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  • メルセデスF1 ラッセルのリタイア原因はバッテリー故障「完全にダーク状態」

    メルセデスF1 ラッセルのリタイア原因はバッテリー故障「完全にダーク状態」

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は2026年F1カナダGPで首位を快走していたが、30周目に突如マシンを止める痛恨のリタイアを喫した。アンドレア・キミ・アントネッリとの激しいトップ争いを繰り広げていただけに、メルセデスにとっては勝利目前での悪夢のような結末となった。

    レース後、メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、ラッセルのマシンに発生したトラブルについて「バッテリー故障」だったと説明。「クルマに電気が一切なかった」と明かし、電装系統が完全停止する深刻な障害だったことを認めた。

    首位争いの最中に突然のストップ
    ラッセルはレース序盤からチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリと激しいトップ争いを展開。何度も順位を入れ替える白熱した戦いを見せていた。

    しかし30周目、ターン8〜9のシケインで突如スローダウン。そのままマシンを止め、レースを終えることになった。

    トト・ヴォルフはSky Sports F1に対し、次のように説明した。

    「バッテリーの故障のようだ。マシンは完全にダーク状態になってしまった。もうクルマに電気が一切なかった」

    ラッセルのマシンはパワーユニット関連のトラブルとみられていたが、ヴォルフは電装系統の完全停止だったことを認めた。

    タイトル争いに大きな痛手
    ラッセルはスプリント勝利、予選ポールポジションと週末を通して高い速さを見せていた。

    決勝でも勝利争いの中心にいたが、このリタイアによってランキング首位のアントネッリとの差は43ポイントに拡大した。

    メルセデスにとっては1-2体制目前だっただけに、信頼性トラブルが極めて大きな代償となった。

  • トト・ヴォルフ “専用機”に集うメルセデスF1の系譜 現役とOBが同乗

    トト・ヴォルフ “専用機”に集うメルセデスF1の系譜 現役とOBが同乗

    中国GP後のヨーロッパ帰還便で、メルセデスF1の結束を象徴する光景が広がった。チーム代表トト・ヴォルフの“非公式航空会社”とも言えるプライベートフライトに、現役ドライバーと歴代の主力メンバーが顔を揃えた。

    単なる移動手段を超えたこの機内の構図は、メルセデスという組織の特異な一体感を示している。チームを離れてもなお“内側”に留まり続ける関係性は、現在のパドックにおいても際立った特徴となっている。

    現役と歴代が同席する“ファミリー”構造
    キャビン後方には、満足げな“機長”のようにトト・ヴォルフが構え、その前方には現役ドライバーのジョージ・ラッセルが座る。その周囲を固めるのは、かつてシルバーアローズを支えたバルテリ・ボッタスとルイス・ハミルトンだ。

    すでにチームを離れている両者だが、依然として“インナーサークル”の一員であることを示す配置となっており、メルセデスにおける人的ネットワークの強固さがうかがえる。

    さらに機内には、スージー・ヴォルフとカルメン・モンテロも同乗。単なるレースチームではなく、“移動する一族”のような空気が漂っている点は見逃せない。

    勝者アントネッリ不在が示すもう一つの基準
    一方で、このフライトに中国GP勝者アンドレア・キミ・アントネッリの姿はなかった。

    初優勝という結果だけでは、この“特別便”の搭乗条件を満たさない可能性も示唆される。メルセデスにおいて重要なのは単なる成績ではなく、より長期的な信頼関係や組織への関与度である可能性が浮かび上がる。

    若きイタリア人ドライバーにとっては、今後さらなる結果を積み重ねることで、この象徴的な“搭乗資格”を得ることになるのかもしれない。

    メルセデスが築く独自の組織文化
    この一幕が示すのは、メルセデスが単なる競技集団ではなく、継続的な関係性によって支えられる組織であるという点だ。

    ドライバーがチームを去った後も関係が断絶されず、むしろネットワークとして維持される構造は、パフォーマンスだけでは説明できない強みにつながっている。

    パドック内での影響力、情報共有、そして信頼の蓄積――そうした要素が、この“ウォルフ航空”という象徴的な場面に凝縮されていると言える。

  • メルセデスF1 予選エンジン手法に波紋 フェラーリがFIAに説明要求

    メルセデスF1 予選エンジン手法に波紋 フェラーリがFIAに説明要求

    メルセデスおよびレッドブルのパワーユニットに関する新たな運用手法が明らかとなり、フェラーリがFIAに対して説明を求めている。問題は予選における電動エネルギーの使い方に関するもので、現行レギュレーションの解釈を巡る論点として浮上した。

