タグ: F1

  • FIAがF1モナコGP速度違反騒動を説明「原因はピット入口のライン取り」

    FIAがF1モナコGP速度違反騒動を説明「原因はピット入口のライン取り」

    2026年F1モナコGPでは、複数のドライバーがピットレーン速度違反によるペナルティを科される異例の展開となった。

    ルイス・ハミルトン、オスカー・ピアストリ、ジョージ・ラッセル、フランコ・コラピント、ピエール・ガスリーらが処分を受けたが、その多くは制限速度をわずか0.1km/h超過しただけだった。

    レース後には計測システムの不具合を疑う声も上がったが、FIAは独自調査の結果、「計測機器やタイミングシステムに異常は確認されなかった」と結論付けた。では、なぜこれほど多くのドライバーが同じ違反を犯したのだろうか。

    FIAが指摘したのはピット入口のライン取り
    FIAによると、問題はドライバーたちがピットレーンへ進入する際のライン取りにあった。

    モナコのピット入口には軽い屈曲があり、ドライバーは右側をまっすぐ通過するような形で進入できる。このラインを使うことで実際の走行距離をわずかに短縮できるが、その結果として計測上の平均速度が高く算出される可能性があるという。

    FIAの広報担当者は、計測はマシンの最初のタイヤがファストレーンへ入った瞬間から開始されると説明した。

    ピット入口をショートカットするようなラインを取った場合、左フロントタイヤが早い段階で計測エリアへ入ることになる。その結果、電子ループと公式トランスポンダーを用いて算出される平均速度がわずかに上昇し、違反判定につながったと考えられている。

    実際、今回の違反はいずれも極めて小さな数値であり、ピアストリ、ラッセル、コラピント、ガスリーは0.1km/h超過、その他のケースでも1km/h未満に収まっていた。

    ハミルトンもFIAの説明に同意
    5秒加算ペナルティを受けながらも2位でフィニッシュしたルイス・ハミルトンも、この見解に理解を示した。

    「僕はスピード違反なんてしていなかった」

    「モナコのピットレーンは何年も走ってきた。ボタンを押し忘れたわけでもないし、ピットリミッターはすぐに作動していた」

    「問題はライン取りだと思う。みんな何年も同じラインで入ってきた。白線を少しカットして進入するラインだ」

    「速度違反だと聞いて本当に驚いた。実際には制限速度を超えていなかったからね」

    「距離の計測方法に関係していると思うし、これは見直す必要がある。今日は多くのドライバーが同じ状況になったが、実際にはスピード違反ではなかったと思う」

    ハミルトンはそう語り、計測方式そのものに改善の余地があるとの考えを示した。

    モナコGP

    レース前にはFIAが警告していた
    興味深いのは、FIAがこの問題をレース前から認識していたことだ。

    レースコントロールは各チームに対し、ピット入口の計測距離や速度判定に関する注意喚起を実施。より大回りのラインを取るようドライバーへ伝えることを推奨していたという。

    それでも複数のドライバーが同じ違反を犯したことで、モナコ特有のレイアウトが改めて注目されることになった。

    なお、ペナルティを受けたドライバーの大半がメルセデス製パワーユニットを搭載していたが、FIAはこれについてパワーユニットやピットリミッターの設定とは無関係だと説明している。

    マクラーレンも同じ見解 アルピーヌは再審査請求
    マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラも、オスカー・ピアストリのケースは入口でのライン取りが原因との見方を示した。

    「現時点では、ピット入口をショートカットしすぎたことが原因ではないかと考えている」

    「そのためオスカーには同じことを避けるよう指示した」

    「以前からショートカットしすぎるとスピードリミッター作動中でも超過として計測される可能性があることは分かっていた。ただ、現段階ではそれ以上のことは分かっていない」

    一方、表彰台を失ったピエール・ガスリーは強い不満を示しており、アルピーヌはFIAに対して再審査請求(ライト・オブ・レビュー)を提出した。

    モナコGP後に大きな議論となった今回の速度違反騒動は、単なるドライバーのミスではなく、モナコ特有のピット入口形状と計測方法が生み出したグレーゾーンだった可能性が高そうだ。

    【関連】
    ・FIAはセルジオ・ペレスの警告を無視 F1モナコGP終盤の路面崩壊で物議

  • メルセデスF1 アントネッリ躍進で再燃するフェルスタッペン獲得説

    メルセデスF1 アントネッリ躍進で再燃するフェルスタッペン獲得説

    ジョージ・ラッセルがアンドレア・キミ・アントネッリに苦戦する状況が続くなか、メルセデスF1の将来を巡る憶測が再び強まっている。

    アントネッリはモナコGP予選でポールポジションを獲得し、ランキング首位として存在感をさらに高めた。一方でラッセルはマシン適応に苦しんでおり、その構図がマックス・フェルスタッペンのメルセデス移籍説を再燃させる要因になっている。

