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  • トヨタ:WEC第3戦 ル・マン24時間 プレビュー

    トヨタ:WEC第3戦 ル・マン24時間 プレビュー

    トヨタは、FIA世界耐久選手権(WEC)シリーズ最大の注目イベントとも言える第84回ル・マン24時間レースに挑む。

    今回がトヨタにとって、初挑戦の1985年以来、18度目のル・マン挑戦。この間には5度の表彰台獲得、4回の2位フィニッシュという結果を得ている。

    今年のル・マン24時間レースは、2台のTS050 HYBRIDで挑む。

    #5号車は2014年のWEC世界チャンピオンであるアンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミに中嶋一貴を加えた布陣。中嶋は2年前のル・マン24時間レースでポールポジションを獲得している。#6号車はル・マンで3度のポールポジション獲得経験を持つステファン・サラザンに、マイク・コンウェイと小林可夢偉が組む。

    昨年のル・マンで6位と8位に終わったTS040 HYBRIDから大幅な改良が行われ、1000Psの最大出力を発揮するTS050 HYBRIDは、ル・マンに向けた最適化が施され、過去の勝者でもあるアウディ、ポルシェ勢に挑む。

    パワーユニットはトヨタ東富士研究所で開発され、最高の効率とパワーを発揮する2.4リッター直噴V6ツインターボエンジンと8MJに対応したハイパワー型リチウムイオンバッテリー方式のハイブリッドシステムとの組み合わせとなった。

    そのパワーユニットの開発と並行して、2016年シーズンへ向けた新たなシャシーがドイツ・ケルンのTMGで開発された。ほぼ全ての部品が新設計であり、重量、パフォーマンスの両面で最適化を図った。ル・マン24時間レースで登場する低ドラッグ仕様の空力パッケージは、6月5日(日)にサルト・サーキットで行われたテストデーで好感触を得ている。

    前戦スパ6時間レースでは、エンジントラブルに見舞われ戦列を去るまで、勝利を狙える位置でのレースを続けていた。スパのレース後にデータを解析した結果、トラブル原因はスパ特有の、オー・ルージュコーナーでの路面への車体底付きに起因するものと判明した。この経験と反省を活かし、スパで見せた速さを自信に、ル・マン初勝利を目指す。

    6月5日(日)に行われた公式テストデーの結果では、接近したバトルへの期待を高めた。規則により燃料消費量が約10%削減された中、TS050 HYBRIDがこの日にマークしたベストタイムは、昨年のテストデーでのタイムを2.124秒も上回るものであり、また、2台のTS050 HYBRIDはトータルで179周、2440kmを走破し、信頼性の高さも示した。

    ル・マン24時間レースにおいては、パフォーマンスと同様に耐久性も重要な要素となる。実際、レースウィーク開始から、チェッカーフラッグまで、約35時間もの走行をこなすこととなる。

    走行セッションは、6月15日(水)午後4時(日本時間午後11時)から4時間の公式練習走行で始まり、同日午後10時(同翌午前5時)から2時間の公式予選1回目が行われる。16日(木)には、午後7時と午後10時(同翌午前2時、5時)から公式予選2回目、3回目が、それぞれ2時間ずつ行われ、3回の公式予選で記録された、1周の最速タイムで決勝レースのスターティンググリッドが決定される。

    17日(金)はル・マン旧市街地で伝統のドライバーズパレードが行われ、ファンにとってはレース前にドライバーを間近に見られるチャンスとなる。18日(土)は午前9時(同午後4時)から45分間のウォームアップ走行を経て、午後3時(同午後10時)に24時間レースのスタートが切られる。

    佐藤俊男 TOYOTA GAZOO Racingチーム代表
    ル・マンは我々にとって1年のハイライトであり、シーズン前からこのレースに焦点を当てて全力で準備を続けて来ました。前戦スパ6時間レースでは高いポテンシャルを確認することが出来ましたので、ル・マンに向けて特別に開発してきたTS050 HYBRIDが、今回、どのようなパフォーマンスを発揮してくれるか、とても楽しみにしています。しかし、ル・マンは車両の性能だけでなく、ドライバーを含めたチーム全員の総合力が求められるレースです。困難な状況においてもミス無くベストなパフォーマンスを引き出すことが重要であり、それが結果に繋がります。勿論、全てのLMP1-Hマニュファクチャラーがそうであるように、我々にとっても最終目標は優勝であり、その戦いに向けた準備は整っています。長い戦いの後に来るゴールを見据え、常に的確な判断と最大限の集中力をもって24時間を戦い抜きます。

