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  • メルセデス 2026年F1エンジンの優位性を否定「ゴシップには流されない」

    メルセデス 2026年F1エンジンの優位性を否定「ゴシップには流されない」

    メルセデスF1の代表を務めるトト・ヴォルフは、2026年F1パワーユニットを巡る“優位性”の噂について語り、いかなる楽観論も否定した。

    近ごろ、メルセデスとレッドブルが、2026年F1レギュレーションのグレーゾーンを突くことでアドバンテージを得たのではないか、という報道が注目を集めている。報道によれば、ブラックリーとミルトンキーンズの両拠点で、内燃エンジンの圧縮比を“違法とは断定しにくい形”で引き上げる方法を見出した可能性があるという。

    新レギュレーションでは圧縮比は16:1に制限されているが、メルセデスとレッドブルは、2025年に求められていた18:1に近い水準を、特定の作動条件と熱状態のもとで維持できる“トリック”を発見したのではないか、とも言われている。その余剰分を測定・制限することは可能なのか、それとも開幕戦メルボルンにおいて把握できないのか、という疑問も浮上している。

    こうした“本命視”について、ヴォルフはF1公式サイトのポッドキャスト『Beyond The Grid』で問われ、次のように語った。

    「決して油断してはいけない。我々は常にコップは半分空だと見る人間で、半分満ちているとは考えない」とこの時期に出回るのは、あくまで噂話に過ぎないとヴォルフは語った。

    「すべては身内の敵から始まる。マクラーレンは今年、メルセデスのパワーユニットを使って最良のチームだった。もし仮に、我々が優れていると感じたことのないそのパワーユニットが本当に上回っているのだとしたら、まず倒さなければならないのはウィリアムズ、マクラーレン、アルピーヌだ」

    フォーミュラ1エンジン F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    彼は、メルセデスのユニットが何らかの優位性を持ってシーズンを迎える可能性自体は、否定しなかった。一方で、他チームの準備についても警戒を示す。

    「実際、彼らの一部、ウィリアムズやアルピーヌは、コンストラクターズ選手権で上位にいなかったため、風洞開発により多くの時間を使えている。こちらが把握していない革新を持ち込んでくるチームもあるかもしれない」と各チームのマシン開発は一様ではない、と評価した。

    そしてヴォルフは、噂話の危険性を皮肉交じりに指摘する。

    「だから、たとえメルセデスのパワーユニットが最も強力だったとしても、何も確実なことは言えない。こうした噂は常に危険だ。なぜなら、どこかの別チーム、別のパワーユニットメーカーや燃料サプライヤーが、『好都合だ。彼らが本命扱いされるのは歓迎だが、最終的にやるのは我々だ』と考えるからだ」。

    最後に、オーストリア人の代表は印象的な表現で締めくくった。

    「だから我々は、理髪店で交わされるようなゴシップには流されない」

    実際の力関係が明らかになるのは、1月26日から30日にかけてバルセロナで行われる非公開テストでマシンが走り出してからだ。それまで、この話題がクリスマスから年末年始にかけての“格好のネタ”であり続けることだけは確かだ。

  • メルセデス、ライバルがF1エンジン規則の「抜け穴」を見つけることを警戒

    メルセデス、ライバルがF1エンジン規則の「抜け穴」を見つけることを警戒

    2026年の大規模な規則改革を目前に控え、あるチームが決定的なアドバンテージを見つけ、F1の他チームに対して大きな先行を築くリスクを巡る議論が激しさを増している。

    新レギュレーションにはセーフガードが盛り込まれているものの、パドックの複数の技術責任者は、そのようなシナリオが依然として起こり得ると見ている。メルセデスF1のエンジン部門であるメルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズの責任者、ハイウェル・トーマスもその可能性を確信している一人だ。

    しかもこの発言は、メルセデスがレッドブル・フォードとともに、将来のエンジンの圧縮比に関するグレーゾーンの活用を巡る論争の渦中にある中で語られたものでもあり、いっそう重みを持つ。

    この話題がメディアで表面化する前、あるチームが抜け穴を見つけたり、規則のグレーゾーンを突いたりする可能性について問われたトーマスは、次のように迷いなく答えていた。