    ラッセルが認めた苦戦
    モナコGP予選で6番手に終わったラッセルは、2026年型メルセデスとの相性に課題を抱えていることを認めた。

    「今のところ、僕のドライビングスタイルの何かがこのマシンとうまく噛み合っていない」

    「僕たちには明らかにドライビングスタイルの違いがある。それは去年からあったものだ。昨年は僕に有利に働いたけれど、今年は明らかに彼に完璧に合っている」

    アントネッリは開幕から安定した速さを発揮し、タイトル争いをリードする存在となっている。

    ヴォルフはラッセルを擁護
    こうした状況を受けても、メルセデスF1代表のトト・ヴォルフはラッセルへの信頼を強調した。

    ヴォルフは予選後、ラッセルの不振はチーム側のセットアップミスも影響していたと説明した。

    「ジョージには実力がある」

    「これ以上のチームメイトは想像できない。シーズンを通じて必ず立て直してくるだろう」

    また、アントネッリがランキング首位に立っているからといってチームの方針が変わることはないと強調した。

    「彼には失うものがあまりない」

    「自分が選手権をリードする立場になるとは思っていなかったはずだ。自分の感覚を信じて、自然体で走れている」

    さらにヴォルフは、モナコのような特殊な市街地コースではラッセルが十分な自信を得られなかったとも分析している。

    再び浮上するフェルスタッペン獲得説
    こうした状況のなかで再び注目されているのがフェルスタッペンの去就だ。

    フェルスタッペン陣営との関係が深いことで知られるオランダ紙『De Telegraaf』のエリック・ファン・ハーレンは、ヴォルフが依然としてフェルスタッペンに強い関心を抱いていると指摘した。

    同紙は、ラッセルの契約には成績に関する条項が含まれている可能性があり、メルセデスが今後も両ドライバーのパフォーマンス差を注視すると報じている。

    現時点でメルセデスはアントネッリとラッセルのラインアップを支持しているが、シーズン後半に向けてドライバー市場の注目ポイントのひとつとなりそうだ。

    フェルスタッペンもアントネッリを高評価
    その一方で、フェルスタッペン自身はアントネッリの才能を高く評価している。

    将来のワールドチャンピオン候補かと問われると、フェルスタッペンは即座に肯定した。

    「もちろんだ」

    「下位カテゴリーから上がってきたドライバーの中には特別なものを持っている選手がいる。そしてカテゴリーが変わってもすぐに速さを見せる」

    「キミはまさにそういうタイプだったと思う」

    さらに2026年の活躍についても次のように語った。

    「今年は、勝てるパッケージを手にしたときに結果を出せるドライバーだということを証明している」

    「それを見るのは素晴らしいことだし、それこそ彼がやるべきことなんだ」

  • 元F1ドライバーのロバート・ドーンボス襲撃事件 実行犯に実刑判決

    元F1ドライバーのロバート・ドーンボス襲撃事件 実行犯に実刑判決

    元F1ドライバーのロバート・ドーンボスが被害に遭った強盗事件で、オランダの裁判所は実行犯の一人に対して実刑判決を言い渡した。

    ドーンボスは2023年3月、オランダ・アムステルダムの自宅前で待ち伏せされ、棍棒のようなもので襲撃されたうえで、ロレックスの腕時計と携帯電話を奪われていた。

    控訴審で懲役12か月の判決
    オランダ紙『Algemeen Dagblad』によると、控訴審を担当した裁判所は、事件に関与した23歳のアムステルダム在住の男に対し、懲役12か月の判決を下した。このうち3か月は執行猶予付きとなっている。

    裁判所は判決文の中で犯行の悪質性を強く指摘した。

    「この突然の暴力的な強盗は、被害者にとって極めて恐ろしい出来事だったに違いない」

    「被害者は自宅で待ち伏せされ、容疑者と共犯者によって襲撃された。本来なら安全を感じることができる場所だっただけに、なおさらである」

    「裁判所はこうした一連の行為について、被告人に重い責任があると判断する」

    F1参戦経験を持つドーンボス
    ドーンボスは2005年から2006年にかけてF1に参戦し、ミナルディとレッドブル・レーシングで計11戦に出走した経験を持つ。

