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  • ルノーF1、レッドブルに改めて最後通牒 「遅らせる理由が理解できない」

    ルノーF1、レッドブルに改めて最後通牒 「遅らせる理由が理解できない」

    ルノーF1は、レッドブル・レーシングとの新たなF1エンジン供給契約の最終期限を5月末まで延期したのは、そこがサプライヤーに部品を注文するためのリミットだからだと説明し、改めて最後通牒を突きつけた。

    レッドブルは、長年のパートナーであるルノーとのF1エンジン継続するか、もしくはルノーとの契約を打ち切ってホンダとワークス契約を結ぶかを継続して評価している。

    F1の競技規則では、F1のパワーユニット製造者は来シーズンにどのチームにパワーユニットを供給するかについて5月15日以前までにFIA(国際自動車連盟)に通知する必要があると記されている。

    だが、その期日には柔軟性があり、全パワーユニット製造者とFIAの間で書面で合意されれば、その最終期限を延長することができる。

    レッドブル・レーシングは、ホンダとルノーがアップグレードを投入する6月のF1カナダGPまで両方のエンジンの進歩を判断するのを待ちたいと考えているが、ルノーは当初の15日から延期はするものの、5月31日が限界だと最後通牒を突きつけている。

    昨年、ルノーはマクラーレンとの契約を9月まで待ったが、今回はそのように待つことはできないと主張する。

    「去年は単純に2つのカスタマーチーム間での交換だったので遅れても変更することができた」とルノー・スポーツF1のマネージングディレクターを務めるシリル・アビテブールは Autosport にコメント。

    「サプライヤーの数に変更がなかったので、注文した部品の数量を変更する必要はなかった。一定のチーム数を保っていたからだ。現在、私は契約しているチームの数しか部品を注文することはできない」

    「だが、特定の期日までしかレッドブル・レーシングへのルノーエンジンの供給は保証できない。それくらいシンプルなことだ」

    シリル・アビテブールは、部品の供給契約を確保するには“非常に長いリードタイム”が必要であり、通常は“5月中旬から5月末”には完了していることだとし、ルノーとして部品のサプライヤーと通常の最終期限を遅らせることについて交渉したが、“大幅に期日を延期することはできなかった”と説明した。

    「我々が面倒なことを避けているからではなく、単純に部品を注文する必要があるからだ」とシリル・アビテブールは強調する。

    「我々は、パワーユニット製造元がカスタマーチームに供給する義務に関して、特定の通知期間を設けることで2015年から2016年にかけてFIAと協議した。その通知期間は前年の5月15日だ」

    「それを決めたことには理由があるし、それらの理由は変わっていない。我々がレッドブルに決定を促しているのはそれが理由だ」
    レッドブルはコスワースとフェラーリのカスタマーだった最初の2シーズンを除けば、それ以降ずっとルノーのF1エンジンを使用してきた。ホンダと契約を結べば、レッドブル・レーシングにとっては初のワークス契約となる。

    シリル・アビテブールは、そのような動きの重要性はパフォーマンスの向上よりもはるかに大きな決定であるため、遅れていることに困惑していると語る。

    「彼らが答えを出す必要があるのは、彼らがファクトリーチームになりたいのか、もしくはルノーのカスタマーチームのままでいたいのかどうかだ」とシリル・アビテブールはコメント。

    「1つのレースにおけるパフォーマンス改善だけの問題ではない。リードタイムに苦労するだけではない。我々にはなぜ遅らせる必要があるのか理解できない」

  • トロロッソ・ホンダ:2018年 F1スペインGP プレビュー

    トロロッソ・ホンダ:2018年 F1スペインGP プレビュー

    トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレー、そして、ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、2018年のF1世界選手権 第5戦 スペインGPにむけての意気込みを語った。

    ウインターテストの開催地でもあり、F1関係者にとっては馴染み深いカタロニア・サーキットで、ヨーロッパラウンドの幕が開く。テストで走り込んだ場所とはいえ、レースでは何が起こるか分からない。コンディションの変化も相まって、サプライズが起きる可能性もあるレースとなる。

    ピエール・ガスリー
    「バルセロナはF1に昇格する前からテストで頻繁に利用してきたので、今までに地球数周分は走っています。また、ユーロカップフォーミュラでチャンピオンを獲得し、2015年のテストで初めてF1マシンに乗ったサーキットでもあるので、いい思い出がある場所です。そして、ウインターテストでいい走りができていたので、今週末の決勝ではポイント獲得も可能だと思います。カタルニアでいい走りができればどのサーキットでもできると言われますが、カタルニア固有の特徴も多くあります。決勝でのオーバーテイクは難しいと思うので、予選が重要です。F1の予選は、1回のセッションでわずか2周ほどしかアタックすることができず、簡単ではありません。しかも、トラフィックなどで前を阻まれるとアタックのチャンスは1周のみになることもあり、そこで決めるしかありません。ただ、それが面白いところでもあると思っています。フランスから家族や友達が応援に来てくれる予定です。それによるプレッシャーは特に感じませんし走行後にはリラックスした時間を過ごせるでしょう。このような形で仲間からのサポートを得られるのが、ヨーロッパラウンドのいいところです」