    「それは常に可能だ。本当に可能だ。エンジン規則全体はそれを避けるように設計されているし、やり方をある程度限定する制約もある。それでも、だ」

    それらの制約は“魔法の解決策”の出現を防ぐことを狙ったものだが、トーマスはF1がしばしば予想外の発見の舞台になってきたことを強調する。

    「もしそれがうまく機能していれば、誰かが大きく先行している可能性は低くなる。でも、誰も見ていない抜け穴や、誰も気づいていない信じられないトリックを見つけた人がいないと、誰が言える?」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ フォーミュラ1エンジン

    これほど大きな変化を迎えるにあたり、メルセデスはどのような姿勢で臨んでいるのか。ここでもトーマスは過度な楽観を戒している。

    「12月の時点で、パワーが足りない、信頼性が足りない、システム間の相互作用が十分ではない、そう感じなかったシーズンは一度もなかったと思う。そして、すべてを解決するために3か月が残されている」

    もっとも、数年にわたるパワーユニット凍結があった2025年については、懸念がやや小さかったことも認めている。サーキットでの負担が軽減された分、工場では新しいパワーユニットに全面的に集中できたからだ。

    「もしかすると、今のパワーユニットに関して、そう感じなかったのはこのシーズンが初めてだったかもしれない。それでも、最後の瞬間に必ず何かが驚きをもたらす。最適化すべき点や、発生するトラブルがある。我々のカスタマーチームでも、実際にいくつか起きている。F1は決して穏やかな流れではない」

  • メルセデスとレッドブル 2026年F1エンジン圧縮比を巡る“抜け穴”疑惑

    メルセデスとレッドブル 2026年F1エンジン圧縮比を巡る“抜け穴”疑惑

    2026年F1レギュレーション導入を前に、新パワーユニットを巡る論争が浮上している。焦点となっているのは、エンジンの圧縮比に関する規則の解釈だ。

    独Motorsport Magazinおよび英The Raceによれば、複数のエンジンメーカーが、メルセデス、そしてレッドブル(レッドブル・パワートレインズ)の設計について、FIAに正式な説明を求めたという。

    両社が、2026年規則で定められた上限を超える実質的な圧縮比を、ある方法で実現している可能性が指摘されている。

    圧縮比は常温測定 規則の盲点か
    2026年からF1の内燃エンジンは、最大圧縮比が16.0:1に制限される。これは従来の18.0:1からの引き下げだ。

    問題とされているのは、FIA技術規則C5.4.3条の文言で、圧縮比の測定が常温・静的条件で行われる点にある。情報筋によれば、一部メーカーは、エンジンが実走行で高温状態になった際に部品が意図的に熱膨張するよう設計し、ピストンが上死点により近づくことで、結果的に走行中の実効圧縮比を高めている可能性があるという。

    これは測定条件上は合法であっても、走行時には規則が想定する以上の性能向上、出力増加や燃費改善をもたらす余地がある。

    フェラーリ、アウディ、ホンダが懸念
    こうした疑念を受け、フェラーリ、アウディ、ホンダがFIAに説明を要求したと報じられている。

    論点は、熱膨張を利用した設計が、技術規則第1.5条にある「マシンはレースウイークエンドを通じ、常に規則に適合していなければならない」という原則に抵触するかどうかだ。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ 国際自動車連盟

    FIA 手続きは従来と同じ
    この件についてFIAは、次のような見解を示している。

    「規則は最大圧縮比と、その測定方法を明確に定義しており、測定は常温・静的条件に基づいて行われる。この手続きは、2026年に許容圧縮比が引き下げられた後も変更されていない。

    確かに熱膨張は寸法に影響を与えるが、現行規則では高温状態での測定は想定されていない」

    一方でFIAは、このテーマがPUメーカーとの技術フォーラムで継続的に議論されていることも認めており、公平性と明確性を確保するため、必要であれば将来的に規則や測定手順の修正を検討する可能性があるとしている。

    1kmも走っていない段階で浮上した疑念
    注目すべきは、2026年型パワーユニットがまだサーキットで1kmも走っていない段階で、この問題が表面化した点だ。関係者の間では、エンジニアやスタッフの移籍によって、各メーカーの設計思想や開発方向性がライバルに伝わった可能性も指摘されている。