    この手法は現時点で合法とされる一方、FIAが導入した安全保護の意図と整合するのかが焦点となっている。予選の僅差勝負において影響し得る要素であることから、各メーカーの対応や規制の方向性にも関心が集まる状況となっている。

    フェラーリが問題視した予選時のエネルギー運用
    メルセデスとレッドブルのエンジンが、予選で電動パワーを最大限に活用するための手法を用いていることに対し、フェラーリF1は懸念を示している。この件は専門メディアによって報じられ、パワーユニットの制御に関する新たな論点として取り上げられた。

    報道では、ブリックスワースとミルトンキーンズのパワーユニットが、予選中に“緊急モード”に相当する挙動を活用していると説明されている。現行のレギュレーション解釈では合法とされているが、フレデリック・バスールが率いるフェラーリは、電動出力が350kWから0kWへ急落する際に作動する保護機構の本来の目的と整合していない可能性があると見ている。

    段階的出力低下を回避する仕組み
    メルセデスおよびレッドブル製エンジンを搭載したマシンは、最大出力を放出した後のMGU-Kの出力低下を段階的に進めるのではなく、一定時間にわたり最大出力を維持し、その後に一気に保護状態へ移行させることができる。

    この挙動自体は禁止されていないが、FIAは安全対策として、電動出力が350kWから0kWへ急落した場合にMGU-Kを60秒間停止させる“安全ロック”を設けている。このためレース中の継続使用は難しい一方で、フィニッシュライン直前の短い区間では予選において有効となり得る。

    フェラーリの問い合わせの意図
    報道によれば、この手法はすでに各エンジンメーカーの間で知られており、ソフトウェア制御によって再現可能かどうかの検討が進められているという。

    フェラーリは、現時点で他チームの使用停止を求めているわけではなく、この手法が安全面の観点から将来的に制限される可能性があるのかを確認する目的でFIAに問い合わせを行った。鈴鹿のQ1では、アレクサンダー・アルボンがラップ終盤に急減速を強いられ、システムリセットのために停止する場面も見られたとされる。

    パフォーマンスへの影響は限定的か
    この手法がラップタイムに与える影響については、現時点で明確な数値は示されていない。

    影響の大きさは、最終コーナーからフィニッシュラインまでの直線距離や、最終コーナーの速度特性に依存する要素が大きいとされる。大幅なタイム短縮には至らないものの、予選が僅差で争われる状況においては、ポールポジション争いやセッション通過に影響を与える可能性がある。

    また、アンドレア・キミ・アントネッリおよびジョージ・ラッセルが鈴鹿のQ3でこの手法を使用したかどうかは確認されていない。フェラーリは引き続き、FIAからの見解を待っている状況にある。

  • メルセデスF1 中国GPで物議のフロントウイング 原因は計算ミス

    メルセデスF1 中国GPで物議のフロントウイング 原因は計算ミス

    中国GP後、メルセデスのフロントウイングに関する挙動がパドックの注目を集めた。映像ではストレートからコーナー進入時にかけて、ウイングが一度中間状態を経てから完全に立ち上がる“多段階的な動き”が確認され、レギュレーション違反の可能性も指摘された。

    特に問題視されたのは、アクティブエアロの遷移時間に関する規定だ。

    フロントおよびリアウイングは「2つの固定状態の間を0.4秒以内で移行する」ことが求められているが、メルセデスの挙動はそれを超えているように見えたため、ライバルチームの一部はFIAに問い合わせを行う事態となった。

    原因は“トリック”ではなく単純な計算ミス
    しかし結論として、この挙動に意図的な設計やグレーゾーンの活用はなかった。原因はメルセデス側の計算ミスだった。

    メルセデスのフロントウイングは、油圧によってコーナーモードへ押し上げる仕組みを採用している。しかし上海では、高速走行時にウイングへかかる空気抵抗に対して必要な油圧を過小評価していた。