    ブレンドン・ハートレー
    「バルセロナは全てのF1ドライバーにとって最も馴染みがあるサーキットなので、ライバルを出し抜くのは簡単ではありません。ただ、それもここでのチャレンジのひとつです。このサーキットは、テストはもちろん、多くのチームのシミュレーターでも使われているのですが、それはここが全ての要素を備えているからだと思います。走っていて楽しいですが、特に長い右コーナーは首に負担がかかり、身体的にもタフなサーキットです。オーバーテイクは簡単ではないので、予選がとても重要です。タイヤの性能を引き出せていなかった去年と比べると、今年の予選でのパフォーマンスには満足しています。マシンとタイヤに対する理解が日に日に増しているので、自信を持って予選に臨めます。燃料が減りタイヤが温まってマシンの性能を出し切ることができる予選は、週末の中でも楽しい時間です。F1マシンが真価を発揮する瞬間と言えるでしょう。トラクションが必要な最終セクターのためにリアタイヤを温存する必要があり、タイヤマネジメントがとても重要です。高速コーナーが続くコース序盤でリアタイヤを消耗しやすく、それが予選でのポイントになるでしょう」

    田辺豊治 (ホンダF1 テクニカルディレクター)
    「第5戦が行われるカタルニアサーキットは、2月にオフシーズンテストを行ったトラックで、その際は低温や雨、想定外の雪に見舞われました。一方で、今週末は比較的温かく、当時とは大きくコンディションが異なりますが、ウインターテストのデータとここ4戦で得たデータを活かし、セットアップを進めます。トラックレイアウトは高速コーナー、低速コーナー、それに比較的長いストレートの組み合わせで、バラエティーに富んでいます。先日のバクーではストレートでのスピード不足に苦戦しましたが、その後の分析によりエネルギーマネジメントの運用が大きく影響したことが分かっており、その経験をここスペインで活かすことができると考えています。オーバーテイクが難しいサーキットですので、予選でのパフォーマンスが重要となります。ベストな結果を得られるよう、チームと準備を進めます」

    関連:2018年 F1スペインGP テレビ放送時間&タイムスケジュール

  • 「トロロッソ・ホンダのスランプはエンジンだけが原因ではない」

    「トロロッソ・ホンダのスランプはエンジンだけが原因ではない」

    トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーは、過去2戦でのパフォーマンス不足はホンダのF1エンジンだけが原因ではないと語る。

    今年からホンダF1とトロロッソが結成したトロロッソ・ホンダは、開幕戦こそ最下位とリタイアという厳しいスタートとなったが、2週間後のバーレーンGPではピエール・ガスリーが4位入賞。それはホンダにとって2015年にF1復帰して以降のベストリザルトとなった。

    しかし、その後の2戦でトロロッソ・ホンダはそのパフォーマンスを再現することができず、中国とアゼルバイジャンではほぼ後方での苦しい戦いとなった。

    ピエール・ガスリーは、トロロッソ・ホンダはバーレーンでの強力なパフォーマンスの後にスランプに陥った原因を理解できなかったとし、問題の原因はホンダのF1エンジンだけではないと述べた。

    「過去2つの週末はパフォーマンス的に本当に厳しかったし、本当に難しい」とピエール・ガスリーはコメント。

    「中国がシーズンで最長のストレートのひとつを有していることはわかっていた。バクーもそうだね」

    「シャシー面でさえ、それほど競争力がなかった。ブレーキングでは競争力があったけど、全てのトラクションが不足していた。僕たちにはあまりペースがなかった。そこは理解する必要がある部分だ」

    「自分自身でもどうすれば競争力を発揮できるか理解できていない。クルマはバランス的には優れているし、ポテンシャルもあるので、別のトラックに行くとすぐに大きなデルタが生じてしまう」

    チームメイトのブレンドン・ハートレーも、トロロッソ・ホンダが苦戦を強いられている理由を理解できずにいると語る。

    「わかっていればよかったんだけどね」とF1アゼルバイジャンGPでF1初ポイントを獲得したブレンドン・ハートレーはコメント。

    「僕たちがバーレーンであそこまで速かったのは明らかな疑問だ」

    「ピエールは結果を出した。僕もバーレーンでペースがあったけど、結果に繋げることはできなかった」

    「答えを出せていないし、チームは理解するために引き続き頑張っている。でも、そうだね、バーレーンの結果はほんの数週間前のことだ」

    F1アゼルバイジャンGP後、ピエール・ガスリーは、パワーユニットのエナジーマネジメントがチームにとって“かなり難しい”部分だと語っていた。

    ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、ホンダはパフォーマンス不足の解決策を見つける必要があると認めた。

    「我々は再び厳しい週末を過ごしました」と田辺豊治はコメント。

    「予選でのペース、特にガスリーのクルマはそれほど悪くはありませんでした。インシデント(ガスリーは予選Q1の最後のアタックでハートレーを避けなければならなかった)によってポジションは悪かったですけどね」