    新規則時代の序盤で性能差を生む可能性があるだけに、この圧縮比グレーゾーンが単なる憶測に終わるのか、それとも2026年F1最初の大きな技術論争へ発展するのか。判断の鍵を握るのは、今後のFIAの解釈と対応になりそうだ。

  • メルセデスF1代表、2026年F1マシンは「理論上400km/h到達可能」と再主張

    メルセデスF1代表、2026年F1マシンは「理論上400km/h到達可能」と再主張

    メルセデスのチーム代表であるトト・ヴォルフは、2026年に導入される新世代のF1マシンが、理論上はストレートで時速400kmに到達し得るという自身の主張をあらためて強調した。

    この発言は、夏休み期間中に独『Auto Motor und Sport』のインタビューで飛び出したもので、当時は大きな驚きをもって受け止められていた。

    なお、近代F1イベントにおける最高速度記録は、2016年ヨーロッパGP(バクー)予選でバルテリ・ボッタスが記録した時速378km(234.9mph)だ。

    2026年F1マシンは、レギュレーション大改定により電動エネルギーの使用量が増加することが決まっている。ヴォルフは今回、自身の発言について説明を加え、あくまで「すべての利用可能なパワーを一気に使った場合」に限っての話だと強調した。

    「正直に言えば、あのエンジンには少し“マーケティング的な後押し”が必要だと感じたんだ。人々が過小評価していたが、本当に素晴らしい技術の塊だからね」とヴォルフはBeyond The Gridで語った。

    「すべてを組み合わせれば、400km/h、あるいはそれ以上に到達できる可能性はある。ただし当然ながら、次のストレートではエネルギーを使い切ってしまい、十分に速く走れなくなるだろう」と付け加えた。

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    同ポッドキャストには、メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズのマネージングディレクターであるハイウェル・トーマスも出演し、次のように述べている。

    「ストレート序盤の加速性能については、現在と非常によく似たものになると思う。ターボチャージャーにはもはや電動モーターが付いていないので、ターボラグが発生する可能性があるが、その部分は電動で補うことになるだろう」

    「その結果、ストレートの立ち上がり性能は、今と比べてもかなり強烈なものになる。ただし、電動エネルギーを常に使い続けるだけの余裕がないため、ストレートの途中からは早めに出力を落とす必要があることも分かっている」

    2026年F1シーズンは、75年の歴史の中でも最も注目を集めるシーズンのひとつとされており、史上最大規模のレギュレーション変更が勢力図を大きく塗り替えると見られている。

    F1は水曜日、2026年レギュレーションの主要要素に関する簡素化された新用語を発表した。新たに「オーバーテイクモード」「ブーストモード」「アクティブエアロ」「リチャージ」といった名称が導入されることになる。

  • メルセデスF1代表 「予算上限がF1の“軍拡競争”を止めた」

    メルセデスF1代表 「予算上限がF1の“軍拡競争”を止めた」

    メルセデスF1チーム代表のトト・ヴォルフは、F1に導入された予算上限が世界選手権を「軍拡競争」ではなく「実力主義(メリトクラシー)」の戦いに変えたと語った。

    2025年シーズン、ランド・ノリスはマックス・フェルスタッペンとマクラーレンのチームメイトであるオスカー・ピアストリを抑え、15シーズンにわたってレッドブルとメルセデスしか世界王者を輩出してこなかった時代に終止符を打った。

    長年にわたり、レッドブル、メルセデス、フェラーリはF1で群を抜いて資金力のあるチームだったが、2021年に予算上限が導入されたことで、競争環境はより均等なものになった。

    メルセデスは、2022年に始まりアブダビGPで終わりを迎えたグラウンドエフェクト時代に苦戦を強いられ、その期間に92戦中わずか7勝しか挙げることができなかった。予算上限がなければ、より多くの挽回が可能だったのかと問われたヴォルフは、次のように答えている。

    「予算上限が導入されたとき、我々はそれを強く意識していた。商業的な理由だけではなく、競争の場をより平等にし、同じチームが支出で他を上回り続ける状況を防ぐためだ。我々は金で解決していたか? レッドブルやフェラーリを見てほしい。彼らも我々と同じ財政的な余力を持っている。結局は再び軍拡競争になっていただろう」

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    さらにヴォルフはこう続けた。

    「そうなっていれば、マクラーレンが我々とタイトル争いをすることはなかったかもしれない。今は純粋な実力主義だ。最高のマシンに乗る最高のドライバーが勝つ。そしてそれは我々ではなかった」