    中嶋一貴(TS050 HYBRID #5号車)
    ル・マンはいつも感動的なイベントです。2012年に初めてレースに参加した時のことを思い出します。そのスケールと雰囲気、特にレーススタート直前は信じられないほどエキサイティングでした。これまでのモータースポーツでは経験したことのない思いを感じました。テレビでル・マンを見た記憶は、特に1998年と1999年のトヨタTS020でのレースが思い出されます。それだけにル・マンでの経験は常に特別なものなのです。コースもとても楽しめるもので、ドライバーにとっては真のチャレンジです。最高速に達する長いユーノディエール・ストレートや、多くの高速コーナーは本当に運転していて楽しいです。私の準備は整っており、レースウィークを迎えるのがとても楽しみです。

    アンソニー・デビッドソン(TS050 HYBRID #5号車)
    今年もレースウィークが始まるのが待ち切れません。ル・マンは全てのドライバーが勝利を望むレースであり、我々もそのために冬の間からハードなテストをこなして来ました。このような特別なイベントで、幸運にも2度表彰台に上がることが出来たのは忘れられない経験です。ル・マンは我々のTS050 HYBRID #5号車にとって新たなシーズンのスタートとしての挑戦と言っても良いでしょう。特に前戦スパはトラブルに見舞われるまで勝利を目前にしていました。それだけにル・マンへ向けて決意は更に強まります。我々のシーズンの転換点として、ル・マンはまたとない舞台です。

    セバスチャン・ブエミ(TS050 HYBRID #5号車)
    ル・マンへの挑戦には毎回気分が高まります。コースは素晴らしく、レースウィークは常に素晴らしいことばかりです。残念ながらこのイベントは年に一度しかないので、その雰囲気を充分に楽しみたいと思っています。テストデーでのTS050 HYBRIDには好感触を得ました。前戦スパでも上位を争えることを示せましたし、昨年に比べて大きな進化を遂げており、今年は良い戦いが出来ると思います。まだ練習走行や公式予選でTS050 HYBRIDの全ての性能を引き出すためにやるべきことはありますが、ここまでの印象は良好です。

    小林可夢偉(TS050 HYBRID #6号車)
    我々は皆このイベントを楽しんでおり、シーズン初頭から楽しみにして来ました。初めてこのコースを走った時には驚きました。レイアウトは素晴らしく、他の公道コースと比較しても路面状況もグリップも良好でした。ル・マン24時間レースは確かに世界有数のレースであり、そこで戦えることを誇りに思います。世界には多くのレースがあり、私は多くのコースでレースを戦って来ました。しかし、その中でもル・マンは特別です。このレースで、日本人ドライバーとして、日本のチームで勝てれば最高だと思います。特に、私にとってはトヨタでの初のル・マンです。ライバルとは僅差であり、勝利を目指して挑戦出来ると考えています。

    ステファン・サラザン(TS050 HYBRID #6号車)
    ル・マンは特別なコースで行われる特別なイベントです。多くの歴史を持つシーズン最長のコースであり、ここを走るのは特にフランス人ドライバーにとっては素晴らしいことです。ル・マンで良いレースを戦うためにこの1年ずっと働いて来ました。これまでに30時間にわたる耐久テストを何度もこなして来ており、レースへの準備は出来ています。今年我々はチャレンジャーですが、多分良い位置に付けられるはずです。我々はTS050 HYBRIDと共に大きな進歩を遂げており、前戦スパでレースをリードし、勝利を争ったことでその競争力を示しました。今年のル・マンはエキサイティングなレースになると思いますし、戦える自信があります。

    マイク・コンウェイ(TS050 HYBRID #6号車)
    今年、我々は大きな期待を抱いてル・マンに挑戦したいと思っています。このレースでは様々なドラマが起こり、結果を予測するのがとても困難です。毎年初頭から焦点を合わせて準備していますが、その時はあっという間にやって来ます。今年も多くの不確定要素がある一方、我々がどの位置に付けているのかをしっかり認識したいと願います。これまで、我々は数千kmにわたるテストをこなして来ましたが、公式練習でのロングスティントや、公式予選での全開走行を行うまでは、真の競争力を測ることは出来ません。全てのLMP1-Hクラスのライバル達が昨年に比べ、本当に大きな進化を遂げています。その差が小さいことは分かっており、真の実力はまもなく明らかになるでしょう。

    関連:ル・マン24時間レース 2016:テレビ放送&ライブ配信スケジュール

  • ポルシェ:2016 ル・マン24時間レース プレビュー

    ポルシェ:2016 ル・マン24時間レース プレビュー

    ポルシェは、6月18/19日に開催されるル・マン24時間レースに919ハイブリッドで参戦する。919ハイブリッドで3回目のエントリーを迎えるこの若きチームは、フランスのル・マンで開催される伝統あるレースにおいて、最も重要とされているFIA世界耐久選手権(WEC)のタイトル防衛に挑む。