    「レース中のペースは十分ではありませんでした。我々はそれを分析する必要があります」

    「レースではかなり追い抜かれていました。エナジーマネジメントとパワーユニットのパフォーマンスを分析する必要があります」

  • ホンダF1 「スピード不足はエネルギーマネジメントの運用が影響していた」

    ホンダF1 「スピード不足はエネルギーマネジメントの運用が影響していた」

    ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、2018年のF1世界選手権 第5戦 スペインGPにむけての対策を語った。

    前戦アゼルバイジャンGPではブレンドン・ハートレーが10位入賞を果たしたものの、ストレートでのスピード不足に苦戦を強いられたトロロソ・ホンダ。ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、レース後の分析でエネルギーマネジメントの運用に原因があったことがわかったと語る。

    「第5戦が行われるカタルニアサーキットは、2月にオフシーズンテストを行ったトラックで、その際は低温や雨、想定外の雪に見舞われました。一方で、今週末は比較的温かく、当時とは大きくコンディションが異なりますが、ウインターテストのデータとここ4戦で得たデータを活かし、セットアップを進めます」と田辺豊治はコメント。

    「トラックレイアウトは高速コーナー、低速コーナー、それに比較的長いストレートの組み合わせで、バラエティーに富んでいます。先日のバクーではストレートでのスピード不足に苦戦しましたが、その後の分析によりエネルギーマネジメントの運用が大きく影響したことが分かっており、その経験をここスペインで活かすことができると考えています」

    「オーバーテイクが難しいサーキットですので、予選でのパフォーマンスが重要となります。ベストな結果を得られるよう、チームと準備を進めます」

    関連:2018年 F1スペインGP テレビ放送時間&タイムスケジュール

  • ホンダF1、レッドブルと組んでマクラーレンの二の舞を踏まないのか?

    ホンダF1、レッドブルと組んでマクラーレンの二の舞を踏まないのか?

    ホンダF1が、2019年からレッドブル・レーシングにF1パワーユニットを供給する可能性が高まっている。そこで最も心配なのはマクラーレン・ホンダ時代のような二の舞を踏まないかどうかだ。

    F1アゼルバイジャンGPの週末、ホンダF1が、2019年以降のF1パワーユニット供給についてレッドブル・レーシングとの交渉を正式に開始したことが明らかになった。その交渉は次戦F1スペインGPでもさらに続けられると報じられている。

    ホンダのF1パワーユニットはマクラーレンと組んだ3年間で信頼性とパフォーマンス不足が露呈し、昨シーズン限りでマクラーレンから三行半を突きつけられるかたちで契約を解消した。特にパートナーシップ後半はマクラーレンからの批判は辛辣さを増し、ホンダの評判は著しく低下した。ホンダは、マクラーレンへの“信用”を失うかたちとなった。

    レッドブル・レーシングも過去にダブルタイトルを獲得した強豪チーム。エンジンパートナーへの批判はマクラーレンに負けないものがある。

    しかし、2014年にV6ターボパワーユニットが導入されて以降、ルノーのエンジンのパフォーマンスと信頼性の低さは顕著となり、一旦レッドブル・レーシングとトロロッソは2015年シーズン限りで契約を打ち切ることを決定している。しかし、レッドブル・レーシングにエンジンを供給するメーカーは現れず、ルノーのエンジンに“タグホイヤー”のバッチをつけて搭載することで決着。一方、トロロッソは1年間、フェラーリの1年落ちのパワーユニットを搭載することを強いられている。さらに2016年にルノーがワークス復帰して以降、レッドブル・レーシングはカスタマー待遇となったことでその関係はさらに冷え切っている。

    今年、ホンダはトロロッソとのパートナーシップを開始し、良好な関係を築いている。中堅チームのトロロッソは、ホンダとのワークス関係を“これまでで最高の状況”だと喜んでおり、カスタマーではできなかった完全な設計プロセスにおいてホンダと協力体制を築けていることで、2019年F1マシンの開発においてモチベーションを高めている。

    だが、トロロッソはレッドブルの姉妹チーム。当然、ワークス契約を締結してはいるものの、ヒエラルキーでは2番手となるだろう。チーム代表のフランツ・トストも「それはレッドブル次第だ。我々は彼らの決定には関係していない」と覚悟はできているようだ。

    レッドブル・ホンダの提携は、マクラーレン・ホンダのようにホンダが資金を投入することはないと考えられているが、エンジンパートナー以上のより強力な提携になる可能性があると考えている。当然、レッドブル・レーシングは“勝てるパワーユニット”を求めてくるはずだ。しかも、F1復帰となったマクラーレン時代とは異なり、ホンダはすでに復帰後4シーズン目に突入しており、即戦力となるパワーユニットが求められる。

    トロロッソ・ホンダとしての初のプレシーズンテストではホンダのF1パワーユニットは見違えるほどの信頼性を発揮し、今シーズンへの期待をもたせたが、開幕戦ではMGU-Hの故障が発生。第2戦バーレーンGPこそピエール・ガスリーが4位入賞を果たしたものの、続く2戦では中団ではなく、下位グループに属していた。