    この見解には、マクラーレンのランド・ノリスも同意している。ノリスは、レッドブルがシーズン後半にかけて大部分の遅れを取り戻したものの、開発面では自分たちがライバルを上回ったと語った。

    「2回目のコンストラクターズタイトルも、最初のタイトルと同じくらい特別だ。3年前に僕たちがどこにいたかを考えれば、最初のタイトル自体がとてつもない成果だった」とノリスは10月に語っている。

    「僕たちは開発の面で、すべてのチームを追い抜いた。進歩の幅という点では、他を大きく上回っていたと思う。それも、これまでで最も難しい時代のひとつでだ。制限が増え、風洞使用時間も減り、予算上限もある。そのことが、以前は他チームが使えた潤沢な予算と比べて、結果的に僕たちに有利に働いたのだと思う」

  • メルセデス、2026年F1パワーユニットのサウンドを公開

    メルセデス、2026年F1パワーユニットのサウンドを公開

    メルセデスは、2026年F1シーズン以降に使用される新パワーユニットのサウンドを公開した。ホンダに続き、F1エンジンサプライヤーとしては2社目の“ファイアーアップ”となる。

    2026年F1では、シャシーとパワーユニットの双方で新レギュレーションが導入される。パワーユニット規則が書き換えられるのは2014年以来で、当時はメルセデスが他陣営に先行し、ワークスチームは8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得する礎を築いた。

    再び優位に立つのか
    この経緯から、ブラックリー拠点のメルセデスが、カスタマーチームを含めて再びアドバンテージを得るのではないかとの見方も出ている。新時代の“音”は、その期待をさらに高める材料となった。

    供給体制の変化
    新レギュレーション下でも、メルセデスはマクラーレンとウィリアムズへの供給を継続する。アルピーヌはワークス体制を放棄し、メルセデスのカスタマーに加わる。一方、エンストンのチームに代わり、アストンマーティンはホンダとワークス契約を結ぶ。


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  • メルセデスF1、ターボハイブリッド時代を象徴するパワーユニット12基を公開

    メルセデスF1、ターボハイブリッド時代を象徴するパワーユニット12基を公開

    メルセデスF1は、2025年限りで幕を下ろすターボハイブリッド時代を前に、同チームの成功を支えてきたパワーユニットを一堂に集めた記念イベントを開催した。

    舞台となったのは、英国ブリックスワースにあるメルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズ(HPP)の本拠地。2014年のW05から最新型W16まで、この時代に投入された12基のパワーユニットが屋外展示され、エンジン部門の“時代の節目”が祝われた。

    W05からW16まで、支配の歴史を象徴
    イベントでは、リザーブドライバーのフレデリック・ヴェスティが2014年型W05をデモランさせ、現在のマシンであるW16とともに、メルセデスの支配的な時代を象徴する演出が行われた。

    メルセデスは2014年の新レギュレーション導入と同時に他を圧倒し、ドライバーズタイトル7連覇、コンストラクターズタイトル8連覇を達成。パワーユニットはその成功の中核を担ってきた。

    2014年シーズンには、メルセデス製パワーユニットを搭載した4チームすべてがコンストラクターズランキングのトップ6に入るという記録も残している。

    12年で10度のタイトル、圧倒的な数字
    ターボハイブリッド時代の12年間で、メルセデス製パワーユニットは10シーズンのタイトル獲得に貢献。近年ではマクラーレンの成功も、この栄誉の積み重ねに加わった。

    この期間に行われた252レースで、メルセデスは140勝、150回のポールポジションを記録。勝率は56%に達し、フェラーリやホンダとの激しい競争が続いた中でも、長期にわたる優位性を示してきた。

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    ハイウェル・トーマスが語る「一区切り」と2026年への期待
    「2014年から戦ってきた現在のターボハイブリッド時代の成功を、ここブリックスワースで祝うことができ、本当に素晴らしい一日だった」と、メルセデスHPPのマネージングディレクター、ハイウェル・トーマスは語った。

    「私たちは立ち止まって成果を振り返る機会がほとんどないが、これほど多くの仲間とともにそれを共有できたことは特別だった。数字は驚異的で、ブリックスワース、ブラックリー、そしてマレーシアのペトロナスや世界中の仲間たち全員が、自らの貢献を誇りに思っていい」