    F1引退後はテレビ解説者やコメンテーターとして活動しており、現在はオランダの放送局Ziggo SportでF1中継を担当している。

    モナコGP現地取材中に事件報道
    今回の判決が伝えられた時点で、ドーンボスはモナコGPの現地取材を行っていた。

    週末の放送では決勝レースの展望についても語っており、予選結果を前に「フェラーリの1-2になると思う」と予想していた。

    今回の判決により、3年前に発生した暴力強盗事件は法的な区切りを迎えることになった。一方で、自宅前で発生した著名人を狙った凶悪犯罪として、オランダ国内でも大きな注目を集めた事件として記憶されている。

  • F1エキシビションがアジア初上陸 シンガポールで7月開幕

    F1エキシビションがアジア初上陸 シンガポールで7月開幕

    F1の公式体験型展示イベント「Formula 1 Exhibition」が、7月23日からシンガポールのガーデンズ・バイ・ザ・ベイで開催される。アジアでの開催は今回が初めてとなる。

    これまでマドリード、ロンドン、メルボルン、ブエノスアイレスなど世界各地を巡回し、累計130万人以上を動員してきた人気イベントで、シンガポールは世界で11番目の開催都市となる。

    アジア初開催の舞台はシンガポール
    Formula 1 Exhibitionは、F1の過去、現在、未来をテーマにした没入型展示イベントだ。独自のストーリーテリングや最先端のデザイン、インタラクティブ技術を活用し、F1世界選手権の76年にわたる歴史を体験できる。

    会場となるガーデンズ・バイ・ザ・ベイは、シンガポールを代表する観光名所のひとつ。サテイ・バイ・ザ・ベイに隣接し、MRT駅からも徒歩圏内に位置する。

    F1初のナイトレース開催地として知られるシンガポールは、スポーツ、文化、テクノロジーが融合する国際都市として高い評価を受けており、アジア初開催の舞台として選ばれた。

    F1の歴史と技術を体験
    来場者は「Once Upon A Time In Formula 1」でF1史を彩った象徴的な瞬間を振り返り、「Revolution By Design」ではF1の未来を支える最先端技術に触れることができる。

    また、「Design Lab」ではエンジニアリングや技術革新の舞台裏を紹介。「Drivers and Duels」では伝説的なライバル関係や歴代チャンピオンたちに焦点を当てる。

    展示の目玉のひとつとなる「Survival」では、2020年F1バーレーンGPでロマン・グロージャンが経験した大事故に関する展示を実施。クラッシュしたハースのマシンの一部に加え、当時使用していたグローブやブーツも公開される。

    さらに「The Pit Wall」では、観客がレース現場の指揮所にいるかのような没入型映像体験を楽しめる。

    ベッテルのRB7も展示
    展示の最後を飾る「Singapore Drive」では、シンガポールがF1に果たしてきた役割と歴史を紹介する。

    その中には、セバスチャン・ベッテルが2011年のシンガポールGPを制し、その年のワールドチャンピオン獲得につなげたレッドブルRB7も展示される予定だ。

    TEG Experiencesのマネージングディレクターを務めるシェーン・ハーモンは、「来場者はシンガポールGPの特別な瞬間を振り返ることができる」と説明している。

    F1首脳陣も期待
    F1のチーフ・コマーシャル・オフィサーを務めるエミリー・プラザーは、アジア初開催について次のように語った。

    「世界の主要都市で130万人を超えるファンを迎えたあと、Formula 1 Exhibitionをアジアで初めてシンガポールに持ち込めることをうれしく思います」

    「シンガポールはF1を代表する象徴的な開催地のひとつであり、この高く評価されている没入型体験を開催するには完璧な舞台です」

    また、Sony Music Australiaのゴードン・ピットは「シンガポールほどふさわしい開催地はない」とコメント。

    Round Room Live共同CEOでFormula 1 Exhibitionのプロデューサーを務めるジョナサン・リンデンも、「アジアで初めてこの体験を届けられることをうれしく思う」と期待を示した。

    チケットは6月17日から先行販売
    チケットの先行販売登録はすでに開始されており、先行販売は6月17日午前9時(シンガポール時間)から47時間限定で実施される。

    一般販売は6月19日午前9時(シンガポール時間)から開始される予定となっている。

  • アストンマーティンF1 AMR26Bを7月投入へ 2秒短縮で中団復帰を目指す

    アストンマーティンF1 AMR26Bを7月投入へ 2秒短縮で中団復帰を目指す

    アストンマーティンは、2026年F1シーズンの苦戦を打開する切り札として、大規模アップグレード版「AMR26B」の投入を計画している。チームは現行AMR26の開発を事実上打ち切り、エイドリアン・ニューウェイ主導で新仕様の開発に全力を注いでいる。