    その結果、コーナーモードに切り替えても、速度が高い状態では空力負荷に押し返され、ウイングが完全な位置まで戻りきらなかった。減速して空力負荷が下がった段階でようやく完全に閉じるという挙動になっていた。

    つまり“途中で止まって見える”現象は、複雑な制御ではなく、単純に力が足りていなかったことによるものだった。

    FIAは問題なしと判断 ただし再発は許されない
    この件についてFIAはメルセデスと協議を行い、説明に納得。違反や不正行為はないと判断した。

    また、メルセデスがすでにブラックリーのファクトリーで油圧システムの改良に取り組んでいることも確認されており、意図的な仕組みではないと裏付けられた。

    ただし、レギュレーション自体は明確であり、今後同様の“多段階的な動き”が再び確認された場合は、規則違反として扱われる可能性が高い。

    一時は“高度な空力トリック説”も浮上
    この挙動をめぐっては、当初さまざまな技術的推測が飛び交った。

    フロントウイングが段階的に変化することで、マシンの空力バランスをリア寄りに保ち、ブレーキング時の安定性を向上させるのではないかという見方や、エネルギー回生効率を高めるための仕掛けではないかという説もあった。

    さらに、ウイングの角度が徐々に変化することで前方ダウンフォースの移動をコントロールし、フロントロックを防ぎながらより低い車高設定を可能にするという分析も出ていた。

    しかし実際には、こうした“巧妙なトリック”ではなく、むしろパフォーマンス的には不利に働く単純な問題だった。特にブレーキング時の挙動に悪影響を及ぼし、ラップタイム面でもメリットはなかったと分析されている。

    今回の件は、2026年F1に導入されたアクティブエアロの厳格な運用基準を改めて浮き彫りにした。メルセデスのケースは違反ではなかったものの、今後はより厳しい監視の対象となることは間違いない。

  • メルセデスF1 アルピーヌF1チーム買収に待った FIA介入で構図一変か

    メルセデスF1 アルピーヌF1チーム買収に待った FIA介入で構図一変か

    メルセデスのトト・ヴォルフがアルピーヌへの出資を検討している問題が、F1パドックで大きな波紋を広げている。エンストン拠点の同チーム株式を巡る争いは、単なる投資案件にとどまらず、F1全体の構造に影響を及ぼしかねない状況となっている。

    2026年にメルセデス製パワーユニットを搭載するアルピーヌに対し、ヴォルフが出資すれば関係強化につながる一方、「2チーム支配」という極めてデリケートな問題をはらんでいる。

    アルピーヌ株式売却を巡る三つ巴の構図
    現在、Otro Capitalが保有する24%の株式売却を巡り、複数の候補が浮上している。

    クリスチャン・ホーナーの関与が長らく報じられてきたが、ここにきてトト・ヴォルフも正式に関心を示した。さらに元チーム代表オトマー・サフナウアーの名前も取り沙汰されており、争いは混戦状態となっている。