    F1の競技規則では、F1のパワーユニット製造者は来シーズンにどのチームにパワーユニットを供給するかについて5月15日以前までにFIA(国際自動車連盟)に通知する必要があると記されているが、全パワーユニット製造者とFIAの間で書面で合意されれば、その最終期限を延長することができる。しかし、ルノーは、レッドブル・レーシングに2019年のF1エンジン契約に関してF1の競技規則で定められた5月15日という最終期限を延長する意向はないと明言。

    ホンダとルノーの両社は、6月のF1カナダGPでアップグレードの投入を予定しており、両方のエンジンが2019年にどれくらい競争力を発揮できるかが明確になるとみられているが、レッドブル・レーシングは、それらのデータを分析して決断を下す余裕はなくなった。

    レッドブル・レーシングが、ホンダを選んだ場合、それは今後のホンダのパワーユニット計画に対する“信用”で選ぶことになる。ホンダはマクラーレン時代の失敗を繰り返さずにそれに答えることができるのだろうか? 今週末のスペインGPでの交渉に注目が集まる。

  • トロロッソ・ホンダ、スペインGP後のテストにガスリー&ゲラエルを起用

    トロロッソ・ホンダ、スペインGP後のテストにガスリー&ゲラエルを起用

    トロロッソ・ホンダは、F1スペインGP後にカタロニア・サーキットで行われるインシーズンテストにピエール・ガスリーとショーン・ゲラエルを起用することを発表した。

    2018年のF1スペインGPでは2日間のインシーズンテストが2回予定されており、1回目のテストはF1スペインGP後の5月15日(火)・16日(水)にカタロニア・サーキットで行われる。

    インシーズンテストは計4日間のうちの2日間をレギュラードライバー以外の若手ドライバーの担当が義務付けられている。

    トロロッソ・ホンダは、F1スペインGP後のテストでピエール・ガスリーとともにF2ドライバーのジョーン・ゲラエルを起用することを発表。15日(火)にショーン・ゲラエル、16日(水)にピエール・ガスリーがテストを担当する。

    インドネシア出身のジョーン・ゲラエル(21歳)は、2017年からトロ・ロッソからテストに参加し、4回の金曜フリー走行に出走。2015年、シーズン中盤からGP2に参戦するゲラエルは、今年はプレマからF2に参戦。3年目のフル参戦を迎えている。

    ホンダには福住仁嶺、牧野任祐、松下信治という育成ドライバーがあり、トロロッソとコネクションがある。だが、二人ともF1参戦に必要なスーパーライセンスポイントを満たしておらず、松下信治以外はフリー走行に出走する条件も満たしていない。

    2018年からはフリー走行限定のスーパーライセンスの基準が厳格化されている。ドライバーはF2選手権で6戦以上レースをするか、過去3戦間で25点のスーパーライセンスポイントを獲得しなければならなくなる。

    また、これまでの2日間で300kmのF1マシンでの走行、ルールの知識、そして、FIA国際スポーティングコードの付録L第5条“シングルシーター・フォーミュラカーで優れた能力を実証しなければならない”というFIAの判断に関する要件も引き続き必要となる。

    ショーン・ゲラエルは、25点のスーパーライセンスポイントは獲得できていないが、F2でフルシーズンを戦っているため発給資格は満たしている。

    福住仁嶺は21点、牧野任祐は11点とスーパーライセンスポイントが足りず、F1マシンでの走行経験もない。そのため、F2選手権に6戦以上参戦し、F1マシンで300kmのテスト走行を行う必要がある。松下信治は、昨年F2にフル参戦し、ハンガリーテストでザウバーのF1マシンで300km以上を走り込んでいる。

  • ホンダF1、レッドブルとのエンジン契約にむけてスペインGPで更なる交渉

    ホンダF1、レッドブルとのエンジン契約にむけてスペインGPで更なる交渉

    ホンダF1とレッドブル・レーシングは、2019年以降のF1エンジン契約についてF1スペインGPが開催されるバルセロナでさらなる交渉を予定している。

    先週末、F1アゼルバイジャンGPが開催されたバクーで、本田技研工業のモータースポーツ部長を務める山本雅史とレッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコが2019年以降のエンジン契約について正式に交渉を開始した。

    そして、バルセロナで開催される次戦F1スペインGPにも山本雅史が訪問し、2回目の交渉が行われることが明らかになった。

    両者はレッドブル・ホンダの契約を成立させるために懸命にプッシュしているが、情報源によるとホンダF1と現在のレッドブルのサプライヤーであるルノーの両方がアップグレードを導入する6月のF1カナダGPが最終決定の鍵を握る可能性があるという。

    レッドブル・レーシングは、交渉の進捗について口を閉ざしているが、ホンダの完全なポテンシャルを判断するために最新のアップグレードのパフォーマンスを待っていることを示唆している。

    「我々は(ホンダの)トロロッソとのパートナーシップの進み具合に非常に満足している」とヘルムート・マルコは Autosport にコメント。

    「信頼性はすでに大幅に改善している。パフォーマンスに関しては、次のアップグレードを待つつもりだ」

    レッドブル・レーシングは、6月のカナダGPまで決定を待つことを望んでるが、F1の競技規則ではパワーユニット製造者は来シーズンにどのチームにパワーユニットを供給するかについて5月15日以前までにFIA(国際自動車連盟)に通知する必要があると記されている。