    モナコGPではフェルナンド・アロンソとランス・ストロールが最後尾グループに沈み、マシンの競争力不足が改めて露呈した。

    アストンマーティンはAMR26Bによって1周あたり約2秒の改善を目指しており、中団グループへの復帰を目標としている。

    ニューウェイが現行車を見限りAMR26Bへ集中
    ホンダPUの振動問題が解決された後も、AMR26の競争力は期待を大きく下回った。

    バルセロナでの発表時には大きな注目を集めたものの、実戦では苦戦が続き、一部サーキットではキャデラックを下回るパフォーマンスしか発揮できていない。

    特にモナコでは、ホンダPUの出力不足が比較的影響しにくい低速コースにもかかわらず、車体全体の弱点が露呈した。ギアボックス問題が注目を集めている一方で、実際には空力性能を含めあらゆる分野で競争力不足に陥っているという。

    こうした状況を受け、エイドリアン・ニューウェイは小規模な改良を積み重ねる方針を放棄し、大幅刷新版となるAMR26Bの開発に集中する決断を下した。

    新サスペンションと新ホンダPUを搭載か
    AMR26Bは単なるアップデートではなく、現行車をベースにした実質的な新車になる見通しだ。

    軽量化に加え、新たな空力コンセプトが導入されるほか、新サスペンションの採用も噂されている。

    さらに最大のポイントはホンダ製パワーユニットだ。

    ホンダはADUO制度による性能改善枠を活用できる立場にあり、アストンマーティンは改良版PUとAMR26Bを同時投入することを目指している。

    投入時期はベルギーGPが有力候補
    チーム関係者はこれまで「夏頃」としか明言していなかったが、ランス・ストロールはカナダGPでより具体的な見通しを語った。

    「スパか、その次のレースだと思う。あるいはザントフォールトかもしれない」

    スペインの『motor.es』は、アストンマーティンは7月のベルギーGPまたはハンガリーGPでの投入を目指していると報じている。

    ただし、開発の鍵を握るのはホンダ側の進捗だ。改良PUの準備が遅れた場合、夏休み明けのザントフォールトまでデビューがずれ込む可能性もある。

    ホンダ側も性能改善へ向けて開発を加速
    ホンダ側でもパワーユニット性能向上に向けた作業が進められている。

    ホンダ・レーシングの折原慎太郎はモナコGP前の取材で、改善すべきポイントはすでに把握しており、現在はアップグレード投入に向けた開発を進めていることを明らかにした。

    ただし、実戦投入までにはシミュレーション、単気筒試験、V6全体での性能評価、信頼性確認など数多くの工程を経る必要があり、短期間での導入は容易ではないという。

    さらに、FIAが進めるレギュレーション解釈の明確化も開発計画に影響を及ぼしている。

    投入時期について質問された折原慎太郎は、具体的なスケジュールを明かさなかったものの、冗談を交えながら次のように語った。

    「難しいですね。夏と言いたいですが、どこの夏かは言えません」

    「ギリシャの夏なのか、イギリスの夏なのか、日本の夏なのか。申し訳ありません」

    アストンマーティンがAMR26Bと改良版ホンダPUの同時投入を目指していることを考えれば、ホンダ側の開発進捗がマシン投入時期を左右する重要な要素となりそうだ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    目標は1周2秒短縮でポイント争い復帰
    AMR26Bによってアストンマーティンが期待する改善幅は非常に大きい。

    チームは1周あたり約2秒の短縮を目標としており、それによって中団グループでポイント争いができるレベルへの到達を目指している。

    ただし、ストロールはタイトル争いに加われるレベルではないと認めている。

    「トップ争いに十分かと言われれば違う」

    「でもこうしたことは一夜にして実現するものではない。僕たちは全力で取り組み、できるだけ早くラップタイムを改善しようとしている」

    さらにモナコでは、2026年シーズンの現実的な目標についても言及した。

    「現実的に考えれば、今年はシーズン途中のアップグレードによって中団グループに近づくことだと思う。それは大きな目標になる」

    「そして来年、本当にトップで戦えるかを確認することになる」

    ホンダPU不足は30〜40馬力か それとも100馬力か
    ストロールはホンダPUについても率直な見解を示している。

    「トップチームと比べて20〜30kWほど不足している」

    これは約30〜40馬力に相当する数字だ。

    一方で、パドック内の複数の評価では不足幅はさらに大きく、約70kW(およそ100馬力)に達するとの見方も存在する。

    もし後者が事実であれば、ホンダはADUO制度による最大限の性能改善を認められる条件を満たしていることになる。

    アストンマーティン再建の成否を握る夏
    現状のAMR26はグリッド後方に沈んでおり、小規模アップデートでは状況を覆せない段階に達している。

    そのためアストンマーティンは、ニューウェイが全面的に見直したAMR26Bと改良版ホンダPUに全てを託している。

    ベルギーGPでの投入が実現すれば、2026年シーズン後半戦の勢力図を左右する重要な転換点となる可能性がある。一方で投入が遅れれば、アストンマーティンにとって厳しいシーズンがさらに長引くことになりそうだ。