    「ここメルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズでF1マシンを走らせたのは今回が初めてで、これ以上ふさわしいタイミングはなかった」

    「今日は過去12年の成功を記念する短い区切りに過ぎない。すぐに2026年に向けた目標に集中していく」

    「我々はいま、スポーツの次なる時代の入り口に立っている。新しいパワーユニットがバルセロナで初走行するまで、あと数週間しかない。2014年当時と同じような期待感をもって、その瞬間を待ち望んでいる」

    ターボハイブリッド時代を締めくくるこのイベントは、メルセデスにとって過去の栄光を称えると同時に、電動比率がさらに高まる2026年F1時代への助走でもあった。

  • メルセデスF1代表ヴォルフ、2026年を前に自問「十分に野心的だったのか」

    メルセデスF1代表ヴォルフ、2026年を前に自問「十分に野心的だったのか」

    2026年F1レギュレーションという大きな技術革命まで、残り1か月あまりとなった。メルセデスF1は新時代の有力候補の一角と見られているが、チーム代表トト・ヴォルフは、自分たちが設定してきた目標が本当に十分に野心的だったのかについて、率直な疑問を口にしている。

    メルセデスは2014年のターボ・ハイブリッド導入時に圧倒的な先行を築いた実績から、2026年に向けても高い評価を受けている。

    しかし今回の変更は、パワーユニットだけでなく、シャシーや空力を含めた全面的な刷新となり、当時以上に規模が大きい。

    新世代パワーユニットは、電動出力が最大350kWに引き上げられ、現在の約3倍の電気エネルギーを使用する。MGU-Hは廃止され、燃料は100%合成燃料となる。これらのマシンは来月、バルセロナでの非公開テストで初走行を迎え、その後2月にバーレーンで公式プレシーズンテストが行われる予定だ。

    W17プロジェクトは順調に進んでいるとされる一方で、ヴォルフは慎重な姿勢を崩さない。

    「これは非常に予測が難しい。我々は設定した目標に向けて順調に進んでいるが、その目標が十分に野心的だったのか、優先順位の置き方が正しかったのかは、将来になってみなければ分からない」

    彼は過去のレギュレーション変更時の経験とも重ね合わせる。

    「2013年のブラジルGPでの記者会見を覚えている。私は紙切れに、コンストラクターズ選手権で2位になるために必要なポイントを計算していた。結果的に我々は3勝を挙げ、その2位は、2025年の2位よりもずっと喜びの大きいものだった。なぜなら、どこから来たのかを分かっていたからだ」

    一方で、2014年を前にした状況とは明確に違うと強調する。

    「2014年の冬には、すでに感覚が違っていた。完全なマシンを最初にベンチで回し、エンジンは他よりも信頼性が高かった。テスト初日から、誰も我々と同じ走行プログラムをこなしていなかったし、それは2日目も同じだった」

    「だから今回は比較できない。今のグリッドは、当時よりはるかに競争力が高い」

    今季序盤、ヴォルフは2026年マシンの潜在能力について「すべてのエネルギーを1本のストレートに使えば、時速400kmに達する」と発言し、パドックで大きな議論を呼んだ。FIAのニコラス・トンバジスは、実際のレースでそのような速度になることはないと説明している。

    この発言の真意について、ヴォルフは次のように説明する。

    「いいえ、2026年に向けて準備ができていると示す意図ではなかった。多くの人がこのエンジンを過小評価していたので、マーケティング的に少し後押しする必要があると感じた。これは本当に驚異的なエンジニアリングの結晶だからだ」

    「もしFIAが、すべてを積み重ねると400km/h、あるいはそれ以上に達し得るという理論上の話を聞いて、サーキットの安全基準に急に不安を抱いたのだとしたら、それはあくまで理論だ。次のストレートにはエネルギーが残らず、十分な速さは出せない」

    2026年のパワーユニットが現行と比べてどれほど強力なのかについても、期待を抑える。

    「最大出力は、常にほぼ同じ水準に保つ意図だった。正確な比較はしていないが、ストレートの入り口では非常に近い」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ F1