    そのため、現在のサプライヤーであるルノーが、その日までにレッドブル・レーシングからコミットメントがなかった場合にどのような対応をとるかは不明な状況となっている。

    レッドブル・ホンダの提携は、マクラーレン・ホンダのようにホンダが資金を投入することはないと考えられているが、エンジンパートナー以上のより強力な提携になる可能性があると考えている。

    ホンダは、日本人の育成ドライバーをF1で走らせたいと考えており、トロロッソがその受け皿になる可能性が高い。

    現在、最もF1に近いドライバーは、F1とスーパーフォーミュラに参戦している福住仁嶺がいる。今年、福住仁嶺がF1参戦に必要なスーパーライセンスポイントを獲得できれば、2019年のF1デビューは確実とみられている。

    福住仁嶺がトロロッソに加入する場合、現在のドライバーを務めるピエール・ガスリーもしくはブレンドン・ハートレーがシートを失うことになるが、おそらくブレンドン・ハートレーがシートを失う可能性が高い。

    ブレンドン・ハートレーは、開幕4戦でパフォーマンスをできておらず、F1中国GPではチームの指示にきとんと対応できずにピエール・ガスリーとの同士討ちを起こしており、先週末のF1アゼルバイジャンGPでも予選Q1でピエール・ガスリーのアタックを妨害している。

  • トロロッソ・ホンダ:前戦からの問題解決には至らないパフォーマンス

    トロロッソ・ホンダ:前戦からの問題解決には至らないパフォーマンス

    トロロッソ・ホンダは、F1アゼルバイジャンGPの決勝で、予想通り、バクーならではの波乱の展開となったレースで生き残り、2台揃って完走を果たした。

    ブレンドン・ハートレーは10位入賞。F1で自身初となるポイントを獲得した。ブレンドン・ハートレー自身の喜びとともに、チームにとってもこれまでの苦労が少し報われ、今後の励みになる成果だった一方で、前戦からの問題解決には至らないパフォーマンスに終わった。

    第4戦アゼルバイジャンGPの舞台であるバクーの市街地コースは、シリーズの中でも特徴的で難易度の高いサーキットである。全長約6kmの中に、グランプリコースの中でも1、2を争う2kmの長いストレートがあるほか、ほぼ直角の低速コーナーが多く、市街地コースの特徴である路面のうねりや非常にタイトなコース幅の要所があり、ドライバーにとっても、マシンにとってもギリギリのチャレンジを要求するコースとなっている。

    加えて今年は、例年よりもおよそ2カ月早い開催となったことで、気温、路面温度が従来よりも上がらないコンディションとなった。このことが、すべてのドライバー、チームを、タイヤの温度管理という面で悩ませ、市街地路面と相まってグリップ不足を引き起こしている。

    トロロッソ・ホンダにとっては、この難しい状況の中で、前戦での不振をばん回しなければならないという課題があった。

    「前戦を終えての解析で、ある程度原因の特定はできているのですが、それをこのコースで検証し確認することはとても難しいことです。さまざまなトライも含め、できるだけのことを進めるしかありません」と田辺豊治。

    ドライバーの経験も大きい要素となるコースで、ピエール・ガスリーはGP2での走行経験はあるが、ブレンドン・ハートレーにとっては初めてのコースで、マシン、ドライバーともに手探りの状態で走行が始まった。

    前戦同様に、プラクティスでのパフォーマンスは低迷した。チームは空力を中心にさまざまなセットアップを試したが、「マシンのバランスとグリップがなかなか向上せず、いい感触を得られていない」とピエール・ガスリーはコメント。予選に向けてさらなる改善が必要だった。

    そうして迎えた予選では、チームにアンラッキーが襲いかかる。1回目のアタックでピエール・ガスリーはまずまずのタイムを出したものの、セッション序盤のコンディションはあまりよくなく、路面が改善する2回目に賭けるしかない。ブレンドン・ハートレーは、コースインしたもののイエローフラッグが相次ぎ、アタックには至らずピットに戻った。

    勝負はセッション終盤の2回目のアタックに託されたが、ブレンドン・ハートレーはアタック中にバリアと接触しパンクを喫する。スローダウンしたブレンドン・ハートレーが、タイムアタック中のピエール・ガスリーのラインを阻み、ピエール・ガスリーはギリギリで避けたがコースオフ。チームメート同士の激突という、あわや大事故の状況だった。

    「今までレースをしてきて一番怖い瞬間だった。時速320㎞でぶつかるところだった」とピエール・ガスリー。「完全に僕の判断ミスだった。ピエールには申し訳ないことをした」とブレンドン・ハートレー。激突を免れたことは、チームにとって今回最大のラッキーだったかもしれない。

    予選後、ホンダF1 テクニカルディレクターの田辺豊治は「予選の結果は厳しいものでしたが、ここでのレースは何が起こるか分からない。決勝に向けて全力を尽くします」と17番手とノータイムに低迷した結果を踏まえながらも、レースへの意気込みを語った。