    アルピーヌ側は当初よりもヴォルフ案に傾いているとも報じられ、ルノーCEOが承認すれば、ヴォルフが「オペレーションの完全な主導権」を握る可能性もあるとされている。

    FIAが介入の可能性 利益相反が最大の障壁
    しかし、この取引に対して最も大きな懸念として浮上しているのが「利益相反」だ。

    メルセデスがアルピーヌに出資すれば、実質的に2チームをコントロールする構図となる。これは現在のレギュレーションやF1コミッションの枠組みに抵触する可能性がある。

    ジャーナリストの報道によれば、この問題はFIAだけでなくEUレベルの規制にも発展する可能性があり、取引そのものが阻止される可能性があるという。

    また、この動きはカスタマーチーム構造にも影響を及ぼす。メルセデスが供給先を2チームに絞る方針を取れば、マクラーレンがエンジン供給を失う可能性も浮上している。

    「Bチーム化」否定も広がる不信感
    ヴォルフはアルピーヌをメルセデスの「Bチーム」にする意図はないと強調している。

    しかし、レッドブルとレーシングブルズの関係を巡る議論が続く中、F1関係者の間では同様の構図が再び生まれることへの警戒感が強い。

    マクラーレンのザク・ブラウンがこれまで一貫して「複数チーム体制」を批判してきたように、他チーム首脳がこの動きを歓迎しない可能性は高い。

    実際、メルセデスのライバル勢はこの交渉の行方を注視しており、F1全体のパワーバランスを左右する案件として警戒を強めている。

    アルピーヌF1チーム

    アルピーヌの決断がF1勢力図を左右する
    最終的な判断はアルピーヌ側に委ねられている。

    資金力と技術連携の強化というメリットを取るのか、それともスポーツとしての独立性や政治的リスクを重視するのか。

    今回の買収劇は単なるチームの将来を超え、2026年F1の勢力図そのものを揺るがす決断となる可能性がある。

    TokyoDrift2026

  • メルセデスF1、W17のディフューザーの「巨大な開口部」が話題

    メルセデスF1、W17のディフューザーの「巨大な開口部」が話題

    メルセデスF1が公開した2026年F1マシン「W17」のシェイクダウン画像で、異例とも言えるディフューザー形状が確認されている。サイド後方に大きな開口部を設けたこの設計は、一見すると2009年に話題となった“ダブルディフューザー”を想起させるが、実際の狙いは異なるようだ。

    メルセデスは、F1のディフューザー規定に対して全く異なる解釈を見つけたようにも見える。

    F1テクニカル解説者のクレイグ・スカーボローは、この開口部について「ダブルディフューザーとは呼ばない」と指摘。ディフューザー側面に設けられた大きな“穴”は、サイドポッドの深いアンダーカットと連動し、アンダーフロアを流れる気流をより強力に引き抜く役割を果たしている可能性があるという。

    この構造は、過去にメルセデスが断続的に採用してきた、いわゆる“マウスホール”概念を発展させたものと見られる。ディフューザー内部の圧力分布を制御しつつ、外部からの気流でフロアのシール性を高めることで、床下の負圧を安定的に維持する狙いがあると考えられる。単なる冷却目的や局所的な抜けではなく、ディフューザー全体の作動を前提とした空力設計であることを示唆している。

    スカーボローは、この構造によって“ブロウンディフューザー的な効果”を生み出す余地すらあると示唆しており、2026年レギュレーションの解釈において、メルセデスが一歩踏み込んだ可能性が浮かび上がる。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    W17は1月22日、シルバーストン・サーキットでシェイクダウンを実施。ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリがドライブし、全長2.979kmのインターナショナル・レイアウトで合計67周、約200km弱を走破した。

    走行後、トラックサイド・エンジニアリング・ディレクターのアンドリュー・ショブリンは「シェイクダウンとして堅実な初日だった。安全性と信頼性の確認が目的で、予定していた走行距離を問題なく消化できた」とコメント。マシンはブラックリーおよびブリックスワースでの作業成果を反映し、初走行から安定した稼働を見せたとしている。

    メルセデスはこの後、1月26日から始まるバルセロナでの走行に臨む予定だ。W17のディフューザーに見られる大胆な解釈が、実走データの中でどのような性能特性を示すのか。2026年F1新時代を占う、重要な技術的試金石となりそうだ。

  • メルセデスF1、W17レンダリングのリア設計は異端か煙幕か

    メルセデスF1、W17レンダリングのリア設計は異端か煙幕か

    メルセデスAMG・ペトロナスF1チームが公開した2026年F1マシン「W17」のレンダリングは、特にマシン後方3分の2の処理において、非常に特徴的な設計を示している。下部ボディワークはリアに向かって持ち上がるような“キンク”を描き、これまで確認されてきた他チームの2026年型マシンに見られる、極端なダウンウォッシュ志向のサイドポッドとは明確に異なる方向性だ。

    もっとも、これはあくまでCGレンダーであり、実車そのものではない。そのため、現時点で過度な解釈を行うのは難しいという前提は忘れてはならない。

    注目点のひとつは、フロントサスペンションに引き続きプッシュロッド方式を採用している点だ。メルセデスは2025年シーズンにおいても、フロントにプッシュロッドを使う少数派だったが、2026年レギュレーションでは多くのチームが同様の選択に向かっているように見える。

    プッシュロッドは同じ強度条件であれば構造的に軽量化しやすく、最低重量が770kgへと引き下げられた新レギュレーション下では、その点が大きな判断材料になっている可能性が高い。