    2026年を前に見えるメルセデスF1の不確実性
    ヴォルフの発言からは、2014年のような明確な手応えではなく、競争環境の読みづらさが強くにじみ出ている。技術的な準備が進んでいても、それが相対的な優位につながるかどうかは、グリッド全体の完成度次第だという認識がある。

    技術面だけでなく、ヴォルフ自身の将来についても話題は及んだ。2012年に株主兼エグゼクティブディレクターとしてメルセデスに加わり、2013年にCEO兼チーム代表に就任。その後、チーム株式の33%を保有するまで影響力を高めてきた。

    最近では、その33%のうち15%を、CrowdStrike創業者でCEOのジョージ・カーツに譲渡し、現在の持ち分は全体で28%となっている。

    「一生この世界にいると思うか?」という問いに、ヴォルフは即答した。

    「何らかの形では、そうだ。スージーと私はチームの一部を所有している。これは我々のスポーツであり、我々の世界だ。将来、エグゼクティブなのか、ノンエグゼクティブなのか、会長なのか、取締役の一員なのかは分からないが、長期的に関わることになると思う」

    「原動力になるのは成功であって、利益ではない。常に新しい目標がある。たとえノンエグゼクティブになったとしても、完全に距離を置けるとは思えない。もっと良いやり方があると、いつも思ってしまうだろうから。ソファに座りながら、後講釈で『自分ならもっと良い決断をしていた』と言う、あの厄介な株主になるだろう」

    2026年F1を前に、メルセデスF1とトト・ヴォルフが抱えるのは、自信と不安が交錯する極めて現実的な問いだ。新時代の答えは、コース上でしか示されない。

  • メルセデスF1代表 アントネッリを評価「F1の弱肉強食の世界で立場を守った」

    メルセデスF1代表 アントネッリを評価「F1の弱肉強食の世界で立場を守った」

    アンドレア・キミ・アントネッリにとって、F1での初シーズンは順風満帆とは言い難いものだった。だがメルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、厳しい評価や外部からの批判がある中でも、この若きイタリア人ドライバーが「F1という世界の弱肉強食の世界の中で、自分の立場を守った」と高く評価している。

    シーズン開幕時点ではまだ18歳だったアントネッリは、全24戦という自身初の長丁場を戦い抜き、150ポイントを獲得。

    チームの前任者であるルイス・ハミルトンとの差は10ポイント未満に抑え、ドライバーズランキング7位でシーズンを終えた。

    好スタートと試練の夏
    序盤戦は上々だった。安定したレースペース、印象的な走り、そしてカナダGPでの初表彰台が、アントネッリの才能を明確に示した。しかし夏場に入ると状況は一変。ヨーロッパラウンドでポイントを獲得できないレースが続き、精神的にも大きな試練を迎えることとなった。

    終盤での巻き返しと復活の証明
    それでもアントネッリは立ち直る。シーズン終盤にはブラジルGPとラスベガスGPで再び表彰台に立ち、特にサンパウロでの2位は、停滞していたシーズンを再び前向きなものへと変えた。

    若すぎるルーキーへの批判
    この回復力は多くのライバルからも評価された一方で、批判の声もあった。レッドブルのアドバイザーを退任するヘルムート・マルコは、これほど若いルーキーをメルセデスのマシンに乗せる判断そのものに疑問を呈していた。

    ヴォルフが語る“予想通りの一年”
    アブダビGP後、ヴォルフはあらためてアントネッリが置かれていた状況と、その中で見せた成熟ぶりを強調した。

    「シーズン前にも言ったように、彼の才能を示す天才的な瞬間もあれば、こちらが頭を抱えるような瞬間もあるだろうと分かっていた。」

    「まさにそういう日々こそが、彼に最も多くを教えてくれる。我々は浮き沈みを経験し、そして非常に多くを学んだ。」

    “F1の弱肉強食の世界”の中で
    ヴォルフは、タスクの難しさを次のように表現している。

    「特にこのようなシーズンを終えたあとで思い出すべきなのは、キミはまだ19歳だということだ。F1という弱肉強食の世界に、初めて放り込まれた。私は、彼は自分の立場をしっかり保ったと思っている。そして将来に対して大きな期待を抱いている。」