    予選でタイムアタックが不発に終わったトロロッソ・ホンダは、ピエール・ガスリーが17番手、ブレンドン・ハートレーが19番手からの決勝スタートとなった。予想通り、レースは波乱の展開となる。オープニングラップからクラッシュが発生し、セーフティカーが導入。好スタートを決めたピエール・ガスリーは4周後のレース再開時点では7番手にまでポジションを上げた。しかし、ストレートで度々後続に抜かれ、13周目にピットインする時点では13番手まで順位を下げていた。

    レースが小康状態となった中盤から終盤にかけて、トロロッソ・ホンダの2台は14、15番手を走行していたが、残り10周あまりとなった時点で、レースは大波乱の様相を呈した。上位を走るレッドブルの2台がメインストレートで接触し、これによりセーフティカーが導入される。セーフティカー中にハースがクラッシュするアクシデントも起こり、セーフティカー先導は7周と長引いた、この間にピエール・ガスリー、ブレンドン・ハートレーはともにウルトラソフトタイヤへ交換し、最後の戦いに備える。残り5周でレースが再開した後も波乱は続き、上位の脱落が相次いだ。目まぐるしい展開の中、11番手から入賞を狙って追撃していたピエール・ガスリーにもアクシデントが襲った。前を行くハースのマグヌッセンがストレートで無謀なブロックを仕掛け、ピエール・ガスリーは逃げ場を失いマシンにダメージを負ってしまう。それでもピエール・ガスリーは残りのレースを走り切り12位完走を果たした。このアクシデントで、ブレンドン・ハートレーが10番手にポジションを上げ、チェッカーフラッグを受ける。ピエール・ガスリーの脱落は残念だったが、ブレンドン・ハートレーの入賞がそれを補うかたちとなり、大波乱のレースは幕を閉じた。

    「この展開の中、2台が生き残って完走を果たし、入賞したことはよかったと思います。しかし、ストレートスピードが伸びず、苦戦した部分がありました。パワーで劣っていることは分かっていますが、加えてエネルギーマネジメントについて、セットアップ面とレース中のオペレーション面での差が大きく出たとも感じています。課題は多く、まだまだやることがたくさんあるという状況です」とレース後、田辺豊治は語った。マシンについても「週末を通して、期待したレベルにはなかった」とチーム代表のフランツ・トストが語るように、前戦からの問題解決には至らないパフォーマンスに終わった。

    シーズン序盤の4戦が終わり、F1はホームグラウンドであるヨーロッパに戻る。次戦スペインGPは、例年シーズン第2幕の始まりとも、実質的な開幕戦とも言われる戦いとなる。それまでの2週間、トロロッソもホンダも、問題の解決とさらなるパフォーマンス向上へ、休む間も無く準備を進め、戦いに挑み続ける。

  • レッドブル、ホンダのF1パワーユニットを搭載する可能性は五分五分?

    レッドブル、ホンダのF1パワーユニットを搭載する可能性は五分五分?

    レッドブル・レーシングが、2019年以降にホンダのF1パワーユニットを搭載する可能性はまだ五分五分だとスペインの Marca が報じている。

    F1アゼルバイジャンGPの週末、バクーのパドックでレッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコと本田技研工業のモータースポーツ部長を務める山本雅史が2019年以降のエンジン契約について正式に交渉を開始した。

    レッドブル・レーシングは、F1スペインGPの2日後までである5月15日までに2019年からホンダのF1パワーユニットに切り替えるのか、もしくはルノーを使い続けるのかの決断を迫られることになる。

    今年、ホンダはレッドブル・レーシングの姉妹チームであるトロロッソにF1パワーユニットを供給しているが、パフォーマンスにはかなりムラがある。第2戦バーレーンGPでは4位入賞を果たしたものの、それ以外は下位グループに属している。

    ホンダは、マクラーレンとの3年間のパートナーシップでパドックの評価を落としており、マクラーレンとの愛憎関係はまだ続いている。

    レッドブル・レーシングは、過去にルノーとダブルタイトルを4連覇してきたが、成功に対するルノーの重要性についてしばしば感謝に欠ける対応を行ってきた。レッドブル・レーシングは、レースに勝った場合にシャシー、ドライバー、戦略、メカニックを称えるものの、タグホイヤーとアストンマーティンがスポンサードするエンジンに関して話題はあまり登場してこない。

    すでに両社の関係は冷え切っている。ルノー・スポーツF1のマネージングディレクターを務めるシリル・アビテブールは、レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコに少なくとも広告効果のシェアを望んでおり、中国での勝利はルノーのF1エンジンでのものであることを忘れないようと強調。レッドブルの勝利を祝福せず、ヘルムート・マルコを怒らせた。

    逆にレッドブル・レーシングは、ダニエル・リカルドのターボが故障した際にスペアエンジンを用意していないかったルノーを批判。「我々はエンジンを迅速に交換する経験があるので、素早くそれを実施するのは普通のことだ」と述べ、火に油を注いだ。

    レッドブル・レーシングのスタッフの間ではまだ意見が分かれているものの、第2戦バーレーンGPでは、トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーが4位入賞を果たしたことで、ホンダのエンジンに切り替える見通しが強まったとされている。エンジニアのなかには、2014年以降ルノーとわずか6勝しか挙げられていないことを不満に思っており、ホンダに切り替えることでギャップを埋められると考えているものもいるようだ。