    F1 メルセデスメルセデスは、2026年の新レギュレーションでもプッシュロッド式フロントサスペンションを維持した。

    フラットボトム化された2026年マシンでは、グラウンドエフェクト全盛期ほど高い剛性がプラットフォームに求められなくなる。車高は相対的に高くなり、低速コーナーでの自然なアンダーステアを抑えるため、ブレーキング時にノーズを沈ませて空力圧中心を前方に移動させる“ダイブ”の活用が再び見られるだろう。そうした状況では、剛性制御に優れるプルロッド方式の価値は以前ほど高くない。

    フロント周りを見ると、ノーズは3枚構成のフロントウイング中央要素にピラーで支持されており、その下には大きなスロットが確保されている。これはアンダーフロアへの気流供給を最大化する意図が明確だ。ベンチュリトンネルの廃止によってアンダーフロア由来のダウンフォースが減少するなか、リア側のダウンフォース創出はこれまで以上に重要になる。レンダーを見る限り、メルセデスはこの課題に強くコミットしているように映る。

    サイドポッド前方、いわゆるフロアボード部に目を向けると、新レギュレーションの意図がはっきりと反映されている。これはフロントタイヤ後流をアウトウォッシュさせるのではなく、あえてインウォッシュとして床下に導くための規定だ。後続車にとってはより乱れた空気となる一方、単体での空力効率を高める狙いがある。W17のレンダーでは、許可されたベーンの配置が明確にインウォッシュ方向へ揃えられている。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツメルセデスのサイドポッド/エンジンカバーの配置とインウォッシングフロアボードは、興味をそそるかもしれない。

    対照的なのが、イモラで走行したレーシングブルズのマシンだ。同チームは、フロアボード内に許された3枚のベーンを用いながらも、インウォッシュ効果を最小限に抑えるようなアライメントを選んでいるように見える。このほうが直感的には理にかなっているとも言えるが、繰り返しになるものの、W17のレンダーが実車を正確に反映しているかはまだ分からない。

    実車がバルセロナでのシェイクダウンで姿を現した際に確認すべき点は他にもある。サイドポッドおよびエンジンカバーの断面形状が、本当にレンダーのようにフラットなのか。それとも、新レギュレーションへの“自然な反応”とも言える強いダウンウォッシュ形状が実際には組み込まれているのか。

    もし実車が、レンダー通りのサイドポッド/エンジンカバー構成と、強くインウォッシュに振ったフロアボードを採用していたとすれば、メルセデスが新レギュレーションの相反する要求をどのように折り合わせたのか、多くのチームが理解しようと躍起になるだろう。

    これは本当に、メルセデスが切り拓いた“異端の空力解”なのか。それとも、ライバルを惑わせるための意図的なミスリードに過ぎないのか。答えは、実車が走り出したときに明らかになる。

  • ウィリアムズF1代表ジェームス・ボウルズ「2026年はメルセデスが本命」

    ウィリアムズF1代表ジェームス・ボウルズ「2026年はメルセデスが本命」

    2025年シーズンをコンストラクターズランキング5位で終えたウィリアムズF1チームは、2026年F1レギュレーションという大きな転換期を前に、さらなる前進を目指している。グローブのファンが思い描く理想像は、メルセデス製パワーユニットの大きな後押しを受け、2014年にランキング3位を獲得し、その翌年も同順位を維持したあの成功体験だ。

    しかし、チーム代表のジェームス・ボウルズは、期待を過度に高めることには慎重だ。

    仮に新しいメルセデスのパワーユニットが非常に競争力のあるものになったとしても(最近取り沙汰されている規則上の論争は別として)、ウィリアムズが2014年や2015年の再現を果たせるとは考えていない。

    なぜウィリアムズF1はメルセデスに勝てないのか
    「もしメルセデスが際立って優れている点があるとすれば、それはレギュレーションが変わる時だ」と、かつてブラックリーで長年戦略部門を率い、トト・ヴォルフの右腕として働いてきたボウルズは語った。これは『Motorsport Week』の取材に対するものだ。

    「それは100%明らかだ。我々は将来ワールドチャンピオンを狙えるチームになるため、できる限りのことをしてきたが、現時点ではまだメルセデスほどの施設も能力も持っていない。事実はそうで、話は単純だ」

    まだサーキットでの実測データはなく、各チームはシミュレーターを用いて勢力図を推測している段階に過ぎない。それでもボウルズは、2026年に向けて倒すべき相手はメルセデスになる可能性が高いと見ている。