    【関連】
    ・エイドリアン・ニューウェイが現場復帰のF1モナコGPでライバル車を徹底観察

  • アウディF1が規則変更に反対 「安定性が最優先」 フェルスタッペンに逆風

    アウディF1が規則変更に反対 「安定性が最優先」 フェルスタッペンに逆風

    2027年に向けて議論が続くF1パワーユニット規則の見直しについて、アウディF1が現行レギュレーションの維持を支持する姿勢を明確にした。CEOのゲルノート・デルナーは、コスト効率と開発計画の観点から「安定性」が最も重要だと強調している。

    現在、F1では2026年に導入された新パワーユニット規則の見直しが検討されており、内燃機関と電動出力の比率を実質50対50から60対40へ変更する案が議論されている。

    しかし、アウディF1やフェラーリはこうした変更に慎重な姿勢を示しているとされる。

    アウディF1 CEO「安定性が重要」
    規則変更の可能性について、デルナーはRacingNews365を含む一部メディアの取材に対し、アウディF1の立場を次のように説明した。

    「我々の立場は規則の安定性を維持することだ。それが非常に明確な見解だ」

    「新規参入メーカーであることも理由のひとつだが、もうひとつはコスト効率だ」

    「最も重要なのはコストキャップを念頭に置くことだ」

    「我々は他社より低い位置からスタートしており、技術開発の成長曲線はより急なものになっている。そのプロセスを考えると、安定性には満足している」

    2026年からワークス参戦を開始したアウディF1は、現行規則を前提に開発と投資を進めてきた。そのため、レギュレーション導入直後の大幅な変更には消極的な姿勢を示している。

    フェルスタッペンの要求に逆風
    アウディF1の立場は、60対40への変更を支持しているマックス・フェルスタッペンにとって逆風となる可能性がある。

    フェルスタッペンはこれまで、現行の50対50配分ではエネルギーマネジメントの負担が大きすぎるとして、少なくとも60対40への変更が必要との考えを示してきた。

    しかし、パワーユニット規則の変更には5メーカー中4メーカーの賛成が必要とされている。アウディF1とフェラーリが反対を維持した場合、2027年からの変更案成立は極めて難しくなる。

    また、フェラーリのカスタマーチームであるキャデラックF1も60対40案に懸念を抱いているとみられており、議論は今後も続く見通しだ。

    2027年に向けて協議継続
    それでもデルナーは、最終的には各メーカーが受け入れられる解決策が見つかるとの見方を示している。

    「議論のプロセスは進行中であり、適切に管理されている」

    「我々も他のエンジンメーカーとともにそのプロセスに参加している」

    「だから2027年には良い解決策が用意されると考えている」

    2026年の新規則導入からわずか1年で方向転換するのか、それとも現行レギュレーションを維持するのか。各メーカーの利害が交錯する中、F1の将来を左右する重要な協議が続いている。

  • メルセデスF1 ラッセルのモナコGP失策を説明「複雑なSC対応が原因」

    メルセデスF1 ラッセルのモナコGP失策を説明「複雑なSC対応が原因」

    メルセデスF1は、ジョージ・ラッセルがモナコGPで5秒ペナルティを消化できず入賞を逃した経緯について説明した。チームはセーフティカー中の複雑な状況とコミュニケーションミスが重なったことが原因だったとしている。

    ラッセルはレース中最初のタイヤ交換時にピットレーン速度違反を犯し、5秒のタイムペナルティを科された。しかし、その後のセーフティカー中のピットストップでペナルティを消化しないままタイヤ交換を行ったため、結果的に無得点に終わった。

    アントネッリ優先の戦略が混乱を招く
    メルセデスのトラックサイド・エンジニアリング責任者アンドリュー・ショブリンは、チームが置かれていた状況が非常に複雑だったと説明した。

    当時、レースをリードしていたアンドレア・キミ・アントネッリがラッセルを周回遅れにしており、セーフティカー導入時にはまずアントネッリを優先してピットへ呼び戻す計画だったという。