    通算で17回の総合優勝を誇るポルシェは、サルテ・サーキットのレコードホルダーであり、2016年の世界選手権のマニュファクチュアラー部門およびドライバー部門をリードしている。

    スタート前の強烈なプレッシャーを克服するために、ポルシェ チームの戦略担当者はティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)/マーク・ウェバー(オーストラリア)組のカーナンバー1およびロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)組のカーナンバー2という2台のきわめて複雑なプロトタイプを最大限に管理するだけでなく、考え得るあらゆる要素を計算し、プロセスに組み込まなければならない。

    ポルシェ チーム
    チーム監督のアンドレア・ザイドルは、バイエルン生まれのストラテジスト。ザイドルは、チーフレースエンジニアのスティーブン・マイタス(オーストラリア)、ストラテジーエンジニアのパスカル・ズールランデン(フランス)およびレース車両エンジニアのカイル・ウィルソン=クラーク(イギリス、カーナンバー1)およびジェロミー・ムーア(オーストラリア、カーナンバー2)のエンジニアリングスタッフ達と協力し、あたかもチェスのプレーヤーのように無数の戦略を駆使してレースの先を読み、最適なアプローチを計画する。ただし、レースが始まれば、対応力の勝負となり、勝敗を決するのは決断力tとなる。

    レースのポイント1:給油のピットストップ
    レースを計画する上で勝負の行方を左右する大きな要素となるのは、給油のためのピットストップの間隔。WECでは、周回あたりの燃料および電気エネルギーの最大消費値が規定されているため、給油までの最長距離がわかる。また、各チームのストラテジストは、ライバル車両に関する情報も把握している。ル・マンの1周13.629 kmのコースでは、ポルシェ919ハイブリッドは満タンの62.5リッターの燃料で最大14周の走行が可能。

    24時間のレース中に走行する距離をこの14周でぴったり割ることはできない。しかし、目標は車両が文字通り燃料の最後の1滴を使ってフィニッシュラインを通過すること。タンク内の燃料が少ないほど車重が軽くなり、より速く走行できるからだ。そのため、満タンにしない給油ストップが1回あり、最も適したタイミングを考慮する必要がある。何もなければ、この満タンにしないピットストップは最後まで取っておく。しかし、天候の変化やセーフティーカーフェーズなどがあった場合、たとえばレインタイヤに換装するためのピットストップなどと組み合わせて前倒しで行うことで、時間を節約することになる。これらは非常に迅速な対応が求められ、時には数秒という非常に短い時間で決定しなければならない。ストラテジーエンジニアのズールランデン(フランス)が常に情報を入力しているシミュレーションプログラムが、この決定プロセスをサポートする。彼が入手できるデータは、車両本体、ライバル車両の観察、および気象学者から得られるものだ。

    レースのポイント2:タイヤ交換
    レース戦略の2番目の大きな要素は、タイヤの性能曲線で、この分野ではミシュランのエンジニア達の専門知識が不可欠となる。タイヤの摩耗が大きいほど、ラップタイムは悪くなる。そのため、このラップタイムの悪化とピットでのタイヤ交換によるタイムロスを比較評価する必要がある。タイヤの劣化は、必ずしも理論通りに発生するわけではない。また、数周してもゴム(コンパウンド)の表面温度がなかなか上がらないことがある。しかし、車両は周回を重ねる毎に軽くなるので、状況によっては、これがタイヤの寿命を延ばす要因となることがある。

    アンドレア・ザイドルは、「2015年のル・マンでは、1セットのタイヤでの最長走行記録は54周でした。これは、タイヤを交換せず3回の給油を行ったことを意味する。燃料の重量を加味して、タイヤは最大限のグリップ力から徐々に低下し、1周あたりに約1.6秒ずつタイムが落ちます。満タンからタンクが空になるまでの重量差の44 kgで、1周あたり約2秒の差が出ます」と説明している。

    24時間で最も長い距離を走行する上で何より重要なのは、車速とピットストップの長さ。2015年にル・マンで優勝を決めたとき、チームは1台あたり30回の給油を行った。ピットロードの走行時間を含め、最も早い給油のピットストップは51.3秒で、ドライバー交替とタイヤ交換を行った最短のピットストップは1分13秒9だった。ドライバーは、タイヤが許す限りできるだけ長くコースに留まらなければならない。ドライバー交替のためだけのピットストップは、時間の無駄になる。しかし、ドライバーがタイムを落とさず走行し続けることができるのは果たして何周だろうか?