    「彼らはほぼ規則の理解と最適化に集中して準備を進めてきた。一方で、私がやってきたことは、将来に向けた基盤作りが中心で、同時に2026年マシンにも少しずつ焦点を当ててきたというものだ」

    「つまり、来年メルセデスがどの位置にいるのかは分かっているし、彼らが非常に強くなることは確信している。我々はウィリアムズF1チームを、一歩ずつ、毎年成長させていかなければならない。そして、それができる力はあると思っている」

  • メルセデスF1代表 “アントネッリが譲った”発言のフェルスタッペン陣営を批判

    メルセデスF1代表 “アントネッリが譲った”発言のフェルスタッペン陣営を批判

    メルセデスF1チーム代表のトト・ヴォルフは、2025年F1カタールGP終盤におけるジャンピエロ・ランビアーゼ(マックス・フェルスタッペンのレースエンジニア)の無線発言を「ブレインレス(考えなし)」と痛烈に批判した。

    問題となったのは、ランド・ノリスがキミ・アントネッリをペナルティメットラップで追い抜いた場面について、ランビアーゼがフェルスタッペンに「アントネッリがただ脇に寄ってノリスを行かせたように見える」と伝えたこと。これにヴォルフが強く反応し、レース後の取材で厳しい言葉を投げかけた。

    ノリスの逆転オーバーテイクが引き起こした火種
    レース終盤、ノリスはアントネッリの後ろでしばらく苦戦していたが、メルセデスの新人がターン10でワイドにふくらんだことでオーバーテイクが成立。この2ポイント差がタイトル争いに大きく影響し、最終戦アブダビへのノリスのリードは 12ポイント に。

    ランビアーゼはこの場面について無線でフェルスタッペンに「アントネッリはただ引き返ってノリスを行かせたように見える」と伝え、これがヴォルフの逆鱗に触れた。

    ヴォルフ「完全なナンセンス。腹が立つ」
    ヴォルフはレース後のSky Sportsの取材で、明確に怒りを表した。

    「これは完全にナンセンスだ。そんなことを言うなんて信じられない」

    「我々はコンストラクターズ選手権の2位を争っている。キミ自身もポディウム(3位)を狙って戦っていた。どうすればこんなことを言えるのか?腹が立つ。レース内容にもミスにも怒っているが、この発言は本当に理解できない」

    ヴォルフは、アントネッリの走行が“意図的”である可能性を強く否定した。

    ジャンピエロ・ランビアーゼ(マックス・フェルスタッペンのレースエンジニア)

    ランビアーゼはすでに謝罪、ヴォルフも「空気はクリアになった」
    一方、彼はすでにランビアーゼ本人と会話したことも明かした。

    「GP(ランビアーゼ)と話した。彼はあの瞬間とてもエモーショナルだったのだろう。彼らはP3が必要だったんだ。今の結果ではタイトル争いの条件が変わってしまった」

    「私は彼に言った。『キミはただオフしただけだ』と。前のコーナーで少し挙動が乱れ、その影響で次の左コーナーの進入スピードが落ち、そこでアクセルを入れた時にああいうことは起こり得る。GPとはすべてクリアだ」

    ランビアーゼは「状況を見ていなかった」と釈明し、SNSで騒ぎになったことへの謝罪も行ったという。

    アントネッリ「予想外の“マッシブ・モーメント”。ただのミス」
    当のキミ・アントネッリも、ノリスへの“譲り”疑惑を完全否定した。

    「正直、とても悔しい。ポディウムが近かっただけにね」

    「カルロス(サインツ)の後ろで多くの時間を失った。ダーティーエアがきつくて、タイヤのオーバーヒートも酷かった。ハードでカルロスに追いつくためにプッシュした結果、ターン9で少し速く入りすぎて大きなスライドが出た」

    「予想外だったけど、とにかくリアを失ってコースオフした。ただのミスだよ。あそこでポジションを失ったのは本当に残念だった。あと2ポイントあったはずなのに」

    アントネッリは状況を具体的に説明し、パフォーマンスの限界を攻めた結果だったと語った。

    タイトル争いは最終戦アブダビへ
    この結果、ランキングは以下のように推移した。

    ・ランド・ノリス:首位、フェルスタッペンに対して 12ポイント差
    ・マックス・フェルスタッペン:2位
    ・オスカー・ピアストリ:首位から 4ポイント差の3位