    「キミがジョージを周回遅れにした直後だったので非常に複雑な状況だった。セーフティカーが出た時の計画はキミをピットへ入れることだった」

    「ジョージについては、ペナルティを消化し、さらにキミの作業を待った場合でもアイザック・ハジャーの前に出られるか計算した。その結果、前には出られないと判断し、ステイアウトを指示した」

    しかし、その後の状況がさらに混乱を招いた。

    「最初の周回ではキミのピットストップに間に合わなかったが、次の周回にはチャンスがあったので呼び戻した。その時にセーフティカーがピットレーンを通過するという通知が出た」

    「キミは予定通り作業を受けていたが、ジョージにはファストレーンに留まるよう伝えることができなかった」

    ラッセルはタイヤを見てピットイン
    セーフティカー中だったため、チームは複数の戦略に対応できるようタイヤを準備していた。ラッセルはそのタイヤを見て自身がピットインするものだと判断したという。

    「両方のタイヤセットが用意されていたのは普通のことだ。セーフティカー中は他チームの動き次第で計画が変わる可能性があるからだ」

    「ジョージにはステイアウトを指示していたが、ピットレーンを通過した際に自分用のタイヤがあるのを見て、自分のための準備だと思いピットボックスへ入った」

    「メカニックたちは彼が来ることを想定していなかったため、ペナルティを消化する準備ができていなかった。今回の件から学び、将来改善できる点は確かにある」

    レース後、ラッセルは無線で再度ピットストップを行い、見落とされた5秒ペナルティを消化するようチームに繰り返し求めたが、メルセデスは実施しない判断を下した。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    0.1km/h超過の原因は依然不明
    またショブリンは、そもそもラッセルがピットレーン速度違反を受けた理由についても完全には解明できていないと明かした。

    モナコではラッセルを含む5人のドライバーがピットレーン速度違反でペナルティを受けたが、いずれも制限速度をわずか0.1km/h上回っただけだった。アルピーヌはピエール・ガスリーに科された2件のペナルティについて再審査請求を提出している。

    「ピットレーン速度はコース上の計測ループ間の距離と通過時間から算出される」

    「モナコのピットレーンにはいくつかの曲がり角があり、ドライバーは自然とイン側を通って距離を短縮しようとする傾向がある。僕たちはそのことを認識していたので、速度リミッターの設定を下げ、ジョージにはコーナーをショートカットしないよう指示していた」

    「それでもなぜ速度違反が発生したのか完全には理解できていない。同様の問題を抱えたチームもいくつかあり、なぜ起きたのか分かっていないところもある」

    「現在も議論が続いている。この問題を解明する必要がある。ジョージのレースにとって非常に大きな代償となったことは間違いない」

  • キャデラックF1 コルトン・ハータがバルセロナでFP1デビュー「準備はできている」

    キャデラックF1 コルトン・ハータがバルセロナでFP1デビュー「準備はできている」

    キャデラックF1の育成ドライバーであるコルトン・ハータが、今週末のF1スペインGP(バルセロナ・カタルーニャGP)で待望のグランプリセッションデビューを迎える。

    ハータはフリー走行1回目(FP1)でセルジオ・ペレスに代わってMAC-26をドライブする予定で、現行F1レギュレーション下のマシンを公式セッションで走らせるのは今回が初めてとなる。

    これまでハータはマクラーレンのTPC(旧型車テスト)プログラムを通じてF1マシンの経験を積んできたが、グランプリウイーク中の公式セッションへの参加は初となる。

    今回のFP1出走は、2026年シーズンにキャデラックF1で予定されている4回のルーキードライバー起用プログラムの第1弾。また、ハータにとってはキャデラックF1のカラーリングをまとって走る初めての公式セッションでもあり、将来的なF1昇格を目指す上で重要な機会となる。

    FP1デビューに向けて、ハータはチームの拠点であるシャーロットとシルバーストンを行き来しながら準備を進めてきた。シミュレーターでサーキット特性や手順を学ぶだけでなく、直近数戦では現場にも帯同し、F1チームのオペレーションを学んできたという。

    一方で、ハータにとって2026年シーズンは決して簡単なものではない。インディカーを離れてF1を目指す挑戦を続けるなか、現在はF2のハイテックから参戦し、開幕8戦終了時点でランキング13位、16ポイントにとどまっている。