    スペインの Marca は、実際、ミルトンキーンズで行われた分析では、ホンダのF1エンジンに切り替えることへの不安を払拭される結果が出ているという。また、エンジニアの意見も重要ではあるが、経済的な節約も大きな役割を果たすことになる。レッドブル・レーシングがホンダとワークス契約を結べば、現在ルノーに支払っているエンジン代金は節約できることになる。

    いずれにせよ、レッドブル・レーシングがホンダとルノーのどちらを選択するかはまだ五分五分の状態だと同紙は伝えている。

    また、レッドブルとルノーの間にはカルロス・サインツというドライバーの問題もある。レッドブルはダニエル・リカルドとの契約が今シーズン限りとなっており、現状ではルノーを継続した場合はフェラリ、もしくはメルセデスに移籍する可能性が高いとみられている。その場合はカルロス・サインツがレッドブルに復帰するのは既定路線だ。

    ルノーはカルロス・サインツを保持することを望んでいるが、レッドブル・レーシングがホンダとの契約を決断し、ダニエル・リカルドが残留を決意した場合、ルノーとレッドブルの関係は完全に切れることになる。同紙はその隙をついてマクラーレンがカルロス・サインツの獲得を狙っているとスペイン紙らしい推測を展開している。

  • ホンダF1 特集:高速クラッシュがF1パワーユニットに与える影響

    ホンダF1 特集:高速クラッシュがF1パワーユニットに与える影響

    ホンダF1で副テクニカルディレクターを務める本橋正充が、マシンがウォールに激突したとき、F1パワーユニットに何が起こるかを解説した。

    ストリートサーキットには、普段のサーキットとは異なる特徴がある。比較的最近建設されたサーキットは、滑らかな路面と広いランオフエリアを持つ一方で、市街地コースの場合は公道を限界ギリギリまで壁に近づいて駆け抜けるため、マシンの性能以上にドライバーの腕が求められることになる。

    全てがうまく行くときは、ドライバーは狭いコースで完璧なコントロールを披露し、この上ない喜びを感じられるだろう。しかし、ひとたびミスを犯せば、その代償は高くつく。

    市街地サーキットでのクラッシュは、劇的な見え方になりがちだ。ただ、一旦ドライバーの無事が確認できれば、ガレージではマシンを修復すべく、非常に忙しい時間を過ごさなくてはならなくなる。コース上にカーボンファイバーの破片やマシンのパーツが散らばる様を見れば、そのダメージが深刻であるのは一目瞭然だが、ボディワークの下では、パワーユニットも大きなダメージを負っていることがある。

    クラッシュ後にチームが行う作業はどんなものなのか、ホンダF1で副テクニカルディレクターを務める本橋正充が解説した。

    「重要なのはデータの解析です。マシンが止まったときには、特に細かくデータチェックを行います。エンジン内部の温度や、大きな負荷がかかっていないかなど、マシン内部のセンサーで検知される項目を確認します」

    「マシンがクラッシュした際には、一度エンジンを切らなければなりませんが、そうすると電気系統を落とすことになるので、そのあとのデータは得られなくなります。ガレージに戻したら、全体を細かく検査し、サブユニットの電源を入れ、可能であれば、シャシーの電源も入れます。その上でセンサーからの情報を吟味し、修復可能かそうでないかを判別します」

    クラッシュが起こると、例えほかの部分が衝撃のほとんどを受け止めていたとしても、パワーユニットのコンポーネントを交換しなくてはならないことがある。クラッシュの瞬間にはマシン全体をとてつもない量のエネルギーが駆け巡るため、パワーユニットとシャシーの結合部など、荷重のかかる部位に影響を与えることがあるからだ。

    「最も壊れやすいのは、シャシーとエンジンの結合部分です。これは、クラッシュの衝撃が、シャシーからパワーユニットに伝わってしまうためです。ここにはシリンダーヘッドやシリンダーブロックなど、パワーユニットにとって非常に重要な部品も含まれています」

    「さらに、マウント部以外の結合部分もあります。例えば、インタークーラーとラジエーターの間を通るパイプですが、クラッシュの際には、ここを経由してシリンダーヘッドやオイルポンプ、吸気チャンバーにダメージが伝わってしまうこともあるんです。ダメージの有無を調べるため、目視のほか、超音波を使った検査をすることもあります」

    「ですから、まず明らかにしなくてはいけないのは、シャシーからの衝撃がどのように広がったかです。ガレージに戻ったら、まずは、パワーユニットを含めマシン全体を検査して衝撃の強さと流れを確認し、その後クラッシュによる負荷の大きさがどの程度だったのかなどのデータを、シャシーチームと一緒に解析します」

    「そのあとで、日本にいるHRD Sakuraの開発チームと状況を共有します。基本的には、その後日本のファクトリーにパワーユニットを戻し、さらなる検査やメンテナンスを行っていきます」