    レースのポイント3:レーシングドライバー
    「私達のドライバー全員が身体的なコンディションを整えた完璧なプロフェッショナルで、夜間に4回のスティントにあたる54周をこなす能力があります」と、ザイドルが指摘する。

    「しかし、私達はドライバーのタイムにも注意しています。レギュレーションで、各ドライバーの最短および最長の走行時間が規定されています。ル・マンでは、各ドライバーは6時間以上ドライブする必要があり、6時間以内で4時間以上、またはレースのトータルで14時間以上ドライブすることはできません。通常であればこれは大きな問題ではありません。しかし、1名のドライバーが胃の調子を崩したらどうなるでしょう?このような要素も、レースの結果を左右するシナリオになりえます。私達はドライバー達に最適な休息時間を与える努力をし、スタッフサイドでは最後まで可能な限りの柔軟性を発揮するようにしています」

    チーム監督、レースエンジニアおよびドライバーで、どのドライバーをどのタイミングで担当させるかを話し合う。スタート直後の段階では熱くなりがちだが、そこで必要なのは冷静さ。夜間には長いスティントがあり、与えられた名誉ある使命はフィニッシュラインを通過することだ。ザイドルは、「全員を最適かつ公平に割り当てる計画を立てる努力をします。チームのムードもパフォーマンスに影響するからです」と語る。

    レースのポイント4:アクシデント
    レースがどのように展開、変化し、そして想定外の出来事が起ころうとも、それらに求められる迅速な対応にシミュレーションソフトが適切なサポートを行う。チームはレースが通常通り展開している場合は常に先を読むことができ、また、予定外の出来事が起こった場合はコンピューターから貴重なヒントを得ることもできる。例えば、セーフティカーが導入された場合に、ピットストップを前倒しにすることに意味があるかなど。このプログラムを使って、修理のためのピットストップが戦略におよぼす結果を計算することもできる。他の車両と接触した場合、タイヤ空気圧および空力データが一瞬でチェックされ、ドライバーが無線でフィードバックを行う。ドライバーもピットクルーも200 km/h以上の速度で走行している車両の損傷を、目で詳細に確認することはできない。これは、ズールランデンも控える「バトルルーム」と呼ばれる部屋のモニターに表示される。車両にピットストップが必要かを確認するため、スロー再生が必要な場合もある。

    レースのポイント5:ピットクルー
    ピットクルーは、どのようなピットストップが必要になった場合でも、通知があればすぐに対応できるよう常にスタンバイしている。そして、彼らはすばやく作業をこなす。2015年のル・マン24時間レースで3台のポルシェ919ハイブリッドに費やした合計時間はピットロード走行を含め95分36秒だった。比較するために例を挙げると、次に早い3台態勢のチームのタイムは130分を超えていた。

    クルーのチーフを務めるアミエル・リンゼイ(ニュージーランド)は、このような優れたパフォーマンスの理由を「ちょっとした訓練」だと、謙虚な姿勢で語る。ピットストップでの立ち回りでさえ、科学的に分析されている。それは、F1とは対照的に、車両の作業をできるメカニックの人数が限られて居るにもかかわらず、少人数での作業が極めて困難だからだ。2016年シーズンには、レギュレーションもさらに厳しくなり11ページにもわたる詳細なレギュレーションが定められている。これには、給油に関わるのは2名のみが許可され、給油作業中、車両はタイヤが接地している必要があり、タイヤ交換が完了するまで給油は禁止、タイヤ交換の作業を行うことができるメカニックは4名まで、同時に使用できるインパクトレンチは1台のみといったレギュレーションと、さらにペナルティのリストが含まれる。リンゼイは、いつ、どのステップとどの手順を実施するかを瞬時に判断し、それぞれの役割を誰が担当するかを考慮する。次に、ワークショップでリハーサルを行う。これは、1シーズンで250回以上におよぶ。これに、テスト中の訓練とレースウィークエンドのピットストップが加わる。タイヤを装着したホイールの重量は19.9 kgにもなるため、メカニック達は頑強で、すばやく、ストレスに強くなければならない。彼らにも、多大なプレッシャーがかかる。

    燃料消費量、タイヤの摩耗、ピットでのメンテナンスおよびサービスの軽減など、多くの項目は計算が可能で、テストすることができるものもあり、訓練することができる。しかし、ストラテジスト達は彼らの想定するシナリオによって24時間で起こり得るすべての事象を網羅することはできない。

    これをポルシェのワークスドライバーであるマーク・ウェバーの言葉がよく言い表している。

    「ル・マンは過酷です。ライバル達のことを考える前に、まずレース自体と戦わなければなりません」

    関連:ル・マン24時間レース 2016:テレビ放送&ライブ配信スケジュール

  • トヨタ、TS050 HYBRIDでの初のル・マンのフルコーステストで手応え

    トヨタ、TS050 HYBRIDでの初のル・マンのフルコーステストで手応え

    FIA世界耐久選手権(WEC)第3戦ル・マン24時間レースのレースウィークを前に、通常は公道として利用されている特設コースを使用してのテストデーが6月5日(日)に行われた。