    今週末はキャデラックF1でFP1を走るだけでなく、F2のレースウイークも並行して戦うことになり、多忙なスケジュールとなる。

    それでもハータはF1デビューに向けて十分な準備ができていると自信を見せた。

    「バルセロナが楽しみだ。マシンに乗る準備はできていると感じている」とハータは語った。

    「シャーロットのシミュレーターでコースやセッション中に従うべき手順を学んできた」

    「さらにシルバーストンや最近のレース現場でチームと仕事をしてきたので、できるだけ早く順応できるよう準備を進めている」

    「目標はクリーンなセッションをこなし、チームが必要とするデータ収集に貢献すること。そしてF1マシンに慣れることだ」

    「F2にも参戦するので忙しい週末になるが、プレッシャーは特権だ。だからこそ楽しみにしている」

    キャデラックF1は2026年にF1参戦初年度を迎えているが、将来を見据えた若手育成にも力を入れている。今回のFP1は、ハータがF1でのキャリア構築に向けて大きな一歩を踏み出す舞台となりそうだ。

  • ホンダF1が明かす2026年苦戦の理由 「3つの技術革命」と再建の代償

    ホンダF1が明かす2026年苦戦の理由 「3つの技術革命」と再建の代償

    ストンマーティンとタッグを組んで2026年F1新レギュレーションに挑んだホンダだが、開幕から6戦を終えた時点で厳しい戦いを強いられている。アストンマーティンは依然として下位グループでの戦いが続いており、パワーユニット性能を巡る議論もパドック内で絶えない状況だ。

    これまで苦戦の要因については様々な憶測が飛び交っていたが、ホンダは今回、その背景にある技術的課題を初めて詳細に説明した。

    2026年レギュレーションで何が変わり、なぜ開発が難航したのか――その実情が明らかになっている。

    ホンダF1プロジェクトの責任者の一人である角田哲史は、SoyMotor.comの独占取材に対し、現在の苦戦が単一の問題ではなく、2026年のレギュレーション変更によって生じた複数の技術課題の積み重ねであることを明かした。

    50:50化したERSがエネルギーマネジメントを激変
    2026年F1レギュレーションで最大の変化のひとつが、内燃エンジン(ICE)とエネルギー回生システム(ERS)の出力比率だ。

    従来よりも電動化の比重が大幅に高まり、ICEとERSの出力割合は事実上50:50となった。

    角田哲史は、この変化がパワーユニット運用を根本から変えたと説明した。

    「ICEとERSの比率が50:50となり電動化が進んだことで、特にエネルギーマネジメントに関する運用は著しく複雑になりました」

    単純に高効率なエンジンを開発するだけでは不十分となり、どのタイミングでエネルギーを回収し、どれだけ蓄え、いつ放出するかがパフォーマンスを左右する時代になった。

    2026年型パワーユニットでは、このエネルギーマネジメント能力そのものが競争力の核心になっている。

    圧縮比変更で燃焼コンセプトを全面刷新
    ホンダが直面した2つ目の大きな課題は、内燃エンジンの圧縮比変更だった。

    2025年世代では約18:1だった圧縮比が、2026年には16:1へ変更された。

    数字だけを見ると小さな変化に見えるが、実際には燃焼効率や燃焼特性そのものに大きな影響を及ぼす。

    角田哲史は次のように説明する。

    「圧縮比や燃料に関する大幅なレギュレーション変更により、エンジンの燃焼コンセプト全体を見直す必要がありました。これは非常に大きな挑戦でした」

    2026年のパワーユニットは外見上こそ同じ1.6リッターV6ターボハイブリッドだが、内部では従来とはまったく異なる考え方で設計されている。

    100%持続可能燃料がさらなる難題に
    3つ目の要因は、2026年から導入された100%持続可能燃料だ。

    この新燃料は従来の燃料とは燃焼特性が異なり、エンジン開発に大きな影響を与えた。

    圧縮比変更と新燃料導入が同時に行われたことで、ホンダは燃焼設計をほぼゼロから再構築しなければならなかった。

    結果として、同じV6ターボハイブリッドという形式を維持していても、その実態は2025年のパワーユニットとは別物になったという。

    ホンダF1 本田技研工業

    ホンダは2026年開発競争への出遅れも認める
    ホンダは技術的な難しさだけでなく、自社の体制面にも課題があったことを認めている。

    2021年末にF1活動を終了した際、ホンダはさくらの施設にあるHRCのエンジニアリング体制を縮小した。

    その後、2023年5月にアストンマーティンとの提携を発表してF1復帰を決定したが、その時点で開発組織の再構築が必要だった。

    角田哲史は次のように語った。

    「ホンダの場合、2021年のF1撤退後にHRC Sakuraの開発体制を縮小しました。その後、2023年5月の復帰発表以降に開発組織を再構築する必要がありました」