    「レギュレーションにより、一度使用したパワーユニットをダイナモでテストすることはできません。ただし、液漏れのチェックや負荷チェックなどは、手動ポンプなどの方法で確認することができます。そこで、何らかの漏れや、ねじれがないかを把握しなければなりません。さらには、油圧システムのアクチュエーターもチェックします。こうすることで、すべてのコンポーネントが正常に作動しているかを確かめることができます」

    当然のことながら、パワーユニットはクラッシュを想定して設計されているわけではありません。さらに、ストリートサーキットに点在する縁石やバンプは、普段のレースとは異なる負荷を与える場合があり、さまざまなコンポーネントに影響が出ることもある。

    「基本的に、パワーユニットの構造は、パフォーマンスに特化して設計しています。シーズン前にはシャシーチームととともに、ねじれや振動のチェックなどを行い、マシン全体をテストしますが、その主な目的はシャシーの性能を把握することです。エンジンは非常に大きく、重量もあるので、アクシデントの対策も盛り込んでしまうとさらに重くなってしまうんです。だから、パフォーマンスを発揮するためだけのことを考えて設計されています」

    「しかし、エネルギー回生(ERS)システムは、非常にデリケートな構造になっている上、フロアのすぐ近くに配置され衝撃の影響を受けやすい部分です。マシンが縁石に乗り上げて衝撃を受けることもあるので、詳細な検査が必要になります。車載のセンサーがあるので、ドライバーの走行が終わると、そこからデータを回収してシステムが正常に作動しているかを確認します」

    「例えば、縁石でフロアを打ち付けてしまうと、パワーユニットはその衝撃と振動を受けます。パワーユニットとシャシー双方に加速度計が設置されているので、それを見比べることで、振動がパワーユニットに負荷を与えていないかを確認できるのです」

    パワーユニットの交換には数時間を要するので、チームにとっては、クラッシュによって交換が必要となるレベルのダメージがあるのか否かを一刻も早く見極めることが必要不可欠となる。

    「素早い判断が必要とされる場合には、まずテレメトリーデータを見てパワーユニットの状態をチェックします。チェックの結果がOKであれば、マシンをガレージに戻したあとで実際にコンポーネントをチェックし、パワーユニットを交換するかを決めます。もちろん、念の為にバックアップ用のスペアPUはいつも用意してあります」

    「パワーユニットを交換せずに済めば、その次のセッションでは走行前の確認を行います。これは、レースウイークで最初の走行の前に必ず起こっているインスタレーションラップとほぼ同じ内容のものです」

    「クラッシュ後のチェックを経て戻ってきたPUは、大丈夫なように見えたらインスタレーションラップで動作を確認します。さらにマシンがピットに帰ってきてから、カバーを外してさらに細かい検査を終えて、初めてパワーユニットを実戦で使用します」

    アクシデントが起きると、ギアボックスを交換することがあり、それによるグリッド降格を目にすることも多くありますが、このギアボックスも、パワーユニットに大きな影響を与えてしまうコンポーネントの一つだ。

    「ギアボックスはパワーユニットとつながっているため、ここが損傷するとクランクシャフトを圧迫して、スラストベアリング(軸受)を傷つけてしまうことがあります。なので、そのエリアを目視で確認するための窓が取り付けられています。これは大変な作業です。こうした問題は発見するのが非常に難しいのですが、安全性の観点からも必ず確認しなければなりません」

    F1での経験が長い本橋正充は、これまで数多くのエンジンを扱ってきた。現在、採用されているV6エンジンは、非常に精密で、また高度なテクノロジーを使用している。しかもレギュレーションにより、シーズン中に使えるコンポーネントの数は厳しく制限されているため、耐久性も必要だ。

    「V8エンジンとV6エンジンにおける設計の違いは、パワーユニットの使用制限と大きく関係しています。過去には交換の制限が現在のように厳しくありませんでしたから、第三期の終盤には一つのエンジンを2大会、およそ1600kmの走行距離で使用していました」

    「使用距離がかなり短かったので、パフォーマンスを向上させるために軽量化することができました。しかし、軽ければ、それだけクラッシュの際にダメージを受けやすくなります」

    本橋正充がこれまでに目撃した中で最も激しく損傷したパワーユニットは、2016年の開幕戦オーストラリアGPで、フェルナンド・アロンソ選手がクラッシュを起こしたあとのものでした。高速走行中にハースのエステバン・グティエレス選手が駆るマシンのリアに乗り上げ、大クラッシュとなった。

    「これまで、あんなに損傷してしまったパワーユニットは見たことがありません。さくらで実物を見ましたが、いくつかのシリンダーヘッドは抜け落ちてしまっていたんです」

    「現在のレギュレーションでは、シリンダーヘッドはFIAによる封印の対象であるため単体での交換や修理はできず、我々はパワーユニットの交換を行うしかありませんでした。ある場面では、いくつかのパーツを交換していいか、FIAと交渉することもありますが、このときはパワーユニットの交換以外、選択肢がないという状況でした」

    「でも、そんな大きなアクシデントであっても、またレース戻らなければならないんです」

    ストリートサーキットでは、ウォールに激突すればタイムをロスするだけでは済まない。でもだからこそ、ドライバーがそこでミスのない走りを見せたとき、それは特別な瞬間だと言えるのだ。