    TOYOTA GAZOO Racingは今季デビューとなったTS050 HYBRIDにとって初めて走るル・マンのフルコースで8時間にわたるテストをこなし、レースに向けて貴重なデータを収集した。

    中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミの駆るTS050 HYBRID #5号車はトップから1.822秒差の3分23秒197でテストデーでは総合5番手。小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイの3名がドライブする#6号車は6番手のタイムをマークした。

    約1年にわたる、ドイツ・ケルンのTMGとトヨタ東富士研究所での努力の積み重ねにより生み出されたTS050 HYBRIDは、新たに2.4リッター直噴ツインターボエンジンと、8MJに対応したバッテリー方式のハイブリッドシステムを採用、無念の結果に終わった2015年のル・マン24時間レースの直後から改良を続け、この日のテストで手応えを得た。

    2台のTS050 HYBRIDは規則により昨年に比べ燃料消費量を約10%低減されたにも関わらず、昨年のベストタイムを2.124秒も上回って見せた。

    また、2台はトータルで179周、2440kmを走破し、耐久性の面でも高い能力を示した。#6号車はこの日LMP1カーの中で最も多い周回をこなした。

    TS050 HYBRIDの開発においては、チームのアドバイザー兼アンバサダーのアレックス・ブルツが、2度のル・マン勝利の経験を活かし、既に今季も数回のテストに参加している。今回のテストでも#6号車で5周をこなした。

    ル・マン24時間レースが行われるサルト・サーキットのほとんどは通常、公道として使用されており、この日行われた2度の4時間にわたるテストセッションは、レースウィークの6月15日(水)に練習走行が開始されるまで、唯一フルコースを走行出来るチャンスとなる。

    この日のテストは、ル・マン24時間レースに向けて開発してきたローダウンフォース仕様での初走行であり、その競合力を見極める意味でもチームにとって非常に重要な機会となった。

    この新しいパッケージは空気抵抗を低減して設計されており、ブレーキング時に充電された8MJのエネルギーによるハイブリッド・ブーストは最高速を更に向上させるものとなる。

    TS050 HYBRID #5号車:
    (中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ)
    テストセッション第1回目: 5番手 (3分23秒197), 40周
    テストセッション第2回目: 6番手 (3分25秒324), 42周

    中嶋一貴:
    再びここを走ることが出来て嬉しいですし、楽しめました。良い一日となり、天候もドライのまま推移してくれたことで、多くの周回を走ることが出来ました。午後にはロングランを担当し、タイヤ選択などで有用な多くのデータを得られました。セットアップも着々と進歩しており、今日望んでいた全ての作業はこなせました。パフォーマンス面でも、チーム全員の努力のおかげで昨年に比べ大きな向上が見られ、順調だと思います。

    アンソニー・デビッドソン:
    ル・マンに戻って来てTS050 HYBRIDをドライブ出来て喜んでいます。昨年の車両よりも大きな進化を遂げていることを感じられました。バランスも良く、ストレートスピードが重要なこのサーキットにおける8MJのハイブリッド・ブーストは素晴らしいものでした。しかし、車両安定性や高速コーナーの挙動など、更なるバランス向上のために作業を続けます。勿論まだやるべきことはありますが、今日一日のテストでこなせた内容については満足しています。

    セバスチャン・ブエミ:
    今日は多くの周回をこなして貴重なデータを得られましたが、忙しい一日でした。これから得られたデータを解析し、決勝レースへ向け、さらに改良を進めていきます。我々は常に速さを望んでおり、まだ満足してはいられません。しかし、手応えはあり、今日の結果には満足しています。TS050 HYBRIDはル・マンにおいての感触は良く、レースウィークに再び走るのが楽しみです。

    TS050 HYBRID #6号車:
    (小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)
    テストセッション第1回目: 6番手 (3分23秒721), 54周
    テストセッション第2回目: 5番手 (3分24秒182), 43周

    小林可夢偉:
    私にとってTS050 HYBRIDでの初めてのル・マンの経験となりましたが、順調でした。車両のセッティングを進め、多くの周回をこなすことが出来ました。今日の目的は多くのデータを収集すること、特にローダウンフォース空力パッケージでのデータ収集でした。良い一日でしたし、私にとっても良い感触でレースウィークに臨めそうです。トヨタドライバーとして初めてのル・マン24時間レース参戦を楽しんでおり、ここにいられて本当に嬉しいです。