    「その再建に時間を要したことで、一部のライバルよりも新パワーユニット開発に使える時間やリソースが少なくなりました」

    これは以前からパドック内で指摘されていた見方を裏付けるものだ。

    例えばアウディは2022年から本格的な2026年プロジェクトを進めていた一方、ホンダは開発組織の再整備と並行して開発を進めなければならなかった。

    アストンマーティンとの新体制とPU予算制限も重荷に
    2026年はシャシーとパワーユニットの両方が全面刷新された特別なシーズンでもある。

    さらにF1史上初めてパワーユニット開発にも予算上限が導入された。

    その中でホンダは、新たなワークスパートナーとなるアストンマーティンとの協業体制も同時に構築しなければならなかった。

    角田哲史はこう説明する。

    「2026年はシャシーとパワーユニット双方のレギュレーションが大きく変更されました。さらに初めてパワーユニットに予算上限が導入されています」

    「そのような非常に厳しい環境の中で、ホンダとアストンマーティンは初めて協力関係を築くことになりました。多くの面で大きな挑戦だったと言えます」

    ホンダが直面したのは一つの失敗ではない
    現在、アストンマーティンとホンダの苦戦はしばしば「パワー不足」という一言で語られる。

    しかし今回の角田哲史の説明から見えてくるのは、単なる出力不足ではなく、2026年レギュレーションがもたらした複数の技術革命への対応に苦しんでいる姿だ。

    電動化の大幅強化、燃焼コンセプトの刷新、100%持続可能燃料への適応、開発組織の再建、予算制限、そしてアストンマーティンとの新たなパートナーシップ構築――。

    ホンダが直面している課題は一つではなく、それらが同時に重なった結果として現在の状況が生まれていることを、今回の説明は示している。

    【関連】
    ・ホンダF1のPU不足は40馬力未満? ADUO評価とストロール発言が示す実態

  • マクラーレンF1 F2王者レオナルド・フォルナローリをバルセロナのFP1で起用

    マクラーレンF1 F2王者レオナルド・フォルナローリをバルセロナのFP1で起用

    マクラーレンは、2026年F1第7戦バルセロナ・カタルーニャGPのフリー走行1で、リザーブドライバーのレオナルド・フォルナローリを起用することを発表した。

    21歳のイタリア人ドライバーは、ランド・ノリスに代わってMCL40をドライブし、公式F1セッションデビューを果たす。今回の起用は2026年F1レギュレーションで義務付けられているルーキードライバー起用プログラムの一環で、各チームはシーズン中に4回のFP1でルーキーを走らせなければならない。

    F3とF2を連続制覇した逸材
    フォルナローリは2025年12月にマクラーレン・ドライバー育成プログラムへ加入。2025年にF2タイトル、2024年にF3タイトルを獲得しており、オスカー・ピアストリとガブリエル・ボルトレトに続き、F3とF2を連続制覇した史上3人目のドライバーとなった。

    その実績から、近年のジュニアカテゴリーで最も注目される若手ドライバーの一人として評価されている。

    フォルナローリ「長い間目標にしてきた」
    フォルナローリは今回のFP1出走について次のように語った。

    「今週末のバルセロナ・カタルーニャGPのFP1セッションでMCL40をドライブできることにとても興奮している」

    「チームの準備をサポートし、金曜日に予定されているプログラムを進める素晴らしい機会になると思う。僕にとっては初めての公式F1セッションなので、とても重要な任務になる。長い間目標にしてきたことなので、本当に楽しみにしている」

    「これまでTPC(Testing of Previous Car/旧型車テスト)で積み重ねてきた経験は、僕の成長にとって非常に重要なものだった」

    「ザク、アンドレア、アレッサンドロ、そしてマクラーレンF1チームのみんなに感謝している。週末が待ちきれない」

    レオナルド・フォルナローリ(マクラーレン) バルセロナ・カタルーニャGP

    バルセロナでTPC経験済み
    マクラーレン加入後、フォルナローリはTPC走行、シミュレーター作業、レース週末でのサポート業務など幅広い開発プログラムに取り組んできた。

    これまでに2023年型マシンのMCL60で3回のTPCを実施しており、最初のテストは今年3月にバルセロナ・カタルーニャ・サーキットで行われた。その後はシルバーストンとオースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズでも走行している。

    現行マシンMCL40を初ドライブ
    今回のFP1は、フォルナローリにとって現行世代のF1マシンをドライブする初めての機会となる。

    チームは走行距離を重ねるだけでなく、レース週末でのエンジニアリング作業やフィードバック能力の向上にも期待を寄せている。

    フォルナローリは金曜日のセッションで収集したデータやセットアップに関するフィードバックをチームへ提供し、ノリスとオスカー・ピアストリの週末準備をサポートする役割も担う。