    最終戦アブダビは、3者によるタイトル決定戦となる。

  • トト・ヴォルフ メルセデスF1の持株一部をクラウドストライクCEOに売却

    トト・ヴォルフ メルセデスF1の持株一部をクラウドストライクCEOに売却

    メルセデスF1のCEO兼チーム代表であるトト・ヴォルフが、自身の持ち株会社の一部をサイバーセキュリティ大手クラウドストライクの創業者兼CEO、ジョージ・カーツに売却した。これにより、カーツはメルセデスF1チームの株式5%を保有することになる。

    カーツが取得したのは、ヴォルフが保有する持株会社の15%。メルセデスF1は現在、メルセデス・ベンツ、イネオス、そしてヴォルフの3者がそれぞれ3分の1ずつ出資する体制となっており、今回の取引はヴォルフの持分の一部がカーツに移動した形だ。

    さらにカーツは、メルセデスの戦略ステアリング委員会に加わり、チームの技術戦略に関するアドバイザーも務めることが発表された。委員会にはメルセデス会長のオラ・ケレニウス、イネオスCEOのジム・ラトクリフ、そしてトト・ヴォルフが名を連ねており、新体制は技術分野での意思決定を強化する狙いがあるという。

    ヴォルフはカーツの加入について次のように歓迎した。

    「ジョージの経歴は非常に幅広く、レーサーでもあり、メルセデス-AMGのスポーツアンバサダーであり、卓越した起業家でもある。レースの要求を理解すると同時に、テクノロジー企業を立ち上げ成長させる現実も理解している。その組み合わせは、F1の未来にますます関連性を持つ特別な洞察をもたらしてくれる」

    一方、スポーツカーの経験豊富なレーサーでもあるカーツは、新たな役割への意欲をこう語った。

    「レースでもサイバーセキュリティでも、勝利にはスピード、精度、そしてイノベーションが求められる。ミリ秒が重要で、実行力が勝敗を分け、データが勝つ。テクノロジーは競争優位と人間の能力をあらゆる分野で再定義している。チームが安全に前進できるよう貢献できることを楽しみにしている」

    今回の株式移動はメルセデスF1の経営体制に大きな変更をもたらすものではなく、ヴォルフはこれまで通りチーム代表兼CEOとしての地位を維持する。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    60億ドルの高評価が示すF1チーム価値の急騰とメルセデスF1の強固な経営基盤
    今回の取引は、メルセデスF1チームの企業価値を60億ドル(約9300億円)と評価した上で成立したもので、これはF1チームとして歴史的に最高クラスの評価額となっている。この評価額に基づけば、ヴォルフが売却した持株の対価はおよそ3億ドル(約460億円)に相当する。

    F1では近年、チーム価値の高騰が続いており、今年9月にはマクラーレンの企業価値が35億ポンド(約6500億円)と算出されるなど、F1チームが世界的スポーツフランチャイズに近い水準まで上昇している。メルセデスF1は、フェラーリに次ぐ“F1で最も価値の高いチーム”として位置づけられており、今回の取引がその評価をさらに裏付ける形となった。

    メルセデスF1の収益源は、スポンサーシップ、F1の分配金、ライセンス収入、さらにはウィリアムズやアストンマーティンへのギアボックス供給といった技術支援による収益に支えられている。2023年にはチーム収益が6億3600万ポンドに達しており、この高い収益性が企業価値の上昇を後押ししている。

    また、今回のカーツの参画は、単なる投資にとどまらず、F1がアメリカ市場で急速に拡大している現状とも関係している。
    Netflix『Drive to Survive』のヒットや、アメリカ国内でのレース増加(オースティン、マイアミ、ラスベガス)の追い風を受け、F1は米国で最も成長しているスポーツコンテンツのひとつとみなされており、カーツ自身も「F1のバリュエーションはNBAやNFLに近づく可能性がある」と語っている。

    なお、メルセデスF1の株主構成そのものは変わらず、メルセデス、イネオス、ヴォルフ(とその持株会社)が引き続き“3つの柱”としてチームの大枠を支える体制に変更はない。カーツの参画はあくまでヴォルフの個人持分の一部取得であり、チーム全体の意思決定構造に直接的な変化はないものの、技術戦略に関する議論への新たな視点をもたらすと期待されている。