    ステファン・サラザン:
    チームが今年のル・マンに向けて大変な努力を続けてきたお陰で、我々はTS050 HYBRIDで大きな進歩を遂げることが出来ました。このハイブリッド車両でこのコースを走る経験が出来るのは大変な喜びです。我々にとっては良い一日でした。セットアップ面で多くの作業をこなし、レースに強く、バランスの良い、狙った通りの車両に仕上げることが出来ました。レースへ向けてはセットアップの改善などまだやるべきことがありますが、今年は24時間を上位で争うことが出来ると確信しています。

    マイク・コンウェイ:
    皆がこの数週間、どれだけの努力をして来たかを知っているだけに、このテストのために車両を準備してくれたチームに感謝しています。いつもはテストが出来ないこのコースで、非常に多くの周回をこなせて良かったです。TS050 HYBRIDのバランスには満足しています。あまりクリアラップが取れなかったことと、更なるバランスの向上に集中していたので、ラップタイムはあまり気にしていません。我々は燃料の少ない状態や新しいタイヤでのアタックを試していませんし、タイムについてはまだ向上の余地があるでしょう。

    アレックス・ブルツ(チームアドバイザー兼アンバサダー):
    このル・マンのコースで再びコックピットに戻ることが出来て素晴らしい気分です。冬の間のテストでもたびたびテストを担当していたので車両には慣れています。引退したレーシングドライバーとして、この素晴らしいLMP1ハイブリッド・プロトタイプカーを再びル・マンでドライブ出来るチャンスを得られたということで、私にとっては最高の一日になり、楽しみました。しかし勿論、チームへのフィードバックを行いました。我々のテストは予定通り全てが順調に終わりました。

    関連:ル・マン24時間レース 2016:テレビ放送&ライブ配信スケジュール

  • ル・マン24時間レース 2016:テレビ放送&ライブ配信スケジュール

    ル・マン24時間レース 2016:テレビ放送&ライブ配信スケジュール

    2016年のル・マン24時間レースの決勝レースが6月18日(土)から行われる。

    2016年もル・マン24時間レースはJ SPORTが放送。CSテレビ放送ではスタートからの8時間半、夜明け時の約2時間(J SPORT2)、そして、ゴールまでの7時間を生中継。

    また、J SPORTSオンデマンドでは、スタートからゴールまでをまるごとライブ配信する。

    ■2016年 ル・マン24時間レース 放送予定

    TVで視聴する場合
    6月18日 (土) 午後09:30〜午前06:00
    FIA 世界耐久選手権 2016 第3戦【スタート】 J SPORTS 3
    ル・マン24時間レース(フランス)

    6月19日 (日) 午後00:00〜午後01:55
    FIA 世界耐久選手権 2016 第3戦【夜明け】 J SPORTS 2
    ル・マン24時間レース(フランス)

    6月19日 (日) 午後04:00〜午後11:00
    FIA 世界耐久選手権 2016 第3戦【ゴール】 J SPORTS 3
    ル・マン24時間レース(フランス)

    J SPORTSオンデマンドで視聴する場合
    6月18日 (土) 午後9:30〜19日(日)午後11:00
    ※スカパー!オンデマンド、J:COMオンデマンド、みるプラスはTV生中継と同様のスケジュールとなりますのでご注意ください。

    関連:
    ・トヨタ、ル・マン24時間レース応援番組を「LINE LIVE」で配信
    ・ポルシェ、2016年ル・マン24時間のパブリックビューイングを実施
    ・トヨタ、ル・マン24時レースのパブルックビューイングをメガウェブで開催

  • 中野信治、2年ぶりにル・マン24時間レースへの参戦が決定

    中野信治、2年ぶりにル・マン24時間レースへの参戦が決定

    中野信治が、2016年のル・マン24時間レースに参戦することが正式決定した。

    中野信治は、スイスのチーム「レースパフォーマンス(Race Performance)」からLMP2クラスに参戦する。

    中野信治は、このチームと昨年からタッグを組んでおり、昨年のアジアンルマンシリーズ第1戦富士、第2戦セパン(マレーシア)では連続優勝、シリーズチャンピオン獲得に大きく貢献した。

    中野信治
    「昨年末からチームとは交渉を始めていました。昨年のアジアンルマンシリーズでのシリーズチャンピオン獲得が、今回のルマン24参戦への足がかりになったと思います。今年のパッケージでの戦いは正直厳しいものになることが予想されますが、ルマンは24時間の耐久レース。最後まで何が起きるかわからないですし、これまでのレース経験を十分活かしてクラス優勝を狙いにいきます。応援のほど、よろしくお願い致します!」

  • ダニエル・リカルド 「昨年ル・マンに参戦したかったんだけど・・・」

    ダニエル・リカルド 「昨年ル・マンに参戦したかったんだけど・・・」

    ダニエル・リカルドは、昨年、ル・マン24時間レースに参戦したかったが、レッドブルから許可されなかったことを明かした。

    ダニエル・リカルドは、将来のどこかの段階で、同郷でレッドブルの先輩であるマーク・ウェバーのようにル・マン24時間レースに参戦することを夢見ていると Auto Action に語った。

    「ル・マンはクールだよね。正直、去年、あそこで走りたかったんだ」とダニエル・リカルドはコメント。

    「おそらく去年は参戦する機会があったかもしれない。でも、あまりに多くのことが進んでいて、チームはとにかくF1に集中することを好んだ。今はそれが実を結んでいるけどね」

    「ル・マンの美しさは、今後10年間は変わらないと思う」

    ダニエル・リカルドとは対照的に、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグは、チームからル・マン24時間レースへの参戦を許可され、ポルシェでル・マン初挑戦にして優勝を成し遂げている。

    「ヒュルケンベルグは参戦して、そして優勝した。実現できるかもしれない。僕もそれを成し遂げたいね」

    今年は、アゼルバイジャンの首都バクーで開催されるF1ヨーロッパGPの日程が、ル・マン24時間レースとかぶるため、F1ドライバーは参戦できない。

  • ジャン・トッド、F1とル・マン24時間レースの日程衝突を謝罪

    ジャン・トッド、F1とル・マン24時間レースの日程衝突を謝罪

    FIA会長のジャン・トッドは、2016年にアゼルバイジャンで初開催されるF1レースとル・マン24時間レースのスケジュールが重なってしまったことを謝罪した。

    2016年のF1暫定カレンダーが、これまで通りに夏休みを設けるように微調整が加えられたことで、バクーの市街地レースは7月17日(日)から6月19日(日)に前倒しされた。これによって有名な耐久レースであるル・マンと日程がバッティングした。

    2015年はF1と重なっていなかったため、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグがポルシェからル・マン24時間レースに参戦し、見事総合優勝を飾った。しかし、ニコ・ヒュルケンベルグは防衛戦に挑むことすらできない。

    ジャン・トッドは、すべての主要モーターレースカテゴリーの日程を衝突させずにスケジュールを組むことは不可能だと語る一方で、バクーのレーススタート時間とル・マンのフィニッシュ時間は重ならないと弁明した。

    「カレンダーの組み立ては非常に厄介な仕事だ。F1は21戦、フォーミュラEは10戦、世界耐久選手権が10戦、さらに14のラリーがある」とジャン・トッドは述べた。

    「一切の衝突なしに1つのカレンダーを作ることは不可能だ。だが、私はル・マンについては確信を持っている。(グランプリの)スタートは昼で、ル・マンのフィニッシュは午後3時だ。数名のドライバーにとっては参戦できないという問題があるだろう。申し訳ないが、これ以上のことはできない」

    2016年のカレンダーは12月上旬に開かれる最後の世界モータースポーツ評議会においてまだ変更される可能性は残されている。ポルシェは、カレンダーが確定するまで、ニコ・ヒュルケンベルグの後任を決めないとしている。

    関連:2016年 F1カレンダー:世界モータースポーツ評議会が承認

  • WEC代表 「F1とル・マン24時レースとの日程衝突は“明らかな攻撃”」

    WEC代表 「F1とル・マン24時レースとの日程衝突は“明らかな攻撃”」

    WECのジェラール・ヌーブCEOは、2016年にF1からル・マン24時間レースと同じ日にレースを開催することは“明らかな攻撃”だと述べた。

    今年、ニコ・ヒュルケンベルグがポルシェで優勝したことで現役F1ドライバーの関心が高まっている。

    そんななか、新たに発表されたF1カレンダーでは、ル・マン24時間レースの日程(6月18〜19日)とF1ヨーロッパGPの日程が重なった。

    ジェラール・ヌーブは、他の5つのWECイベントの日程衝突は回避不可能だが、アゼルバイジャンで開催されるF1ヨーロッパGPのスケジュージュリングは故意であると怒りを露わにした。

    ル・マン24時間レースとF1とのバッティングについてジェラール・ヌーブは「我々とこのレースへの明らかな攻撃だ」と Autosprint にコメント。

    「エクレストンが無頓着になにかをすることはない」

    ジェラール・ヌーブは「FIAはもっと我々を保護するべきだ」とし、ル・マン24時間レースを主催する西部自動車クラブ、WECプロモーター、そして、FIAの間いある、ル・マン24時間レースの週末はF1カレンダーをあけておくとの紳士協定に言及した。

    前回、F1とル・マン24時間レースの日程が重なったのは、次シーズンから西部自動車クラブが生まれ変わったWECのプロモーターとして発表された2011年まで遡る。

    ジェラール・ヌーブは、損をするのはファンとドライバーだと付け加えた。

    「そうすることによって、いまだ世界でもっとも重要なレースにF1スターの参戦の可能性がなくなることになるので残念だ」

    「ヒュルケンベルグや他のF1ドライバーも参戦する可能性があった。モータースポーツファンが損をする」

    西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長も、日程の衝突について同じような意見を示している。

    「ル・マンに関しては心配していないが、ファンにとって残念に思う」とピエール・フィヨンは述べた。

    「過去にそうであったように、彼らはF1ドライバーを見たいと思うからね」

    日程衝突により、ニコ・ヒュルケンベルグは、2016年にポルシェでル・マン24時間レースの連覇を目指すことができなくなった。

  • FIA 「F1とル・マン24時間レースのバッティング回避は不可能だった」

    FIA 「F1とル・マン24時間レースのバッティング回避は不可能だった」

    FIA会長のジャン・トッド会長が、2016年にはF1とル・マン24時間レースの開催日が重なってしまった経緯を説明した。

    今年は早い段階からバーニー・エクレストンが作成した2016年の暫定F1カレンダーがリークされていたが、2016年に過去最多となる年間21レースが組み込まれたことにより、これまで4週間で設定されていた夏休みが短縮されていた。

    これに対して、F1チームから苦情が出たことを受け、夏休みを長めに設定し直した新カレンダー案が提出され、FIAの世界モータースポーツ評議会で承認された。

    だが、修正版F1カレンダーでは、2016年にアゼルバイジャンで初開催されるヨーロッパGPと、WEC(世界耐久選手権)の1レースとして設定されている有名なル・マン24時間レースが同じ週末に開催されることになっている。

    今年、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグが、F1とかけもちでル・マン24時間レースに出走し、初参戦で見事に初優勝を飾ったことが大きな話題となった。

    ニコ・ヒュルケンベルグは、2016年にもル・マン24時間に参戦してタイトルを防衛したいと語っていたが、現在の2016年のF1カレンダーでは、その実現は不可能ということになる。

    これに対して、F1ドライバーが他のカテゴリーのレースに出走することを好ましく思っていないバーニー・エクレストンが、わざと日程がバッティングするように仕向けたのではないかと考えている者もいる。

    一方では、F1とWECの両シリーズを統括するFIAが、F1とル・マン24時間レースの日程が重ならないようにする努力を怠ったと批判する声もある。

    FIA会長のジャン・トッドは「ル・マンに関してはできる限りの保護している。だが、我々としては他の分野に対してもその収益や置かれている立場などに対して敬意を払わなくてはならない」と Auto Hebdo にコメント。

    「非常に多くの競技が行われているので、日程がバッティングすることを避けるのは不可能だ」

    「F1グランプリとル・マンに関してだが、24時間レースのゴール時間と重なるのを避けてF1レース(アゼルバイジャン)のスケジュールを組むことができるだろう。それが我々にできる最善の妥協だ」

    関連:2016年 F1カレンダー:世界モータースポーツ評議会が承認

  • ニコ・ヒュルケンベルグ、2016年のル・マン参戦は「まだ未定」

    ニコ・ヒュルケンベルグ、2016年のル・マン参戦は「まだ未定」

    ニコ・ヒュルケンベルグは、2016年にポルシェとル・マンでタイトルを防衛するかはまだ確定していないと述べた。

    F1引退が噂されているジェンソン・バトンは、ル・マンに興味を持っているが、ニコ・ヒュルケンベルグのように2つのシリーズを掛け持ちするつもりはないと述べている。

    「21戦のカレンダーでは、週末は非常に制限されることになると思う」とジェンソン・バトンはコメント。

    「それに、時にはモーターレースから離れる週末があった方が嬉しいしね」

    今年6月、ポルシェでのル・マン初挑戦で優勝したニコ・ヒュルケンベルグは、ジェンソン・バトンのコメントに同意している。

    「これまでのところ、2016年については何も決まっていない」とニコ・ヒュルケンベルグはコメント。

    「来年のカレンダーはよりストレスを感じるだろうし、新ししレースがある。ル・マンの方が何も決定していない。でも、参加する機会があったら、それを利用したい」

    ニコ・ヒュルケンベルフがまだコミットしていない理由は、仮で発表された2016年のF1カレンダーがまだ確定していないからでもある。F1チームは夏休みを復帰させるためにプッシュしているが、“トリプルヘッダー”もしくは12月にレースをする可能性があるため躊躇している。

    「まず何よりもカレンダーの確定を待っている。ル・マンがF1とぶつからないことが重要だし、そうでなければチャンスはない」