    若いドライバーとの向き合い方
    さらにヴォルフは、メルセデスF1としても未経験だった“10代のレギュラードライバー”との関係性について語った。

    「キミと話すとき、うまくいっている時もそうでない時も、我々は非常に率直だ。ただし、相手は大人ではないということを忘れてはいけない。キミはどちらかと言えば大人よりも子どもに近い。彼は19歳なんだ。」

    「確かにクルマの中ではプロだ。ずっとカートやレースをしてきた。ただ、その成熟度を見ていると、あまりにも急激な成長を期待してしまいがちで、それが難しさでもある。彼はこの世界に一気に放り込まれた。」

    批判とプレッシャーの中で
    ヴォルフは続ける。

    「彼の最も苦しかったレースを見ても、あれほどの注目とメディアからのプレッシャーの中で経験を積んでいるのは、本当に印象的だ。あらゆる方向から批判される。しかもチームメイトは非常に速く、経験も豊富だ。それでも彼は常に対処してきた。将来に向けて大きなポテンシャルを示していると思う。」

    アンドレア・キミ・アントネッリ F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    19歳の自分と重ねて
    ヴォルフは、自身の若い頃と比較しながらこう締めくくった。

    「私が19歳だった頃は、正直かなり愚かだった。彼が受けているようなプレッシャーには耐えられなかっただろう。だから彼と話すとき、時々少し厳しくなりすぎる。そこで自分に言い聞かせるんだ。待て、彼はまだ子どもなんだ、と。それは我々にとっても興味深い学びだ。」

    アントネッリ自身が語る疲労
    シーズン最終戦後、アントネッリ本人も、過酷な一年を戦い抜いた疲労を隠さなかった。

    「正直、かなり疲れている。」

    「最後のレース週末は、体調面でも万全ではなかった。健康面でもあまり良い状態ではなかったので、この冬はしっかり休めるのが楽しみだ。」

    「これで初めてのシーズンが終わった。これから1か月かけて振り返り、もっと強くなって戻ってきたい。」

  • メルセデスF1代表 「エンジンカスタマーを2~3チームに削減する」方針を明言

    メルセデスF1代表 「エンジンカスタマーを2~3チームに削減する」方針を明言

    メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは、現在供給しているF1エンジンの顧客チーム数を、次の契約サイクルで「最低1つ減らす」意向を示した。

    2021年以降、メルセデスはマクラーレン、アストンマーティン、ウィリアムズという3つの顧客に加え、自らを含めて計4チームにパワーユニットを提供。グリッドのほぼ半数を占める状況となっている。

    2025年限りでアストンマーティンはホンダへとスイッチするが、代わりにアルピーヌがメルセデス製PUを採用するため、来季も供給先は3チームを維持する。しかしヴォルフは、F1公式ポッドキャスト『Beyond the Grid』の中で、メルセス会長オラ・ケレニウスと「供給数削減」を協議していると認めた。

    ヴォルフ「理想は2〜3チーム。4チーム供給は今後あり得ない」
    ヴォルフは「次のサイクルでは供給数を減らすつもりだ」と明言し、理想値について「2〜3チームの間だろう」と語った。

    また、新規則後の開発アプローチとの関連性を示しながら、設計凍結や学習機会のバランスを考慮する必要があると説明した。

    「新しい規則がどうなるかにもよるが、多くのチームに供給することで得られる学びと、設計を早い段階で固める必要性、その両方を考えないといけない」

    この文脈でヴォルフは、2026年からアストンマーティンにのみパワーユニットを供給するホンダを例に挙げた。

    「我々は合計16基のPUを製造する必要があるが、ホンダが供給するのは4〜5基程度だ。これはリードタイム、生産サイクルの長さに直結する。そうした観点からも、今後“4チーム供給”はあり得ない」

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    アルピーヌ加入で再び3チーム供給に それでも“メルセデス優位”の見方強まる
    アストンマーティンの離脱により一時は供給先が減るかに見えたが、アルピーヌの加入によりメルセデスは引き続き3顧客体制を維持する。アルピーヌは長年続いた“ルノー製PUの自社供給”を終え、OEM(自前エンジンメーカー)としての地位を離れることになる。

    それでも、パワートレイン分野ではメルセデスが2026年規則に向けて「最有力」との評価を受けており、来年メルボルンでシーズン開幕を迎える際には、同陣営の4チームが注目を集めるのは間違いない。