた。

    ジョージ・ラッセルとオスカー・ピアストリは2027年タイヤ開発プログラムの一環として走行に参加し、限られた走行機会の中でもコースの魅力と歴史的価値を改めて強調した。

    限られたテスト機会とドライバーの本音
    現在のF1ではテスト機会が厳しく制限されており、今回の走行もタイヤ開発のみに限定されている。

    「F1は走行機会が少ないから難しいが、それがルールだ」とラッセルは語った。

    「本当はスタート練習をたくさんやりたいが、それも許されていない」

    ピアストリも制約を認めつつ、その価値を強調した。

    「レースウイークや実戦とは全く同じではないが、それでも何もないよりはいい」

    ニュルブルクリンクの魅力と“ドイツ不在”
    両ドライバーはテストの本来目的を超え、ニュルブルクリンクそのものへの評価にも言及した。

    「今朝の走行は本当に楽しかった。このコースが大好きだ。ノルドシュライフェも数周走ったが、本当に気に入っている。伝統的でオールドスクールなサーキットだ」とラッセルは語る。

    「いまF1はドイツでレースをしていないが、いつかここでまた開催できたらいい。メルセデスにとってもカレンダー復帰は良いことだと思う」

    ピアストリも同様に、このコースの特性を高く評価した。

    「素晴らしいサーキットだ。最後にレースしたのは2019年だが、バンプや独特の縁石があって非常に特徴的だ」

    「ミスの許容範囲がほとんどなく、グラベルや芝生がすぐそこにある。いくつかのセクションは非常に難しく、現代のF1マシンではコースがかなりコンパクトに感じる」

    タイヤ F1 ニュルブルクリンク

    F1復帰への現実的な距離感
    ニュルブルクリンク復帰についてピアストリは慎重ながらも前向きな姿勢を示した。

    「もちろんだ。個人的に一番好きなコースではないが、とても興味深くユニークだ」

    「高低差も大きく、この場所の歴史も重要だ。レーサーはこういうオールドスクールなサーキットを好む」

    「縁石やランオフエリアも含めて、うまく走れたときの満足感は大きい。復帰すれば良いが、どうなるかは分からない」

    現在のF1カレンダーにドイツGPは存在せず、復帰には政治的・商業的なハードルも多い。ただし、現役ドライバーのこうした発言は、伝統サーキット再評価の流れを示す一端とも言えそうだ。

  • フェルナンド・アロンソ F1中断期間にニューウェイ設計のヴァルキリーをテスト

    フェルナンド・アロンソ F1中断期間にニューウェイ設計のヴァルキリーをテスト

    フェルナンド・アロンソが、アストンマーティンのヴァルキリーLMをポール・リカールでテストした。アストンマーティンは走行の様子を公式SNSに投稿しており、2026年F1シーズンの中断期間中に行われた注目の走行となった。

    このテストが関心を集めるのは、ヴァルキリーがエイドリアン・ニューウェイの手によって設計されたマシンだからだ。

    アストンマーティンは現在、F1と世界耐久選手権の両面で存在感を強めており、アロンソ自身にとっても耐久レースとの深い結びつきをあらためて想起させる機会となった。

    ポール・リカールでヴァルキリーLMをドライブ
    フェルナンド・アロンソは水曜日、ポール・リカールでアストンマーティン・ヴァルキリーLMのステアリングを握った。

    このマシンは、世界耐久選手権と北米のIMSAシリーズで競技に使用されている車両の「トラック重視の進化版」であり、「究極の仕様」と位置づけられている。

    アストンマーティンは、アロンソの走行映像を公式SNSに投稿した。


    F1中断期間に広がる他カテゴリー参戦
    2026年F1シーズンは、4月のバーレーンGPとサウジアラビアGPの中止を受けて、5週間の中断期間に入っている。

    この空白期間を活用し、複数のドライバーが他カテゴリーのモータースポーツに参加している。

    アロンソのチームメイトであるランス・ストロールは、先週末にGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ開幕戦へ出場した。

    一方で、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、来月のニュルブルクリンク24時間レース初参戦を前に、今週末に予選レースへ参加する予定となっている。

    ニューウェイ設計のヴァルキリーと現在のアストンマーティン
    ヴァルキリーは、アストンマーティンがレッドブルと提携していた10年前に、F1史上最も成功したデザイナーとされるエイドリアン・ニューウェイが設計したマシンだ。

    その後、アストンマーティンはカナダ人実業家ローレンス・ストロールによるブランド取得を経て、既存のフォース・インディア/レーシングポイントのチームを改称する形で、2021年からF1へ正式参戦した。

    さらにアストンマーティンは、2024年にレッドブルを離れたニューウェイの加入も実現させている。

    また、アストンマーティンは昨年からヴァルキリーで世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦している。

    アロンソにとっても特別な1台
    市販仕様のヴァルキリーは、アロンソの個人所有車コレクションにも含まれていることが知られており、44歳のアロンソは2024年にその車両を受け取っている。

    今回の走行後、アロンソは自身の公式アカウントに「アストンマーティン UNLEASHED のトラック体験。素晴らしい一日だったし、プロトタイプ時代を再び感じられてうれしかった。信じられないような体験だったし、サウンドも素晴らしかった」と投稿した。

    アロンソは、世界耐久選手権のハイライトであるル・マン24時間レースを、2018年と2019年にトヨタから参戦して2度制している。

    2026年の新しい世界耐久選手権シーズンは、今週末のイモラ6時間レースで開幕する。

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム